僕のヒーローアカデミア~諦めから始まる物語~   作:キョンP

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体育祭準備編その②です♪


第14話② 備えろ! 雄英体育祭!(後編)

Side:Izuku

 

「君が来た! ってことを世の中に知らしめてほしい!!」

 

 オールマイトが僕を見据えて力強く願う。もちろん、僕だって期待に応えたい!

 

 ……でも……。

 

「『僕が来た!』って……でもどうやって……」

 

 オールマイトの言葉に僕は率直に疑問を示す。僕の存在を知らしめる、と言ってもどんな風にやっていくのかイメージが湧かない。

 

「雄英体育祭のシステムは知っているね?」

「っハイ! もちろん!」

 

 もちろん知ってる! 入学前から、小さい頃から憧れのオールマイトの母校だったから毎年欠かさずに見ていた。確か……。

 

「サポート科・経営科・普通科・ヒーロー科がごった煮になって、学年ごとに各種競技の予選を行い……勝ち抜いた生徒が本戦で競う……いわゆる学年別総当たり」

「そう!! つまり、全力で自己アピール出来る!!」

「ハア……」

「ハアて!!!」

 

 思わず生返事しちゃった……。でも自己アピールって言われても……。

 

「いや……あの……仰ることはもっともです。でも、正直あんなことの直後でいまいち乗り切れないっていうか……。そもそももうオールマイトやナイトアイさん、ミリオさんに見て貰えてるし僕的には体育祭で目立つモチベというか、そもそも現状こんな感じで目立てるとは思えないし体力テストでもあまり良くなかったし」

 

 それに……さっき麗日さんの言ってたことも引っかかってる。彼女は彼女の夢だけでなく両親を楽させたいという親孝行のためという動機がある。

 

 『僕は僕自身の願いだけのため、エゴのためにヒーローを目指しているんじゃないか?』

 

 そんなことが頭をよぎってしまった……。

 

「ナンセンス界じゃ他の追随を許さないな君は!!!」

「な、ナンセンス界……!」

 

 なんですか、ナンセンス界って……。

 

「謙虚さは君の良いところであり美徳だと思うよ。だが、常にトップを狙う者とそうでない者……そのわずかな気持ちの差は社会に出てから大きく響くぞ」

 

 『社会に出てから響く』

 

 NO1ヒーローとして活動してきたオールマイトの重みのある言葉が僕の胸に刺さる。

 

「気持ちはわかるし私の都合だ、強制はしない。ただ……海浜公園でのあの気持ちを忘れないでくれよな」

 

 海浜公園での気持ち……。

 

 『あなたみたいな最高のヒーローに……!!』

 

 そう、あの時の気持ちに嘘はない。でも……。

 

 

 

 

「うおおお……何ごとだあ!!!?」

 

 放課後になり帰り支度を整えて、麗日さん達と教室から出ようとドアを開けると外は大勢の生徒でごった返していた。これ、ヒーロー科だけじゃなくて普通科や他学科の人達もいるよね?

 

「出れねーじゃん! 何しに来たんだよ」

「敵情視察だろザコ」

 

 かっちゃんの言葉に峰田君がとんでもないものを見た顔をしている。ごめんね峰田君、あれがニュートラルなの……。

 

(ヴィラン)の襲撃を耐え抜いた連中だもんな。体育祭(たたかい)の前に見ときてえんだろ」

 

 そうか、そりゃそうだよね。ある意味、一番早く実践を経験しているわけだからどんな生徒がいるとかあわよくば個性とかを確認したいんだろう。純粋に興味本位の人もいるとは思うけど。

 

「意味ねェからどけモブ共」

 

 って!? 見ず知らずの人達に何言っちゃってるの!?

