僕のヒーローアカデミア~諦めから始まる物語~   作:キョンP

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お待たせしました、またまた時間空いちゃいましたが第66話です!
それでは、どうぞ!


第66話 インターン!!

Side:Izuku

 

「私の手から印鑑を奪い、契約書に押印したまえ。それが君に課す試験だ……!」

「僕が……ナイトアイさんから……!?」

 

ナイトアイさんから僕をインターンに採用するための試験内容が告げられた。ミリオさんからも試験があるとは聞いていたし、内容を変えるかもしれないとは言っていたけど。一体、なんで……。

 

「ナイトアイさん、その、印鑑を奪うって言うのは……」

「言葉の通りだ。私からは一切手は出さない。私にどんな攻撃を仕掛けても構わないし、この室内がどうなってもいい。奪ってみなさい」

「なんで……」

 

 ナイトアイさんの意図がわからない。もう一年以上の付き合いになるけど、どうして今になって僕を試すようなことを……。

 

「戸惑っているようだね」

「……はい」

「先ほど君の意志を尊重するとは言ったが、無条件で君を採用するわけではない。ヒーローの中では特に身体能力に秀でている訳ではない私を攻略できないようであれば、時期尚早として今回のインターンは見合わせてもらう」

「……」

 

 ナイトアイさんと視線が合う……。これは、ただのインターン採用試験じゃないんだ。ナイトアイさんが、僕が……オールマイトの後継者としてやっていけるかを見極めるための試験なんだ……!

 

「……わかりました! よろしくお願いします!」

「時間は今から3分だ。……かかってきたまえ」

 

 

 ダンッ!!

 

 行きますよ! ナイトアイさんが印鑑を手に持ってかかってくるように行ってから間髪入れずに突進する。OFAフルカウルでまず正面から向かって……。

 

「正面奪取……」

 

 ナイトアイさんがそう言って体の前に掲げていた印鑑を胸元に引き寄せる。それなら、一度低く足元へ向かってから……! 

 

「と思わせてからの……頭上」

「……!?」

 

 

 スカッ!

 

 僕の動きが読まれていた……いや、()()()()()()()のように印鑑を動かされ僕の左手が空を切る……? いや、ここからグラントリノとの特訓で身に着けた壁蹴りを使えば……!

 

 

 ダッ! ダンッ!

 

「からの再び突撃」

 

 スカッ!

 

 

 背後から印鑑を狙ったのに最小限の腕の動きで躱されてしまう! ま、まだまだ……! 身体を捻り再び壁で勢いをつけて……!

 

 バッ! ダンッ!

 

「全て見えている」

 

 ス……スカッ!

 

 次は一歩だけ動いて僕の突進を避ける。まだだ! 手数で上回れれば……!

 

 

 一分後、僕は何の有効策を打てずにいた。

 

「一旦距離を置く、そして……焦燥。私の『予知』を()()()()()()事実に対して」

 

 予知……ナイトアイさんやミリオさんに教えてもらった『予測』とは根本的に異なるモノ……! 体験するのは初めてだけど……これは発動できれば防御面では無敵なんじゃないか!?

 

「さて……残り時間は2分を切っている。私としては君にもっと奮起してほしいところだが……。それとも、このまま動けずタイムアップを迎えるのかね?」

「……! まだまだ、行きますよ!」

 

 試験の最中なのに……僕に発破をかけてくれる。ここで頑張れなかったらオールマイトにもナイトアイさんにも、ミリオさんにも申し訳ない! やってやる!

 

 上回れ……! 上回れ!! ()()()()反応出来ぬ程!!

 

 

 ダダダダダッ!!!

 

「! これは……」

「印鑑は押させてもらいます! 絶対に認めさせてみせます!!」

 

 グラントリノさんの直伝……じゃなくて見様見真似だけど、今まで以上の手数とスピードで予知を『見て』から『動く』までの暇を与えない! 『下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる』的な発想だけど今の僕にはこれしかない!

