僕のヒーローアカデミア~諦めから始まる物語~   作:キョンP

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お待たせしました! またちょっと間が空いちゃいましたが、第64話です!
それでは、どうぞ!!


第64話 VS ビッグ3!!!

【女子更衣室内】

 

「あの人達が緑谷の知ってる先輩だったんだね」

「しかも雄英ビッグ3だったなんて!」

「私もどんな人なのか知らんかったからビックリしたわ……」

「ごめんね、なかなか言う機会なくて……」

「御三方とも、以前からお知り合いだったのですか?」

「ううん、波動さんと天喰さんとは雄英に入学してからなんだ。ミリオさんとは入学の……1年以上前からの付き合いだね。体育祭前にミリオさんから2人を紹介してもらったんだ」

「そんなに前からなの!? なんで!?」

「ええっと、そのミリオさんのインターン先のヒーローと知り合いで……その繋がりで事務所の人達とも仲良くなったというか」

「ええ!? 緑谷ヒーローにも知り合いがいるの!?」

「誰々!? 誰なの!?」

「ええっと、サー・ナイトアイ……」

「「「サー・ナイトアイ!!?」」」

 

 女子更衣室内で芦戸・葉隠・麗日・耳郎の声が響き渡る。八百万・蛙吹も声こそ出さないものの驚きに目が見開いていた。

 

「ささささサー・ナイトアイって、あのサー・ナイトアイ!?」

「サイドキックを持たないオールマイトが過去に唯一サイドキックとして雇ったヒーロー……ですよね?」

「そんな超有名ヒーローとなんで知り合いなの!?」

「えっと、1年以上前にあった当選者限定のオールマイト展で一緒になって、そこで意気投合しちゃって……」

「そういえば、サー・ナイトアイってオールマイトファンを公言していたわね……」

「っていうか緑谷あのオールマイト展行けたの!? めちゃくちゃ倍率高かったのに!?」

「う、うん……運よく当たってね……」

「爆豪君とは行かなかったの?」

「うん、その時はあんまり仲良くない時期だったからね。ちょっと前に話したらめちゃくちゃ悔しがってた……」

「悔しがる爆豪君めっちゃ見たかった!!」

「その辺りは人並みの感性があるのですね、爆豪さんも」

「み、みんな、ちょっと酷いんじゃない?」

「まあ、緑谷がビッグ3の人達と知り合いになった経緯はわかったけどその……戦う相手の通形先輩って強いの? さすがにウチら全員を相手はキツいんじゃない?」

「うーん、僕の口から個性の詳細は言えないけど……ミリオさんならできるかもしれない、と思えちゃうかな」

「マジで!? どんな個性なの!?」

「あ、芦戸さん……。言っちゃダメだから」

「ちぇー、ケチ」

「でも、緑谷さんにそう言わしめるほどの実力の持ち主ということですね、通形先輩は」

「よっしゃ! A組の力見せたろーじゃん!」

「「「おー!!!」」」

 

 葉隠の掛け声で全員が声を上げる。出久の言葉で気を引き締めて、7人は更衣室を出て体育館γへと向かった。

 

 

【男子更衣室内】

「なんか妙なことになったな」

「雄英ビッグ3、その一角と直接手合わせできるのは有り難いが……」

「正直なところ、俺達とまとめて戦うとかいくらなんでも無茶だろ?」

「勢いに任せて俺も乗っちまったけどよ、通形先輩ってそんなに強いのかよ爆豪」

 

 運動着に着替えながら障子・常闇・上鳴が思っている事を口にし、それを受けて切島が勝己に尋ねる。仮免試験を経験して上級生達が自分達の想像を超える個性や実力を持っていることを知ったA組メンバーだったが、それでもクラス全員……出久を除いても19人とまとめて戦うのは無謀に思えた。

 

「直接戦うのを見たことはねえ。……だが、強え。それだけは間違いねえ」

「天上天下唯我独尊の爆豪がそこまで言うのは珍しいな!」

「つーか、前から知ってんの? えーっと……通形先輩の事」

「ああ、林間合宿で(ヴィラン)連合に攫われて……奴らのアジトから逃げた後に病院から雄英に戻るときに護衛にサー・ナイトアイ事務所が来ていた。その中にミリオさんがいたんだよ」

