僕のヒーローアカデミア~諦めから始まる物語~   作:キョンP

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いよいよ救助訓練、そして、ヴィランとの遭遇です!長くなりそうなので前後編に分けます(もしかしたら中編も入るかも?)。出久を始め、A組生徒達はこの危機をどう乗り越えるのか?どうぞお楽しみください!


第10話 救助訓練!! そして、未知との遭遇

「追ってきたらこの裕福な家族ブッ壊してやるからな!! いいかあ、俺を追うなよヒーロー共!!」

「くっ! 連続強盗殺人犯『僧帽ヘッドギア!!』

「強い上に……姑息!!」

「ヒーロー助けてぇえ!! せめて!! 娘だけでも!!」

 

 僧帽筋が異様なまでに発達した巨漢の敵が3人家族を人質に逃走しようとしていた。Mt.レディ、シンリンカムイを始めとするヒーロー達は人質がいることで迂闊に手が出せずにいた。

 

「くそ! うまいこと動いてやがる!」

「このまま逃げおおせたらぁ!!」

 

 手をこまねいているヒーローを嘲笑いながら徐々に距離を取り本格的に逃走を図ろうとする敵。だが、その狙いはすぐに打ち砕かれることとなった。

 

「もう大丈夫だファミリー!! MISSOURI SMASH!」

「ガハッ!?」 ドサッ

「何故なら私が、通勤がてら来た!」

 

 オールマイトのすれ違い様の一撃で敵は崩れ落ちる。その際に人質を確保しており、その鮮やかな手際に周囲で見ていた人たちが歓声を上げる。

 

「わああ! オールマイトーーーーー!!」

「ありがたいけど……」

「我ら廃業してしまう……」

 

 若手、新鋭の中でも期待値の大きいシンリンカムイ、Mt.レディも圧倒的実力差を見せつけられて肩を落としてしまう。

 

「助かりました! 我々も手をこまねいておりまして……」

「協力できて何より! 遅刻するとやばいんでそれじゃ!!」

 

 そう言って学校へ向かおうとするが……。

 

「キャアア!! 轢き逃げー!!」

「ん〜〜〜、遅刻するとやばい……んだけどナー!!!」

 

 悲鳴のした方向へ猛スピードで向かっていった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Almight

 

 ……速度が落ちた……。OFAを渡した後……、私の『力』は衰えつつある。それに加え、あの無理で活動可能時間も以前より短くなってしまった……。

 

 あの日……。

 

 

 

「そうか、爆豪少年は何かに気付いているか……」

「はい。具体的に何が、ということまではわかっていないと思いますが……」

「なるほど……。緑谷少女、今後爆豪少年の前ではあまり個性について詳細は話さないように。なかなか鋭い勘の持ち主のようだからね」

「わかりました……」

「もちろん、彼以外にも知られてはならないよ。知れ渡れば力を奪わんとする輩が溢れかえる事は自明の理! この秘密は社会の混乱を防ぐ為でもあり、君の為でもあるんだ、いいね?」

 

 

 

 緑谷少女も爆豪少年も15歳のまだ子供なのだ……。

 

 私がしっかりせねばな!

 

 

「隣町で立てこもり事件があったらしいぞ」

 

 ムム!!

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 PM0:50。昼休みが終わり、午後の授業を始まりを告げる鐘が鳴った。1年A組の授業は『ヒーロー基礎学』となっているが……。

 

「今日のヒーロー基礎学だが……俺とオールマイト、そしてもう1人の3人体制で見ることになった」

「(なった……? 特例なのかな?)」

「ハーイ! なにするんですか!?」

「災害水難なんでもござれ。人命救助(レスキュー)訓練(くんれん)だ!!」

 

 人命救助。敵の制圧・逮捕がわかりやすいヒーロー活動であるが、人命救助もヒーローを象徴する仕事として認識されており、個性の都合上敵制圧より人命救助に真価を発揮するヒーローも数多く存在している。