 

「なるほど、グラントリノのように壁や天井を利用しての高速移動……。だが、スピードは合ってもまだまだ甘い。それに……私の個性が発動した以上それも無意味。1秒後でも1分後でも1時間後でも……君が何をしているか私には見えている」

 

 僕が縦横無尽に高速でナイトアイさんに向かっていっても、ナイトアイさんは最小限の移動、動きで僕の攻撃を避けなおかつ頭をポンと叩いてきた。……痛くないけど、これが本気の一撃だったらその時点で僕は負けてるよね……。でも、まだまだ……!

 

「その程度の動きでは私の予知を打ち破れないぞ」

 

 クソ! 僕の限界のOFA5%で動き続けてるのに全然当たる気がしない! 何か……別の視点から……!

 

『君が何をしているか私には見えている』

 

 

 ナイトアイさんのさっきの言葉、頭の中でずっと引っかかっていた。ナイトアイさんの予知で見えるのは『未来の事象』全てなのか? それとも『予知対象者の行動』なのか? それを確かめることができれば……!

 

 ガッ! ブォワッ!!

 

「!」

「すみません! 部屋がどうなってもいいって言いましたよね!?」

 

 

 もし後者なら、無秩序(ランダム)に飛散する本や机などの物体には予知は及ばないはず!

 

 

 スッ……

 

 

  ! ナイトアイさんが顔付近に飛んで来た書類の束を払いのけるように左腕を顔の前に持ってきた。今なら……!

 

  行っけえぇええ!!!

 

 

 スカッ!

 

 

「あれ!?」

「残念だが、見えるものは変わらない」

 

 ウソッ!? 避けられた!? でも、まだだ! もう一回……! ……!?

 

 ゴッ!!

 

「ぷぎゃ!?」

「…………」

「痛たたた……はっ!? まだ……!」

「終わりだよ、3分経過した」

 

 そんな!? 試験課題を突破できなかった……。

 

「……最後の激突、君らしくなかったね。直前の攻撃が避けられて気が抜けたのかな?」

「気が抜けたわけじゃないです……」

「ならばミスか? なおさら君らしくないが」

「オールマイトのヒーロー活動10周年記念の非売品タペストリー、踏むとこでした」

「!? ………まさか、オールマイト達を全て避けながらグラントリノのように跳ねていたのか……」

「……この部屋にあるオールマイトグッズはナイトアイさんがとても大切にしていると知っているからなおさらできません……」

 

 仮に……オールマイトグッズを気にしなければもう少しスピードと角度を変えバリエーションを増やせたかもしれないけど……ナイトアイさんの予知の前では無意味だったかもしれない。それに……やっぱりオールマイトグッズを踏むことは僕にはできないよ……。

 

 ……ん? ナイトアイさん、口元を抑えて……笑ってる?

 

 

「サー、失礼しまァす!!」

「なんか凄い音してましたけど? サー、出久ちゃん、試験は終わったんですか?」

 

 扉が開いてミリオさんとバブルガールさんが元気よく入ってきた。試験がダメだったのが申し訳なくて2人の顔が見れない……。

 

「ああ、採用だよミリオ、バブルガール」

「わあ!! おめでとう出久ちゃん! やったね!」

「おめでとう出久ちゃん! 今日からよろしくね!」

「ええっ!? 全く達成できてないですけど!?」

「印鑑を奪り自分で押せとは言ったが、出来なければ不採用とは言ってないよ」

「そ、そんな!? 確かにそうですけど……」

「正直なところ、私の個性を発動させた段階で君が試験課題を達成させることはかなり困難だった」

「そう、ですか……」

「だが、そんな状況でも諦めずいかにして打開策を講じるか、私はそれを見たかった……」

「ナイトアイさん……」

 

 そう言ってナイトアイさんが蹲っていた僕に近寄り、持っていた印鑑を手渡した。

 

「これを押せば、インターンの身分だが君は我がナイトアイ事務所の一員となる」

「……」

 

 ナイトアイさんが僕を見つめて、静かに……しかし力強く語りかけてくる。

 

「インターン中は仮免許でもヒーローと同列として扱われる。そこに甘えは許されない。……だが、君なら乗り越えられると私達は信じている」

「……わかりました。ナイトアイさんの、皆さんの期待に応えられるよう頑張ります!」

 

 カバンからインターン契約書(プリント)を取り出して、採用先の押印欄に受け取った所長印を押す。……これで……!

