僕のヒーローアカデミア~諦めから始まる物語~   作:キョンP

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USJ事件中編です!出久達は敵たちを撃退することができるのか!?本編どうぞ〜!


第11話 VS敵(ヴィラン)

Side:Izuku

 

 戦ってこの現状を打破する。そのためには作戦が必要だ。水難ゾーンにいる(ヴィラン)達の様子は……。

 

「何が戦うだよバカかよぉ! オールマイトブッ倒せるかもしれねー奴らなんだろ!? 矛盾が生じてんぞ緑谷!! 雄英ヒーローが救けに来てくれるまでおとなしくが得策に決まってらい!!」

「峰田君、下の連中……、明らかに水中戦を想定してるよね」

「ムシかよーーー!!」

 

 ごめん峰田君。分析でもしてないと僕も恐怖に押しつぶされそうだから無視して進めるよ。

 

「このUSJ(施設)の設計を把握した上で人員を集めたってこと?」

「そう! そこまで情報を仕入れておいて周到に準備してくる連中にしてはおかしな点があるの」

「おかしな点?」

「それは、この水難ゾーンに蛙すっ……つっ梅雨……ちゃんが移動させられてるって点!!」

「……緑谷ちゃん、自分のペースでいいのよ」

「あ、そうなの……良かった」

 

 やっぱり女の子でもまだ名前呼びは緊張するよ……。かっちゃんだったら全然気にならないのになあ……。

 

「だからそれが何なんだよーーー!!?」

「だからつまり! 生徒(ぼくら)の『個性』はわかってないんじゃないかな?」

「!」

 

 僕の言葉につゆちゃ、蛙吹さんはハッとしたような表情になる。峰田君はまだ要領を得ないのか、怪訝な顔をしている。

 

「確かに、蛙の私を知ってたらあっちの火災ゾーンにでも放り込むわね」

「僕らの『個性』がわからないからこそ、きっとバラバラにして数で攻め落とすって作戦にしたんだよ」

 

 峰田君を見ると一応なんとなくわかったような雰囲気だけど、まだ苦い顔をしている。峰田君の気持ちもわかる。オールマイトを殺そうとしている凶悪な連中が水中で今か今かと待ち構えているんだ。

 

 ……でも。

 

「数も経験も劣る僕らの勝利の鍵は一つ! 生徒(ぼくら)の『個性』が相手にとって未知であること!! 敵は船に上がろうとしてこない! これが仮説を裏付けてる!」

 

 もちろん、それは向こうも決してこちらをなめてかからないってことになる。

 

 それを考慮した上で僕らが勝つためには……!

 

「蛙吹さん、峰田君。君達の個性を教えて! 3人の個性(ちから)を合わせて、この状況を打開しよう!」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

USJ出入口前

 

「障子君、皆はいるか!? 確認できるか!?」

「散り散りにはなっているが、この施設内にいる」

「物理攻撃無効でワープって……!! 最悪の『個性』だぜオイ!!」

「……委員長!」

「は!!」

「君に託します。学校まで駆けてこの事を伝えて下さい」

「な!?」

「警報鳴らず、そして電話も圏外になってしまいました。警報器は赤外線式……。先輩……イレイザーヘッドが下で『個性』を消し回っているにも拘らず無作動なのは……、恐らくそれを妨害可能な『個性(もの)』がいて……即座に隠したのでしょう。とすると、それを見つけ出すより君が駆けた方が早い!」

 

 13号は霧状敵と対峙しながら飯田へ指示を出す。ワープで飛ばされた生徒達も気掛かりだが、目の前の敵の個性は厄介極まりない。しかし、ここで敵を抑えて学校側に状況を伝えることができれば形勢を逆転できるかもしれない。そう判断し、飯田が動ける隙を作ろうとして腕を構えた。

 

「しかし、クラスを置いてくなど委員長の風上にも……」

「行けって非常口!! 外に出れば警報がある! だからこいつらはこん中だけで事を起こしてんだろう!?」

「外に出られりゃ追っちゃこれねえよ!! おまえの足でモヤを振り切れ!!」

 

