それではどうぞ!
某県某所、『ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ』の所有する山の中に位置する宿泊・研修施設。雄英高校ヒーロー科1年B組の生徒達は担任のブラドキングの号令で施設前に集合していた。
「おはよう諸君!!」
「「「おはよーございます!」」」
ブラドキングに対して力強く挨拶を返すB組生徒だが、あくび混じりだったり寝ぼけ眼の者もちらほらいる。そんな中でブラドキングは気合を入れるように言葉を続ける。
「今日から本格的に訓練を始める。今回の林間合宿の目的、それは『個性を伸ばす』だ!」
「『個性を伸ばす』……!?」
「A組はもうやってる。早く行くぞ」
B組クラス委員長の拳藤への回答もそこそこに、森の中に入ってA組が先に訓練を始めている場所へ進んでいく。
「前期はA組が目立っていたが、後期は我々B組の番だ。いいか? A組ではなく我々だ!」
「「「(先生……! 不甲斐ない教え子ですまねえ!)」」」
ブラドキングの言葉に涙する生徒がいる中で取蔭切奈が疑問を口にする。
「突然『個性』を伸ばすと言っても……20名20通りの『個性』があるし……何をどう伸ばすのかわかんないんスけど……」
「具体性が欲しいな!!」
取蔭の疑問に鎌切尖も同意する。一人一人特性の違う個性に対して、どのような手段でどう伸ばすのか。それについて、ブラドキングが歩みを止めずに答えていく。
「筋繊維は酷使することにより壊れ……強く太くなる。『個性』も同じだ。使い続ければ強くなり、でなければ衰える! すなわち、やるべきことは一つ!」
その瞬間、森から抜けて視界が開ける。眼前の光景を見たB組全員が騒然とする中、ブラドキングが力強く言い放つ。
「限界突破!!」
「ああああ!! クソがああ!!!」
「うああああああああ!!!」
「ぎゃあああああああ!!!」
「うおおおおおおおお!!!」
「はああああああああ!!!」
「ああああああ!! ダークシャドウ!!」
「なんだ……この地獄絵図……!!」
熱湯の入ったドラム缶に手を入れてその後上に向かって爆破する勝己、苦しみながら自身の腕からテープを射出し続ける瀬呂、大型バッテリーと通電し続ける上鳴、硬化を維持し続ける切島と攻撃し続ける尾白、洞窟から聞こえる常闇の声、エトセトラエトセトラ……。鱗飛龍の言う通り、それはまさに地獄絵図に思えた。
「許容上限のある発動型は上限の底上げ。異形型・その他複合型は『個性』に由来する器官・部位の更なる鍛錬。通常であれば肉体の成長に合わせて行うが……」
「まァ、時間がないんでな。B組も早くしろ」
A組生徒の様子を見ていた相澤がブラドキングの言葉に補足を加える。その壮絶さにB組も困惑しているが、その中で拳藤が疑問を呈する。
「でも、私達も入ると40人だよ。そんな人数の『個性』、たった
「
「そうなの!」
拳藤の疑問に相澤が短く答えると、その場に女性の声が響く。
「あちきら四位一体!」
「煌めく眼でロックオン!!」
「猫の手手助けやって来る!!」
「どこからともなくやって来る……」
「キュートにキャットにスティンガー!!」
「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!! フル
言葉の通り、どこからともなくやって来た4人組ヒーロー集団『ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ』は色違いのお揃いのヒーローコスチュームで見事な決めポーズを決めていた。勢いそのままに、4人が各々の個性を説明していく。
「あちきの個性、『サーチ』! この目で見た人の情報100人まで丸わかり! 居場所も弱点も!」
「私の『土流』で各々の鍛錬に見合う場を形成!」
「そして私の『テレパス』で一度に複数の人間へアドバイス」
「そこを我が殴る蹴るの暴行よ……!」
「色々ダメだろ……」
最後の発言はともかく、このような広い場所で多くの者を管理しながら訓練を行うには非常に有用に思えた。
「単純な増強型の者、我の元へ来い! 我ーズブートキャンプはもう始まってるぞ」
「ひい……ひい……くっ!」
「(古)」
筋骨隆々の男性、虎の視線の先には出久が定められた動きをひたすら繰り返していた。個性のない時代に一世を風靡したトレーニングDVDを模した名前でいろいろ危ないが、筋力・体力を鍛える基礎的なトレーニングとして現代でも広く普及している。
「さァ今だ、撃って来い!」
「はっ! はい! 5%デトロイトスマッシュ!!」
ブン! スカッ!
虎の言葉に出久はOFAフルカウルで虎に攻撃を仕掛ける。これまで学校や自主トレで鍛えてきて淀みなくOFAフルカウルを発動させられるようになってきており、その出久の拳が虎を捉えた! ……かに思えたが、その瞬間虎の身体が通常ならあり得ない角度、柔軟性をもって出久の攻撃を回避した。
「よォォォし!」
ドン!
