それでは、どうぞ!
Side:Izuku
「メールしたらすぐ返してね」
「うん」
「ご飯ちゃんと食べてね」
「うん」
8月中旬、僕は今日……家を出る。雄英が導入を決定した全寮制、今日が入寮する日だ。あらかじめ、大きな荷物は送っているから自分で運ぶ荷物は大したものはない。普段学校に行くような……夏休み前までと変わらないような出発、登校風景。でも、これまでとは全く違う、新しい始まり。
「もう……嫌だからね」
「……うん」
お母さんが両手で僕の左手を握り、目に涙を浮かべながら僕にそう言葉をかける。入学してから……これまでいろんな事件に巻き込まれたり大怪我して心配をかけてきた。家庭訪問時にオールマイトに言った『雄英に通わせたくない』ことも本気だったと思う。それでも……オールマイトの謝罪と熱意、かっちゃんの謝罪と決意を汲んで承諾してくれたんだ。……もう心配させない! 強くなるんだ!
「あ、かっちゃん! おはよう!」
「勝己君、おはよう」
「おはようございます」
ドアを開けると外にはかっちゃんが待っていた。家庭訪問から昨日までほぼ毎日ランニングや筋トレを一緒にしてくれたり、たまに組手もしてくれた。……2日目からは僕とかっちゃんを2人きりにさせたくない麗日さんもわざわざ遠くからトレーニングに参加してくれたけど、そのせいでかっちゃんの機嫌はそんなによくなかったんだよね……。
「勝己君、出久をお願い。2人とも、身体には気を付けてね」
「はい、任せてください」
「うん、それじゃあ行ってきます」
「行ってきます」
「うん、いってらっしゃい……!」
お母さんにそう挨拶して僕とかっちゃんは雄英へ向かった。
「あ、デクちゃんおはよ~~~!!! ついでに爆豪君もおはよ~~~!」
「麗日さんおはよう」
「ついでとはなんだ丸顔!!!」
「もう、うるさいよ爆豪君! 周りの迷惑になるでしょ!」
「てめェのせいだろうが!!」
「ふ、2人とも静かにね……」
最寄り駅に着くと、麗日さんが出入口で待っていてくれた。麗日さんは元々親元から離れてアパートに住んでて、そこから直接向かった方が良いのにわざわざ駅まで迎えにきてくれた。……たぶんかっちゃんに対する牽制もあると思うけど……。
「麗日さんは住んでた部屋はもう引き払ったの?」
「いや、流石に急な話やったから今月末までは契約が残ってる状態やね。一応必要な荷物は寮に送ってるけど、そうじゃないのもまだあるからそれは空き時間に片付けて実家に送る予定」
「それでも結構大変じゃない? 今度手伝おうか?」
「いいの!? 本音言うと結構まだあるから助かるわ!」
「いいよ。かっちゃんもいいよね?」
「なんで俺が手伝わなきゃなんねえんだよ!」
「……手伝ってくれないの?」
「ぐっ……! …………丸顔、片づけする日は前もって教えろやクソが!」
「い、一応手伝ってくれるんやね、ありがと爆豪君……。デクちゃん、爆豪君使いが上手くなったような……。でも、本当にええの? トレーニングも無理矢理参加させてもらったし、その時もなんか栄養補給のドリンクやら食べ物やら作ってくれたし……」
そう、僕達がトレーニングするときにかっちゃんがワークアウトドリンクや運動後の軽食を用意してくれてたんだけど、麗日さんが参加するようになったら麗日さんの分も作ってくれた。以前のかっちゃんならそんなことしなかったと思うけど……。
「……別に2人分も作るのも3人分作るのも手間は変わんねえよ」
「爆豪君がいいならいいけど……。あ、今度作り方教えて! そしたら自分でも用意できるから」
「おお後で教えたるわ!」
「いちいちなんで喧嘩腰なん!?」
「ふ、2人とももうちょっと静かに……」
2人の賑やかな会話を抑えながら、雄英高校への通学路を歩いていった。
「お、緑谷ー! 爆豪ー! 麗日ー! こっちこっちー!」
「芦戸さん!」
「三奈ちゃ~ん!」
校門を抜けるとすぐ近くの広場に僕達以外の皆が集まっていた。
「緑谷達で最後だよ!」
「そうだったんだ。でも、なんで皆ここに集まってたの?」
「なんか飯田が『今日から皆の家となる寮! ならば皆で同時に見るのがいいのではないか!?』っつって全員揃うの待ってたんだ~」
「あ~、飯田君ならそう言いそうだね」
「お、緑谷君、麗日君、爆豪君おはよう!」
「おはよう飯田君!」
「おはよう! 今日も朝からフルスロットルやね!」
「うむ! 今日からまた新しい日々が始まるからな! これで全員揃ったな! それでは、今日から僕らの新しい家となる寮へ向かおう!」
「「「おお~!」」」
飯田君の声を合図に寮のある場所へ向かっていく。事前に配られた資料によると校舎から歩いて5分、築3日の寮が全校生徒各クラスごとに1棟割り当てられるらしい。……たぶんセメントス先生の個性だろうけど、築3日ってすごいな……。
「でけー!!」
「恵まれし子らのー!!」
砂藤君や芦戸さん、他の皆も歓声を上げる。本当に大きい! 『ハイツアライアンス』、ここが僕の……いや、僕らの家だ!
