僕のヒーローアカデミア~諦めから始まる物語~   作:キョンP

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雄英体育祭準備編、その①です!例によって長くなったので分けましたw


第14話① 備えろ! 雄英体育祭!(前編)

Side:Izuku

 

「おはようございます、緑谷出久です。昨日の事件で皆さんにご心配おかけしました」

 

 USJ事件の翌日、臨時休校だったので昨日の夜にナイトアイさんに話した通り、早速事務所に電話を入れた。

 

『出久ちゃんおはよー! 昨日大丈夫だった!? もう私達もびっくりしちゃってー! すぐ連絡したかったんだけど、別の事件の対応やら報告やらでもうヘトヘトで連絡する時間がなくてさ。昨日サーから連絡あったんでしょ?』

「はい、夜に連絡がありました。ナイトアイさんも心配していたみたいでいろいろ声をかけてくれました」

『そっかー! 昨日は事務所総出で忙しくて、いろいろ残務処理もあったんだけどサーが多めに受け持つってことで早めに上がったの。さっき今日連絡来るからって言ってたから何時に来るかなーって待ってたの。今日って臨時休校なんだっけ?』

「はい、学校側でもいろいろ対応があるそうなので」

『まあ、そうだよねー。こんなこと今まで聞いたことないもん。ちなみにミリオ君はインターンだからあんまり関係ないみたいだけど』

「そうなんですか!? てっきりミリオさんも休みかと」

『その辺りはインターン先にある程度裁量があるからね。今はちょっと席外してるから先にセンチピーダーに変わるわね。はい、どうぞ』

『緑谷君、おはよう。昨日は大変だったね。怪我とかはなかったかな?』

「センチピーダーさんおはようございます。多少怪我しましたけど、リカバリーガールに治癒してもらったので大丈夫です」

『そうか、それはよかった。もしかしたら、今後はこんなことが増えるかもしれないから気をつけるんだよ』

「はい、ありがとうございます」

『えーと、ミリオ君は……あ、今戻ったから変わるよ。ほらミリオ君、緑谷君からだよ』

『はいはーい、出久ちゃん元気ー!? なんかやばいこと起こったね! 俺も今までそんなことなかったし聞いたこともなかったからもうびっくりくりだったよ!』

「ご心配おかけしました。そういえば、僕達は今日臨時休校なんですけどミリオさんは違うんですね? バブルガールさんはインターン先の裁量って言ってましたけど」

『そうだね、学校全体としては休校だけど、インターンの場所によってはあまり関係ないことがあるからね。俺の場合、最近は週のほとんどをこの事務所で働いているし、同期で大阪にいるやつも出勤しているって言ってたしね』

「もうほとんどプロみたいなものなんですね」

『ああ、その分責任もあるから気は抜けないね。出久ちゃん達1年生にはまだ先のことだけどいつかは必ずやることだから覚えておいて損はないと思うよ』

「わかりました、ありがとうございます。でも、あまり学校に来る機会はないみたいですね……。放課後にミリオさんと特訓できたらと思っていたんですけど、ちょっと難しそうですね」

『まあ、その辺りはサーとも相談しないとね。しょっちゅう出久ちゃんが事務所に来るのも結構大変だし。あ、でも来週から2週間ぐらいは学校に行くからその辺りで特訓やろうか?』

「え、いいんですか? それならぜひお願いしたんですけど、でもどうしてですか?」

『あれ? 出久ちゃん知らないの? 雄英に来る子はみんな知ってるもんだと思ってたけど……』

「? 何がですか?」

『雄英体育祭だよ! 知ってるでしょ?』

「……あ!」

 

 出久はようやく合点が入ったように声を出した。

 

 雄英体育祭。現在の日本におけるビッグイベントの一つ。超常社会成立以前はオリンピックやその他のスポーツイベントがその地位にいたが、超常社会成立後は雄英体育祭がそれに代わって日本中を熱狂させるイベントとなっている。

 

「でも、こんな事件があった直後にやってもいいものなんでしょうか? 警備の不備が立て続けに起こっているし……」

『それはそうだけど、その辺りは学校側が何か考えるんじゃないかな? これだけ大きなイベントを行わないとなるとそれはそれで問題が出てくると思うし』

「そういうものなんですか?」

『そういうものみたいだよ。多分明日にでも先生から説明があるんじゃないかな? 俺も一旦インターンを休止して体育祭のための訓練をする予定さ。俺は今年最後だからもちろん優勝を狙うよ! 出久ちゃんもそうでしょ!?』

