僕のヒーローアカデミア~諦めから始まる物語~   作:キョンP

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お待たせしました、第67話です! 今回は少し間が空いてしまいました!
それでは、どうぞ!


第67話 邂逅、葛藤

Side:Izuku

 

「ごめんね、痛かったよね?」

「……あ」

 

 ぶつかってしりもちをついた女の子にしゃがみながら声を掛ける。ぶつかったことにびっくりしたのか、女の子は表情が強張って上手く言葉が出せないようだった。

 

「立てない? どこか怪我しちゃった? 大丈夫?」

「ダメじゃないか、ヒーローに迷惑かけちゃあ。……帰るぞエリ」

 

 転んだときに怪我をしたのかもしれないと思って声を掛けると女の子の背後から男の人の声がして目を向けると……パトロール前のミーティングでナイトアイさんから説明のあった『死穢八斎會(しえはっさいかい)』の治崎の姿があった。この子、エリちゃんって言うのか? 一体どういう関係なんだ? そもそもなんで路地の奥からやって来たんだ?

 

「うちの娘がすみませんね。遊び盛りでケガが多いんですよ、困ったものです」

 

 娘!? この子が、治崎の!? そんな情報はナイトアイさんも把握してなかった! 一体どういう……。治崎は落ち着いた声音で話しているが、目が全然笑っていない。写真で見た通り、整っているけど鋭さを感じさせる切れ長の目……。

 

 

 パサッ!

 

 

「まーたフードとマスク外れちゃってるぜ。サイズ調整ミスってんじゃないか!? こっちこそすみません!」

「!?」

 

 僕のコスチュームのフードを僕に被せてミリオさんが治崎に言葉をかける。一体何を……。

 

 ……! そうか、表情……! 『嘘だろ』って想いが顔に出てた……! いけない、お互いに何も知らない状況なんだ。怪しまれればナイトアイさんの仕事に支障が出る! 無難に……自然にやり過ごさなくちゃ……!!

 

「その素敵なマスクは八斎會の方ですね! ここらじゃ有名ですよね」

「ええ、マスクは気になさらず……汚れに敏感でして。お2人共初めて見るヒーローだ、新人ですか? 随分お若い」

「……そうです! まだ新人で緊張しちゃって! さ! 立てよ相棒。まだ見ぬ未来に向かおうぜ」

「どこの事務所所属なんですか?」

 

 !? 治崎の雰囲気が変わった!? 僕達を警戒してるんだ……! 何故……エリちゃんか!?

 

「学生ですよ! 所属だなんておこがましいくらいのピヨッ子でして……職場体験でいろいろ回らせてもらってるんです。では我々、昼までにこの地区を回らないといかんので! 行くよ!」

「は、はい……っ」

 

 ミリオさんも気づいたんだろう。情報を与えないようにやり過ごそうとしている。なんにせよ治崎に娘がいるっていう思いがけない情報が得られた。すぐナイトアイさんと合流して……。

 

 

 ギュッ

 

 

「いかな……いで……」

「!?」

 

 震える小さな声でそう言ってエリちゃんが僕の服を掴んだ。……おびえてる……。

 

「あの……」

「「?」」

「娘さん、怯えてますけど」

「……叱りつけた後なので」

「(デクちゃん、余計な勘繰りはよせ!)行こう」

「いやァでも、遊び盛りって感じの包帯じゃないですよね……」

 

 この子が僕を掴んで放さない……。

 

「よく転ぶんですよ」

「こんな小さい子が声も出さず震えて怯えるって、普通じゃないと思うんですけど」

 

 そうだ、自然じゃない。

 

「人の家庭に自分の普通を押しつけないで下さいよ」

「性格は様々だよね(やめるんだ……! 明らかに詮索を嫌がってる! 警戒が強まれば益々シッポを出さなくなる! 無難にやり過ごすんだ!!)」

 

 ミリオさんの言うこともわかる。ここで詮索を続ければ治崎はより慎重に行動するようになるだろう。でも、エリちゃんがここまで怯えていてそれを見過ごす方が怪しまれる、不自然だ。

 

 

『コスチュームを纏って街に出れば……俺達はヒーローだ!』

 

 

 ……ヒーローが怯えた子どもをやり過ごすわけがない!

