僕のヒーローアカデミア~諦めから始まる物語~   作:キョンP

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お待たせいたしました! 第44話です! かっちゃん頑張ってます!
それでは、どうぞ!!


第44話 脱出!!

オールマイト自宅:林間合宿襲撃後の午後10時頃

 

「……はい、わかりました。では、明日の朝7時に出勤ということでよろしいでしょうか?」

『なにぶん今は情報が少なすぎるからね。一旦、相澤君・管君からもらっている情報を共有するための対策会議を行うよ』

「……緑谷少女は、爆豪少年は無事でしょうか……?」

『……今は彼女たちを信じるしかないね。君も心配する気持ちはわかるけど、独断で動くのは避けるように。闇雲に動いても効率的ではないし、なにより君自身も敵連合の標的なんだから』

「承知しております……」

『一応、君の友人の塚内警部とも情報を共有しているから、なにかあればすぐに連絡が入るよ。それじゃあ、また明日。お休み』

「はい、失礼致します」

 

 スマホの通話をオフにするとオールマイトはため息をついた。雄英高校に出久達ヒーロー科1年生が林間合宿先で敵の襲撃を受けたとの連絡があったのが午後9時過ぎ。そこからすぐ教師全員へ連絡が入り、居ても立ってもいられずすぐにでも捜索に飛び出そうとしたオールマイトだったが、根津に説得され、動くのは翌日以降となった。実際のところ、根津の言っていることは正しく、状況が圧倒的に後手になっている上に出久達がどこに攫われたのか、敵連合の活動拠点がどこにあるかわかっておらず、そんな中で動くのは時間と体力の浪費であることは明らかだった。

 

「(こんな状況で何もできないとは……!)」

 

 オールマイトは何も打つ手がない自分に歯噛みした。手の届くところにいるのならいくらでも助けられるが、USJ襲撃時にオールマイトが標的とされていたことで今回の合宿に参加できなかったことが裏目に出ていた。

 

 ブブブ……

 

「! こちら、オールマイト」

 

 その時、オールマイトのもう一つの……サー・ナイトアイとの連絡用スマホが鳴り、すぐさま応答に出る。

 

「ナイトアイだ。オールマイト、ニュースで見たよ。生徒が数名攫われたとあったが……緑谷君は無事なのか?」

「……その攫われた1名が緑谷少女だ……」

「!? ……この襲撃は彼女が狙われたのか!?」

「それはわからない……。攫われたもう一人は爆豪少年、彼女の幼馴染だ……。彼が狙われた可能性もあるが、まだ情報が十分ではないんだ。現場には相澤君とブラドがいるが、事態の収拾にも時間がかかっているらしい……」

「爆豪……体育祭で優勝した彼か……。もしかしたらそれで目を付けられたかもしれないな……。それにしても……イレイザーヘッドとブラドキング、そして襲撃された場所はたしかプッシーキャッツの管理する場所。……彼らほどの実力者がいたにもかかわらず襲撃が成功してしまったということは……。オールマイト……恐らくこれは……」

「ナイトアイ、わかっている。だが、今はまだ状況が不透明すぎる。根津校長もわかっていると思うが……今はいたずらに疑うのはよくない」

「……そうだな。他の組織について憶測を言うのはよくなかったな、すまない……。それで、これからどうするんだ……?」

「明日の朝、臨時会議を開いて対策を協議することになっている。情報の共有と対外向けの記者会見についての話し合いになると思う。……ナイトアイ、今から会って……私の『未来』を予知してくれないか?」

「!? オールマイト……!」

「君が予知を最後の仕上げ、ダメ押しで使っているのはよく知っているし今回のようなまだ情報が不完全な中で使うのは有効でないこともわかっている! だが、それでは……私がOFAを託した彼女を、緑谷少女を救けられないんだ! 頼む……!」

 

 オールマイトはスマホを手にしながら頭を下げた。自身がOFAを託した弟子の危機、その状況で手をこまねいていることは彼にはどうしてもできなかった。オールマイトの言葉を聞いてナイトアイはしばらく逡巡した後、オールマイトに答えた。

