僕のヒーローアカデミア~諦めから始まる物語~   作:キョンP

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お待たせしました! 第53です! やっぱり長くなりがちですね!
それではどうぞ!


第53話 決意

「……で、これはどういう状況だ……?」

 

 相澤は困惑した。目の前には殴り合いをしたと思われるボロボロの勝己が細長い布でぐるぐる巻きにされて正座している。同じくボロボロで疲弊した様子の切島、上鳴、瀬呂、峰田やその他の生徒も全員勝己の周りを取り囲むように立っている。他の男子は相澤と同様に困惑の表情を浮かべているが、出久を除く女子6人は厳しい表情をしていた。出久はといえば1人だけ真っ赤で恥ずかしそうな顔でオロオロと勝己を心配しているようだったが麗日、芦戸、葉隠に守られるようにガッチリと抱きつかれていた。

 

「相澤先生! 不同意わいせつ犯を現行犯逮捕しましたわ!」

「不同意……は?」

 

 八百万の言葉に相澤はさらに困惑した。相澤もプロヒーロー『イレイザーヘッド』として活動しており、その中で個性を不正使用した性犯罪者を逮捕したこともあるが、その言葉と今の状況が明確に結び付かなかった。

 

「その……不同意わいせつ犯というのは……」

「ここにいるクソ下水煮込みの爆豪さんですわ!!! この通り、私謹製の捕縛布で拘束しております!」

「誰がクソ下水煮込みだゴルァ!!!」

「黙れ犯罪者!!」

「ヤオモモそんな言葉使わないで!」

 

 八百万の言葉に勝己が噛みつき、それに麗日がさらに怒声を浴びせたり耳郎が八百万の言葉遣いを注意したりして収集が付かなくなっていく。相澤がひと睨みして全員を黙らせると質問を再開した。

 

「で爆豪、一体誰に何をやらかした?」

「…………デ、出久にキスしました……」

「………………は?」

「爆豪君酷いんですよ! ベッドで休んでいる出久ちゃんに無理やりキスしたんですよ!!」

「しかも抵抗できないように腕や身体押さえてですよ!」

「あんな強引に長くキスするなんて……!」

「私らのデクちゃんにあんなことを……! こんな犯罪者は(ピー)を(ピー)して(ピー)すべきですよ!!!」

「お茶子ちゃん落ち着いて。顔が怖いわ……。でも確かに……無理やりはよくないわね」

「ここにいる全員が証人です! 弁解の余地はございませんわ!」

 

 表現に差はあれど出久を除く女子全員が勝己に怒り心頭で糾弾していた。他の男子の微妙な表情からそれが事実であることを察して相澤は……連日の疲労も相まって……軽く目眩を覚えた。一つため息を吐いて、相澤はもう1人の当事者……出久に声をかけた。

 

「一応確認するが……緑谷、今こいつらが言ったことは事実か?」

「へあ!? じじじじ事実ですけどそそそそその、かかかかっちゃんにいいいいいきなりキスされてビックリしたけど、なんというか、恥ずかしかったけど嫌じゃなかったというか……」

「緑谷?」

「デクちゃん!? 何言ってんの!? 無理やりキスされたんよ!!」

「それは……確かに強引だったけど……その……かっちゃんとまたキスできて嬉しかったというか……」

「「「「「「()()?」」」」」」

「あ……」

「このクソデク! 余計なこと言うんじゃねえ!」

「ちょっとデクちゃん爆豪君どういうこと!?」

「2人ともいつキスしたの!?」

「まさか捕まってる時!?」

「なんで捕まってるのにキスしてるんだよ!?」

「いつの間にそんな仲になったんだ!?」

「お前ら黙れ!!!」

 

 再び収集がつかなくなりかけたところで相澤が一喝するとその場の全員がピタッと黙った。こめかみを押さえて再びため息をつきながら相澤は勝己に質問した。

 