 

「レスキュー……、今回も大変そうだな」

「ねー!」

「バカおめー、これこそヒーローの本分だぜ!? 鳴るぜ!! 腕が!!」

「水難なら私の独壇場、ケロケロ」

「おい、まだ途中」

 

 相澤の説明の途中だが、堪えきれずに生徒が口々に意気込みを語る。相澤が喋る生徒達を一睨みして説明を続ける。

 

「今回コスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上、準備開始」

 

 説明を終えた相澤がリモコンを操作してコスチュームの格納棚が壁から出てくる。救助訓練に自分のコスチュームが適しているか、一人一人が考えながらコスチュームを受け取り準備を進めていく。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Izuku

 

 救助訓練……!! 憧れに……最高のヒーローに近づく為の訓練!!!! 頑張るぞ!!!

 

 

「ん? デクちゃん体操服だ。コスチュームは?」

「うん、戦闘訓練でボロボロになっちゃったから……修復をサポート会社がしてくれるらしくてね、それ待ちなんだ」

 

 着替え終わってバス乗り場へ向かっていると麗日さんが声をかけてきた。麗日さんは戦闘訓練の時と同じコスチュームを着ており、その他の生徒も僕以外全員がコスチュームを身に付けていた。

 

 考えてみれば、戦闘訓練で怪我をするほどボロボロになったのは僕だけだったので、コスチューム修復を必要とするのも当然僕だけであった。

 

「バスの席順でスムーズにいくよう番号順に二列で並ぼう」

「おお、飯田君フルスロットル……!」

 

 飯田君が乗車がスムーズにいくよう誘導している。先日委員長に選出されてからクラスみんなを導こうと張り切っているみたいだ。

 ……でも。

 

 

「こういうタイプだったくそう!!!」

「イミなかったなー」

「あはは……」

 

 僕らが乗り込んだバスは通常の座席ではなく、電車のように横一列に並ぶタイプだったため飯田君の張り切りは空回りとなってしまった。

 

「私思った事何でも言っちゃうの、緑谷ちゃん」

「え!? はい!? 蛙吹さん!!」

「梅雨ちゃんと呼んで」

 

 隣に座った蛙吹さんに話しかけられた。一緒のクラスになって数日経つけど、まだそんなに話してないからどんな子かいまいちよくわからないんだよね。これをきっかけに仲良くなれたらいいな……。

 

「あなたの『個性』、オールマイトに似てる」

「ブフッ!?」

 

 いきなり何言ってんのこの子!? え!? バレちゃった!? いや、ボロは出していないはずだからそれはないと思うけど、それにしても勘が良すぎるでしょ!

 

「そそそそそうかな!? いや僕はそのえー」

「待てよ梅雨ちゃん。オールマイトはケガしねえぞ。似て非なるアレだぜ」

 

 僕が答えに窮していると蛙吹さんを挟んで反対側の切島君が期せずして助け舟を出してくれた。咄嗟にかっちゃんの方を見るが窓の外を見ていてこっちの話は耳に入っていないみたいだった。……良かった。

 

「しかし増強型のシンプルな『個性』はいいな! 派手で出来る事が多い! 俺の『硬化』は対人じゃ強えけど、いかんせん地味なんだよなー」

「僕はすごくかっこいいと思うよ。プロにも十分通用する『個性』だよ」

「プロなー! しかしやっぱヒーローも人気商売みてえなとこあるぜ!?」

「僕のネビルレーザーは派手さも強さもプロ並み」

「でもお腹壊しちゃうのはヨクナイね!」

「…………」

 

 切島君がそのまま自分の個性について話したので便乗して続けると、他の皆も話に乗っかってきた。これで僕のことについては誤魔化せた、はず……!