「とりあえず1年A組、無事に集まれて何よりだ」
寮の前で相澤先生が待っていて、開口一番に全員集まれたことに言及した。あれだけのことがあったから、僕のお母さんみたいに否定的な意見の家庭もあったかも……。
「皆許可降りたんだな」
「私は苦戦したよ……」
「フツーそうだよね……」
「2人はガスで直接被害遭ったもんね」
「まあ、被害で言ったら一番大きかったのは爆豪と緑谷だけどね」
「ま、まあ僕の方はなんとかかな……」
僕の方は本当に難しかった……。もう雄英には通えないかもしれなかった。でも、オールマイトとかっちゃんの説得でお母さんは渋々だけど許可してくれた。
『応援はするけど……それは心配しないってことじゃない』
お母さんの気持ち、しっかり応えなきゃ!
「俺んとこは即決だった」
「え!? マジで!? 何もなかった俺んとこでさえ結構大変だったんだけど!」
「それはてめェがアホだからだろ」
「う、うぇぇい……」
「あ、あははは……」
まあ、光己さんならそう言うよね……。
「でも、無事集まれたのは先生もよ。会見を見た時はいなくなってしまうのかと思って悲しかったの」
「うん。先生クビにされないやろかって心配しました……」
「…………俺もびっくりさ。まァ……色々あんだろうよ。さて……! これから寮について説明するがその前に一つ」
相澤先生が皆の注目を集めるために手を叩いて、皆が一斉に静かになり視線が相澤先生に集まる。
「当面は合宿で取る予定だった『仮免』取得に向けて動いていく」
「そういやあったなそんな話!!」
「色々起き過ぎて頭から抜けてたわ……」
「大事な話だ、いいか。お前らは4月から授業や訓練、職場体験を通してヒーローの仕事の実態が少しづつわかって来たと思う。だが、それはあくまで
相澤先生が一旦言葉を切り、僕達を見渡して再び言葉を続ける。
「調べた者もいると思うが、ヒーローは許可制……いわゆる自動車の運転と同様に免許を持つ者が従事できる職業だ。その前段階として仮免許を取得し、各ヒーロー事務所でヒーローの指導の下で経験を積んだ後に本試験を受験・合格した上で正式なヒーローとなる。だが、仮免許を取得したものはヒーローに準じた権限と責任が付いてくる。そのことを強く認識した上でこれからの寮生活を過ごしてほしい」
「「「……」」」
皆が沈黙のまま頷く。そう、仮免許を取得したら学生気分ではいられない。見習いとはいえそこには責任が伴い、自分の行動一つ一つが人々の生死や安全に直結する。……頑張らなくちゃ! 皆で力を合わせて!
「以上! さっ! 中に入るぞ。元気に行こう」
「よし! 皆、仮免許取得に向けて頑張ろう!!!」
「「「お~~~!!!」」」
「(飯田、便利……)」
飯田君の掛け声で皆が一様に声をあげる。目下の目標に向けて皆が団結出来た気がする……。
「家庭訪問時にも説明したが1棟1クラス、右が女子棟、左が男子棟と分かれてる。ただし、1階は共同スペースだ。食堂や風呂・洗濯などはここで」
「おおおおお!!」
「広キレー!! そふぁああ!!!」
「中庭もあんじゃん!」
「豪邸やないかい!?」
「麗日君!?」
真新しい寮をあちこち見て皆興奮しているみたいだ。僕もこれだけの設備がある寮、宿泊施設は初めてだからかなりワクワクしちゃってる。
「聞き間違いかな……? 風呂・洗濯が共同スペース? 夢か?」
「男女別だ、お前いい加減にしとけよ?」
「はい」
峰田君、林間合宿では洸汰君のおかげで一応未遂扱いだけど流石に寮で覗きや下着泥棒したら除籍だと思うよ……。
「部屋は二階から。1フロアに男女各4部屋の5階建て。一人一部屋。エアコントイレ冷蔵庫にクローゼット付きの贅沢空間だ」
「ベランダもある、すごい!」
「我が家のクローゼットと同じくらいの広さですわね……」
「豪邸やないかい……」
「麗日君!?」
クローゼットと同じくらいの広さって、八百万さんの家ってどれくらい大きいんだ!?
