Side:Almight
「嫌な予感がしてね……校長の話を振り切りやって来たよ。来る途中で飯田少年とすれ違って……何が起きているか、ことのあらましを聞いた」
まったく己に腹が立つ……!!
子供らがどれだけ怖かったか……! 後輩らがどれだけ頑張ったか……!!
しかし……!! だからこそ、胸を張って言わねばならんのだ!!
「もう大丈夫……私が来た!」
「「「オールマイトォォ!!!!!」」」
―――――――――――――――――――――――――――――――――
Side:Izuku
オールマイト!! 来てくれたんだ……!
……でも、いつもと違って……笑ってない!!
「待ったよヒーロー。社会のごみめ」
「あれが……!! 生で見るの初めてだぜ!! 迫力すげえ……」
「バカヤロウ尻込みすんなよ! アレを殺って俺達が……」
初めて見るオールマイトに一部は圧倒されて怯んでいたけど、多くの敵がオールマイトを倒して名を上げようと企んでいた。
トッ! スカカカン!!
一瞬のことだった。オールマイトが階段から飛び出した瞬間、複数の敵を一撃で倒してあっという間に相澤先生の元に辿り着いた。
「(腕に……顔も……!)相澤君、すまない」
なんて早さだ! 全く見えなかった……!
相澤先生を肩に担ぐと、僕らの方に向き直った。
ギンッ!!
「「「!?」」」
オールマイトが鋭い眼光を向けた瞬間、僕や蛙吹さん、峰田君の身体がオールマイトに抱えられて死柄木、脳無から離れた位置に移動していた。
「皆入口へ。相澤君を頼んだ。意識がない、早く!!」
「え!? え!? あれ!? 速え……!!」
……すごい!! あのスピードで僕らを敵から怪我なく救うなんて……!!
オールマイト……!!
「ああああ……ダメだ……ごめんなさい……! お父さん……」
なんだ!? あの死柄木ってやつ! あのたくさんの手が付いた格好も変だけど、手が顔から取れた途端あんなに取り乱すなんて……。それに、お父さんって……まさか本物……!?
「救けるついでに殴られた……ははは、国家公認の暴力だ。さすがに速いや、目で追えない、けれど思った程じゃない。やはり本当だったのかな……? …………弱ってるって話……」
なんだこいつ!? やばいやばすぎる!! でも、あの脳無ってやつもやばい! オールマイトに伝えなきゃ!
「オールマイトだめです!! あの脳ミソ敵!! ワンフォ…っ、僕の腕が折れないくらいの力だけど、ビクともしなかった!! きっとあいつ……」
「緑谷少女」
オールマイトが僕の方を向き、右目の横でピースサインをしてニカっと笑いながら言った。
「大丈夫!」
こんな状況じゃないなら写真に収めたいほどの、笑っちゃうぐらいのあざとすぎるポーズだった……。
「CAROLINA……」
「脳無」
「SMASH!!」
オールマイトが両手を十字にクロスさせてスマッシュを放つが、脳無には全くダメージが見られない。本当にどうなっているんだ……。
「マジで全っ然……効いてないな!!!」
脳無の反撃を避けてすぐさまパンチを打ち返すが、それもビクともしない。
「効かないのは『ショック吸収』だからさ。脳無にダメージを与えたいなら、ゆうっくりと肉をえぐり取るとかが効果的だね……。それをさせてくれるかは別として」
「わざわざサンキュー! そういうことなら!! やりやすい!!」
ズドオオン!!
「何でバックドロップが爆発みてーになるんだろうな……!! やっぱダンチだぜオールマイト!!」
「授業はカンペ見ながらの新米さんなのに」
3人で相澤先生を運びながら峰田君と蛙吹さんがオールマイトの戦いぶりを見て驚嘆している。その圧倒的な破壊力を目にしたからか、その口ぶりには安堵が感じられる。
『殺す算段』があるのかもしれない……。それでも、今僕らに何を出来るでもないんだ。むしろそうだ……人質にとられでもしたら足手まとい以下だ。敵の憶測より……オールマイトを信じるんだ……!!
でも……。
「すげえ!! 奴らオールマイトをナメすぎだぜ!!」
「あ! デクちゃんたち!!」
クラスの皆は一見変わらないオールマイトの圧倒的なパワーに安心して戦いを見ている。
でも知ってるんだ!! 通学中は毎日リアルタイムのヒーローニュースを見てるんだ。
「やれええ!! 金的を狙ええーーー!!!」
「私達の考えすぎだったかしら……すごいわ……」
僕だけが……。
『私が笑うのはヒーローの重圧、そして内に湧く恐怖から己を欺く為さ』
僕だけが知ってる
……あっ!
