僕のヒーローアカデミア~諦めから始まる物語~   作:キョンP

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騎馬戦チーム決め編です! 思ったより長くなったので騎馬戦本番は次回になりますw


第17話 集めろ! チームメイト!

「上を行く者には更なる受難を、雄英に在籍する以上何度でも聞かされるよ。これぞPlus Ultra! 予選通過一位の緑谷出久さん!! 持ちP(ポイント)1000万!!」

「………………」

 

「(! 理解が早いな、少女よ……)」

 

 ミッドナイトの言葉に出久に他の予選通過者全員の視線が集まる。それを受けた出久の表情が高まる緊張感によって強張ったものへと変わっていく。その表情の変化で彼女がトップに立つ重みを感じているとオールマイトには理解できた。

 

 『てめェが何をやれるんだ!?』

 

「(こんなに視線を集めるのは、中学生の時に向けられた好奇や憐れみの目以来……。でも、今感じるのはそれとは全く違うもの。ラッキーもあって立てたような刹那的なトップの座……。それでも、こんなに重いのか!!! オールマイト!!)」

 

 

 

「それじゃあ、騎馬戦のルールを説明するわ。制限時間は15分。振り当てられたPの合計が騎馬のPとなり、騎手はそのP数が表示された『ハチマキ』を装着! 終了までにハチマキを奪い合い保持Pを競うのよ」

 

 ミッドナイトの説明に予選通過者、観客は耳を傾ける。ルールの理解度が勝敗に直結するため一字一句を聞き漏らすまいとその表情は真剣である。

 

「取ったハチマキは首から上に巻くこと。とりまくればとりまくる程、管理が大変になるわよ! そして重要なのはハチマキを取られても、また騎馬が崩れてもアウトにはならないってところ!」

 

「ってことは……」

「42名からなる10〜12組がずっとフィールドにいるわけか?」

「シンド⭐︎」

「いったんP取られて身軽になっちゃうのもアリだね」

「それは全体のPの分かれ方見ないと判断しかねるわ三奈ちゃん」

「競技中は『個性』発動アリの残虐ファイト! でも……あくまで騎馬戦!! 悪質な崩し目的での攻撃等はレッドカード! 一発退場とします! それじゃこれより15分! チーム決めの交渉タイムスタートよ!」

「15分!!?」

「(P数は僕の場合あまり関係ない……! 組んで欲しいのは……()()()()()()……!!)」

 

 

 

「この雄英体育祭って……ヒーローとしての気構え云々よりヒーロー社会に出てからの生存競争をシミュレーションしてるな」

 

 デステゴロはシンリンカムイ・Mt.レディとのパトロール業務を一通り終え、休憩がてら観ていた体育祭の感想を述べた。

 

「ん〜、どういうことです?」

「ヒーロー事務所がひしめく中でおまんま食ってくにゃあ、時に他を蹴落としてでも活躍見せなきゃなんねーってのが障害物競走(予選)だろ?」

「アレ心苦しいですよねー、あとタバコやめてください」

「貴様……!! 嬉々としてやっていたではないか……!」

「その一方で、商売敵と言えど協力してかなきゃなんねー事案も腐る程ある」

「あ……騎馬戦がそうですねまさに! 自分の勝利がチームメイトの勝利になっちゃうもん。相性やら他人の『個性』の把握やら……持ちつ持たれつ」

 

 Mt.レディ・シンリンカムイもデステゴロの言ったことが理解できたようで、思い当たることを挙げていく。

 

「サイドキックとの連携」

「他事務所との合同『個性』訓練」

「プロになれば当たり前の生きる術を子どもらが今からやってんだなー……」

「大変ですねー」

 

 

「なるほど、卒業後のヒーロー活動を見越した競技ということか……」

 

 観客席で観戦するサー・ナイトアイもデステゴロと同じ考えに行き着いた。スタジアム内ではすでに予選通過者が誰と組むかで交渉を始めており、ナイトアイが応援する出久も思考を巡らせていた。

 

「自分の個性と他者の個性、自分の置かれている状況、これらを総合的に判断して誰と組むのが最適か……。また、最適なチーム編成ができなかった場合の次善策が取れるか……。緑谷君、ここが正念場だぞ……」

 

 

 必死に考えている出久に向けて、ナイトアイは心の中でエールを送った。

 

 

「俺と組め!!」

「えー爆豪私と組も!?」

「僕でしょねえ?」

「……」

 

