氷川さん所のゆるふわなお姉ちゃん   作:雪月-dox-

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※アンケート回


番外編:永久の強き絆に翡翠色を(燐子End)

昔と比べて随分と広くそして設置してあるアイテムが多くなった洋館を歩く。洋館には不似合いな淡く薄い水色の睡蓮の模様が入った白い和服を着こなし翡翠色の長い髪を靡かせ乍ら一際大きな扉を押し開けると

 

 

「あ、夕凪…♪」

 

「今来たよー♪」

 

 

真っ白なローブに同じく白い先端が尖がった帽子を被る女性キャラを見つけるとエモートで手を振る

 

 

「夕凪…あのレイドボスの次の出現場所が分かったよ…!」

 

「ホント?」

 

「うんっ、今から…どうかな…?」

 

「ふふ、いこっか♪」

 

 

燐子の問い掛けにそう返すとマークが付けられた場所にテレポートで運んでもらう事に、私と燐子が追い掛けてるレイドボスはかなりの高難易度を誇る。NFO内で広く知られている大型のギルドが24人の精鋭で挑戦しギミックを処理した上でDPS不足で失敗したと聞いた事がある、このボスはランダム出現で現実の1時間毎に場所が変わる仕様になっていて運が悪いと巻き込まれたり突然出会う事も…ただ、参加人数に応じてある程度は調整されるみたいだけど24人で挑むのが最適解と言われてるんだよね…その分ドロップするアイテムが強力で全職の最終装備に使われるの。最終と言ってもやり込みプレイヤー達にとっての最終装備だから無理に戦う必要は無いよ?

 

 

「ここ、です…」

 

「あれ?此処って…」

 

「はい…昔、あこちゃんと私、夕凪の三人で来た黒の騎士と戦った場所…です」

 

 

懐かしさを感じ乍らも腰に差している刀を引き抜いて何時でも応戦出来る様にする。後ろを見れば燐子も緊張してる様子で深呼吸をしていた

 

 

「ボスのパターンは三種類…一番大当たりはゴーレムタイプですが…ハイリスクハイリターンなのは終焉を呼ぶ者です」

 

「そうなんだ…両方とも見た事すら無いんだけど…大丈夫かな?」

 

「ゴーレムタイプなら…ただ、終焉を呼ぶ者の場合はかなり厳しい戦いになるかも…行動パターンが複雑なのと魔法と近接を切り替え乍ら攻めて来るから…その…」

 

「ふふ、大丈夫だよー♪近接は私だから燐子の方にヘイトが向かない様に戦うから」

 

 

申し訳なさそうにする燐子にそう言い乍ら焼け崩れた街の広場に出る。瞬間周りの景色が変わる…巨大な満月に崩れた廃墟の火は消え代わりに緑の光が私達を照らす。振り返れば燐子は杖を構え私の後ろの方に下がったそれを確認し私は曇り一つない白刃を緑の満月を背にゆっくりと舞降りて来る終焉を呼ぶ者と表示されているレイドボスに向けた

 

全長10メートル以上の骸骨…闇の様な黒と血の様に赤の2色だけのボロボロのマントをテルテル坊主の様に被り細い両手には長過ぎる銃身を持つリボルバーが握られている…ヘイトを取る為に詠唱に入る燐子を置いて一息で肉薄し刃を振るう

 

 

キンッ…!

 

 

銃と刀が火花を散らしてぶつかり合う。踏ん張る事を放棄し刀身の角度を変えて刃を銃身に押し付けたまま滑らせ内側に入り込もうとするが左手に握られているリボルバーがさせまいと火を噴いた。左手で腰に差した鞘を握り向かって来る弾丸を弾く。…が、その間に距離を取られてしまう…。再び接近しようと構えると終焉を呼ぶ者の足元に詠唱サークルが出現した。それを確認し突撃技を右前方に行えば追尾する様に移動した私に向かって飛来する紫色の閃光を防御バフを使用し耐えると同時にポーションを使用…でも、このおかげで終焉を呼ぶ者の背後には…そう考えている間に背中に複数の爆発を受けダウンする姿に頬を緩める

 

 

「ありがと、燐子!」

 

「うん…!」

 

 

ダウンした終焉を呼ぶ者に再び突撃技を使い大上段、袈裟、逆袈裟、十文字と次々と連撃を与えて行く。その度に火力アップのバフを付与され距離を開ける為に強刺突を繰り出す。壁に叩き付けられると同時に双眸に赤い光を灯す終焉を呼ぶ者に警戒を強めると。白い魔法サークルが足元に浮かび上がり氷の刃と光の閃光が終焉を呼ぶ者を包み止めとばかりに派手な火柱が上がる…瞬間、紫色の極光が私ではなく燐子に向かって炎を切り裂いて飛び出して来る

 

 

「…ぁ」

 

 

詠唱硬直で固まったままの燐子の声が聞こえる、刀を握り締め紫色の光を纏い燐子に迫る極光に飛び込み迎撃する。刀越しに伝わる熱量を感じ乍らも同属性の光を纏った刀で完璧なタイミングで弾く!一瞬だけ燐子の様子を見れば慌てた様子で次の大型魔法の詠唱に入っていた

 

 

パキン…!

