僕のヒーローアカデミア~諦めから始まる物語~   作:キョンP

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お待たせいたしました、第60話です! いつもの通り、当初より文字数多くなっちゃいましたw それでは、どうぞ!


第60話 一時休憩(という名のドタバタ)

Side:Izuku

 

「皆さんよくご無事で! 心配してましたわ」

 

 控室に入ると八百万さん、耳郎さん、障子君、蛙吹さん、轟君がすでに休んでいた。八百万さん達は途中まで一緒だったけど、轟君は単独で突破したのか! 凄いや!

 

「ヤオモモー! ゴブジよゴブジ! つーか早くね皆!?」

「俺達もついさっきだ。轟が早かった」

「爆豪も絶対もういると思ってたけどなる程! 上鳴が一緒だったからか」

「はァ!? おまえちょっとそこなおれ!」

「いや、実際にはもう少し早かったんだけど、ちょっとね……」

「? なんか皆疲れてるみたいね。ターゲットを外すキーが奥にあるわ。ボールバッグと一緒に返却棚へ戻せって」

 

 蛙吹さんが僕らの様子を疑問に思いながら借りた装備の返却方法を教えてくれる。早く戻して少しでも体力回復をしなきゃ……。

 

 

「あ、緑谷さん! 一次試験突破できたのね!」

「赤嶺さん! 赤嶺さんも突破できたんだね! おめでとう!」

 

 返却口に行くと赤嶺さんもちょうど装備を返却するところだった。傑物学園の人達と遭遇した時に見えなかったらどうしたのかなと思ったんだけど……。

 

「僕達、傑物学園の真堂さん達と遭遇したんだけど、赤嶺さんが見えなくて気になってたんだ。どこにいたの?」

「私は単独で動いていたの。私の個性を活かしやすい場所で戦いたかったから真堂さんと中瓶さんに事前に相談してたの」

「ええ!? 単独で突破したの!? 凄ない!?」

「俺らの中じゃ轟くらいだし、結局爆豪も上鳴と切島も一緒だったからな。凄えな……!」

「うるせえ、黙ってろ! ……やるじゃねえかよ赤嶺」

「うふふ、ありがとう!」

「赤嶺さんの個性ってすごいんだよ! 周囲の……」

「緑谷さんストップ!」

「へ?」

「この後も競い合うかもしれないでしょ? 今ここで話しちゃうのは私困っちゃうな〜」

「あ、そうだね! ごめん赤嶺さん! 皆ごめんね! 本人の許可なく教えられないや」

「ううん、別にいいよ」

「まあ、俺らは体育祭でバレちゃってるからな」

「試験が終わったら、色々話せると思うからその時ね。私も緑谷さんがどう過ごしていたか知りたいし」

「うん、いいよ♪」

「それじゃあ、私は先に戻ってるわ。そろそろ新堂さん達も来ると思うから」

「うん、二次試験がどうなるかわからないけど、頑張ろうね」

「ええ、じゃあまた後で」

 

 そう言って赤嶺さんはその場を後にした。……凄いな、赤嶺さん。僕も雄英に入って皆と頑張って成長できてると思うけど、赤嶺さんも傑物学園で成長してるんだね。うかうかしてられないよ!

 

「赤嶺さん、なんか八百万さんや拳藤さんに雰囲気似てるね」

「そうだね、落ち着いてるし成績も良かったし人をまとめるのが上手だったからそれが理由かも」

「今ならともかくそん時の爆豪を抑えるって大変だったろうな〜」

「黙れアホ面! 徹甲弾(APショット)でハチの巣にすっぞ!」

「ちょっ!? さっきのお肉センパイより酷くない!?」

「お肉センパイって誰?」

「いや、ちょっと士傑のめんどい上級生がいてさ……」

「なあ、緑谷」

「ん? 何瀬呂君?」

「赤嶺さんって……今フリーか?」

「え!?」

 

 突然瀬呂君が赤嶺さんについて聞いてきた。フリーかどうか聞いてくるってことは……そう言うことだよね……。

 