 

「ようこそ、ナイトアイ事務所へ。今日からよろしく頼むよ、緑谷君」

「よろしく出久ちゃん! 頑張ろうね!」

「よろしく出久ちゃん! あー! やっと出久ちゃんと一緒に働ける! 前にもちょくちょく手伝ってくれてたけど」

「ナイトアイさんよろしくお願いします。ミリオさん、バブルガールさんもよろしくお願いします」

「では、一旦ここを片付けてから下に行こうか。センチピーダにも報告しなければならないからね」

「ああ!? ごめんなさい! 部屋こんなにめちゃくちゃにしちゃって!」

「構わないよ。私が何してもいいと言ったからね」

「よし! じゃあ、片付けしよっか! ミリオ君急いで。センチピーダも早く出久ちゃんと話したいだろうし」

「オッケー! それじゃあ、机を……」

「ああ! 僕やります!」

 

 そんなこんなで散らかしてしまった所長室を片付けてから僕らは1階の執務室へ向かった。

 

 

「センチピーダさんお疲れ様です」

「やあ、緑谷君。その様子だと採用試験は大丈夫だったかな?」

「ええ、一応というかなんというか」

「おめでとう、これからよろしくね」

「はい、よろしくお願いします」

「さて、それでは全員集まったところでミーティングを始める」

 

 センチピーダさんへの挨拶が済んだところでナイトアイさんが皆に呼びかける。執務室内のテーブルに集まり、ナイトアイさんがミーティングを始める。

 

「まず初めに連絡事項として、本日より緑谷君がインターンとして働くことになった。以前から我々の事務所に出入りしていた顔なじみだが、そんな彼女がここで働くということに感慨深いものがある」

「そ、そんな! ナイトアイさんちょっと恥ずかしいですよ……」

「現在は彼女も仮免許を持つセミプロ、厳しいこともあるがそれを糧に成長してくれると信じている。是非とも頑張ってくれたまえ」

「はい、皆さんと仕事ができることを楽しみにしてました。今日からよろしくお願いします!」

「「よろしく、出久ちゃん!」」

「よろしく、緑谷君」

 

 僕が挨拶をすると皆が拍手で僕を歓迎してくれた。それだけで胸が熱くなり、頑張りたいと思えてくる。皆の期待に応えなくちゃ!

 

「では、緑谷君は今日はバブルガールと事務所でインターン手続きと事務作業をしてもらう。本格的な活動は明日から行う。ミリオとセンチピーダは引き続き打ち合わせを行う。それでは本日もよろしく頼む」

「「「イエッサー!」」」

「い、イエッサー!」

 

 事務所内に全員の声が響く。これからここで頑張るんだ! やってやるぞー!!

 

 

 と息巻いたものの初日は事務所で作業をするよう言われていたので僕自身は何事もなく、またパトロールでも今日は特に何もなかったらしくミリオさんも定時上がりとなった。

 

「今日はお疲れ! といっても出久ちゃんは内勤だったし、俺の方もパトロールで何も起こらなかったけどね」

「ミリオさんもお疲れ様でした。確かに僕の方はバブルガールさんと僕自身の手続きや普通の事務作業してましたけど、パトロールはやっぱり気が抜けないじゃないですか?」

「まあ、そこはメリハリというかね、慣れな部分もあるからね。明日からは出久ちゃんもやっていくからその辺もコツとか教えていくね」

「はい! お願いします!」

 

 他愛のない会話をしながら僕らは雄英へと帰っていった。

 

 

「ただいま~」

「あ、お疲れ~!」

「お疲れ出久ちゃん!」

「どうだったインターンは?」

 