 

 

「…っ!?」

 

 

が、極光を弾くと同時に刀が砕け散る。そして追撃とばかりに迫る二撃目の極光を見据えて手刀で魔法剣を繰り出す、数秒間だけ拮抗するも私は破壊の光に飲み込まれ目の前が紫色で埋め尽くされた

 

 

♪♬♫♫♬♪♬♫♫♬♪

 

 

「ふぅー…」

 

 

息を吐いて椅子の背もたれに寄り掛かりレイドボス撃破のSEをブラックアウトした画面で聞く。燐子の攻撃は無事に命中した様でどうにか倒す事に成功したみたい♪良かったー…デスペナルティは後で戻しておこっと。そう考えて燐子の様子を見に行こうと思い席を立つと同時にドアが勢い良く開いた

 

 

「夕凪…!」

 

「わっ!?り、燐子…?」

 

「ごめんなさい…ごめんなさい…!私の、せいで…夕凪が…う、ぅぅ…!」

 

「私?もー、気にしなくても大丈夫だよー♪二人で倒せたし、気にしてないよー?」

 

 

嗚咽を漏らして泣きじゃくる燐子を優しく抱き締めつつゆったりと撫でる、落ち着くまでずっと撫で続けているとゆっくりと離れてくれた。赤く腫れた両目で私を見つめて

 

 

「あの時…行けると思って無理矢理スキルを連射したんです。だから、避けれなくて…代わりに夕凪が…装備迄壊れちゃって。迷惑掛けたから…それで、嫌われたら…」

 

「迷惑なんかじゃないよ、それに…これからも長いんだから。…貴女を嫌う事は絶対ないよ」

 

 

ぽつぽつと話し始める燐子を私は再び抱き締め、耳元で優しく言い切るとぎゅぅ…っと強めに抱き締める

 

 

「…あぅ…」

 

「ふふ、やっと泣き止んだ♪」

 

 

顔を真っ赤に染めて私の胸に埋まる燐子を見つめると声を漏らすだけで顔を逸らさなかった。にこりと微笑んで見せると柔らかな感触が唇に触れて私は目を丸くする

 

 

「…二回も告白してくれたお礼です」

 

「もう…」

 

「えへへ…♡」

 

 

触れ合うだけのキスを何度かした後お互いに頬を染めたまま笑い合う、…そうだ♪

 

 

「ねぇ、燐子」

 

「ん…どうした…の?」

 

「夜桜…見に行かない?近くの公園の桜が満開だったの♪」

 

「…!行く…♪」

 

 

♪♬♫♫♬♪♬♫♫♬♪

 

 

「寒くない?」

 

「うん…大丈夫」

 

 

桜が咲く季節になったと言っても夜になれば厚着をしないと寒い時期。私と燐子は住んでいるマンションから出るとやんわりとした力で手を繋いで公園に向かって歩を進める

 

 

「…やっぱり、寒いです…」

 

「うふふ♪それじゃ、はい」

 

 

少しだけ歩いた所で燐子に腕を差し出すと嬉しそうに抱き着いて来る。手を繋ぐよりも密着する面積が広いから暖かい…頬を染めながらもぐいぐいと擦り付いて来る様子に自然と笑みが零れる、5分程歩くとキャンプも行える程大きな公園に着いた。私達と同じで夜桜を見に来た人がちらほら見えるなか大通りへ向かう

 

 

「綺麗…」

 

「うん、とっても綺麗…」

 

 

道の両脇に植えられた桜は満開。空を覆い隠す様に咲き誇っている桜のトンネルを歩いて行く、枝の合間から顔を覗かせる真っ白な月を見上げると風に乗って飛んで行く桜もあって幻想的な景色が見える

 

 

「私ね…時々思う事があるの」

 

「ん-?何かあったの?」

 

「…Roseliaの活動も順調で私がやりたい事も見つかって…それに打ち込める時間もあって…こうやって夕凪とも一緒に暮らせて…とっても幸せ。だけど、全部夢なんじゃないかって…」

 

 

ぎゅぅ…と私の腕を抱き締める燐子を見ては優しく頬を指でつつく。驚いた様に私を見つめる燐子をくすりと笑い

 

 

「今ここにいる私も、燐子も夢じゃないよ?」

 

「…っ!?」

 

 

ぐいっと、組んでいる腕に胸を押し付けて心臓の鼓動を伝える。夢じゃないと言う何よりもの証拠…今この瞬間も貴女の隣で生きている…そう証明し私を動かす物

 

 

「夕凪…」

 

「ふふ、元気出た?」

 

「うん…!」

 

 

気が付けば周りに人が居ない場所まで歩いて来てしまった、これ以上冷え込む前に戻らないと…そんな風に考えていると腕から燐子が離れそのまま私の背後に回るとぎゅう…と抱き締めて来る。肩には顔を乗せられ吐息が耳に掛り擽ったい

 

 

「これからもよろしくお願いします。…夕凪」

 

「私こそ、よろしくね。燐子…♪」

 

 

燐子の手に自分の手を重ねて小さく笑う。何年経ってもこうやって過ごせる様に…こうして居られる様に…そう願いながら月を見上げた




燐子=Roseliaの活動とデザイナー活動
夕凪=事務所運営と作詞作曲家


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