僕のヒーローアカデミア~諦めから始まる物語~   作:キョンP

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少し遅れました、第21話です! それではどうぞ!


第21話 一回戦!!②

「…………邪魔だ」

 

 自分の試合に向かうために控室から出た轟は目の前の人物を忌々しげに見ながら、言葉を吐いた。

 

「醜態ばっかりだな、焦凍」

「なんでここにいる、部外者は立入禁止だ」

「身分保証は問題ない、快く通してくれたよ」

「そうか、そりゃよかったな。用が済んだらとっとと失せろ」

 

 エンデヴァーに悪態をつき轟はその場をその場を離れようとするが、エンデヴァーはそれに構わず話を続ける。

 

「左の『力』を使えば障害物競走も騎馬戦も圧倒出来たハズだろ」

「……」

「良い加減子供じみた反抗をやめろ。おまえにはオールマイトを超えるという義務があるんだぞ」

「……」

「わかってるのか? 兄さんらとは違う、おまえは最高傑作なんだぞ!」

「……それしか言えねえのかてめェは……」

 

 立ち止まりもせず、振り返りもせず、轟はエンデヴァーに言葉を返す。

 

「お母さんの力だけで勝ち上がる。戦いでてめェの力は使わねえ」

学生のうち(いま)は通用したとしても、すぐ限界が来るぞ」

 

 その言葉には何も返さず、轟はスタジアムへ向かっていった。その表情は、皮肉なことにエンデヴァーが自身の嫌うオールマイトを見る時と同じものだった。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Izuku

 

『お待たせしました!! 続きましては〜こいつらだ!』

 

 荒ぶる麗日さんをなんとか落ち着かせたところで一回戦第2試合がアナウンスされる。この試合の勝者が僕の次の対戦相手だからよく見ておかないと!

 

『優秀!! 優秀なのに拭いきれぬその地味さは何だ! ヒーロー科、瀬呂範太!!』

「ひでえ」

 

 地味って……。確かに瀬呂君の『テープ』は派手さは無くて直接攻撃するタイプの個性じゃ無いけど、敵の拘束や罠、移動に使えるその汎用性はヒーロー科1年の中でも上位に来ると思う。

 

(バーサス)! 2位・1位と強すぎるよ君! 同じくヒーロー科、轟焦凍!!』

 

 対する轟君は『半冷半燃』、どちらも攻撃・防御・移動にも使える万能で非常に強力な個性だ。……轟君は左側の炎は使わないって決めているらしいけど、正直右側の氷結だけでも十分脅威だよ。瀬呂君に勝機があるとすれば、轟君の左側から攻めてテープで拘束して場外って形になると思うけど……。

 

『START!』

 

「まァー……勝てる気はしねーんだけど……」

 

 バッ! パシ!

 

「つって負ける気もねーーー!!!!」

 

 ギュルルル! グイイイ!

 

『場外狙いの早技(ふいうち)!! この選択はコレ最善じゃねえか!? 正直やっちまえ瀬呂ーーー!!!』

 

 上手い! 試合開始直後に轟君を拘束出来た! 後は場外に出すことができれば……!

 

「悪ィな」

 

 キィィイン!

 

「「「!!?」」」

 

 な、なんて規模の氷結!!? これほどの出力で出せるなんて……どれだけ鍛えてきたんだろう……。

 

「…………や……やりすぎだろ……」

「……瀬呂君……動ける?」

「動けるハズないでしょ……痛えぇ……」

「瀬呂君、行動不能!!」

 

 

「ど……どんまい……」

「どんまーい……」

「どーんまい」「どーんまい!」

 

 

「轟君、二回戦進出!!」

 

「すまねえ……やりすぎた。イラついてた」

 

 ボオオオオ……

 

 自然とわき起こったどんまいコールの中、自身が凍らせたのを左手で溶かしていく轟君の姿が何故か僕にはひどく悲しく見えた……。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

