僕のヒーローアカデミア~諦めから始まる物語~   作:キョンP

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お待たせしました! 第54話です!
今回は家庭訪問編になります! それでは、どうぞ!


第54話 家庭訪問

「あっ、はい。よろしくお願いします」

 

 『スパァン!!』と小気味いい音で勝己の頭をはたきながら、勝己の母・光己は相澤とオールマイトの全寮制の説明に納得・承諾した。

 

 出久が雄英の病室から退院した日から翌日、雄英から『雄英高校 全寮制導入検討のお知らせ』の通知が各生徒の家に届いた。相澤が事前に説明した通り、ヒーロー科を含めた全学科全学年が対象となっており数日にわたって教師が各家庭を直接訪問して説明に行っていた。

 

「バッバア叩くんじゃねえよ! ブッ飛ばすぞコラ!」

「うっさい!! 元はと言えばアンタが弱っちいからとっ捕まってご迷惑かけたんでしょ!!」

「2人とも……や、やめろよォ……。先生方が……驚いてるだろォ……」

「うっせんだよクソオヤジ! てめェは黙ってろ!!」

「うっせえのは勝己でしょ! あんたも喋るならハキハキ喋りなさいよ!」

「んん~……(何この闇深い家庭)」

 

 目の前にいる相澤とオールマイトにも目もくれず言い争う爆豪一家(主に勝己と光己)。この気の強い母と大人しめの父からどうして傍若無人・天上天下唯我独尊な勝己が生まれたのかとオールマイトは不思議でならなかった。

 

「しかも……出久ちゃんまで攫われて!」

「ぐっ……!」

「お母さん、勝己君や緑谷出久さんが攫われたのは雄英側の失態であり、責められるべきは我々です」

「……」

「しかし、その……本当によろしいのでしょうか?」

「ん!? ああ、寮でしょ? むしろありがたいです!」

「ありがたい……とは?」

「勝己はなまじ何でも出来ちゃうし能力にも恵まれちまってさ。他所様からチヤホヤされてここまで来ちまった。薄っぺらいとこばっか誉められて......だから会見での言葉が嬉しかったんだよね、『ああ、この学校は勝己を見てくれる』って」

 

 そう言いながら、光己はさきほどまで『スパァンスパァン!』と殴っていた勝己の頭を優しくなでた。気が強い光己であるが、勝己をなでる顔は慈愛に満ちていた。

 

「それに、会見で相澤先生が言ったように……勝己と出久ちゃんがしっかり成長しているんだなってわかって。入学当初は不安でどうなるかと思ったけど、こうして勝己も出久ちゃんも五体満足で帰ってきてるワケだしさ。しばらく風当たりは強いかもしんないけど、私は信頼して任せるよ、ね」

「うん」

「こんなどうしようもない奴だけど、みっちりしごいて良いヒーローにしてやって下さい」

 

 そう言って、3人で頭を下げた。勝己は林間合宿で攫われた被害者であったので家族からの罵倒や入寮拒否も覚悟していた相澤だったが、予想外の反応に戸惑っていた。

 

 トントン

 

「?」

「(一杯奢ろうか?)」

 

 オールマイトが小声で相澤を声を掛ける。罵倒される覚悟で訪問先の過程で頭を下げてきたが、どこへ行っても先のオールマイトの戦う姿に心を動かされた保護者が最終的には入寮に承諾した。オールマイトの存在の大きさに相澤がオールマイトに『一杯奢ります』と言ったが、気恥ずかしかったオールマイトはそれを軽く断っており、その意趣返しとして相澤に声をかけたのだった。

 

「あ、そういえばちょっと気がかりなことが……」

「気がかり……と言いますと?」

「いや、生徒全員で寮で生活するということは女の子も一緒ですよね? 勝己が出久ちゃんを襲わないか心配で……」

「ババア! てめえ俺をなんだと思ってやがる!!」

「あんた達2人好き合ってるんでしょ? 救助された時の様子やその後のあんたの雰囲気でわかるわよ。で、そんな男女が他に大勢いるとはいえ一つ屋根の下にいたらどうなるか……想像できるでしょ?」