「通形先輩ってサー・ナイトアイの事務所にいんの!?」

「「「!?」」」

 

 勝己の言葉に全員が驚愕の表情を浮かべる。サー・ナイトアイはサイドキックを持たない主義のオールマイトが唯一サイドキックとして組んだヒーロー。それだけでも驚くべきことだったが、もう一つあった。

 

「サー・ナイトアイと言えば、公に姿を出さないヒーローとして有名だ。そんなヒーローと会っていたとは」

「ウチの相澤先生みたいだよな、名前は知られているけど姿知ってる人はほとんどいないっていう」

「どんな見た目だった!?」

「前髪にメッシュ入れてっけど、パッと見はスーツ姿のサラリーマンだ。ハッキリ言って、知らなきゃほとんどの奴はヒーローだなんて思わねえ外見だ」

「なるほど、そうやって周囲に勘付けれないようにするのがポリシーなのかも知んねえな」

「でもよ、知る人ぞ知るヒーロー事務所でインターンしてるからって強いとは限らないっしょ」

「相変わらずアホだなてめえは!」

「枕詞みたいにアホって言うのは止めて!?」

「上鳴がアホなのは当然として、なんで爆豪は通形先輩が強いってわかんの?」

「てめえもアホだな、いくらインターンで採用してるとはいえ一介の学生を()()()()()()()()()()()()()()()()護衛に連れて行くと思うか?」

「!? それは……」

「よほどの実力、それこそ現役のプロ並みかそれ以上の実力がなけりゃ同行させねえはずだ……!」

「なるほど……確かに一理あるな……」

「なんにせよ、実際に戦ってみりゃわかるか!」

「よっしゃ! A組メンバーの力見せてやろうぜ!」

「「「おー!!!」」」

 

 切島の掛け声で全員が応え、そのまま体育館γへ向かった。

 

 

 体育館γではすでにミリオ・波動・天喰が待機しており、ミリオは入念に身体をほぐしていた。

 

「よォーし! ……皆やる気に満ちてるね!」

「ミリオ……やめた方がいい。形式的に『こういう具合でとても有意義です』と語るだけで充分だ」

「遠」

「皆が皆、上昇志向に満ち満ちているわけじゃない。立ち直れなくなる子が出てはいけない」

 

 天喰が壁に向かいA組メンバーに背を向けながらそんなことを話す。普通であれば相手を下に見た発言と思われるが、出久や勝己からミリオの話を聞いていたA組メンバーはその言葉に説得力を感じていた。

 

「……さっきまでだったら『何を上から目線で!』って思ったけど……」

「出久ちゃんから話を聞いた後だとなんか説得力があるよね!」

「でも、俺達も今まで遊んできたわけじゃないっスからね!」

「本気で行かせてもらいます!」

「うん! 元気があって良いね! いつどっからでも来ていいよ! 一番手は誰だ!?」

「俺だ……!」

「おお! 爆豪がヤる気満々だ!?」

「爆豪君! いいね、元気があるなあ!」

「始める前にいいっすか?」

「ん? なんだい?」

「勝ち負けはどう判断するんすか?」

「勝ち負け……う~ん、そうだね~……」

 

 始めようとしたところで勝己がミリオに質問を投げかける。ミリオは唸りながら少し考えて、勝己に答えた。

 

「一撃でも俺に攻撃を当てたら君達の勝ち、君達全員をKOしたら俺の勝ち、それ以外は引き分けってことでいいかな?」

「ああ、それでいいっすよ。あとミリオさん」

「ん? まだ何かある?」

「今まで出久と仲良くしてくれたり護衛してくれたり色々感謝してっけど……出久をちゃん付で呼ぶのがちっとイラつくんで本気で行かせてもらうぜ!」

「何言ってんのかっちゃん!?」

「めちゃくちゃ私怨じゃねえか!?」

「お前も一周回ってアホだろ!」

「爆豪君デクちゃんが好きすぎて最近いろいろおかしいよ!?」

「アッハッハッハ! 君達本当に面白いね~! ワクワクしてきちゃったよ~!」

「だいぶ俺達有利ですけど、あとで言い訳しないでくださいよね!」

「いいよ~! それじゃあ、始めよっか!」

「近接隊は一斉に囲んだろぜ!!」

「よっしゃ! 先輩、そいじゃあご指導ぉー……」

「「「よろしくお願いしまーっす!!」」」

 

 全員の掛け声で出久を除いたA組生徒とビッグ3・ミリオとの手合わせが始まった。

 

 

 ハラッ……

 

 

「あーーーー!?」

「今服が()()()ぞ!」

「ああ失礼! 調整が難しくてね!」

 

 始まった途端にミリオの着ていた服がその場に落ちた。まるで、()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 BBOMB!!!