「爆豪、緑谷。説明しろ」

「……その、攫われてすぐにデ……出久が(ヴィラン)連合の死柄木に殺されそうになって……。なんとか出久は殺されずに済んだが、それでも危険な状況に変わりはなかった」

「それでその……このまま死んじゃうのは嫌だと思って……。そこでかっちゃんのことを好きってはっきり自覚して……その……かっちゃんにお願いして……キスして……もらいました……」

「俺も……こいつが命を奪われそうになって自分の気持ちに向き合うことができたから……」

 

 勝己と出久はOFAの事を隠して囚われていた時の状況を説明した。実際の状況も大きく違ってはおらず、不自然さもなかったのでその場にいた者はこのことを疑わなかった。

 

「それで……敵連合のアジトから脱出できたが、出久は大怪我していてその治癒で眠っていてなかなか顔を合わせられなかったから……今日久しぶりに会えてその……我慢できなかった……」

「か、かっちゃん……我慢できなかったって……」

「うるせえ、しょうがねえだろうが……!」

「「「(あ、あの爆豪/爆豪君/爆豪さんが……!?)」」」

「……はあ。……で緑谷、どうする?」

「へ? どうするって……」

「不同意わいせつ罪の件、一応被害者のお前が訴えなければ何もなかったことになるが……」

「八百万さん! 今すぐ通報や!」

「わかりましたわ!」

「ちょっと麗日さん! 八百万さんも! 僕は気にしてないから! い、いきなりだったし皆の前だから恥ずかしかっただけだから……」

「……つまり2人きりならいいと?」

「!? は、葉隠さん!? 僕そんなことは……!?」

「でも、『皆の前だから恥ずかしかっただけ』ってことは皆の前じゃなきゃいいってことだよね?」

「そそそそそれはこここここ言葉の綾って奴で……」

「きゃ~♪ もう緑谷ラブラブじゃん!」

「爆豪てめ~ふざけんなよ! 男子会で言ってたことと違うじゃねえかよ!」

「黙れ!」

 

 再び一喝すると相澤は勝己の正面に立ち、まっすぐ見据えた。

 

「今は敵連合襲撃の余波もあって、こんな下らん事で大っぴらに処分はできん。……次があると思うな」

「……はい!」

「お前らもだ。この件はこれで終わりだ! わかったな?」

「「「はい!」」」

 

 そう言ってその場を後にしようとするが、何かを思いついたように動きを止めA組生徒に向き直る。

 

「風紀に関連するから今話すが、今回の事件を受けて雄英は全寮制を導入することとなった」

「「「全寮制!?」」」

「ああ。敵連合の狙いがヒーローからその卵である生徒まで広がった。我々としては生徒の身の安全を守るため、校内に寮を建設し生徒にはそこから学校に通ってもらう」

「それは全学年ですか?」

「ああ、当然ヒーロー科のみならず普通科・サポート科・経営科の生徒も対象だ。明日にでも通知する予定だったが、今話すのが合理的と判断した。詳細は通知や家庭訪問時に説明するが問題となる行動は慎むように。特に爆豪、緑谷」

「「!?」

「次こんなことがあったら……わかってるな?」

「「は、はい……」」

「以上だ。帰るときは気をつけろよ」

「「「はい!」」」

 

 相澤は言い終えて職員室へと戻っていった。相澤の姿が見えなくなってから、A組生徒は思い思いに声をあげた。

 

「うおおおお! 全寮制か! なんかテンション上がるな!」

「勝手に上げるな! 遊びじゃないんだからね!」

「でも、気持ちはわかるな~♪」

「皆で生活するって林間合宿のリベンジみたいだね!」

「林間合宿はせいぜい1週間だからだいぶ勝手は違うだろけどな」

「全寮制ということは……風呂!」

「お前もうアウトだぞ」

「今のうちに警察に突き出しちゃおうか、爆豪君と一緒に」

「それがよろしいですわね!」

「丸顔ポニテふざけんなや!! っていうかこの布早くほどけや!」

「う、麗日さんも八百万さんも落ち着いて!?」

「皆静かに!」

 

 飯田の声で騒がしかった声がピタリと止む。静かになったのを確認して飯田が言葉を続ける。

 