 寮に戻るとリビングでくつろいでいた芦戸さん、葉隠さん、耳郎さんが出迎えてくれた。

 

「うん、今日はインターン採用試験と軽い事務作業をして、明日から本格的なパトロールする感じだよ」

「え゛!? インターンに採用試験ってあるの!?」

「えーっと、事務所によるんじゃないかな? 僕は一応ミリオさんから前にちょっと聞いたことあったから」

「ちなみにどんな試験だったの? 普通に筆記試験とか?」

「ううん、ナイトアイさんの持ってる印鑑を奪って自分で契約書に押すって試験」

「どういう試験なのそれ!?」

「で、どうだったの!?」

「まあ、一応採用になったけど……。でも、今日は採用試験と軽いミーティングと事務作業で終わっちゃったから本格的にやるのは明日からだね」

「そうなんだ~。他の皆はどうなんだろ?」

「麗日さんや蛙吹さん達はまだ帰ってきてないの?」

「緑谷が最初だね。他の皆ももう少しだと思うけど……」

「ただいま~!!!」

「ただいま」

「ただいま戻りましたわ」

 

 耳郎さんの言葉に返事するようにドアが開き麗日さん、蛙吹さん、八百万さんが入ってきた。ちょうど帰るタイミングが同じだったみたいだ。

 

「3人ともお帰り。僕も今帰ってきたところだよ」

「デクちゃんお疲れ~!」

「出久ちゃんお疲れ」

「緑谷さんお疲れ様ですわ」

「麗日達もおかえり。緑谷にも少し聞いたけどそっちはどうだった?」

「私達は梅雨ちゃんと波動さんと一緒にパトロールしたよ」

「幸いというか、特に何もなくて平和だったけど。百ちゃんはどうだったかしら?」

「私の方もパトロールをしましたわ。他には事務処理の手伝いを少々」

「マジェスティックはどうだった?」

「ええ。とても丁寧に指導していただきましたわ。それにリザーディ……取蔭さんともいろいろお話しできましたからとても勉強になりましたわ」

「取蔭のヒーロー名ってリザーディって言うんだ、なんかカッコいいね」

「話って何!? エロい話したの!?」

「どうしてそうなるのですか!? インターンを始める前の準備や今日の仕事前のミーティングについてですわ!」

「デクちゃんはどうだった?」

「うん、僕は今日は内勤で明日からがパトロールだよ」

「そうなんやね。私達はどうやろな~? 基本パトロールだと思うけど……」

「おい、玄関でモタモタすんな。邪魔だろーが」

「お、お前らも今帰って来たのか?」

 

 かっちゃんの声がしたので後ろを向くとかっちゃんと轟君が着いたところだった。これで今日インターンと特別講習に出た全員が返ってきたことになる。

 

「かっちゃん! 講習どうだった?」

「そんなん余裕だわ、俺を舐めんな」

「まあ、今日の内容は学校でも習った基本的な考え方だったな」

「アンタらの場合、実技じゃなくて心構えが問題だからそこが大切でしょ」

「耳郎さん直球過ぎるよ」

「おーい! お前らいつまで玄関でたむろしてんだよ!」

「もうすぐ晩飯だから、早く風呂入ってきて準備手伝えよ!」

 

 僕らが玄関からいつまで経ってもリビングに来ないから上鳴君や瀬呂君がやってきて声をかけてきた。

 

「ごめーん! 今行くよ!」

「あれ、アンタらだけ? 切島は?」

「え? お前聞いてねえの? あいつ午後からインターン行ったぞ」

「え!? 聞いてないよ!? いつの間に!?」

「なんかビッグ3の天喰先輩にごり押ししてOK貰えたからって急いで行ったな」

「あいつ~!!! 裏切り者~!」

「ちなみにどこに行ったの?」

「確か大阪つってたから結構時間かかるんじゃないかな?」

「もしかしたら、あっちに泊まりの可能性もあるかな」

「そんな!? なおさらズルいよ!」

「はいはい、私達も勉強頑張ってからインターン行こうね〜♪ さあ、晩御飯食べよ〜♪」

 