 

 

「隙ありだぜミリオさん!!!」

 

 ずり落ちたズボンを引き上げているミリオに爆破で一気に接近した勝己はがら空きの顔面目掛けて右足で蹴りを放った。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Katsuki

 

「「「よろしくお願いしまーっす!!」」」

 

 

 ハラッ……

 

 

「あーーーー!?」

「今服が()()()ぞ!」

「ああ失礼! 調整が難しくてね!」

 

 始まった瞬間、ミリオさんが着ていた服が地面に落ちた。あれが何らかの個性であることは間違いねえ……! 耳郎(みみ)がミリオさんの裸を見て悲鳴を上げるが、これを利用する手はねえ!

 

 

 BBOMB!!!

 

 

「隙ありだぜミリオさん!!!」

 

 一気に接近して右足でミリオさんの顔面目掛けて蹴りを放つ。

 

 

 スカッ!!

 

 

「何っ!?」

 

 無防備な顔面を打ち抜いたはずが()()()()()()()()()()()()()

 

「顔面かよ」

 

 ミリオさんが焦った様子もなく、俺を見ながらこともなげに言った。

 

 

 シュルルルル! ジュバアア! ビュゥウウウン! ドォオオオン!!

 

 

 瀬呂のテープ、芦戸の酸、青山のネビルレーザーが次々とミリオさんを襲うが、そこに何もないかのようにミリオさんの身体をすり抜ける。これがミリオさんの個性……『すり抜け』もしくは『透過』ってところか。なるほど……、これなら防御面で無敵だから『一撃でも当てたら俺達の勝ち』って条件でも余裕だったのがわかる。……厄介だな!

 

「!? いないぞ!!」

 

 飯田が言う通りに攻撃の着弾点にはミリオさんの姿がなかった。攻撃がすり抜けるところまでは見えたが、攻撃が地面にぶつかって舞い上がった土埃が晴れた時にはすでにそこにはいなかった。一体どこだ!?

 

 

 ズアッ!

 

 

「まずは遠距離持ちだよね!!」

「え!? ギャアアア!!?」

 

 

 再度耳郎の悲鳴が聞こえてその方向を見ると、上半身裸のままのミリオさんが遠距離攻撃手段を持つ後衛組に攻撃を仕掛けていた。

 

 

「ワープした!?」

「すり抜けるだけじゃねえのか!? どんな強個性だよ!」

 

 

 手合わせを開始して俺がミリオさんに攻撃を仕掛けてから……10秒にも満たない時間で後衛組は一掃されていた。半裸の身体を見れば相当に鍛えられているのが分かる。すっとぼけて人当たりのいいキャラしているが、後衛組を腹パン一発で伸しててなかなかえげつないことしやがる……!

 

「お前らいい機会だ。しっかりもんでもらえ。その人……通形ミリオは俺の知る限り最もNO.1に近い男だぞ、プロも含めてな」

「POWER!!!」

 

 !? 相澤先生が『俺の知る限り最もNO.1に近い男』と評価する程か……。なるほど、俺達の護衛任務に呼ばれたのも納得だな……!

 

「あとは近接主体ばかりだよね」

「何したのかさっぱりわかんねえ!!」

「すり抜けるだけでも凄いのに……ワープとか……!

