僕のヒーローアカデミア~諦めから始まる物語~   作:キョンP

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雄英体育祭障害物競走です! 出久はどんな動きを見せるのか! それではどうぞ!


第16話 蹴散らせ! 障害物競走!

『スターーーーーート!!!』

 

 ミッドナイトの合図で雄英体育祭1年生ステージの第一種目、障害物競走が始まった。会場外へのステージゲートへ多くの出場者が殺到するが、その幅は狭く大混雑が発生していた。

 

『さーて実況していくぜ! 解説アーユーレディ!? ミイラマン!!』

『無理矢理呼んだんだろうが……』

『早速だがミイラマン! 序盤の見どころは!?』

『……今だよ』

 

「って! ステージゲート狭すぎだろ!!」

「(……! コレだけ人が詰まっている、ってことはスタート地点(ここ)がもう……!!)」

「最初のふるい」

 

 パキパキパキパキ

 

 スタートから頭一つ抜け出した轟が個性を発動させ、地面を氷結させる。何も知らない出場者は氷結を避けることができず、その場から動けなくなってしまう。

 

「ってえー!! 何だ凍った!! 動けん!!」

「寒ー!!」

「んのヤロォオオ!!」

 

 『半冷』の個性を発動し多くの者を足止めしたことでレースは早くも轟の独走状態になると思われた、が……。

 

 BOOM

 

「甘いわ轟さん!」

「そう上手くいかせねえよ半分野郎!!」

「っぶな」

「そいつは一度受けてる、二度目はないぞ」

「うおお!?」

「ひゃああ!」

「超必はまだ使われへんわ!」

「使いなれてんなあ、個性……」

「クラス連中は()()として、思ったよりよけられたな……」

 

 轟の個性を知っているA組生徒は氷結で動きを封じてくることを予測して自身の個性や跳躍によって凍らされることを避けた。A組以外の生徒も周囲の状況を把握して氷結を回避し、轟やA組生徒に遅れまいとしていた。

 

「轟のウラのウラをかいてやったぜ、ざまあねえってんだ! くらえ、オイラの必殺……グレーPぐはあ!?」

「峰田君!!」

 

 峰田が個性による技を使おうとした瞬間、横から大きな機械にぶつかり弾き飛ばした。

 

「ターゲット……大量!」

「入試の仮想(ヴィラン)!!?」

 

 ウィィ……ガゴ……ズズン!

 

 周囲から機械の駆動音が聞こえてきて、仮想敵が続々と集まってくる。さらに一際大きな影が出場者の前に立ちはだかった。

 

『さぁ、いきなりの障害物だ!! まずは手始め……第一関門、ロボ・インフェルノ!!』

 

「入試ん時の0P敵(ポイントヴィラン)じゃねえか!!!」

「マジか! ヒーロー科あんなんと戦ったの!?」

「多すぎて通れねえ!!」

 

「一般入試用の仮想敵ってやつか」

「どこからお金が出てくるのかしら……」

 

 推薦合格だった轟と八百万は一般入試用の仮想敵を見るのは初めてだった。

 

「せっかくならもっとすげえの用意してもらいてえもんだな」

 

 バッ! パキパキ……

 

 初めてみるロボ・インフェルノに臆することなく轟は低く構える。その轟をロボ・インフェルノが踏み潰さんと足を前に進める。

 

「クソ親父が見てるんだから」

 

 ブワァ! パキパキ!

 

 低い構えから冷気を纏った右腕を振り上げると、強烈な冷気が仮想敵に浴びせられ一瞬でその巨体を氷漬けにしてしまった。

 

「あいつが止めたぞ!!」

「あの隙間だ! 通れる!」

 

 出場者は轟が凍らせた仮想敵の横を通ろうとする。

 

 ……が。

 

「やめとけ。不安定な体勢ん時に凍らしたから……」

 

 グラァ……ドォオオオオオン!!!

 

「倒れるぞ」

 

 轟が凍らせたロボ・インフェルノがバランスを崩し、そのまま地面に大きな音を立てながら倒れた。

 

『1ーA轟!! 攻略と妨害を一度に!! こいつぁシヴィー!!! すげえな!! 一抜けだ!!アレだなもうなんか……ズリィな!!』

『合理的かつ戦略的行動だ』

『さすがは推薦入学者!! 初めて戦ったロボ・インフェルノを全く寄せ付けないエリートっぷりだー!!』

 

 プレゼント・マイクと相澤の解説の中、出場者達に向かって多くの仮想敵が襲いかかっていった。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Izuku

 

 くっ! やっぱり轟君凄い!! 僕も早く……! 周りの妨害も気にしつつロボット攻略しなきゃ……!