「部屋割りはこちらで決めた通り。各自事前に送ってもらった荷物が部屋に入ってるから、とりあえず今日は部屋作ってろ。明日また今後の動きを説明する。以上、解散!」
「「「ハイ先生!!!」」」
「……いや、一つ付け加えておくことがあった」
「付け加えておくこと、ですか……?」
「お前らは今日から……期限は定めていないが、長期間この寮で共同生活を送っていく。家庭訪問や資料でも説明しているが寮内の共同スペースや廊下には防犯カメラを設置している。賢明な諸君には無縁なことと思うが、
先生!? なんで最後にそんな説明ぶっ込むの!? 皆の視線が僕やかっちゃんに集まるのがわかって恥ずかしい……。麗日さん、顔がうららかじゃないよ!? 芦戸さん、葉隠さん……そんな期待に満ちた目で見ないで……。かっちゃんは……こめかみで血管がピクピクしてる……。上鳴君と瀬呂君とか笑いをこらえるので必死そうだよ……。
「これで以上だ。そんじゃ荷解き始めろ、解散!」
「ハイ!」
「は、はい……」
先生の号令で皆が力強く返事する中、僕は項垂れて力なく返事するしかなかった……。
「ふう、なんとか終わった〜」
どうにか荷解きを終えることができた。あの後、ウキウキ顔で僕に向かってくる芦戸さん、葉隠さんを振り切って部屋へと急いで黙々と荷解き作業とオールマイトグッズ設置に没頭した。オールマイトのポスターやタペストリー、フィギュアの場所が悩みどころだったけど納得の行く配置にできて良かった! これで毎日のモチベーションも上がるね!
「デクちゃ〜ん、もう荷解き終わった〜?」
「麗日さん? もう終わったよ」
「もうすぐ夕飯だから一緒に行こ! 梅雨ちゃんや皆ももう下に降りてるみたい」
「そうなの? わかった、今行くよ」
そうして麗日さんと一緒に1階に向かった。僕は麗日さんと芦戸さんと同じ4階で部屋は麗日さんの隣だ。友達と共同生活なんて始めてだからやっぱり楽しみだな。
「で緑谷~♪ 爆豪と付き合い始めたんだって~?」
「出久ちゃんどう? 付き合い始めて? 教えて教えて~♪」
「ええっと、その……」
両サイドを芦戸さんと葉隠さんに挟まれて逃げられなくなってしまった……。どうしてこうなった!?
「まあ、あんなことがあってからの付き合いだから、ウチらも知る権利あるよね、緑谷♪」
「そうですわ! 緑谷さんにあんな……ふ、ふしだらなことをしておいて! これで緑谷さんを悲しませることをしたら私が爆豪さんの(ピー)を(ピー)で(ピー)してやりますわ!」
「八百万さん!?」
「ヤオモモそんなこと言わないで!」
「はっ!? すみません、興奮して取り乱してしまいましたわ……」
「ケロケロ、でも実際に私達も気になるわね、出久ちゃんと爆豪ちゃんのこと……」
「あ、蛙吹さん……」
どうしよう……? 僕とかっちゃん付き合うことになったけど、他の人に色々話していいものなのかな……? と言っても付き合い始めてから昨日までトレーニングだけで……で、で、デートなんてしてないけど!
「ていうかなんで皆僕達がつつつ付き合い始めたこと知ってるの!?」
「あー、それは……」
「俺が話した」
「かっちゃん!?」
声に振り向くとかっちゃんが自分の分の食事を持って立っていた。でも、なんで……!?
「なんで言っちゃったの!?」
「ああ? 共同生活したら付き合ってるなんて嫌でもわかっちまうもんだろーが」
「そうなの!?」
「まあ、雰囲気でなんとなくわかっちゃうとは思うよ?」
「お、緑谷! 爆豪と付き合い始めたんだってな! おめでとう!」
「いや~、いろいろ尋問しようとしたら自分から言うとは思わなかったぜ!」
「そうなの!?」
「爆豪は漢だぜ! 『出久と付き合うことになった。出久を除籍にしたくないから俺が暴走しそうになったらお前らが止めてくれ』って言ってたぜ!」
「かっちゃん……」
かっちゃんが僕の事を考えてくれて……。かっちゃんが僕に……その、手を出したら除籍になっちゃうのはかっちゃんの方なのに……僕を心配してくれるなんて。
「あと『出久に手ェ出したら殺す』とも言ってたな」
「漢だよな爆豪!」
「漢なのかな?」
「かっちゃん!?」
「人の彼女に手ェ出す奴はぶっ殺されて当然だろーが。安心しろ、7割殺しで済ませてやるわ」
「半殺しじゃないんだね!?」
なんか……かっちゃんってこんなだったっけ!? こんなに僕の事を考えてくれるなんて嬉しいけど、なんかむず痒いような……。
「なんか爆豪がデキる彼氏って感じでなんか違和感が……」
「アレはデキる彼氏なのか?」
「でも、爆豪君めっちゃ面倒見いいんよ。私が2人のトレーニングに参加した時も私の分のドリンクや食事も準備してくれたし」
「え? それじゃあ麗日2人が付き合ってるって知ってたの!?」
「なんで言ってくれなかったのお茶子ちゃ~ん!」
「だって私がバラすのはさすがにあかんやろ」
なんだか収拾がつかなくなってきちゃった……。でも、なんかこういうのいいな……。
「緑谷」
「あ、轟君」
「爆豪と付き合い始めたんだな、おめでとう」
「轟君……」
「前はちょっと勘違いして耳郎にドックン喰らっちまったからな」
「? なんの話?」
「ああ、それは……」
「おい轟」
轟君の言葉を遮ってかっちゃんが話しかけてくる。なんだろう? ちょっと怖い顔してるけど……。
「お、爆豪。おめで「てめェ人の彼女に色目使ってんじゃねえよ!」
「かっちゃん!?」
「お?」
かっちゃん轟君に何言ってんのさ!? 轟君が僕なんかに色目なんて使うわけないでしょ!
