氷川さん所のゆるふわなお姉ちゃん   作:雪月-dox-

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失敗なんてさせない

Roseliaの初ライブから時間は経ち何回かのライブを得て今では実力派バンドRoseliaとして雑誌にも紹介される程の人気を得ている。今は春の陽気も過ぎ去り夏の訪れを感じるこの頃です、起きた時とか日菜ちゃんに抱き着かれてると暑くて…最近は朝練習に向かう紗夜ちゃんを送り出し、日菜ちゃんと一緒にとある場所のスタジオに向かってるの

 

 

「夕凪ちゃん!日菜ちゃん!おはよー♪」

 

「おはよ、彩ちゃん♪」

 

「おはよー!あれ?新しい振り付けー?」

 

 

スタジオに入るとマイクの前で軽いダンスをしている彩ちゃんが居た、ピンク色のツインテールの女の子で日菜ちゃんがオーディションで受かったアイドルバンド、Pastel*Palettesのボーカル兼リーダーの少女

 

 

「えっと、色々と試してて…」

 

「ふーん?でも、彩ちゃん…思い付きで入れるのは危ないと思うよー?」

 

「ぅ…やっぱり駄目かなぁ…」

 

 

ん-…マイクの前で軽くくるくる回るのはちょっと厳しいと思う危ないし…ダンスに関しては全く分からないので何も言えないけどね?でも、彩ちゃんは表情がコロコロ変わるから表現力とか凄そう

 

 

「おはよ、夕凪ちゃん。今日もありがとうね…おかげでどうにか間に合いそうよ」

 

「皆さん!おはようございますっ!」

 

「おはよー♪千聖ちゃん、イヴちゃん!残り3日頑張って行こう!」

 

 

私達の後にスタジオに来たのは千聖ちゃんとイヴちゃんの二人。イヴちゃんはモデルでフィンランドと日本人のハーフの帰国子女で明るく白い髪と髪色と同じで明るい性格なの

 

 

「あれ?マヤさんはどこでしょう?」

 

「あ、ジブンここです」

 

 

イヴちゃんの疑問に彩ちゃんの後ろ、正確には音響機器の辺りから麻弥ちゃんの声が聞こえた

 

 

「麻弥ちゃん…何しているのかしら?」

 

 

引き攣った笑みを浮かべ乍ら音響機器に近寄る千聖ちゃんが声を掛けると、満足そうな表情で麻弥ちゃんが現れた

 

 

「此処の機材を見てたんですよ。良い感じに調整出来たので昨日みたいに変な音は出ないはずです!」

 

 

千聖ちゃんは難しい顔をしていたけど、最後はため息を吐いて笑っていた。この個性的な日菜ちゃんを含めた5人がPastel*Palettesのメンバー

 

 

「それじゃ、麻弥ちゃんの準備が出来たら始めよっか♪」

 

「「「「はい!」」」」

 

「も、もう少しだけ待って欲しいです!」

 

 

♪♬♫♫♬♪♬♫♫♬♪

 

 

漸くアイドルとして活躍出来るチャンスが巡って来た!そう思い浮つく気持ちを抑え乍らPastel*Palettesと言うアイドルバンドのプロデューサーさんの話しを聞いてわたしは困惑していた…私を含めて集められた5人のメンバー全員も其々別々の表情をしていたけど皆が揃って良い顔をしていなかったのは記憶に新しい。『Pastel*Palettesは楽器を演奏しないエアーバンドになります』Pastel*Palettesのプロデューサーがわたし達を集めて最初に言った言葉で同時に頭を下げるプロデューサーさん…『皆さんの中に楽器の演奏経験が無い方が居る事は承知しています。そして、ライブ迄の期間があまりにも少ない…。本番では当て振り…口パクでライブを行う事になります』そう言うプロデューサーさんの下げらたままの顔は苦虫を噛み潰したような表情だった。話を聞いていたわたし自身まるで急に浮き上がって来た企画の様な雑さに頭が真っ白になってしまう