「っ〜〜〜〜〜!! そういう感じか……!!」
なんだあれ!? 一体どうなってるんだ! オールマイトのバックドロップで脳無の上半身は地面に突き刺さってるはずなのに、上を向いてオールマイトの胴体を掴んでる。……あの黒いモヤは、ワープゲートの個性!?
「コンクリに深くつき立てて動きを封じる気だったか? それじゃ封じれないぜ? 脳無はおまえ並みのパワーになってるんだから。いいね黒霧、期せずしてチャンス到来だ」
「あイタ!! (なんというパワー!!
「私の中に血や臓物が溢れるので嫌なのですが……あなた程の者ならば喜んで受け入れる。目にも止まらぬ速度のあなたを拘束するのが脳無の役目。そしてあなたの身体が半端に留まった状態でゲートを閉じ、引きちぎるのが私の役目」
脳無って怪物が掴んでるオールマイトの胴体部分が血で滲んでる。指が刺さっているのか!? あそこは確かオールマイトの古傷のあったところだったはず……!
「蛙ス……っ……ユちゃん!」
「頑張ってくれてるのね、なあに緑谷ちゃん」
「相澤先生担ぐの代わって……!!」
「うん……けどなんで……」
「いいから! 早く!!」
梅雨ちゃんに相澤先生を担いでもらう。意識のない相澤先生は峰田君と2人がかりでも担ぐのは大変だと思うけど……オールマイトのピンチなんだ!
嫌だよオールマイト……。
教えてもらいたいことがまだ!! 山程あるんだ!!!
「オールマイトォ!!!!」
オールマイトの名前を叫びながら駆け出す。
オールマイトを……、憧れのヒーローを……、僕らの先生を……、そして僕の師匠を死なせはしない!!!
「浅はか」
「(緑谷少女!! 君って奴は……!」
僕が向かってくるのがわかった霧状敵『黒霧』が僕に対してもワープゲートを発動させようとするが、こんなのに怯んでいられない!僕がオールマイトを助けるんだ!
ワープゲートが僕の前に発動・展開されてもう少しで飲み込まれそうになった時……!
BOOOOM!!!
「どっけ邪魔だ!! デク!! てめえはすっ込んでろ!!」
慣れ親しんだ罵倒でかっちゃんが黒霧を爆破しながら掴みかかっていった。
ドッ
爆破で怯ませてから首輪みたいなところを押さえて地面に組み伏せた。あの部分は霧になれないのか。さすがかっちゃん、めざとい!
パキパキ
音のする方に目を向けるとオールマイトを拘束する脳無が氷に覆われている。これは、轟君の個性!? 横を見ると轟君が右足から個性を発動させていた。
「てめェらがオールマイト殺しを実行する役とだけ聞いた」
「だあー!!」
「!」
今度は声のする方を見ると切島君が死柄木に殴りかかっていたが、死柄木は訳もなく躱し切島君は苦い顔をした。
「くっそ!!! いいとこねー!」
「スカしてんじゃねえぞモヤモブが!!」
「平和の象徴はてめェ如きに殺れねえよ」
「かっちゃん……! 皆……!!」
僕だけじゃないんだ……! オールマイトを死なせたくない、助けたいと思う人は……!
負けない、絶対に!!!