 予選通過者達は各々が誰とチームを組むのが良いか自身のPと個性、相性等を考えながら騎馬戦のメンバーを探していた。そんな中で予選三位であった勝己は爆破の個性が優秀であることもあり、多くの者からチームへの勧誘があった。

 

 ……が。

 

「てめェらの個性知らねぇ、何だ!?」

「B組ならまだしも!!」

「周り見てねえんだな!!」

 

 他人の個性にあまり興味のない勝己は同じA組の生徒の個性と名前も把握していなかった。

 

「(性格はああでも三位200P……『個性』の汎用性を考慮すれば爆豪少年の人気はうなずける)」

 

 オールマイトの予想通り、性格の上で勝己はかなりとっつきにくいが、個性単体での強さはもちろん汎用性の高さとそれを思いつく頭脳は性格を差し引いた上でも組むメリットを有していた。

 

「おーい! 轟の奴ソッコーチーム決めやがったぜ! 爆豪!! 俺と組もう!!」

「クソ髪」

「切島だよ覚えろ!! お前の頭とそう変わんねーぞ!」

 

 そんな引っ張りだこの勝己に切島が声をかける。他のA組生徒よりは絡んでるはずの切島の名前も覚えていない勝己だったが、そのぞんざいな扱いにもめげず霧島は勝己を誘う。

 

「おめェどうせ騎手やるだろ!? そんならおめェの爆破に耐えられる前騎馬は誰だ!!?」

「……………………根性ある奴」

「違うけどそう!! 硬化の俺さ!! ぜってーブレねえ馬だ! 奪るんだろ!? 緑谷(1000万)……!」

 

 切島の最高の口説き文句に、勝己は(ヴィラン)顔負けの邪悪な笑みで応えた。

 

 

「障子ィ……障子ィ……!」

 

 自分を呼ぶ声に障子は視線を下へ向ける。そこには涙目で悲壮感を漂わせた峰田がいた。

 

「女と組みてぇけどダメだー!! オイラと組んでくれェ! オイラチビだから馬にはなれねー!!! オイラ騎手じゃ誰も馬なんかやってくんねーんだ!」

「……」

 

 恥も外聞もかなぐり捨てて泣き喚く姿に障子はどうしたものかと思案していると、峰田から思いがけない提案が出た。

 

「おまえの巨体と触手ならオイラの体すっぽり覆えるだろ!!?」

「! …………名案だ峰田」

 

 こうして予選通過者達はそれぞれ着実にチームを組んでいくのだが……。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Izuku

 

 少しずつチームが出来上がっていってる。やっぱり同じ組同士で組むよね。他クラスの『個性』なんて把握してないし……。僕も早くどうにかしなきゃ!

 

 

 超避けられてる、この状況を!!!

 

 

 やっぱり保持し続けるより終盤に奪うとかの方が、戦法として理に適ってるもんね……。ああ尾白君、そんな露骨に避けないで……。耳郎さんも目も合わせてくれないなんて、ちょっと泣きそう……。

 

 ……不味い、非常に不味い! 轟君やかっちゃんと違って安定感がないから皆に信用されてない……どうしよう!?

 

「デクちゃん! 組もわっ!?」

「麗日さん!!!」

 

 ありがとー麗日さん!!! ひとりぼっちで誰とも組めなかったらどうしようかと!

 

「でも、いっ良いの!? 多分僕1000万故に超狙われるけど……」

「ガン逃げされたらデクちゃん勝つじゃん、あんなパワーがあるんだし」

「そ……それ過信してる気がするよ麗日さん……」

「するさ! 何より、仲良い人とやった方が良い!」

「…………!! う゛ら゛ら゛か゛さ゛ん゛!!!」

「ちょっ!? デクちゃん泣くのはまだ早いよ!」

「いや、さっきから皆に避けられまくってたから麗日さんの優しさが余計身に染みるというか」

「あ〜、それは確かに……」

 

 麗日さんもさっきまでの僕の様子を知っているのか苦笑いを浮かべる。

 

「私も不安が全くない訳じゃないけど、デクちゃんとなら乗り越えられる気がするんよ。だから、頑張ろ!」

「麗日さん……うん! 頑張ろう!」

「よっしゃ! それはそうと他の人も誘おう! 流石に2人じゃきついからあと最低1人ぐらいは……」

「実は最初から麗日さんを誘いたかったんだ! チーム組むならなるべく意思疎通がスムーズに出来る人が望ましいもの!」

「それはそうやね! 他のクラスとは言わずともあんまり話せてない人とか会話噛み合わない人とかは難しいもんね」

「その上で麗日さんと()()1()()で……ある策を考えてたんだ!」

 

 麗日さんは確保できた! あとは()がいれば……!