「た、たぶん誰かと付き合ってるとかそんな話はなかったからフリーだとは思うけど……。瀬呂君、その……」

「赤嶺さん、紹介してくれないか!?」

「やっぱりぃ!?」

「てめぇ瀬呂!? 抜け駆けしてんじゃねえよ!?」

「うるせえ! 耳郎とよろしくやってる上鳴は黙ってろ!」

「俺よりも切島の方が芦戸と仲良くやってるだろ! 俺だって可愛い娘と仲良くしてえよ!」

「俺を巻き込むなよ……」

「え~っと……」

 

 ど、どうしよう……。瀬呂君は真面目だけど空気も読めるしノリもいい大切なクラスメイトだけど……赤嶺さんを紹介するってなると今までそんなことないからわかんないよ!? そもそも赤嶺さんも紹介されて大丈夫なのかな……?

 

「下らねえこと話してんじゃねえよ……!」

「「クラスで唯一の彼女持ちリア充は黙ってろ!!」」

「はっ! モテねえ奴らの僻みなんざ効かねえな!」

「あ゛あ゛~!? クッソムカつくけど反論できねえ!?」

「性格クソ下水煮込みのくせに~!!」

「あはは……」

 

 ここで煽るなんてさすがかっちゃんだよね……。2人の悔しい気持ちは分かるけど、かっちゃんの……かかか彼女の僕としては『性格クソ下水煮込み』は複雑な気持ちかな、否定できないからなおさら……。

 

「ちっ、うるせえな。……瀬呂」

「あ?」

「てめえなら紹介してもいい」

「マジで!?」

「いいのかっちゃん!?」

「こいつならおかしなことにはならねえだろ。一応お前から赤嶺に聞いておけ」

「う、うんわかった。試験終わったら聞いてみるね」

「瀬呂、それでダメなら諦めろ」

「ああ! それで構わねえ! ありがとな爆豪、緑谷!」

「ちょっと待って!? なんで瀬呂だけなの!? 俺は!?」

 

 瀬呂君の話がまとまったところで上鳴君が半泣き、どころかガチ泣きで抗議してくる。だって上鳴君は、う~ん……。

 

「てめえはチャラすぎるから却下だ」

「そんな酷い!? 緑谷は!?」

「え~っと、僕もちょっと……上鳴君には悪いけど赤嶺さんに紹介するにはちょっと……チャラすぎるかな」

「んな~!? 瀬呂ばっかりズリぃよ!? 俺だって可愛い娘とお近づきになりてえよ!」

 

 そう嘆き叫んで上鳴君は地面に手と膝をつき、見事にorzの姿勢になっていた。

 

「でも、上鳴君も響香ちゃんと仲良いよね?」

「そ、それは……」

 

 麗日さんの言葉に上鳴君の身体がビクッと反応委する。確かに上鳴君と耳郎さんはかなり仲が良い雰囲気がある。林間合宿での女子会でもたまに2人で買い物に行ったりしてるって言ってたし、寮に入ってから互いの部屋を行き来してるのを何度か見たことあるからクラスの中でも相当仲が良い方だと思う。

 

「確かに耳郎とはめっちゃ仲良いと思うよ。音楽の趣味も合ってアイツも結構ノリいいし勉強も教えてくれるし……胸小さいの悩んでるけどそこもなんか可愛いし。でも、ちょいちょい俺のことアホ呼ばわりするし充電器代わりにするしすぐドックンしてくるからそこはちょっと……」

「か、上鳴君……」

「ん? 何緑谷?」

「なんか面白そうな話してるね、上鳴」

 

 orzの姿勢から勢い立ち上がった上鳴君が耳郎さんについて早口でしゃべるから止められなくて指摘できなかったけど、上鳴君の後ろにその……耳郎さんが……。

 

「じ、耳郎さん……。ご、ごきげんよう……」

「ごきげんよう上鳴()()……」

 

 耳郎さん、笑顔もそうだけど上鳴君を『さん付け』で呼んでるところもめっちゃ怖い……。

 

「そ、その……耳郎さんはいつから話を聞いていたのでしょうか……?」

「あんたがウチに『胸小さいの悩んでる』って言ってたところからかな」

「ちょっ!? ちょっと待って!? アレは別にそれが悪いってわけじゃなくて、小さいには小さいなりに良さがあるというか、っていうかその直後に言った事が割と大切だったんだけど!?」

「……死ね……!」

「ギャアアアアア!!?」

 

 耳郎さんの両耳イヤホンジャックの攻撃を受けて上鳴君は昏倒させられてしまった。完璧に入ったけど、この後の二次試験大丈夫かな……?