『ステージ乾かして次の対決!! B組からの刺客!! キレイなアレにはトゲがある!? 塩崎茨! (バーサス)! スパーキングキリングボーイ! 上鳴電気!!』

 

 3試合目にして初めてB組の生徒が試合に臨む。塩崎の個性は頭髪が植物性のツルとなっている『ツル』であり、自由に動かすことが可能となっている。瀬呂の個性と同じく汎用性に優れており、上鳴がどのように攻撃を仕掛けるかが勝敗の分け目と見られていた。

 

「申立て失礼いたします。刺客とはどういうことでしょう? 私はただ勝利を目指してここまで来ただけであり……」

『ごっごめん!!』

「B組にもこういう感じいるのね」

 

 プレゼント・マイクの紹介に納得がいかなかったのか塩崎は抗議する。上鳴だけでなく、A組生徒はその様子に委員長の飯田と同じような融通のなさを感じた。

 

『す、START!!』

 

 誤魔化そうとしてプレゼント・マイクは試合開始を告げる。塩崎はまだ放送席を見て上鳴に背を向けており、上鳴はその隙に攻撃することが出来たがそれをせず……。

 

体育祭(コレ)終わったら飯とかどうよ? 俺でよけりゃ()()()()

「……?」

「多分この勝負、一瞬で終わっから!」

 

 ナンパを交えての勝利宣言をして自身へ向き直る塩崎へと攻撃を行った。

 

 

 

『瞬殺!! あえてもう一度言おう! 瞬・殺!!!』

「二回戦進出、塩崎さん!」

「ああ……与えられたチャンス無駄にせずに済みました……」

 

「切り離しが厄介だったな。壁張りに拘束……上鳴の『個性』が完封された」

「相性があるからなァ。そん中で上手く立ち回れればまだ良かったが……」

「焦ってぶっぱなしだったな……」

 

 試合は立ち回りを誤った上鳴を塩崎が完封した。クラスメイトのいう通り、焦らず動けばまだチャンスはあったが動揺してしまった上鳴に戦況を変えることは出来なかった。

 

 

「…………! ……ん?」

「上鳴君の『個性』も強力なハズだけど……。塩崎さんは入試4位の実力者……ツルとかシンリンカムイと同じようなものかな。やっぱり拘束系は強いよなあ、破られてるのあまり見ないし……ブツブツブツブツブツブツブツブツ……」

 

 隣から聞こえる声に麗日が顔を向けると出久がブツブツ言いながらノートに今の試合の勝敗、それに関連した塩崎の個性をまとめていた。あまりの集中具合に麗日はためらったが、一呼吸入れて声をかけた。

 

「終わってすぐなのに先見越して対策考えてんだ?」

「ああ!? いや!? 一応……ていうかコレはほぼ趣味というか……せっかくクラス外のすごい『個性』見れる機会だし……。あ! そうそう、A組の皆のもちょこちょこまとめてるんだ。麗日さんの無重力(ゼログラビティ)も」

 

 出久がまとめたノートを見せると、その詳細な内容に麗日は目が点になる。プロヒーローだけでなく、それを目指す生徒達の個性にも興味を持ち分析する。その情熱に麗日は自然と尊敬の念が湧き上がってくる。

 

「…………デクちゃん、会った時から凄いけど……体育祭で改めてやっぱ……やるなァって感じだ」

「?」

「ほら、次の試合始まるよ」

 

 麗日の言うことの意味がわからない出久だったが、麗日に促されて次の試合を見るべくスタジアムへ目を向けた。

 

 

『さァーーーどんどん行くぞ、頂点目指して突っ走れ!! ザ・中堅って感じ!? ヒーロー科、飯田天哉! (バーサス)! サポートアイテムでフル装備!! サポート科、発目明!!』

「どんな戦いになるんだ……?」

「つーか何だアリャ……」

「飯田もサポートアイテムフル装備じゃねえか!?」

 