「ヤバい、爆豪が嫉妬深い彼氏になっててウケるw」
「でも、轟レベルのイケメンがいたら誰でも警戒すると思うけど」
「確かに轟って緑谷と仲が良いからな。爆豪の心配する気持ちは分かる」
「その辺轟どうなの!? 緑谷のことどう思ってんの!?」
「芦戸さん!?」
マジで何聞いてんの!? この場が修羅場になっちゃうよ!
「緑谷のこと? 好きだぞ」
「轟君!?」
「あ゛あ゛!?」
「う、うぇええい!?」
「ちょっ!? 轟何言っちゃってんの!?」
「轟!? お前なんつーこと言いやがるんだ!? いや、彼氏いる前で言うのは漢らしいと言えなくもないけど!」
「ヤバいよ! 修羅場発生だよ!」
「寮生活初日から何やってくれてんの!?」
「とととと轟さん!? 略奪愛はいけませんわ!」
ヤバい、阿鼻叫喚だ! 何言ってんの轟君! 初日からめちゃくちゃだよ!
「? 皆何騒いでんだ?」
「轟君! 君が緑谷君のことを好きだと言ったからこのような事態になってしまったんだ!」
「? なんで飯田も怒ってんだ? 俺は飯田のことも好きだぞ」
「「「えっ!?」」」
「もちろん、爆豪や上鳴、切島や瀬呂、麗日に蛙吹も……クラスの皆好きだ。だから、こうして寮で皆と生活できるのは……なんか嬉しいな」
轟君の答えに皆目が点になるけど、その意図がわかると全員で大きなため息をついて胸を撫でおろした。そっちの意味での好きだったのね!
「いや~、マジで焦ったわ」
「入寮初日からドロドロギスギスになるとかどんな地獄かと思った……」
「漫画とかだと『おお!』ってなるけど、現実になりそうになるとなんかこう……心臓に悪いね……」
「しかもクラスメイト同士だと、笑えない……」
「? 皆どうした? 荷解きで疲れちまったか?」
「てめェもうしゃべんな……!」
嵐のような食事も一段落して広々としたリビング、というかはわからないけどスペースで疲労困憊で休む、もとい寛いでたら麗日さん、芦戸さん、葉隠さんがニコニコしながらやってきた。あ、これは何か企んでる時の顔だ。
「緑谷~! 今ちょっといい?」
「芦戸さん、また何か企んでるの?」
「ちょっと! その言い方酷くない? 今葉隠と話してたんだけどさ」
「今日皆荷解き終わったでしょ? それでね」
「「お部屋披露大会とか面白くない?」」
「お部屋披露大会?」
「そう! 普通だったら家に遊びに行ったりしないと友達の部屋見たりできないけど、せっかく寮生活するんだから皆の部屋見てみたいなあと思って!」
「な、なるほど確かに……。でも……」
どうしよう……? 他の人の部屋は少し興味あるけどあんまり僕の部屋を見られたくはないかも……。
「ど、どうしようかな? 男子の皆に部屋見られるのはちょっと……」
「爆豪の部屋に入れるよ♪」
「!? いやでも!」
「参加渋るかもしれないけど、上手くいけばイケると思うよ♪」
「デクちゃんも爆豪君の部屋見たいやろ?」
「そ、それは……」
正直凄く見たい! かっちゃんの部屋は小さい頃入ったけどその頃からセンス良かったから今はどんな感じなのか気になる!
「み、見たい、デス……」
「よ~し決定!」
「それじゃあ、早速皆に提案してこよう!」
「いやぁ、経緯はアレだが……共同生活ってワクワクすんな」
「つかれたー」
「共同生活……。これも協調性や規律を育む為の訓練……!」
「キバるなあ委員長」
男子のいるところに行くと他の皆も話したりスマホを見て寛いでいた。あのかっちゃんもこの場にいるなんてなんか不思議……。
「男子ちょっといい~?」
「うん、今くつろぎ中」
「どうした芦戸」
「あのね! 今女子メンバーで話しててね! 提案なんだけど! お部屋披露大会しませんか!?」
その瞬間の男子の顔は形容しがたいものがあった……。
「フン、下らん……」
と言うのは常闇君。でもそのセリフ、部屋の前に立ちながら言っちゃうと……。
「「ぐぬぬぬぬ……!」」
「ぐぐぐ……!」
「「おりゃー!!」」
「ぐはっ!?」
芦戸さんと葉隠さんの2人がかりで部屋の前から押し出されちゃった……。その隙に部屋の中に入っていく芦戸さんと葉隠さん、押し入り強盗みたいだな……。ともあれ、この隙に僕らも便乗して常闇君の部屋に入っていく。
「黒!! 怖!!」
「貴様ら……」
確かに、これは黒くて真っ暗だ……。常闇君、真っ暗な部屋が落ち着くのかな? でも、それじゃ
「このキーホルダー俺中学ん時買ってたわ」
「男子ってこういうの好きなんね」
物色もされちゃってる……。これは自分の番が怖いな……。あ、この剣カッコいい……!
