僕のヒーローアカデミア~諦めから始まる物語~   作:キョンP

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お待たせしました、第51話です! 神野事件クライマックスです!
それではどうぞ!


第51話 さらば、ワン・フォー・オール

Side:Almight=Toshinori

 

『限界だーって感じたら思い出せ』

 

 ……思い出す……。

 

『何のために拳を握るのか』

 

 何の為に……。

 

原点(オリジン)ってやつさ! そいつがおまえを限界の少し先まで連れてってくれる!』

 

 私の……原点(オリジン)……。

 

『皆が笑って暮らせる世の中にしたいです。その為には……『象徴』が必要です』

 

 

 まだOFAを受け継いでいない……無個性のままなのに青臭い理想像を抱いていた私。そんな私に最初呆れながらも信じて鍛え上げてくれたお師匠。

 

 

 あの日の記憶がよみがえる。これは……走馬灯なのか……?

 

 確かに、活動限界を迎えたこの状況は絶望的と言えるだろう……。先ほどいくらかダメージを与えたが、AFOの方がまだ余力があるように見える……。

 

 だが……たとえそうだとしても……!

 

『僕はあなたみたいになりたいんだ……! あなたみたいな最高のヒーローに……!!』

『……いつかアンタを追い越してみせる、必ずな!』

 

 私に憧れ、私を超えようとする子達のために……ここで死ぬわけにはいかない!

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

(つう)……っ!」

 

 AFOの放つ衝撃波で吹き飛ばされビルに叩きつけられたグラントリノだったが、かろうじて直撃は免れていた。なんとか立ち上がるとAFOの衝撃波を相殺していたオールマイトに目を向けた。

 

「(あれ程の大規模攻撃を何度も相殺した……とうに活動限界を迎えている……。右手のみのマッスルフォーム、その歪な姿が物語っている……)」

 

 グラントリノも気づいているようにオールマイトは活動限界を既に超えており、精神力だけで右手のマッスルフォームを維持し最後の攻撃に備えていた。

 

 

「渾身。それが……最後の一振りだね、オールマイト」

 

 対峙するAFOもそれを理解している。過去に戦った際もオールマイトの執念を見誤り、敗れることとなった。

 

「手負いのヒーローが最も恐ろしい。腸を撒き散らし迫ってくる君の顔、今でもたまに夢に見る。二・三振りは見といた方がいいな」

 

 以前と同じ轍を踏まないよう最大限にオールマイトを警戒するAFOは距離が離れている間に決着を付けようと右手を膨張させ再度遠距離攻撃をしようとする。

 

 ゴオッ!! ブワッ!!

 

 

 AFOが攻撃をしようとした瞬間、背後から巨大な炎がAFOに襲い掛かる。右手を振り払い炎を消すと、その方向に目を向ける。

 

「!」

「なんだ貴様……その姿はなんだオールマイトォ!!!」

「どうにか間に合ったな」

 

 炎を出したものは「フレイムヒーロー」エンデヴァーであった。彼以外にもエッジショットやシンリンカムイが遠く離れた第Ⅱアジトから交戦場所へ移動してきていた。

 

「全て中位(ミドルレンジ)とはいえ……あの脳無達をもう制圧したか。さすがNO.2にのぼりつめた男」

 

 エンデヴァーを一瞥してAFOは高い評価を下す。長期間にわたってNO.1の座についてるオールマイトはまさに別格だが、そのオールマイトに次ぐ位置を長年維持しているのエンデヴァーもまたヒーローとして他の者を遥かに凌ぐ実力を有していた。

 

貴様(オールマイト)……なんだそのっ! 情けない背中は!!」

「エンデヴァー……エッジショット……」

 

 一方現れたエンデヴァーはAFOではなく、オールマイトに激しく怒声を浴びせた。NO.1を目指すエンデヴァーにとってオールマイトの存在は目障りなものだったが、それでも自身のオールマイトの間にある実力の差を自覚し……絶望していた。それゆえ、知らなかったとはいえやせ細ったトゥルーフォームで満身創痍のオールマイトの姿に怒りを感じざるを得なかった。

 

「応援に来ただけなら、観客らしくおとなしくしててくれ」

 

 ズズ……。

 

 ギュンッ! サッ!