 

「飯田君!」

「ん?」

「お願い! 僕と麗日さんとチームを組んで欲しいんだ! 2人の個性を考慮した作戦も考えていて……」

「すまない緑谷君」

 

 作戦の内容を話そうとしたら途中で謝られちゃった…どうしたんだろう?

 

「俺をチームに誘ってくれたことには感謝する。だが、断る。俺はすでに別のチームから勧誘され承諾している。そんな状況で今君の作戦を聞いてしまうのは公正さに欠ける」

「飯田君……」

「君の作戦に乗ればおそらくこの戦いを勝ち上がることは可能だろう。だが、入試の時から……君には負けてばかり。素晴らしい友人だが、だからこそ……君についていくだけでは未熟者のままだ」

 

 飯田君が静かに話す。入試の時、麗日さんを助けるために飛び出したことや戦闘訓練のことはその時々の運や作戦がうまくいっただけであって僕自身の実力が伴ったわけじゃない。……でも、飯田君にとってはずっと心に引っかかってることだったんだ……。

 

「君をライバルとして見るのは爆豪君や轟君だけじゃない。……俺は君に挑戦する!」

「飯田君……」

「……」

 

 もう……始まってる!!

 

 全員……敵! そうだ……僕は今トップ……友達ごっこじゃいられない!

 

「デクちゃんどうしよう!? 流石に2人は厳しいよ?」

「うーん、どうしよう……。飯田君に断られるとは思ってなかったから』

 

 どうしよう? 思ってたプランが狂っちゃった。他にチームを組めそうな人は……。

 

「フフフフ……やはりイイですね、目立ちますもん!」

「!」

 

 そんな声が聞こえて振り向くと髪がピンクで全身に様々なサポートアイテムを身に付けたサポート科の人が僕達のそばまで来ていた。

 

「私と組みましょ、一位の人!!!」

「わぁぁ近!!? 誰ですか!?」

 

 めちゃくちゃ顔寄せてくるからびっくりしちゃった!

 

「私はサポート科の発目明!」

「あの時の妙な人……!」

「あなたの事は知りませんが、立場利用させて下さい!!」

「あっ、あけすけ!!」

「あなたと組むと必然的に注目度がNo.1になるじゃないですか!? そうすると必然的に私のドッ可愛いベイビー達がですね、大企業の目に留まるわけですよ! それってつまり大企業の目に私のベイビーが入るって事なんですよ!!」

 

 ちょっ、ちょっと待って何この子圧が強い!! ベイビーってなんのこと? 話の流れからするとサポートアイテムのことなんだろうけど……。利己的そうだけど大丈夫かな? 麗日さんも困惑してるし……。

 

「ちょちょ待って……。ベイビーが大企業……? 何を……」

「それでですね、あなた方にもメリットはあると思うんですよー」

「(あ……私に興味ない……)」

 

 麗日さんには興味ないんだな発目さん……。

 

「サポート科はヒーローの『個性』をより扱いやすくする装備を開発します! 私、ベイビーがたくさんいますのできっとあなたに見合うものがあると思うんですよ! これなんかお気に入りでして、とあるヒーローのバックパックを参考に独自解釈を加え……」

「それひょっとしてバスターヒーロー『エアジェット』!? 僕も好きだよ。事務所が昔近所でね……」

「本当ですか! ちなみに私の『個性は』……」

「(即気ィ合っとる……)あのデクちゃん、話盛り上がっとるところ悪いけど……」

「あ! そうだった! えーと発目さん、これとこれ使わせてもらうよ!」

「どうぞどうぞ! あとこちらもですねー」

「そ、それはまた次の機会に……」

 

 飯田君と組めなかったのはかなり痛いけど、この人なら……! あと1人……!

 

 周りを見ると皆もう固まっちゃってる! ええいそこはもういい! 僕らの騎馬に足りない力……それを補えるのは……君だ!