「うーん、ちょっとまだ現実感がなくて……」

『……まあ、近いうちにわかるさ、そしたら実感もやる気も湧いてくるさ! あ、サーが来たから代わるね!』

 

 そういってミリオさんがナイトアイさんに代わった。

 

『おはよう緑谷君。昨日はゆっくり休めたかね?』

「おはようございます、ナイトアイさん。実は昨日遅くまで友達とおしゃべりしちゃって……」

『なるほど、夜ふかしもほどほどにね』

「はい、気をつけます」

『そういえば、さっきミリオが話していたように、そろそろ雄英体育祭があると思うが……』

「はい、僕もさっき聞いたんですけど、まだ先生からも説明がなくて……」

『ミリオも言ったように、今の日本において雄英体育祭はかなり大きなイベントだ。ほとんど全国民が注目していると言ってもいいだろう』

「全国民が……」

『このイベントは君達がヒーローを目指す上で必要な要素が含まれている。しっかり力を入れて頑張ってほしい』

「……わかりました、頑張ってみます」

『私がミリオを見出したのも雄英体育祭だった。君も精一杯アピールして世の中に君の存在を知らしめてほしい』

『俺はビリッケツでしたけどね!』

『今年は事務所皆で出久ちゃんとミリオくんの応援に行きたいですねー』

『事件とかが起きなければいいんでしょうが』

『そこは状況を見てからになるだろうね。厳しそうだったら私だけでも……』

『あー! サーずるいです! 私も観に行きたいですー!!』

『サー、ここは公平にくじで決めるべきかと……』

『あー、俺も出久ちゃんの方観たいなー。なんとかできないかなあ……』

 

 なんだか電話の向こう側で誰が観戦に行くかで話し合いが始まっちゃった……。でも、本当に開催するのかなあ?

 

『あー、緑谷君。そろそろ仕事が始まるからこの辺りで。また何かあれば連絡を』

「あ、はい。皆さんお仕事頑張ってください! 失礼しました」

 

 受話器越しの盛り上がる話し合いの内容に後ろ髪を引かれながら、僕は通話を終了した。

 

 

 雄英体育祭か……。去年までは観戦する側だったからめちゃくちゃ楽しみだったけど、自分がその舞台に立つってのはまだ実感が湧かないなあ……。

 

 そんなことを考えながら、久々にゆっくりした時間を過ごしていった。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 臨時休校の翌日、雄英高校ではUSJ事件のことで話が持ちきりだった。マスコミ侵入事件後にいろいろ注意されているが、それでも学校の校門付近では生徒からコメントをもらおうとマスコミが何社か待ち構えていた。

 

 襲撃された当の1ーA組も事件当日は気が張っていたこともあり気付かなかったが、ニュースや新聞等で取り上げられているのを見る度にとんでもないことに巻き込まれたと徐々に実感が湧いてきていた。

 

「ねえねえ、昨日のニュース見た?」

「うん、見たよ」

「クラスの皆が一瞬映ったでしょ? なんか私、全然目立ってなかったね……」

「確かにな……」

「あ、あの格好じゃ目立ちようがないもんね……」

 

「しっかし、どのチャンネルも結構デカく扱ってたよな」

「ビックリしたぜ」

「無理ないよ。プロヒーローを輩出するヒーロー科が襲われたんだから」

「あの時先生達が来なかったらどうなってたか」

「やめろよ瀬呂! 考えただけでもちびっちまうだろ」

「うっせえぞ! 黙れカス!!」

 

「けど、さすがオールマイトだよな。あのクソ強い敵を撃退したんだから」

「ああ、驚愕に値する強さだ」

 

 教室中で一昨日の出来事やそれを扱った昨日のニュースについて話が盛り上がっていた。

 

「緑谷、ちょいこっち来て」

「芦戸さん? どうかしたの?」

 

 そんな中、葦戸が出久に呼びかける。出久は言われるまま芦戸の席まで行くがすぐにそれを後悔することとなった。

 