「出ていけ!!」
「やべえ、何か始まりやがった……」
「でもちょっと楽しいぞコレ……」
最初はそんなに乗り気じゃなかった皆もだんだん乗り気になってきたみたいだ。
続いて同じ男子棟2階の青山君の部屋。特に臆することなく部屋へ案内する青山君、部屋に入ると……。
「まぶしい!!」
めっちゃまぶしい!? 何これ!? カーテンにスパンコールやら天井やテーブルの上にミラーボールやら光を発したり反射するものがいっぱい! なんならこれ部屋の照明も強くなってない!?
「ノンノン。まぶしいじゃなくて、ま・ば・ゆ・い!」
「思ってた通りだ」
「想定の範疇を出ない」
芦戸さんと葉隠さん辛辣……。でも、青山君の部屋って言われたら納得しちゃうかな……。『まぶしい』と『まばゆい』の違いがよくわからないけど……。
「楽しくなってきた! あと2階の人は……」
「確か峰田君だったかな?」
言いながら峰田君を探すと見当たらない。さっきまでいたのに、と思って視線を峰田君の部屋へ向けるとすでに部屋にいてドアを開けてこちらを見ていた。
「入れよ……。すげえの……見せてやんよ」
「3階行こ」
「入れよ……なァ……」
……あそこは入っちゃいけない部屋だ……。
そして、一つ上がって3階。まずは尾白君の部屋。
「ワァー普通だァ!!!」
「普通だァ! すごい!!」
「これが普通ということなんだね……!」
「言うことないならいいんだよ……?」
尾白君の部屋は勉強机、ローテーブル、本棚っていうものすごくシンプルでごちゃごちゃしてなくてなんだかモデルルームみたい。でも尾白君、普通って言葉に敏感になってるのか涙目だ……。なんかごめんね?
続いて飯田君の部屋。こちらもなんとなくイメージ出来るけどはたして……。
「難しそうな本がズラッと……さすが委員長!」
「おかしなものなどないぞ」
おお……! さすが飯田君、ザ優等生って感じの部屋だ。何冊もの参考書が所狭しと並んでる……。でも、モノとしてのおかしなところはないけど……。
「メガネクソある!」
「何が可笑しい!! 激しい訓練での破損を想定して……」
僕眼鏡かけてないからよくわからないけど、飯田君の言ってることは正しいと思うんだけどそれにしてもこの量は多過ぎでは!? 麗日さん吹き出しちゃったよ! この辺も飯田君らしいね……。
続いて上鳴君の部屋。上鳴君は……どうだろ? センスは悪くない気はするけど……。
「チャラい!」
「手当たり次第って感じだナー」
「えー!? よくね!?」
これは……確かにチャラいかも……。スニーカーに帽子に時計にヘッドフォンに……一つ一つは悪くないと思うけど、なんというか詰め込み過ぎ? 手当たり次第っていうのは的確な表現だね……。
「あ、アンタこのバンド聞いてんの? なかなかいいセンスしてんじゃん!」
「でしょー! これ前耳郎から教えてもらったCDで気になって聞いたらハマっちゃってさー!」
「このバンドのライブBD持ってるから今度貸そうか?」
「マジで!? 借りる借りる!」
「そこイチャつくな!」
なんか上鳴君と耳郎さんCDで盛り上がってるな。結構この2人も仲いいよね。林間合宿での話から一緒に出掛けたりしてるみたいだから、実際その辺りどうなってるんだろ?
3階最後は口田君。部屋に入るとそこには……。
「「ウサギいるー!! 可愛いいい!!」」
可愛い! 確か、ウサギの
「ペットはズリィよ口田、あざといわあ」
上鳴君、なんか当たりがきつくなってない?