 

「常闇君!」 

「む、緑谷か……」

「単刀直入に言うよ、僕達とチームを組んでほしい!」

「……そっちのメンバーは麗日に……サポート科の女子か……」

「常闇君の個性『黒影(ダークシャドウ)』で僕らの防御の要になって欲しいんだ!」

「防御? 攻撃ではなくてか?」

「そう、僕達はP数的にこれ以上取る必要性がない。だから攻撃してハチマキを取る分のスタミナ・意識を防御に回して逃げ切りを狙う作戦だ。消極的かもしれないけど、これがベストだと思う。協力してくれないかな?」

「……」

 

 本来は手の内を見せずに交渉したいところだけど、もうそんなに時間が残ってない。これでチームを組めなかったら……。

 

「フッ……面白い」

「え?」

「俺の個性は闇が深い程攻撃力が増すがどう猛になり制御が難しい。逆に日光下では制御こそ可能だが……攻撃力は中の下といったところなのだ」

 

 常闇君の個性にそんな弱点があったなんて……こんなことを僕達に教えていいのかな……。

 

「知らなかった上で()()()()()攻撃不要とは……この中じゃ相当に特殊な選択だぞ」

「そ、それじゃあ!」

「それに……女子3人の中に男子1人、紅一点ならぬ()()()でチームの防御の要というのも悪くない」

「? 彼は何を言ってるんですか?」

「女の子を守れるから張り切ってるってことかな?」

「……」

 

 麗日さん発目さん今は黙ってて! 常闇君が臍曲げちゃったらどうするのさ!

 

「……まあ、なんにせよお前の誘いに乗った。俺を使ってみろ、託したぞ緑谷!」

「ありがとう、常闇君!」

 

 これでチームは整った。後はやるっきゃない!

 

 このチームで、皆で勝つんだ!

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

「お前らを選んだのは、これが最も安定した布陣だと思うからだ」

 

 轟は自分がチームに誘った上鳴・八百万・飯田にチームのコンセプトとそれぞれの枠割を説明する。

 

「上鳴は左翼で発電し敵を近付けさせるな。八百万は右翼、絶縁体やら防御・移動の補助。飯田は先頭で機動力源、もといフィジカルを生かした防御」

「轟君は氷と熱で攻撃・牽制といったところか」

「……いや」

 

 飯田の言葉を轟は否定した。飯田にも他の2人にもその返答は予想外だったようで反応を示せずにいると轟が独言るように言葉を吐いた。

 

「戦闘に於いて、(ひだり)は絶対使わねえ」

 

 どこかを見つめる轟の表情は険しく、3人はその理由を聞くことはできなかった。

 

 

「15分経ったわ。それじゃあ、配置についたらいよいよ始めるわよ」

 

 ミッドナイトの声でフィールド上に各騎馬が散らばっていく。どの騎馬も所属する組をベースに構成されている。その中で、B組がまだ一塊になっていた。

 

「ここにいるほとんどがA組にばかり注目している……何でだ? そして鉄哲が言った通りA組連中も調子づいてる……おかしいよね……。彼らと僕らの違いは? 『(ヴィラン)と戦った』だけだぜ?」

 

 B組生徒、物間寧人はここ最近のA組への不満を口にした。他の生徒も思うことがあるのか、彼の言葉に異を唱えることはなかった。

 

ヒーロー科B組(ぼくら)が予選で何故中下位に甘んじたか、調子づいたA組に知らしめてやろう、皆」

 

 特に号令をかけることもなく、声を上げることもなかったがそれぞれが物間が語った言葉を胸にフィールドに散らばっていった。

 

 

 

『さぁ起きろイレイザー! 15分のチーム決め兼作戦タイムを経てフィールドに12組の騎馬が並び立った!!』

『……なかなか面白ェ組が揃ったな』

『さァ上げてけ(とき)の声!! 血で血を洗う雄英の合戦が今!! 狼煙を上げる!!!!』

 

 プレゼント・マイクの声にスタジアムに歓声が鳴り響く。これから行われる騎馬戦で雄英体育祭の上位進出16名が決定するため、観客のボルテージがさらに高まる。

 

「麗日さん!!」

「っはい!!」

「発目さん!!」

「フフフ!!」

「常闇君!!」

「ああ……」

「よろしく!!!」

 

『よォーし組み終わったな!!? 準備はいいかなんて聞かねえぞ!! いくぜ!! 残虐バトルロイヤルカウントダウン!!』

 

「鉄哲、恨みっこなしだぞ」

「おう!」

 

『3!!!』

 

「狙いは……」

 

『2!!』

 

「一つ」

 

『1……!』

 

 戦いの幕がついに……。

 

『STRAT!』

 

 切って落とされた!!!




というわけで騎馬戦チーム決め編でした♪書いてて自分で思ったのが『常闇君可愛くね?』でしたw彼も男の子ですからね、女の子に頼られると張り切っちゃいますよねw次回こそ騎馬戦本番ですのでお楽しみに!
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