「それってもう……無敵じゃないすか!」

「よせやい!」

「ビビってんじゃねえ!」

 

 ミリオさんの実力に切島・麗日・尾白が狼狽えるが、それを厳しい言葉で りつける。

 

「轟みてえに複数個性の奴がそうそういるわけがねえ……からくりがあるはずだ。『すり抜け』『透過』……それの応用でワープしてるのか『ワープ』の応用ですり抜けてるのか、どっちにしろ直接打撃で攻撃してきてんだから、実体化する瞬間が必ずあるはずだ……! 動きに惑わされずにそれを見極めるぞ!」

「……へえ!」

「サンキュー爆豪! 落ち着いたぜ……よっしゃ! やったろうぜ!」

「待て! てめえは一旦こっち来い! 前出るんじゃねえ!」

「え!? なんでだよ! 俺の個性は前に出ねえと意味ねえじゃん!」

「バカかてめえは! てめえがいれば負けはねえんだよ! 轟! てめえもだ!」

「はあ!? どう意味だよ!」

「俺もか?」

「……なんだかわかんないけど、俺がやることは変わんないよね!」

「く、来るぞ!!」

 

 ミリオさんが他の連中に向かっていく中で轟と切島にこの対決の勝ち筋を幾つか話す。こいつら自分の個性の強みわかってねえのか!?

 

「……何する気か知らないけど、俺の攻略法探ってみなよ!」

 

 

 ダッ!! スッ……!

 

 

「!? ()()()!?」

 

 切島と轟に説明し終えて向き直ると駆け出したミリオさんが地面に沈んでいくように消えた。やっぱり、ワープというより透過と言う方が正しいか……! こっからどう来る!?

 

 

 フッ……ドガッ! ドグッ! バキッ! ドンッ! バゴッ! 

 

 

「グワッ!?」

「ギャッ!?」

「グエッ!?」

「ガッ!?」

「ウゲッ!?

 

 さっき後衛組を一掃した時と同じように消えた場所から離れた場所に移動して次々に前衛組がワンパンで倒されていく。尾白や砂藤、飯田だけでなく、麗日や葉隠にも容赦なく攻撃・悶絶させていく……マジでえげつねえな!

 

「さてさて……残りは君達だけだけど、勝ち筋ってのがどうか……試させてもらうね!」

 

 

 ダッ!

 

 

 ミリオさんが再び地面に沈んだ。どこから来やがる!?

 

 

 バッ!?

 

 

「ヤッホー!」

「俺かよ!?」

 

 

 切島の方に行きやがった! だが、アイツが俺の言った通りにやれば……!

 

 

 ブンッ! ドガッ!

 

 

「ん!? この手応えは……」

「グッ! 確かに爆豪の言った通りだな。力強えけど、俺の『硬化』なら耐えられるってな!」

「! なるほどね……この個性は一発じゃKOできないね」

「俺だけじゃないッスよ!」

 

 

 ズアッ! ゴォオオオ…………!

 

 

「おっと! これは……轟君の……」

「……あんたの個性が爆豪の言った通り『透過』なら、確かに攻撃は当たらねえがさすがに攻撃するときは個性を解除する。俺が炎を纏えば迂闊に攻撃はできねえだろ……」

「なるほど、考えたね……」

「オラァアア!!!」

 

 

 BBOMB!!! BOMB!!!

 

 

「俺達をまとめて相手するっつったんだから、卑怯とは言わねえっすよね……?」

「……もちろん! ヒーローはこれ以上の窮地に追いこまれることもあるからね!」

「ヨッシャア!! 行くぜ爆豪! 轟!」

「俺が牽制する……! 射線に入るなよ!」

 

 

 パキパキパキ……!

 

 

 轟が足元からミリオさんへ氷結を放つ。地面に立っている時は足に実体があるから避けるか、全身を透過させて沈むはずだ。

 

 

 フッ……

 

 

「沈んだ! だが……ハアッ!」

 

 

 BOMB!!! ドォオン!

 

 

 爆破を地面に向けて放ち、沈んだミリオさんが見えるように抉る。

 

 

「!?」

「ワープつっても移動の瞬間が見えれば対応できるぜ!」

「……考えてるね! それなら……!」

 

 

 パッ!

 

 

「クソッ! 距離取りやがった!」

「落ち着け! ミリオさんは遠距離攻撃持ってねえんだから必ず接近してくる! そこをこっちも複数でカウンターを狙うんだよ!」

「おお! さすが爆豪だな!」

「お前期末試験や林間合宿で何も学んでねえな!」

「お前ら気ィ抜くな、来るぞ!」

「行っくよー!」

 

 ミリオさんが助走をつけてこちらへ向かってくる。どう来るか……!