 プレゼント・マイクから次戦のアナウンスがされ、観客もスタジアムにいる2人を見るが全員がざわついている。それもそのはず、障害物競走時にも言われていたが、サポート科は自身の開発したサポートアイテムを着用できるが、ヒーロー科は日々の訓練等で鍛えており公平を期すためコスチュームの着用も認められていない。にも関わらずサポートアイテムを装備した飯田に誰もが首を傾げていた。

 

「ヒーロー科の人間は原則そういうの禁止よ? ないと支障をきたす場合は事前に申請を」

「は!! 忘れておりました!! 青山君もベルトを装着していたので良いものと……!」

「彼は申請しています!」

「申し訳ありません! だがしかし! 彼女のスポーツマンシップに心打たれたのです!!」

 

 至極当然の注意をミッドナイトから受けるが、飯田は謝罪しつつサポートアイテムを装着するに至った経緯を説明する。

 

「彼女はサポート科でありながら『ここまで来た以上対等だと思うし対等に戦いたい』と、俺にアイテムを渡して来たのです! この気概を俺は!! 無下に扱ってはならぬと思ったのです!」

「青くっさ!!!」

『いいんかい……』

『まァ双方合意の上なら許容範囲内……で良いのか……?』

 

 主審のミッドナイトの判断で双方合意したサポートアイテムフル装備での試合が認められた。

 

「……ねえ、デクちゃん、あれって……」

「うん、発目さんってそんなこと言う人じゃないよね……。たぶん……」

『STARAT!』

 

 多少なりとも発目の人となりを知ってる出久と麗日の疑問をよそに試合が始まる。

 

『素晴らしい加速じゃないですか飯田君!!』

『は?』

「マイク?」

 

 マイクを通した発目の突然の声に会場中が騒然となる。なぜ試合中の選手がマイクで喋っているのか。しかし、その疑問はすぐ解消されることとなった。

 

『普段よりも足が軽く上がりませんか!? それもそのハズ!! そのレッグパーツが着用者の動きをフォローしているのです! そして私は『油圧式アタッチメントバー』で回避もラクラク!』

「どういうつもりだ……!」

『飯田君鮮やかな方向転換!! 私の『オートバランサー』あってこその動きです!』

『何コレ……』

『売り込み根性たくましいな……』

 

 会場中の観客が理解した、コレは発目による『実演販売(デモンストレーション)』なのだと。

 

 

 ……10分後。

 

「ふーーー……全てあますことなく見て頂きました。もう思い残すことはありません!!」

「発目さん場外!! 飯田君二回戦進出!!」

「騙したなあああ!!!」

 

 自分の開発したサポートアイテムを満足のいくまで紹介した発目は自ら場外に出て飯田の勝利が決まった。ようやく飯田は自身が騙されていたことに気づくが……。

 

「すみません、あなた利用させてもらいました」

「嫌いだぁあ君ーーー!!」

 

 『目的を果たす』と言う点で発目の方が一枚上手であった。

 

「やっぱり……飯田君真面目すぎたから耳ざわりの良い事言って乗せたんだ……。あけすけなだけじゃない、目的の為なら手段選ばない人だ」

「っし……そろそろ控室行ってくるね」

「う、うん……」

 

 そう出久に声をかけて麗日は控え室へと向かう。出久は返事を返すが麗日の表情を確認することはできなかった。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Otyako

 

「はあ……」

 

 もう少しで試合って考えたらめっちゃ緊張する。下手したら個性の副作用なくても吐いちゃうかも……。デクちゃんもこんな気持ちで第一試合戦ったんやろか……。最初の相手は心操君、尾白君から個性聞いていたとはいえ得体の知れない相手はやっぱり怖かったろうな。それにしても心操、あの野郎デクちゃんに触ろうとしたりキスしようと迫ったり……今度会ったらどう問い詰めてやろうか……!