 

 

「この子に何してるんですか?」

 

 

 もう後には引けない……!

 

 

「……ふう。全くヒーローは人の機微に敏感ですね、わかりました」

「「!」」

「恥ずかしい話です。人目につくし……こちらに来てもらえますか?」

 

 治崎がそう言って振り返り路地についてくるよう促す。どうする? ミリオさんにどうするか視線を送る。

 

「(何があっても俺が対処する。その子を連れ去るワケにもいかない)」

「(す、すみません……)」

「(ここまで来たら腹を括るさ。気を引き締めるんだよ、デクちゃん!)」

 

 ミリオさんと小声で意志を確認し合い、しがみつくエリちゃんを抱きかかえて治崎の後を追って路地に入る。徐々に表通りの音が小さくなっていく。

 

 

「実は最近エリについて悩んでまして、何を言っても反抗ばかりで」

「(虐待……か?)」

「子育て……ですか? 大変ですね……」

「ええ、難解ですよ子どもは。自分が何者かになる・なれると本気で思ってる」

 

 スッ……グイ

 

「「!」」

「!?」

 

 治崎の気配が変わり、左手の手袋に指をかける動きを見せる。何か仕掛けてくるのか!?

 

 ……その瞬間。

 

 バッ!

 

 エリちゃんが抱えていた僕の腕から降りて治崎の方へ早足で向かっていった。

 

「え……!?」

 

 なんで!? さっきまで怯えて……いや、今も怯えているハズなのに!

 

「なんだ……駄々はもう済んだのか?」

「……」

 

 治崎の問いにエリちゃんが小さく頷いた。後姿からその表情はわからないけど、微かに震えているのはわかる。それなのになんで……。

 

「え、あの……エリちゃん……!?」

「いつもこうなんです。すみません、悩みまできいてもらって。ご迷惑おかけしました。ではお仕事、頑張って」

 

 治崎はそう言って会釈し、会って最初のような上辺だけの笑顔でそのまま路地の奥へと歩いていった。

 

「待って……!? なんで……」

「追わないよ。気付かなかったかい? 殺気を見せつけてあの子を釣り寄せた」

「そ、それは……」

 

 エリちゃんを追おうとする僕をミリオさんが制止する。一応殺気は感じたけど、それでもエリちゃんを救けたくて身体が動いていた。

 

「深追いすれば余計捉え辛くなる、サーの指示を仰ごう」

「……はい」

 

 ポツリポツリと降り始めてきた雨を頬に受けながら、ミリオさんの提案に小さく返事した。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

死穢八斎會事務所付近の路地

 

「しっかしまー弱小とは言えさすが生き残った極道ですね。塀は高くて窓は少なくて……良い家に住んでますわ」

 

 出久・ミリオと別れたナイトアイとバブルガールは死穢八斎會事務所の監視を行っていた。小雨が降り始める中でも監視を続けてきたが、事務所前では動きはあまり見られなかった。

 

「マークから一週間半……いつもより人の出入りが無いな」

「確かにそうですね~、何かあったんでしょうか……あれ、電話? もしもし、こちらバブルガール」

 

 訝しむナイトアイに相槌を打っていたバブルガールのスマホが振動する。電話に出るバブルガールからナイトアイが事務所に視線を戻すが……。

 

「ええ!!? それホント!?」

「バブルガール静かに! ……何があった?」

「は、はい。その……ルミリオンと出久ちゃん、治崎と接触したらしいです……!」

「何……!?」

 

