モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~   作:メソポ・たみあ

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第88話 ライバル

 

「――いいかいアーク、今からこの(ボール)を投げるから、空中で撃ち落とすんだ」

 

「キューン!」

 

「それじゃあ……それ!」

 

 (ボール)を空高くへと投げるレオン。

 

 アークはそれを的確に目で追い、

 

「グルル……ギューンッ!」

 

 アークの口内でメラメラと火炎が発生。

 

 野太い炎をピゴーッ!と撃ち出すと、上空の(ボール)に命中。

 

 ボン!という爆発音と共に、(ボール)は一瞬で消滅した。

 

 ――〔ファイヤ・ブレス〕。

 

 ドラゴン種が使う基本的な技であり、スピカの使う技と同じだ。

 

「次はあの打ち込み台に向かって”攻撃”。〔ダーク・スラッシュ〕だ」

 

「キューン!」

 

 続けて彼らは打ち込み台と対峙。

 

 アークは両翼を黒紫のオーラで包み、放たれた弓矢の如き速度で突撃。

 

 すれ違いざまに翼で打ち込み台を斬り付け――真っ二つに両断した。

 

 ――〔ダーク・スラッシュ〕。

 

 身体の一部を〔闇〕属性の魔力で包み、強力な斬撃を叩き込む技。

 

 〔闇〕属性の中では初歩的な技だが、文句なしの威力である。

 

「「「おお~……!」」」

 

 そんなアークの実力を垣間見たロゼたちが、感嘆の声を上げた。

 

 ついでにフレンも「きゅわ~!」と驚いたご様子。

 

「どうかな、ノエルくん? 僕が育てたアークの実力は?」

 

「……ああ、大したもんだよ。ちょっとステータスを見てみてもいいか?」

 

「勿論さ! ぜひ見ておくれ!」

 

「……〈ステータス〉」

 

 アークを見つめて、画面を開く。

 

 そして俺の目に映ったのは、

 

 

==========

 

名前:アークトゥルス

種族:ブラック・ドラゴン

性別:(おす)

年齢:0歳

レベル:20

 

体力:1000

攻撃力:850

防御力:220

素早さ:390

知能:55

 

属性レベル

〔炎〕Lv:10

〔水〕Lv:7

〔風〕Lv:7

〔土〕Lv:7

〔光〕Lv:1

〔闇〕Lv:10

 

親密度:35(レオンとの)

魅力:80

 

性格:攻撃的

 

==========

 

 

 ――やっぱり。

 

 同じレベル(・・・・・)だ。

 

 今のスピカはアース・ドラゴンやドラゴン・タートルとの戦いを経て、20レベルまで成長。

 

 かなり強くなった――と思っていた。

 

 当然両者のステータスには差異があるし、属性レベルの上がり方も違う。

 

 それにしてもこれは……凄いなんてもんじゃないだろ……!

 

 あのブラック・ドラゴンが育成初心者の言うことを聞いてるだけでも驚きなのに、ここまでバランスよく育てるなんて……!

 

 アークの性格を考慮して攻撃力重視のステータスに仕上げ、属性レベルもほぼ満遍なく上げてる。

 

 よく考えて育成を進めてる証拠だ。

 

 ……初心者にできるレベリングじゃないぞ、マジで。

 

 ――ヤバい、どうしよう?

 ちょっと内心焦ってる自分がいる。

 

 いやだって、こんなん見せられたら自信なくすんだが!?

 

 俺の1000時間はなんだったんですかねぇ!?

 

 割と廃ゲーマーを自称してたのに、初心者に一瞬で追いつかれる気持ちわかる!?

 

 屈辱やでホンマに!

 

 泣きたくなってくるわ……。

 

「ハハハ……主人公って凄いのねぇ」

 

「? なにか言ったかい?」

 

「いやすまん、なんでもない」

 

 俺はレオンへと向き直ると、

 

「……素直に驚いたよ。初心者なのにここまでブラック・ドラゴンを育てるなんて。もしかすると、レオンは俺より調教師(テイマー)の才能あるかもな」

 

「え……? まさかノエルくんは、自分より僕の方が上だ……なんて言うの?」

 

「さあ、どうだろう。ただ――”ライバル誕生だ”とは思ってる」

 

「――! ライ、バル……ライバルか! 凄いよ、ノエルくんのライバルだなんて夢みたいだ!」

 

 ピコン!

 

 

〔〔レオンの親密度が5上昇〕〕

 

 

「……」

 

 もう突っ込まない。

 もう絶対に突っ込まないからな!

 

 俺にはなにも見えないし聞こえない!

 全力でスルー!!

 

 

 ――この後、俺たちはフレンを交えつつ育成トレーニングをして一日を終えた。

 

 アークのことがあまりにも衝撃的だったので、俺は半ば放心状態だったけど。

 

 もうさ、色んな意味で怖いし焦るよ……。

 

 ヒロインたちを目の前で攻略される~とか、同性なのに親密度が~とかいう以前に、ドラゴン調教師(テイマー)として抜かれそうなんだから……。

 

 

 ただ――焦りを感じる反面で、どこか嬉しいと感じる自分もいるんだよな。

 

 

 やっぱりさ、負けてられないじゃん?

 

 競争相手がいるっていうのは、それはそれでいい刺激になるよ。

 

 俺の理想はあくまでスローライフなドラゴン育成だけども、たまにはこういうのも悪くない。

 

 最近色々あってスピカの育成が滞りがちだったし――新米に追い抜かれないためにも、ちょっと気合を入れ直しますか。

 

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