 

「お、おい! 誰か下敷きになったぞ!!」

「死んだんじゃねえか!? 死ぬのかこの体育祭!!?」

「……」

 

 え!? 下敷きになった人いるの!? その人大丈夫なの!?

 

 ベゴ……ベゴ……ボゴンッ!

 

「死ぬかぁー!!」

『1ーA切島潰されてたー!!』

「轟のヤロウ! ワザと倒れるタイミングで! 俺じゃなかったら死んでたぞ!!」

 

 切島君!! 良かった……。いや、潰されるのは良くないけど! でも、さすが『硬化』の個性、あんな重たいものに潰されても平気なんだ! ……ん? なんか別の音も聞こえてくるような?

 

 ベコッ……バコッ……

 

「A組のヤロウは本当嫌な奴ばっかりだな……!」

 

 バゴン!

 

「俺じゃなかったら死んでたぞ!!」

「B組の奴!!」

『B組鉄哲も潰されてたー!! ウケる!!』

 

 B組のあの人も潰されてたんだ! でも切島君と同様に無事……同系統の個性なのかな? よく見ると表面に光沢が……そうか! 身体全体が金属化しているのか! あれも切島君と同じように防御力がとても高そうだ!

 

「『個性』ダダ被りかよ!! ただでさえ地味なのに!!」

 

 切島君、そういえば個性が地味って気にしてたな……。凄い個性だから泣かなくてもいいのに。あとマイク先生、いくら雄英だからって『ウケる』はまずいと思いますよ……。

 

「良いなあいつら……。潰される心配なく突破できる」

「とりあえず俺らは一時協力して道拓くぞ!」

 

 そうだ! 立ち止まってる時間はない! この仮想敵の大群をどうするか……。

 

 BOOM

 

 この音はかっちゃん!

 

 音のする方向に目を向けると、かっちゃんが爆破で空中を飛び進みながらロボ・インフェルノを越えていく。

 

『1ーA爆豪、下がダメなら頭上かよー!! クレバー!!』

 

 瀬呂君と常闇君も同じように上へと登っていった。なるほど、下だと潰される可能性があるけど上にいければその心配はなくなる。

僕もOFA5%でジャンプできなくはないけど、着地時が不安だから同じ手は使えない。やっぱり下から突破していかないと!

 

 視線を上から正面に向き直すと、入試の時の仮想敵が僕を捕捉したようで攻撃を加えようと向かってきた。

 

 大丈夫、僕ならできる! オールマイト、ナイトアイさん、ミリオさん、ねじれさん、天喰さん……。支えてくれた皆から教えてもらったものを活かして、絶対予選突破するんだ!

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『一足先行く連中A組多いなやっぱ!』

 

 教師陣の観戦スペースでプレゼント・マイクの実況を聞きながら、オールマイトは他の教師と予選の様子を観戦していた。出久だけでなく、他の1ーA生徒と他クラスの生徒の動きを見ながら一つの考えに達した。

 

「他の科もB組も決して悪くはない! ただ……」

 

「立ち止まる時間が短い」

 

 同じ時、相澤もまたオールマイトと同じ結論に達していた。

 

「上の世界を肌で感じた者、恐怖を植えつけられた者、対処し凌いだ者……。各々が経験を糧とし、迷いを打ち消している」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Izuku

 

 入試の時はどうしていいかわからなかったけど、今ならできる。仮想敵は僕達生徒をターゲットとして認識・追尾してくる……! 攻撃を躱して一旦逃げる動きを見せて……追ってきたところで……今!

 

 OFA、5%! 

 

「はあ!!」

 

 ゴッ! ドガァアアン!!

 

 急には止まれない仮想的に右拳を振り抜くと、あっけなく吹き飛ばされた。

 

 やった! 入試の時は何もできなかったけど、今まで培ってきたこと、学んできたことがしっかり実践できた! これなら……。

 

 ドゴォオオン!!