そのままあり得ない体勢のまま、出久に攻撃を喰らわせる。不安定な体勢にも関わらず、出久は吹き飛ばされ木にぶつかった。
「グハッ!?」
「まだまだキレキッレじゃないか!! 筋繊維が千切れてない証拠だよ!!」
「イエッサ……!」
「声が小さい!」
「イエッサァ!!」
「「「(ノリ怖え!)」」」
軍隊もかくやというスパルタなトレーニングにB組男子の面々も戦々恐々としている。そんな中、虎はギラリと目を光らせ出久と彼らを追い込んでいく。
「プルスウルトラだろォ!? しろよ! ウルトラ!」
「イエッサァ!!」
「「「(この人だけ性別もジャンルも違うんだよなあ……)」」」
「雄英も忙しいから、ヒーロー科1年だけに人員を割くことは難しい」
「この4名の実績と広域カバーが可能な『個性』は短期で全体の底上げをするのに最も合理的だ」
「A組に後れを取るな! B組行くぞ!」
「「「はい!!!」」」
ブラドキングの声にB組生徒全員が力強く返事をする。雄英高校ヒーロー科1年の林間合宿がついに始まった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
Side:Izuku
「はあ……はあ……はあ……」
さすがに、キツい……。単純にトレーニングが過酷なのもあるけど、そこから虎さんに打ち込みをやっていくからさらに体力的・筋力的に追い込まれていっちゃう。……でも、そうでなきゃいけないんだ! オールマイトから身に余る『個性』を授かった……。グラントリノから身体に見合う使い方を教わった……。
『器を鍛えれば鍛える程、『力』は自在に動かせる!』
『貰って』ここまで来た!! ここからは正真正銘、僕の頑張り次第!!
「よおおし!! 頑張るぞー!!!」
「気合入ってるねー」
「ひゃあ!? なんだ、拳藤さんか……」
「ごめんごめん、驚かせちゃったね」
「ううん、拳藤さんも僕と同じメニューなんだね」
「うん、なんだかんだでA組B組含めても女子で増強型・パワー系は私とあんたしかいないからね」
言われてみればそうだった。A組ならパワー系の分類なら僕と砂藤君だけど、砂藤君の場合は砂糖を摂取することによる発動型でもあるから八百万さんと同様の訓練を行ってる。一方、B組は結構増強型に分類される生徒が多いから実質虎さんのトレーニンググループはB組メンバーに僕が混ざってるようなものだ。
「それにしても……あんた体力も根性もあるね。ウチの男子全員へばってるのにまだまだやる気なんだもん」
「うん、僕ってこれまでにあった体育祭や職場体験でも怪我しちゃってるから……まだまだ頑張らなきゃいけない、やらなきゃいけないことが多いから……ここで足踏みしちゃいられないから……!」
「……熱いね、あんた。嫌いじゃないよ、そういう奴……」
「へ?」
「私の個性はさ、ただ手が大きくなるだけの単純なもんだけど……ヒーローになりたい一心で雄英に来たんだよ。ここで立ち止まってらんないよね!」
「拳藤さん……、うん! 頑張ろう!」
「よっしゃ!」
拳藤さんがそう言って右拳を突き出す。意図を察して僕も右拳を出して突き合わせる。A組の皆ももちろんだけど、B組の皆も必死でヒーローを目指す仲間でライバルなんだ! 頑張らなくちゃ!
「ふむふむ、男子どもはへばってるが女子2人はまだまだいけそうだな」
「ひゃあ!?」
「わあ!?」
急に声がして振り向くと虎さんがこちらを興味深げに見ていた。気配を全然感じなかった。この辺りもやっぱりプロが持つ技なのかな?
「今どきは個性もあって男女の体力差は一概には言えないが、それでもこの体たらくは情けないぞ! 元女の現男として実に嘆かわしい!」
「え!? 虎さんって女だったの!?」
「え? 拳藤さん知らなかったの? 結構有名な話だけど……」
「え!? 緑谷知ってたの!?」
「うん……僕、ヒーローオタクだから」
とは言ったものの、ヒーローになる前の話はファンやコアなヒーローオタクじゃないと分からない話かも……。僕も虎さんを見てそう言えばそうだったなあって思い出したレベルのものだから。
「よし! お前達2人で即席のバディを組んで我と組手だ! 来い!」
「ええ!? そんないきなり!?」
「ヒーローになればそんなことは日常茶飯事だぞ! さっさとかかってこい!」
「やろう、拳藤さん! これも経験だよ!」
「あんたって意外にポジティブなのね! こうなったら、やったろうじゃないの!」
こうして、拳藤さんとの即席ペアで虎さんと組手を行い、他の男子生徒達ともペアを変えながら日が暮れるまで特訓は続いた。
「さァ、昨日言ったね! 『世話焼くのは今日だけ』って!」
「己で食う飯くらい己でつくれ!! カレー!!」
「「「イエッサー……」」」
言ってた……確かに言ってた。まさか、こういうことになるとは……。さすがにA組B組全員元気がない。かっちゃんやB組問題児の物間君でさえ口数が減ってるから皆相当疲れてるんだろうなあ……。