―――――――――――――――――――――――――――――――――
「氷結……!! 轟少年か!!」
周囲から感じる冷気と自分を拘束する脳無が氷で覆われているのを見て、オールマイトは轟の個性によるものだとわかった。
「(私が凍らないギリギリの範囲をうまく調整して……!) おかげで! 手が緩んだ!!!」
脳無の手が緩んだ隙にオールマイトは拘束から抜け出した。
黒霧を組み伏せる勝己、死柄木と対峙する切島、氷結で脳無を抑え続ける轟、そして……出久。
オールマイトが自由になったことも合わせると一気に形成が逆転したかのように見える。
「出入口を押さえられた……こりゃあ……ピンチだなあ……」
そんな中でも死柄木はそれほど取り乱した様子を見せず、状況を冷静に分析しているように見えた。
「このウッカリヤローめ! やっぱ思った通りだ! モヤ状のワープゲートになれる箇所は
勝己が自身の予想を口にし、そして黒霧を拘束できたことでそれが間違いでなかったことを確信する。
「全身モヤの物理無効人生なら『危ない』っつー発想は出ねえもんなあ!!!」
「ぬうっ……」
「っと動くな!! 『怪しい動きをした』と俺が判断したらすぐ爆破する!!」
「ヒーローらしからぬ言動……」
黒霧はなんとか拘束から逃れようするが、勝己に爆破予告をされ身動きが出来なくなってしまう。
「攻略された上に全員ほぼ無傷……すごいなあ最近の子どもは……恥ずかしくなってくるぜ
「「「!?」」」
死柄木が脳無に指示した途端、信じられないことが起こった。轟の氷結で凍らされていた脳無が無理矢理に身体を起こしていく。当然凍っている部分は砕けてボロボロになるのだが、それに怯むこともなく立ち上がった。
「身体が割れているのに……動いてる……!?」
「皆下がれ!! なんだ!? ショック吸収の『個性』じゃないのか!?」
「別にそれだけとは言ってないだろう。これは『超再生』だな」
「「「!?」」」
見ているうちに脳無の砕けた右半身はほとんど元通りに再生していた。複数の個性、轟がいるように全く存在しない訳ではないが、こうも都合よく肉弾戦に強い個性が共存することは通常考えられない。
「脳無はおまえの100%にも耐えられるよう改造された超高性能サンドバック人間さ」
再生した脳無が一気に駆け出し、黒霧を押さえている勝己を殴り飛ばそうと距離を詰める。
「(速い!!)」
ドオオオン!!! ブオオ!!!
脳無が振るった拳で衝撃が発生し、強い風が巻き起こった。その様子はまさにオールマイトのようだった。
「かっちゃん!? かっちゃん!!! そんな!?」
「……うっせぇ黙れ……」
「かっちゃん!? 避けたの!? すごい……! 良かった……!」
「(何も……見えなかった……!)……違えよ、黙れクソデク」
脳無に殴り飛ばされたはずの勝己は出久のそばにいた。通常ではありえない移動速度だが、勝己の意志で移動したわけではなかった。
「……加減を知らんのか……」
吹き飛ばされたのはオールマイトだった。尋常じゃない脳無の突進に間一髪で勝己との間に割り込むと同時に怪我をしないように勝己を押し出し、代わりに脳無の拳を受けたのだった。一応ガードは間に合ったが、それでもダメージは免れず口の端から血が流れていた。
「(子どもをかばったか)仲間を救ける為さ、しかたないだろ? さっきだってホラそこの……あー……地味な奴、あいつが俺に思いっきり殴りかかろうとしたぜ? 他が為に振るう暴力は美談になるんだ、そうだろ? ヒーロー?」
死柄木は出久を指差しながら、さっきの出久の行動と今死柄木が脳無にさせたものと何が違うのかオールマイトに問いかける。
「俺はなオールマイト! 怒ってるんだ! 同じ暴力がヒーローと敵でカテゴライズされ善し悪しが決まるこの世の中に!! 何が平和の象徴!! 所詮抑圧の為の暴力装置だおまえは! 暴力は暴力しか生まないのだとおまえを殺すことで世に知らしめるのさ!」
「めちゃくちゃだな。そういう思想犯の目は静かに燃ゆるもの。自分が楽しみたいだけだろ、嘘吐きめ」
「バレるの早……」
嘘と見破られたにも関わらず言い訳や取り繕うことなく死柄木はニヤリと笑う。その笑顔には何を考えているのかわからない不気味さがあった。
「3対5だ」
「モヤの弱点はかっちゃんが暴いた……!!」
「とんでもねえ奴らだが、俺らでオールマイトのサポートすりゃ……撃退出来る!!」
15歳のこどもとはいえ雄英ヒーロー科に所属する生徒4名にオールマイトもいる。人数的に分は雄英側にあるように見える。
……だが。
「ダメだ!!! 逃げなさい!」
オールマイトは出久達に逃げるよう指示を出す。確かに人数的には有利、だが今回の襲撃犯の中で最も危険な敵達に生徒を相手させることはオールマイトのプロとしての矜持が許さなかった。
「……さっき俺がサポート入らなけりゃやばかったでしょう」
「オールマイト血が……それに時間だってないはずじゃ……あ……」
言いかけて出久は焦った。この場でオールマイトの身体や活動限界について知っているのは本人以外では出久のみ。他の3人は純粋に数的有利で戦闘に加わろうと考えていたが、出久はオールマイトの秘密がバレるのを危惧したため戦おうとしていたのだ。
「それはそれだ轟少年!! ありがとな!! しかし大丈夫!! プロの本気を見ていなさい!!」
轟と出久の言葉に感謝と教師としての指示を返し、死柄木達を見据える。
「脳無、黒霧、やれ。俺は子どもをあしらう。クリアして帰ろう!」
「(確かにもう時間は1分とない……! 力の衰えは思ったよりも早い! しかし、やらねばなるまい!!)」
黒霧と脳無に指示を出し、死柄木は出久達に向かって駆け出す。出久達も死柄木を迎撃できる体勢を取る。
「おい来てる、やるっきゃねえって!!」
「(何故なら私は……平和の象徴なのだから!!)」
ゾワッ
途端にその場にいる全員に悪寒が走り動きが止まる。オールマイトの鬼気迫る表情が死柄木達の敵連合だけでなく、出久達にも強烈なプレッシャーを与えていた。そして、オールマイトは脳無に向かっていくと拳をぶつけていった。
ドッ!