 

「オールマイト、貴方の気持ちはわかった! だが、今日はすでに一度捜査で予知していて24時間のインターバルが必要なんだ。予知が使えるのは明日の昼頃になる」

「そうか……いや、それでも構わない! 明日、会議が終わったら君の事務所に向かうよ」

「いや、私が雄英に行こう。貴方達の会議がどれくらいかかるかわからないから、ちょうどインターバルが空けるころに雄英に到着するようにする」

「……わかった、根津校長にも君が協力してくれる旨を私から伝えておく。ありがとう、ナイトアイ」

「私も夜分に遅くにすまなかった。では、明日また……お休み」

「ああ、お休み。……緑谷少女、爆豪少年、無事でいてくれ……」

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Katsuki

 

「爆豪君、どこかにおでかけかな? そろそろ朝飯なんだが、一緒に食べないかな?」

「あいにく帰らないといけなくてな、門限に親も教師もうるせえんだよ!」

「そっか。あんまり手荒なことはしたくないんだが……度合Ⅱ度のやけどは覚悟してくれよ?」

 

 構えたツギハギ野郎の両腕に蒼色の炎が揺らめいている。エンデヴァーや轟みてえな炎系の個性か!? ……こんな屋内、しかも雑居ビルの中でぶっ放したら火災報知器が鳴って周囲から通報されんじゃねえか!!

 

「今、屋内で炎を使ったら火災報知器が鳴るんじゃないかって思ってるかもしれないが、そっちは取り外してあるから周囲からの通報は期待しない方が良いぜ」

「!? 消防法守れやクソが!」

「俺達は(ヴィラン)だぜ? そんなもん守るわけねえだろ。ちなみにこの時間はこのビル内には誰もいねえから大声や音出しても誰も助けに来ねえぞ、諦めな」

 

 !? このビルには誰もいない……、それなら……!

 

「荼毘、連れてきたぜ!」

「爆豪君、どこに行くのかな? まさか逃げようとしてるんじゃないだろうな?」

「勝己君出久ちゃん連れてっちゃヤー!!」

「ほら、こんなことになるからあの子は殺した方がよかったのよ……!」

「それはステインの意志に反する! ……だが、逃げるってんなら話は別だ。死なねえ程度に怪我してもらうか……」

「爆豪君、これだけの人数相手では逃げられませんよ? 平和的に……話し合いで解決しませんか?」

 

 チッ! 思ったより早く来やがった! 

 

「……かっ……ちゃん……」

「!? デク!?」

「ワン……フォー……オール、フル……カウル……。腕や足だけじゃなくて……全身に張り巡らせて……」

「!!」

 

 OFAを全身に纏え、ってことか! ……そうか、腕や足でいちいちオンオフしてたらタイムラグが出来る……こいつもいろいろ考えてやってたんだな……。

 

「せっかく誘ったのに逃げようとするなんて酷いじゃないか。……答えはNOってことかな?」

「ああ……。俺は……オールマイトに、オールマイトが勝つ姿に憧れたんだ! てめえらみたいな敵の仲間になんて死んでもならねえ!」

「……そうか。なら、仕方ない。ここで死んでもらおうかな?」

「死柄木弔、彼の個性は優秀です。殺してしまっては()()()()()ことが難しくなります。動けなくして、()()が個性を奪ってから殺しましょう」

「……それもそうだな」

 

 『個性を奪う』? 『先生』? こいつらにはさらに親玉、ブレーンがいるのか!? こんな極悪敵共を束ねる……一体どんなやべー奴なんだ……!?

 

 ヒュッ!! バッ!!

 

「うお!?」

「ちぇっ! 外しちゃいました……」

 

 イカれ女がナイフで襲って来やがった! なんとか避けたが、警戒を怠っていたわけじゃなかったのにここまで接近されるなんて! なんか特殊な技でも使ってんのか!?