「アハハハハ! 全員全身ブッチブチ!! だからって雑なネコマンマはダメね!」
ラグドール甲高い声が周囲に響き渡る。ヒーロー活動中やメディアの取材中は彼女の天真爛漫さは魅力的に映るけど、今はその高いテンションが若干ウザく感じちゃうな……。
「確かに……。災害時など避難先で消耗した人々の腹と心を満たすのも救助の一環……」
飯田君? 疲れて妙な思考回路に……いや、彼は元々そういう考え方をする人間だったな……。
「さすが雄英、無駄がない!! 世界一旨いカレーを作ろう、皆!!」
「「「オ……オォー……」
皆の覇気の掛け声が周囲に力なく響いた。僕もお腹空いたから、早く食べたいな、カレー……。
「たぶん、この辺りかな?」
その後、何とか皆で気力を奮い立てせてカレーを作り食事をしているとマンダレイのいとこの子、洸汰君が外の食堂から1人離れていくのが見えた。いくらここがプッシーキャッツ所有の土地とはいえ蛇や猪とかの危険な動物がいるかもしれないし、土砂崩れや小川なんかの水辺とかで足を踏み外したら大変だ。それに……カレーを食べてる様子もなかったからお腹も空いてると思う。一応、一杯分のカレーも持ってきてるけど……。
そうして、少し坂道を歩いていくと見晴らしの良い広場があってそこで1人で座っている洸汰君がいた。良かった……。
「洸汰君、お腹空いてない?」
「!? てめェ! 何故ここが……!」
「あ、ごめんね。洸汰君が1人で離れるのが見えてさ、ご飯食べてないみたいだからちょっと気になって。人の通れそうなところを歩いてきたんだ」
「いいよ、いらねえよ。言ったろ、つるむ気などねえ。俺のひみつきちから出てけ」
「ひみつきちか……! ここいい場所だね、見晴らし良くてさ!」
懐かしいなあ。僕もかっちゃんや他の皆と秘密基地を作ってりして遊んだりしてたなあ。
「『個性』を伸ばすとかはり切っちゃってさ……気味悪い。そんなにひけらかしたいかよ、『
「……君の両親さ……ひょっとして水の『個性』の『ウォーターホース』……?」
僕がその名前を出すと洸汰君の表情が一気に険しくなる。やっぱり、ご両親のことが……。
「っ! ……マンダレイか!?」
「……直接は聞いてないけど、いろいろ情報を合わせたらなんとなくそうかなと思って……。残念な事件だった。僕もニュースで見てよく覚えてるよ」
凶暴な敵を夫婦で対峙していて、増援が来てなんとか拘束できたものの2人とも亡くなってしまった。ヒーローのニュースを見ていて一番気が滅入ってしまう、殉職のニュース……。
「……頭イカれてるよ、みーんな。馬鹿みたいにヒーローとか敵とか言っちゃって殺し合って、『個性』とか言っちゃって……ひけらかしてるからそうなるんだバーカ」
「……」
ヒーローだけじゃない……。洸汰君は『個性』……超人社会そのものを憎んで……。
「なんだよ! もう用ないんだったら出てけよ!」
僕が……洸汰君に何を言える? 何をしてあげられる?
「……僕の、友達にさ。……親から『個性』が引き継がれなかった子がいてさ……」
「……は?」
「先天的なもので、稀にあるらしんだけど……。でもその子はヒーローに憧れちゃって、でも今って『個性』がないとヒーローにはなれなくて……その子はしばらく受け入れられずに練習してたんだ。物を引き寄せようとしたり、火を吹こうとしたり……」
もちろん『その子』はかつての僕だ。思い出すだけで今でも胸が痛くて、涙が出そうになる。でも、僕が今洸汰君に伝えられる話があるとしたら……。
「『個性』に対して色々な考えがあって一概には言えないけど……そこまで否定しちゃうと君が辛くなるだけだよ」
「……!」
「えーっと……つまり……」
「うるせえ! ズケズケと! 説教してんじゃねえよ! 出てけよ!」
「……ごめんね。取り止めのないことしか言えなくて……。カレー、置いておくから……良かったら食べてね……」
それ以上何も言えず、カレーを置いて僕はその場を後にした。
洸汰君、カレー食べてくれたかな? やっぱり、洸汰君……ヒーローに対して嫌悪感を……憎悪を抱いている。
『救えなかった人間などいなかったかのようにヘラヘラ笑ってるからだよなあ!!』
不意に以前遭遇した死柄木を思い出してしまう。もし、洸汰君がこの先もヒーローや超人社会への憎悪を抱き続けてしまったとしたら……。
恐ろしい想像を頭を振って振り払う。そんなことあるもんか! ……でも、一体どうやって洸汰君の考えを……想いを変えてあげられるんだろう? 僕なんかが変えてあげるなんて烏滸がましいけど……。
そんなこんなで頭の中であーでもないこーでもないと考えて宿泊施設の女子部屋に戻ると……。
「あー、緑谷やっと戻ってきた〜!」
「出久ちゃんどこ行ってたの? 心配したよ〜、もう!」
「デクちゃんスマホ持っていってなかったから電話しても意味なかったし」