 

 大きな衝撃音がしたので目を向けると、八百万さんが大砲を想像して0P敵を撃破していた。

 

「チョロいですわ!」

「道が拓けた!」

「あの0P敵をあっけなく……!」

 

 さすが八百万さんだ! でも……その……、いくら個性を発動させるためとはいえ、服をそんなにはだけさせるのはちょっとまずいよ… …。ブラが見えちゃってるよ……。

 

 って、そんなこと考えてる時間ないよ! 急がなきゃ先頭にますます遅れちゃう!

 

 次々と仮想敵を倒していく他の生徒達に負けないように、僕は次の関門へと急いだ。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「入試の時は『避けるべきもの』として出したからな。『倒すべきもの』として見ればドンくさい鉄の塊、突けるスキも見えてくらぁな」

 

 隣に座るスナイプの言葉にオールマイトは頷く。入試で撃破Pが0だったこともあり、立ち向かう生徒は……出久しかいなかった。付け加えると、入試当時と現在では生徒達の力も全く異なるため、精神的に臆することなく立ち向かえたことも要因である。

 

「(無茶を承知で発破をかけた……。ギリギリでも良い! 通過してくれよ……!)」

 

 オールマイトは声に出さず、モニターの中で全力を尽くす愛弟子へエールを送った。

 

 

 

「緑谷君、ここまでは上手くやれているようだね……」

 

 一般の観客に混ざってサー・ナイトアイは出久の動きをモニターで観戦していた。

 

「入試の際はロボに対する動きがわからず、対応することができなかったと言っていたが、これまでの経験やミリオ達との特訓でそこも改善できたみたいだね」

 

 出久から聞いた入試の話を思い出し、今日の動きと比較して彼女の成長ぶりに目を細めた。

 

「まだまだここからだ、頑張るんだよ緑谷君……」

 

 

 

『オイオイ、第一関門チョロいってよ! んじゃ第二はどうさ!? 落ちればアウト!! それが嫌なら這いずりな!! ザ・フォーーーーーール!!!』

 

 第二関門に辿り着いた生徒達は立ち尽くしていた。眼前には広大な崖があり、その間に浮島のような岩が点在しておりそれぞれを繋ぐようにロープが張り巡らされていた。

 

「これを渡れって言うのかよ!」

「向こう側まで何十mあるんだよ!?」

 

 一応崖下には安全ネットが設置されているが、落ちたらこの競技への復帰は不可能である。ロープを渡るにしても何十mもの距離を渡るのは多くの生徒にとって難しいものだった。

 

「大袈裟な綱渡りね」

 

 立ち尽くす生徒を尻目に蛙吹が軽々とロープを渡っていく。個性『蛙』の彼女にとってこの程度の障害は障害とはなり得なかった。

 

「フフフフフフ、来たよ来ましたアピールチャンス! 私のサポートアイテムが脚光を浴びる時! 見よ全国のサポート会社! ザ・ワイヤーアロウ&ホバーソウル!!」

「サポート科!」

「えー、アイテムの持ち込みいいの!?」

 

 どうしたものかと思案していた麗日と芦戸は不敵に笑うピンク髪の女子生徒を見て訝しんだ。サポート科であることは彼女が身につける様々なアイテムでわかったが、競技にそれを使用して良いのか、そんな単純な疑問を芦戸が口にした。

 

「ヒーロー科は普段から実践的訓練を受けてるでしょう? ()()()()()()、私達は自分の開発したアイテム・コスチュームに限り装備オッケー! と言いますかむしろ……サポート科(わたしたち)にとっては己の発想・開発技術を企業にアピールする場なのでスフフフフ!! はっ!!」

 

 早口で説明した女子生徒は掛け声と同時にサポートアイテムを起動させる。胸元から飛び出したワイヤーアロウが数m離れた浮島に突き刺さり、それを確認した彼女は崖へと飛び出した。

 

「さあ見てできるだけデカイ企業ー!! 私のドッ可愛いぃベイビーを!!」

 

 突き刺したワイヤーアロウを巻き取りつつ脚に装着したホバーソウルで浮島に着地する。麗日達が見ている間にあっという間に先へ先へと進んでいってしまった。

 

「すごい! 負けない!」

「くやしー! 悪平等だー!」

 

 ピンク髪女子に触発された麗日・芦戸は一気にやる気を取り戻して近くの浮島へ目指すべくロープを渡る。

 