 流石にナイトアイも驚いた。主な監視目標の治崎が自身の監視を潜り抜けてしかもパトロールをしている出久達と遭遇するとは想定すらできていなかった。

 

「どうしますか?」

「……一旦監視は中断、ルミリオン・緑谷君と合流して情報の共有だ。ここから少し離れたコンビニの傍で待ち合わせる、そこに来るよう伝えてくれ」

「了解。ルミリオン、死穢八斎會事務所から少し離れたところにコンビニがあるからそこに来て。一応場所は転送するね」

 

 通話を終え、待ち合わせ場所を転送するとバブルガールは事務所を監視していたナイトアイに声を掛けた。

 

「サー、ルミリオン達に伝えました。5分くらいで到着するようです」

「私達も向かおう。一応追手がいないか注意するように」

「了解」

 

 周囲に気を付けながらナイトアイ達は出久・ルミリオン達との待ち合わせ場所へと向かった。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

Side:Izuku

 

ナイトアイとバブルガールさんとの待ち合わせ場所のコンビニに行くとすでに2人は到着していた。

 

「ナイトアイさん! バブルガールさん!」

「サー! バブルガール!」

「出久ちゃん大丈夫!? ルミリオンも!」

「はい、一応大丈夫です」

「ルミリオン、緑谷君。状況の説明を頼む」

 

 挨拶もそこそこにナイトアイさんが僕達に説明を求めてきて、それにミリオさんが応える。

 

「じゃあ俺から。サー達と別れてデクちゃんとパトロールしてたんですけど」

「でく? ルミリオン何それ?」

「出久ちゃんのヒーロー名ですよ、変わってるよね。と、そしたら路地から出てきた小さな女の子がデクちゃんにぶつかってきて……さらに後ろから治崎が現れたんです」

「女の子?」

「エリちゃんっていう名前で治崎が娘って言ってました」

「娘!? そんな情報はどこにもなかったわよ……!?」

「俺達も状況把握に必死で……当たり障りなくその場を離れようとしたんですけど、エリちゃんがデクちゃんにしがみついて離れなくて……」

「それにエリちゃん、病院服みたいなのを着て両腕に包帯も巻いてて……とても怯えていて、救けを求めているように感じました。それを見て見ぬ振りはできませんでした……」

「その後少し場所を路地の奥に変えて会話を続けると、治崎が急に殺気を出してエリちゃんを引き寄せて……そのまま行っちゃいました」

 

 ミリオさんと僕の説明が終わるとナイトアイさんは少しの間目をつぶってから口を開いた。

 

「まず、2人が無事なことは安心した。しかし、緑谷……デク」

「はい……」

「困っている人を救けたいという君の性分は良く分かっている。しかし、その気持ちだけで乗り切れるほどプロの仕事は甘くないし、(ヴィラン)も容赦してはくれない。急いては事を仕損じるし、自分自身や仲間、チームも危険にさらすことになり得る。今回は何もなかったが、くれぐれも気を付けてほしい」

「……わかりました」

「……なんにせよ、想定外の事態ではあったが思いがけない情報も得られた。今後は相手も目立つ行動はなるべく避けるだろうから我々も慎重に監視・調査を続けなければならない。気を引き締めるように」

「「了解!」」

「り、了解!」

「2人はこのままパトロールを続けてくれ。ルートはルミリオンに任せる。デクはパトロール終了後、報告書にまとめてから上がってくれ。私達は再度事務所前に張り込む。くれぐれも慎重に行動するように」

「「了解!」」

「バブルガール、行くぞ」

「あ、はい!」

 

 ナイトアイさんの指示で僕とミリオさんはパトロールに戻ったけど……エリちゃんとのことが気がかりであまり集中は出来なかった。

 

 

「ただいま戻りましたー!」

「ナイトアイ、バブルガールお帰り。監視はどうでしたか?」

「特に動きはなかった。もう少し時間をかけようとも思ったが、雨が強くなってきたから切り上げた。それに今日ルミリオンや緑谷君達と遭遇したから警戒していたかもしれないから仕方ない」