 

「派手で強えっつったらやっぱ轟と爆豪だな」

 

 切島君の言葉にかっちゃんの方に目を向けると、かっちゃんもこちら側を見ていて一瞬目が合った。……さっきの話、聞かれてないよね……。

 

「ケッ」

「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気出なさそ」

「んだとコラ出すわ!!」

「ホラ」

 

 ……蛙吹さん、かっちゃんをあんなに怒らせても全く動じないってすごいなあ……。

 

「この付き合いの浅さで既にクソを下水で煮込んだような性格と認識されるってすげぇよ」

「てめぇのボキャブラリーは何だコラ殺すぞ!!」

 

 かっちゃんがイジられてる……!! 信じられない光景だ、さすが雄英……!

 

「低俗な会話ですこと!」

「でもこういうの好きだ私」

「爆豪君、君本当に口悪いな」

「……もう着くぞ、いい加減にしとけよ……」

「ハイ!!」

 

 さすがに私語が過ぎたのか、相澤先生から注意が入る。いよいよ目的地、ついに救助訓練が始まるんだ!

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「すっげーーーー!!」

「USJかよ!!?」

 

 バスから降りたA組生徒達は巨大なドーム型の施設の中に入った。施設の中には海や水辺を模した場所、森を模した場所、市街地を模した場所など様々な災害を想定したスペースが配置されていた。

 

 入口から少し歩くと開けた場所に人が立っていた。かなりの長身であり、宇宙服を連想させるコスチュームを身につけていた。

 

「水難事故、土砂災害、火事……etc.…あらゆる事故や災害を想定し僕が作った演習場です」

 

 その人物がそう施設の概要について説明する。思ったより高い声であったため、少し驚く生徒もいた。

 

「その名も……ウソの災害や事故ルーム(USJ)!!」

「「「(USJだった!!)」」」

 

 権利的にいろいろ不味いネーミングに生徒全員が心の中でツッコミを入れる。

 

「スペースヒーロー『13号』だ! 災害救助でめざましい活躍をしている紳士的なヒーロー!」

「わーー! 私好きなの13号!」

 

 出久と麗日が声を上げる。ヒーローオタクの出久はいつものことであるが、麗日は純粋にファンであるヒーローに会えたことが嬉しいようだった。

 

 

「13号、オールマイトは?ここで待ち合わせるはずだが」

「先輩、それが……通勤時に()()ギリギリまで活動してしまったみたいで仮眠室で休んでます」

「不合理の極みだなおい」

 

 13号の説明に相澤が顔を顰める。通勤時にいくつもの事件を解決してしまうのはNO.1ヒーローとしての責任や矜持かもしれないが、現在は雄英高校の一教師でもあるので、ごく一部しか知らない活動限界ギリギリまで動いて教鞭を取れないのは本末転倒と言われても仕方のないことであった。

 

「(まあ……念の為の警戒体勢……)仕方ない、始めるか」

「わかりました。えー、始める前にお小言を一つ二つ……三つ……四つ……」

「「「(増える……)」」」

 

 相澤の合図で13号が授業に先立ち自己紹介を兼ねた概要を説明する。

 

「皆さんご存知だと思いますが、僕の『個性』は『ブラックホール』、どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」

「その『個性』でどんな災害からも人を掬い上げるんですよね」

「ええ……」

 

 出久の言葉に麗日が激しく頷き、13号も肯定の意思を示す。

 

「しかし、簡単に人を殺せる力です。皆の中にもそういう『個性』がいるでしょう」

 

 続く13号の言葉に生徒全員が冷水を浴びせられたかのように固まる。出久の個性『OFA』はもちろん勝己の爆破や麗日の無重力、他の生徒の個性も使い方次第で人の命を奪えるものが多く存在する。

 

「超人社会は『個性』の使用を資格制にし厳しく規制することで一見成り立っているように見えます。しかし、一歩間違えれば容易に人を殺せる『いきすぎた個性』を個々が持っていることを忘れないでください」

 

 そこで一旦言葉を切り、生徒一人ひとりの顔を見渡す。全員が真剣な顔で聞いていることを確認して話を再開する。

 

