僕のヒーローアカデミア~諦めから始まる物語~   作:キョンP

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お待たせ致しました、第47話となります! 今回もちょっと頭悩ませましたw それでも、楽しんでいただければ幸いです♪ それでは、どうぞ!


第47話 目覚め、葛藤、そして……前兆

Side:Izuku

 

「……っう、うぅ……」

 

 両腕の鈍い痛みと眩しさに意識が少しずつ覚醒してくる。ここは……どこだろ……? 確か……かっちゃんと一緒に敵連合に攫われて……そこからかっちゃんにOFAを渡してなんとか逃げたところまでは覚えているんだけど……。まだ頭がぼ〜っとしてるし身体も重い……っ! 両腕も動かない……ギプスでも付けられてるのかな……。そっか……、リカバリガールの治癒で一気に回復は体力的に危ないってことで最低限しかできなかったんだった……。

 

 

「起キタ」

「!?」

 

 びっくりした……! 声がした方を見ると雄英で使用されているロボットが僕を見ていた。

 

「今カラリカバリーガールヲ呼ンデクルカラ待ッテロ」

「は、はい……」

 

 お手伝いロボにそう言われて僕は……元々動けないのでベッドの上でリカバリーガールが来るのを待っていた。

 

 

「起きたようだね緑谷」

「はい……」

「一応聞くけど、私が昨日治癒したのは覚えてるかい?」

「その……意識が朦朧としていてうっすらとしか覚えてないです……」

 

 敵連合から逃げのびた僕とかっちゃんだったけど、僕はかっちゃんに文字通り『おんぶに抱っこ』で運んでもらっていてその時ですらすでに意識が朦朧としていた。なんとか現地のヒーローに保護されたけど、そこでホッとしてしまって僕はそのまま意識を失ってしまった。その後、意識を取り戻すとリカバリーガールやミッドナイトがいて状況を説明してくれて、運ばれていた病院から雄英に移動する前準備として軽く治癒を施されて、その影響による疲労で眠りについた。

 

「私が軽く治癒を施してから……大体20時間は経ってるかね」

「そんなにですか……」

「あんた、自分の状態本当に分かってるのかい? 両腕粉砕骨折に右足の骨にひび入ってたんだよ。それに、まだ何回かに分けて治癒をかけないといけないからしばらくはあんた地獄を見るよ……」

「そ、そうですか……。あの、かっちゃんは?」

「爆豪は大丈夫だよ。あいつは両手が爛れていたから治癒を施して昨日は一旦帰したよ。今日また来るんじゃないかな」

「そっか……。かっちゃん、無事でよかった……」

 

 逃げてる時は意識が朦朧としていたけどかっちゃんが反動もなくOFAを使えたことはよかった。

 

「ホッとしてるとこ悪いけど、両腕の状態を見て準備したらまた治癒をかけていくよ。一度強めにかけるからまた疲労で動けなくなるだろから覚悟しな」

「は、はい……お手柔らかに……」

「その前に朝飯でも食べな。あんた襲撃されてから何も食べてないだろうから体力回復させないと治癒に耐えられないよ」

「わかりました……」

 

 リカバリガールの言葉に従い、僕はロボの手を文字通り借りながら食事を取ってリカバリーガールの治癒に備えた。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Katsuki

 

「こここここここが、いいいい出久とかかかか勝己君が通っているゆゆゆゆ雄英高校なのね!? ここここんなにひひひひ広いなんて!?」

「引子さん落ち着いて」

 

 俺はデクの母親、引子さんと一緒に雄英に来ていた。昨日神奈川から雄英に移動した後、切島(クソ髪)達が運んでいてくれていた荷物を受け取ってから一旦家に帰った。お袋(ババア)は泣きながら殴ってくるし、親父(ジジイ)も泣きながら普段のナヨナヨしたイメージとはかけ離れた力強さで抱きしめてきた。こんなに心配をかけてすまないなんて柄にもなく謝ったら頭の心配をされた……ふざけんじゃねえ! その後、ババアから引子さんに連絡してもらってデクの見舞いに行こうと提案した。電話口では涙声でめちゃくちゃ感謝されたが、俺は感謝されるような人間じゃねえ……。今回のことも、これまでのことも……。