「えーっと、ごめんね。ちょっと夜風に当たりたくて散歩に行ってたんだ」
「いくらこの一帯がプッシーキャッツの所有地だからといって、夜の一人歩きは危ないですわ」
「せめて誰かに言ってから行けば良かったのに」
「でも、何事もなくて良かったわ出久ちゃん」
僕が1人で出歩いていたのにお小言を言ってくれる心優しいA組女子の6人。ここまではいつも通り。今日はその他に……。
「緑谷ー、遅かったなー」
「私はてっきり男子と呼び出しされたかと思っちゃったよ♪」
「取蔭さん、ふしだらです!」
「塩崎は相変わらず頭が固いノコ」
「Umm……、緑谷サン見た目は少し地味デスけどとってもcuteなのでアメリカでもモテそうデスネ!」
「これで人数揃ったことになるのかな?」
「ん」
拳藤さん、取蔭さん、塩崎さん、小森さん、角取さん、柳さん、小大さんのB組女子7名がいた。
「あのー、ところで今日はなんでB組の皆もいるのかな?」
僕の質問に芦戸さんと葉隠さんが得意満面の笑み(葉隠さんは予想)で説明を始める。
「実はさー、お風呂で取蔭と小森と一緒になってさー。せっかくの林間合宿だから女子同士でお話ししたいよねーってなって」
「急遽、A組B組合同女子会を開催することになったんだー!」
なるほど、2人のテンションが爆上がりするのもわかる。常日頃から女子会やりたい、女子会トークしたいと言っていたからなあ。
「私らも膝を突き合わせて話す機会が欲しくてさ」
「ちょうどいいと思ったノコ」
「これを機にA組とB組女子の親睦を深めるのはとても有意義だと思いますわ!」
あ、八百万さんもプリプリしてめっちゃ乗り気だ。まあ、僕も拳藤さんぐらいしか話す機会なくて他の人とも話したかったからちょうどいいのかも。それに……さっきの洸汰君との会話で重くなった気分を少しは紛らわせられるかも……。
「では、反対意見もないので、これよりA組B組合同女子会を開催致します! それでは、カンパーイ!!!」
「「「カンパーイ!!!」」」
というわけで、A組B組合同女子会が始まった。車座の配置で座ってジュースで乾杯する。持ち寄ったお菓子をつまみながら、芦戸さんと葉隠さんの司会で女子会が進んでいく。
「それでそれでー、まず初めのトークテーマはー!?」
「ズバリ! 恋バナでーす!」
ちょっと!? いきなりフルスロットル!? 普段から恋バナがしたいって言ってたけど!
「その、恋バナとは一体なんでしょうか?」
「私もわかりませんわ」
八百万さんと塩崎さんはまだあんまりピンときてないみたい。八百万さんはお嬢様だからそんな感じはしてたけど、塩崎さんもその辺りは疎いみたい。と言っても、僕もそんな経験があるわけじゃないけど!
「ではでは! 今付き合ってる人がいる人ー! 挙手をお願いします!」
普段そんな話をしない僕もやっぱりちょっと気になる。
皆もそうみたいで周囲を見渡している、誰か手を挙げていないかと……。
…………。
「ええ!? 誰もいないの!?」
「まあ、これに関しては予想通りかな」
「雄英に合格するために恋愛してる暇なんてないノコー」
拳藤さんと小森さんが口々にそう言った。確かに、偏差値70を超える雄英高校ヒーロー科に合格するためには勉強だけでなく実技試験も突破しなけらばならない。とてもじゃないけど、恋愛している暇なんてなかったと思う。
「えー、でもキュンキュンしたいよー! この後の補習に耐えるための元気が欲しいよー!」
「補習?」
「確か期末テストで赤点だった人達は今日から座学で補習だったかしら」
「え? 今が7時半過ぎだけど何時から始まるの?」
「9時から、ちなみに終わり時間は決まってない……」
「うわ! めっちゃキツい奴じゃん……」
「私ら補習じゃなくて良かった……」
「ちなみにB組でどなたか補習の方はいらっしゃいますか?」
「B組からは物間だけノコ」
「あいつ自分も補習なのにあんなに煽ってたの!?」
「まあ、物間はアレだから……」
「あー、ちょっといいかな?」
話がやや恋バナから離れた方へ脱線したところで取蔭さんが手を挙げる。
「はい! 取蔭さん早かった! 答えをどうぞ!」
「いや、なんのクイズ番組だよ……。とっかかりって意味でさ、誰か1人に聞いてみたいことを質問していくっていう形でもいいかな?」
「お、それいいかも! そこからどんどん話が広げっていくと思うし!」
「取蔭ちゃんは誰かに聞きたいことがあるのかしら」
「うん、あるよ」
「あ、それなら私も聞いてみたいなー」
「私も聞きたいノコ」
「私もございます……」
「私も聞きたいことありマース!」
「私もあるかな」
「ん、私も……」
「え!? B組全員!? そんなに聞きたいことあるの!?」
麗日さんが驚きの声を上げる。確かにこれは僕も他のA組女子も驚いた。B組の皆が恋バナで気になることがあるなんて……。でも、質問形式だから誰に聞くんだろ……?