 13号と並んで砂藤、瀬呂、障子、芦戸、麗日も敵と対峙する。皆が飯田を援護しようと不安と恐怖を抑えて敵を見据える。

 

「救う為に、『個性』を使って下さい!!」

「食堂の時みたく……、サポートなら私超出来るから! する!! から!!」

「……!!」

 

 13号と麗日の言葉に飯田は自分のなすべきことの重大さを自覚する。

 

「手段がないとはいえ、敵前で策を語る阿呆がいますか」

「バレても問題ないから語ったんでしょうが!!」

 

 敵が黒い霧で13号達を覆い尽くそうとし、13号がそうはさせじと指先のブラックホールで霧ごと敵を飲み込もうとする。

 

 いつ、どのタイミングで突破を図るか。

 

 飯田の走りに全てが託された。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Izuku

 

「私の個性は跳躍と壁に張りつけるのと舌を伸ばせるわ、最大で20m。あとは胃袋を外に出して洗ったり、毒性の粘液……といっても多少ピリッとする程度のを……分泌できる、つまり蛙っぽいことができるものよ。後半2つはほぼ役に立たないし忘れていいかも」

「分……泌……!!」

「薄々思ってたけど……強いね」

 

 蛙吹さんの個性は『蛙』、蛙っぽいことができるみたいだけど人の大きさで蛙並みの身体能力が出せるならものすごく強いよ!

 

「僕は……超パワーだけど……調整が難しくて集中が乱れると使った先からバッキバキに折れちゃう、諸刃の剣的な……アレです」

 

 地上ならOFAの1%、何とか3%くらい出せれば2人を抱えて走ったり跳躍して逃げられたかもしれないけど、ここは湖のど真ん中だからそうもいかない。あとは峰田君の個性がどんなものか聞いてから何か手立てを考えられればいいけど……。

 

「峰田君の個性は?」

「……」

 

 無言で特徴的な髪を掴むとボール状に取れて、それを船の壁に押し付けるとくっついたまま取れなくなった。これは一体……?

 

「超くっつく。体調によっちゃ一日経ってもくっついたま。モギったそばから生えてくるけどモギりすぎると血が出る。オイラ自身にはくっつかずにブニブニ跳ねる」

「…………」

「…………」

 

 何というか、その、使い道を考えないといけないけど結構、いやかなり強い個性じゃないかな? この特性を活かせられれば突破口を……。

 

「うわあああああ! だから言ってんだろおとなしく救けを待とうってよお!! オイラの個性はバリバリ戦鬪に不向きなんだよ〜〜〜!!!」

「ち、違うってば! すごい『個性』だから活用法を考えて……」

 

 ズガアアアアン!!

 

「うわ!?」

「ケロ!?」

「ぎゃあああ!!?」

 

 峰田君を落ち着かせようとしたら、突然大きな音と衝撃が起こった。見ると敵が船を攻撃したみたいでその部分から船が割れてしまっていた。なんてパワーなんだ! 

 

「じれったいだけだ、ちゃっちゃと終わらそう」

 

「なんて力……! 船が割れたわ」

「ううう〜〜〜、うわあああ!!」

 

 パニックになった峰田君が湖に次々とモギモギを投げていく。

 

「うわあああ!!!」

「ヤケはダメだよ!! ああ、なんてことを! 敵に個性が!!」

 

 敵に個性がバレちゃったら作戦が立てられなくなっちゃう! どうしよう!? ……ん? なんか敵の様子がおかしい、モギモギを避けているような……? そうか! どんなものかわからないから警戒して触らないのか! ならまだ特性は知られていない! だったらやることは……。

 

「船が沈むまであと1分もかからねえ……。水中に入りゃ100%俺らの勝ちだ」

 

「ひあああ確かにいいい!!!」

「峰田ちゃん、本当にヒーロー志望で雄英に来たの?」

「うっせー!! 怖くない方がおかしいだろーがよ!! ついこないだまで中学生だったんだぞ!! 入学してすぐ殺されそうになるなんて誰が思うかよ!! ああ、せめて八百万のオッパイに触れてから死にてえよ!!!」

 

 

 峰田君の言うことももっともだ。雄英ヒーロー科に入ったばかりの15歳なんてまだ子供だ。それが敵に周りを取り囲まれて絶体絶命だなんて気がおかしくなっても不思議じゃない。そんな状況でも冷静でいられる蛙吹さんがいることが、僕にとっても心強い……!

