モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~   作:メソポ・たみあ

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第79話 偉い人②

 

「さぁて……」

 

 次にヴァルター最高議長は俺たちの方へ向くと、ゆっくりとした足取りで近付いてくる。

 

「キミたちが『ハンプール』を守ってくれたんだろう? この街の住人に代わって、ぜひ礼を言わせておくれ。ありがとうよ」

 

「い、いえそんな! もったいないお言葉です!」

 

「『ハンプール』は年寄りの療養に最適でなぁ。ここが潰されれば、寿命があと十年は縮んでしまうところだったよ。なあ、ばあさまや」

 

「いやだわ、じいさまったら。うふふふ」

 

 ……あなた方、あと何十年生きられるおつもりなんですかね……?

 

 中々お年を召されてらっしゃると思うんですけど……。

 

 っていうか、『ハンプール』がなくても寿命縮まなそうなくらい”圧”というか”オーラ”を感じますけどね……。

 

 流石は最高議長夫妻……。

 

 続けてカサンドラ夫人が、

 

「あなたは、ノエル・リントヴルムさんよねぇ」

 

「! 俺のことをご存知なんですか……?」

 

「勿論。アリッサム家次代当主を決める決闘で、ロゼ・アリッサムちゃんに大きく貢献した人物……。元老院で知らぬ者はおりませんよ」

 

「そ、そうなんですね……」

 

 ――怖い。

 普通に、というかめっちゃ怖い。

 

 俺氏、いつの間にか政治のトップに名前が知られているんだが?

 

 いや、考えてみれば自然ではあるけどさ……。

 

 アリッサム家って元老院の一角なワケだから……。

 

 でも怖いもんは怖いよぉ……。

 もう完全に政治家の方々にマークされちゃってるじゃん……。

 

 俺は平和で静かにスピカを育てたいだけなのにぃ……。

 

「今回のご活躍、デイヴィス学園長にはしっかりと報告をしておきましょう。どうか誇りに思ってくださいな」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「それから――そちらの女の子は、クローディア・ベルメールちゃん、だったかしら」

 

「え……? どうして私のことまで……」

 

「ベルメール家のご令嬢といえば、数年前まで悪い噂をたくさん聞いたものだから。顔くらいは覚えていますよぉ」

 

「は、はは……」

 

 顔を引き攣らせて目を逸らすクローディア。

 

 キミ、最高議長夫人の耳に入るレベルの悪女だったんやね……。

 

 いやまあ元々ガチの悪役令嬢だったワケですしおすし……。

 

 ムリもないか……。

 

「でも、噂なんて当てにならないわねぇ。本物はこんなに立派なレディだったんですもの」

 

 カサンドラ夫人は朗らかな笑顔のまま、続けてフレンを見る。

 

 彼女の腕に抱きかかえられた、小さなワイバーンの姿を。

 

「ベルメール家が没落して、どうしているかと思っていたけれど……まさか”ワイバーン・マイスター”になっているなんて。やっぱり長生きはしてみるものだわ」

 

「きゅわっ♪」

 

「まあまあ、とってもかわいい赤ちゃんだこと」

 

 フレンを見て満足したのか、カサンドラ夫人はクローディアから離れていく。

 

「もし困ったことがあれば、いつでも私たちを尋ねていらっしゃい。ボーレンハイム家は、あなたに力をお貸ししますから」

 

「うむ。もしお家再興も考えにあるなら、快く手伝おうとも」

 

「――! あ……あああっ……ありがとうございますっ!!!」

 

 クローディアは声を震わせながら、バッと大きく頭を下げる。

 

 ……マジか。

 大陸で一番偉い人を味方に付けちゃったよ、クローディア。

 

 災い転じて~ってのは、こういう時のためにある言葉だな。

 

 いやでも――よかった。

 本当によかったよ。

 

 ……頭を下げた彼女がちょっと泣いているように見えたのは、まあ俺の見間違いってことにしておこう。

 

「ほっほっほ、よい子だなぁ、ばあさまや」

 

「うふふふ、そうですねぇ、じいさまや」

 

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