まだ日が昇っていないのか暗い部屋で目が覚めた…肌を突き刺すような寒さを感じ身体を震わせてはもぞもぞと寝返りを打つ、柔らかな感触が頬に触れると無意識に顔を埋めて両手で優しい温もりを抱き締める。『ん…ぅ』とくぐもった艶のある声が聞こえて上を見ると静かな寝息を立てる夕凪が見えた…可愛らしい寝顔で規則正しい呼吸が聞こえる。もう少しだけ温もりを感じたくて強めに抱き締めると夕凪の鼓動が聞こえる…聞いている内にゆっくりと睡魔が再び襲って来る…アタシはそのまま意識を手放した。もう、5年目も終わるんだ…と最後に思いながら
「リサ、起きて?」
「ん…んー…」
優しく揺らされて再び目を覚ますとアタシを撫で乍らふわふわと微笑む夕凪がいた。夕凪も寝起きなのか寝癖が付いてる…そっか…アタシ、あのまま寝ちゃったんだっけ
「おはよー…?起きた?」
「ん-…もう少しこのまま~」
「ふふ、はーい♪」
「えへへ…♪」
甘える様に言うとくすくすと笑いつつもアタシを抱き締めてくれる夕凪に擦り付き頬を緩めてしまう、それにしても…夕凪が柔らかい、大きいし、良い匂いだし…ん、落ち着けアタシ。朝からは流石にダメ
「リサー?」
「何でもないよー、うんっ!」
不思議そうにアタシを見下ろして来る夕凪を誤魔化しては吐息を漏らす。そう言えば今何時なんだろう?
「…♪」
「…?どうしたの?」
「こうしてゆっくり過ごせるの久しぶりだなぁ…って」
「夕凪もアタシも忙しかったからねぇ…」
お互いに苦笑いし乍ら最近の事を考える。Roseliaの全国ライブが漸く終わり、今は全メンバーが休暇中。大学を卒業して直ぐに行ったライブだから感傷に浸る事すらなく練習とライブの繰り返しだった。あこに関しては春休みRoseliaの活動に使わせちゃってるし…
「と言うより、夕凪こそ大丈夫?また熱出したり、倒れたりしないでよー?」
「ぅ…だ、大丈夫だよ!」
「ふーん?」
上目遣いで見つめると顔を逸らす夕凪、片手を動かしてスマートフォンの画面を見れば時間は12時になろうとしていた、つまり…
「昨日まで徹夜だったでしょ?」
「ナンノコトカナー…お昼作って来ようかな…!」
「夕凪ー…?」
「ほ、ほら!皆頑張ってるから私も頑張らないと!」
「残念!アタシ達の練習は寝不足になる程しないの!」
「あぅー」
全く!通りで昨日はメイクが濃く見えた訳だよ!綺麗な顔なんだから隈とか出来たら勿体ないのに…
「夕凪はもう少し休んでて、今日はアタシが隅々までお世話してあげるから☆」
「それは申し訳ない気がするんだけど…」
「良いの!…二人で居られる時間も無かったんだからさ。させて欲しいな?」
「リサ…うん。お願いしようかな」
『よし!』と小さく心の中でガッツポーズを取る私を両手で撫で回し始める夕凪に首を傾げる。あ、その触り方はいけない
「ゆ、夕凪ー?」
「私もリサ成分補充するー♪」
「ひゃんっ!ゆ、夕凪!?」
「もー、急に攻めっ気が出て来るんだからー」
「ぅ、ごめんねー…」
「ま、良いけどさ…♪」
テーブルでアタシの作った料理を食べている夕凪をわしゃわしゃと撫でると目を細める様子を見てほっこり
「むむぅ…美味しい」
「ふふん♪まだまだ、夕凪には負けないよー☆」
悔しそうにし乍らも美味しいと言ってアタシの作った筑前煮を頬張る夕凪を正面から見つめる。ふふ、何て言うか…こう言う時間が本当に嬉しい、世話焼きの性分も人によっては鬱陶しいって思うから…怖いから聞いた事ないけど夕凪はどう思ってるんだろ?二人で暮らし始めた時とか…結構嫌な気持ちにさせてたり…?