「その緑谷君ですが……」

「ナイトアイさん! バブルガールさん! お帰りなさい! 大丈夫でしたか?」

 

 結局、パトロールが終わって報告書を書いた後もなんとなくもやもやしてセンチピーダ―さんにお願いして事務処理の手伝いをしていた。

 

「緑谷君? 報告書をまとめたら帰ってもいいと伝えていたが?」

「その……やっぱり気になっちゃってセンチピーダーさんのお手伝いしてました」

「私ももう帰っても大丈夫と伝えたのですが……」

「そうか……。すまない、かえって不安にさせてしまったようだね」

「いえ、僕こそご心配をおかけして……」

「そうだな……緑谷君、時間はまだ大丈夫かな?」

「は、はい! まだ電車はあるので……」

「それに! 俺もいるので大丈夫ですよ!」

「朝のミーティングでは死穢八斎會、それに治崎を監視する詳細を伝えきれなかったからそれについて補足をしよう。こちらに来てくれるかな?」

「は、はい!」

 

 ナイトアイさんに促されて執務室内の打ち合わせスペースに腰かける。自然とミリオさんとバブルガールも同席する形になる。

 

「まず、治崎をマークするきっかけだが……緑谷君は先日強盗団が引き起こした交通事故は知っているかな?」

「はい! 確かコンビニ強盗した強盗団が逃走中に事故を起こして……奇跡的に事故に巻き込まれた人はいなかったってニュースでやってました」

「そう、そのニュースで合っているが事実は少々異なる」

「少々異なる?」

「巻き込まれた人はいた……それが治崎ら八斎會」

「ええ!? そうだったんですか!? ニュースではそんなこと言ってませんでしたよ!」

「現在衰退しているとはいえ、さすがにヤクザの名を出すのは躊躇したのだろうな。だが、巻き込まれはしたが死傷者は『ゼロ』だった」

「? どういうことですか?」

「逮捕された強盗団の連中は『激痛を感じ気を失った』が何故か傷一つなく、どころか持病のリウマチや虫歯など一切キレイに治っていたと供述していたそうだ。恐らく治崎の『個性』だと思われるが結果的に怪我人ゼロの逮捕となったため、治崎らは『公共の場での個性使用』について罪に問われなかった」

「でも奪われたお金だけはキレイに燃えて無くなっちゃったんだって。警察は事件性なしって結論を出したけど、どう考えても怪しいってことでナイトアイ事務所は本格マークを始めたの。何考えてるかわかんないけどヤるときゃヤる奴ってこと」

「そんな奴が敵連合と接触していたんですね……」

「だけど、その後にどちらも近づく動きを見せてなくて、それが不気味と言えば不気味なんだよね~」

「ミリオと緑谷君が会った『エリちゃん』が治崎にとってどのような存在かは不明だが、捜査を進めていく中で重要なカギになるかもしれない。緑谷君」

「はい……」

「先ほども言ったが、急いては事を仕損じる。焦って追えばますます逃げられる。救けたい時に救けられる程君は()()特別じゃない」

「……」

 

 ナイトアイさんに再度言われて視線を落としてしまう。オールマイトの後継者として経験を積まなきゃいけないのに、経験の無さで判断に迷って皆に迷惑をかけちゃってる。

 

「まず相手が何をしたいか予測し、分析を重ねた上で万全の準備を整えなければならない。志だけでは救けられる世の中程甘くはない。真に賢しい敵は闇に潜む、時間をかけねばならない時もあると心得るんだ」

「……」

「……少々説教じみてしまったが、我々も特別じゃない。センチピーダー、バブルガール、ミリオも優秀だが、オールマイトと違って我々だけで進めるのは限界がある。現在この件について他事務所とのチームアップを要請中だ。緑谷君、君は今の君にできること、すべきことをやるんだ。……君は1人じゃない」

「……わかりました。ありがとうございます」

「今日はこの辺りにしようか。バブルガール、君も今日は上がって緑谷君とミリオを送ってやってくれ」

「いいんですか? わかりました! じゃあ出久ちゃんミリオ君。帰る支度するからちょっと待っててね! あっ、帰りにどこかで食事しよっ!」

「え、ええっと「オッケー! 大人しく待ってマース!」

 

 突然の話題転換についていけない!? 一体どういうこと!?