 

「かっちゃんその言い方はまずいよ!」

「知らない人の事とりあえずモブって言うのやめなよ!」

 

「かっちゃん? あの顔にかっちゃん?」

「あいつにかっちゃん呼びは違和感半端ない」

「さすが噂の1ーA、あんな奴でもあだ名呼びなんだな」

「あの子、見た目地味っぽいけど実はすごいのかな?」

 

 うう……同じクラスの皆はいまさら気にならないけど、他のクラスの人達にこんな注目のされ方はしたくなかった……。恨むよかっちゃん……。

 

「どんなもんかと見に来たがずいぶん偉そうだなぁ。ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」

「ああ!?」

「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ」

 

 そう言いながら人垣の中から紫色の髪をした男子生徒が前に出てきた。身長が高い、飯田君と同じくらいかな? でも、言い方になんか棘があるような……。

 

「普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴、けっこういるんだ。知ってた?」

「「「?」」」

「体育祭のリザルトによっちゃヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆も然りらしいよ……」

 

 ヒーロー科編入、一応制度としてはあるけど実際に編入した事例はそこまで多くないらしい。けど、ヒーロー科編入の逆ってことは……。

 

「敵情視察? 少なくとも普通科(おれ)は調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー、宣戦布告しに来たつもり」

 

 ……この人も大胆不敵だな!!

 

 中学時代はなかったけど、かっちゃんの言動ってやっぱり敵を増やしちゃうよね……。

 

「隣のB組のモンだけどよぅ!! 敵と戦ったっつうから話聞こうと思ってんだがよぅ!! エラく調子づいっちゃってんなオイ!!!  本番で恥ずかしい事んなっぞ!!」

 

 また不敵な人キタ!!

 

「…………」

 

 かっちゃん、どうしてくれんのさこの空気。最悪だよ……。

 

 麗日さん・飯田君の3人、いやクラスの皆でかっちゃんをじっと見てたけど、その視線を無視して教室に人混みを押し分けて教室の外に出ようとする。

 

「待てコラ! どうしてくれんだ!? おめーのせいでヘイト集まりまくっちまってんじゃねえか!!」

「関係ねえよ……」

「はあーーー!?」

「上に上がりゃ、関係ねえ」

 

 かっちゃんの言葉にクラスの皆の動きが止まる。

 

 どんな罵声もトップに立てばただの雑音、ってことか……。

 

 ……なんだか、かっちゃんらしいや。本人が一番罵声を言ってるんだけどね…。

 

「く……! シンプルで男らしいじゃねえか!」

「上か……一理あるな」

「言うね」

「騙されんな! 無駄に敵増やしただけだぞ!」

「…………」

 

 『絶対ヒーローになってお金稼いで、父ちゃん母ちゃんに楽させたげるんだ』

 『兄に憧れヒーローを志した』

 『時間は有限』

 『そのわずかな気持ちの差は社会に出てから大きく響くぞ』

 

 バカか……僕は!

 僕だって、絶対にヒーローになるってあの時誓ったじゃないか!

 

 雄英体育祭、絶対に負けられない! 

 

 

 

 ……でも、上鳴君の言うことももっともだよね。この場でアレを言う必要はなかったよね……。

 

 

 

 帰宅して食事までの時間、勉強して筋トレをしていたらスマホが鳴った。着信相手はミリオさん。

 

「はい、緑谷出久です」

『はーい、出久ちゃん! 今時間大丈夫かな?』

「はい、大丈夫です」

『体育祭に向けた特訓の話だけど、サーと相談して明日から体育祭が終わるまではインターンは休止することになったんだ。だから、明日からでも特訓始められるけど、どうかな?』

「!! はい! ぜひお願いします!」

『それじゃあ、明日の放課後に体育館αに来てね!』

「はい! ありがとうございます!」

『体育祭、頑張ろうね! それじゃあ、また明日! お休み!』

「はい、お休みなさい」

 

 よし! これでOFA(ワン・フォー・オール)の特訓ができる! USJ事件の時の感覚を覚えているうちに、それを習得できれば体育祭だけじゃなくて、それ以降の訓練にも役に立つよ!

 

 ナイトアイさん、ミリオさん、ありがとうございます! 僕、頑張ります!

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 翌日の放課後、僕は雄英高校内の体育施設『体育館α』に来ていた。雄英高校は敷地がめちゃくちゃ広いから途中迷いそうになったけど、なんとかたどり着くことができた。……それにしても、体育館っていくつあるんだろう?

 

「おーい出久ちゃん! こっちこっちー!」

 

 キョロキョロ辺りを見回していたら、ミリオさんに呼びかけられた。声のした方に向かうとミリオさんの他にも人がいた。同級生の人かな?