「いいなあ……」

 

 紫髪の男子は不敵な笑みを浮かべながら、自身もロープを渡っていった。

 

 

『実に色々な方がチャンスを掴もうと励んでますね、イレイザーヘッドさん』

『何足止めてんだあのバカ共』

『さあ、先頭は難なくイチ抜けしてんぞ!!』

 

 受け持つ生徒にイライラする相澤にさして反応せずプレゼント・マイクは実況を続ける。彼の言うように先頭である轟は第二関門を突破し残る最終関門へと突き進んでいく。

 

「くそがっ!!!」

「(調子上げてきたな……スロースターターか。……追いつかれると面倒だ。次の関門は……)」

 

 空中を爆破で進む勝己を轟は後ろ目で確認した。推薦入学組の轟であるが一般入試一位の勝己に一目置いており、自分との距離がそう大きくないことに危機感を感じていた。

 

 

 

「恐らく兄も見ているのだ……かっこ悪い様は見せられん!!!」

『カッコ悪イイーーーーー!!!』

 

 飯田はここまで自身の個性『エンジン』を活かし、轟・爆豪に次ぐ3位で最終関門を目指していた。最後の浮島からロープ上を個性を使ってもうスピードで渡っていたが、両手を広げてバランスを取るその姿は確かにカッコ悪かった。

 

 

 

「一位の奴圧倒的じゃんか」

「『個性』の強さもあるが、それ以上に素の身体能力と判断力がずばぬけている」

「そりゃそうだろ。あの子、フレイムヒーロー『エンデヴァー』の息子さんだよ」

「ああー……道理で! オールマイトに次ぐトップ2の血か!」

「早くもサイドキック(相棒)争奪戦だなー!!」

 

 プロヒーロー以外の観客も轟の父親であるエンデヴァーの名を聞くと轟の独走に納得した。トップヒーローを輩出する雄英体育祭で活躍すれば否が応でも注目される。紅白に分かれた頭髪・左目周りの痣と目立つ容姿も相まって、轟への注目度はますます上がっていった。

 

 

『先頭が一足抜けて下はダンゴ状態! 上位何名が通過するかは公表してねえから安心せずに突き進め!! そして早くも最終関門!! かくしてその実態は……一面地雷原!!! 怒りのアフガンだ!! 地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ!! 目と脚酷使しろ!!」

 

 先頭の轟が辿り着いた最終関門は長さ約200m、幅約50mに及ぶ地雷原ゾーンだった。プレゼント・マイクはよく見ればわかるといっているが、動きながらでは確認することは困難であるため、必然的に走る速度も遅くなる。

 

『ちなみに地雷は競技用で威力は大したことねえが、音と見た目は派手だから失禁必至だぜ!』

『人によるだろ』

 

 プレゼント・マイクのどうでもいい情報を聞き流しながら轟が最終関門へと踏み出していった。

 

 

 

「先頭はもうそんなとこに……!早く……! 早く……!!!」

 

 出久はまだ第二関門の途中にいた。OFA5%による跳躍で届く位置には直接跳んでいったが、どうしても届かない場所へはロープで渡らざるを得なかった。

 

「(大丈夫……! 落ち着いて……! 焦れば落ちちゃうから、下見るな! ……やっぱりちょっと怖い……)」

 

 先頭を気にしつつ、手や足を滑らせないように出久は慎重にできる限りの速さで第二関門を進んでいった。

 

 

 先頭に位置し最終関門を先行していく轟は思うようにスピードを出せずにいた。

 

「(なるほどな。こりゃ先頭ほど不利な障害だ)エンターテイメントしやがる」

 

 先頭は先に地雷原を避けなければならないため、ゆっくりとしか進めなかった。それでも他の生徒が爆発を起こしていく中で着実に地雷ゾーン出口へと向かっていく。

 

 ……その時。

 

 BOOM

 

「はっはあ! 俺には関係ねーーー!!」

 

 地雷とは異なる爆発音を響かせながら勝己が空中を飛んできた。

 

「てめえ、宣戦布告する相手間違えてんじゃねえよ!」

 

 勝己がついに追いつき、すれ違い様に爆破を浴びせる。轟はなんとか身を捩って躱すが、そのスキにスタート時から変わらなかった一位がついに入れ替わった。

 

『ここで先頭がかわったーーー!! 喜べマスメディア!! おまえら好みの展開だああ!! 後続もスパートかけてきた!!! だが引っ張り合いながらも……先頭2人がリードかあ!!!?』

 

 障害物競走はいよいよ佳境を迎えようとしていた。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Izuku

 

 よし! やっと突破できた! 早く最終関門に行かないと!