 

 

「校舎もこんなに大きくて広くて……2人ともこんなに凄いところで頑張ってるのね……! 他のクラスメイトの子達とも仲良くできてるかしら!?」

「クラスの連中はみんないい奴らで、デ……出久とも仲良くやってるよ……」

「出久が頑張れるのも勝己君やクラスのみんなのおかげなのね……」

「…………そうっすね……ん? ミッドナイト?」

「あら? 爆豪君来てたのね、そちらは?」

「こっちはデ……出久の母親の引子さんだ。引子さん、こっちは雄英教師でプロヒーローのミッドナイトだ」

 

 デクのいる部屋に行く途中でミッドナイトに会ったから、引子さんに紹介した。なんかミッドナイトの視線がなんとなくイライラしたが無視した。

 

「緑谷さんのお母さん、初めまして。雄英高校のミッドナイトです。この度はお子さんを危険な目に遭わせてしまい申し訳ありません」

「い、いえ! そんな、お気遣いなく!」

「いえ、生徒を預かっている立場として今回の事件は言い訳のしようのない大失態です。今、情報の収集と対応について検討を行っているので、今後改めて謝罪と相談をさせて頂く予定です。その際はぜひよろしくお願い致します。」

 

 深々と頭を下げてミッドナイトは引子さんにそう話した。この人、見た目はアレだけどこういう部分が大人って感じで侮れねえんだよな……。

 

「それじゃあ、爆豪君。私達は会議があるから案内は任せたわ。それから後で相澤君、イレイザーヘッドが話があるみたいだからその時はよろしくね」

「わかった」

 

 そういって足早に移動していった。確か、今日記者会見するって言ってたからその打ち合わせとかだろうな……。相澤先生から話か……。正直めんどくせえが、こればっかりは仕方ねえな。

 

「勝己君、あの人……ミッドナイトさんは教師なのよね?」

「え、ええ。そうですけど……」

「あんなに物腰が柔らかくて理知的な対応なのに、あの恰好なのはこう……大丈夫なのかしら? 男の子にも女の子にも……悪い影響がありそうで……。出久があんなスーツ着てたら私ちょっと……」

「……」

 

 正直、今のデクのヒーロースーツも結構ピチピチでどうかと思うが……。ミッドナイトが『18禁ヒーロー』って呼ばれていることは黙っておこう。

 

 

「おや、爆豪来てたのかい? 緑谷への治癒はさっき一旦終わって今は眠ってるよ。そっちは?」

 

 デクの部屋の前に着くととリカバリーガールが出てきてデクに治癒を施したことを伝えられた。

 

「こちらは緑谷引子さん、デ……出久の母親だ。引子さん、こちらはリカバリーガール。雄英の……保健医っていうのか? この人の個性で俺達は怪我とかを治してもらっている」

「い、出久の母の引子です! 娘がいつもお世話になっております!」

「リカバリーガールだ。雄英では保健医をやってるよ。確かに……緑谷出久はかなり私のお世話になっているね」

「うう、お手数をおかけしてます」

「あの子にはヒーローになりたい、誰かを救いたいという強い信念がある。が、それゆえに自分のことを後回しにしがちだ。そこんところは私ら教師も含めて周りが厳しく見て行かないといけないね。心配は尽きないと思うがこの子を信じて見守っておやり」

「は、はい……」

 

 リカバリーガールが俺に一度視線を向けてから引子さんにそう言った。そう、俺や教師陣……オールマイトや相澤先生、リカバリーガールだけじゃない、皆でデクを暴走しねえように見て行かなきゃなんねえんだ!