 

「サーも緑谷君の不安はわかるから、それを少しでも軽くしようと考えてるんだよ」

「インターン行って理想と現実のギャップで思い悩むってかなり多いからね、俺のクラスメイトもそういう奴いっぱいいるしね」

「そ、そうだったんですか。お気遣いありがとうございます……」

「気にすることは無いよ。インターンとはいえ今君はナイトアイ事務所のメンバー、部下のメンタルケアをするのは上として当然だからね」

「それでも……ありがとうございます、ナイトアイさん……」

「……どういたしまして」

「薫子さんと食事に行ける……! 俺はそのラッキーを噛みしめたい……!」

「…………センチピーダーさん、実際のところバブルガールさん……薫子さんってミリオさんのことどう思ってるんですか?」

「う~ん、少なくとも頼れる後輩として好感は持っていると思うよ? ただ、そこから恋愛に発展するかは私にはなんとも判断は付かないな」

「社内恋愛は特に禁止しないが業務に支障の出ないようにな、ミリオ」

「モッチロンですよ! ちゃんと弁えてますって! 出久ちゃん、前にも言ったかわからないけど応援しなくてもいいけど静かに見守っていてくれるとありがたいかな!」

「ええっと、その、頑張ってください……」

「うん! 頑張るよ!」

「お待たせー! それじゃ行こうか! 今日はお先に失礼します! お疲れ様でしたー!」

「お疲れ様でした!」

「お、お疲れ様でした……」

「お疲れ様。緑谷君、次のスケジュールはメールで連絡する。気を付けてね」

「お疲れ様。帰り道に気を付けるんだよ」

 

 バブルガール、もとい薫子さんが帰り支度を整えて戻ってきたのを合図に僕達は事務所を後にした。

 

 

 その後はファミレスで薫子さんに食事をご馳走してもらったり、学校の近況や……その……かっちゃんとの近況を聞かれたりして……。少し恥ずかしかったけど、かっちゃんとのこと聞いてくれたのは嬉しかったな……。

 

 

「それじゃあ、私はここで! 2人とも寮まで気を付けてね!」

「薫子さんも気を付けて! お疲れ様でした!」

「お疲れ様!! また明日ね!」

 

 食後のおしゃべりを終えて、最寄り駅で薫子さんと別れた。ナイトアイさんやセンチピーダーさんが思った通り、薫子さんやミリオさんと話せて少し気が楽になった……かな。

 

「出久ちゃん、少しは気が紛れたかな?」

「ミリオさん……」

「正直なところ、俺も迷った……。でも、エリちゃんをあの場で保護するのは情報が少なすぎたし、治崎の個性も不明だった。サーの言っていたように状況を把握するのが最優先と判断した」

「……ミリオさんが言っていることもわかります。ナイトアイさんが言っていたこともわかります……。でも……やっぱり、オールマイトの継承者なら、目の前の困っている人を救けられなきゃだめなんです!」

「……俺もそう思うよ。ルミリオンってヒーロー名もオールマイトのように『全て(オール)』とまではいかないが『百万(ミリオン)』を救うヒーローになれるよう命名した! 『レミオロメン』みたいでかっこいいだろ!」

「レミオロメン……そ、そうですね」

 

 確かに音の響きは似てるけど、大丈夫なのかな? 正直僕もネーミングセンスがいい方じゃないけど、どうなんだろう……? そう考えたら麗日さんのウラビティや蛙吹さんのフロッピーは秀逸だよね。

 

「出久ちゃんもさ、ヒーロー名に自分の想いとか願いとかを込めて付けたんでしょ? ならそれを叶えられるように精一杯頑張らなきゃね!」

「ミリオさん……」

 

 『『頑張れって感じのデク』だ!!』

 

 小さい頃にかっちゃんに……蔑称だけど付けてくれて、それに麗日さんが前向きな意味を付けてくれたんだ! 頑張らなくちゃ!

