モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~ 作:メソポ・たみあ
「――というワケで、久しぶりにスピカを強くしていこうと思います」
「……なにが”というワケ”なのよ」
「きゅーん?」
俺は自室の中でむんずと椅子に座り、ベッドの上で戯れるロゼとスピカに向かって言う。
――レオンとアークの実力を見せつけられ、愕然としたのが昨日の話。
一日明けて、今日はロゼが部屋に遊びに来ている。
相変わらずロゼとスピカは仲良しこよし。
やっぱり美少女とドラゴンって絵面は尊い……。
メインヒロインが当たり前みたいに人様の部屋でゴロゴロするのは、相変わらず慣れないけど……。
「いやー、最近色々あってスピカの育成が疎かになってたからさ。そろそろ強化期間に入らないと勘が鈍りそうっていうか、ドラゴンの神様に叱られそうっていうか?」
「……ふぅん?」
「やっぱたまには気合を入れてトレーニングしないとな! 筋トレと一緒だよ、筋トレと!」
「……」
「おい俺の筋肉! さあ、スピカを鍛えるのかい、鍛えないのかい、どっちなんだい!? どっちなんだい!?!? 鍛――え――るッ! パワーッ!!!」
「本当はアークの強さを見て焦ったんでしょ?」
トストスッ
「くふぅ……っ!?」
見えない弓矢は筋肉でも防げず、俺のハートに突き刺さる。
心の中の”図星”という文字に命中し、そして音を立てて崩れていった。
「わァ…………あ……」
「きゅーん!」
泣いちゃった!!!
と慰めてくれるスピカ。
おおう、スピカ……。
キミはなんてええ子なんや……。
「正直に言いなさいよ。ノエルは隠し事できるタイプじゃないんだから」
「……はい、焦りました。ちょびっとだけ。でもやる気を出したのはホンマやで!」
「わかってるわよ。それにあんなにブラック・ドラゴンをしっかり育てておいて育成初心者です~なんて言われたら、普通は落ち込むってことも」
「! あれ……ロゼも気付いてたのか?」
「当然。
――意外。
いや、意外ってほどでもないか?
ロゼはドラゴンと縁のあるアリッサム家出身だし、ドラゴンに関する知識は相応に身につけてるもんな。
だったら如何にレオンが異常なのか、理解できているのだろう。
「……ま、前代未聞って意味では、その年齢でホワイト・ドラゴンを育てるあなたもおかしいけどね」
「……♪~」
口笛を吹いて誤魔化す俺氏。
そりゃ「ダンプリでやり込んだからやで!」なんて言えないもんよ……。
今以上に頭おかしい奴って思われちゃうじゃん……。
「ノエルが触発されるのも無理ないけど……でも、レオンとはあんまり関わらない方がいいと思う」
「――へ? それはまた……何故に?」
「なんていうか……ノエルを見る目と私たちを見る目が、違い過ぎる気がするのよ」
「ああ……うん、それはわかるなぁ……。もしかすると特殊なご趣味をお持ちなのかもねぇ……」
あまり他人の好みにとやかく言いたくはないけど……。
あんなにぽこじゃか親密度が上がっていくのは、流石にさぁ……。
「はあ? なに勘違いしてるの? 違うわよ、そんな意味じゃないって!」
「え、違うの?」
「ノエルを見るあの瞳……なんだか怖いのよね。好きとか嫌いとかそういう次元じゃない、私の知らない感情がこもってる気がして……」
「……なんだよ、知らない感情って……」
「わかんないわよ、そんな気がしただけ。ただ少なくとも、私はあの子あんまり好きじゃない」
――おや。
おやおや?
これは予想外。
まさかメインヒロインであるロゼが、レオンへの好感度低めとは。
でも思い返せば、昨日の時点でレオンがヒロインたちの誰かと距離を縮めているような感じはなかった。
……むしろ俺との距離感をガンガン縮めてこようとしてたよな。
レオンはヒロインたちを攻略するつもりがないのか……?
わからん……。
こんな魅力的なヒロインたちなのに、なんで俺に熱視線を向けてくるんじゃ……。
「それにノエルがやる気なのはいいけど、スピカちゃんの方はどうなの?」
「きゅーん?」
「レベルUP。ご主人様に付き合う気力は?」
「! きゅーん!」
パパが頑張るなら、私も頑張る!
と翼を広げて意気込んで見せるスピカ。
んん~~、流石は我が子。
俺の想いをこんなに素直に汲んでくれる……。
ありがたやありがたや……。
「ありがとうスピカ。ちょっとずつ強くなって、アークとも仲良くなれるよう頑張ろうな」
「きゅーん! きゅーん!」
「ようし、決まりだ」
「言っておくけど、やる気を空回りさせてスピカちゃんにムリさせないでよ?」
「ハハ、心配ご無用! このドラゴン