「釈然としねえ」
「ああ、奇遇だね。俺もしないんだ、釈然……」
「そうだな」
「僕も☆」
あ、今まで部屋を酷評された被害者の皆が団結し始めてきた。
「男子だけが言われっ放しってのはぁ変だよな? 『大会』っつったよな? なら当然! 女子の部屋も見て決めるべきじゃねえのか? 誰がクラス1のインテリアセンスか、全員で決めるべきなんじゃねえのかあ!!?」
部屋すら見てもらえてない峰田君の言うことはもっともだ。一応披露大会だからそのつもりはあったけど、なんか峰田君が言うと裏に意図があるように思っちゃうよね……。
「いいじゃん」
「え?」
あっさり女子部屋も見ることが決まっちゃった。たぶん、耳郎さん詳しく話聞いてなかったんだろうなあ……。
「えっとじゃあ、部屋王決めるってことで!!」
「部屋王」
「別に決めなくてもいいけどさ……」
「そんじゃあさくさく見て行こ! 次は4階メンバー!」
というわけで4階。トップバッターは切島君だ。
「じゃあ切島部屋!! ガンガン行こうぜ!!」
「どーでもいいけど。たぶん女子にはわかんねえぞ、この男らしさは!!」
そう言って切島君の部屋に入ると、これは……。
「…………うん」
「彼氏にやってほしくない部屋ランキング2位くらいにありそう」
「アツイね、アツクルシイ!」
「ホラな」
うん、なんというか……上鳴君とは別の意味でごちゃごちゃしてる。サンドバックやダンベルはともかく、必勝の旗とか大漁旗はなんなんだろう? 僕もセンスあるわけじゃないけどこれはよくわからないな……。
「次! 障子!」
「何も面白いものはないぞ」
そう言って障子君の部屋に入ると……。
「面白いものどころか!!」
布団とテーブル以外何もない! 寝る為だけの部屋みたいだ!
「ミニマリストだったのか?」
「まァ幼い頃からあまり物欲がなかったからな」
「こういう奴に限ってドスケベなんだぜ」
それは偏見だよ峰田君……。そして、次はいよいよかっちゃんだけど……。
「次は緑谷お待ちかねの爆豪だね!」
「芦戸さん!? お待ちかねだなんて、そりゃちょっと気になってたけど……」
「っていうか爆豪チョロイよな。『彼女に部屋も見せらんねえの?』っつったらあっさり食いついたし」
「ああ!? 勝負で負けるのが嫌なだけだわアホ面が!」
「かっちゃん、煽りに弱すぎるよ……」
と言いながらも悪態をつきつつこういうのにかっちゃんが参加してくれるって以前ならなかったかも。そこがちょっと嬉しいな……。そして、いざかっちゃん部屋へ! ドアを開けて入ると……。
「……これはセンスあるな」
「なんというか、今までの男子部屋がガキに見えるわ」
「それ酷くない!?」
「まあ、でもこの部屋を見せられるとな……」
かっちゃんの部屋はシンプルだった。モノトーンで統一された机やベッド、整理された本棚やトレーニング道具。何というか、スマートって言葉が一番似合うかも……。
「デキるビジネスマンの部屋って感じ」
「あ、なんかわかるかも! 出久ちゃんの感想は?」
「へ? その、なんというか、かっちゃんの部屋入るの小さい頃以来だけど、なんか……カッコいいかも」
「かもじゃねえ、カッコいいんだよ」
「おいそこいちゃつくな!」
「物色しちまえ! 絶対エロ本隠してるぜ!」
BBBOM!!
「今のは上鳴と峰田が悪いよ」
「物色はレギュレーション違反だ」
「そういう問題か飯田……」
小規模だけど的確な爆破でかっちゃんは2人を黙らせた。なんか動きの鋭さ上がってない!? 早くもトレーニングの成果が出てるのかも!
「次は1階上がって5F男子!」
「瀬呂からだ!」
「マジで全員やんのか……?」
いよいよ男子棟最後、5階だ。最初は瀬呂君だけど果たして……。
「おお!!!」
「エイジアン!!」
「ステキ―」
「瀬呂、こういうのこだわる奴だったんだ」
「へっへっへ、ギャップの男、瀬呂君だよ」
これは凄い。机やイス、棚やカーテン、ベッドなんかの寝具まで東南アジアを彷彿とさせるデザインだ! これは女子陣の評価も上々だ。これで残りは2人、次は……。
「次次ー!」
「轟さんですわね(クラス屈指の実力者……)」
「(クラス屈指のイケメンボーイ)」
「(クールな轟君の部屋……ちょっとドキドキ……)」
「さっさと済ましてくれ、ねみい」
皆、関心が高いのが分かる。あんなに強くて成績優秀でかっこいい轟君の部屋がどんなものなのか、正直僕もめちゃくちゃ気になる! 眠そうなのに律儀に付き合ってくれてる轟君が僕らを部屋に招き入れると……。
……!?
「和室だ!」
「造りが違くね!?」
「実家が日本家屋だからよ。フローリングは落ち着かねえ」
「理由はいいわ! 当日即リフォームってどうやったお前!」
「…………頑張った……」
「何だよこいつ!!」
これは……畳にふすまに和箪笥、っていうのかな? 壁の造りも日本家屋風になってる……。僕らと同じ時間で一体どうやったのさ!?