 

 っとあかんあかん! 今は試合に集中せんといかんのに……全然できん……。

 

「ハア〜〜〜……」

 

 ため息をつきながら飯田君が控室に入ってきた。疲れた表情をしてるけど、あれは肉体的な疲労じゃなくて精神的なアレやろなあ……。

 

「おつかれ様飯田君……」

「お……うらら……かじゃないなシワシワだぞ眉間!!」

「みけん?」

 

 そう言われて眉間を触ると自分でもわかるくらい皺が寄ってた。

 

「あー……ちょっとね、緊張がね。眉間に来てたね」

「そうか、君の相手、あの爆豪君だものな……」

「うん、超怖い」

 

 飯田君に言われて一層緊張してくる。爆豪君……あの個性は強いし本人の戦闘センスや身体能力はクラスでも……もしかしたら1年ヒーロー科の中でもトップクラスかも。それに加えて……あの攻撃的な、威圧的な性格・気性。ほんと、デクちゃんよく爆豪君と長く付き合えてるよね……。それだけでもやっぱデクちゃん凄いわ。

 

 ……でも。

 

「でもね……飯田君の()()()()とか見ててね……」

「?」

「麗日さん!!」

 

 飯田君に説明しようとしたらデクちゃんがやって来た。まだ他の人の試合やってるのに来て良いのかな?

 

「デクちゃん! 皆の試合見なくていいの?」

「緑谷君、あのサポート科なんなんだ!?」

「だいたい短期決戦で終わってて、今切島君とB組の人やるとこだよ。飯田君、発目さんってすごいあけすけで自己中なんだよ、発明品は凄いんだけどね」

 

 飯田君に苦笑いで答えた後で今までの試合の結果を教えてくれる。三奈ちゃんは青山君をノックアウト、八百万さんは常闇君に場外負けか……。皆、一生懸命頑張ってるんだね……。

 

「じゃあ、もう次……すぐ……」

「しかしまァ、流石に爆豪君も女性相手に全力で爆発は……」

「するよ。っていうか飯田君、戦闘訓練でかっちゃんと組んで僕達と戦ったし、その映像も見たでしょ?」

「むむむ、確かに……彼の攻撃はその……容赦なかったな」

「元々かっちゃんは誰に対しても手加減しないし、全力で叩いていく性格だよ。それに、皆夢の為にここで一番になろうとしてる。かっちゃんでなくても手加減なんて考えないよ……」

 

 デクちゃんの言葉に私も心の中でうなづく。爆豪君はデクちゃんと戦ってる時、手を抜くとか手加減するとか全然そんな気配なかった。確かに性格とか気性の荒さとかもあるけど、あれは自分の夢に対して真剣だから……何だと思う。でなきゃ、負けた時にあんな悔しそうにしないもん。

 

「僕は麗日さんにたくさん助けられた。だから少しでも助けになればと思って……麗日さんの『個性』でかっちゃんに対抗する策、付け焼き刃だけど……考えてきた!」

「!」

「おお! 麗日君やったじゃないか!!」

 

 デクちゃん、君って本当に優しいね……。入試の時、私を助けてくれたみたいに困ってる人がいたら助けてくれる。もう、私にとってデクちゃんはヒーローだよ。

 

「ありがとう、デクちゃん……」

 

 ……でも。

 

「でも、いい……」

「え……」

「デクちゃんは凄い! どんどん凄いとこ見えてくる。騎馬戦の時……仲良い人と組んだ方がやりやすいって思ってたけど……今思えばデクちゃんに頼ろうとしてたんかもしれない。だから飯田君が『挑戦する!』って言ってて、本当はちょっと恥ずかしくなった」

「麗日さん……」

 

 デクちゃんのアドバイスの通り戦えば、爆豪君とも互角に戦えて……もしかしたら勝てるかもしれない。

 

 ……でも、それじゃいけない! 私がヒーローになるために、今ここで受け入れちゃけない!