 

 

「まあ、皆様ようやくお戻りになられましたわね。耳郎さんが気になって……上鳴さん!? どうされたのですか?」

「あんなアホは知らん……!!」

「何があったのかしら? 切島ちゃん、瀬呂ちゃんわかる?」

「まあ、アレはこのアホが悪いわ……」

「ちょっとタイミングが悪かったなあ……。あ、緑谷。例の件はよろしく頼むわ」

「う、うん。赤嶺さんに確認しておくね」

「それで、他の皆はいまどうなってる?」

「もう最終盤ですがまだ……」

 

 

『ハイ、えーここで一気に8名通過来ましたー! 残席は10名です』

 

 

「A組は……」

「あと9人……。これ……全員はもうムリかなぁ……」

 

 目良さんのアナウンスで試験の残り合格枠が10名であることが告げられる。委員長の飯田君含めてまだ9名が残ってる。もう最終盤、他の学校も雄英とか関係なくなりふり構わず仕掛けてきている。……飯田君、皆……!

 

「おい、アレ見ろよ!」

「アレって、青山のレーザー!?」

 

 映像を見ると見慣れた七色のレーザー光、青山君のネビルレーザーが上空に向かって連続で放たれている。攻撃ならともかく何で上に向けて!? その光に引き寄せられるように他校の生徒が集まってきているのがわかる! 青山君なんで!?

 

「青山、自棄(ヤケ)起こしちまったのか!?」

「あいつならそうなっちまっても……ん? ちょっと待って! 何かの大群が集まって……鳥ィ!?」

「あんなに鳥が……これって口田ちゃんの個性じゃ?」

 

 レーザーを中心に大量の鳥が旋回を続けている。あの行動が自然に起こっているとは思えない! 蛙吹さんの言う通り、口田君が個性『生き物ボイス』で鳥達に指示を出してるんだ! カメラがズームインすると鳥の大群で他校の生徒が動きづらくなっている。そこに黒色の影……常闇君の黒影(ダークシャドウ)だ! 

 

「あれは黒影、常闇君だね! それに他の皆も集まってきてるみたい!」

「常闇に倒された人達倒れたままになってる……あ! 峰田の!」

 

 麗日さんや耳郎さんの言葉通り、口田君や常闇君以外にもA組の皆が集まってきてる。尾白君や峰田君、あ! 今光ったのは葉隠さんの新技だ! 青山君のレーザーを目印に皆が集まってきてるんだ!

 

 

『2名通過! 残りは8名』

 

 

 葉隠さんと尾白君が同時に通過した! これでA組はあと7名!

 

 

『7名! 5名! 続々と! この最終盤で一丸となった雄英が! コンボを決めて通っていく!』

 

 芦戸さん! 砂藤君! 常闇君に峰田君、口田君も! 皆次々に通過していく! 残りは……青山君と飯田君!

 

 

『そして……0名! 100人!! 今埋まり!! 終了! です! ッハ―!! これより残念ながら脱落してしまった皆さんの撤収に移ります。皆さん、速やかにお引き取り下さいね~』

 

 

「おォオオ~~~……っしゃああああ!!!」

「雄英全員、一次通っちゃった~!」

「スゲェ!! こんなんスゲェよ!」

「ケッケロ~♪」

 

 よかった……! どうなるかと思ったけど、皆で一次を突破出来て本当によかった! あといくつ試験があるか分からないけど、皆となら頑張れるよ!