 

「今日は強めに治癒をかけたから夕方か夜までは起きないよ。どうするね?」

「……私は出久の顔を見て少ししたら帰るわ。勝己君は出久の傍にいてあげて」

「!? 引子さん……」

「出久のことはもちろん心配だけど……勝己君がいてくれた方が良いと思うの……」

「……そうですか……」

 

 引子さんの言葉に上手く返事することができないまま、俺達はデクの眠る部屋に入っていった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

『幹線道路で大規模事故が発生! 化学薬品を乗せたトラックが横転して周囲に薬品が流出している! 現在周囲を封鎖している! 至急応援をよこしてくれ!』

『幹線道路での事故が影響して市街地でも交通に影響が出ている!』

『事故に便乗して強盗・窃盗を行う敵が複数発生! 付近のヒーロを招集してくれ!』

 

 ヒーローの仕事は突発的なものであり、スケジュール通りに進められるようなことはほとんどない。突如起こった交通事故、さらにそれに付随する事故・事件の対応にナイトアイ事務所は全員で対応に当たっていた。

 

「こちらサー・ナイトアイ。要請を了承。これより、応援に向かう。バブルガール、一緒に来てくれ。君の個性なら化学薬品を周囲に広がるのを防ぐことができる。センチピーダーは警察と合流して交通誘導に協力してくれ。ミリオは強盗を働いた敵を警察と共に追ってくれ。何かあればすぐに連絡を。では、出動」

「「「はい!!!」」」

 

 

 ナイトアイ事務所は少数の人員ながら作戦立案、情報収集、サポート、直接戦闘能力など非常にバランスの取れた布陣となっており警察からの信頼も厚く頼られる存在となっていたが、オールマイトから『敵連合捕獲』の協力を頼まれているナイトアイにとって今現在の状況は煩わしいものに感じられた。

 

「(この状況では、敵連合掃討作戦に参加は難しいかもしれない……。オールマイトに連絡を入れておこう。)……オールマイト、こちらはナイトアイだ」

『オールマイトだ。ナイトアイどうかしたのかい?』

「今日の作戦についてだが、今事務所総出で事故・事件の対応に当たっていて事前の打ち合わせに参加できそうにないんだ。もしかしたら作戦への参加自体も難しいかもしれない」

『そうなのか!?』

「ああ、幹線道路での大規模事故とそれに付随する事件・事故の対応で応援要請があった。急ですまないが……」

『わかってるよナイトアイ。この作戦自体が極秘だし君たちの事務所は有能でいろんなところから引っ張りだこだから仕方ないさ。それに参加してくれるヒーローも大勢いるから戦力的には支障はない。だから気に病まないでくれ』

「ああ、こちらの仕事が終わり次第連絡する。……オールマイト、用心してくれ」

『ああ、連中をここで止める! ナイトアイも無理はしないようにな』

 

 通話を終えるとナイトアイは小さく息を吐いた。運転するバブルガールが正面から視線をそらさずにナイトアイに問いかける。

 

「オールマイトはなんて言ってましたか?」

「無理はするなと。それに他のヒーローも大勢いるから戦力的には支障はないとも言っていた」

「戦力ならオールマイトだけでも十分な気はしますけどね」

 

 バブルガールの言うことには一理あるように思える。圧倒的NO.1のオールマイトであれば並みの敵であれば簡単に捕らえられるだろう。だが、()()()は並みではない。これまでの敵やヒーロー、一般人が思いもしなかった行動を起こして今社会に対して影響力を強めつつあるのだ。いかにNO.1ヒーローといえど1人でできることに限界はある。ここで一網打尽にすべく、様々なヒーローに協力を募っているのであった。

 

「(オールマイトや塚内警部からの要請であれば多くのヒーローが協力するだろうし、単純な戦闘だけでなく奇襲や拘束などバランスよく人員が揃えられるだろう。だが……この胸騒ぎはなんだ)」

 

 作戦に当たる人員に不足はないはずなのに一抹の不安がナイトアイの胸中からなくならない。

 

「(私が予知できれば、そこまでの結果は確定するとしても事前に対応策を用意できるのに……。思えば、以前からオールマイトを予知することを約束していたはず……。和解する前はオールマイトの未来を予知することを恐れていたのに、今は予知を行うことができないとは……まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……)」