「大物になりそ」
「イケメンのやることは違うな」
イケメンどうこうの問題じゃないと思うよ砂藤君……。そんな砂藤君が男子最後だけど、これのあとはキツイだろうなあ……。
「じゃ次! 男子最後は!」
「俺だ」
というわけで砂藤君の部屋へと向かう。この後、僕らの番と思うとちょっと心配な気がしてきたけど、皆もやって来たから仕方ないよね……。そして、砂藤君の部屋に入ると……。
「まーつまんねー部屋だよ」
「轟の後は誰でも同じだぜ」
砂藤君は謙遜というか卑下してるけど、割とシンプルで尾白君に近いかも。違いと言えば大きなオーブンがあることかな? ん? 何かいい匂いが……。
「ていうか良い香りするのコレ何?」
「ああイケね!! 忘れてた!! だいぶ早く片付いたんでよ、シフォンケーキ焼いてたんだ!! 皆食うかなと思ってよォ……。ホイップがあるともっと美味いんだが……食う?」
「KUU~!!!」
「「模範的意外な一面かよ!!」」
これは凄い!! 砂藤君の個性『シュガードープ』は砂糖を摂取するとパワーが上がるからその訓練も兼ねてお菓子作ってるんだろう。
「あんまあい! フワッフワッ!」
「瀬呂のギャップを軽く凌駕した」
「ボーノボーノ」
「素敵なご趣味をお持ちですのね砂藤さん! 今度私の紅茶と合わせてみません!?」
「オォ、こんな反応されるとは……。まァ『個性』の訓練がてら作ったりするんだよ」
「ちっきしょー、さすがシュガーマンを名乗るだけうまっ!」
「ここぞとばかりに出してくるな。……うまっ……」
このシフォンケーキ美味しい……。僕はお菓子とか全然作れないから尊敬しちゃうな……。
「あめえ」
「かっちゃん、そりゃケーキなんだから甘いよ」
「お前らも俺の部屋で甘くいちゃつくんじゃねえよ」
「男子は以上……うまっ」
「次は私達うまっ……だね!」
「さっぱりした甘さだからいくらでもいける」
「うむ!」
「女子棟と繋がってんのは1Fだけだから」
「うまっ……一旦降りて……」
「やだなー……うまっ」
ようやく男子棟が終わっていよいよ僕達女子棟だ。大丈夫かな……。
「マジで全員やるの……? 大丈夫?」
「大丈夫でしょ、多分」
シフォンケーキの余韻にひたりながら僕らは女子棟へ向かうべく1階へと降りて行った。
「…………ハズいんだけど」
女子一番手は耳郎さんだ。男子と違って僕ら女子だからあんまりじろじろとは見られたくないけどな~。意を決して耳郎さんの部屋に入ると……。
「思ってた以上にガッキガッキしてんな」
「耳郎ちゃんはロッキングガールなんだねえ!!」
「これ全部弾けるの!?」
「まァ一通りは……」
全部弾けるなんて……耳郎さん凄いや! でも、これだけの楽器揃えるってなかなかお金かかると思うんだけど……。
「耳郎さん、この楽器全部耳郎さんが買ったの? 結構お金かかると思うんだけど……」
「うん、いくつかはお父さんのお下がりだけど、大体は自分で買ったよ。お小遣いやお年玉貯めてね」
「そうなんだ~。いや、でもこれだけあるのも凄いね……」
「ふふふ、ありがと緑谷」
「女っ気のねえ部屋だな」
「ノン淑女☆」
上鳴君と青山君がここぞとばかりにいろいろ言ってくる。バンドのポスターやヘッドフォンも雰囲気合っていいと思うけどなあ。
「次行こ次!!」
「「ギャア!!?」」
耳郎さんの高速イヤホンジャック攻撃だ! 耳郎さんも合宿の成果が出てるんだな!
「次は私、葉隠だ!」
葉隠さんか……。クラス女子の中でも一番女の子らしい感じがするけど、どうかな?
「どーだ!?」
「お……オオ」
「フツーに女子っぽいな! ドキドキすんな」
おお! かわいいぬいぐるみや小物があったりファンシーなデザインで凄く女の子っぽい! 同じ女子だけど、僕もドキドキしちゃうよ!
「……プルスウルトラ……」
「正面突破かよ峰田君!」
……峰田君のタンスの匂いを嗅ぐのはダメだよ……!
お次は4階。まずは……芦戸さんだ。
「じゃーん!! カワイーでしょーが!!」
「おォ……」
葉隠さんとは違った女の子らしさがある。ピンク系の色で統一されててかわいい……!
「次は僕かな?」
「デクちゃん、私から先でもいいかな?」
「いいけど、なんで?」
「いや、緑谷の部屋って……」
「なんとなく想像つくから……」
「?」
なんでだろ? まあ、特に断る理由もないから麗日さんの部屋へ先に向かう。
「味気のない部屋でございます……」
「おお……!」
麗日さんも物はそんなに多くないけど小物に女子らしさを感じる……! シンプルでいいね……。
「さて、お次は緑谷だけど……」
「ある意味予想は付くけど、程度はわからないんだよな~」
「? とりあえず、部屋に入って」
とうとう僕の番だ。ドアを開けて皆を招き入れると……。
「これは……」
「予想以上だな……」
「これは……女子の部屋じゃねえ……」
「ええ!? そんなにひどい!?」
「酷いというか……典型的なオタク部屋だよね?」
「緑谷が生粋のオールマイトオタクとは知ってたけど……ここまでとは……」
「……お前昔よりグッズ多くなってんじゃねえか」
「おお、爆豪いたんだな。全然しゃべらねえからてっきり寝たかと……」
「彼女の部屋見るに決まってんだろーが」
「か、かかか彼女!?」
「デクちゃん初々しいな~」
「でも、これはさすがにねえわ」
「む! 僕だってこだわってるところあるんだからね。このオールマイトフィギュアはオールマイトのヒーロー活動30周年記念のものだし、ここはファンクラブ限定で販売された1000個限定のシリアルナンバー付の……」
「そういうとこだわ!」
「これは文句なしの暫定最下位だね……」
「峰田除く、だけどな……」
「そんな!? 酷いよ皆!」
この部屋の良さを皆わかってくれないなんて。そりゃセンスはないかもだけど……!