 

「おい勝手に動いてんじゃねえよ……」

「え~? だってもう2人とも殺す流れだったでしょ?」

「今はまだ殺すな! だが……死なない程度に痛めつけろ」

了解(ラジャ)♪」

 

そう言ってまたイカレ女が突っ込んでくる。動き自体は特に武術とかを習ったようには見えねえしスピードも特段早いわけじゃねえが、何故か動きが読めねえ! 身体部分への攻撃は何とか避けるが、腕や足にナイフがかすって少しずつ追い詰められていく。

 

「……っ! うぁっ……!」

「……デク!?」

 

 背負っているデクが低くうめき声を上げる。デクの両腕は折れてて力を籠めることができないから、俺が動くたびにぶらぶら動いて痛むようだ。くそ! ぶっつけ本番だがやるしかねえ!

 

 

 OFA5%、フルカウル!!!

 

 バリバリ……!!

 

「!?(なんだ、雰囲気が変わった……?)」

「ぐぅっ……!」

 

 これは……身体への負担がヤベえ!? デクはこれを維持しながら動いてたのか!? 今の俺じゃそんなに長くは維持できねえ!

なら……!

 

「も~、さっさと刺されちゃってよ勝己く~ん! よっ!」

「ふっ! おらあ!!」

 

 バッ! ドガッ!

 

 イカれ女が踏み込もうとした瞬間、俺が先に踏み込み体当たりで吹き飛ばす。

 

「キャッ!?」

「うおおっ!?」

「ヒミコちゃん!? あの子、なんか動きが急に変わったわよ!?」

「……妙だな……」

 

 さすがに怪しまれてきたか! だが、距離が空いた今なら……OFA5%フルカウルのままで……!

 

「……!? マズいですよ!?」

「もう遅え! デク目ぇ瞑れ! 閃光弾(スタングレネード)!!」

「……!」

 

 デクに目を閉じるよう指示して、自分も目を閉じながら両手を合わせるその瞬間に爆破させる。

 

 カッ! BOOOM!!!

 

「「「うおお!?/くっ!?/キャア!?」」」

 

 ぐっ!? OFAを纏ってるから普段より威力がデケえし、手が痛え……! だが、その分奴らの視界をより遮ることができた、今のうちに……!

 

 BOM! BOM!

 

 自分の前方の床と天井を爆破で破壊する。通常であれば下の階に人がいて危険だが、さっきツギハギ野郎がこの時間に人はいないって言ってたから問題ないはずだ!

 

 ダンッ!

 

 空けた天井目掛けてジャンプして建物の屋上に出る。周囲を見ると3階建てくらいの同じような雑居ビルが幾つも立ち並んでいる。視線を遠くへ向けると高層ビルが目に入った。ここは結構な都会なのかもしれねえ……。人が多く集まる場所ならヒーローがいるはずだ、あそこに逃げれば……!

 

 視線を下に向けると爆破に気づいた連中がこちらの様子を見ながら騒いでいる。警察に通報してくれるかもしれねえが、だからといってこのままここにいるわけにはいかねえ。早く逃げねえと……!

 

 行くぜ!

 

 ダンッ! ダンッ!

 

 OFAフルカウルで雑居ビルの上をパルクールのように……職場体験後の救助訓練レースの時のデクみてえに次々と跳び移っていく。

 

 くっ! さすがにぶっつけ本番はキツいが、このまま……!?

 

 急に後方から熱気と気流を感じて咄嗟に横へ飛び退くと……。

 

 ブアッ! ゴォオオオ!!

 

「な……!?」

 

 俺達がいた場所を蒼い炎が襲っていた。首だけ後ろに向けるとツギハギ野郎が屋上から攻撃したようだった。この炎の威力、下手すりゃあ轟よりも……。

 

「パルクールなら俺も負けないぜ?」

「なっ!?」

 

 上を見ると仮面野郎がすぐ近くまで迫ってきていた。こいつの個性は人や物をボール状にする、またはボール状の空間に閉じ込めるものだったはず。なら、今追ってきているのは素の身体能力なのか!?