 地団駄を踏む芦戸さんを宥めながら、葉隠さんが芦戸さんをリビングへ連れていく。僕らも長く話し込んでいた玄関から晩御飯に備えるために自分の部屋に向かった。

 

 

「そっか〜、今日は本当に座学だけだったんだね」

「もう2、3回してから実技に移るらしい。とっとと進めて欲しいぜ」

「そこはアレっしょ? さっき耳郎も言ってたっぽいけど、爆豪や轟は実技面より考え方とか相手への対応とかそこが課題ってことだろ?」

「黙れアホ面、爆破して髪アフロにするぞ」

「脅しのパターンが変わった!?」

「それにしても緑谷のところ、なんつーか結構スパルタというか武闘派な感じだな、採用試験に戦うとか」

「意外だよね、ナイトアイってそんな話とかイメージなかったから」

「そもそも相澤先生も一番最初の説明で職場体験でのコネが必要って言ってたから、事務所まで言ったら普通にインターンできるって思っちゃったよね」

「それから言うと今日ゴリ押しした切島なおさら凄えな、あっちでダメって言われる可能性あるのに」

「天喰先輩は押しに弱そうだからなんとかなりそうではあるけど……」

「確か天喰さんのインターン先は『BMIヒーロー』ファットガムで関西ノリなヒーローって評判だから二つ返事でOKが出たのかも」

「おお、ヒーローオタクの緑谷が言うんならその通りなのかもな」

 

 

 晩御飯が終わって、リビングでくつろぎながら今日のインターンの話やかっちゃん達の特別講習の話で盛り上がった。寮にいたメンバーも自主トレやら自習で有意義に時間を過ごしていたみたい。

 

 

「君達! 話が盛り上がるのは結構だがもうすぐ消灯時間だ! 明日が日曜日でも生活は規則正しく行うべきだ! それにインターンや講習に行く人達もいる、就寝の準備を始めよう!」

「え~! もっと話したいよ~!」

「まあまあ、飯田の言うことも正しいからさ」

「それにこうやってブレーキ入れる奴がいないとマジで歯止め効かなくなっちまうからな」

「それにインターン組や講習組は明日も朝からだろ? 早めに休ませてやろうぜ」

「ムムム……! よし! 葉隠、耳郎! 私の部屋で話そう! 夜通しで!」

「いいよ~! 響香ちゃんもいいよね!?」

「お、いいね! さすがに夜通しはキツいかもしれないけど」

「俺らもやるか、峰田部屋で!」

「いいぜ! 俺厳選のコレクションを見せてやるぜ!」

「そうと決まったら早く行こうぜ~!」

 

 あっという間に消灯時間になり飯田君が就寝を呼びかけるが、芦戸さんや葉隠さん達はプチ女子会をするみたいで、上鳴君や峰田君達も同じくプチ男子会をするみたい。僕らもやりたいけど、明日もあるからさすがに厳しいなあ……。

 

「デク」

「ん? 何かっちゃん?」

「明日からパトロールつってったけど……無茶するなよ」

「……うん。かっちゃんも、他の人達に迷惑かけないでよ?」

「ハッ! モブ共には興味ねえわ!」

「もう! またそんなこと言う!」

「おーい、毎度毎度痴話喧嘩もいい加減にしろよ~」

 

 そんな感じで皆に冷やかされながら僕らは自分の部屋に戻っていった。

 

 

 翌日、僕は昨日と同様にナイトアイ事務所に出勤した。事務所に着いてヒーローコスチュームに着替えてから執務室内でミーティングが始まった。今日から本格的な活動、頑張らなきゃ!