「一昨日、爆豪と一緒に帰ったんだって? そこんところ詳しく教えて♪」

「ええ!? なんで芦戸さんが知ってるの!?」

「ごめんデクちゃん、私が口滑らせちゃった……」

「う、麗日さん……前のことと言い、ちょっと口が軽すぎない?」

「こーんな面白そうなこと黙ってるなんて許せないよ! さあさあ、ちゃっちゃと吐きなよ!」

「そうそう、吐きなよ吐きなよー!」

「葉隠さんまで……。帰るって言っても駅まで麗日さんや飯田君も一緒だったし、家までも特に何もなかったし……」

「ヒュ〜! やるじゃん緑谷!」

「幼馴染の殿方と一緒に下校するなんて……まるで少女漫画のようですわ!」

「百ちゃんも少女漫画を知っているのね……」

「じ、耳郎さんも八百万さんも蛙吹さんもやめて……かっちゃんとそんなことないから」

「梅雨ちゃんと呼んで?」

 

「爆豪てめー! 興味ない振りして女子とちゃっかり帰ってんじゃねえぞ!」

「でも、夜に女子を送っていくって漢らしいぜ!」

「幼馴染とキャッキャッウフフって仲良く帰ってしかも家まで付いて行くなんて許せん!! リア充爆発しろ!!!」

「うっせえ!! 脳みそ腐ってんのか!! てめえらこそ爆破してやろうかゴラァ!!!」

 

 芦戸の言葉をきっかけに教室の空気はカオスなものとなり、出久は女子全員に囲まれて詰問され、勝己も言いがかりに近い追及を受けていた。

 

「皆ー!! 朝のHRが始まる! 席につけー!!」

 

 クラス1空気を読まない、もとい真面目な委員長・飯田が着席するよう生徒を促す。飯田の声に皆が自分の席につくが、そこではたと思い出す。

 

 今日のHRが誰が行うのかと。

 

「梅雨ちゃん! 今日の、っと……HR誰がやるんだろう?」

「そうね、相澤先生は怪我で入院中のはずだし……」

 

 芦戸の質問に蛙吹が思案しながら答えると教室のドアが開いた。

 

「おはよう……」

「「「相澤先生復帰早えええ!!!」」」

 

 1ーA全員が驚愕した。両腕粉砕骨折、顔面骨折と通常なら病院で安静にしなければならない重傷を負った相澤が包帯姿で教室に入ってきた。

 

「プロ過ぎる……!」

「先生! 無事だったのですね!!」

「無事言うんかなぁ、あれ……」

「俺の安否はどうでも良い。何より戦いはまだ終わってねえ」

 

 上鳴、飯田、麗日の声をよそにややふらつきながら教壇に立ってそう語ると、教室全体に緊張が走る。

 

「戦い?」

「(もしかして……)」

「まだ敵がー!!?」

 

 『戦い』と言う言葉に生徒全員は固唾を飲んで相澤の次の言葉を待った。ざわつきが収まってから相澤は話を続けた。

 

「雄英体育祭が迫ってる!」

「「「クソ学校っぽいの来たあああ!!」」」

「(やっぱり……!)」

 

 相澤の言葉に教室に歓声が響いた。出久は前もって通形から聞いていたが、それでも自分もテレビで観戦していた雄英体育祭が開催されると告げられると少しずつ実感が湧くのを感じた。

 

「待って待って!」

「敵に侵入されたばっかなのに大丈夫なんですか!?」

「逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示す……って考えらしい。警備は例年の5倍に強化するそうだ。何より雄英(ウチ)の体育祭は……()()()()()()()、敵ごときで中止していい催しじゃねえ」

 

 耳郎が皆が思っているであろう疑問を口にした。学校側の考えは警備を増やして対応するという、結構な力技であるが中止することは敵の圧力に屈するということでもあるため、その判断も決して非合理と言えるものではない。

 

「いや、そこは中止しよう。体育の祭りだよ……」

「峰田君も雄英体育祭は知ってるでしょ? ……やっぱり不安?」

「知ってるに決まってんだろ。それに、不安にもなるだろそりゃあ……」

 

 入学して立て続けに警備上の不備が発生している中でそのような大きなイベントを開催できるのか、して良いのか。峰田や出久以外の生徒も不安や疑問を抱えていた。

 

「ウチの体育祭は日本のビッグイベントの一つ!! かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ全国が熱狂した。今は知っての通り規模も人口も縮小し形骸化した……。そして、日本に於いて今『かつてのオリンピック』に代わるのが雄英体育祭だ!!」

「当然全国のトップヒーローも観ますのよ、スカウト目的でね!」

「だから知ってるってば!」

「(ナイトアイさんも言ってた……、全国民が注目する大きなイベントだって……。そういう意味合いももちろんあるんだよね)」

 