 

 

 フッ!

 

 

 沈んだ! ワープしてどこに来やがる!?

 

 

 スッ……!

 

 

「こっちか!? ……って何だこれ?」

 

 切島がそばに現れたものを殴ろうと右手を振りかぶると、現れたものに意識が向いた。

 

 

 ……………………………………何だこれ?

 

 

「桃がナッテルヨ!」

「な!? これってし、ギャアアアアア!!?」

「「なッ!!?」」

 

 

 見えていたのは……ミリオさんの尻だった……。それがノーモーションで切島に飛びかかっていき……。

 

 

「隙あり!!」

「グハッ!?」

「切島!」

「あんな手ありかよ……!?」

 

 尻が顔面に向かってきてビビった切島にボディーブローを当ててKOするミリオさん……。あんな手やりたくねえし、やられたくねえ……。

 

「ボサっとしてると危ないよ!」

「なっ!?」

 

 間髪入れず殴り倒した切島を轟目掛けて投げつけてきた! 慌てて纏っていた炎を解除して切島を受け止めるが、その瞬間を狙っていたミリオさんが一気に轟に接近する。

 

「仲間想いだけど今はそれが命取りだよ轟君!」

「グッ!?」

 

 ミリオさんが受け止めた切島をすり抜けて轟にボディーブローを放ち轟が地面に倒れ伏した。なるほど、障害物をすり抜けて攻撃することも可能になのか……。

 

「さて、後は爆豪君だけだね」

「……そっすね、まさかタイマン状態になるとは思わなかったすけど」

 

 全裸で立つミリオさんはシュール過ぎるし直視したくねえが、目を逸らした瞬間にやられるからそうもいかねえ……。

 

「正直、全員一発でKOするつもりだったからここまで粘られてるのは予想外だよ。切島君と轟君、爆豪君の3人でもう少し連携を取られたら危なかったね。大したもんだよ!」

「……褒めるには少し早いんじゃないっすか?」

「……確かにそうだね、それじゃあ決着を付けようか?」

 

 ミリオさんが俺に接近するために構え、俺も迎え撃つべく左手を前に出して構える。一応勝つ方法はあるが、()()()()()()()()()()()だから正直気は進まねえ……。だが、負ける方が死ぬほど嫌だ……! やってやるぜ!!

 

 

「行くよ~!」

「来やがれ!」

 

 ミリオさんが突っ込んでくる。どこかで沈んでワープしてくるからその瞬間にカウンターを合わせる。タイミングは一瞬だが、()()()()()()()はずだ……!

 

 

 スッ!

 

 

 沈んだ! ここから……どう来る!?

 

 

 バッ!

 

 

 !? 裏かかずに正面から来やがった! だが、やる事は変わんねえ! できるだけ距離を稼げるように体を捻りながら右足でサイドキックを放つが、それに合わせて『透過』を発動させて蹴りを避けてくる。

 

「これで終わりだよね!」

「オラァ!!」

 

 

 ドガッ! BBOMB!

 

 

「グアッ!?」

「グッ!?」

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

Side:Izuku

 

ドガッ! BBOMB!

 

 

「グアッ!?」

「グッ!?」

 

 かっちゃんとミリオさんが交錯した瞬間、打撃音とは別に見慣れた爆破・聞きなれた爆破音が目の前で起き、同時に2人の苦悶の声が聞こえた。一体何が……!?

 

「ま、まさか……こんな方法で来るとはね……」

「へへへ……一杯食わせてやりましたよ……」

「かっちゃん! ミリオさん! 何が起こったんですか!?」

「おい、爆豪! 通形! どうした!?」

 

 

 僕と相澤先生が駆け寄るが、すぐには状況はわからなかった。お腹にミリオさんの攻撃を受けたかっちゃんだけど、服も一部焼け焦げてる……。ミリオさんの拳も見ると火傷を負ってる……これって!?