 

「本日はパトロール兼監視。私とバブルガール、ミリオと緑谷君の二手に分かれ行う。センチピーダは事務所にて情報収集、緊急通報があればすぐ我々に連絡を入れるように」

「監視?」

「ナイトアイ事務所は今秘密の捜査中なの」

 

 『秘密の捜査中』!? そんなのに僕が参加して……いや、僕も仮免許を持つセミプロだから守秘義務も当然課される。気を引き締めていかないと。

 

「『死穢八斎會(しえはっさいかい)』という小さな指定(ヴィラン)団体だ。ここの若頭『治崎』という男が妙な動きを見せ始めた。ペストマスクがトレードマークだ」

 

 ナイトアイさんが説明しながら監視対象の治崎の写真を見せてくれた。歴史か何かの教科書で見た『黒死病(ペスト)』から身を守る為の嘴型のマスクを付けてる短髪の漢の人がそこに写っていた。

 

指定敵団体(ヤクザ者)……でも今そういう人達っておとなしいイメージですけど……」

「過去に大解体されてるからね。でもこの治崎って奴はそんな連中をどういうわけか集め始めてる。最近敵連合とも接触を図ったわ、顛末は不明だけど」

「敵連合……!?」

 

 なんで死柄木達と接触するんだ!? AFOというブレーンを失った敵連合と力を失って徐々に衰退していっている指定敵団体……2つが手を組もうとしているのか!?

 

「ただ奴らが何か悪事を企んでいるという証拠を掴めない。その為に八斎會は黒に近いグレー、敵扱い出来ない。我がナイトアイ事務所が狙うのは奴らの犯行証拠(シッポ)。くれぐれも向こうに気取られぬように」

「「「イエッサー!!」」」

 

 

 ミリオさん……ルミリオンと街を見まわしながら歩いていく。考えてみたらグラントリノとの職場体験の時は結局パトロールできなかったから何気に初めてかも……。

 

 

「緊張する……」

「あれ? パトロールくらい職場体験でもやってるよね? あ! 敵連合の襲撃がトラウマ?」

「い、いえ! 諸事情でパトロールは実践してなくて……」

「へえー、変わってんね! 大丈夫! 今回実際にホシの敷地近辺を監視するのはサー達で、俺達は周辺区域のパトロール! 色々教えるよ」

 

 ルミリオン……頼もしい……! そういえば雄英合格後とか体育祭とか、ルミリオンに色々教えてもらうことが多いな……。オールマイトやグラントリノって結構口での説明より実戦って感じだったからな~。

 

「あ! そういやさ、ヒーロー名聞いてなかったよね!」

「確かに! 僕のヒーロー名は『デク』です」

「……デク!? 木偶? あれ? 確か爆豪君もそう言ってなかったっけ? 出久ちゃんと爆豪君付き合ってるって言ってたけどいいのソレ?」

「え、え~っと一応いろんなことがありまして……でもこれでいいんです!」

「……まあ出久ちゃんがいいならそれでOKだけどさ。よし! それじゃあ気合入れていこうか! コスチュームを纏って街に出れば俺達は『ヒーロー』だ! 油断するなよデク!」

「はい! ルミリオン!」

 

 ルミリオンの声に力強く返事をする。ルミリオンを参考に周囲を見渡しながら、でも挙動不審にならないようにして街を見回る。街の人もヒーローがパトロールするのを見慣れているのか特に僕らを気にすることなく歩いていく。ナイトアイさんとバブルガールさんは大丈夫かな? バレないことを優先するって言ってたけど、いくら衰退してるとはいえ指定敵団体に2人はちょっと危ない気が……。

 

 トン……。

 

 周囲を見て歩いていたら左の腰に何かが当たる感触がした。少し驚いてそこに目を向けると……病院で着るような服に身を包んだ白髪に右の額から角の生えた女の子がぶつかった衝撃でしりもちをついていた。

 

 

 ……ここから、僕の長いインターン活動が始まった……。




というわけで第66話でした! いよいよ本格的にインターンが始まります。なかなか投稿ペースが上げられませんがそれでも細々と続けていくのでお願いしますw とうとう壊理ちゃんと邂逅しましたが、原作と違ってデクちゃんが女の子なのでその辺りがインターン編でもどう変化するか、自分でも少し頭を悩ませていますw 今後もマイペースで投稿していくので、応援の程よろしくお願い致します♪
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