「いろいろ情報があって皆が興奮するのもわかる。だが、緑谷君はさきほど治癒が終わったばかりだしそれ以外の皆も林間合宿から気が張り詰めていて思っている以上に疲労があると思う。後日に全寮制についての家庭訪問もあるみたいだから今日はこの辺りで帰宅して疲労回復に努めるのがいいと思う!」

「確かに……ここに来るのも親心配してたからな」

「飯田の言う通りだな」

「よ! 委員長!」

「それじゃあ、ここで解散しよう! 皆、寄り道せずに帰るように!」

「「「はーい!!!」」」

 

 飯田の言葉をきっかけに皆が帰り支度を整えていく。そんな中で出久が勝己に声をかける。

 

「かっちゃん、帰りに寄りたいところがあるんだけど……」

「ああ? 今飯田が寄り道すんなっつってただろうが!」

「そうだけど……僕林間合宿で戦闘中にスマホ壊れちゃって……。お母さんとも連絡取れてないし、新しい機種買いたいんだよね……」

「ああ~、確かにないと引子さんも心配するな……。んじゃ帰りにショップによるか」

「異議あり!」

「なんだよ丸顔」

「デクちゃんと爆豪君2人きりは危険やと思う!」

「ああ!? てめえなにふざけたこと……」

「前科持ちの爆豪君は信じられん!」

「ぐっ……!」

「だから……私らも着いて行くことにする!」

「へ? 私らって……」

「もちろんウチらだよ!」

「私達が監視ってこと!」

「ケダモノの爆豪君と一緒に居させられないよね!」

「誰がケダモノだゴラァ!!」

「これに関しては仕方ないわ爆豪ちゃん……」

「それでは行きましょう皆さん!」

「八百万さん、プリプリしてる……」

「たぶん皆と一緒に出歩くのが嬉しいんやろなあ……」

「耳郎! 俺も行っていいか!?」

「え~? なんでアンタが?」

「いやだって爆豪がいるならボディーガードが必要でしょ?」

「てめえアホ面!! 俺をなんだと思ってやがる!?」

「そういうことなら……切島! あんたも一緒に来て! どうせ帰る方向一緒でしょ!」

「ああ、いいぜ! 爆豪係も必要だろ?」

「そんじゃあ俺も行きますかね♪」

「クソ髪! しょう油顔てめえら!!!」

「か、かっちゃん……。皆も悪気はないから、ね……」

「……クソが!!」

「すげえ、あの爆豪が緑谷の言うこと聞いてる……」

「本当に変わったんだな爆豪……」

「君達! 緑谷君がスマホを買い終えたら寄り道せずに帰るんだぞ!」

「了解委員長!」

「任せとけ!」

 

 それを合図にするようにA組生徒は家路に付き、出久と勝己は思いの外増えたボディーガード兼冷やかしを引き連れて家電量販店へ向かった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Izuku

 

 スマホを買って遅めの昼食を取ったりしてたらなんやかんやで時間が経っていて、午後4時過ぎに僕の住む団地に着いた。

 

「デクちゃん団地に住んでるんやね」

「結構大きなとこだね〜。何棟ぐらいあるの?」

「10棟くらいかな?」

「これが団地というものですか……、初めて見ましたわ……!」

「さすがヤオモモだね……」

「爆豪の家って近いのか?」

「かっちゃんの家はここから15分くらいだったよ」

「なんでお前が答えるんだよ!」

「まあまあいいじゃねえか」

「う〜ん、前と態度は変わらないのか甘くなったのかわからないな〜」

「でも爆破しないだけマシだと思うわ」

「その認識もどうなの梅雨ちゃん……」

 

 こんな人数でワイワイ話ながら帰るなんて初めてかも……。階段を登ってしばらく歩いてようやく自分の家の前に着いた。数日ぶりだけど、ずいぶん長く帰ってこなかった気がする。呼び鈴を押すと中からドタバタと音がして勢いよくドアが開いた。

 