 

 怒るエンデヴァーに対してAFOは衝撃波を放とうとするが、自身の姿を個性で細くしたエッジショットがAFOに対して攻撃を仕掛ける。なんなくAFOは避けるが、エッジショットは攻撃する時間を与えぬように矢継ぎ早に攻め立てる。

 

「抜かせ破壊者! 俺達は救けに来たんだ!」

「それが我らの仕事! 頑張ったんだな……!! Mt.レディ」

「我々……にはこれくらいしか出来ぬ……。あなたの背負うものを少しでも……」

「シンリンカムイ……虎……!」

 

 エッジショットがAFOへ攻撃を仕掛けている間にシンリンカムイが瓦礫の中に埋もれていたベストジーニスト。Mt.レディ、ギャングオルカ、虎が瓦礫に埋もれている女性とラグドールを救出していく。オールマイトがAFOに専念できるように……。

 

「あの邪悪な輩を……止めてくれオールマイト……!! 皆あなたの勝利を願っている……!! どんな姿でもあなたは皆のNO.1ヒーローなのだ!」

 

 シンリンカムイ、虎が救出している間もエンデヴァーとエッジショットがAFOへ攻撃を続ける。少しでもオールマイトの救けになるように……。

 

「オールマイト……俊典……」

 

 

 

『八木俊典?』

『面白い奴だよ、イカレてる。いわく……犯罪が減らないのは国民に心の拠り所がないからだと。この国にはいま『柱』がないんだって。だから自分がその『柱』になるんだって』

 

 

 グラントリノの脳裏にかつての盟友であり、オールマイトの師匠の志村菜奈の言葉がよみがえる。なにも持たぬ、無個性の少年がいまや誰もが認めるNO.1ヒーローとなっており、皆が彼の活躍を……勝利を願っている。

 

「……負けるなよ、俊典……!」

 

 

 

「これで……ラスト! 塚内さん、火は全部消しました!」

「ありがとうバブルガール!確かに急いでくれと言ったが、付けた火を消さずにエンデヴァーは行ってしまったから消火に困っていたところだったんだ!」

 

 塚内の下には遅れて到着したサー・ナイトアイとバブルガールが後方支援を行っていた。エンデヴァーの広範囲火力で多くの脳無を制圧したが、炎を喰らって暴れる脳無の影響で建物の一部まで火が回り火災が広がりそうな状況となっていた。間一髪で間に合ったナイトアイとバブルガールによって周囲はほぼ鎮火していた。

 

「やはり来てよかっただろう、バブルガール」

「サーの判断、流石です……」

「ナイトアイ、来てくれて助かった。私は捕らえた脳無の移送を指揮する。君は他のヒーロー達と避難誘導を指揮してくれ」

「わかりました、行くぞバブルガール」

「はい!」

「(オールマイト、貴方とはまだ話したいことがいっぱいあるんだ! 緑谷君の為にも、負けるなオールマイト!)」

 

 避難指示をしながら、声は届かずとも離れた場所で戦うオールマイトにナイトアイはエールを送った。

 

 

 

「煩わしい」

 

 ドォッ!!

 

 AFOが言葉と同時に全方位へ衝撃波を飛ばす。それによって対峙していたエンデヴァー、エッジショット、救助に当たっていたシンリンカムイ、虎も吹き飛ばされる。かろうじてダメージは抑えるがその威力は凄まじくAFOを中心に更地となっていた。

 

「精神の話はよして、現実の話をしよう」

 

 そう言いながら自身が有している……他の者から奪った個性を次々と掛け合わせていく。

 

「今までのような衝撃波では体力を削るだけで確実性がない。確実に殺す為に……今の僕が掛け合わせられる最高・最適の『個性』たちで、君を殴る」

 

 そう言ったAFOの姿は異様ともいえるものだった。人一人分ほどに肥大した筋骨隆々の右腕、尖った刃物状や鋲状の突起物が腕や拳の表面に生えておりAFOが言う通り、オールマイトを確実に殺すための手段と言えた。

 

 ゴオッ!

 

 そして、満身創痍のオールマイトに止めを刺すべく……AFOはオールマイトへと向かっていった。

 

「( 先程手を合わせてようやく確信を得たよ、オールマイト。君の中にはもうOFAはない。君が今使っているのは余韻……残りカス……譲渡した後の残り火だ。そして、その火は使うたびに弱まっている……。もはや吹かずとも消え行く弱弱しい光……。)緑谷出久」

 

 AFOが口にした名前にオールマイトの表情がこわばる。そのことでAFOは自分の予想が正解であることを確信した。

 

「譲渡先は彼女だろう? 力を制御できずボロボロだったそうじゃないか。志村菜奈並みに愚かで身の程知らずだな。そんな者が継承者とは……存分に悔いて死ぬといいよ、オールマイト。先生としても君の負けだ」

 

 オールマイトを嘲りながら最大限に強化した右腕をオールマイトへ向けて振りぬいた。

 

 ドォオオオオンッ!!!