 

 現状として、水中行動に特化した敵に囲まれている僕らは船が沈んでしまったら、あっという間にやられてしまうだろう。

 

 ……だけど!

 

「『敵が勝利を確信した時が大きなチャンス』……昔、情熱大陸でオールマイトが言ってたよ」

「それが今なんだって言うんだよ!?」

 

 ……今からやることに握った手が、足が、身体全体が不安と恐怖で震える……。

 

 ……けれど、それでも!!!

 

「勝つには、これしかない……!!」

 

 

 

「あんなピーピー喚いてやっぱガキだな」

「おい、油断だけはするなと死柄木さんが言ってたろ。歳で判断するんじゃない。『個性』を見ろ、常識だろが。水中じゃ俺らの『個性』が確実に有利何だからよ」

 

 周りを取り囲む敵の僕らを嘲笑うかような声が聞こえる。油断はしないように言われているみたいだけど、圧倒的に有利な状況に無意識に気が緩んでいるのに気づいていないみたいだ。

 

 ……大丈夫、作戦通りにやればイケるはずだ。正直なところ、『激痛』が確実に来るのはやっぱり躊躇しそうになる。でも、ここで怯んでちゃ、自分自身のピンチを乗り越えられなきゃ、皆を救うヒーローにはなれない!

 

 いくぞ!

 

「あああ!」

「ん?」

 

 足だけOFA1%!

 

 そして、なるべく敵の注意を集められるよう、かっちゃん的な口調で……!!

 

「死ねやクソヴィランどもーーー!!!」

 

 今!

 

 ダン!!!

 

「へ、やっぱガキ……ってなんてジャンプ力だ!? おい、みんな集まれ!」

「攻撃は着水してから」

「わーってら」

 

 よし、引っかかった! 僕が対空時間の長いジャンプをしたら皆そこに釣られて寄ってくるって思ってた!

 

「峰田ちゃん!」

「(あいつ! オイラと同じくせに! 怖いくせに! なんで……!)」

 

 蛙吹さんと峰田君も準備できてる!

 

 次、今度はさっきと反対に左手中指だけに集中! OFA100%!

 

「DELAWERE……SMASH!!!

 

 バキッ! バキッ!

 

 ズドーーーーン!!!

 

「うおおお!?」

「ぐうっ……!!!」

 

 クソ……! 中指だけじゃなくて親指も折れた! でも、ここまでは狙い通り! あとは……!

 

「梅雨ちゃん!! 峰田君!!!」

 

「行くわよ緑谷ちゃん! 峰田ちゃん!」

「(ちくしょう!! なんだ緑谷!! おめえ!! 女子なのにかっけえことばっかしやがって!!!)うわああ!!! オイラだってえええええ!!」

 

 梅雨ちゃんが峰田君を抱えながら船から跳躍して、さらに舌を僕に巻き付けて引き寄せる。峰田君は頭のモギモギを次々に投げ込む。

 

 ……よし! これなら!!

 

「ぐ……!?」

「クソ! 引きずり込まれる……!」

「ん? これはあのガキの……」

「んだこれとれねえ!」

「「「んなああ!?」」」

 

 ザッパアアン!