 

 

「ん-、全然るんってしないなー。音楽流すだけならあたし達いらないじゃん」

 

「…確かに私は楽器に触れた事もありません…ですが、そのライブは…ブシドーに反すると思います!」

 

「ジブンもドラムなら叩けますがそれ以外は全く…」

 

「わたしも…楽器の練習はした事ないです…でも、当て振りには反対です」

 

「はぁ…本当に予想通りね。それで、当日まで私達は演奏の振りを練習すればいいのかしら?」

 

 

わたしの隣に座っている小さい頃から芸能界で活躍している千聖ちゃんが苛立ちを隠す事も無くプロデューサーを睨みつける。睨み付けられているプロデューサーもそれを黙って受け止めていた

 

 

「私とマネージャーとの意見の食い違いが起きているのは確かです。私は皆さんを本物のバンドとアイドルを繋げたユニットにしたい。初心者であろうと努力の末に確かな実力を少しつづ付けて貰いたいと考えていた。いえ…こんな話をするべきでは無いですね。…ライブは10日後です。その間にライブの流れや演奏の練習をお願いします。丸山さんだけボーカルなので歌の収録がありますので…それと私の友人のスタジオミュージシャンにコーチをお願いする予定です」

 

「…そう、けど信頼できる友人にコーチは頼んでいるわ。だから、貴方の用意したコーチの方は必要ないわ」

 

 

千聖ちゃんの言葉に私達全員が驚き、プロデューサーは苦笑いを浮かべていた

 

 

「承知しました…此方が演奏する楽曲の音源と楽譜になります。…何か用事があれば何時でも呼んでくれて構いません。深夜でも早朝でも駆けつけます」

 

 

そう言って再び頭を下げて部屋を出て行くプロデューサーさん、残された私達は無言のままテーブルに乗っている音源入っているUSBと楽譜を眺めていた

 

 

「…みんな、改めて自己紹介するわね。私は白鷺千聖よ、さっきも言った通り私の方でコーチは用意しているわ。だから、10日間で演奏出来る様にするわよ」

 

 

不穏な雰囲気を変える様に千聖ちゃんが自己紹介を始める。そうだよ…!いつまでもこのままじゃ時間が勿体ない!

 

 

「ま、丸山彩です!え、えっと…これからお願いします!」

 

「大和麻弥です。一応、ドラムなら叩けます…けど、アイドルとか聞いてなかったんですけど…」

 

「若宮イヴです!好きな事はブシドーです!」

 

「あたしは氷川日菜!よろしくねー♪…ねぇねぇ、麻弥ちゃん!眼鏡取ってみてよ!」

 

 

『え!?あ、ちょっと…!?』事前に何も教えられていないと不安がる麻弥ちゃんに日菜ちゃんが素早く近寄るとそのまま眼鏡を取ってしまった…トラブルメーカーなのかなって思ったけど

 

 

「あら…良いじゃない♪…数合わせで貴女を呼んだのかもしれないけど、このまま一緒に活動しても良いかもしれないわよ?」

 

「マヤさん!眼鏡を掛けていない方が可愛いと思います!」

 

「ホントだ…コンタクトに変えたら十分良いよ!」

 

「やっぱりー!麻弥ちゃんを見た瞬間、ビビ!って来たんだー♪」

 

 

私達4人にそう言われて顔を真っ赤にして『か、可愛い…ジブンが…フヘヘ』って笑ってたけど…フヘヘ?

 

 

「こほん、その笑い方はアイドルとして時は出さない方が良いわね」

 

「あ、そうですよ!アイドルとかジブン…自信ないです…」

 

「…大丈夫、私達がフォローするわ。早速だけどコーチを呼ぶから待ってて頂戴。あ、それと日菜ちゃんは驚くかもしれないわね?」

 

「ん-?あたし??」

 

 

千聖ちゃんの言葉に首を傾げる日菜ちゃん。うん、なんだろう…絵になる

 

 

♪♬♫♫♬♪♬♫♫♬♪

 

 

「日菜ちゃん、やっほー♪」

 

「えぇ?!お姉ーちゃん!?」

 

 

千聖ちゃんがコーチを呼ぶと言って離れてから先にスタジオで待って居ると日菜ちゃんと同じ翡翠色の髪色でふわってした雰囲気の女の子が入って来た。え?お姉ーちゃん?