 

 オールマイトとAFOの拳がぶつかり合う。その衝撃によって衝撃波が広がり、さらに広範囲にある建物まで破壊されていく。

 

「(『衝撃反転』! 君の放った力は全て君に返って……)」

「おおむねお前の言う通りだ。だが、お前はなにもわかっちゃいない」

「何?」

 

 バキバキッ……ブチブチッ……!

 

 ぶつかり合う右腕同士。筋繊維や骨が断裂・骨折する音が鈍く響くがそれにもかかわらずオールマイトは口角をあげてAFOに言い放つ。

 

「彼女は頭より体が動くし、無茶をして大怪我をする……だが、私の想像を超える者だ! そんな彼女を……危なっかしい彼女を、先生として……叱らなきゃ……いかんのだよ! 私が、叱らなきゃいかんのだよ!!!」

 

 ズズズズ……

 

 最大限に強化をしたはずのAFOの拳、それにもオールマイトは押しつぶされることなく拮抗していた。

 

「……なるほど、醜い」

 

 その様子にAFOも予想外だったらしく、呆れとも嘲りとも称賛ともとれるような言葉を吐いた。

 

 AFOが言葉放った直後、オールマイトはトゥルーフォームのままでボロボロの左腕に『力』を込めた。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Almight

 

「……なるほど、醜い。そこまで醜く抗っていたとは……誤算だった」

 

 そうだよ、抗い続けるさ! おまえを倒すため……この国が平和であり続けるために! 『象徴』としてだけではない……! お師匠が私にしてくれたように……私も彼女を……彼女達を育てるそれまではまだ死ねんのだ!!!!

 

 突き合わせている右拳から『OFA』の力を左腕に移す。先ほどグラントリノが言っていたように『虚をつく』しかAFOを倒すことは出来ない。そのままAFOの右側の死角に回り込み、左拳をAFOの顔面に叩きこむ。

 

 ドンッ!!

 

 だが……。

 

「らしくない小細工だ。誰の影響かな。浅い」

 

 ズッ……ブクッ!

 

 AFOの言う通り、打撃の当たりは浅い。普段は真正面から打ち合う私がこんなフェイントを使うことはほとんどない。そのため、ダメージはそれほどない。

 

 しかし、それ故に効果はあった。

 

「そりゃア……腰が入ってなかったからな!!!」

「!」

 

 AFOは()()()()()()()()()()()()()()()と思っていた! だから見誤った、私の本命が右拳(こちら)であることに!

 

 

『何人もの人がその力を次へと託してきたんだよ。皆の為になりますようにと……一つの希望になりますようにと、次はお前の番だ。頑張ろうな、俊典』

 

 

 ……私の番はここまでだ。

 

「おおおおおお!!!」

 

 これが最後の一撃だ……!

 

 さらばだオール・フォー・ワン!

 

 ……さらばだワン・フォー・オール!

 

「UNITED STATES OF SMASH!!!」

 

 ドゴォオオオオンッ!!!!!

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 ドゴォオオオオンッ!!!!!

 

 オールマイトが渾身の一撃をAFOにぶつけ地面に叩きつけられる。その衝撃によって周囲に暴風が吹き荒れ、周囲の瓦礫が飛ばされ空中で撮影を続けるヘリは吹き荒れる風の中でかろうじてバランスを維持していた。

 

 AFOが倒れ伏してしばらくの間静寂が周囲に漂っている。戦闘場所にいるエンデヴァーやエッジショット達も、ヘリから中継されている映像を街中のモニターで見ている人々、家のテレビで見ている人々も動く気配のないオールマイトとAFOの姿を固唾を飲んで見ている。

 

 

 ス……

 

 静止したまま動かなかったが左腕をゆっくりと持ち上げていき、拳を握りながら頭上へ掲げる。そして、もう限界を迎えてできないはずのマッスルフォームへ変身する。

 

『勝利のスタンディング』

 

 その瞬間、街中のモニターやテレビの前では割れんばかりの歓声が轟いた。

 

 

『オールマイトォ!! (ヴィラン)は……動かず!! 勝利!! オールマイト!! 勝利の!! スタンディングです!!!』

 

 

「な……! 今は無理せずに……」

「させて……やってくれ」

 

 満身創痍の状態で勝利のスタンディングを続けるオールマイトをエッジショットが心配して声を掛けるが、オールマイトの心情を慮ったグラントリノが寂しそうな顔をしながら懇願する。

 

「仕事中だ……平和の象徴……NO.1ヒーローとしての最後の……」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Izuku