 

「ちっ! 浮かれやがって!」

「……そういうかっちゃんも口元ニヤけてるよ?」

「……ふん、うっせぇわ」

 

 かっちゃん、口ではああ言ってるけど、皆も一次通って嬉しいんだろうな……。素直じゃないけど、なんかかわいいな♪

 

 

『えー一次選考を通過した100人の皆さん。これをご覧下さい』

 

 

 目良さんのアナウンスで控室にいる人達の視線がモニターに集まる。これからなにかあるのかな?

 

「フィールドだね」

「なんだろね」

 

 

 ドォオオオ!!!

 

 次の瞬間、モニター内のビルや工場などの建物、岩山などが大爆発を起こして崩壊していく。

 

「「「何故!!?」」」

 

 その場にいた人全員が思わず口にしちゃったよ!! 本当に何で!?

 

 

『次の試験でラストになります! 皆さんにはこれからこの被災現場でバイスタンダーとして救助演習を行ってもらいます』

 

 

「救助……!」

「パイスライダー?」

「現場に居合わせた人のことだよ。授業でやったでしょ」

「一般市民を指す意味でも使われたりしますが……」

 

 

『一次選考通過した皆さんはここでは一般市民としてではなく仮免許を取得した者と仮定して、どれだけ適切な救助を行えるか試させて頂きます』

 

 

 峰田君が意味のわからないことを言う中で葉隠さんや八百万さんがバイスタンダーの意味を説明する。救助演習となると救助する対象者がいると思うんだけど、その辺りはどうするんだろ? 訓練用に人形とかを配置するのかな?

 

 

「む……!」

「どうしたの障子君?」

「人がいる……」

「え……あァ!? 老人に子ども!?」

「危ねえ何やってんだ!?」

 

 障子君の言葉通り、モニターには建物が崩壊したフィールド内を移動する人達の姿が映っている。なんで、人が!? もしかして、この人達って……!

 

 

『彼らはあらゆる訓練において今引っ張りダコの()救助者のプロ!! 『HELP・US・COMPANY』略して『HUC』の皆さんです』

 

 

「要救助者のプロ!?」

「色んなお仕事があるのね」

「ヒーロー人気のこの現代に即した仕事かもね」

「ちょっと違うけどドラマや映画におけるスタントマンみたいものだと思うよ。以前にこの人達の活動がテレビで特集されてて本当にプロフェッショナルだったから」

「さすが緑谷だな……。こんな職業初めて聞いたわ俺」

 

 僕もテレビで観たときはこんな仕事あるんだって思ったけど、ヒーローになる前はもちろんなってからも訓練は必要だし、救助時における評価も適切に行うからヒーローに限らず警察・消防から依頼が絶えない会社って言われてるよ。

 

 

『傷病者に扮した『HUC』がフィールド全域にスタンバイ中。皆さんにはこれから彼らの救出を行ってもらいます。尚、今回は皆さんの救出活動をポイントで採点していき、演習終了時に基準値を超えていれば合格とします。10分から20分後に始めますのでトイレなど済ましといて下さいねー』

 

 

 ……今日は僕らがその人達を対象に救助訓練を行う……。気を引き締めて行かなきゃ!

 

「なんで時間中途半端なんだろうね?」

「より状況をリアルに近付けるためだろうな。時間きっちりで始める場合と突然来る通報に対応する場合だと精神的に全然違うからな」

「なるほど、確かに」

「緑谷君、どうしたんだい?」

「飯田君……。この状況、神野区を模してるのかなと思って……」

「なるほど。確かに、直近で起こった大規模な事件・事故は神野事件だからそれを参考にしているかもしれないな」

 

 僕自身は攫われたときの怪我の影響でほとんど気を失っていたけど、かっちゃんと一緒に脱出できなかったらあの事件に巻き込まれていたかもしれない……。

 

「君達は事前に脱出できたが、あの事件で死傷者も多く出たらしい」

「デク……」

「かっちゃん……」

「爆豪君……」

「こんなん通過点だ、気張ってくぞ……!」

「……うん、頑張ろう!」

 

 あの事件を乗り越えるために! 繰り返さないために!