 

 期末試験前からオールマイトと予知の約束を取り付けていたがこれまで折り合いがつかず、さらに林間合宿襲撃直後にも予知を行う約束をしていたがそれも叶わなかった。そして……今回。普段オカルトを信じないナイトアイが人ならざる存在を疑い始めるのも無理はなかった。

 

「(いや、流石に考えすぎか……。今は目の前の仕事に集中しなければ……)バブルガール、現場までは後どのくらいで到着する?」

「後10分で到着予定です!」

「わかった。無理せず急ぐように」

「了解!」

 

 敵連合掃討作戦への不安を抑え込んで、ナイトアイはバブルガールとともに現場へと急いだ。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Katsuki

 

「待たせたな爆豪。身体は大丈夫か?」

「あ、ああ。大丈夫っす……」

 

 引子さんを見送った後、デクの部屋で時間を過ごしていたら相澤先生に呼び出された。空いている部屋で対面で座って開口一番に大丈夫か問われたが、正直に言って相澤先生の方が大丈夫かと思った。いつも以上に充血した目、伸びた無精ひげ、よれた服、ふらつく身体……どう見ても大丈夫じゃねえ……。

 

「その、先生は大丈夫っすか? めちゃくちゃ疲れてそうっすけど……」

「ああ、昨日は2、3時間しか寝てないからな」

「2、3時間……」

「現場検証やら警察の事情聴取が長引いたからな。それに今回の件の情報共有の会議や今日の夕方行う記者会見の会議もあった」

「記者会見……」

「ああ、お前らは無事……とは言えないが保護された。だが、ヒーロー養成の最高峰である雄英で短期間に危機管理能力を疑われる事件が続いている。そのことに対して世間に対して説明する必要がある」

 

 記者会見……俺が敵連合に捕まったせいで……。俺が雄英体育祭で目を付けられなければ……!

 

「気に病むな」

「!?」

「確かにお前の行動が敵連合の目を引いたことは間違いない。だが、それ以前のUSJ事件から雄英は狙われていたんだ。こうなる事態を予想していなかった俺達学校側の失態だ」

「……」

「ただ……一言言わせてもらうなら、先の体育祭もそうだがお前たちはヒーローになる前から世間の注目を浴びる機会が出てくる。さらに新人ヒーローとしてデビューすれば否が応でも注目される。その時は一挙手一投足を見られるんだ。世間におもねる必要はないが、無用に批判を招くこと、反感を買うことは控えるのが無難だ」

「……」

「前も言ったが、お前は能力あるんだ。必ずトップヒーローになれる。だから、つまらないガキみたいな態度は改めろ」

「……わかりました」

「話は以上だ。この後俺は記者会見の最終打ち合わせがある。お前はあまり長居せず夕方には帰れよ」

「その……先生! 俺もその記者会見に出れないっすか!?」

「……!」

「今回のこと、俺の今までの言動が原因なら俺が出て話をするのが筋だろ」

「……」

 

 相澤先生が俺を正面から見据える。個性が使われている訳でもないのに威圧感を感じる。

 

「……お前、この数日で変わったな」

「え?」

「いや、お前の気持ちはわかった。……だが、だめだ」

「な!? なんで!?」

「お前が自分の不始末……とまでは言えないが自分で矢面立とうとする意志、それ自体はいいことだ。だが、これはお前達を守るためでもある」

「守るため?」

「メディア側に悪意を持ったものが紛れ込んでいない保証はない。さらにお前達は学生、メディア対応をまだ学んでいない。巧妙に発言を引き出され曲解された報道がされればお前達生徒に長期間悪影響が及ぶ。それを防ぐのが俺達大人の……教師の役目だ」

「……」

「……その心意気は大事だ。忘れるなよ……」

「! はい!」

「それじゃあ、俺は行ってくる。あんまり遅くなるなよ」

 