 

「おっと、よそ見をしていると危ないよ?」

「何っ!?」

 

 仮面野郎の声を疑問に思って前に視線を戻すと……!? 眼前にデカい氷とコンクリートの塊がいくつも! これは轟の!?

 

「コンクリの塊は普段から妨害用に持ってるんだよね。氷は昨日のやつをいくつか貰っておいたよ」

 

 全部は避けられねえし、避けてる間にこいつに追いつかれてボールにされちまう……。

 

 やるっきゃねえ!

 

 OFA5%フルカウル……!

 

「おらあああああああ……!!!」

 

 BBBBBBBBOOM!!!!!

 

「なっ!!? 嘘だろ、あれだけの量を一瞬で……」

「ぐぁっ!?」

 

 OFAフルカウル状態で爆破をして前方のコンクリと氷の塊をすべてブッ飛ばした……! だが、流石に手が痛え……。OFAで威力が上がってるが、それに身体がもたねえ……。

 

 けど、これでイケる……!

 

 そして、前方を見た瞬間……!

 

「残念ながら、ここでおしまいです!」

「こいつ……!?」

 

 モヤ野郎が空中で待ち構えていて両腕のモヤを俺達の周囲に広範囲で展開していた。

 

 クソッ!? こいつのワープは時空を捻じ曲げて物体を別の転送できるタイプ、その気になれば俺の爆破の攻撃を別の場所に転送することも物体を捻じ切ることも可能だ。

 

 こんなとこで殺られるわけには……デクを殺らせるわけにはいかねえ!!

 

 どこか隙はねえか! そう思った瞬間、景色の流れが変わった。 周りがスローモーションに見える……。これは……武道家やアスリートがよくいう『ゾーン』に入ったって奴か! 何にしてもこれで……展開されたモヤが揺らいで途切れた瞬間!

 

 BOM!!

 

 爆破で加速してモヤの包囲を突破した。その先には無防備な実体をさらしたモヤ野郎がいる。

 

「なっ!?」

「おせえ!!」

 

 BOOM!!!

 

 驚くモヤ野郎の胴体に爆破を合わせた掌底を喰らわせる。

 

「がはぁっ!?」

「黒霧!?」

「ざまあみやがれ……! ぐぅっ……!」

 

 OFAを纏った爆破の連続で掌が焼け爛れてきたが、これで大丈夫だ……!

 

 

 後方の敵2人、ビルの屋上に落下したモヤ野郎とそいつのもとへ向かう仮面野郎を視線で牽制しながら、高層ビルのある方へ向かって速度を速めた。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

「くっ……死柄木弔、逃げられました……」

『何? 逃げられた? 追えねえのか?』

「なんとか捕まえる、最低でも殺そうと思いましたが、モヤの揺らぎを見極められて攻撃を喰らってしまいました。振り切られてしまった今、追うのは不可能です……」

『ちっ……仕方ねえ。戻ってこい。こっちも騒がしくなってきた。警察やヒーローが来る前に別の場所に移動するぞ』

「わかりました、荼毘は?」

『すでに戻っている、早くしろ』

「わかりました」

「大丈夫か黒霧? まともに喰らったみたいだが……」

「一応、防具は着けてたので大丈夫ですが、危なかったですね……」

「そんじゃあ戻って移動するか? 別の場所ってどこだ?」

「今の場所からちょっと離れたところです。あくまで予備なので今までのところより少し手狭ですが……」

「あ~あ、今の場所、『ザ・隠れ家』って感じで気に入ってたんだけどね~」

 

 通信を切った黒霧はMr.コンプレスと会話しながら、爆破されて使えなくなったアジトから他の場所へ移るべくワープゲートを展開し、その場から立ち去った。

 

 

 

 神奈川県横浜市。都心への良好なアクセスとビジネスに最適な環境、有数の観光地を有した日本でも屈指の魅力ある都市であり、同県県庁所在地もある。そんな都会は現在夏休み期間中でここ数日は社会人に混ざって部活や用事に向かう学生の姿も多くみられるが、その日は少し様子が異なっていた。