オールマイトと脳無の拳がぶつかり合い、鈍く大きな音が周囲に響く。
「『ショック吸収』って……さっき自分で言ってたじゃんか」
「そうだな!」
ドドドド!!
「「「!!」」」
「真正面から殴りあい!?」
「(近づけん!!!)」
オールマイトと脳無がその場で殴り合う。双方防御無視で相手の拳が当たろうが当たるまいがお構いなしに拳を振るい続ける。その衝撃は凄まじく、周囲にまで衝撃による強風が巻き起こり、出久達も死柄木達も全く近づけずにいた。
「『無効』でなく『吸収』ならば!! 限度があるんじゃないか!? 私対策!? 私の100%を耐えるなら!! さらに上からねじふせよう!!」
互角の殴り合いだったが、オールマイトのパンチの回転が上がっていき徐々に有利になっていく。血を吐きながらも拳を打ち込んでいく。
「(血を吐きながら……!! 全力で……!! ただめったやたらに撃ちこんでいるんじゃない! 一発一発が全部!! 100%以上の……!!)」
「ヒーローとは常にピンチをぶち壊していくもの!
ついに均衡が破れ脳無が大きく体勢を崩す。その隙にオールマイトは大きく踏み込んで脳無の懐に入り込み、トドメの一撃を叩き込む。
「PLUS ULTRA!!」
ドン!!!
ドガアアン!!!
オールマイトの一撃で脳無は吹き飛び、ドームの天井に穴を開けてもなお勢いはおさまらず、遥か彼方まで飛んでいった。
「……
「デタラメな力だ……再生も間に合わねえ程のラッシュってことか……」
「「(これがトップ……プロの世界か……!)」」
圧倒的なパワーで相手をねじ伏せる。口でいうのは容易いが実行するのは限りなく難しい。目の前で起こったことは現実だが、勝己、轟、切島はそれをまだ信じられずにいた。それほどまでの衝撃だった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
Side:Izuku
……信じられない。あれほど手応えのなかったあの脳無をあれだけ殴って遠くへ吹っ飛ばしちゃった。やっぱりオールマイトは凄いや!
……でも。
「やはり衰えた。全盛期なら5発も撃てば充分だったろうに、300発以上も撃ってしまった」
ノーガードで殴りあったから当然無傷とはいかなかったけど、それでも脳無を撃破したことで僕達が有利になったように見える。少なくとも
「(そして……時間切れだ)さてと、
「衰えた? 嘘だろ……完全に気圧されたよ。よくも俺の脳無を……チートがぁ……! 全然弱ってないじゃないか!!
「…………」
死柄木が動揺している。そりゃあ切り札を打ち負かされたんだからそうなるだろう。でも、全く安心はできない。まだあいつ自身の個性も不明だし黒霧のワープゲートがある。それに……。
「どうした? 来ないのかな!? クリアとかなんとか言ってたが……出来るものならしてみろよ!!」
「うぅうぉおおぉおおぉおおぉお……!!」
「さすがだ……俺達の出る幕じゃねえみたいだな……」
「緑谷! ここは退いた方がいいぜもう。却って人質とかにされたらやべえし……」
「おいデク! 弱えてめえが俺より前に出てんじゃねえ! とっとと下がれ!」
……違う! あれは虚勢だ……!
土埃に紛れてるけど……変身する時の蒸気みたいなものが出てる!!