 

 

 

「あ、いたいた~♪」

「ん? あ、あなたは!?」

 

 呼ばれた声に反応するとそこには僕と対峙していた士傑の女の人がいた。一次試験でのアレコレで今はなるべく関わりたくなかったんだけど!!

 

「さっきも言ったけど、も~っと君のこと知りたくなってさ~、さっきの続きとお話しがしたくて来たんだ~♪」

「え、え~っと……二次試験までそんなに時間ないのであとでm「おいデク。こいつがさっき話した士傑の女か?」

 

 ヤバい!? かっちゃんが来る前に帰ってもらおうと思ったのにバレちゃった! 今暴れられたら試験どころじゃなくなっちゃうよ!

 

「君は……爆豪勝己君だね。君についてもいろいろ知りたいかな~」

「お断りだ。……いや、一つ用があったわ」

「用?」

「てめえさっきデクと一戦やった時にこいつの顔引っ掻いたみたいだなぁ……」

「ああ~、そうだね~」

「……人の彼女傷つけてんじゃねえよ!」

「かっちゃん!? 今はそんなこと言ってる時じゃないでしょ!? もう少ししたら二次試験始まっちゃうよ!」

「こいつがちょうどよく来たから今言わねえでいつ言うんだよ!」

 

 ああ、だから避けたかったこの状況! 絶対かっちゃんがそのこと言うとわかってたのに!

 

「…………へえ~、君達付き合ってるんだぁ……。仲良いんだねえ……。私も仲間に入れてほしいなぁ~♪」

「脳みそ沸いてんのか? 寝言は寝て言いやがれ!」

「かっちゃん! 言い方!」

「ああ!? ふざけたこと言ってんのはこいつの……んん!?」

「ええ!?」

「「「「「ななな!!?」」」」」

 

 その場にいた皆が驚きに言葉が出なくなる! 士傑の女の人が、かかかかっちゃんにキスしてきたからだ! かっちゃんも驚きで目を見開いている!?

 

「……ッ!?」

 

 突然、士傑の人がかっちゃんを突き飛ばして2人の距離が離れる。一体何が……。

 

「……ぺッ! ふざけたことしてくれんじゃねえかよ!!」

「……こういうのが君の好みなのかな? なかなか情熱的じゃない♪」

「んなわけあるかこの色ボケ! 舌嚙みちぎられなかっただけありがたいと思え!」

「かっちゃんこの人の舌噛んだの!?」

 

 かっちゃんが吐いたものはこの人の血だった。場所が悪いと血が止まらなくて危険なのにいくら怒ってるからって……!

 

「こいつが舌入れてきたから反撃しただけだ」

「だからって、血が止まらなかったら死んじゃうかもしれないんだよ!」

「じゃあ、てめえは彼氏が他の女に無理矢理キスされても平気なんか?」

「それは、もちろん嫌だけど……」

 

 そんなの嫌に決まってるじゃないか! でも、だからってかっちゃんが人を傷つけるのも嫌だよ……。

 

「あは♪ 出久ちゃん優しいのね~♪ 今度は私とキスしようか?」

「え、遠慮します!」

 

 口元の血を拭いながら笑顔で僕に声を掛ける士傑の人……。やっぱりちょっと普通じゃないよ……。それに……僕と戦った時も思ったけど、僕だけじゃなくてかっちゃんの隙をつくなんてこの人一体……!

 

「ケミィ! もうすぐ始まるというのに何をやってるんだ!? 他校に迷惑をかけるんじゃない!」

「……は~い。それじゃあ2人とも、また後でね♪」

「二度と来んな!!」

「えっと、考えさせてもらいます……」

 

 士傑の大柄で顔が全身毛むくじゃらのおそらく上級生の人が呼びかけると士傑の人はあっさり帰っていった。一体なんだったんだろう、本当に……。

 

「爆豪君、さきほどのケミィと肉倉……糸目の男が君にいろいろと無礼を働いたと思う。あの男は自分の価値基準を押しつける節があってね、何かと有名な君を見て暴走してしまった」

 

 肉倉って人が誰かはわからないけど、ケミィさんのアレは無礼ってレベルなのかな?