 

「かっちゃん、まさかこれ……!」

「ああ、俺の爆破だ……」

「どういうことだ爆豪」

「いやあ、やられちゃいましたね、こんな捨て身技で来るとは……」

「捨て身技?」

「俺が爆豪君の身体をすり抜けて攻撃を腹に当てた瞬間に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「何!?」

「勝ち負けの話をした時に俺達の勝ちの条件が『一撃でも当てたら勝ち』って言ってたから、超スピードか受けが上手いか……なにかしら打撃を無効化する個性だろうと思って、そん時からこの作戦を思いついてた。まさか、すり抜けて打撃無効化するとは思わなかったがな」

「俺もまさか自分に向けて爆破するとは思わなかったよ……。というワケでこの勝負は爆豪君……A組の皆の勝ちだね」

「やったぜ……イデッ!?」

「かっちゃんの! バカッ!」

「イデッ!? てめえデク! 本気で殴んじゃねえ!」

「本気だったらこんなんじゃすまないよ!! 僕には無茶するなって言う癖に! かっちゃんだって無茶してるじゃないか!?」

「お前みてえに指や腕の骨バキバキに折るのと一緒にすんじゃねえよ!」

「でも!!」

「お前ら黙れ!」

 

 

 かっちゃんと言い争いをしていたら相澤先生に叱られちゃった……。ダウンしてた皆もミリオさんも波動さん、天喰さんも見てる……。ちょっと恥ずかしいかも……。

 

 

「「!?」」

「痴話喧嘩するのは後にしろ。とりあえず、今の戦闘……手合わせか? の総括しろ、通形頼む。お前らもさっさと立て」

「「「は、はい……」」」

 

 相澤先生の声で倒れていた皆がぞろぞろと起き上がり始める。なんというか、皆ダメージ負って動作がゆっくりだからゾンビ映画のワンシーンを観てるみたい……。

 

 

「ギリギリちんちん見えないよう努めたけど!! すみませんね女性陣!!」

 

 ミリオさん、その……ち……とかいうのやめてください……本当に……。

 

「とまァー、こんな感じだよね!」

「わけもわからず全員腹パンされただけなんですが……」

「かろうじて爆豪君が一矢報いたけども……」

「確かに! あんな方法で来るとは思わなかったよねー! ところで、俺の『個性』強かった?」

「強すぎっス!」

「ずるいや、私の事考えて!」

「すり抜けるしワープだし! 轟みたいなハイブリッドですか!?」

「私知ってるよ『個性』、ねえねえ言ってい? 言ってい!? トーカ」

「波動さん、今はミリオの時間だ」

 

 皆の食いつきが凄い! やっぱり、皆気になってたんだ。まあ、訳も分からずに倒されちゃったからそりゃそうなるよね……。

 

「いや一つ! 『透過』なんだよね!」

「おお! 爆豪が予想通りだな!」

「そうそう! 爆豪君正解だったよ! 出久ちゃんに聞いてたわけじゃないよね?」

「ああ。目の前で見てあり得る可能性を上げただけっす」

「で、君達がワープというあの移動は推察の通りその応用さ!」

「どういう原理でワープを……!?」

「それはね……」

 

 

 麗日さんがズズイっとミリオさんに寄って質問をぶつけ、それにミリオさんが透過を応用したワープの原理を丁寧に答えてくれる。僕も組手の合間に少し聞いただけだったんだけど、改めて聞くと本当に不思議だなあ……。これが、個性解除しても反発しなかったら……いや、絵面が怖すぎるから考えるのやめよう……。

 

 

「……? ゲームのバグみたい」

「イーエテミョー!!」

「攻撃は全てスカせて、自由に瞬時に動けるのね……。やっぱりとっても強い『個性』」

「そんなはずねえよな?」

 

 蛙吹さんの言葉にかっちゃんが疑問を呈するように言葉をかぶせる。……やっぱり、かっちゃん気付いてるんだ……。

 

「どういうことだよ爆豪。通形先輩の個激強じゃん?」

「どんな個性にも大なり小なりデメリットはあるだろーが! てめえはアホになるし八百万は個性使い過ぎると脂質が足りなくてガス欠になるし轟でも体温変化があるし俺だってスーツ無しで使い過ぎれば手が焼けただれる。当然ミリオさんの個性にもあるはずだ」

「毎回俺のことアホ言うのいい加減やめてくんない?」

「でもメリットだけの個性って確かにほとんどないよな?」

「いやあ、爆豪君やっぱり勘が鋭いね……。そう、強い『個性』に()()んだよね」

 

 