「俺をそんなことやる連中と一緒にすんじゃねえ!!」

「(いや、お前緑谷に強引にキスしただろ……)」

「(いや、君緑谷少女に強引にキスしたらしいじゃん……)」

「どうだか……。あんたガキみたいな独占欲拗らせてるからもう出久ちゃんに手出してるんじゃないの?」

「だ、出してねえよ……!」

「「(流石爆豪/爆豪少年の母、鋭い……)」」

「と、とにかく、その辺りは大丈夫なんでしょうか……? いや、勝己君がってわけじゃなくて一般的にですね……」

「クソ親父黙ってろ!!」

「アンタが黙りなさい!!」

 

 また、家族でギャアギャア騒ぎ始めたので相澤が一つ咳払いをして、場を一旦静かにしてから説明を始めた。

 

「寮は基本的に各学年1クラス1棟で、その中でさらに男女別々に分かれています。また、共同スペースや廊下にも防犯カメラを設置しておりますのでその辺りは問題ないと思われます。しかし、万が一問題が発生した場合は厳正に対処致します」

「それを聞いて安心しました。私としては出久ちゃんを嫁にしたい気持ちはあるけど、流石に学生の身ではねえ……」

「何キモい事言ってやがる……!」

「じゃあ何? アンタは出久ちゃんを嫁にしたくないの?」

「そ、それは……し、してえ……」

「「(あ、あの爆豪/爆豪少年が照れてる……!?)」」

「それじゃあ、一人前になるまで手ェ出すんじゃ無いわよ。これは出久ちゃんだけじゃなくてアンタのためでもあるんだからね」

「……わかった」

「それじゃあ、先生方。改めてよろしくお願いします」

 

 再び深々と頭を下げた爆豪一家に相澤とオールマイトはなんともいえない表情でそれを見ていた。

 

 

「さて、次は……緑谷ん家が近いですね」

「あぁ、それなんだが相澤君。手分けして行かないか?」

「手分け……ですか?」

「ああ。この調子だとディナータイムに差しかかっちゃうぜ。私が緑谷少女のところへ行くから君は残りを回ってくれ」

「……わかりました。残りは俺が引き受けます。といっても、残り2名なので大丈夫でしょう。それでは、よろしくお願いします」

「ああ、相澤君も移動には気を付けてね」

「オールマイトさんも気を付けてください」

 

 そう言って相澤は待たせていた車に乗り込み、他の生徒の下へ向かった。

 

「さてと、私も緑谷少女のところへ……」

「オールマイト」

 

 出久の住所が記されたメモを確認しようとしたオールマイトに勝己が声を掛ける。

 

「爆豪少年、どうかしたのかな?」

「頼みがあるんだが……」

「頼み?」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Izuku

 

 ピンポーン……

 

 ドアのインターホンが鳴って来客を告げる。今日来る予定の人は雄英の教師で僕の憧れのヒーロー、オールマイトだ! 昨日からドキドキしてて今もすごく緊張してる。あのオールマイトが! 僕の家に来てくれるなんて! どうしよう!? 壁にサインしてもらおうかな!? あ、でもそれはさすがにマズいかな!? あ、そうだ! 部屋に貼ってあるポスターにサインしてもらおう!

 

「いいい出久、お客さん来てるわ! いいい行くわよ!」

「ううううん! わかった!」

 

 同じく緊張しているお母さんと一緒に緊張MAXで玄関に行きドアを開けると……そこにはトゥルーフォームのオールマイトが立っていた。……右手にギプスをつけて吊るして、頭にも包帯を巻いている。服で見えないけど、たぶん身体中まだ傷が残っていると思う。こんなに激しい戦いだったなんて……。僕がその場にいてどうにかできたとは思わないけど……それでも、オールマイトのそばで力になりたかった……。

 

「こんにちは、雄英高校教師のオールマイトです」

「ここここんにちは!」

「ここんにちは出久の母の引子です! ささ……あっあっ上がって下ささい!」

 

 緊張で2人とも噛み噛みだけどなんとかオールマイトに声を掛けることができた。あれ? 相澤先生はいないのかな?