 

「それにデクちゃん、爆豪君が負けるとは思ってないでしょ?」

「へ? まあ、はっきり言って麗日さんと戦ってかっちゃんが負けるところはあまりイメージできないかな。それだけかっちゃんの戦闘能力は高いよ」

「デクちゃん正直者だね。そんなデクちゃんの予想を私自身の力で覆してみたい!だから、いい!」

 

 自分の考えを包み隠さず話すデクちゃんそう言って席を立ち出口に向かっていく。もうすぐ前の試合が終わるだろうから少しでも体を、意識を集中させないと。

 

「皆将来に向けて頑張ってる! そんなら皆ライバルなんだよね……だから」

 

 振り返って2人に向かって震える右手でサムズアップする。デクちゃんが憧れてる、オールマイトみたいに笑って!

 

「決勝で会おうぜ!」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

『個性ダダ被り組!! 鉄哲VS(バーサス)切島! 真っ向勝負の殴り合い!! 制したのはーーー!」

「……両者ダウン!! 引き分け!! 引き分けの場合は回復後、簡単な勝負……腕相撲等で勝敗を決めてもらいます!」

 

「実力もほぼ同じかよ」

「いいね、ああいう暑苦しいのは」

「士気上がるしサイドキックに欲しいかもなー」

 

 観客は切島・鉄哲のド派手な殴り合いを目の当たりにしてテンションが上がっている様子だった。次が一回戦最後の試合となるが、対戦する両者を知る者達はその始まる前からその内容を心配していた。

 

「次ある意味最も不穏な組ね」

「ウチなんか見たくないなー」

 

「(頑張れ麗日さん……かっちゃんも頑張って……)」

 

『一回戦最後の組だな……。中学からちょっとした有名人!! 堅気の顔じゃねえ! ヒーロー科、爆豪勝己!! (バーサス)……! 俺こっち応援したい!! ヒーロー科、麗日お茶子!』

 

「お前、浮かす奴だな丸顔」

「ちょっ、こんな時でも丸顔言うん?」

「退くなら今退けよ。『痛ぇ』じゃすまねぇぞ」

「ご忠告ありがとう。でも、私だって譲れないから!」

「……後悔すんなよ」

 

 

「先程言っていた爆豪君対策とは何だったんだい?」

「ん! 本当大したことじゃないんだけど……かっちゃんは強い! 本気の近接戦闘はほとんど隙無しで動く程強力になってく『個性』だ。空中移動があるけど……とにかく浮かしちゃえば主導権を握れる。だから……」

 

 

『START!』

 

 出久が飯田に説明している中で試合開始の合図が告げられる。試合開始と同時に麗日が低い体制で勝己に向かっていく。

 

「狙うのは速攻!! 事故でも触れられたら浮かされる! 間合いは詰められたくないハズ! だからかっちゃん的には回避じゃなくて迎撃!!」

 

 麗日も出久の予想と同様、接近して何とか勝己浮かせる作戦を狙っていた。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Katsuki

 

「退くなんて選択肢ないから!」

 

 ビビらずに突っ込んできやがる。おそらくデクから俺の個性についていろいろ聞いてるんだろう。正直こいつの個性は厄介だ。一応俺も空中で移動できるが、浮遊状態で同じように動ける保証はねえ。

 

 万が一の可能性も潰す!

 

「(デクちゃんが以前言ってた通りならここで右の大振りがくるはず! そこを避けて……!)」

 

 バッ! BOOM!

 

「ぶわっ!?」

 

「うわあ、モロ……!!」

「女の子相手にマジか……」

 

 ちっ! モブどもがうるせえ!! この場所に立つなら男も女も関係ねえ! それはこいつの方がわかってる!

 

「(アカン……! わかってても反応出来ない!)」

 

 突っ込んでくる根性は大したもんだが、それだけじゃ俺には勝てねえぞ。……他に策がねえなら……。

 

「じゃあ死ね」

 

 ちっ! 爆破で思ったより煙が立ったな、少し下がって……。

 

 スス……ブワッ!

 

「ナメっ……!」

 

 バッ! 

 

 な! これはジャージ!

 

『上着を浮かせて這わせたのかぁ、よー咄嗟に出来たな!』

 

 舐めた真似しやがって! どこから来やがる!?