「相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います」

 

 優しく、しかし芯を感じさせる声で生徒に語りかける。自身の心を律して個性を使用することはヒーローにとって重要であり、入学して間もない時期で生徒に意識させることもカリキュラム上必要なこととされている。

 

「この授業では……心機一転! 人命の為に『個性』をどう活用するかを学んでいきましょう。君達の力は人を傷つける為にあるのではない、救ける為にあるのだと心得て帰ってくださいな」

「(……13号!! カッコイイ!!)」

 

 自分自身の体験に根ざしているだあろう13号の言葉には確かな説得力があった。

 

「以上! ご清聴ありがとうございました」

「ステキー!」

「ブラボー!! ブラーボー!!」

 

 『お小言』を終えた13号のお辞儀に歓声と拍手が起こる。生徒達のやる気が出たのを確認して授業の手順を説明しようとする。

 

「よし、そんじゃあまずは……」

 

 ズズ……

 

 妙な気配を感じた相澤は振り返り気配のした方向、ドームのほぼ中央に位置する噴水に視線を向けた。 

 

「……?」

 

 噴水のそばでは()()()()()()()()()()が小さく渦巻いており、徐々に拡大していた。

 

 ズズズズ……

 

 次の瞬間。

 

 霧の中から人の手、ついで顔に手を貼り付けた人の顔が姿を現した。

 

「一かたまりになって動くな!」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Izuku

 

「一かたまりになって動くな!」

「え?」

「13号!! 生徒を守れ!!」

 

 相澤先生の突然の大声に皆が疑問符を浮かべる。

 

 『生徒を守れ!!』

 

 生徒とは僕達のこと。一体何から守る?

 

 そんなことを考えて相澤先生が振り返った先を見る。すると、噴水のそばで黒色の霧の中から何人もの人が出てきた。

 

「何だアリャ!? また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」

 

 切島君がこの場にいる生徒の考えを代弁した。入試の際にスタートの合図がなかったことは皆知っているので、今回も同様に訓練を始めるのかと思っていた、……が。

 

「動くな! あれは、敵だ!!!」

 

 相澤先生の声がそんな現実逃避の考えを否定した。これは紛れもない現実、雄英高校に敵が侵入してきた!

 

 奇しくも、命を救える訓練時間に僕らの前に現れた。

 

 プロが何と戦ってるのか? 何と向き合っているのか?

 

 ……それは。

 

 途方もない悪意。

 

(ヴィラン)んん!? バカだろ!?」

「ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!」

 

 上鳴君と切島君の声に意識が現実に戻る。ボーっとしてる場合じゃない、今の状況を把握して対応しなきゃ!

 

「先生、侵入者用センサーは」

「もちろんありますが……!」

 

 八百万さんが13号先生に確認する。雄英高校の施設なら当然あるはずだけど、それが作動している感じはしない。誰かが妨害している? 機械、それとも個性?

 

「現れたのはここだけか学校全体か……。何にせよセンサーが反応しねえなら向こうにそういうこと出来る『個性(ヤツ)』がいるってことだな」

 

 轟君も個性による妨害と分析している。確かに、機械による電波妨害は機械そのもの準備や電力の確保、効果範囲の確認に手間取りそうだけど元々そういう個性の持ち主がいるなら実行のハードルは下がる。そうは言っても、本当に実行する連中がいるなんて……。

 

「校舎と離れた隔離空間、そこに少人数(クラス)が入る時間割……、バカだがアホじゃねえ。これは何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ」

 

 轟君が自身の推論を語る。凄い! こんな短時間でそこまで分析できるなんて……!

 

「13号避難開始! 学校に電話試せ! センサーの対策も頭にある敵だ。電波系の『個性』が妨害している可能性もある。上鳴、お前も『個性』連絡試せ」

「っス!」

 

 相澤先生が13号先生と上鳴君に指示を出しながら、ゴーグルを装着する。まさか、あんな大勢の中に!?