 

「オールマイト、相澤先生はいないんですか?」

「ああ、彼は他の生徒のところに行ったよ。今日中で回らないといけないからね」

「そうなんですね……」

「その代わり……と言ってはなんだが、彼が来ているよ」

「彼?」

「……よお出久」

「かっちゃん!? なんでかっちゃんが!?」

「あら勝己君!?」

「緑谷少女の前は爆豪少年のところに行ってたんだ」

「俺が無理言ってついてきたんだ」

「なななななんで!?」

「とりあえず、外は暑いから中に入って! お茶も用意してますよ!」

 

 突然のかっちゃんの来訪に驚きつつ、僕とお母さんは2人を家の中に案内した。いやマジでかっちゃん何で来てるの!? 今日って全寮制の説明だよね!? ……何か、あるのかな……?

 

 

「ど、どうぞ。お口に合うといいですが……」

「いえ、ありがとうございます」

「勝己君もどうぞ」

「……ありがとうございます」

「それでは早速ですが、雄英の全寮制について事前に送付した資料にも記載しておりますが目を通していただけましたか?」

「はい。……その件ですが……私、嫌です」

「!?」

「「……」」

 

 突然のお母さんの言葉に驚く。昨日話した時は『うん』って言ってくれたのに……なんで!?

 

「お母さん!? 昨日は『うん』って……」

「考えてたんだよ!? でもね! 嫌なの! ……出久は『個性』が出なくて、それでもずっとあなたに憧れてきました。でも、()()()に『個性』が発現してから……雄英に入ってから……出久、どんどんボロボロになっていくんです。出久の腕、知ってますか? これ以上怪我が増えると動かなくなるかもしれないって!」

 

 お母さんの声が部屋の中に響く。普段は大きな声を出すことがほとんどないお母さんが……こんなに声を荒らげるなんて見たことがない……。

 

「先日の戦い、テレビで拝見しました。1人の市民としてもとても感謝してます。が……親としては怖かったです。……出久はあなたに憧れてます。出久の行く末があんな血みどろの未来なら私は……『無個性』のまま……ヒーローの活躍を嬉しそうに眺めているだけの方がこの子は幸せだったんじゃないかって……思ってしまったんです」

 

 お母さんの言うことはわかる。ヒーローは(ヴィラン)の逮捕や災害現場で人命救助をするのが仕事だけど、その現場では凄惨な状況であることは一応知られているけどそれが映像として流れることはあまりない。先日のオールマイトとAFOの戦いはそれを遥かに凌ぐものだった。そんな世界に自分の子どもを送り出すなんて……どんな親でも躊躇するし止めると思う。それでも……。

 

「お母さん……」

「出久、応援はするけど……それは心配しないってことじゃないって言ったよね」

「……」

「出久はこのまま……勝己君と一緒に雄英に通いたいよね。でも……ごめんね出久。……ハッキリ申し上げます。出久の親として……今の雄英高校に娘を預けられる程、私の肝は据わっておりません」

 

 僕に謝り……オールマイトの顔を涙目で見据えながらハッキリと言い放つお母さん……。僕が……お母さんの気持ちをないがしろにしてきた当然の帰結。

 

 

「お母さん……」

「あなたがどれだけ素晴らしいヒーローでも関係ありません。敵に襲われてまともに授業を続けられない……生徒の大怪我を止められない……。そんな学校にこれ以上通わせたくない、私は」

「お母さ……」

「出久」

「かっちゃん?」

「引子さんの言うことはもっともだ」

 

 確かに……お母さんの言うことはわかる。誰だって子どもが大怪我するのを見たくないし必死で止めると思う。でも! 僕は……!

 

「……勝己君。なんで君がここに来たのか不思議だったけど、私を説得するためだったのかしら?」

「!?」

「出久の幼馴染で私とも昔からの顔見知りの君なら、私が絆されて同意すると思ってきたのかしら?」

 

 かっちゃん……。確かになんで来たのか疑問に思ってたけど……『無理言ってついてきた』って言ってた。もしかして、こうなることを予想して?

 

「……その理由もありますけど、一番の目的は『謝罪』です」

「謝罪?」

「かっちゃん!?」

 

 もしかしてかっちゃんは! 僕にしてきたことを!?