 

「(よし、裏取った! ここで浮かしちゃえば!)」

 

 そこか!

 

 バッ! BOOM!

 

「わ“っ! た!」

 

 油断も隙もねえ……! だが、二度目はねえ!

 

 

「見てから動いてる……!?」

「あの反応速度なら煙幕はもう関係ねぇな。触れなきゃ発動出来ねぇ麗日の『個性』、あの反射神経にはちょっと分が悪いぞ……」

 

『麗日、間髪入れず再突進!!」

 

 バカの一つ覚えみてえに!

 

「おっせぇ!」

 

 BOOM!

 

「おらあああああ!!!」

 

 まだ来るか! ……上等だ! とことん付き合ってやるぜ!

 

 BOOOOM!!

 

「お茶子ちゃん……!」

「爆豪、まさかあいつそっち系の……」

 

 クラスのモブどもがやかましい! 向かってくるなら手加減しねえんだよ、俺はよ!

 

「まだまだぁ!!」

 

 

『休むことなく突撃を続けるが……これは……』

 

「……あの変わり身が通じなくてヤケ起こしてる」

「アホだね……あいつ」

「なァ止めなくていいのか? 大分クソだぞ……」

「……」

「おい!! それでもヒーロー志望かよ! そんだけ実力差あるなら早く場外にでも放りだせよ!!」

「女の子いたぶって遊んでんじゃねーよ!」

「そーだそーだ」

 

 BOOO……

 

 外野がうるせえんだよ! クソザコヒーローどもが! てめえらの目は節穴か!

 

『一部から……ブーイングが! しかし正直俺もそう思……わあ肘っ!? 何SOON……』

『今遊んでるっつったプロか? 何年目だ? 』

「?」

『シラフで言ってんならもう見る意味ねぇから帰れ。帰って転職サイトでも見てろ』

「相澤先生……!?」

 

『ここまで上がってきた相手の力を認めてるから警戒してんだろう。本気で勝とうとしてるからこそ、手加減も油断も出来ねえんだろが』

 

 さすが担任! 俺の思ってること全部言ってくれたぜ!

 

 そうだよ! あんなにぶっ飛ばされた奴が何回も向かって来るんだ、手加減なんてするわけねえだろ!

 

 まだだ! まだこいつ……死んでねえ!

 

「そろそろ……か……な……」

 

 なんだと? 舐めてはいねえが、この状況からどうするってんだ?

 

「ありがとう、爆豪君。油断してくれなくて」

「あ……?」

 

 あれは……確か個性解除の動き。だが、今浮かせてる物なんて……まさか!?

 

 

「爆豪の距離ならともかく……客席にいながら()()()()ブーイングしたプロは恥ずかしいね。低姿勢での突進で爆豪の打点を下に集中させ続け……()()()()()()()。そして、絶え間ない突進と爆炎で視野を狭め悟らせなかった」

 

 

「勝あアアァつ!!」

 

 あいつ!! こんなもんを頭上に用意してやがったのか!?

 

『流星群ー!!!』

『気付けよ』

 

「そんな捨て身の策を……麗日さん!!」

 

 

「(こんだけの量!!迎撃にしろ回避にしろ必ず隙が出来る! その瞬間超必で距離詰める! 勝つ!! 勝って私もデクちゃんみたいに……!)」

 

「クソがーーーー!!!!!」

 

 BOOOOOOM!!!

 

「「「!!」」」

 

「デクの奴とつるんでっからなてめェ。何か企みがあるとは思ってたが……マジでとんでもねえことしてんじゃねえかよ!」

 

『会心の爆撃!! 麗日っの秘策を堂々ーーー正面突破!』

 

「危ねぇな」

 

 マジで危なかったぜ……。あと少し気付くのが遅かったらどさくさに紛れて触られてたかもしれねえ……。

 

 やるじゃねえか! おかげで久々に手の平が痛むぜ!