 

 第二関門を超えて全力で走っていくと遠くから爆発音が聞こえる。最終関門が視界に入ると状況がすぐ理解できた。

 

 人でごった返してる。スタート時ほど人がいないはずだけど、地雷のせいで皆ゆっくり進んでいるからかえって多く見える。目を凝らしてと奥の方で先頭を争う2人、かっちゃんと轟君が見えた。

 

 ……遠い!!

 

 地雷の場所が巧妙だから無闇に走れない!

 

 落ち着け……。地面をよく見て地雷を掘り出して……。踏みつけて信管が作動するタイプだ! 威力は体が少し飛ぶくらい……! けど体勢崩しちゃえば連鎖的に爆発してかなりのタイムロス……!

 

 ダメージと体力面鑑みても速度を殺してでも避けていくのがベター! 跳躍系の人達も迂闊に跳べないし先頭程避ける地雷も多い……。妨害も盛んでスピードも出せないだろう。

 

 ………………普通に進んだんじゃ先頭に追いつけない。今、()()()()()()()

 

 入口から少し下がって助走距離を取る。さっき分析した通り、跳躍系の人達もバランス崩すのを嫌ってゆっくり進んでる。僕が逆転できるとしたらこの手段しかない!

 

「ちょっと緑谷、あんた何するつもり? まさかそこから走って跳ぶつもり!?」

「耳郎さん、危ないから避けてね!」

 

 両足、OFA5%!

 

 深呼吸して…………よし、大丈夫。行けるぞ出久。

 

「行くぞ!!」

「ちょっと!? 危な!」

 

 掛け声と共に全力で走る。ミリオさんとの特訓でOFA5%で走ることができるようになってよかった。すぐに地雷原ゾーンにかかろうとする。

 

 ……今!!

 

 地雷原ゾーン手前で右足で大きく地面を蹴る!

 

 

『なんだあー!? 後方から誰かが跳んできたぞ! すげえスピードだー!!』

『あれは……緑谷か?』

『緑谷ってアレか! 入試でロボ・インフェルノぶっ飛ばした奴か! 相変わらずやること派手だなー! オレ、嫌いじゃないぜそういう奴!! とかなんとか言ってっけど、最終関門は地雷原ゾーン、着地は考えているのかー!?』

 

 マイク先生に言われるまでもなく、着地については考えている。

 

 というか、()()()()()()()()()()

 

 陸上競技の『三段跳び』の要領・イメージで!! 今度は左足で! 地面を大きく蹴る!

 

『おおっと! 緑谷着地せずそのまま地面を蹴ってさらに跳んだぞー!』

『……なるほど。着地すると地雷でバランスを崩す可能性があるが、地面についた足でそのまま踏み切って跳んでいけば爆発に巻き込まれず置き去りにして通過できる。しかも爆風に乗ることもできるし、周囲を邪魔することもできる。考えたな……』

『それにしても、スピード速えしよく跳ぶな!! そして、2回目の着地兼3回目のジャンプ!! 見る見るうちに先頭に追いつくぞー!!! っつーか!!! 抜いたあああああー!!!』

 

「くっ!」

「緑谷君!!」

「デクちゃん!?」

「なんだあいつ!?」

 

「「!?」」

 

 やった! トップに立て……。

 

「デクぁ!!!!!」

 

 !? かっちゃん!!! 

 

「俺の前を行くんじゃねえ!!!」

「(後続に()作っちまうが……)後ろ気にしてる場合じゃねえ……!」

 

 轟君も!? くそ!!! 2人とも反応が早い!!!

 

『元・先頭の2人、足の引っ張り合いを止め緑谷を追う!! 共通の敵が現れれば人は争いを止める!! 争いはなくならないがな!』

『何言ってるんだお前』

 

 ガク

 

 !! やばい! 失速……! 3回目の踏切が上手くいかなかった! 両足のOFA5%の維持がギリギリだったから! この状況じゃ着地なんてできないし、そのタイムロスで抜かれたらもっかい追い越すのは絶対無理!!