「お母s「ああ~出久~~~!!! 大丈夫!? 怪我はもういいの!?」

「お、お母さん……苦しい……」

「お母さんと~っても心配したのよ!!!」

 

 ドアから飛び出したお母さんが僕を力強く抱きしめた。普段はおっとりしたお母さんだけど、僕を抱きしめる力がとても強くて……お母さんがどれだけ僕を心配していたか、どれだけ僕を想ってくれていたかがわかって申し訳なさに涙が溢れてきた。

 

「……うん、心配させてごめんねお母さん。もう大丈夫だから……」

「よかったわ、本当に……! あら。勝己君に……もしかして出久のお友達!?」

「こんにちは引子さん。こいつらは俺達の同じクラスの連中だ」

「そうなの!? わざわざ来てくれたの!?」

「うん、僕スマホ壊れちゃって……それで帰る途中で買いに行ったんだけどそれに付いてきてくれたんだ」

「そうなの。あ、出久の母の引子です。出久と仲良くしてくれてありがとうございます……!」

「いえお母さんこちらこそお世話になってます! あ、私麗日お茶子です!」

「芦戸三奈です!」

「蛙吹梅雨です」

「俺、上鳴電気っていいます!」

「切島鋭児郎です!」

「耳郎響香です」

「瀬呂範太です!」

「葉隠透で~す♪」

「八百万百と申します。私達の方こそ、いつも緑谷さんのお世話になっております」

「皆来てくれてありがとう! 今お茶入れるから待っててね!」

「いえ、お気遣いなく。時間も時間ですし私達ももう帰る所なので……」

「そう……ね。もうすぐ夕方になるしね」

「また、お伺いするのでその際は是非よろしくお願い致します」

「皆、本当にありがとう! また、学校でね!」

「うん! デクちゃんも身体気を付けてね!」

「それでは、失礼致します」

「お邪魔しました!」

「さようなら~!」

「またね出久ちゃん」

「じゃあね緑谷」

「緑谷またな~!」

「じゃあな緑谷!」

「また学校でな緑谷~!」

 

 皆が別れの挨拶をする中、かっちゃんだけまだ何も言わずに立っていた。どうしたんだろ?

 

「……またな、出久」

「へあ!? う、うん……かっちゃんまたね……」

 

 そう言ってかっちゃんが僕の頭を撫でたから変な声が出ちゃった! いきなり何するのさかっちゃんは!

 

「なんやあのイケメン感……」

「あれ本当に爆豪なの?」

「やっぱり何者かの個性で精神を乗っ取られて……!」

「お前ら黙れ! ……行くぞ!」

 

 かっちゃんの言葉を合図に皆がその場を後にしていった。皆の姿が見えなくなるまで見送ってようやく息をつく。

 

「出久、皆いい子達ね……」

「お母さん……。皆優しくて……強い人達だよ……」

「それにしても……出久! 勝己君と何かあったの!? 元々カッコよかったけど、今日はもっとカッコよく見えたわよ!」

「へ!? う、うん……そ、そうかな? ……お母さん!? なんか焦げ臭いよ!?」

「え!? そうだ、カレー作ってたんだわ! 焦げちゃう焦げちゃう!」

「早く早く!」

 

 その後、家で久しぶりに食べたご飯は少し焦げた匂いのするカレーだったけど、とっても美味しくて思わず涙が出てきた。

 

 

 久しぶりに自分の部屋で休んで新しくしたスマホに来る通知の嵐を捌いていたら、オールマイトから着信が入ったので即座に通話に出た。

 

「はい緑谷です! オールマイト!」

『やあ緑谷少女! 身体は大丈夫かな?』

「はい大丈夫です! オールマイトも……その……」

 

 久しぶりに聞くオールマイトの声に涙が出てくる。昨日テレビで流れたオールマイトのトゥルーフォーム姿、あれでもうオールマイトが今後戦うことが困難であることが世間に知れ渡ってしまった。僕が……敵連合に捕まらなければ……。いや、これはかっちゃんに僕だけのせいじゃないと言われた! もうこのことで下の向くのはやめよう!