「それじゃあ、1人ずつ順番に質問していこうか!」
「あー、いや。たぶん皆同じ人に聞きたいと思うよ……」
「同じ人?」
拳藤さんの言葉に葉隠さんがはてなマークを頭に浮かべる。もちろん、僕らも同様だ。同じ人に質問なんて一体どういうこと……?
「時間節約の意味でせーので言おうか?」
「うん、そうしようか。じゃあ、いくよ。せーの……」
「「「「「「「緑谷/緑谷さん/緑谷ノコ」」」」」」」
「ええ!!?」
なんで僕!? 僕のこれまでの学校生活で恋バナ要素なんてあった!?
「あー、なるほどね」
「まあ、私らも気になるっちゃ気になってたし……」
「え!? そうなの!?」
「なんというか、聞くに聞けなかったというか、タイミングを逃したというか……」
A組の皆も納得することがあるらしく、皆頷いている。僕の恋バナ要素って何!?
「じゃあ、言い出しっぺの私が聞くけどさ……緑谷と爆豪、どんな関係なの?」
「かっちゃん?」
質問形式を提案した取蔭さんが僕に質問してくる。かっちゃんとの関係なんて、小さい頃からの幼なじみだけど。
「うーんと、かっちゃんとは小さい頃……幼稚園より前からの幼なじみだけど」
「いやいや、関係ってのはそういうんじゃなくてさ。なんというか普通の幼なじみじゃないよね?」
「普通? まあ、確かにそれはそうかもだけど」
「周囲から見ててもなんか薄々感じてたけど、体育祭での件で一気にそれが強まった感じ?」
「体育祭?」
「デクちゃんアレやろ。デクちゃんと轟君との試合の奴……」
「あー、アレか」
僕と轟君との試合の時、かっちゃんが僕らに発破をかけてたっけ……。アレには僕もビックリしたけど……。
「アレ見てさ、アンタたち『実はできてんじゃない?』って結構噂になってたよ」
「え!? そうなの!? 全然知らなかったんだけど!?」
「まあ、ウチらのクラスじゃそんな話をしたがるのは女子じゃ芦戸か葉隠しかいないし、男子じゃ上鳴や瀬呂辺りだけど普段は本人目の前にそんな話やらないしね……」
「た、確かに……」
かっちゃんってその辺めんどくさがるタイプだから、初っ端で上鳴君を爆破してたかもしれない……。
「まあ、側から見ると『DV男とその彼女』にしか見えなかったってわけ」
「かかか彼氏と!? かかか彼女!? かかかかかっちゃんと僕が!?」
「『か』がやたら多いな……」
「そこんところをいつか聞いてみたいなって思ってたわけ。それで、実際のところどうなの?」
取蔭さんが質問を終えると、僕を除く13人の視線が僕に向けられる。
僕と……かっちゃんの関係……。
「よくわからない……かな」
「わからない?」
「うん……。さっき幼なじみって言ったけど……仲が良かったのは4歳くらい、個性が出るくらいの年までで……。かっちゃんは周りの友達も羨むくらい強い個性だったけど、僕はその……個性がなかなか発現しなくて……。実は発現したのは去年なんだ……」
「え!? そうだったの!? それで雄英に入れたの!?」
「う、うん……。猛勉強と猛特訓してなんとかだったけど……」
芦戸さんや他の皆の驚きも無理はない。このことを話したのは麗日さんぐらいだし、その麗日さんにしても本当のこと……オールマイトや『OFA』のことは話していない。
「それでさ……ちょっとずつ僕に対しての当たりが強くなってきて……いわゆる、いじめになるのかな……。中学校からは直接殴るとかは無くなったけど……口では色々言われたりしてた。皆も薄々気付いてると思うけど、『デク』って名前も元々『木偶の棒』から来てる蔑称なんだ……」
話しながら、昔の記憶が蘇ってきて胸が痛くなってくる。かっちゃんに脅されたり、殴られたり……酷い呼ばれ方をされたり……。今でもデク呼ばわりだけど、それはもう慣れちゃった。
「これだけあると普通関わり合いたくないと思うはずだけど……僕ってヒーローオタクで個性オタクだったから、すごい個性の持ち主は色々知りたくて分析したくなっちゃって……。かっちゃんは身近にいるすごい人で……口や態度も悪いけど、自分の目標に対してものすごくストイックで……。そんなところも尊敬できると思うし……。だから、苦手だし少し怖いけど……嫌いとか憎むとかそんな感じはしなくて……。ごめんね、本当によくわからないんだ……」
僕が話し終えるとしばらく沈黙が続いた。やっぱり、僕って恋バナって柄じゃないよね……。そう自虐的に思ってたら、蛙炊さんが側まで来て僕を抱きしめてくれた。
「蛙炊さん……?」
「出久ちゃん、色々大変だったわね……」
「……うん」
「大丈夫よ、私達が付いているから」
「…………うん」