 

 

「ふふ、やっぱり驚くわよね」

 

「千聖ちゃん、悪い顔してるー?」

 

「どっきりって楽しいわよね?」

 

 

くすくすと楽しそうに笑う千聖ちゃんと頬を緩め乍ら小さく笑う日菜ちゃんのお姉さん

 

 

「えっと…千聖ちゃん。コーチって…」

 

「えぇ、日菜ちゃんのお姉さんの事よ。演奏に関しては夕凪以上の人を知らないの…大丈夫、素人じゃないしプロデビューしたら間違いなく超新星と言われるレベルよ。私がエアーバンドに反対な理由でもあるわ」

 

「あはは、大げさだよー…えっと、苗字で分かると思うけど氷川夕凪です。夕凪って呼んでね?紗夜ちゃんと日菜ちゃんのお姉さんだよー♪あ、でも同い年だから気にしないで」

 

 

ふわふわってした笑みで丁寧なお辞儀をする夕凪ちゃんに千聖ちゃんと日菜ちゃんを除いてわたし達は自己紹介をした後、直ぐに演奏練習に取り掛かる…はずだったんだけど

 

 

「んー…可笑しい。楽譜と曲が違う…ううん、これはただ並べただけ?でも…書かれてる曲名は同じなのに」

 

「お姉ーちゃん…それってつまり…。プロデューサーは分からないけど事務所は本当に演奏させないつもりなのかなー?」

 

「流石に酷いです!適当にも程度があります…!」

 

 

悲しそうに眉を顰める日菜ちゃんを見てスマートフォンを片手にスタジオから出て行く千聖ちゃん。麻弥ちゃんとイブちゃんも加わり現状の酷さに怒ってる…楽譜に書かれている物は曲とは呼べない物、だけど…音源の曲名と同じ曲名が書かれている。まるで、態と違う楽譜をスタッフがプロデューサーさんに渡したのか…プロデューサーさんが私達に渡したのかな…

 

 

「確認を取って来たわ。間違い無くスタッフから渡された楽譜だそうよ…恐らく、この演奏の練習自体プロデューサーの独断の可能性もあるわね。私達に変な事をさせない為…なんて考え過ぎかしら」

 

「そんな…」

 

「悲観しないの。私達が演奏出来る様になれば恐らくあの人は口パクや当て振りを止める様に行動すると思うの」

 

 

『じゃなかったら此処まで用意しないわ?』そう言ってスタジオの隅に歩いて行き、わたし達を手招きする千聖ちゃんに首を傾げ乍らも近寄ると『若宮イブ様へ』と書かれた紙が乗せられたキーボードが置いてあった

 

 

「あ、ジブンのドラムケースも置いてあります!」

 

「あたしのギターケースも!」

 

「えぇ、私のベースもあるわ」

 

 

皆の楽器が丁寧に整理されて置いてあった、プロデューサーさんが控室から運んで来てくれたのかな?

 

 

「私はキーボード担当なんですね!頑張ります!」

 

 

新品のキーボードに目を輝かせるイヴちゃんにわたし達も自然と笑っていた

 

 

「後は…楽譜をどうにかしないといけないわね…」

 

「あ…そうだった」

 

 

楽器もある場所もある、時間だってまだあるけど…肝心な楽譜が無い…

 

 

「皆、少しだけ時間を貰っても良いかな?」

 

 

ずっと黙っていた夕凪ちゃんに皆の視線が集まる。いつの間にか設置したキーボードにはタブレットPCが乗っておりイヤホンとUSBが刺さっていた

 

 

「今から楽譜、書いちゃうね?」

 

「え?」

 

 

其処から何て言うのかな…夕凪ちゃんはやっぱり日菜ちゃんのお姉ちゃんなんだなって…嫌な意味じゃないよ?寧ろその逆でとっても凄かった!あんな風に音楽を聞きながら鍵盤を弾いてその弾いた音列がタブレットPCに記録されて行くの初めて見たかも…しかも、キーボードで他の楽器の音も作ってるんだよ!ギターだけは日菜ちゃんがアレンジしたのを使って無事に『しゅわりん☆どり~みん』と『パスパレボリューションず☆』の楽譜が出来上がったよ…!