 

「はーい、出久ちゃん。実際に会うのは2週間ぶり位かな?」

「そうですね、雄英入学前に事務所に行った時以来ですからそれ位になりますかね? でも、よく事務所に電話してるからあんまり久しぶりって感じはしませんね。ところで、そち「ねえねえ通形、この子が通形よく言ってた後輩の子だよね? 通形が試験勉強でアドバイスしてあげたって話。お名前教えてくれる? あ、私は波動ねじれ! 通形とこっちの天喰環君と同じクラスで3人で雄英ビッグ3って言われてるの! 私達がそう名乗ったことないのに不思議だよね。環君なんてそう呼ばれると名前負けしてるから辛いって言ってるの、もっと自信持っていいと思うんだけどな、あなたもそう思わない?」

 

 怒涛のマシンガントークに面食らっちゃった……。でも、雄英ビッグ3は聞いたことある。雄英高校ヒーロー科でもトップ3の人達でその実力は既にトップヒーローに匹敵するって話だった。っていうか……!

 

「ミリオさん雄英ビッグ3だったんですか!?」

「あれ? 言ってなかったっけ? ていうか言わなくても出久ちゃんなら知ってると思ってたんだけど……」

「いや、去年は試験勉強やら特訓やらで忙しくて、いろいろ情報が追いきれてないところがあるんですよ! 今、必死で情報をアップデートしてる最中なんです! 勉強とトレーニングの合間を縫って!」

「そ、そうなんだ……ごめんね……。っとそれじゃあ俺から紹介しておこうかな? 彼女は緑谷出久ちゃん。今年雄英高校に入学したピカピカの1年生だよ。出久ちゃんと知り合ったのは1年ちょっと前で、出久ちゃんとサーが知り合いってことで事務所に来るようになったのがきっかけさ。それから雄英入学までは波動さんが言ってたように進路のこととか試験のこととか色々アドバイスしていたのさ」

「ねえ通形、紹介もいいけど早く訓練始めたいな! 借りてる時間も限られてるんでしょ? 訓練頑張って今年は3人ともいい順位取れたらいいね!」

「……あのサー・ナイトアイと知り合いなのか? 君すごいね……。俺だったらその若さでそんな有名ヒーローと知り合いになるなんてとても無理だ……」

 

 ミリオさんが僕について紹介してくれたけど、波動さんはもう僕に興味がなくなったのか早く訓練がしたいのかソワソワして落ち着かない。……なんか不思議な人だな。それから、もう1人の人、天喰先輩、でいいのかな? この人はこの人でなんというか、ネガティブというか暗いというか……。

 

「あ、出久ちゃん今この人達ちょっと変って思ったでしょ?」

「い、いえそんなことは!」

「大丈夫、ちょっとどころじゃなくてかなり変だから」

「は、はあ……」

「んじゃあ次は2人を紹介するね。彼女は波動ねじれさん。雄英ビッグ3の一角で、まあ見ての通り天真爛漫で自由な人だよ。ちなみに去年は文化祭のミスコンで準グランプリになってるよ」

「ミスコンで準グランプリ!? 綺麗で可愛らしいと思ってましたけど、準グランプリだなんてすご「ねえねえ通形、出久ちゃんめちゃくちゃいい子だね! 今日特訓やめて今から遊びに行かない? ねえねえ出久ちゃん、どこに行きたい? 私はねえ、駅前に新しくできたケーキ屋さんに行きたいなー!」

「波動さん、今日からしばらくは訓練続けるからケーキ屋はまた今度ね。んで、こっちは天喰環、同じくクラスメイトで俺とは小学校からの付き合いさ。ちょっとネガティブ思考なのが玉に瑕だけど、こっちも雄英ビッグ3の一角だから実力は折り紙付きさ」

「ミリオ、俺を紹介してくれるのは有難いが、今日会ったばかりの1年生、しかも女の子だから緊張で胃が痛むんだ。あまり持ち上げないでくれ、痛たた……」

「……えーと、よろしくお願いします……」

「それじゃあ、時間も限られているから早速特訓始めようか、レッツトレーニング!」

 