蛙炊さんの暖かさに自然と涙が出てくる……。ダメだなあ……。これじゃあ皆心配しちゃうよ……。
「デクちゃん大丈夫! 私らデクちゃんの味方やから!」
「緑谷さん、大丈夫ですよ……」
蛙吹さんの他に麗日さんにも抱きしめられて、塩崎さんには頭をなでられてる。なんだか、ちょっと恥ずかしい……。
「あー、なんだか湿っぽい話になっちゃったな……」
「ううん、大丈夫。今まであんまり話して来なかったから、むしろスッキリしたかも」
「しかし、今の話と爆豪の行動を考えたらますます『DV彼氏』ってのがしっくり来るよねー!」
「そうなの!? かっちゃんに彼氏要素ってあったっけ!?」
「緑谷、あんたも中々言うね……。それこそ、体育祭の話もそうだけどその後にアンタを家に送り届けたりしてたでしょ。麗日の話だとUSJ事件の後もそうだったらしいじゃん」
「あ、あれは光己さん……かっちゃんのお母さんの言いつけ、というか命令だったし……USJの時は麗日さんも飯田君もいたし……」
「意外と爆豪も緑谷を気にかけてるよね。戦闘訓練の時見た? 試合が終わった後に緑谷が倒れそうになったのを爆豪がとっさに支えたの!」
「あれを見て『アレ? もしかして……』なんて思っちゃったりしたんだよねー!」
「え? 何それ僕知らない!」
「あれ? デクちゃんその時のVTR見てないの?」
「見たけど、ちょうど僕らの試合が終わったとこまでしか見てないけど……かっちゃんマジか」
「爆豪さんが緑谷さんを気にかけている、というのは私も見たことがあります……」
「塩崎さん?」
「何々!? 教えて教えて!」
「体育祭のお昼休憩の時ですが、たまたま競技場の出入り口に付近にいた緑谷さんを見かけまして……急に具合が悪そうに蹲ったので声をかけようとしたら爆豪さんが先に緑谷さんの傍に行って背中をさすったりして介抱しておりましたわ。その表情は普段の険しいものではなく、慈愛に満ちたものでしたわ」
「塩崎さん見てたの!?」
っていうか、塩崎さん物静かな印象だったけどめっちゃしゃべるね! 実は塩崎さんもテンション上がってるのか!
「デクちゃんそんなことなってたの!? 全然知らんかったんだけど!」
「えーっと、ごめん。心配させちゃうと思って……」
「……もしかして緑谷さん、決勝トーナメントで動きが悪かったのはその影響では……」
「うーんと、その時は大丈夫と思ったんだけどもしかしたら影響はあった、かも……」
「やはり……。ヒーローを志す者として、体調管理は万全を期しませんと! もちろんヒーローになれば無理を承知で活動しなければならない場面もくると思いますが……」
「ちょっとヤオモモストップ! 今日はお小言は置いておこうよ! せっかくの林間合宿だしさ!」
「林間合宿だからこそ、普段と環境が異なるのでなおさら注意が必要だと思うのですが……」
「まあまあ、それはまた機会を改めてってことで……。それじゃあ、結構時間経ったけど出久ちゃんへの質問はこんなところで大丈夫かな?」
葉隠さんの言葉に時計を見るとなんやかんやでもう8時前だ。この辺りで次の質問に……。
「あ、私まだ聞きたいことがあるノコ」
「あ、コモリンまだあるんだ。それじゃあどうぞ!」
「コモリン、結構悪くない呼び方ノコね。えっと、爆豪とのことは結構話したけど、緑谷って飯田や轟ともよく一緒にいるノコ。その辺りどうなってるのか聞きたいノコ♪」
「飯田君と轟君? 確かに2人ともよく話したりお昼よく食べたりするけど、その時は大体麗日さんも一緒だし特に何もないと思うけど……」
「またまた~! 『逆両手に花』なんて結構言われてるノコ!」
「何『逆両手に花』って!? それも初めて聞いたんだけど!?」
「まあ、轟は言わずもがなだけど、飯田もウチらからしたら真面目で固い委員長って認識だけど、他のクラスからしたらヒーロー一族の跡取りって認識だもんね。一応、顔立ち平均より上だと思うし身長も高いし」
「ヒーロー殺しの件で変な形で目立っちゃったけど、意外と女子人気あるみたいなのよね飯田君。真面目で固すぎるけど……」
「なんか、真面目で固すぎるが枕言葉みたいになってるな……」
「説明の最後だから枕じゃないけどね」
「でも、実際の話、飯田君も轟君もそんな色気のある話はないよね。飯田君が付き合うとしたら絶対結婚を前提とした話になるだろうし……」
「あいつそんなに真面目なのか?」
「もう真面目が服を着て歩いているようなもんよ」
「ケロ、A組の秩序は飯田ちゃんのおかげで保たれてると言っても過言ではないわね」