 

 くっそ!! 諦めるな!! 両足のOFAが切れてもまだ腕がある!!

 

 上手く体を回転させて……今!!!

 

 右腕、OFA5%!!

 

「SMASH!!!」

 

 ドン!! ドォオオオオン!!

 

「くそ!!」

「ぐっ!!」

 

 やった! 上手くいった!! 地雷ゾーンも抜けてる! このまま走って……! 

 

 

『おおっと! 緑谷、地面に頭から突っ込む瞬間、右腕で地面を殴ったー!! 同時に、地雷が誘爆して轟と爆豪を妨害!! その勢いのまま地雷原ゾーンをクリアした!! イレイザーヘッド、おまえのクラスすげえな!! どういう教育してんだ!』

『俺は何もしてねえよ。奴らが勝手に火ィ付け合ったんだろう』

『さァさァ雄英体育祭1年ステージ! 序盤の展開からこの結末を誰が予想出来た!?』『無視か』

『今一番にスタジアムへ還ってきたその女……、緑谷出久の存在を!!』

 

 

 ワアアアアアア!!!!!

 

 

 

 歓声が聞こえる!! 耳だけじゃなくて身体中に振動を感じる!!

 

 やった! 一位で戻ってこれた!! 

 

 オールマイトは? 確か……居た!

 

 オールマイトと目が合い、互いにニッと笑い合った。

 

 よかった! オールマイトの期待に応えられた!

 

 まだだ! まだ泣くな! まだ終わったわけじゃないんだ! これからが本選なんだ!!

 

 でも、ほんの少しなら喜んでもいいよね……。

 

 やったよ、母さん。ナイトアイさんは会場に来てるのかな? 後で連絡してみよう……。

 

 興奮冷めやらぬまま続々と後続がゴールする中、僕は一旦待機スペースへ案内された。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

『序盤の展開からこの結末を誰が予想出来た!? 今一番にスタジアムへ還ってきたその女……、緑谷出久の存在を!!』

 

 歓声が上がる中、教師の控えスペースにいるオールマイトは自身を見つけた出久と目が合うと笑顔で応える。

 

「(君の芯であろう『“人を救ける“ヒーロー』……この体育祭は露骨にそこと相反する“他を蹴落として“競う場……。人気商売の面が大きい現代ヒーロー……“他人より上に“という貪欲さは、君だからこそ選んだが……君だからこその弱点だと思っていた。超杞憂だったな!! ごめんな!! 泣き虫は早く治した方がいいけどな!)」

 

 感極まって涙を拭う弟子を見ながら、感じていた不安が杞憂だったことに胸を撫で下ろした。

 

「どう思う?」

「とりあえず緑谷の株価急上昇だね」

「『個性』もパワー系だから派手でその辺りのアピールは好材料だと思う」

「事務所経営を請け負ったと仮定して、彼女をどう売り出していくか意見を交えたいんだけどどおう思う?」

「個性は派手だけど、見た目が地味だからヴィジュアルを売りにするのは少し難しいね。シンプルに実力面を押し出せば地味な見た目とのギャップを生み出せて注目度を上げられるんじゃないかな? あとは彼女なりのアーティスティックなこだわりとかがあればいいけど、材料が揃わないことにはこれぐらいしか言えないかな……」

「(経営科!! 相変わらずやってるね!!)」

 

 雄英高校にはヒーロー科、普通科、サポート科の他に経営科も存在する。基本的に体育祭に参加するメリットはないが、売り子や経営戦略等のシミュレーションなどで勘を培う場としている。

 

「さて、ここからが大変だよ……。頑張るんだよ、緑谷少女」

 

 

「ハア……ハア……また……くそっ……!! くそがっ……!!!」

「…………」

 

 出久に少し遅れてスタジアムには轟、勝己が還ってきた。ゴールを目前にして追い抜かれたことに勝己は怒りを露わにし、轟は出久を静かに見つめていた。普段から表情を表にすることはほぼないが、出久に向ける表情は普段以上に読めないものとなっていた。

 

『さあ続々とゴールインだ! 順位等は後でまとめるからとりあえずお疲れ!!』

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Izuku

 

「デクちゃん……! すごいねえ!」

「この『個性』で遅れをとるとは……やはりまだまだだ、僕は……俺は……!」

「麗日さん、飯田君」

 

 2人も無事ゴール出来たんだ。アレだけ混戦だったからどうなってたかわからなかったけど、よかった……。でも、飯田君の様子が……『個性』エンジンは強力だけど、純粋なレースじゃなくて障害物競走だからその部分が難しかったのかも。

 

「一位すごいね! 悔しいよちくしょー!」

「いやあ……改めてそんな風に言われると、ちょっと恥ずかしい……」

 

 今回はなんとかミリオさん達との特訓を活かすことができたけど、本当に()()を試されるのはここから……!!