 相澤の説明や八百万の言葉に出久はナイトアイの言葉を思い出した。日本中が注目すると言うのは何もそれは一般人に限らない。プロヒーローも将来のヒーローの卵をいち早くスカウトしようと例年会場やテレビで生徒の動きをチェックしているのである。

 

資格取得後(そつぎょうご)はプロ事務所にサイドキック(相棒)入りが定石(セオリー)だもんな」

「そっから独立しそびれて万年サイドキックってのも多いんだよね。上鳴、あんたそーなりそう。アホだし」

「くっ!!!」

「当然、名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限。プロに見込まれればその場で将来が拓けるわけだ」

 

 そこで言葉を切り、相澤は生徒たちの顔を見渡す。初めは敵襲撃後の開催に不安を覗かせる者もいたが、相澤の説明で次第に期待が高まってきているのがわかった。

 

「年に一回……計三回だけのチャンス。ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ! その気があるなら準備は怠るな!!」

「「「はい!!!」」」

「HRは以上だ」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Izuku

 

 4限目のセメントス先生の授業(現代文)が終わって昼休みになった。いつもは皆食堂にすぐ向かうけど、今日はHRで聞いた雄英体育祭の話で持ちきりだった。

 

「あんなことあったけど……なんだかんだテンション上がるなオイ!!」

「活躍して目立ちゃプロへのどでけぇ一歩を踏み出せる!」

 

 教室のいろんなところで皆が話してる。相澤先生が言ってたように雄英体育祭は全国が注目するイベントだから、クラスの皆も小さい頃からテレビで観ていただろうからその舞台に立てるのに興奮と期待が高まっているのがよくわかる。

 

 ……でも……。

 

「皆すごいノリノリだ……」

「君は違うのか? ヒーローになる為在籍しているのだから燃えるのは当然だろう!?」

 

 そう言って飯田君が妙な動きをしていた。……なんか変。

 

「飯田ちゃん独特な燃え方ね、変」

 

 蛙吹さんが冷静にツッコミを入れる。……良かった、僕だけじゃなかった。

 

「僕もそりゃそうだよ!? でも何かいまいち乗り切れないというか……」

「デクちゃん、飯田君……」

 

 自分が感じている、説明できない心の中のモヤモヤを言おうとしたら麗日さんに声をかけられる。声のした方を見ると……。

 

「頑張ろうね、体育祭!」

「顔がアレだよ麗日さん!!?」

 

 目力が入りすぎてて怖いよ麗日さん!? なんか禍々しいオーラが見えるし!

 

「どうした? 全然うららかじゃないよ麗日」

「……生ブベ!?」

 

 デリカシーのない峰田君の発言は蛙吹さんにによって強制キャンセルされた。……峰田君最低……。

 

「皆!! 私!! 頑張る!!」

「おおー! けどどうした? キャラがフワフワしてんぞ!!」

 

 麗日さんが握り拳を高々と突き上げて宣言する。ノリで僕らも拳をあげるけどかなり力が入ってるみたい。

 

 そういや……麗日さんに聞いてなかったな……

 

 

 

「お金……!? お金ほしいからプロヒーローに!?」

「究極的に言えば。なんかごめんね不純で……!! 飯田君とか立派な動機なのに私恥ずかしい」

「何故!? 生活の為に目標を掲げる事の何が立派じゃないんだ?」

「うん……。でも意外だね……」

 

 麗日さんにヒーローを目指す理由を聞いたら、思ったより即物的な答えが返ってきてびっくりしちゃった。でも、プロヒーローの中にも富や名声のために活動をしている人はいる。映像でしか見た事ないけど以前日本で活動していたこともあるアメリカのプロヒーロー、キャプテン・セレブリティがそんなイメージだ。来日前は派手で女好きな感じだったけど、日本での活動が彼に良い影響を与えたのか、帰国直前には日本でも熱烈なファンができて本国での活動もかなり評価が上がったらしい。

 

 

 麗日さんの理由はなんなんだろう?

 

「ウチ建設会社やってるんだけど……全っ然仕事なくってスカンピンなの。こういうのあんま人に言わん方が良いんだけど……」

「建設……」

「麗日さんの『個性』なら許可取ればコストかかんないね」

「でしょ!? それ昔父に言ったんだよ! でも……」

 

 麗日さんのお父さん達は麗日さんが彼女の夢を叶えてくれることを強く願ったらしい。スカートの裾を強く握りながら力強く言葉を紡いだ。

 

「私は絶対ヒーローになってお金稼いで、父ちゃん母ちゃんに楽させたげるんだ」

 

 ……憧れだけじゃなくて現実を加味した上で、ヒーローを目指しているんだ……。

 

 ……僕は、どうなんだろう……? 