保たれてあの感じなのか、と思わなくはないけど確かに飯田君がまとめてくれるおかげで僕達も安心している部分はあると思う。
「轟はどうなの? あんなイケメンと一緒にいたらその気になったりしないの?」
「お、柳もさすがに気になるのー?」
「それはそうでしょ。一緒にホラー映画見るならフツメンよりイケメンのほうがいいでしょ。抱き付く意味でも抱き付かれる意味でも」
「ホラー映画見るのは確定なんだな」
「でも、轟ってその辺り反応が薄いんだよねー。口数もそんなに多い方じゃないし。入学後すぐに比べたらだいぶ増えたけど」
「私からしたら轟は八百万と一緒にいるってイメージが多いけどね」
「わわわ私ですか!?」
ここで初めて矛先が八百万さんに移った。よかった、八百万さんには悪いけど、結構疲れちゃった……。
「なんたって、同じ推薦組だしね。休み時間で見かけるときも緑谷と一緒か八百万と一緒かのどちらかのイメージかな」
「そそそその、ととと轟さんはとっても聡明でひたむきで努力を怠らない方で、いいいいつも励まされて勇気づけられております!!!」
「……いつも?」
「これはもしかして……」
「な、なんですか皆さん……」
あ、この感じは……。
「ヤオモモー、轟となにかあったの!?」
「芦戸さん!? ななななにもありませんわ! ただ、期末試験で勇気づけられただけですわ!」
「その話を詳しく!」
「か、勘弁して下さいまし……」
「ほらほら、ヤオモモ困ってんじゃん。こういうの初めてなんだからもっと手加減してあげなきゃ……」
「耳郎、あんたもネタは上がってんだからね!」
「え!? う、ウチは上鳴とはなんにも……!」
「私、上鳴なんて一言も言ってないけどー♪」
「あ゛!?」
「キャー! 耳郎ちゃんと上鳴君もうそうなってるのー!?」
「ちょっと葉隠! ウチらそんなんじゃないから! あいつがおススメのバンド教えてくれっていうから一緒にショップ回っただけで……!」
「デートだー!」
「デートだデートだー!」
「くっ! そういう芦戸や葉隠だって……切島と一緒に帰ったり尾白と遊びに行ったりしてるのバレてるんだからね!」
「私達は地元同じだから帰り道が一緒なだけだよー!」
「ちょっと耳郎ちゃん! 内緒って言ったじゃん!?」
「ここまで来たらもう一蓮托生でしょーが!」
……なんだかカオスなことになってきた!? え!? 耳郎さんや葉隠さんそんなことになってるの!?
「やっば、見てて超ウケるんだけど……♪」
「A組ってやっぱり面白いな!」
「高みの見物って最高ノコねー♪」
「日本の学校のガールズトーク、とってもエキサイティングデス!」
「いささか不謹慎ですが……確かにとても心惹かれる内容ではあります……」
「若干殺伐としている気もするけどね」
「ん……」
「ちょっと!? あんたたちなに傍観者モードになってるの!? 女子会トークは皆参加してこそでしょ!」
すっかり観戦モードのB組の人達に芦戸さんがクレームを入れる。女子会トークをやりたいとは言ったけど、テーマや発言が偏るのが面白くないらしい。
「とは言ってもねえ、私達にA組みたいな甘酸っぱいストロベリーみたいな話はないしなー」
「拳藤さん、『stローベェリィ』と発音した方がよりネイティブらしくてGOODデスヨ!」
「今は英語の授業じゃないんだよ! 青春のキュンキュン話が聞きたいんだよー!」
「まあ、実際ウチはそんな雰囲気皆無なんだよねー、申し訳ないことに……」
「むむむ……! こうなったら……そうだ! 『付き合うなら誰が良いランキング』をやっていこう! 皆強制参加だからね! まずはB組から、はいどうぞ!」
「いきなりだな……」
「付き合うなら誰かかあ……まず物間は第一に外れるかな」
「物間は除外だね」
「物間はないノコ」
「物間さんはちょっと……アメリカでもちょっと難しいかもデス」
「物間さんの魂を救うのはかなり困難な試練となるでしょう……」
「異議なし」
「ん……」
「物間どんだけなんだ……」
「顔立ちは整っているの思うのですが……」
「やっぱりあの性格が問題なんじゃないかな?」
「お茶子ちゃん手厳しいわね」
「だって、前食堂でデクちゃんの頭にトレーぶつけたんよ! 許せんやろそんなん!」
「まあ、それはそうだけど……顔が怖いことになってるわよ」
「あははは……」
「ほらほら! もっともっと意見出してってー!」
「えー集計の結果、常闇の個性の『
「なんか、話の流れから妙なことになったからねー」
芦戸さんの嘆きに拳藤さんがツッコミを入れる。付き合うなら誰が良いかの話がなぜか常闇君の『黒影』になってしまった。本当になんでだろう……?