「(もう動けんぞ……『脳無』とやらが強すぎた! ぶっちゃけもう一歩でも動けば力むのも維持できん! トゥルーフォームに戻ってしまう……! あと少し……! 迷え!! あと少しでも時間を稼ぐことができれば……!!)さぁどうした!?」
挑発とハッタリで相手に悟らせまいとしている。時間が経てば経つほどこの状況を学校に把握される可能性が高くなる。なんとかここで引いてくれるのが理想だけど……。
「脳無さえいれば!! 奴なら!! 何も感じずに立ち向かえるのに……!」
「死柄木弔、落ち着いて下さい。よく見れば脳無に受けたダメージは確実に表れている。どうやら子どもらは棒立ちの様子……あと数分もしないうちに増援が来てしまうでしょうが、死柄木と私で連携すればまだヤれるチャンスは充分にあるかと……」
「……うん……うんうん……そうだな……そうだよ……そうだ……やるっきゃないぜ……目の前にラスボスがいるんだもの……」
くそ! 黒霧が諭したせいで死柄木が冷静さを取り戻した! 今のオールマイトはもう……!
「主犯格はオールマイトがなんとかしてくれる! 俺達は他の連中を助けに……」
「緑谷」
「おいデク! ボサっとしてんじゃねえ! とっとと来いや!」
僕だけが……知ってるんだ……危険度で考えればモヤの方だ……オールマイトは恐らく限界を超えてしまってる……! モヤに翻弄されればきっと……!
コロサレチャウ……
……そんなの嫌だ!!!
「何より……脳無の仇だ」
「(来るんかい!! ったくホーリーシットだ! 早く……!!! 皆……)」
僕だけが知ってる
オールマイトは死なせない! 絶対に!
ダン!!
「な……緑谷!!?」
「デク!? てめえまた……!!」
ぐ……! 折れた!! さっきはうまくいったのに……!
でも!! 届いた!!
隠してる体部分!! そこを狙えば!! とばせる!!
「オールマイトから離れろ!!!」
ズボッ! ズルッ!
「二度目はありませんよ!!」
これは、死柄木の手! 相澤先生の肘に謎の怪我を負わせた!
でも、こんなもので怯んでたまるかーー!!!
ドズ!
「「!!!」」
そんな音が聞こえたと同時に死柄木の手に何かが刺さった。これは、銃弾……? さっきのは銃声で、ということは……!
「来たか!!!」
銃弾の当たった死柄木の手に触れられることはなかったが、黒霧の体にも触れられないまま僕は地面に打ち付けられる。衝撃に顔を顰めるが、USJの入口になんとか顔を向けると……。
「ごめんよ皆、遅くなったね。すぐ動ける者を集めてきた。」
「1ーAクラス委員長飯田天哉!! ただいま戻りました!!!」
あれは、先生達!!! それじゃあ、さっきの銃弾はスナイプ先生の個性だ!
やった! 飯田君がやってくれた! これでもう大丈夫だ!!
「あーあ、来ちゃったな……。ゲームオーバーだ。かえって出直すか黒霧……ぐっ!!!」
何発もの銃声がUSJ内に響く。スナイプ先生が死柄木達を逃すまいと攻撃をしている。でも、なかなかクリーンヒットしない。黒霧が銃弾を逸らしているのか? 今度は死柄木達が何かに引き寄せられる、13号先生のブラックホールだ!
でも、ワープゲートが発動されて死柄木の姿が徐々に見えなくなっていく。
「今回は失敗だったけど……今度は殺すぞ、平和の象徴オールマイト」
そう言い残してワープゲートが閉じられた。
逃げられた……。でも、よかった! オールマイトを守れた!
ぐっ……! 安心したら折れた痛みが……!
「またこんな怪我して……何も出来なかった……」
悔しさと情けなさで涙が出てくる。もっと僕が力をコントロールできれば、怪我もせずオールマイトや相澤先生を助けられたかもしれない。
僕は……僕は……!
「そんなことはないさ」
その言葉に驚き、僕は顔を上げる。その先には活動限界を迎えトゥルーフォームに戻ったオールマイトの姿があった。
「あの数秒がなければ、私はやられていた……!
「…………無事で……良かったです……!」
そう言って、僕は涙を流した。
でも……それは先ほどの悔し涙とは違って、オールマイトが無事だったことによる安心と嬉しさの涙だった。
なんとかUSJ編後編その①投稿できました。本当は一つにまとめたかったんですが、いつも通り長くなったので後編として二つに分けましたw次でUSJ編は終了でその次から雄英体育祭編になる、予定です。『予定は未定』と言いますが、予定通りいけるように頑張りますのでよろしくお願いいたします!