 

「神野区の方で大規模爆発発生。火災は今のところ確認されてない。事故・事件の両方の可能性が考えられる。行くぞ!」

「せ、先輩! 私大丈夫でしょうか!? デビューして今日までパトロールや交通事故のちょっとした避難誘導しかしたことないんですけど!?」

「ビビるんじゃねえ! お前だったら大丈夫! 俺もいるし、他の奴らも別の場所から向かってるから大丈夫だ! 気合入れてけ!」

「ハイィ!!」

 

 横浜市を拠点とする男女ヒーローのペアは神野区近辺をパトロール中で大規模の爆発音を聞いた。遠めでもわかるほどの粉塵が舞い、道行く人々も何事かと騒然としていた。新人の女性ヒーロー『ネイル』が緊張する中、先輩の男性ヒーロー『ラスティ』は周囲の人々に避難するよう指示し、他のヒーローや警察とも連携を取り合って現場へと急ぐ。

 

「こんな朝っぱらからこんなド派手にやるなんて、近頃はなんか物騒になってやがる!!」

「昨日もヤバい事件ありましたしね。なんか大変なことが起こってる気がします……」

「雄英高校、その林間合宿先が襲撃を受けて生徒が誘拐された奴か……。また以前の敵連合の仕業かもしれんって話だが、現時点ではよくわからんらしいな……。おしゃべりはここまでだ! 集中しろ!」

「ハイ! ……!? 先輩! アレ!」

 

 ネイルが指さす方に目を凝らすと何かが空を飛んでいる。人影であった。爆発がした方向から来るなら敵の可能性が高い。2人は迎撃態勢を取りながらさらに避難指示を出す。

 

「皆さん駅の方へ避難してください! 警察やヒーローの誘導に従って! 早く!」

「来るぞ! 構えろ!」

「ハイ!」

 

 だんだんと近づいてくる人影。やや大きく見えるそれはどうやら何かを背負ってるようだ。小規模な爆破を伴いながら飛んでくる人影に男性ヒーローが大声で命令する。

 

「止まれ! 抵抗はやめて地上に降りて地面に伏せろ! 抵抗すれば攻撃する!」

 

 飛んでいた人影はラスティの言葉に反応し、すぐさま地上に降りた。降りたのは1人ではなく、背負っていたなにかはもう1人の人間だった。疲労しているのか荒い呼吸のまま膝をつく金髪の男と背負われている緑がかった髪の者。2人の体格は大人よりやや細く感じられ、子供のようにも見えた。

 

 

「よし、そのまま地面に……子供!? なんで子供が空を飛んでいたんだ!?」

「……え!? ちょっと待って!? もしかして貴方、雄英高校の爆豪君に緑谷さん!? 昨日攫われた!?」

「何!? さっき話してたのはこの子達のことか!?」

「そうです! 昨日や今朝のニュースでやってました! 大丈夫ですか!? 私達はこの地区を担当しているヒーローです!」

 

 ネイルが少年……勝己に声を掛けると荒い息のまま問いかけに答えた。

 

「ハァ……ハァ……雄英高校1年の爆豪と……緑谷だ……。敵連合から逃げてきた……」

「!! すぐ応援を呼べ! 追手が来るかもしれん!」

「いや……派手にぶっ放したから……たぶん撒けたと思う……。それより……救急車を呼んでくれ。こいつ、大怪我してるんだ……」

「さっきの爆発は君がしたのか!?」

「!? 先輩、この子両腕が……!?」

「! すぐ救急車を手配しろ! お前は2人を連れて後方に退避だ!」

「先輩は!?」

「俺は先に行って状況を確認してくる! 後から来る奴らにもそう伝えろ!」

「わかりました! 爆豪君立てる!? もう少し後ろに逃げるわよ!」

「ああ……! デク……もう少しだ……! 頑張れ……!」

「う……うん……」

 