 

「先生は!? 1人で戦うんですか!? あの数じゃいくら『個性』を消すっていっても!! イレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の個性を消してからの捕縛だ。正面戦闘は……」

 

 これまで見てきた記録ではイレイザーヘッドの敵制圧は個性を『抹消』してからの捕縛という短期決戦。基本的に一対一のものしかなくて多人数相手は未知数だ。それなのにあの中に向かっていくなんて……!

 

「一芸じゃヒーローは務まらん! 13号! 任せたぞ!」

 

 そう告げて、相澤先生は敵の集団に向かって駆け出していった。

 

 

 

 迎え撃つ敵側は遠距離攻撃の個性で相澤先生を狙っているが、相澤先生が個性を抹消し捕縛布で2人を拘束しそいつらの頭同士ぶつけさせる。いかにもパワーのある異形型の敵が着地後の相澤先生に襲い掛かるが、身を躱しつつ顔面に一撃加えながらのけぞる敵の足に捕縛布をかける。さらに後ろから敵が殴りかかるがそれを避けつつ先ほど敵の足にかけた捕縛布を操作し、殴りかかった敵に放り投げぶつける。

 

 あっという間に4、5人の敵を制圧しちゃった……。

 

「そうか、視線のわからないゴーグルのおかげで誰が個性を消されているかわからないから、敵側の連携がうまくいかない。その隙に各個撃破していく。すごい……! 多対一こそ先生の得意分野だったんだ」

「分析している場合じゃない! 早く避難を!!」

 

 飯田君の声に僕も避難するために皆の方へ駆け出す。

 

「させませんよ」

 

 13号先生と施設のゲートの間に黒色の霧状の敵が突然現れた。何だこの敵は!? 今までこんな形状のやつは見たことないよ!

 

「初めまして、我々は(ヴィラン)連合。僭越ながら……この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせていただいたのは……平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思ってのことでして」

 

 は!? オールマイトが、何だって!?

 

「本来ならばここにオールマイトがいらっしゃるハズ……ですが、何か変更があったのでしょうか? まあ……それとは関係なく……、私の役目はこれ……」

 

 ガッ! ボーーーン!!

 

 霧状敵がそう話している途中で二つの影、かっちゃんと切島君が敵に一撃づつ攻撃を浴びせた。

 

「その前に俺たちにやられることは考えてなかったのか!?」

「危ない危ない……、そう……生徒といえど優秀な金の卵」

 

 な!? 全く効いてない! 一体どうなってるの!

 

「ダメだ! どきなさい2人とも!」

 

 13号先生が2人に下がるよう言い放つ。そうだ、13号先生の個性なら、ブラックホールなら!

 

 そう思った瞬間!

 

「散らして……嬲り……殺す……」

 

 ズアッ!

 

 敵が霧状の身体部分を拡大させ、生徒達を次々と飲み込んでいく。まさか、この霧がワープさせるのか!?

 

「皆!!」

 

 飯田君の声が響く中、僕自身も霧に包まれて一瞬視界が暗くなる。次の瞬間、すぐに視界が元に戻るが、眼前に映るのは水面! まさか、水難ゾーン!?

 

「うわあああああ!?」

 

 ドボーーーーーン

 

 やっぱり、あいつがワープの個性持ちか! あいつ、オールマイトを殺すって! 一体何がどうなって……!

 

「お、来た来た!!」

「ボガアアアア!?」

 

 そんな!? こんなところにも敵が! しかも水中での動きの特化した個性! ヤバい!

 

「おめーに恨みはないけど、サイナラ!!」

 

 こんなところで死にたくない! やられてたまるか!

 

 そう身構えた瞬間!

 

 ドフッ!!

 

 誰かが水上から入ってきて敵に蹴りを喰らわせた。蛙吹さん!?