 

「引子さんも薄々気づいてたかもしれないけど、俺は……出久をいじめてきた」

「かっちゃん! それは!」

「静かにしてろ。ガキの頃から殴ったり個性使って脅したり、中学では手を出すことはなくなったが口で罵ったり……言っちゃならねえことも言いそうになった」

「爆豪少年……」

「……」

「出久には言ったけど引子さんには言ってねえ。いままで出久をいじめてすみませんでした」

「かっちゃん……」

「勝己君……」

「……」

「言い訳になっちまうが、そうしたのは俺なりの……下らねえガキっぽいの理由があった」

 

 そう言ってかっちゃんが一度言葉を切り、目を伏せて深呼吸をしてから顔を上げた。

 

「俺は出久が好きです」

「へあ!?」

「勝己君!?」

「爆豪少年!?」

 

 かっちゃんこんなタイミングで何言ってんの!? それこの場で必要かな!?

 

「ただ……出久の前でだっせえ事しちまったが恥ずかしくて……。ガキの頃の俺はそれが認められなくて……。その他にも『無個性』なこいつが俺よりもヒーローとしての素質があるのが認められなくて……。だからこそ……危ない真似するのを無意識にわかっていて、出久をヒーローから遠ざけようと……いじめた」

「かっちゃん……」

「「……」」

「この後、こいつは個性が発現して雄英に入って……色んな事に巻き込まれて怪我して……。でも、そのたびに強くなって……クラスの連中や他のヒーロー、オールマイトにも認められるようになったんだ」

「……」

「攫われてる時に出久と腹割って話せて……お互いの気持ちを確かめ合えた。その時に一応許してもらえたが、俺が今までやった事は消えないし俺の中ではまだ贖えてねえ……引子さん」

「なに勝己君……」

「引子さんは出久を雄英に通わせたくないかもしれねえ。他の高校でもヒーローは目指せるかもしれねえ。けど、出久は根っからのヒーロー気質だ。他所の学校に行ってたとしてもどんな状況でも……例え自分が死ぬような状況でも人を救けようとしちまう」

「かっちゃん! 僕はそんな無茶は……」

「しねえって言えるか?」

「それは……」

「引子さん、出久が雄英に通うのを認めてほしい。こいつは絶対すげえヒーローになる。いや、もう立派なヒーローだ! だけど、まだ不安定で危なっかしいんだ! だから、俺やクラスの他の連中に見守らせてくれ! そして、それを俺の罪滅ぼしとさせてほしい……! 頼む……!!」

「かっちゃん……」

「勝己君……」

「……」

 

 そう言い終えてかっちゃんがお母さんに頭を下げる。かっちゃん……あの時、僕と気持ちを通じ合えたけどずっと気になってたんだね……。……お母さん、僕とかっちゃんのこと、今まで話したことなかったけど……どう思うかな?

 

 ドン! ムキッ!

 

 沈黙が続く中、座っていたオールマイトが急に立ち上がりマッスルフォームに変身した。なんで!? もうOFAの残り火もなくなってるはずなのに!?

 

「オールマイト!?」

「順序が間違っていたこと、まことに申し訳ございません」

 

 そう言ってオールマイトが土下座をした。なんで!? かっちゃんもオールマイトも頭を下げるってどういうこと!? これにはかっちゃんも驚いて下げてた顔を上げてオールマイトを見ている。

 

「私は出久少女が私の後継にふさわしいと……すなわち『平和の象徴』になるべき人間と思っております」

「え……なっちょっと……!? やめてください! 何ですか!?」

 

 お母さんがオールマイトの行動に戸惑い問い質す。いきなり土下座されたらだれでも驚くと思う。

 

「平和の象徴……だった者としての謝罪です。彼女の憧れに甘え教育を怠ってきた事、謝罪致します……!」

 

 ボフッ!