 

 

「うん…多分、これで大丈夫なはず…まずはイヴちゃんからしっかり教えて行こうか♪」

 

「はい!ユウナさん、よろしくお願いします!」

 

 

♪♬♫♫♬♪♬♫♫♬♪

 

 

『しゅわりん☆どり~みん』の演奏が終わり、Pastel*Palettesの皆が笑い合い乍ら喜んでいた。たった一週間で此処までこれたのだから後は更に上を目指すかライブの空気に慣れるの何方かだけど…今取れる選択肢はより練習を重ねるしかない

 

 

「お疲れ様ー!とても良い演奏だったよー♪」

 

「ありがとう、夕凪ちゃん♪」

 

「夕凪さんのおかげですよ!」

 

「あたしのギター凄いでしょー!」

 

 

ステージから一直線に飛び込んで来る日菜ちゃんを抱き止めてると後ろに居る皆が微笑ましそうに見てた

 

 

「これなら本当の演奏でライブが出来ます!」

 

「えぇ。私もそう思うわ」

 

 

イヴちゃんに頷き返す千聖ちゃん、残りの期間は私は来れないけど…ライブには行くからね♪

 

 

♪♬♫♫♬♪♬♫♫♬♪

 

 

「ぁ…えぅ…」

 

 

どうしてこうなっちゃったんだろう…何か、何か言わなきゃ。でも、何を言うの?歌を歌う…?マイクの前で立ち尽くすしか出来ない。目の前ではざわつく観客の人達、周りのスタッフを見るけど誰も私達を気にも留めずに慌ただしく動き回ってる…隣の千聖ちゃんや日菜ちゃんも何が起きたのか理解出来ていない様子で楽器を持ったままだ…焦るわたし達を嘲笑う様に会場のざわつきは広がって行く

 

 

『どうしてですか!演奏だって!歌だって!出来る様になったのに!』

 

『申し訳ない…』

 

『何をしてもわたし達は演奏も歌を歌う事も期待されていなかったんですかっ…!』

 

『…予定通り、口パクと当て振りでライブは行われます。私の見通しが悪かった…』

 

 

皆が頑張った、皆が結束した、夕凪ちゃんが教えてくれて褒めてくれて…自分の事の様に喜んでくれて…!それなのに…!

 

 

『彩ちゃん…悔しいけど潮時よ。もう、これ以上言っても誰も動いてくれないわ、大丈夫。次のライブの時は私達が演奏すればいいだけ、今回は演じましょう』

 

『千聖ちゃん…』

 

『行きましょう。アヤさん…』

 

『ん-…期待して無いくせにアイドルバンドの企画が出るってさ…』

 

『日菜さん、それ以上はダメです。言っちゃだめです』

 

 

ライブ前日に伝えられたプロデューサーさんからの言葉、それは口パクと当て振りを中止には出来なかった…と言うモノだった。わたし達の意思は関係無く確実に成功する方法を取った…理解出来ない訳じゃない。失敗が出来ないから…でも、今後もこうやって続いて行くのかな?そう思うと悔しくて、わたしの思い描いていたアイドルなんかじゃない…そう思ってしまう

 

 

『…演奏は出来なくとも私の独断で楽器にはマイクを付けます。勿論、丸山さんのマイクも電源を入れれば音が出る様にして置きます』

 

『そうね、それが良いわ。より本物に見えるからバレないでしょうね』

 

 