 疲労困憊ながらも力強く立ち上がった勝己は出久を抱え直してネイルとともに後方へ避難していった。

 

「……あんなにボロボロでもクラスメイトを救けるなんて、さすが雄英高校生ってところか……」

 

 ネイルと勝己、出久が避難する様子を見届けて、ラスティは出久を背負っていた勝己の必死の表情を思い返して正面に向き直った。

 

「……後は俺達が大人が頑張らないとな……! こちらヒーロー『ラスティ』! 今、昨日誘拐された雄英高校の生徒2名を保護! 『ネイル』が」誘導しながら後方に避難している。今回の爆発は敵連合の可能性が高い。これから現場に向かう! 応援を要請する!」

 

 ラスティは無線で呼びかけながら爆発のあった方向へ走っていった。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

雄英高校:会議室

 

「いるだろ、内通者」

 

 会議の中で飛び出たプレゼント・マイクの言葉に多くの者は驚きつつ、内心ではそれを否定するのも難しく思っていた。

 

「合宿先は教師陣とプッシーキャッツしか知らなかった! 怪しいのはこれだけじゃねえ! ケータイの位置情報なり使えば生徒にだって……」

「マイクやめてよ」

「やめてたまるか! 洗おうぜ、この際てってー的に!!」

「お前は自分が100%シロという証拠を出せるか? ここの者がシロだと断言できるか? お互い疑心暗鬼となり内側から崩壊していく。内通者探しは焦って行うべきじゃない」

「Umm……!」

 

 内通者。それ以前のUSJ襲撃のときから雄英教師陣の頭の中にその言葉がチラついていたが、今回の事態でその存在がより疑われることとなった。プレゼント・マイクをたしなめるミッドナイトだったが、プレゼント・マイクの勢いは止まらずこの場で内通者をあぶりだそうと提案した。だが、スナイプが内通者が探しが組織の崩壊を招くため、時期尚早と待ったをかけた。プレゼント・マイクも自身の発言を裏付ける証拠を持っておらず、またスナイプの言うことも理解できるため低く呻くことしかできなかった。

 

「少なくとも私は君達を信頼してる。その私がシロだとも証明しきれないワケだが……。とりあえず、学校として行わなければならないのは生徒の安全保障さ。内通者の件もふまえ……かねてより考えていたことがあるんだ。それは……」

 

 バァーーーン!

 

 根津校長の会話がドアの開く音で遮られる。開いたドアの先にいたのは……。

 

「会議中失礼致します! ヒーロー科1年A組飯田です!」

「お、同じく麗日です!」

「上鳴です!」

「切島です!」

「芦戸です!」

「蛙吹です」

 

 ヒーロー科1年A組の生徒6名だった。いきなりの登場に会議室にいた教師陣はなぜここに来たのか驚いていた。

 

「貴方達!? 今会議中よ! 一体どうしたの!?」

「それが!? デクちゃんと爆豪君が!?」

「この部屋、テレビ映りますか!?」

「あいつらが、緑谷と爆豪が保護されたってニュースが!?」

「なんですって!?」

 

 飯田達の言葉に教師達はさらに驚愕する。すぐさま、会議室に備え付けの大型モニターにテレビの映像を出力すると……。

 

『昨夜、林間合宿中に襲撃された雄英高校ヒーロー科1年。その中で攫われた生徒2名、緑谷出久さんと爆豪勝己君がさきほど神奈川県内で保護されました。場所は神奈川県横浜市の港湾施設にほど近い神野区。今日午前8時15分頃、付近で爆発が起きたとの通報があり、警察とヒーローが現場に向かう途中で2名を保護したとのことです。緑谷さんが重傷、爆豪君が軽傷を負っていますが、命に別状はないようです。雄英高校が林間合宿を行っていた場所は長野県と静岡県にまたがる山奥にあり、そこからどのように神奈川まで連れ攫われたか、方法は不明です。今回の事件にはUSJ事件を引き起こした敵連合の関与が疑われており……』

 

 ニュースではアナウンサーが2人が保護された状況を説明していた。画面には保護された直後と思われる映像も流されていた。

 

