ある日の放課後帰宅すると鞄を置いて練習用に購入したベースをケースに仕舞い肩に掛けては小型アンプ等を入れている鞄を持ち再び外に出る。目的地はリサちゃんのお家、昨日リサちゃんのベース練習を手伝いに行く事が決まり、時間があればお菓子も作ろうと誘われ初めて行くお友達の家に向かってる
「えっと、このお家かな?」
表札を見れば『今井』と書かれているから間違いは無いはず…念の為にメッセージを送ると直ぐに返信が来た
「良かった!迷わなかった?」
「うん、大丈夫だったよ♪」
玄関から出て来たリサちゃんと会話をし乍ら家に上がらせて貰う
「取り合えず、アタシの部屋にいこっか♪」
「うん、お邪魔しまーす」
家族は不在らしくそのままリサちゃんのお部屋に行く事に私の部屋と違って女の子らしいお部屋、ぬいぐるみが好きなのかな?紗夜ちゃんや日菜ちゃんのお部屋にもそれなりに飾ってあるし…
「お…夕凪もぬいぐるみとか好き?」
「うん、集めては無いけど好きだよー?」
「そっか♪ベースの練習もあるけどさ…何て言うか、あまり夕凪のこと知らないなーって思って誘ってみたんだ」
「私の事?」
「そ、結構な時間一緒に練習したりおしゃべりしたりしてるけど…好みとか苦手な物とか知らなかったからさ?」
「ん-…私は生野菜のサラダとかハンバーガーとか好きだよ?」
そう言うとリサちゃんは少し驚いてた、意外だったみたい
「ジャンクフードが好きなのは姉妹揃って何だねー」
「ふふ…確かにそうだね。時々、フライドポテトとハンバーガーを作ってるよー♪後は紗夜ちゃんの人参嫌いを直そうとしてるけど…中々大変で…」
「あ、あはは…紗夜、人参嫌いなんだ」
色々あってね、と言ってこの前は頑張って飲み込んでるのを思い出した。食べ終えた後はやり切った雰囲気でぐったりしてたっけ…
「それじゃ…夕凪の嫌いな物は?」
「私は辛い物が苦手かな…えっと、唐辛子の丸かじりとか…?」
「それは罰ゲームだよ…」
苦笑いするリサちゃんに首を傾げつつ
「じゃあ…食べ物以外で苦手な物は?」
「ん-…スプラッター系の映画?」
「あ、それはアタシも無理」
「でも、ホラーは大丈夫だよー♪映画も小説も読むし、ホラーゲームもするよ?」
「無理無理!絶対無理!…あ、ゲームするんだ」
「楽しいのに…うん。ネットゲームだけど最近だと紗夜ちゃん達と燐子ちゃんにあこちゃんと時々巴ちゃんとも遊んでるよ?」
「あれ?意外なコミュニティが作られてる」
意外だなーっと言い乍ら頷いてるリサちゃん
「リサちゃんも今度やってみる?友希那ちゃんも誘って」
「オッケー☆あー、でも…友希那はパソコン苦手だからアタシが近くに居ないと大変かも…」
「そうなんだ…でも、作曲とかに使うんじゃ…?」
「あ、あはは…今後の課題だね…」
「うん…」
猫ちゃんが好きで音楽が大好きな友希那ちゃん、それ以外はダメな部分が…勉強…大丈夫かな?
「そっかー。あ、そう言えばさ…この前の手紙の騒動はどうなったの?」
「あ、あれはね。私の後輩ちゃんが演奏をお願いしたくて下駄箱に入れたみたいなの、連絡先が知らなかったからみたいで…」
「あー…なるほど。もう、驚いたよー?ヒナも紗夜も可笑しくなって…うん。凄いカオスだった…」
「あはは…お騒がせしました…」
そこで会話が終り。タイミングも良いのでベースの練習に移る事に
「ん-…リサちゃん。今日はピックで弾こっか」
「え?どうして?」
「それ以上指弾きでやっちゃうと爪を痛めちゃうから…」
「あー…見た?」
「うん、少しだけ練習したら見せてね?」
「はい…」
ベースを構えた時に見えた爪にストップを掛けピックを手渡す。感覚は変わってしまうけど指の事を考えるとやっぱりピックの方が良いと思う。それから一時間程曲の練習をしてはリサちゃんにベッドに座って貰いネイルケアの道具が入ったケースを鞄から取り出す
「凄いね…必要な物は全部入ってるの?」
「うん、色々無理したり楽器や機器に不具合が出たりした時にある程度は対処出来る様に準備してるんだ♪」
そう言いながら指を良く見れば無理をして練習を続けていた事が直ぐに分かるぐらいに傷めていた。手早く罅がこれ以上広がらない様、慎重にネイルニッパーで切り形を整えて行く。何時もの浸透補修液を丁寧に爪に塗っては乾くまで待つ事に
「…やっぱり、紗夜とヒナにもしてるの?」
「うん、最近は自分で管理出来てるみたいだけど…時々抜き打ちチェックして危ない時はしてるよー?」
「ぬ、抜き打ち…?」
「うん?」
首を傾げてリサちゃんを見れば苦笑いしてるけど…どうしたんだろう?