 

「緑谷ちゃん!」

 

 蛙吹さんが舌を伸ばして僕に巻き付ける。めちゃくちゃ長い!

 

「サイナラー!!」

「サイナラ」

 

 敵にダメ押しの蹴りを入れてその場から逃げる。敵にまで別れの挨拶するなんて、律儀だな……。

 

 そのまま蛙吹さんに(舌で)掴まれたまま海上に浮上し、水難ゾーンに配置されていた船に乗せられる。助かった。

 

「つぁ!!!」

 

 僕の後に誰かが甲板に放り投げられる。……峰田君? おそらく、蛙吹さんに何か変なことしたんだろうなあ……。

 

「ありがとう、蛙吹さん」

「梅雨ちゃんと呼んで。しかし、大変なことになったわね」

 

 あの霧状敵、『何か変更あったのでしょうか?』って言ってた。ということは……!

 

「カリキュラムが割れてた……! 単純に考えれば先日のマスコミ乱入は情報を得る為に奴らが仕組んだってことだ。轟君がいったように……虎視眈々と……準備を進めてたんだ」

 

 でなきゃ、こんなことが全く無関係に立て続けに起こるはずがない! 敵連合、一体どこまで考えているんだ?

 

「でもよでもよ! オールマイトを殺すなんて出来っこねえさ! オールマイトが来たらあんな奴らケッチョンチョンだぜ」

 

 峰田君が空中にパンチを繰り出しながら楽観的に話す。こんなことを計画する連中がその手段、オールマイトを殺す手段を考えずにことを起こすだろうか?

 

「峰田ちゃん……、殺せる算段が整ってるから連中こんな無茶してるんじゃないの?」

 

 やっぱり、蛙吹さんも僕と同じことを考えている。オールマイトの実力は広く知れ渡っている。生半可な敵じゃ歯が立たない。先ほどの相澤先生の戦いを見るとあの場で戦っていた連中にそんな実力の持ち主がいるとは思えない。ということは、今はどこかにその切り札を温存しているはずだ。

 

「そこまで出来る連中に私たち嬲り殺すって言われたのよ? オールマイトが来るまで持ちこたえられるのかしら? オールマイトが来たとして……無事に済むのかしら?」

「みみみ緑谷ァ!!! 何だよこいつうう!」

 

 蛙吹さん、思ったこと何でも言っちゃうって自分で言ってたけど、今この状況でそんなことまで言わなくてもいいのに……。峰田君も少し涙目になっちゃってるし。

 

 でも、言ってることは決して間違いじゃない。こんなことをする奴らがオールマイトを殺すだけで満足するわけがない。

 

「んのヤロォ!! 殺してやる!!」

「大漁だあああ〜〜〜!!!」

 

 さっき蛙吹さんが撃退した奴以外の敵も船を取り囲むように集まってきた。これほどまでの人数を集められるなんて、やっぱり奴らにはオールマイトを倒す算段がある、それ以外考えられない……!

 

 何で殺したいんだ? 1人で平和の象徴と呼ばれる人だから!? 敵……悪への抑止力となった人だから……?

 

 ……いや、ていうか今理由なんて……。

 

『君はヒーローになれる!』

『嫌いじゃないよ!?』

 

 理由なんて……。

 

『来いよ緑谷少女!』

『合格おめでとう』

『もう大丈夫! 私が来た!』

 

 理由なんて……! 知るか!!

 

「奴らに……オールマイトを倒す術があるんなら……!! 僕らが今すべき事は……!」

 

 麗日さん、飯田君、他の皆、そしてかっちゃん。散り散りになっちゃってるけど、皆を信じて僕らは僕らに今できる事をやるしかない!

 

「戦って阻止する(かつ)事!!」

 

 オールマイトを死なせてたまるもんか!!!




 はい、敵連合との対決になりますね。ここからは話がかなり濃密になってくるのでいよいよペースが落ちるかもしれませんwそれでも頑張りますので、何卒よろしくお願い致します。
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