 

「水面に強い衝撃を与えたら、広がって……また中心に収束するから……」

「一網打尽。まずは()()()()突破って感じね、すごいわ2人とも」

 

 

 3人で船から飛び出してしばらく泳ぐと足がつく深さになったので歩いて岸まで向かう。

 

「今朝快便だったし、奴ら1日はくっついたままだぜ」

「あれで全員だったのは運が良かった……。すごいバクチをしちゃった……。普通なら念のため何人かは水中に伏せとくべきだもの。冷静に努めようとしていたけど冷静じゃなかった……、危ないぞ。もっと慎重に……」

「緑谷ちゃんやめて怖い」

「ご、ごめん梅雨ちゃ、蛙吹さん」

「……梅雨ちゃんと呼んで? さっきは呼んでくれたのに……」

「あ、あれは、その、咄嗟だったからつい……」

「なあ、これからどうすんだよ?」

「そうだね……とりあえず……救けを呼ぶのが最優先だね。このまま水辺に沿って、広場を避けて出口に向かうのが最善、だと思うけど……」

「そうね、広間は相澤先生が敵を大勢引きつけてくれてる」

 

 相澤先生……。

 

「……敵が多すぎる。先生はもちろん制圧するつもりだろうけど……、やっぱり僕らを守る為ムリを通して飛び込んだんだと思うんだ」

 

 さっきは、『多対一は先生の得意分野』って思ったけど、それはあくまで『他の援護が見込める状況まで粘ることができる』というものなのかもしれない。今はまだ外へ連絡がついてないから、いつ他の先生たちが来てくれるかわからない。

 

「え……? まさか緑谷、バカバカバカ……」

「ケロ……、緑谷ちゃん、相澤先生の助けに行こうって言うんじゃ……」

「邪魔になるようなことは考えてないよ! ただ隙を見て、少しでも先生の負担を減らせればって……」

 

 

 

 先ほどの初戦闘に勝利して、自分で思うより気持ちが昂っていたのかもしれない。

 

 それは勘違いだった。

 

 僕らの『力』が敵に通用したんだと、錯覚しちゃったんだ。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Almight

 

 うーん、何やら胸騒ぎがする。やはり、先ほど相澤君、13号君に電話が繋がらなかったのは何かがあったからかもしれない。

 

 今すぐにも、確かめに行きたいところだが……。

 

「…………というわけで、雄英高校ヒーロー科の現在のカリキュラムの原型ができたんだよ。それにしても、まさか君が教師として再び雄英に来るなんて当時の私に話しても絶対信じなかっただろうね。たとえOFAの後継者育成という理由があったとしても」

「そ、そんなに意外ですか?」

「まあ、君は根っからのヒーロー気質というか、誰かを救けるという行動と意志は学生時代から突出していたけど、人を育てたりするという部分についてはあまり得意ではないかなと思っていたよ」

「そ、そうですか?」

「君はなんでも1人でやりたがる傾向があるからね。さっきも話したけど、この街にもヒーロー事務所は何件もあるんだ。君1人で解決したんじゃ他のヒーローは商売上がったり、おっとこの言い方はあまり良くないね。ヒーローたちも日夜活動しているわけだから、少しは頼るとか任せるということを覚えないとね。昔の人の言葉に『やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ』ってものがあるけど、君の場合は自分でやってばかりだから他のものがなかなか実践の機会を得るということができないんだよね。その辺りを雄英で君も学びながら……」

「は、はあ……」

 

 うーん、これはまだまだかかるかもしれないな。なんとか隙を見て動かねば!

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Katsuki

 

「これで全部か、弱えな」

「っし! 早く皆を助けに行こうぜ! 俺らがここにいることからして皆USJ内にいるだろうし! 攻撃手段少ねえ奴等が心配だ!」

 

 クソ髪と同じ場所、倒壊ゾーンに飛ばされて待ち構えていた敵に襲われたが、数が多いだけの雑魚だらけであまり苦にはならなかった。まあ、こいつの個性が攻守ともに使えるやつだったから俺もそっちに気を取られなくて済んだってのもあるが。

 

 この感じじゃ他の場所でも敵が配置されているだろうから、クソ髪の言うこともわかる。クラス連中の中には厳しい奴もいるだろう。

 

 ……ちっ! デクがどこに飛ばされたかわかんねえから様子を見に行きようがねえ。あいつの個性自体は強力だが、取り扱いが難しいものでもある。

 

 ……俺らと同じように何人かまとめて飛ばされているなら、あのクソナードならそいつらの個性を活用して乗り切ろうとするはずだ。

 