「紗夜とかヒナを見てると分かるけど。夕凪達ってすっごく仲が良いよねー♪」
「ふふ…うん、みんな頑張ってるから…ううん、頑張ったから?」
「夕凪…?」
「あ、何でもないよー♪…もう乾いたかな?」
慌てて何でもないと言い乍らリサちゃんの右手を見る。既に乾いているから暫くはピックで練習すれば問題無いはず
「ありがと…♪…アタシさ、周りの雰囲気とかすっごく気になる性格でね。…重い雰囲気だったら明るく振舞ったり、緊張してたら少しでも和らげようとしたり…あーもうっ!そうじゃなくて…うん。何かあったら直ぐに言ってよ?家族には言えない事もきっとあると思うから」
「ふふ…ありがと。でも、大丈夫だよ…♪」
「分かった。じゃあ…はい」
そう言って膝の上を手で叩くリサちゃんを見つめて居ると
「夕凪、寝不足でしょ?」
「え?そんな事ないよ…?」
「嘘、目の下のメイクが今日だけ濃いよー?」
にやりと笑うリサちゃんに『ぅ…』と声を漏らしてしまう、そのまま手を引かれて
「日頃のお礼って訳じゃないけど、膝枕してあげるから寝て置きなよ。友希那からバンドの名前が決まったから皆集合する事になったし…時間はまだあるし、それ迄はね?」
「…うん。あ…それなら良い場所があるからそこに行こっか♪」
「ホント?ファミレスで良いかなって思ってたんだけど」
「ファミレスより落ち着くと思うよ。リサちゃんが来たがってた私のバイト先」
「あー!急に楽しみになって来た♪」
喜ぶリサちゃんを眺めて居ると急に睡魔が襲って来る。そう言えば膝枕とか初めてかも
「…リサちゃんも…甘えたい時とかあったら何時でも歓迎だよー…?」
「…馬鹿」
「うふふ…」
そのままゆっくりと撫でられ乍ら眠りに落ちて行く…今日は早めに寝よう
♪♬♫♫♬♪♬♫♫♬♪
すぅ…すぅ…と規則正しく寝息を立てる夕凪を見つめる。優しく撫でる度に撫でているアタシが心地良くなる程にサラサラした翡翠色の綺麗な髪、よく見れば夕凪も少しだけ垂れ目なんだ
「お疲れ様。寝不足の理由は聞かないでおくからね…」
可愛らしい寝顔を至近距離で眺め乍ら聞こえていないと思うけどそう囁く
「ん-…友希那もそうだけどお人形さんみたいだよねー…あの黒い衣装とか凄い似合ってたし。ライブ衣装って言ってたけど…もしかしなくても文化祭とかで着るのかな?」
柔らかそうな頬を優しく指先で押すと予想以上の柔らかさ。…もう少し触ろうかな
「すぅ…すぅ…んぅ…ぁ…」
ゆっくりと頬から顎に首筋から胸元…と触れた所で夕凪が小さく声を漏らす…いや、何をしているのアタシ!?ステイ、取り合えず寝顔だけ撮ってバンドのグループSNSに上げておこうかな
「『夕凪が寝てるから少しだけ集合時間ずらせないかな?集まるのに良いお店があるんだって』っと、これで写真付きで…」
送って数秒で既読のマークが二つ付く。反応が早いから紗夜と…友希那かな?