 

 

 ミリオさんの合図でそれから2時間ほどみっちり特訓を行った。波動さんや天喰さんも自分の訓練の合間に僕の様子を見てくれて、さらにいろいろアドバイスもしてくれた。それにしても、2人の個性もすごいものだった。波動さんの個性『波動』は自身の活力をエネルギーにして衝撃波を撃てるというもので、そのエネルギーで自身を浮かせることもできるらしい。でも、なぜかエネルギーはねじれてしまうからスピードが出なくて、また攻撃範囲も広くなってしまうから扱いには注意が必要みたいだけどそれを考慮してもすごく強力な個性だ。天喰さんの個性は『再現』で、食べたものの特徴を自身の体で再現できるというもので今まで聞いたこともないものだった。体にあさりの貝を再現したり、鳥の羽を再現したりしてしかも複合できるみたいだからこれもすごい個性だ。

 

「でも、ここまでできるようになるのは結構大変だったよー。最初はねじれが大きすぎて周囲の被害範囲も大きくなっちゃって」

「そうだね、俺なんか最初は食べた野菜の芽を出すのも苦労したよ……」

「俺については前に話したよね」

「はい、皆さんもいろいろ努力して今の力があるんですね……」

「そうだよ♪出久ちゃんは個性発現が遅かったって話だからまだ制御が難しいみたいだけど、ノミの心臓の環君でもこうしてビッグ3になれたんだから大丈夫だよ!」

「波動さん、時々俺にきついこと言いますよね……」

「あ、あはは……」

「……出久ちゃん、悩みは吹っ切れたかな?」

「ミリオさん……」

「一昨日まではまだ乗り気じゃなさそうだったからちょっと心配してたんだけどね、大丈夫そうでよかったよ」

「……はい、クラスの友達や他の科の人達の意気込みや覚悟を目の当たりにして……僕もこんなところで立ち止まっている場合じゃないって気づいて。僕にも叶えたいことがあるから……」

 

 昨日、麗日さんやかっちゃんや普通科の人の話を聞いて、自分の願いや想いを叶えるためにはなりふり構わず頑張らなきゃいけないって感じた。

 

 オールマイトが言いたかったことは、このことだったのかな……?

 

「出久ちゃん、頑張り屋でいい子だねー! 雄英体育祭、本番までまだ時間はあるから頑張ろうね! 通形、本番までは毎日やるんだよね?」

「うん、そのつもりだよ。もう体育館の予約は入れてるからその辺は大丈夫だよ」

「緑谷さんならやれるよ、ミリオやサー・ナイトアイが見込んでいるんだから」

「そこは環君も頑張らないと! ここにいる4人で上位を目指そー!」

「……そうだね」

「お、環にしては乗り気だな」

「緑谷さんを見て昔の自分を思い出したんだ、がむしゃらに頑張ってた頃をね。最後の雄英体育祭なんだ、せっかくだから頑張らないとね」

「やる気のある環君珍しー! でも、優勝するのは私だよー!」

「いやいや、ここはビッグ3の一番手の俺だよ!」

「せっかくやる気を出したから俺が……いや、やっぱり慣れないテンションはあまり良くないな、動悸がしてくる……」

「……」

 

 本当にこれまで一緒に、切磋琢磨して来たんだな……。僕はまだ入学してまだ1ヶ月も経ってないけど、こうやって1ーAの皆と一緒に成長していくんだろうなあ……。

 

 そのステージに行くために、全力で頑張らなきゃ!

 

「ミリオさん、波動さん、天喰さん。体育祭本番までよろしくお願いします!」

「……いいよ出久ちゃん。皆あ頑張ろー!」

「「「おー!!!」

「お、おー……」

 

 オールマイト、ナイトアイさん。僕頑張ります!

 

 『僕が来た!』って、胸を張って言えるように!

 




という訳で後編でした♪おそらく過去最速で次話を投稿しましたwまあ、元々一つにまとめようか悩んでいたものを分けただけなのでそこまで大変ではありませんでしたがwねじれちゃんが文章考えて楽しかったですw
次から雄英体育祭本番です!多分相変わらず長くかかると思いますが、よろしくお願いいたします♪
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