 

 オールマイトが謝罪の言葉を述べるとマッスルフォームが解けてしまった。やっぱりOFAの残り火がなくなってるから短時間しか維持できないんだ……。

 

「そして、雄英教師としての懇願です。確かに私の道は血生臭いものでした……! だからこそ、彼女に同じ道を歩ませぬよう……横に立ち共に歩んで行きたいと考えております」

「オールマイト……!」

「『今の雄英』に不安を抱かれてるのは仕方のない事です! しかし、雄英のヒーロー達もこのままではいけないと……変わろうとしています……! どうか『今の』雄英ではなく、『これから』の雄英に目を向けて頂けないでしょうか……!! 出久少女に私の全てを注がせてはもらえないでしょうか!!」

 

 一度言葉を切り、さらに力を込めてオールマイトが次の言葉を続ける。

 

「この命に代えても……守り育てます!」

「!」

 

 オールマイトの宣言にお母さんがへたり込んでしまう。今まで平和の象徴として活躍していたNO.1ヒーローにそこまで言われて僕自身も戸惑っているけど、お母さんはなんて言うだろう……。

 

 

「……やっぱり、嫌です……」

「……」

 

 お母さん……。それじゃあ……僕は雄英に通えないのかな? かっちゃんや麗日さん、飯田君や轟君達と一緒に頑張れないのかな……?

 

 

「だってあなたは出久の生きがいなんです」

「お母さん……」

「雄英が嫌いなワケじゃないんです……私。出久に……幸せになってほしいだけなんです……。だから、命に代えないで。ちゃんと生きて……守り育てて下さい。それを約束して下さるのなら、私も折れましょう」

「お母さん……!」

「……約束します!」

 

 お母さんが……認めてくれた!

 

「出久も雄英で生活していくなら……わかってるね……?」

「……絶対心配させない!」

 

 普段強い言葉を使わないお母さんが一度は反対した、それを覆して承諾してくれたんだ……! 絶対強くなってお母さんを心配させないようにしなくちゃ!

 

「そして……勝己君」

「はい……!」

「君が出久にしてきたこと、薄々は気づいていたわ……」

「……」

「それでも……出久が何も言わなかったこと、君の言葉や態度の節々にそれ以外のものが感じられたから私は何も言わなかったわ」

「引子さん……」

「出久が許したのなら私はこれ以上何も言わないわ。でも、忘れないで。君自身が言ったように、君が出久にこれまでやってきたことは消えない」

「……」

「まだ償えてないというのなら、出久のこれからを見守ってあげてちょうだい。君の言うとおり、この子は無茶しちゃう子だから。それが私から君へのお願いです」

「……わかりました! こいつが無茶しないように見守ります!」

「うん、お願いね……。それから、少し話は変わるんだけど……」

「? 何お母さん……」

「その、出久と勝己君は好き合ってて、一応付き合ってるのかしら?」

「!? そそそその、確かにかっちゃんのことはすすす好きだけど、ちゃんとは付き合っていないというか……」

 

 本当に話が変わっちゃったよ! お母さんもなんで今聞くかな!? いや、2人が帰った後で聞かれても困るけども!

 

「出久、好きだ。好き合ってくれ」

「へあ!? かっちゃん何でこのタイミングで言うのさ!?」

「むしろ今しかねえだろ。ここで認められれば公認だ。証人もオールマイトがいる」

「そういうことじゃなくて……!」

「あら? 出久は勝己君と付き合いたくないの?」

「ちょっとお母さん!? なんで僕が責められる形になってるの!?」

「緑谷少女、大丈夫。私達が付いている。安心して自分の想いを伝えるといい」

「オールマイトォ!?」

「出久、ダメなのか……?」

「~~~!!?」

 

 かっちゃんズルいよ! なんでそんな捨てられた子犬(シベリアンハスキー)みたいな顔してんのさ!? その……ズルいよ……。

 

 

「ぼ、僕もかっちゃんが好き、です……。僕でよければ付き合ってください……」

「ああ、ありがとう出久」

「よかったわね出久。勝己君、これから出久をよろしくね」

「よかったな緑谷少女、爆豪少年」

「ありがとう引子さん、オールマイト」

 

 ううう! 恥ずかしくて顔が熱い……死にそう……。

 

 

 

「いいお母さんを持ったね」

「……はい」

 

 面談が終わってかっちゃんとオールマイトを見送るために家の外まで出た。さっきまでの話でまだ顔が熱いや……。

 

「お師匠……どことなく先代と似てるよ……」

「え!? お母さんが……!?」

「うん、髪型とか」

「髪かあ」

「強い人ってことさ」

 

 そう言って左腕をかかげて力こぶを強調した。確かに……お母さん、大人しくて引っ込み思案なところもあるけどお父さんが海外に単身赴任してて僕をほぼ女手一つで育ててくれてるんだ。弱いわけがないよ……!