『今井さん。可愛い姉さんの写真は大変良いのですが…膝枕をしているの様に見えるのは私だけですか?』
『リサ、窓開けて。今から行くわ』
『私も行きます。場所を教えて下さい』
『ナギ姉、おつかれー?』
『寝不足かも(;´∀`)遅くまで起きてたから(;´・ω・)』
「ちょ…!反応早いし返すタイミングが無い!?」
ベッドの横の窓から外を見れば友希那が窓を開けて『早くと』言わんばかりに立ってるし、取り合えず鍵を開けて
『流石に今集まっちゃうと夕凪が起きちゃうから起きたら教えるよ!』
『…仕方ありませんね』
『私とあこちゃんは一緒に居るので連絡待ってますね(≧▽≦)』
『ショッピング中ー!!』
そう送っている間に友希那が部屋に入り込んでいた
「友希那、何してるの?」
「取り合えず何枚か角度を変えて写真を撮ったら撫で回すわ」
「いや、撫で回すのはダメでしょ」
「…起きちゃうかしら」
夕凪が絡むと割と可笑しくなる友希那に苦笑いし折角だしと、今後の活動の方針等を話し合った
♪♬♫♫♬♪♬♫♫♬♪
カランッカランッ
あの後目を覚ましたら何故か友希那ちゃんに『おはよう。可愛い寝顔だったわ』って言われて辱められたけど元気です。リサちゃんが後ろで手を合わせて謝ってたから大丈夫っと笑って置いたよっ!絶対顔は真っ赤だったけど!…今はマスターの喫茶店に来てるよー♪
「いらっしゃい。ん、夕凪ちゃんか」
「お邪魔します。えっと…6人です」
「好きに使ってくれ。客ならさっき帰ったからよ」
何時ものカウンター席で新聞を読んでいたマスターは私達にそう言って立ち上がると
「さてっと、珈琲とポテトで良いか?」
「あ、えっと…一つだけ紅茶をお願い出来ますか?」
「あいよ」
そう言って奥へと消えて行くマスターを見送り私達は奥の方のテーブルに着いた
「良い雰囲気のお店だねー♪なんだろう…大人の雰囲気?」
「えぇ、落ち着くし。作曲とかに利用しようかしら…」
「近くに…このお店があるのは知ってましたが…入れませんでした…その、ちょっと…恐かったので」
「あまり大きな声出せない感じ…!」
「姉さんはバイト先ですし、私も時々利用させて貰ってるんです。姉さんが珈琲を淹れるのが上手なのはマスターのおかげですね」
「うん、今年で3年目?かな」
少しだけ騒がしく話していると珈琲の良い香りが漂って来る
「お待ちどおさま。熱いから気を付けろよ?」
そう言って私達の前にマグカップとポテトの入ったお皿が置かれた
「ありがとうございます」
「まぁ、ゆっくりして行け」
「はい♪」
そう言って再び席に戻り新聞を開きながらマスターがテレビに映る番組を変える。テレビの番組から今の流行を紹介するコーナーが流れていた
「ガールズバンド…」
「ん…?なんだ、バンドに興味があるのか?」
「えっと…興味と言うか。アタシ達バンドを組んでるんです」
「お、それは良い事じゃねぇか。名前は決まってるのか?」
「丁度、湊さんが発表すると言う事で集まったんですよ」
「えぇ…色んな案があったのだけど」
そこで友希那ちゃんは言葉を切り私達の顔を見る
「私達のバンド名は『Roselia』よ」
「かっこいい!!」
「良いセンスですね、流石が湊さんです」
「うんうん♪ロゴとかは決まってるの?」
「青薔薇にしようと思ってるのだけど…どうかしら?」
「Roselia…薔薇と椿をくっ付けたのか。それに青薔薇と言えば奇跡や夢は叶う…か」
「えぇ…私の造語ですけど。私達にとっては青薔薇は『不可能を成し遂げる』…そう言う意味を込めたいと思います」
「マスターさん…花言葉に…詳しいですか…?」
「まぁ、花を贈るのに花言葉を知らないと大変な目に合うからな。覚えておいて損はない、それに花の話も出来る様になる…花の名前と形に色、それと花言葉を繋げて覚えるんだ。にしてもRoseliaで青薔薇、不可能を成し遂げるか…良い考えじゃねぇか」
そう言ってマスターが腕時計を確認すると慌てて奥へと消える。戻って来るとバックを持っていて
「悪りぃな、夕凪ちゃん。買出しに出るから店番頼めるか?」
「大丈夫ですよー♪」
「珈琲の御代わりは何時もの場所にあるサービスだ。それとその珈琲とポテトは半額で構わない。それじゃ行って来る」
慌てて出て行くマスターを見送ると再び会話に花が咲く
「ライブの登録は私の名前を使ってるからバンド名の発表は予定通り初ライブで披露するわ。必ず成功させましょ」
友希那ちゃんの言葉に皆が頷き改めて想いを一つに目標を見据える。必ず、成功させて私達の音を届ける…!
「えっと…ライブの衣装なのですが…私と夕凪さんが担当しても…良いでしょうか?」
「実はもう材料を買って縫うだけなんだー♪」
燐子ちゃんの言葉に続ける様にそう言うとリサちゃんが納得した様子で私を見つめる
「ありがとう。ぜひお願いしたいわ…出来たら見せて貰って良いかしら?」
「はい…!任せて…下さい…!」
「うん!私も頑張るよー♪」
そう言うと皆の視線が私に集まる。…?何だろう?
「夕凪、貴女はもう少し休みなさい」
「そうそう。今日だって寝付くの早かったし…」
「ナギ姉の分もあこ頑張るから!ね、りんりん!」
「うん…あこちゃんにも手伝って貰うね…♪」
「今日の夕食は私と日菜が代わります。ゆっくりして下さい」
「ぅー…分かった」
しょんぼり、しながら頷くと皆揃って笑い合い。マスターが帰って来るまで学生らしい話題で盛り上がりネットゲームに挑戦してみよう!とか、作曲作詞のアイディアを出し合ったり…送りたい曲が何個かあるんだけど…と相談したりした
友希那=綺麗な寝顔が見れて満足
リサ=理性が働きセーフ
紗夜=姉の危機を察知突撃秒読み。だった
燐子=一緒に衣装作成
あこ=一緒に装備集め
夕凪=メイクで隠すのにも限界はある
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