 それからミリオさんが自分の個性のデメリットを語っていく。僕も以前に組手やOFAの調整の特訓をしてもらった時に教えてもらった。僕も必死で練習して指先から少しずつ個性を発動できるようにしていって部分的にコントロールできるようになったんだよね……。

 

 

「これ急いでる時ほどミスるな、俺だったら……」

「おまけに何も感じなくなってるんじゃ動けねー……」

「そう、案の定俺は遅れた!! ビリっけつまであっという間に落っこちた。服も落ちた」

 

 ミリオさん、服に関しては言わなくてもいいです……。

 

「この『個性』で上に行くには遅れだけはとっちゃだめだった!! 予測!! 周囲よりも早く!! 時に欺く!! 何より『予測』が必要だった! そしてその予測を可能にするのは経験! 経験則から予測を立てる!」

 

 ミリオさんが自分の頭を人差し指でトントン突っつきながら自身の経験を熱く語る。あんなに強く連打して大丈夫かな……?

 

「長くなったけどコレが手合わせの理由! 言葉よりも『経験』で伝えたかった! インターンにおいて我々は『お客』ではなく一人のサイドキック! 同列(プロ)として扱われるんだよね! ……それはとても恐ろしいよ、時には人の死にも立ち合う……。」

 

 そこでミリオさんが言葉を切り、僕ら一人一人の顔を見るように視線を動かしていく。表情からは実際にその状況に立ち合ってきたことが感じられた。

 

「けれど恐い思いも辛い思いも全てか学校じゃ手に入らない一線級の『経験』。俺はインターンで得た経験を力に変えてトップを掴んだ! ので! 恐くてもやるべきだと思うよ1年生!!」

 

 ミリオさんが前に掲げた右拳を握りしめながら力強く言葉を伝えた。僕にも時々話してくれていた、インターンの実態。厳しいことも大変なこともあるけど、だからこそかけがえのないものなる。周りに目を向けると皆真剣な表情でミリオさんの話を聞いていた。

 

「話し方もプロっぽい……」

「まあ百聞は一見にしかず、と言いますので手合わせしていただけて良かったですが……」

「でも『お客』か。確かに職場体験はそんな感じだった」

「危ないことはさせないようにしてたよね」

「そろそろ戻るぞ。爆豪、その怪我は婆さんに治してもらわないで通常の手当てで治せよ」

「!」

「訓練での怪我ならともかく捨て身の攻撃は自力で治せ、いいな」

「……わかりました」

「爆豪君、俺からもいいかな?」

「ミリオさん?」

「君の洞察力は素晴らしいものだよ。ただ、攻撃方法は俺の個性と勝利条件から導き出したとはいえあまり褒められたものじゃない。その辺り、今後は気をつけて欲しい」

「……わかりました」

「そうだよかっちゃん!! あんな無茶なやり方して!!」

「お前が言うなや!!」

「デクちゃんも爆豪君のこと言えんよ!!」

「ひゃあ、う、麗日さん!?」

「そうだね、爆豪も緑谷にだけは言われたくないと思うよ?」

「ザ・捨て身と言えば出久ちゃんだもんね!」

「芦戸さんも葉隠さんも酷い……」

「前科があるから諦めな緑谷」

「出久ちゃん、これからも無茶しないでね?」

「皆さん心配しているんですよ?」

「あれ? なんで僕が叱られてるんだろ?」

 

 手合わせの講評、かっちゃんへのお小言から僕への説教になっちゃった……。僕手合わせを見学してただけなのに……。少々理不尽さを感じながら僕らは次の授業に備える為、更衣室へと向かった。

 

 ……やっぱり納得いかない……。

 




というわけで第64話でした! いやあ、この話なかなか難産でしたね! 正直、原作でもミリオの『透過』って防御面に関しては最強の個性の一つじゃないですか? それを打ち崩すとしたらやっぱり相打ち覚悟の一撃しかないと思うんですよ! で、それを思いついてなおかつ実行するとしたらかっちゃんかなあと思い、このような形になりました。これにはデクちゃんもオコでしたけど、普段のデクちゃんの方がアレなので女子メンバーから総ツッコミを受けていましたがw いよいよ次話辺りから本格的なインターンの話になってくるので、今後も展開に頭を悩ませながらも投稿していくので、応援よろしくお願い致します♪
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