モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~   作:メソポ・たみあ

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第87話 黒と白

 

「キューン……」

 

「きゅーん?」

 

 スピカを睨むアークと、不思議そうに首を傾げるスピカ。

 

 鱗の色から目つきから細部は全く異なるのに、不思議と似ている両者。

 

 ……こうしてブラック・ドラゴンとホワイト・ドラゴンが揃う光景は、かなり珍しい。

 

 俺は緊張で息を呑むが、

 

「……キュキューン」

 

「きゅわっ?」

 

 アークは不意に顔を逸らし、クローディアの頭に乗るフレンの方を向く。

 

 そしてパタパタと彼の方へ近づいていき、

 

「キューン」

 

ナデナデ

 

「きゅわっ、きゅわわっ♪」

 

 小さな前足で、フレンの頭を撫でた。

 

「あ、あら? なんだか仲良くして頂けるのかしら……? よかったですわね、フレン」

 

「きゅわっ!」

 

 嬉しそうにするフレンとクローディア。

 

 ……アークにとって、ワイバーンであるフレンは遥か格下の存在。

 

 とても気高いブラック・ドラゴンは、自分より明確に弱いと判断した相手に対しては、むしろ好意的に接する時があるんだよな。

 

 まあほとんどの場合は無関心で終わるけど。

 

 どうやらアークは、フレンを”保護の対象”あるいは”子分みたいな存在”と見做したらしい。

 

 とりあえずは喧嘩しなくてよかった、というべきか。

 

 ……ある意味では微妙に舐められてるとも言えるが。

 

 仕方ないっちゃ仕方ないんだけどさ……。

 種族差があり過ぎるし……。

 

 そんなアークを見たスピカは、

 

「きゅーん♪」

 

 まぜてまぜて!

 と近づこうとする。

 

 しかし、

 

「! キューン!」

 

 不用意に近づいてきた彼女を見て、アークはバッと翼を翻して距離を取った。

 

 ……やっぱり、かなり警戒されてる。

 

 ムリもない。

 

 そもそもブラック・ドラゴンとホワイト・ドラゴンは種族的にライバルであり、天敵同士でもある。

 

 基本的には、生まれながらにして争う間柄なのだ。

 

 それにアークは、対等な相手に対しては警戒心が強い性格みたいだし。

 もう典型的なブラック・ドラゴンって感じ。

 

 いくらスピカが人懐っこいとはいえ、天敵である彼女が仲良くするのは難しいかもな……。

 

「きゅーん……」

 

 露骨に距離を置かれて、なんとも寂しそうにするスピカ。

 

 うぅ……かわいそうに……!

 後でたくさん慰めてあげるからな……!

 

「こらアーク、そんな態度じゃスピカちゃんに失礼だろう?」

 

「キューン」

 

「……驚いたわ、まさかブラック・ドラゴンとホワイト・ドラゴンが揃ってる光景が見られるなんて!」

 

 なんとも感激した様子でロゼが言う。

 

 そういえば彼女はスピカのこともすぐにホワイト・ドラゴンと見抜いてたもんな。

 

 彼女もこの光景の珍しさを理解しているってことか。

 

「こうして見ると、ブラック・ドラゴンも赤ちゃんの頃はかわいいのね~! ねえ、ちょっと触っても――」

 

「ダメだよ」

 

 ――ロゼが言い終えるよりも早く、レオンが強い口調で言い放った。

 

「アークに触れていい人間は、僕かノエルくんだけだ。気安く触ったら許さない」

 

「え……あ、ごめん……」

 

「――それにほら、ブラック・ドラゴンは警戒心が強くて凶暴だから。怪我したりしたら危ないでしょ?」

 

 ニコニコとした、作ったような笑顔を彼女に向けるレオン。

 

 でも微妙に目が笑ってないぞ……。

 

 なんか怖いんだが……。

 

「それじゃあノエルくん、さっそくトレーニングを始めようか!」

 

「あ……ああ、そうだな。だけどその前に一ついいか?」

 

「? なんだい?」

 

「……少し、アークの実力を見せてくれ」

 

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