 そう言って相澤先生は足早に部屋を出て行った。マジで忙しいんだな……。

 

 

「ああ! 爆豪やっぱり居たー!!」

「おーい爆豪ー!」

「ああ?」

 

 相澤先生との話を終えてデクの部屋に戻る途中ででけえ声がしたから何かと思ったら芦戸(黒目)上鳴(アホ面)達が駆け寄ってきやがった。入院してた耳郎や葉隠、八百万もいた。

 

「今どこ行ってたのー? 緑谷のとこじゃなかったっぽいけど!」

「相澤先生に呼ばれてたんだよ」

「相澤先生? そういや、一昨日合宿所で別れてからあってなかったな」

「現場検証やら事情聴取やらで忙しかったらしいからな。さっきも少し話してから会議とか打ち合わせに行っちまったからな」

「会議? 打ち合わせ?」

「今日の夕方に記者会見するんだとさ、今回の事件の」

「え!? それって俺達も出るのかな!? 一応当事者つーか被害者だったし」

「いや、俺達は出さないらしい。メディアに紛れ込んでるらしい悪意から守るためってな」

「悪意? なんで?」

「メディア側も善人だけではないということでしょうね。ヒーローに限らず、他の人の発言を面白おかしく編集したりすることもあるらしいですから」

「そんなこともあるんだね~」

「……耳郎、葉隠、八百万。迷惑かけてすまなかった。てめえら身体大丈夫なのか?」

「「「!!?」」」

 

 3人に謝罪と体調を気遣う言葉をかけたが、3人ともとんでもないものを見るような顔をしていた(葉隠は透明なので当然顔は見えないのだが雰囲気で伝わった)。

 

「あ、あの爆豪がウチらに謝るなんて……」

「それどころか名前をちゃんと呼んで身体の心配してくれるなんて……」

「爆豪さんらしくありませんわ……。は!? まさか敵連合に操られて……!?」

「てめえら俺をなんだと思ってるんだ!? 特にポニテ! 操られてってのはどういう意味だ!?」

「へ? いやそのあの、以前の爆豪さんはその私達を呼ぶときはあだ名というか変な名前で呼ぶことが多かったのでその……らしくないと思いましてつい……」

「ヤオモモ正直過ぎ!」

「まあ、爆豪も思う所があって心を入れ替えたってことよ」

「調子乗んなアホ面。てめえだけ今まで通り顔面爆破してやってもいいんだぜ」

「う、うぇぇい……」

「ムカついたらこれからもやっちゃっていいよ……」

「ちょ!? 耳郎酷くない!? 病院で起きたときも俺にドックンしてきたし!」

「あ、あれはアンタの顔が近くてびっくりしたからでしょ!」

「そのせいで俺は不審者呼ばわりされて大変だったんだからな!」

「それは……その、ごめん……」

「あれ面白かったよね~♪ なんか警備員も来ちゃって上鳴取り押さえられちゃって♪」

「笑い事じゃねえよ! 一歩間違えたら変質者として最悪俺退学よ!」

「ま、まあ一応誤解も解けて良かったじゃねえか! それより爆豪、緑谷の様子はどうだ?」

 

 アホ面のどうでもいい話を切島(クソ髪)がいいところで切り上げてデクの様子を聞いてきた。それに他の連中もここに来た目的を思い出し、俺の言葉を待っていた。

 

リカバリーガール(ばあさん)に聞いたら一度目が覚めて、治癒を受けたらしい。今はその影響で眠ってる。デクのおふくろさんも来てたけど、デクの顔を見てしばらくしたら帰っていったわ」

「まあ! 緑谷さんのお母様もいらしていたのですか? ご挨拶したかったですわ……」

「その内機会もあるだろ。それより、いつまでもこんなとこに突っ立ってないで早く緑谷んところ行こうぜ!」

「皆でぞろぞろ行ったら迷惑じゃないかな?」

「何を今さら……それにここは病院じゃないから大丈夫だよ」

「それより爆豪。俺らより早く来てるって、やっぱり緑谷となんかあったんだろ! 教えろよ!」

「それそれ! 俺も気になってた! 敵連合でのことも教えろよな~」

「うるせえな! 何もねえよ!」

 