 

「(私の今出来る最大限……!! 全く通じへんかった!!!)」

「いいぜ、こっから本番だ麗日!」

「(それでも!!!)」

 

 俺かてめえがぶっ倒れるまでとことんやってやるぜ!!

 

 カクッ……

 

「!?」

「……んのっ……体、言うこと……きかん」

 

「……許容重量(キャパ)、とっくに超えて……!!」

 

 

 ミッドナイトが麗日に近寄る。試合続行が可能かの判断だろうが……。

 

「まだ…………父ちゃん……!!」

「……麗日さん……行動不能。二回戦進出、爆豪君!」

 

 ……勝った。勝ちはしたが……あいつ、まだ目は死んでなかった。

 

 ……デクみてえに諦め悪くてムカつくぜ……!! クソが!!

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

「リカバリーガールの元へ」

「「I Know……」」

 

 一回戦で最も注目を浴びた試合は勝己の勝利で終わった。対戦相手の麗日の消耗は激しく担架ロボによって医務室へ運ばれていく。

 

『ああ麗日……ウン。爆豪一回戦とっぱ』

『ちゃんとやれよ、やるなら……』

『さァ気を取り直して一回戦が一通り終わった!! 小休憩挟んだら早速次行くぞー!』

『私情すげぇな……』

 

 

 

 『決勝で会おうぜ』

 

「麗日さん……」

 

 出久は小休憩の後に行われる二回戦の準備のため控室の向かっていた。麗日が試合で見せた気迫、捨て身の特攻、それらを真正面から打ち破った勝己の力……。

 

 どちらも二回戦に備える出久を奮い立たせるものとなっていた。

 

「!」

「! うわあ、かっちゃん」

 

 一回戦が終わり観客席へ戻る勝己と控室へ向かう出久が鉢合わせる。先ほどの試合を見て奮い立った出久だったが、戦っていた本人を前にどう反応していいかわからなくなってしまう。

 

「なんでてめえがここにいるんだクソデク!」

「いや……次二回戦で僕の試合だから……控室で準備しようと……えーっと……一回戦突破おめでとう……それじゃあ」

「おい待て」

 

 そそくさと控室に行こうとする出久を勝己は呼び止める。

 

「てめェの入れ知恵だろ、あの捨て身のクソ策は。厄介なことしやがってふざけんじゃ……」

「違うよ」

「なんだと」

 

 勝己の言葉を遮るように出久が否定する。普段はそんなことしない出久に勝己は疑問を抱く。

 

「最初はそのつもりだったけど、麗日さんは僕のアドバイスを断った。あの作戦は全部……麗日さんがかっちゃんに勝つ為に考えたんだよ。厄介だって思ったんならそれは……麗日さんがかっちゃんを翻弄したんだ」

「…………」

「それじゃあ、僕もう行くね。あと、お疲れ様」

 

 そう言って出久は控室へ向かう。

 

 ……が。

 

「待てや」

「!?」

 

 再度勝己に呼び止められる。

 

「てめェ、体育祭始まる前に言ったよな。勝ちに行くって」

「……うん、言ったよ」

「……俺が直々にぶっ倒してやるから、そこまで上がってこいや。負けたら承知しねえからな!」

「……へ?」

「ふん!」

 

 言いたいことだけ言って勝己は観客席へと歩いていった。後に残された出久は言われたことを反芻して考えていた。

 

「……あれって、予告KOされた? それとも遠回しに激励された? どっちだろ?」

 

 そんなことを考えながら、今度こそ控室へ進んでいった。

 




と言うわけで一回戦の残り試合でした。今回は轟・お茶子・勝己の登場の割合が多かったですが、まあこの辺は原作でもそうなのでそうなりますね。他の生徒達は少し割愛しちゃったところもありますが、他のところで出番を出せればと思います。ちょくちょく投稿に遅れが出てきてますが、2週間とかまでは行かないようなるべく頑張っていきたいと思います。今後も応援よろしくお願い致します!
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