 今やるべきことは……。

 

「俺らが先走ったせいで13号先生が後手に回った。先生があのモヤ吸っちまえばこんなことになっていなかったんだ。男として責任取らなきゃ……」

「行きてえなら1人で行け。俺はあのワープゲートぶっ殺す!」

「はあ!!? この期に及んでそんなガキみてえな……。それにアイツに攻撃は……」

「敵の出入口だぞ。いざって時逃げ出せねえよう元を閉めとくんだよ! モヤの対策もねえわけじゃねえ!」

 

 あの時の様子や反応からして、物理攻撃に完全無敵ってわけじゃねえみたいだからな。そこを攻めれば、……っ!

 

 バッ! BOOM!!!

 

 バレてねえとでも思ってたんか、音や振動で丸わかりだわ。

 

「つーか、生徒(おれら)に充てられたのがこんな三下なら大概大丈夫だろう」

「…そんな冷静な感じだっけ? おめえ……」

「俺はいつでも冷静だクソ髪やろう!!」

「ああ、そっちだ」

 

 バカにしてんのかてめえ!!

 

「じゃあな、行っちまえ」

「待て待て、ダチを信じる……! 男らしいぜ爆豪! ノったよおめえに!」

 

 ……ちっ!! いちいち暑苦しい奴だな! まあ、いい。戦力は多い方がいい。

 

 

 ……こんなわけわかんねえクソ敵どもにヤられんなよ、デク……!

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

USJ出入口前

 

「13号、災害救助で活躍するヒーロー。やはり……戦闘経験は一般ヒーローに比べ半歩劣る。自分で自分をチリにしてしまった」

「「「先生ー!!!!」」」

「(ワープゲート! やられた……!!)

 

 13号は霧状敵を吸い込もうと個性を発動させたが、敵も個性『ワープゲート』を発動させ1()3()()()()()()()()()()()1()3()()()()()()()()()。それによって、13号は自分自身の個性にさらされてしまった。

 

「ぐっ!」

 

 なんとか個性を止め、全身がブラックホールに吸い込まれることは免れるがスーツの背面が吸い込みで破壊され背中に怪我を負ってしまった。

 

「飯田ァ走れって!!!!」

「! くそう!!」

「(待つべきはあくまでオールマイトのみ)散らしもらした子ども……、教師たちを呼ばれたはこちらも大変ですので」

 

 砂藤の言葉に飯田は個性を発動させながら全力で出口へ向かうが、即座に敵も対応し飯田もワープゲートで飛ばそうとする。

 

「(皆を……僕が! 任された! クラスを!! 僕が!!)」

 

 バッ!

 

「!」

「行け!!」

 

 クラス1長身の障子が個性『複製腕』でワープゲートの入り口を覆い隠す。

 

「早く!」

「くっ!!」

 

 障子の捨て身のサポートを受けて、急停止しかけていた足を再び加速させる。

 

「(皆!! 待っててくれ!!)」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

USJ広場前

 

「23秒……」

「本命か!」

 

 相澤が敵を制圧する様子をしばらく観察していた敵連合のリーダー、死柄木がいきなり走り出し相澤に向かっていく。迎え撃つべく捕縛布を放つが動きが読まれておりあっさり受け止められる。

 

「24秒……20秒」

「!! ちっ!!」

「17秒」

 

 何かを察知した相澤は一気に距離を詰めて死柄木の懐に入り込み、身体へ肘をぶつける。が、攻撃場所を読まれていて左手でガードされていた。

 

「動き回るのでわかり辛いけど、髪が下がる瞬間がある」

「!?」

「1アクション終えるごとだ。そして、その間隔は段々短くなっている」 

 

 相澤は目を見開いた。死柄木に掴まれた右肘の服がボロボロになり、やがて右肘の表面にヒビが入っていく。

 

「無理をするなよイレイザーヘッド」

「ーーーーっ!!」

 

 空いていた左手で死柄木の顔を殴り一旦距離を取る。掴まれていた右肘はヒビの広がりは止まったが、ヒビの入った皮膚には裂傷ができておりその下の組織が見えていた。

 