「うう、こんなんじゃ足りない……! まだまだキュンキュンが足りないよー!」
「キュンキュンしてたタイミングあったっけ?」
「緑谷の話はビターだったからキュンキュンとは少し違うノコ」
「僕の話も恋バナに入ってるの!?」
「まあ、今日の中で一番デカい話ではあったよ」
「むむむ! それじゃあ、同級生でダメなら次は『プロヒーロー』で付き合いたいのを……」
コンコンコン
「ん? こんな時間に誰かな? はーい!」
「切島だけど、ドア開けても大丈夫か?」
「いいよー!」
「おう、失礼しま……って人数多いな! ……B組女子もいたのか」
「切島どうしたのー?」
「もう少しで補習始まるから呼びに来たんだよ。上鳴達は先に行ってる」
「ええー!? もうそんな時間なの!? 全然足りないよー!」
「??? なんかあったのか?」
「なんというか、補習のモチベーションが上がらないというか……」
「あー、確かに俺もこの時間から補習って考えたらちょっとキツイな……。よし、芦戸! 頑張ろうぜ! 飲み物奢ってやるからさ!」
「ええ! いいのー!」
「ああ。せっかくだから皆の分も買ってってやるか?」
「それじゃあ、私も持つの手伝うよ! それじゃあ、皆私行ってくるからねー!」
「頑張ってねー!」
「あ、三奈ちゃん。私達は先に休んでるから鍵を持っていって。補習の終わる頃は消灯時間も過ぎてるだろうから」
「う! が、頑張る……。B組の皆もありがとう! またやろうねー!」
「頑張ってきなー!」
「物間にもよろしくね!」
そう言って、芦戸さんと切島君は補習へと向かっていった。今からだと終わるのは日付を超えるのかな……? 僕もたまにヒーローノートまとめててつい寝るの遅くなっちゃうけど、今日みたいな訓練後はクタクタだから芦戸さん達相当キツいだろうなあ……。
「それじゃあ、キリのいいところで私達も部屋に戻ろうかな?」
「うん、今日はありがとう! 明日もやろうねー!」
「え? 明日もやるのこれ」
「何言ってるの耳郎ちゃん! 芦戸ちゃんなら絶対そう言うよ!」
「三奈ちゃんなら確かに言いそうねえ」
「あはは! その元気があれば明日も歓迎だよ! それに……もっと話してみたこととかもあるしねえ、アダルティな奴とか♪」
アダルティって、そそそんな!? でも、取蔭さんスタイル良くて美人だから、きっと男の子とかに慣れてて……!
「ちょっと緑谷、私だって付き合った経験そんなにないからね」
「僕また口に出してた!?」
「まあ、まだ林間合宿は長いからさ。焦らず楽しんでいこうよ! それじゃあ、お休み!」
「「「「「「お休みー!/お休みなさい/お休みノコ!/Good Night、皆さん!/明日は怪談がいいなあ、お休み/……お休みなさい」」」」」」
「「「「「「お休みー!/お休み/お休み! また明日ねー!/お休みなさい/ケロ、お休みなさい/お休み、明日も頑張ろうね!」」」」」」
そう言って、B組の皆は自分たちの部屋へと戻っていった。嵐のような時間で……楽しかったけど、疲れちゃったな……。
「それじゃあ、私達ももう休みましょうか。明日も早いですし」
「うん、私片づけするね」
「お茶子ちゃん手伝うわ」
「私もやるー!」
「2人でやれば大丈夫よ。皆は寝る準備をしてていいわ」
「緑谷、布団の準備したら今日も胸周りのトレーニング教えて!」
「う、うん。いいけど耳郎さん大丈夫? 明日も訓練あるけど……」
「私は基本的に部位鍛錬だから緑谷達みたいにめちゃくちゃ身体を酷使するわけじゃないから大丈夫。それじゃあ先生、お願いします!」
「う、うん。お願いします……」
その後布団の準備を整えてから、 耳郎さん以外の皆にもトレーニングをレクチャーして、消灯時間になって僕達は布団の中に入った。
今日も一日疲れたな……。かっちゃん達も……男子部屋でこんな風に話してるのかな……? なんか想像つかないや……。いろんなことがあったけど、明日も頑張らなくちゃ……!
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出久達の宿泊している施設を見下ろせる小高い丘に数人の人が集まっていた。消灯時間を迎え、わずかな明かりを残した建物を見ながら、集まった人……
「疼く……疼くぞ……。早く行こうぜ……!」
「まだ尚早。それに、派手なことはしなくていいって言ってなかった?」
「ああ。急にボス面はじめやがってな。今回はあくまで狼煙だ……」
顔や腕が焼けただれた長身に黒いコートを羽織った男が他の面々に告げる。
「虚にまみれた英雄達が地に堕ちる……その輝かしい未来の為のな」
危機は人知れず、刻一刻と近づいていた……。
というわけで第38話でした♪ 過去最大の文字数でしたねw 女子会部分は雄英白書Ⅱを参考にしつつ、B組の女子メンバー全員を登場させました! もっともっと書きたかったんですけど、いつまで経っても終わらなくなるのでキリの良さげなところで収めましたw 次回は……実は迷ってます。すぐ次話に移るか、それとも番外で男子会の様子を入れるか……めちゃくちゃ迷ってますw まあ、GWもあるのでおそらくどちらも入れると思いますが、投稿順は前後するかもしれないのでご了承くださいw 新年度が始まって環境が大きく変わり、また投稿ペースが変わるかもしれませんが、今後も頑張って投稿していこうと思いますので応援よろしくお願い致します!