 

「……勝った……」

「ああ……」

「うわああああああ!!! 勝った……! よかったオールマイト! 2人とも、勝ったよ!! オールマイトが勝ったよ!」

「……はい」

「……おう」

「あ、あれ? 2人とも嬉しくないの?」

 

 13号先生が僕達の反応が思ったより小さいことを心配して声を掛けてくれる。オールマイトがAFOを倒した。もちろんそのことは嬉しいし飛び跳ねて喜びたい気持ちもある。……だけど、それ以上にホッとしたっていう気持ちの方が大きいし、オールマイトを心配する気持ちが大きすぎて素直に喜べなかった。

 

「なんだか……喜ぶっていうよりホッとしたって気持ちが大きくて……」

「そ、そうだよね! 僕、年甲斐もなくはしゃいじゃったよ! あ! 僕他の先生のところに行ってくるね! 2人はここで休んでて! 爆豪君、変なことしちゃダメだよ!!」

「っ!? うっせぇわ! とっとと行けや!」

「かっちゃん、13号先生にそんなこと言っちゃダメだよ!」

 

 かっちゃんが13号先生に暴言を吐いたので慌てて諫める。そんな暴言を受け流して13号先生は僕らを残して部屋を出た。

 

「……」

「……」

 

 かっちゃんと……2人きり。昨日、敵連合のアジトから脱出してから僕が治癒やらなんやらでずっと寝てたからかなり久しぶりに感じる。

 

 ……なんか、ちょっと恥ずかしいかも……。

 

「デク……」

「ひゃい!?」

「なんだよ、変な声出しやがって」

「ご、ごめん! なんか、ずっと怪我や治癒の影響で寝てたから……なんかかっちゃんと話すの久しぶりな気がして、ちょっと緊張して……」

「……」

 

 僕のバカーーー!!! こんな正直に言う必要ないでしょ!? いくら僕らが、その……すすすす好き同士だからってこんなクソナード全開の話し方はさすがに無いでしょ!

 

「……俺も同じだ」

「へ?」

「昨日今日、お前が寝てる間に見舞いに来てたけど……お前と話すのはヒーローに保護されたとき以来だから……」

「そ、そうなんだ……」

 

 え!? なにこのかっちゃん!? かっちゃんってこんなに素直だったっけ!? いくらOFAを通じて気持ち確かめられたからって、こんなことある!?

 

「身体、大丈夫なのか?」

「う、うん! 明日、もう一度治癒をかけて午後には退院、っていうのかな。家に戻れそう」

「そうか……」

「うん……」

 

 会話が続かない。かっちゃんと2人きりってのもあるけど、さっきまでオールマイトとAFOの戦いを見てたから頭が回らないのかも……。

 

『……オールマイトの交戦中もヒーローによる救助活動が続けられておりましたが、死傷者はかなりの数になると予想されます……!!』

 

 沈黙が続く中で不意にテレビからの音声に意識が向いた。

 

『元凶となった敵は今……あっ今!! 移動牢(メイデン)に入れられようとしています! オールマイトらによる厳戒態勢の中今……!』

 

 リポーターがAFOが拘束されるのを興奮気味に話している。これで……ひとまずはオールマイトの戦いは終わったのかな……。

 

 すると、中継映像のオールマイトがカメラには正面を向かないまま、左手をゆっくり上げてカメラに人差し指を向ける。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

『次は……君達だ』

 

 

 短く発信されたメッセージ。まだ見ぬ犯罪者への警鐘……折れない平和の象徴の姿……ほとんどの人にはそのように見えただろう……。

 

 でも、僕には……僕らには真逆のメッセージと理解できた。

 

『私はもう出し切ってしまった』

 

「う、うぅぅ……」

「デク?」

「うわあああああ!!」

「デク!?」

 

 オールマイトが……僕らの憧れの……NO.1ヒーローが……終わってしまった! いずれ来るとはわかってたけど! 僕のせいで早めてしまった!