「俺達、食堂で朝飯食べながらテレビ点けてたらこのニュースがいろんなところで流れてて……」

「いてもたってもいられなくて伝えに来ました!」

「許可なく立ち入ってしまってすみません」

「早く2人保護しに行ってください!!」

「わかったわ、伝えてくれてありがとう! ……校長!」

 

 2人の無事を願っていた生徒達はこのことを早く教師に伝えようと大急ぎで会議室にやって来たのだった。ミッドナイトが生徒達をねぎらいながら根津校長に指示を仰ぐ。

 

「うん、皆ありがとう。迅速な動きはヒーローに必要なものの一つだ。後は我々に任せて休みなさい」

「そ、その……私達も行くわけには……」

「ここから先は我々大人の仕事だ。君たちは……入院している他の皆のお見舞いに行ってあげなさい」

「!? はい、わかりました! 皆、早く食堂に戻って食事! その後お見舞いに行って2人の無事の報告だ! 急ぐぞ!!」

「ちょっ!? 飯田待てって!? お前が全力疾走すると誰も追いつけねえんだよ!?」

 

 根津校長にやんわり断られるが、お見舞いの事を指摘されるとすぐさま戻っていった。

 

「彼らは実にいい子だね。……さて、保護された2人を迎えに行こう。行くのは修善寺君と香山君と……」

「校長よろしいでしょうか!?」

 

 根津校長が2人の迎えに出す人員を指示しようとしているところでオールマイトが挙手して声をあげる。

 

「なんだい八木君?」

「2人は無事逃げられましたが、また狙われないとも言い切れません。よって……私の信頼するヒーロー、サー・ナイトアイとその事務所に先行して護衛してもらおうと考えてます! 許可をいただけませんか!?」

「! なるほど……彼らの事務所はここより近いから先に着いて我々が向かう間の護衛が出来るね。わかった、許可しよう」

「ありがとうございます! 早速連絡してきます」

「そちらの連絡は任せたよ」

 

 

『こちらナイトアイ』

「ナイトアイ、オールマイトだ。今どこにいる?」

『まだ事務所だ。もう少ししたら出る所だ。先ほど緑谷君と爆豪くんが保護されたとのニュースを見たよ』

「そのことに関連してだが、2人が搬送された病院に向かって欲しい!」

『!』

「まだ敵に襲われる可能性がある。私達より君が向かう方が早い。ナイトアイ、頼む!」

『わかった。こちらもある程度人員を整えていくよ」

「警察と現場のヒーローにはこちらから連絡しておく。頼んだよ!」

『任せてくれ。現場に到着したら連絡する』

 

 通話が切れて、オールマイトはため息をつく。前日の根津校長との会話の時と違い、出久達がひとまず窮地を脱したことによる安堵のため息だった。

 

「(ひとまずは安心したが……敵連合の足はまだ掴めていない。緑谷少女達が保護されたことから神奈川県に潜伏していることは確かだろうが……)」

 

 ブブブ……!

 

「! こちら、オールマイト。どうした塚内君?」

『オールマイト、ニュースは見たか!? 君達の生徒が無事保護されたよ!』

「ああ、先ほど生徒達に教えられて確認したよ。今、サー・ナイトアイに連絡して先に向かってもらった」

『君の元サイドキックの? なるほど、敵連合の追手を警戒してだな』

「その通りだ。それで塚内君、話ってのはなんだい?」

『彼女達を誘拐した敵連合の居場所、突き止められるかもしれない』

「!? 詳しく教えてくれ!」

 

 

 反撃の時は近づいていた。




というわけで第44話でした♪ かっちゃんだいぶハードモードでしたが、なんとか逃げることができました! OFAを纏った状態で爆破をして手も身体もボロボロですが、まあ大丈夫でしょうw A組メンバーはニュース見てよっぽどびっくりで嬉しかったでしょうね! でも、部屋に入るときはノックしましょうw 今後も応援よろしくお願い致します!
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