 

『どうした緑谷少女? 大丈夫か?』

「はい、大丈夫です……! テレビで観てました、オールマイトもAFOと戦って大丈夫ですか?」

『大丈夫……とは言えないけど、なんとか生き残ったというところかな……』

「生き残った?」

『ああ、君を育てるまで……ヒーローになれるまで死ねないと思ってね』

「オールマイト……」

『心配はいらないよ……。ああ、少し長くなってしまった。用件は明日会えないかと思ってね』

「明日、ですか? 僕は大丈夫ですけど、いつですか?」

『明日の朝6時、市営多古場海浜公園。私達が特訓をした場所で』

「わかりました」

『爆豪少年にも一緒に来てほしい』

「かっちゃんも?」

『彼もOFAを継承し秘密を知った。今後の事について会って話がしたいんだ』

「わかりました。かっちゃんに連絡入れておきます」

『助かるよ。それじゃあまた明日。おやすみ緑谷少女』

「おやすみなさい」

 

 別れの言葉を言ってオールマイトとの通話を切る。今後について、か……。なんとかAFOを倒すことはできたけど、その代償にオールマイトは……おそらくOFAの残り火(最後の力)を使い果たしてしまったのだろう。まだ敵連合は残っている。奴らに対抗するために僕が……僕たが頑張らなくちゃ! そう決心して、オールマイトから言われていたとおりかっちゃんに連絡を入れる。

 

「かっちゃんに電話するの初めてだけど、ちゃんと出てくれるかな……?」

『なんだ?』

「わっ!? かっちゃん、出てくれたの!?」

『お前から電話してきて何言っとんだ!? で、要件は?』

「明日の朝6時に市営多古場海浜公園に来てくれないかな?」

『ああ? なんでだよ』

「オールマイトから連絡があって今後の話がしたいって。かっちゃんもOFAの秘密を知ったから一緒に来てほしいって言ってた」

『! わかった、朝6時だな。……出久』

「な、何?」

『1人で抱えようとするなよ』

「!?」

『オールマイトや俺、ナイトアイもいる。OFAのことは知らなくてもクラスの連中もいる。だから、なんでも1人でやろうとするな……』

「……うん、わかった。ありがとう、かっちゃん……」

『それじゃあ、明日な』

「うん、おやすみかっちゃん」

『ああ、おやすみ』

 

 かっちゃんにおやすみを言って電話切る。……なんか、僕達……ここここ恋人みたいじゃないかな? いやいや、明確に付き合おうって言ってもらったわけじゃないけど、OFAの中でお互いにすすす好きって言ったし、実質的にそういうことだよね! ……うん、明日聞こう! そうしよう!

 

 

 

「おはよう〜」

「おはよう緑谷少女」

「おう、遅えぞデク……ってどうした? 目赤えし隈できてんぞ」

「う、うん。ちょっとなかなか寝付けなくて……」

 

 結局悶悶として寝付くのが遅くなってしまって、危うく寝坊しそうだったがなんとか約束の時間に市営多古場海浜公園に着いた。オールマイトとかっちゃんはすでに到着してて少し申し訳なく思った。

 

「2人とも早いですね」

「2人じゃないよ」

「お前が連絡して俺より遅れるんじゃねえよ」

「おはよう、緑谷君」

「な、ナイトアイさん!? お、おはようございます! なんで……」

「私から声をかけていたんだよ」

「身体は大丈夫かな?」

「は、はい……。リカバリーガールに治癒してもらって、ただ……」

「ただ、なんだい?」

「思ったよりダメージが酷かったみたいで……これ以上無理をすると二度と腕が使えなくなるかもしれないって言われました……」

「!? お前なんでそれ言わなかったんだよ!?」

「それは、言える状況じゃなくて……」

「……俺達には話せよ……」

「え?」

「お前は敵連合に……死柄木に狙われるんだぞ、1人でなんでも抱えてたら潰れちまうだろうが!」

「そうだよ緑谷少女。まさにそのことを話に集まってもらったんだ」

「オールマイト……」

「私はもうOFAの残り火を使い果たしてしまった。もう戦うことはできない」

「……」

「AFOを捕まえることはできたが、死柄木や奴の率いる敵連合には逃げられてしまった。ブレーンはいなくなったが、奴らが今後どのように行動していくかわからない。塚内君やグラントリノに追ってもらうが、我々も対策を取らねばならない」

