セクハラする先生。好意として銃弾の雨を浴びせてくる生徒さんたち。放置されるメインシナリオ。それでも先生は進む。生徒さんが大切だから。大人としての責任があるから。
これは、とある青春の物語。
※ギスギスオンラインリスペクト作品です。
1.取調室
書類仕事をしていたら日直のイオリがやってきたので足を舐めたら一切の躊躇なくお腹に弾丸を撃ち込まれた。
アロナがガードしてくれたので無事だったが、恨み骨髄に至りイオリの足を舐める。本懐を成し遂げるもヴァルキューレ警察学校に捕まった。
罪状は生徒さんへのセクハラ。誤認逮捕だった。
私は必至で無実を訴えたが、取り調べを担当する知らないヴァルキューレの生徒さんは
「先生と生徒の恋愛は犯罪ですよっ」
と顔を赤らめて言った。
私は泣いた。
治安の維持を担うはずのヴァルキューレの生徒さんがキヴォトスの法律を把握していない。キヴォトスでは先生と生徒が恋愛をしても犯罪にならないのだ。
無実ということで私は晴れて自由の身となり、身元引受人になってくれたユウカに慰められながらシャーレに帰った。
2.シャーレ 休憩室
「ですからおひとりでは危険と申し上げたではありませんか……」
などと事情を聴いたワカモが提言してくる。
自分が付いていれば問題は起きなかったと言いたいらしい。
笑えない冗談だ。私は聞こえなかったふりをした。この生徒さんは私への好意が高じた暴走を抜きにしても趣味が「破壊、略奪」という危険人物である。
そもそもキヴォトスの生徒さんたちはみな普段から銃器を青春の必需品であるかのように振り回していて、照れ隠しで私のことを撃ち殺そうとしてくる。シッテムの箱とアロナがいなければ私は就任一日目でリンちゃんに鉛玉を撃ち込まれてお陀仏していただろう。
生徒さんたちの考えは最大限尊重してあげたいが、他人を傷つけようとするのはやめてほしい。というか私を撃ち殺そうとするのをやめてほしい。わけがわからない。
シャーレのソファに深く座り込んでいる私の手をワカモがそっと取る。
「それで、どこの愚か者が先生にあだなそうとしたのですか? 血祭りにあげてまいります」
ワカモは話を聞かず暴走するし犯罪者だしすぐに街を火の海にする困った子だが、私の可愛い生徒さんで、黙っていれば狐耳の美少女だ。
なによりスカートがやたらと短くスリットが入っていて、動くたびにちらちらと太ももが顔を見せる。
私は目をギンッとかっぴらいてセクハラした。ワカモは無言で顔を赤らめて銃剣を取り出して私の内臓を突き刺そうとする。
私は命乞いした。
3.首席行政官登場
私が警察のご厄介になったということでサンクトゥムタワーからリンちゃんがすっ飛んできた。
「また生徒へのセクハラですか、先生」
私がやらかすとリンちゃんに通報が行く仕組みになっている。
私の立場は先生ではあるが、連邦生徒会から委任された立場であるし、シャーレの給金は連邦生徒会から出ていた。逆らえないのである。
「ごめんなさい」
私は額を地面にこすりつけて土下座した。あわよくば頭を踏んでもらえないかと画策した。リンちゃんに頭を踏まれたい。
しかしその意図を見通したのかリンちゃんは冷たい目で私を見下ろす。ちっ。この角度から見上げるリンちゃんもエロい。私は彼女のコートの下がノースリーブであることを知っている。
目をギンッてさせてコートとスーツの間のわずかな肌面積を目に焼き付けようとしたが、リンちゃんはサッとコートで肌を隠す。
「反省の色が見えませんね」
私は心の底から反省していることを早口で懇切丁寧に説明した。私はなによりも生徒さんのことを大事にしていて、彼女たちが健全に学び、たのしい青春を送れるよう尽力している。そして彼女たちが嫌がるようなセクハラは一切していない。合意のうえなのだと力説した。
言いくるめられるか。無理かもしれない。
私は話題を変えた。
「今日、最高に天気良くない? 青空、大好き」
キヴォトスは今日も快晴だ。私は頬を赤く染めたリンちゃんに「仕方ないですね」とぎゅっと抱きしめられて至近距離で弾丸をぶっ放された。
アロナがいなければ死んでいた。アロナ、いつもありがとう。
4.ユウカ
私は土下座しながらリンちゃんとついでにユウカに挟まれて説教されていた。
なにかおかしい。先生とは生徒さんを教え導き、そして生徒さんが道を誤ったときには説教する立場なはずだ。なのに私は今生徒さん二名から説教されている。どういうことだ。
「せ・ん・せ・い~?」
ユウカのスカートからちらちらと太ももが自己主張してくる。こんなものを前にどう反省しろというんだ。
「あのですね。その、先生がそのぉ……そういうことに興味があるのは、成人男性ですし自然なことではありますが……その、合意だからと言っても……ええと」
ユウカが口をゴニョゴニョさせた。ここだ。私は反転攻勢に出た。
すまない。もし私の態度でユウカを不快にさせるようなことがあったなら心から謝るよ。私は先生だ。生徒さんの嫌がるようなことは絶対にしたくない。私は口をぺらぺら回す。嘘はついていない。私は先生としてのプライドがあるので生徒さんに嘘をつけないのだ。言質を取らせないように言葉を弄したり、あるいは生徒さんの返答を誘導したりすることはあるがね。
「べっ! 別に! わ、私は嫌とは一言も言ってませんが! あっ、嫌じゃないといっても、その」
嫌じゃないのかい? よかった。ユウカ。私は君を頼りにしてる。君に見捨てられるようなことがあったら本当に心が折れてしまうかもしれない。君の信頼を失わないようにこれからも努力したい。私はユウカの腰に手を回した。イケる。むっ、リンちゃんから冷たい目線が飛んできている。ここぞとばかりに私はリンちゃんの腰にも手を回した。これでよし。
やったぁ、二人を説得できたぞ。
しかしそのあと私は二人に馬乗りにされてサブマシンガンでめちゃくちゃハチの巣にされた。
5.後日
私がイオリの足を舐めたりユウカとリンちゃんの腰に手を回している写真がクロノスからばら撒かれた。この執念深い盗撮と思わしき写真の角度。間違いない、ノドカの仕業だ。
外に出ると道行く知らない生徒さんたちやワンコ、ロボット市民たちからやいのやいのと揶揄される。
大切な生徒さんたちからならともかくワンコやロボット風情に揶揄されるいわれはないのだが、わたしは良識ある先生のつもりなので言い返せない。だがこの醜聞を受け入れれば実質セクハラが無罪になるようなものだ。お釣りがくるほどである。私は内心鼻で笑った。
飲み屋でたまたま遭遇した黒服が震える声で言う。
「先生、あなたはやはりキヴォトスの外の……ふむ……なるほど、そういうことですか」
なにがそういうことなのだ。
セクハラは、合意があればセクハラではない。
ちょっぴり過激なスキンシップだ。
だから赦される。
これは、とある青春の物語。
セクハラしてないで仕事してください、先生。