モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~   作:メソポ・たみあ

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第80話 師匠と弟子(※途中からクローディア視点)

 

「フレン! 〔トルネード・ストライク〕ですわ!」

 

「きゅわっ!」

 

 ――いつもの打ち込み台に対して、フレンは新必殺技を叩き込む。

 

 その威力は素晴らしく、打ち込み台はバキッ!と折れて明後日の方向へと飛んでいった。

 

 その光景を見ていた俺は思わず「お~」と感嘆の息を漏らす。

 

「……フレン、強くなったなぁ」

 

「きゅーん……!」

 

 スピカも驚いたご様子。

 

 強さという点ではまだまだスピカに及ばないけど、成長速度は相当なモノ。

 

 この調子だと、いずれ本当にフレンとスピカが互角になる日が来たりしてな……。

 

 それにワイバーンの仲間を呼べることまで含めると――。

 

 ……あれ?

 フレンって、相当な有望株じゃね?

 

 い、いや、なんの……。

 スピカもめちゃ有望な子ですとも……フ、フフフ……!

 

 クローディアはなんとも自慢気に胸を張り、

 

「ふふん、当たり前ですわ。だって私のフレンなのですもの」

 

「きゅわっ~♪」

 

 パタパタと宙を飛んでいたフレンも、クローディアの頭に着地。

 

 彼女に褒められてとても嬉しそうにしている。

 

 

 ――『ハンプール』での一件から、今日で一週間。

 

 街を襲ったドラゴン・タートルは捕獲され、ヴァルター最高議長が派遣した調教師(テイマー)たちが厳重に管理。

 

 現在では元居た場所に戻してあげられるよう手筈が進んでいるらしい。

 

 それとディルクとアルベナの二人に関しては、裁判によって実刑判決が下った。

 

 街に無用な危険をもたらしたこと、

 言い逃れのために他者へ罪を擦り付けようとしたこと、

 そして貴族・大商人の権力を悪用しようとしたこと。

 

 これらの罪により、身分の高い者としては異例の禁固三十年が確定したらしい。

 

 かわいそうに。

 ま、残念だが当然の結果だ。

 

 一応フェルスト家とビュッセル商会は、保釈金を積むなり弁護士を雇うなりして二人を無罪にしようと画策。

 

 だが現地にヴァルター最高議長がいたのがマズかったようで、結局は上告が認められなかった。

 

 ……噂によると、あのおじいちゃんが両家に強烈な圧力をかけたとかなんとか……。

 

 考えるだけで恐ろしい……。

 背筋が凍り付くよ……。

 

 お家お取り潰しにならなかっただけでも温情だが……悪い噂はすぐに広まるもので。

 

 たぶん、今後フェルスト家とビュッセル商会は――おっと、これ以上余計な勘繰りはやめておこう。

 

 どうせモブの知ったことじゃありませんから。

 

「そういえばクローディア、結局あの後カサンドラ夫人の下は尋ねたのか?」

 

 

  ▼

 

 

「え?」

 

「ベルメール家再興に力を貸してくれるって言ってたじゃないか。会いに行ったんだろ?」

 

「……いいえ」

 

「へ?」

 

「会いには行っておりませんわ。私が一流のドラゴン調教師(テイマー)になれば、すぐにベルメール家なんて再興できますもの」

 

 私はノエルさんから顔を背け、さも悪女ぶって言う。

 

 

 ――――嘘。

 

 

 本当は、すぐに会いに行きました。

 

 ヴァルター最高議長とカサンドラ夫人の下を尋ね、「どうかベルメール家再興に力をお貸しください」と懇願しようとしました。

 

 でも――でもあの方たちを前に頭を下げようとした時、どうしてもそれができなかったのです。

 

 ……怖かったから。

 

 本当にベルメール家を再興させて――ノエルさんとの関係が切れてしまうことが。

 

 あんなに悲願だったのに。

 

 あんなに望んだことなのに。

 

 

”――婚約破棄されただと!? 一体どうしてくれるんだクローディア! ベルメール家はもうおしまいだ……!”

 

 

 ――悔しかった。

 ――悲しかった。

 

 お前が悪いんだって、皆がそう言いました。

 

 その時初めて、私は自分がどうしようもない愚か者だったと気付かされたの。

 

 ……没落していく自分の家を、とても見ていられませんでした。

 

 こんな事態を招いた自分が、心から憎かったですわ。

 

 だから「必ずベルメール家を元通りにするんだ」って決意したのです。

 それがせめてもの償いになると思って。

 

 けれど、いざそれが叶いそうになった時……彼の姿が心の中でつっかえて、消えてくれませんでした。

 

 

”今の彼女は、もうお前の知ってるクローディア・ベルメールじゃない。知った風な口を利くな”

 

”俺はクローディアの味方だ。なにせ彼女は、俺の”弟子”だからね”

 

 

 ――叶えば全てが終わってしまう。

 元通りになれば全てが終わってしまう。

 

 そんな気がしたのです。

 

 ドラゴン調教師(テイマー)仲間という関係も。

 師匠と弟子という関係も。

 

 ――わかっています。

 そんなの手段と目的の逆転だって。

 

 それにフレンとの関係まで切れるワケじゃありませんもの。

 この子がいてくれるなら、それでいいじゃありませんか――。

 

 そう自分に言い聞かせても、溢れる涙が止められませんでした。

 

 言わなきゃいけないのに。

 そのために耐えて、頑張ってきたのに。

 

 でもそんな時、カサンドラ夫人が言ってくれたのです。

 

「あなたは、まだやり残したことがあるのねぇ」

 

「どんな”答え”を出そうとも、まずは自分を納得させること。それからもう一度いらっしゃいな」

 

「こんなおばあちゃんでも、あなたの卒業くらいまでなら待っててあげられそうですからねぇ」

 

 ……嬉しかった。

 心の底から感謝を伝えました。

 

 ――”答え”。

 

 そっか、私はまだ自分の気持ちに”答え”を出していないんですのね。

 

 私は――

 

「は……はあぁ!? なに考えてんだ!? あんなに喜んでたじゃんか!」

 

 ノエルさんは血相を変えて声を荒げる。

 

 いつもの調子で。

 

「今すぐお願いに行くべきだろ! ベルメール家の再興をオナシャスって! さあ行け! 早く行け! 間に合わなくなっても知らんぞ――っ!!」

 

「いいんです!」

 

 私は頭に乗ったフレンを腕に誘い、ぎゅっと抱き締める。

 

「私はドラゴン調教師(テイマー)としてベルメール家を再興すると決めたのですから。ノエルさんも、そのお手伝いをしてくれるのでしょう?」

 

「う……いや、それはそう言ったけど……」

 

「今後とも、ご指導ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたしますわね――ノエル師匠(・・)♪」

 

「きゅわっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 ピコン!

 

 

〔〔クローディア√が新たに解放されました〕〕

 

〔〔クローディア√のイベントを達成〕〕

 

〔〔クローディアとの親密度が20上昇〕〕

 

〔〔クローディアの愛情ランクが”1”になりました〕〕

 

 

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