 

「くっ……こんなはずじゃあ……!」

 

 声のした方を見ると八百万さんが疲れた表情でこちらへやってきた。八百万さんの『創造』は強いけど、今回の障害物競走では個性による妨害もOKだったから厳しかったのかな? …………ん?

 

「うっひょー!! 一石二鳥よ、オイラ天才!」

「サイッテーですわ!!」

 

 …………峰田君最低。

 

 

「ようやく終了ね。それじゃあ、結果をご覧なさい!」

 

 第二関門で落ちてリタイアになっちゃった人以外がゴールし終わったところでミッドナイト先生がレース結果を公表した。

 

 『一位:A組 緑谷出久』

 

 モニターに映し出される自分の姿に誇らしさと少しの恥ずかしさを感じた。小さい頃から見てた雄英体育祭、それの予選とはいえ一位になれるなんて夢にも思わなかった。本選はこれからだけど、頑張らなくちゃ!

 

「予選通過は42名!!! 残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい! まだ見せ場は用意されてるわ!!」

 

 それにしても……ヒーロー科のA・B組は全員予選通過か……。当然といえば当然だけど、だからこそ、42名の中に入った普通科とサポート科の人達の存在感が際立つ。あの紫髪の人、A組に宣戦布告に来た人だけどアレはハッタリじゃなかったんだ。本選でも気をつけなくちゃ! あのピンク髪の人はサポート科か。どんなサポートアイテム持っているか、こっちも気になるな。

 

「そして次からいよいよ本選よ!! ここからは取材陣も白熱してくるよ! キバリなさい!!!」

 

 ミッドナイト先生の声に全員の表情が引き締まる。先ほどよりも人数が少ないから注目度がさらに上がる。どんな種目が来るかわからないけど、全力でぶつかるしかない!

 

「さーて、第二種目よ!! 私はもう知ってるけど〜〜〜〜〜……何かしら!!? 言ってるそばから……コレよ!!!!」

 

 モニターに表示された第二種目は『騎馬戦』。

 

「騎馬戦……! オレダメなやつだ……」

「騎馬戦……!」

「個人競技じゃないけどどうやるのかしら?」

 

 確かに、どうやるんだろ? 当然の質問が上がったところでミッドナイト先生がそれに答える。

 

「参加者は2〜4人のチームを自由に組んで騎馬を作ってもらうわ! 基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど一つ違うのが……先程の結果に従い各自にP(ポイント)が振りあてられること!」

「入試みてえなP稼ぎ方式か、わかりやすいぜ」

「つまり組み合わせによって騎馬のPが違ってくると!」

「あー!」

「あんたら私が喋ってんのにすぐ言うね!!! ええそうよ!! そして与えられるPは下から5ずつ! 42位が5P、41位が……と言った具合よ」

 

 なるほど、さっきとはうって変わって今度はチーム戦になるのか。誰と組むかもそうだけど、チーム全体のPでどう戦うかが変わってくるな……。えーと、下から5ずつ上がっていくなら僕のPは……。

 

「そして……一位に与えられるPは1000万!!!!」

 

 …………………………は?

 

 1000万? 1000じゃなくて1000万?

 

 全員の目が僕に集まる……なんだよ1000万って! どんなバラエティ番組だよ!!!

 

「上位の奴ほど狙われちゃう…………下克上サバイバルよ!!!」

 

 

 ふざけんなー!!!

 




というわけで障害物競走でした! 原作よりOFAの制御が進んでいるのでロボの残骸を使わずにいくとどうなるか考えてこのような展開になりました♪OFA5%ならイケるかなと思いましたが、いかがでしたか? 次は騎馬戦です! 出久はどのように戦うのでしょうか? 今後もよろしくお願い致します!
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