 アホ面と瀬呂(しょう油顔)が面倒くさく絡んできたので、他の連中を置き去りにして俺はデクの部屋へと向かっていった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

夕方6時:敵連合アジトⅡ

 

「狭いです。汚いです。臭いです。」

「ヒミコちゃん、それ言うのもう5回目よ」

「何回でも言い続けます!」

「うるせえな、贅沢言うな!」

「まあまあトガちゃん、そう拗ねんなって! 俺だってこんなところはいやだけどさ」

「俺も前のところがよかったなあ、隠れ家っぽい雰囲気もあって」

「ここはあくまで予備ですからね、一応電気・水道・ガスは通っていますが」

「で、どうすんだリーダー。このままここで閉じこもっておくのか」

「うるさい、今考えている」

 

 昨日、出久と勝己に逃げられた敵連合は脱出の際に勝己にアジトを破壊されたことで別の場所へ移動していた。同じ神野区内だが、より人気のない目立たないところであり、当面は潜伏できると思われる場所であった。

 

「あそこまで暴れられるとは思なかったもんね」

「ただ、今のところ警察に見つかった気配はありません。しばらくは大丈夫かと思います」

「それでも、いつまでもここってわけにはいかないだろうねえ」

「そうですね……死柄木弔、いかがいたしますか?」

「仕方ねえ。……先生、力を貸せ」

 

 傍においてあるモニターに向かって死柄木は先生と呼びかけた。すると、モニターから老齢の男性……AFO(オール・フォー・ワン)の声が聞こえてきた。

 

「……良い判断だよ、死柄木弔。ただ、生徒捕獲の連絡はもう少し早くもらいたかったかな」

「悪い先生。一昨日は夜も遅いからってことで先生に気を使っちまった」

「本当にそれだけかな?」

「……いや、少し……先生を舐めてた。すまない」

「構わないよ。君はまだ若いから僕みたいな年寄りを侮ることはあり得ることだ。だが、そのせいで対応が遅れたことは事実だ。今後はこの失敗を糧にしてもらいたい」

「わかった」

「この後記者会見が行われるらしいが、その内容を見てからでも動き方を考えても遅くないと思う。今回の作戦でヒーロー側、雄英の世間からの見方は大きく悪化した。それだけで、一定の評価は出来るよ。弔、君はまだ成長できる」

「そう……か」

 

 死柄木の行動を諫めつつAFOは一連の作戦を評価した。事実、世間での雄英の評価はがた落ちであり、記者会見を行う前からすでに炎上している状況であった。

 

「今後の方針については、後ほど相談しよう。何かあったらすぐ連絡するようにね」

「わかった。ありがとう先生……。……ちっ! イラつくな」

「なんだよ。お前の先生じゃないのか?」

「ああ。だが、いつもこっち見透かしているようで少しムカつくときがあるんだよ」

「落ち着いてて人当たり良さそうな雰囲気だったけど、本心を隠しているように感じよね」

「なんでもいいさ! それより、そろそろ記者会見とやらが始まるぜ!」

「皆で見ましょー!」

「記者会見ってそんなテンションで見るもんかね?」

「別にいいだろ? 黒霧なんか飲み物くれや」

「あ、私もお願い。ビールなんかあるかしら?」

「コーラくれ」

「私はトマトジュース!」

「私は店員ではないのですが……」

 

 敵連合のメンバーは各々が好き勝手なことを言いながら、やがて始まる記者会見の映像に目を向けていた。

 




というわけで第47話でした! 例のごとく、文量が多くなりがちですが、次こそ神野事件となりますので、導入といったところですね。ここからも原作と多少は変わってくると思いますが、作者の頭にはまだうっすらとしかプロットないので、今から頭を悩ませていますw 今後もマイペースでいけたらいいなと思いますので、応援よろしくお願い致します♪
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