より安全で、確実に成功する方法。初心者のレッテルを貼り付けたわたし達の演奏や歌に興味を持たず、わたし達じゃない誰かが弾いた音源と事前に録音した歌を流すだけのライブ…始まる直前もライブが始まってからもわたしの心は沈んだままだった。勿論、暗い顔をしている訳じゃない…そんな顔で出てしまっては申し訳ないから、きっと…みんな同じ気持ちだから。わたしだけがする訳にはいかないから千聖ちゃんの言う通り、今回限りにする為にライブを演じよう。とっびきりの笑顔で!気持ちを切り替えた瞬間にそれは起きた

 

 

「…?あ、あれ?」

 

 

音が、止まった…不愉快なノイズを最後に会場が静まり返り、やがてざわつきが埋め尽くして行く。カシャカシャと鳴り響く撮影音と慌ただしくなるスタッフ、機材トラブル…そんな言葉が聞こえる。視線を動かせば色んな人の顔が見える

 

 

「ぁ…」

 

 

息が漏れる様な声が出る。電源が入っていないマイクは当然その声を拾う事は無い、隣で息を飲み口を開こうとした千聖ちゃんが見える、やっぱり…わたしは何も出来ないのかな…千聖ちゃんの声が出る瞬間、それを隠す様な大音量で

 

 

「ドッキリ大成功ーー!!!みなさーん!驚かせてごめんなさい!ほらほら!Pastel*Palettesのみんなも驚いていちゃだめだぞー?ギター担当!氷川日菜ちゃん!」

 

 

今の会場には不似合いな明るい声が響き渡る

 

 

「…!いぇーい!氷川日菜だよー♪ギュインギュイン行くからねー!!」

 

「ベース担当!白鷺千聖ちゃん!」

 

「ふふ、驚かせてごめんなさいね?」

 

 

透き通るような綺麗な声、わたし達は知ってる。…ずっと、Pastel*Palettesを近くで応援してくれた

 

 

「キーボード担当!若宮イブちゃん!」

 

「ぶ、ブシドー!!」

 

「ドラム担当!大和麻弥ちゃん!」

 

「や、大和麻弥です!よろしくお願いします!」

 

 

夕凪ちゃんの声…!

 

 

「最後にー!!ボーカル担当!Pastel*Palettesのリーダー!丸山彩ちゃん!」

 

「まんまるお山に彩りを!丸山彩でーす!!」

 

 

呼ばれると同時に考えて来た台詞を言いながら大きく手を上げる

 

 

「それじゃ!麻弥ちゃん!スリーカウントでいっくよー!!」

 

「「「「「しゅわりん☆どり~みん!!!!!」」」」」

 

 

♪♬♫♫♬♪♬♫♫♬♪

 

 

麻弥ちゃんの合図でしっかりと始まる演奏に息を吐いてマイクの電源を切る。後ろから走ってくる足音を聞いて振り返れば警備員の2人が私を囲み呆れた表情で見下ろして来るのに対し頭を下げる

 

 

「関係者以外立ち入り禁止の表記は見えなかったのかい?」

 

「ごめんなさい…」

 

「はぁ、取り合えず。会場から君を連れ出す、文句はないね?」

 

「はい…」

 

 

会場の混乱に乗じて入り込んだのだから当たり前の対応だ。私は大人しく二人の警備員さんに連れられてライブステージ裏から歩き出そうとするとスーツを着た男の人が走り寄って来るのが見えた

 

 

「申し訳ございません。どっきりの企画は私が考え彼女にお願いしたんです。ですので追い出すのは待ってくれませんか?」

 

「…もしかしなくても警備員に対してもだったりするのかい?」

 

「はい、念入りに隠し一般客に仕掛け人であるの彼女を紛れ込ませました。本当に申し訳ございません」

 

 

そう言って何度も警備員に頭を下げる男の人に違うと言おうとすると手で制されてしまった

 

 

「ん-、そうか。…今後はしっかりと伝えて欲しい、じゃないと本当に危険な人間の場合があったら一大事だ」

 

「申し訳ございません…」

 

「いいよ、そう言う理由なら。さて、戻るぞ」

 

 

そう言って警備員さん達は持ち場へと戻って行った、えっと…どうしよう?