「リサ…?」
「え?あ、あぁ…えっと…どうしたの?」
「ううん、何だか暗い顔してたから…何か悩み事?」
「そんな事ないよー♪アタシは平気平気!そう言う夕凪なんて悩み事だらけじゃん☆」
「ぅ…そ、そんな事ないよー。ちょっとだけ、溜め息が出ちゃう事が多いだけだよー」
アタシの視線から逃れる様に目を泳がす夕凪をくすくすと笑うと揶揄われている事に気が付いたのかジト目で見つめて来る。そう言う表情も一緒に暮らさないと分からない一面だよね
「もう…あ、そうだ。昨日作って冷やしたままのゼリーがあるよ♪」
「え?!いつの間に…貰っても…?」
「勿論大丈夫♪」
「わーい☆」
スキップし乍ら冷蔵庫に向かい開けると、そこそこ大きめの耐熱ガラスの容器の中に透き通った水色のゼリーがあった。桃が入っているのかゼリーの中で浮ているのが見える
「夕凪はー?」
「私も食べるよー!」
♪♬♫♫♬♪♬♫♫♬♪
「さて、午後は何しようか?」
「ん-…お部屋の掃除も終わっちゃたし…」
時刻は15時半を指していた、お昼ご飯を食べて夕凪と一緒に部屋を掃除して…ベースの手入れも済ませちゃったし…
「どこか行く?」
「ん-…今日はこのままお部屋でまったりする方が良いかな…?」
「はーい♪」
珈琲を淹れようとソファから立ち上がる夕凪を見送り、アタシは寝室から夕凪の読み掛けてる本とか色々持って来る。一日お世話ーって言ったけど珈琲と紅茶に関しては夕凪には敵わないだよねー…マスター直伝は伊達じゃないね
「夕凪って何でも読むよねー?」
「そうかな…ん-。そうかも?」
実は恋愛小説から推理、ミステリー、ホラー、神話や伝承にライトノベルに…そ、その…時々官能まで読んでる夕凪だったりする。ブックカバー付いてる本が基本そうだよね?雑食過ぎない…?
「リサだって、私に影響?されてミステリーは読む様になったし…恋愛小説はリサの影響だよー?」
「え?そうだったの!?…前から読んでるイメージあった…」
「そうかなー?」
「うんうん。あ、でも…本を読むというよりはゲームをやってるイメージは強かったなー♪」
「あはは…始めちゃうとリサが暇になっちゃうし…それに最近は忙しくて」
「気にしなくても良いのにー?」
苦笑いし乍らページを捲る夕凪を撫でてみるとゆっくりとアタシに寄り掛かって来る。ゆったり撫で続けつつ夕凪のページを捲る音だけが聞こえる
いつまでも続いて欲しいと思う時間と関係、でも…何時かは変わっちゃうのかな?そう考えるとやっぱり寂しくなってしまう。不意に隣に居た夕凪が見上げて来るとにこりと笑い
「ゆ、夕凪…?」
「心配しなくても大丈夫だよ。リサの傍に私は居るから…だって、そこが私の居場所だもん♪」
夕凪の笑顔に見惚れているとソファに押し倒されていた、アタシに覆い被さり耳元でそう囁かれると顔が熱くなって来る。ふぅ…っとそのまま耳に吐息を吹き掛けられ身体をゾクリ…と震わせていると湿った舌が耳たぶに触れる
「んっ…あの、夕凪…?」
「ん-…?ぺろぺろするだけだよー♪」
♪♬♫♫♬♪♬♫♫♬♪
「ねぇ、夕凪」
「なーに?」
「ふふ…呼んだだけ♪」
膝枕し乍ら撫でていると私のお腹に顔を埋めて甘えて来る貴女に頬を緩める。髪を梳かす様に撫で続けて不意に思い付いた事を口に出してみる
「ねぇねぇ…今度リサも歌を歌ってみる?」
「え?アタシが?」
「うん♪Roseliaでもハーモニーとかしてたし…十分上手だし♪」
「あはは…高校の時は自分で音痴だと思ってたんだけどね…そっか。アタシが歌…か」
「頑張って作っちゃうよー♪」
「…うん、お願いしようかな♪」
「ふふ♪実はもう曲名だけは決まってるんだけどねー♪」
「そうなの?」
仰向けになるリサの瞳を覗き込む様に見つめて…くすっと笑う。そのまま顔を近づけるとリサから唇を重ねられて私がびっくり、してやったりと笑うリサを撫でて…
「『ふたりのクロノスタシス』そう言う曲名にしようと思ってるんだ♪」
リサ=不安になる事も多い,けど夕凪がいるから平気
夕凪=不安を少しでも和らげたい,甘やかしスキルが上がった
感想及び評価ありがとうございます。誤字報告、大変助かっております。
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活動報告 リクエスト箱
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=295397&uid=311928
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番外編 リクエスト
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