「対策……?」

「OFAを持つ緑谷少女や爆豪少年だけじゃない。A組B組のヒーロー科の生徒を育て上げる。それが私のこれからの使命だ」

「私も協力する」

「ナイトアイさん……」

「今後、学外での活動……インターンなども増えてくるだろう。その際は私が事務所全体でサポートをする」

「ナイトアイさん……ありがとうございます」

「んで、俺は出久の暴走を止める役だな」

「かっちゃん……暴走だなんてそんな……」

「いや、お前は人を救けるために絶対体が動く、自分の危機を省みず、だ……。麗日達にも言われたんだろ……」

「う、うん……」

「お前が動くのを完全には止められねえ。だから、俺達がお前を見てやる! お前が無茶しねえようにな!」

「……うん。ありがと、かっちゃん」

 

 かっちゃん、オールマイト、ナイトアイさん……それだけじゃない。麗日さんや飯田君、轟君やクラスの皆が僕に無茶するなと……頑張ろうと言ってくれた。この想いに……しっかり応えなくちゃ……!

 

「……緑谷少女と爆豪少年はなんというか、随分打ち解けたね。期末テストの時とはだいぶ変わったように思うが……」

「え? それは……捕まってる時、OFAを譲渡したんですけど……譲渡中にOFA内で2人の精神が交わったみたいで。その中で色々話しました……」

「OFA内? それは興味深いな。一体、どういう原理なのだろうか? 爆豪君もそれは覚えているのかな?」

「ああ、確かにOFA内で出久と対話できた……。そのおかげで短時間でOFAを使うことができたんだ……」

「そうだったのか……。それにしても、よく敵連合のアジトでOFAを譲渡できたね!」

「え!? そ、それはその……なんとか隙を見つけて……どうにかこうにか……」

「そうかそうか! ちなみに今はどちらが持っているんだい?」

「そそそそれは、ぼぼぼぼ僕が持ってます……!」

 

 オールマイトがどんどん聞いてくる。悪気が無いのはわかってるけど、ここここんなの言うの恥ずかしいじゃないか!

 

「? どうかしたのか緑谷少女? 顔が赤いよ? まだ体調が悪いのかな?」

「…………お、オールマイトの……」

「……?」

「バカーーー!!!」

 

 いくら大好きで憧れのオールマイトだからってあんな矢継ぎ早に聞かれたら恥ずかしくて死んじゃうよ! オールマイトをバカ呼ばわりするのは気が引けたけど、あまりの恥ずかしさに僕はそう叫んで3人を残してその場を後にした。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「…………お、オールマイトの……バカーーー!!!」

 

 出久は顔を真っ赤にして叫びその場から走っていった。

 

「え!? ちょっ、緑谷少女!? 一体、どうしたんだろう?」

「…………」

「……オールマイト、以前から薄々感じてましたが……貴方は少々デリカシー足りない時がありますね……」

「?」

「(この人、すげえヒーローだし今でも憧れてっけどこれはちょっとないわ……)」

 

 出久が走り去った後、長年付き合いのある人物・憧れの人物に対する評価を下げた者2人と評価が下がった者1人が微妙な空気のまましばらく佇んでいた……。




というわけで第53話でした! 一応これで神野事件編は終わりになります。林間合宿編からだいぶ長いことかかりましたが、書きたかったシーンも書けて概ね満足しております♪ かっちゃんが危うく除籍処分になるところでしたw 次回からは全寮制開始からの仮免試験に突入すると思いますが、途中で幕間を挟めたらいいな〜と思ってます。今後もマイペースで進めていきますので応援よろしくお願い致します!
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