 

「あ~、あいつもそういや士傑だったな」

「それとケミィは、なんというか自由人過ぎてな。我々もよくわからないことがあるが悪い奴ではないのだ。雄英とは良い関係を築き上げていきたい、すまなかったね」

「良い関係……」

「片方はいかがわしい関係を築こうとしてましたけど……」

 

 麗日さんそんなこと言わないで! 今はまだバレてないけどあの人に何されたかかっちゃんに知られたらどうなるか見当もつかないよ!

 

「それでは失礼するよ。二次試験の健闘を祈る」

「おい、そこの坊主の奴」

 

 伝えたい要件を終えて去ろうとする士傑の人達に轟君が声をかける。っていうか轟君いたの!? 全然気づかなかったけど!?

 

「……いやァ、申し訳ないっスけど……エンデヴァーの息子さん」

「!?」

「俺はあんた()が嫌いだ」

 

 士傑の夜嵐君が轟君にそう言い放った。『エンデヴァーが嫌い』というのならまだわかる。エンデヴァーは確かにNO2の実力の持ち主だけど、強面で威圧的で一般人にフレンドリーではないからそのように思う人がいても不思議じゃない。でも……『あんたら』と言って轟君も含めるのは一体どういうわけなんだ……?

 

「あの時よりいくらか雰囲気変わったみたいスけど、あんたの目はエンデヴァーと同じっス」

「夜嵐、どうした?」

「何でもないっス!!」

 

 士傑の先輩に呼ばれて夜嵐君は行ってしまった。轟君と夜嵐君、一体どんな因縁があるんだろう……?

 

「「「緑谷、爆豪……」」」

「あ、峰田君に瀬呂君……あ、上鳴君! 目が覚めたんだね」

「お前らあとで事情聴取だからな」

「なんで!?」

「あんなエロイ美人とナニやってたかなんて気になるに決まってんだろ!?」

「さっきも意味深なこと言ってたじゃん!」

「つーか俺が気ぃ失ってる間に何が起こってたの!? ズリぃよ爆豪!」

「あ、黙れやアホ面! また気絶させてやろうか!?」

「かっちゃん落ち着いて!?」

「緑谷」

「あ、芦戸さん。どうかs「私らも気になるかなら後で教えてね♪」

 

 なんでぇ!? 僕はむしろ被害者なのに!?

 

「さすがに私達もこの騒ぎは気になるから、観念してね♪」

「あの女の人とイケナイ関係になってるのー!?」

「そ、そう言われても僕だって困ってるのに……」

「皆さん、みっともないですわよ! 試験前に何をなさってるんですか!?」

 

 

 ジリリリリリ!!

 

(ヴィラン)による大規模破壊(テロ)が発生! 規模は○○市全域、建物倒壊により傷病者多数!』

 

 

「演習の想定内容(シナリオ)ね」

「え!? じゃあ……」

 

 非常ベルが鳴るとともに敵の襲来を伝えるアナウンスが流れる。これが流れるということはいよいよ……。

 

「始まりね」

 

 

 ガゴッ! ゴゴゴゴゴ……!

 

 

 蛙吹さんの声を合図にするかのように控室がまた展開していく。ついに二次試験が始まるんだ!

 

『道路の損壊が激しく救急先着隊の到着に著しい遅れ! 到着する迄の救助活動はその場にいるヒーロー達が指揮を執り行う。一人でも多くの命を救い出すこと!!! START!!!』

 

 ちゃんとやるんだ! ちゃんと……! そして、皆で合格するんだ!




というわけで第60話でした! かっちゃん、ケミィ(トガちゃん)にキスされてしまいましたw されっぱなしじゃ終わらないところはさすがのかっちゃんですが、舌を噛むのはさすがに危ない気がします(書いておいて)w 当初はもう少し二次試験の様子を書く予定でしたが、思ったより文字数増えたので次回に回しますw 仮免試験編はあと2話くらいの『予定』ですが、変更となる可能性もありますのでご了承ください。今後も頑張りますので、応援よろしくお願い致します♪
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