「ま、まあ気を取り直して最後、5階に行こうぜ!」
「じゃあ、次は私ね、ケロ」
意気消沈する僕をよそに部屋王対決はいよいよ最後の女子棟5階に来た。まずは蛙吹さん、僕の部屋を見た後だとむしろだれでもやりにくくなっちゃうだろうけど、どうかな?
「おお、これまた女子らしい部屋だな」
「ケロケロ、ありがとう上鳴ちゃん」
蛙吹さんの部屋はパステルカラーがベースの落ち着いた色の家具や小物で統一されていた。机の上には家族写真が置いてあって仲の良さが窺える。
「じゃ最後は八百万か!!」
いよいよ大トリの八百万さんだ。言動の端々からお嬢様感が感じられる八百万さんの部屋ってどんななんだろ?
「それが……私見当違いをしてしまいまして……。皆さんの創意溢れるお部屋と比べて……少々手狭になってしまいましたの」
そう言った八百万さんの部屋に招かれて入ると……ベッド!?
「でけえー!! 狭!! どうした八百万!」
「私の使っていた家具なのですが……まさかお部屋の広さがこれだけとは思っておらず……」
……八百万さん、お嬢様なんだね。
「推薦組の連中は頭おかしいのか!」
「かっちゃん、そんな言い方したらダメでしょ!」
少し思っちゃったけど!
そして、三度1階へ降りて投票へ。1人1票をいつのまに用意したのか投票箱へ入れていく。
「えー皆さん、投票お済でしょうか!? 自分への投票はなしですよ!? ……それでは! 第一回部屋王の発表です!!」
乗り良くドラムロールをしながら芦戸さんが部屋王を発表する。
「得票数5票!! 圧倒的独走単独首位を叩き出したその部屋は! 砂藤ーーー力道ーーー!!」
「はああ!!?」
え!? どういうこと!? 意外な結果なんだけど!
「ちなみに全て女子票! 理由は『ケーキ美味しかった』だそうです」
「部屋は!!」
全然部屋関係なくなっちゃったよ! それってアリなの!?
「あれ? 梅雨ちゃんと緑谷は?」
「私は瀬呂ちゃんに入れたわ。コンセプトを持ってしっかり部屋のインテリアを考えてたと思うから」
「梅雨ちゃん、ありがとう!」
「泣くなよ……」
「で、緑谷は?」
「ぼ、僕はその、かっちゃんに入れました……。贔屓目もあるかもしれないけど、シンプルでかっこいいしかっちゃんらしいって思ったから」
「おうおうお熱いですなあ!」
「エアコン効いてるのに暑いですなあ!」
「芦戸さん葉隠さんやめて……」
こんなこと言うのめちゃくちゃ恥ずかしい! なんで馬鹿正直に言っちゃったんだろ!
「で、そんなかっちゃんは誰に入れた?」
「あ? こん中で自分以外っつーなら瀬呂だろ」
「爆豪!」
「号泣すんなよ。緑谷はいいのかよ?」
「アレは論外だろ」
「論外!? かっちゃん酷いよ! そんなに言わなくてもいいじゃないか!?」
「悔しかったら他の連中を少しは見習いやがれ。それより、砂藤」
「あ? なんだよ爆豪」
「料理で勝負だ!」
「はあ!?」
「何言ってんだ爆豪!?」
「うるせえ! 俺が1位じゃねえなんて納得いくか!」
「だったら料理で勝負もおかしいだろ! お前も一周回ってアホだろ!」
「瀬呂! 泣いてねえで手伝え!」
砂藤君の1位に納得いかないかっちゃんが暴れ出してその場で収拾がつかなくなった第一回部屋王は相澤先生の消灯の合図でようやく終わった。寮生活1日目を賑やかに過ごした僕らは、明日から始まる特訓の日々を新たに決意しながら就寝するため各自の部屋に戻っていった。
というわけで第55話でした。ついに入寮しました。ここから雄英での生活がスタートしていきますが、交際する男女がひとつ屋根の下にいるというはいろいろ大変そうですねw 周りからの冷やかし等も増えそうですが、その辺りも上手く描写できたらと思います。恐らく年内はあと1話の投稿となりますが、今後もマイペースで頑張って行きますので応援よろしくお願い致します♪