 

 

「…先ずは、ありがとうございます。私はPastel*Palettesのプロデューサーです。貴女のお陰で彼女達の未来は閉ざされなかった、ありがとう」

 

「いえ…正直、褒められる様な行為じゃないので…」

 

「それでも、救われたのは事実です。場所を変えましょうか、私もライブが気になるので」

 

「はい…♪」

 

 

二人で会場の最後列に立てばステージではPastel*Palettesの皆が楽しそうに演奏しているのが見えた、良かった…隣に立つプロデューサーさんも安心した表情でライブの様子を見て居た

 

 

「…彼女達を信じて良かった。そして、貴女がコーチで良かった」

 

「皆、本気で頑張ってましたから。…努力が報われて良かったです」

 

「えぇ…本当に良かった…。…申し訳ございません、次の現場に向かわないと行けないので」

 

「いえ、私こそありがとうございます」

 

 

プロデューサーさんにお礼を言えば顔を左右に振り

 

 

「私の給料が減るぐらいです。痛くもありませんよ」

 

 

♪♬♫♫♬♪♬♫♫♬♪

 

 

Pastel*Palettesの初ライブがどうにか無事に終える事が出来た、SNSを見れば『初ライブで観客にどっきりを仕掛けるアイドルバンド!今後の活動にも注目!』と書かれた記事から始まり好感触なコメントが多数上がっていた。勿論、口パクがバレて演奏を始めたと言った意見やそれに対しての反対のコメントもあり、良い寄りの賛否両論に収める事が出来た

 

 

「うぇぇぇん、ゆうなぢぁぁぁんっ…!!!!」

 

「よしよし、頑張ったねー♪」

 

「貴女も無茶したわね…?」

 

「あはは…警備員さんにつまみ出されるところだったよ」

 

「お姉ーちゃん、ケガとかしてないよね?」

 

 

ライブから3時間後お仕事が終わったPastel*Palettesの皆とマスターの喫茶店に来ている。席に着くや否や私に泣き付く彩ちゃんを撫で乍ら対面に座る千聖ちゃんと日菜ちゃんに心配されて

 

 

「本当に、どうなるかと思いました…」

 

「ユウナさんに感謝感激です!命の恩人です!」

 

 

ぐったりとテーブルに突っ伏す麻弥ちゃんと喜ぶイブちゃん。本当に良かった…

 

 

「ん-、Pastel*Palettesねぇ…ポスターぐらい張ってみるか」

 

 

そんな私達を見守るマスターの呟きを聞いて日菜ちゃんが立ち上がると

 

 

「ポスターよりあたし達の集合写真とかSNSに流してお店の名前を宣伝したら良い集客になると思う!」

 

「おいおい、そんな事したら逆に来すぎて困っちまうよ」

 

 

ぶー、良い考えだと思ったのにー。と言い乍らもスマートフォンで撮影を始める日菜ちゃん

 

 

「宣伝はするなよ?」

 

「大丈夫!お姉ーちゃんと皆にも送るねー♪」

 

 

個人用の写真みたいだけど…彩ちゃんの泣き顔をアップで撮るのは可哀想だよ?

 

 

「ぅぅ…ぐす…怖かったぁ…」

 

「もう大丈夫だよ、今度はもっと上手く行くよ♪」

 

「ありがとう…」

 

 

ぐりぐりと顔を擦り付けて来る彩ちゃんを撫で続けていると日菜ちゃんが頬を膨らませてたけど、今は彩ちゃんを許してあげてね?




彩=泣き疲れて寝落ち
千聖=一安心、彩ちゃん?
日菜=お姉ーちゃん大スキ
イブ=シショー!ショウグンです!
麻弥=コンタクト怖いっす
夕凪=全力で走った

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