「(肘が()()()!)」

 

「ふん!!」

「!」

 

 相澤の背後から2人の敵が襲い掛かるが、それを躱して反撃を加える。

 

「その『個性』じゃ……集団との()()決戦は向いてなくないか? 普段の仕事と勝手が違うんじゃないか? 君が得意なのはあくまで『奇襲からの短期決戦』じゃないか?」

 

 相澤は無言で敵に対処していく。

 

 死柄木のいうことは正しい。相澤の本来のスタイルは短期決戦、対集団戦闘は全くできないわけではないが得意のスタイルとは異なるものであった。

 

「それでも真正面から飛び込んできたのは、生徒に安心を与えるためか? かっこいいなあ、かっこいいなあ」

 

 死柄木の言葉に揶揄う雰囲気はなく、純粋に相澤への賞賛の意を含んでいた。

 

「ところでヒーロー、本命は俺じゃない」

 

 死柄木の言葉に相澤が疑問を持つ前に、()()が相澤の背後に立っていた。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

USJ出入口前

 

「くっ!!」

「ちょこざいな……! 外には出させない!」

 

 敵に捕まれまいと少しずつ方向転換をしながら飯田は出入口は向かっていく。敵もそんな飯田を外へ出さないように追いかけていき、徐々にその距離を詰めていく。

 

 その様子を見ていた麗日は何かに気付き、猛然と走っていった。

 

「麗日どうしたの!!」

「皆!! アレ!!」

 

 負傷した13号を介抱する芦戸の問いかけに麗日が敵の()()()()を指差しながら2人の跡を追っていく。

 

「(自動ドア! 蹴破るか!? 蹴破れる厚さか!?)ええい!!」

「なまいきだぞメガネ……! 消えろ!!」

「!!」

 

 ついに追いついた敵が飯田を飛ばすためワープゲートを発動させる。

 

 スカ

 

「「!?」」

 

 飯田がワープゲートに取り込まれると思った刹那、何かが敵を抱え上げた。

 

「理屈は知らへんけど、こんなん着とるなら実体あるってことじゃないかな……!!」

 

 背後から追いついた麗日が飯田が取り込まれる寸前で敵の首輪状の部分を掴み個性を発動、間一髪で浮かせていた。

 

「行けええ!!! 飯田くーーん!!!」

 

 そのまま個性を全開にして敵を空中へ放り投げる。

 

「(()()を!! しまった!!)」

 

 なんとか方向転換して再び飯田へ向かおうとするが、首輪部分を瀬呂がテープでくっつけて拘束し、砂藤がそれをさらに遠くへ投げ飛ばす。

 

「行けええ!!」

 

 クラスメイトの助けを受けて、飯田は扉を開けてついに施設外へ出ることに成功した。外に出た飯田は全速力で駆け出し、もはや敵が追いつくことは不可能だった。

 

「……応援を呼ばれる……ゲームオーバーだ」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

USJ広場前

 

「対平和の象徴、怪人『脳無』、なかなか上出来だな。『個性』を消せる、素敵だけどなんてことはないね。圧倒的な力の前では、つまり『無個性』だもの」

 

 死柄木の目の前で相澤は脳が剥き出しの怪物、脳無にうつ伏せで組み臥されていた。掴まれた右肘は巨大な手によって握りつぶされて、逆方向に折れ曲がっていた。

 

 そして……。

 

 グシャ

 

「ぐぁ……!!」

 

 無事な左腕も無造作に握り潰された。

 

「(小枝でも折るかのように……!! 身体の一部でも見れば消せる……! つまり、素の力がコレか! オールマイト並みじゃねえか……!)」

 

 そんな相澤を嘲笑うかのように……、脳無は相澤の頭を掴み地面に叩きつけた。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Izuku

 

 そんな……。あの怪物は一体……。

 

 ……相澤先生!!

 

「緑谷ダメだ……さすがに考え改めただろ……?」

「ケロ……」

 

 両腕があんな簡単に折られちゃうなんて……! 相澤先生、意識はあるのか? あいつを倒すなんて……ひょっとしたらオールマイトも……!