 

「爆豪少年」

「なんだオールマイト」

「君も強いな……自分の過ちを認めることは時に敵と対峙することよりも難しい」

「俺は強くなんかねえ。ただ……こいつへの気持ちを認めることができただけだ……」

「ああ、それが始まりでもいい……。それじゃあ、また学校で会おう! 2人とも鍛錬を怠らないようにな!」

「オールマイトも気を付けて!」

「じゃあな」

 

 そう言って、オールマイトは呼んでいた車に乗って帰って行った。

 

 ……何か疲れたな。お母さんがオールマイトに最初反対するのも予想外だったし、そもそもかっちゃんが来るなんて思ってないし……。それに……お母さんとオールマイトの前でかっちゃんの告白されて付き合うことになったし! いや、かっちゃんと付き合えるのは嬉しいよ! でも……母親とか教師が告白の証人になるとかどんな罰ゲームなのさ!

 

「出久……」

「な、なにかっちゃん!?」

「今日はいきなり来て悪かったな」

「かっちゃん……」

「引子さんに俺がこれまでしてきたことを伝えたかったのはそうしないと前に進めないと思ったからだ。全寮制で一緒の寮で生活するってなったら、あ~……この間の事でどうしても俺達の事はクラス連中にバレてる。俺達が好き合ってることを伝えないのはフェアじゃねえって思ったからだ」

「かっちゃん……。僕もお母さんに内緒のままでいるのは心苦しかったからいい機会だったよ。……あらかじめ言ってほしかったけどさ!」

「悪ぃ。それじゃあ、俺も行くわ。……学校始まるまでまだまだ日にちあるから、今度時間合わせてトレーニングするぞ」

「え!? いいの!?」

「ああ。やるべきことはまだあるんだ、お前も俺も……」

「うん……わかった。それじゃあ、時間決めたら連絡するね」

「ああ。……出久」

「何かっちゃ、んん!?」

 

 かっちゃんの呼びかけに返事したら、いきなり抱き寄せられてキスされた!?

 

「またな、出久」

 

 そう言ってなこやかなな……小さい頃以来見たことのないほどのにこやかな笑顔でかっちゃんは家に帰っていった。

 

「なななななにしてんのかっちゃん!?」

 

 慌てて周りを見るが、幸い誰もおらずほっと安堵のため息をつく。いや、かっちゃんのことだから周りを確認してやってに違いない! クソ~! いつも僕がドキドキさせられてズルい! いつかギャフンと言わせてやるんだから!

 

 

 新しい生活に向けて色々準備しなくちゃならない。オールマイトが『平和の象徴』の後継とまで言ってくれたんだ! それにかっちゃんも僕を見守るって言ってくれたんだ! 2人だけじゃない。麗日さんや飯田君達、ナイトアイさん達も僕を見てくれる。ここまでされて頑張れないんじゃヒーローになんてなれないよね! 頑張らなくちゃ!

 

 決意を新たにして……いまだにキスの熱の醒めない赤い顔のまま僕はお母さんの待つ家に戻った。

 

 

 

 ちなみにお母さんにはかっちゃんとのキスが丸見えで根掘り葉掘り聞かれた……。かっちゃんのバカ! 状況確認が甘すぎるよ!




というわけで第54話でした! いやあ、ここまで長かったですね!そして、かっちゃんは引子さんにこれまで自分がしてきたことを告白して謝罪しました。この辺りセンシティブで悩みましたが、この世界線のかっちゃんならそうしたと思いますのでこのようになりました。そのおかげで親公認の交際になったともいえますがw 次からは寮生活、そして仮免試験編へ突入していきます。今後もマイペースで続けていきますので、応援よろしくお願い致します♪
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