 

「……そうですね! 僕、頑張りますよ! 『頑張れって感じのデク』ですから!」

「アハハハ! それどういう意味? でも、いいね~そう言うの! 勢いあって嫌いじゃないよ。そういえばパトロールの時には聞けなかったけど、どういう経緯でその名前にしたの?」

「これには長くて複雑な事情があってですね……」

 

 電車に乗りながらどのようにしてヒーロー名『デク』となったかを説明した。ミリオさんの反応が良かったので、昔の話もそんなに暗くならずに話すことができた。

 

「なるほどね~! それにしても、爆豪君って昔から出久ちゃんのこと好きだったんだね」

「や、やっぱりそう思いますか……。他の皆にも言われてるんですけど、僕そういった恋愛とか恋バナみたいなのに疎かったんで全然気づかなくて」

「まあ、俺もそんなに同級生とかの恋愛事情に詳しい方ではなかったけど、それでも男の子の心理は理解できるかな」

「そうなんですね」

「でもよかったね、ちゃんと気持ちが通じ合って」

「……はい」

 

 ミリオさんにそう言われて嬉しかったけど、めちゃくちゃ恥ずかしくて顔が熱くなっちゃってて……顔が相当真っ赤になってたと思う。その後もインターンの話や逆にインターン以外の話を聞いたりして寮に着くまでの時間があっという間に過ぎてしまった。

 

「いや~、結構遅くなっちゃったね! 薫子さんの誘いに一緒に乗っておいて今さらだけど、出久ちゃん時間大丈夫だった?」

「はい。前もってかっちゃんや芦戸さん達、相澤先生にも事務所の人達と食事して帰るって連絡入れてるんで」

「ならいいけど、爆豪君が嫉妬深そうだからちょ~っと心配かな?」

「ええ~、大丈夫じゃないですか? ミリオさんともバブルガールとして薫子さんとも面識あるし」

「だといいけどね~」

「そうですよ~。ただいま~」

 

 そう会話しながら僕らの寮の入り口に着いた。ドアを開けるとそこには……。

 

「よう、遅かったなデク」

「かかかっちゃん!? な、なんでもういるの!?」

 

 禍々しいオーラを纏って満面の笑みのかっちゃんの姿があった。

 

「お前の方が遅いからだろーが! ミリオさんもお疲れ様っス。ちょっと時間いいっすか?」

「ば、爆豪君、お疲れ様……。ちょっとぐらいなら大丈夫かな……」

 

 

 その後、薫子さんにもスマホ越しで説明してもらって、ようやく僕とミリオさんはかっちゃんの質問(尋問)から解放された。

 ……かっちゃん、僕を心配してくれるのは嬉しいけど、ミリオさんにも食って掛かるなんて嫉妬深すぎるよ……。これから先もちょっと不安だなぁ……。




というわけで第67話でした! デクちゃんとエリちゃんの出会いですが、原作と違ってデクちゃんが女の子だとより一層頼っちゃうと思いました。また、原作よりデクちゃんやナイトアイ達も互いの人となりが分かっているので、フォローや気配りを細かにやるだろうなと思って描写しました。そして、安定のジェラシーかっちゃんですw かっちゃんもミリオに対して一定の敬意というか一目置いていますが、デクちゃんが絡むとそんなものは吹き飛んで流石のミリオもタジタジですw
今後もマイペースで投稿していきますので、応援の程よろしくお願い致します♪
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