 

「死柄木弔」

「黒霧、13号はやったのか?」

 

 死柄木!? 黒霧!? あいつらの名前か? 13号先生、無事なのか!?

 

「行動不能にできたものの、散らし損ねた生徒がおりまして……一名逃げられました」

「…………は?」

 

 なんだって! 今一名逃げたって! 誰だろう? でも、外に連絡が取れたなら他のヒーローが応援に来てくれる! それまで身を守らなきゃ!

 

「はーーー。黒霧、お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしたよ。さすがに何十人ものプロ相手じゃ敵わない。ゲームオーバーだ、あーあ。今回はゲームオーバーだ。……帰ろっか」

 

 

「……? 帰る……? カエルっつったのか今?」

「そう聞こえたわ」

 

 確かにそう言った、『帰ろっか』って。でも……本当なのか?

 

「やっ、やったあ! 助かるんだ俺達!」

「ええ、でも…………気味が悪いわ緑谷ちゃん」

「うん……これだけのことをしといて……あっさり引き下がるなんて……」

 

 オールマイトを殺したいんじゃないのか!? これで帰ったら雄英の危機意識が上がるだけだぞ!! ゲームオーバー? 何だ……何考えてるんだ、こいつら!!

 

「けどもその前に、平和の象徴としての矜持を少しでも……へし折って帰ろう!」

 

 な! バレてた! こいつの手はさっき相澤先生の腕を!

 

 見えてるのに……体が動かない。なんで……? あいつの手が蛙吹さんの顔に……! 蛙吹さんが危ないのに……!

 

 ? あいつの手が蛙吹さんの目前で止まった? 一体どうして……?

 

「…………本っ当にかっこいいぜ、イレイザーヘッド」

 

 相澤先生! あんなにボロボロになってるのに! 僕らを守るために!

 

 ゴッ!!

 

 やらなきゃ! 僕がやらなきゃ! さっきの敵達とは明らかに違う!! 蛙吹さんを救けて逃げなきゃ!!!

 

「手っ……放せぇ!!」

「脳無」

「SMASH!!!」

 

 ズドオオオン!!!

 

 ……!? 折れてない!? 今の感触は5%ぐらいの出力だったけど、上手くいった! これで……。

 

 だが、僕が放った拳の先には死柄木とかいう男ではなく、脳無と呼ばれた怪物が立っていた。

 

 え……? いつの間に? ていうか、効いてない!?

 

 ……まさか、こいつが……オールマイトを殺せる算段!?

 

「いい動きするなあ……。スマッシュって……オールマイトのフォロワーかい? 女の子だけど珍しいねえ……。まあ、いいや君」

 

 ガシッ

 

 な、腕を掴まれた! あんな力で握り潰されたら!? 放せ!

 

 僕が手を何とか振り解こうとしたら、蛙吹さんが舌で僕を助けるように押しやる。 

 

 ダメだ梅雨ちゃん! 君も自分の身を守らなきゃ!

 

 バアアアン!!

 

「!!」

 

 僕らが絶体絶命の状況に陥っている中……。

 

「もう大丈夫!」

 

 ()はやってきた!

 

「私が来た!」

 

 NO1ヒーローにして平和の象徴、オールマイトが!

 

「オールマイトーーー!!!」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「もう大丈夫! 私が来た!」

 

 分厚い自動ドアを吹き飛ばしてオールマイトがUSJに入ってきた。

 

 その姿を捉えると死柄木はニヤリと、まるで楽しみにしていたゲームが届いたような笑み」を浮かべて呟いた。

 

「あー……コンティニューだ」

 




はい、予想通り前中後編ですね。次でまとめられるかなと思いますが、戦闘描写は難しいですねwちなみに自分は漫画とアニメ両方を参考にできるだけわかりやすくしようと心がけておりますが、いかがでしょうか?本当ならもう少しスッキリさせたいのですが、短く適切に描くのが難しいので長くなりがちですwその辺りも精進していきたいと思うのでよろしくお願い致します。
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