 

「僕の! 僕のせいで! オールマイトが!」

「デク落ち着け!」

 

 かっちゃんが泣きわめく僕を落ち着かせようと僕を抱き寄せる。でも、僕はオールマイトがもう戦えないと知って錯乱状態になってしまい、かっちゃんの腕の中で暴れ続ける。

 

「僕が! もっとOFAを上手く使えれば! 無茶をしなければ! こんなことにはならなかったのに!」

「落ち着け!」

 

 そう言ってかっちゃんは強く僕を抱きしめる。背中に回した手は抱きしめる力強さとは反対に背中を優しくなでてくれて、そのことで少しずつ身体の力が抜けていく。抱きしめてくれたかっちゃんから個性由来の甘い匂いが感じられる。小さい頃から嗅ぎなれた……落ち着く匂い。

 

「デクが自分のせいって言うんだったら、同時に俺のせいでもある!」

「か、かっちゃん……」

「俺が……雑で乱暴な言動してなけりゃ敵連合に目を付けられなかったはずだ。だから、誰かのせいだってんなら……俺達2人だ……」

「かっちゃん……」

 

 触れ合う頬に熱い何かが流れてくる。これは……涙? かっちゃんも泣いてるの? あのかっちゃんが?

 

「オールマイト言ってたろ。『次は君達だ』って」

「……うん」

「お前や俺だけじゃねえ。麗日や轟、全員で目指すんだ、オールマイトの次を…次のNO.1を……!」

「……うん」

「今は休め。そっから、また頑張ればいい……」

「……うん」

 

 かっちゃんが……普段よりずっと優しい声で僕を落ち着かせてくれる。ここ数日の疲労と負担も相まって……僕はかっちゃんの声と匂いと背中を優しくなでる手に心をほぐされゆっくりとそのまま眠りについた……。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Katsuki

 

 抱きしめて背中を撫でているとデクはゆっくりと寝息を立てて眠りについた。一昨日敵連合に攫われて昨日アジトから脱出、怪我の治癒とそれに伴う反動もあって身体も精神も疲労がピークだったんだろう。

 

『僕の! 僕のせいで! オールマイトが!』

『僕が! もっとOFAを上手く使えれば! 無茶をしなければ! こんなことにはならなかったのに!』

 

 デクが叫んでいた言葉がまだ耳に残っている。

 

 OFA。オールマイトや歴代の継承者がAFOを打ち破るために紡いできた力の結晶。いくらオールマイトやナイトアイがヒーローの素質を見出したと言ってもこいつはそれまで無個性だったんだ。個性の使い方はもちろん、身体を鍛えたり必死で……負担は相当あったはずだ。

 

 それが……今日のオールマイトのあの姿に繋がるなんて……。

 

 こいつがあんなに取り乱すのは見たことがなかった。わかってるつもりだったが、それほどまでにあいつにとってオールマイトの存在は大きなものだったんだ。

 

 不意に自分の頬に伝う何かを感じで指で触れると自分が涙を流していたことに気付く。……当然だ。俺にとってもオールマイトは憧れる……NO.1ヒーローだ。

 

 恐らく……オールマイトは今回の件で引退だ。そうなったら世間は衝撃を受けるだろう……。そうなった時に俺達ができることはなんだ……?

 

 決まってる。NO.1になることだ。俺達なりのやり方でオールマイトとは違う形の!

 

 そのためにやるべきことはたくさんあるが……今は休ませてやろう。

 

 強くなるぞデク、お前も……俺も。

 

 

 

「緑谷さん、爆豪君。中継見てたでしょうけど、だいじょ……うぶ……」

「爆豪、もう夜なのにお前なんのためにもど……って……」

「!?」

 

 不意にドアが開いてミッドナイトと相澤先生がこちらを見ている。それを不思議に思ったのかプレゼント・マイクと13号も怪訝な顔で部屋の中を覗いてくる。何も変なことをしたわけじゃないのにこの状況では誤解されかねないと身体が緊張でこわばってくる。

 

「爆豪君。あなたストイックそうで意外に手が早いのね。青春なのはいいけどさすがに感心しないわ」

「おいおい爆豪、さすがに校内はマズいぜ!」

「あの! その、2人とも真面目だから大丈夫だと思います!」

「爆豪、夜も遅いから今日は雄英に泊まれ。あと、今からちょっと面談するからついて来い」

「ちょっ!? これはその!? これには理由が!!」

 

 有無を言わせぬ相澤先生と茶化す気満々のプレゼント・マイクに連れられて生徒指導室に連れて行かれ、ようやく誤解が解けた頃には日付が変わろうとしていた。

 

 




というわけで第51話でした。原作同様オールマイトの中のOFAの残り火を使い切ってAFOを倒しました。今後はデクちゃんを育てていくことになりますが、デクちゃんはまずかっちゃんからOFAを返してもらわないといけませんね。その辺りどうなっていくんでしょうねー(棒)w 次で神野事件はエピローグとなるのでその辺りを描写できればと思います。今後も応援よろしくお願い致します♪

P.S. かっちゃんのイケメン化が止まりませんw 次辺りもとんでもないことになるのでお楽しみに♪
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