 

「麗日君……! ブラーボー!!」

 

 飯田君が拍手しながら麗日さんを称賛している。こういう真面目なところが飯田君の良いところなんだろうな……。でも、廊下で大声で拍手をするのはちょっとやめた方が良いかも……。

 

「おお!! 緑谷少女がいた!!」

「うわ!? びっくりした〜」

「オールマイト、廊下で大声は控えた方がいいですよ!」

「(飯田君がそれを言っちゃうのか……)オールマイト、どうかしたんですか?」

「ごはん……一緒に食べよ?」

「乙女や!!!(ブファ)」

「……はい、ぜひ」

 

 うーん、あの巨体でこの仕草、あざとい……。麗日さん、吹き出すほど笑わなくてもいいのに。

 

 でも、なんだろう?

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

食堂『LUNCH RUSHのメシ処』

 

「デクちゃんとオールマイト、何だろね?」

「オールマイトが襲われた際、1人飛び出したと聞いたぞ。その関係じゃないか?」

 

 昼休みの食堂は多くの生徒でごった返していた。飯田と麗日も各々が食べたいメニューの列に並びながら先ほどのことを話していた。NO1ヒーローに昼食に誘われることはなかなかあることではない。

 

「蛙吹君が言ってたように超絶パワーも似ているし、オールマイトに気に入られたかもな」

「なるほど! それなら納得だね」

 

 2人なりにそう理由を結論づけて、食堂の列をそのまま進んでいった。

 

 同じクラスの轟が2人の会話を聞いていたことに気づかないまま……。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Izuku

 

「50分前後……!!?」

「ああ……私の活動限界の時間だ、無茶が続いてね。マッスルフォームはギリギリ1時間半くらい維持出来るって感じ」

「そんなことに……」

 

 1時間を切っちゃってる。やっぱりUSJでの無茶が響いているんだ……。僕が足手まといにならなければこんなことにはならなかったかもしれないのに……。

 

「ごめんなさい……」

「謝らんで良いよ! 全く、似たとこあるよな君と私」

 

 オールマイトは吐血して笑いながら僕にそう言って慰めてくれた。僕とオールマイト、似てるかな?

 

「それより体育祭の話だ。どうかな、『ワン・フォー・オール』の調整上手くいってるかな?」

「はい、今のところ集中して1、2%程度で……あ、でもあの『脳無』って敵に撃ったとき……5%の出力で反動なく打てました」

「ああ! そういや言ってたな!! 一気に2倍以上になったけど、何が違ったんだろ」

 

 違い……なんだろう? 今までと明らかに違う部分、あの時は確か……。

 

 『簡単に人を殺せる力です』

 

 授業前に聞いた13号先生の言葉を不意に思い出す。違いがあるとすれば……。

 

「……初めて……()に使おうとしました、自分の意志で」

「Umm……無意識的にブレーキをかけることに成功したって感じか。それに力の出力具合も把握できてる。なんにせよ……進展したね、良かった」

 

 オールマイトがにこりと笑ってそう言ってくれた。あの時は無我夢中だったし、結局効かなかったけど全く無駄じゃなかったみたいだ。

 

「ぶっちゃけ、私が平和の象徴として立っていられる時間って……実はそんなに長くない」

「そんな……」

「悪意を蓄えている奴の中にそれに気付き始めている者がいる。君に『力』を授けたのは、『私』を引き継いで欲しいからだ!」

 

 そう言って、オールマイトが僕を見つめる、強い意志と願いを込めて。

 

「体育祭……全国が注目しているビッグイベント! 今こうして話しているのは他でもない!!! 次世代のオールマイト……象徴の卵……」

 

 強い視線に射抜かれ背筋が強張る。僕は答えられるのか……?

 

「君が来た! ってことを世の中に知らしめてほしい!!」

 

 オールマイトの、NO1ヒーローの期待に……。

 

 

 




本当は一つに纏めたかったのですが、毎度のごとく文章が長くなったので分けましたwその②はできれば早めに投稿したいと思ってます!雄英体育祭編は原作の中でも個人的に好きなところなので頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願い致します♪
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