艦これMAX   作:ラッドローチ2

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申し訳ありません、遅くなりました…。
かなり難産ではありましたが、伊58MM改の初陣な話。お送りいたします。

また、活動報告にてちょっとした企画をやっております。
よろしければ、そちらにも是非ご参加下さい。


29 もうコレ潜水艦じゃない

 

 

 

 どこかの孤島にて、アクセルが居た世界で戦いを終えた男が流れ着いていた頃。

 

 アクセルが拠点としている港湾施設のドックは、色々と大忙しな状態となっていた。

 

 

「うわ、こいつぁヒデェ! なんで出来たばっかの三連装連撃母艦砲をここまで壊せるんだよ!!」

 

「レ級に懐に潜り込まれてな、手っ取り早くそいつで殴った後ついでに接射を叩き込んだらそうなった」

 

「バカかお前、バッカじゃねぇの!?」

 

 

 浅黒い肌に銀縁の眼鏡をかけた戦艦娘、武蔵が持ち込んできた新品に近い艤装。

 

 それが、見事なまでにひん曲がり煙を吹いてる状態にアクセルが思わず叫び……武蔵の返答に全力で叫んで突っ込みを入れる。

 

 しかし、その間にもアクセルの両手は忙しなく動いて持ち込まれた艤装の修復を続けていて……。

 

 文句と悪態をつきながらアクセルが手を動かすたびに、武蔵の目の前でビデオのコマ送りのように艤装が元の姿へと戻っていき。

 

 

「ほれ、こいつで元通りだ。次は壊すなよ!」

 

「話には聞いていたが、常識外れにも程があるな……実は妖精だったりしないのか?」

 

「失礼な、どこからどう見ても人間だろうが」

 

 

 自らの目を疑いながらも、完璧な状態に戻った三連装連撃母艦砲を武蔵は軽々と持ち。

 

 装着して動作を確認して満足げに頷いて、心からの疑問をアクセルへ問いかけ。

 

 あちこちで言われ続けてきたアクセルはというと、うんざりとした調子で肩をすくめて答える。

 

 

「どう見ても人間に見えないからの問いかけなんだがな……ところで、一ついいか?」

 

 

 アクセルの回答に、武蔵はどこか納得がいかない表情を浮かべながら。

 

 武蔵は、何やら大きな音を立てている扉が閉まったままの改装ドックへ視線を向けてアクセルへ問いかける。

 

 

「ん? ああ、アレは今ゴーヤの改装作業中なんだよ」

 

「ああ、あの中将殿のところにいた伊58のか……しかし、あの娘は確か現状これ以上の改装は望めなかったはずなのだが」

 

 

 武蔵の問いかけと彼女の視線の先に、アクセルは作業を続けながら答え。

 

 その返答に武蔵は合点がいくも、現状で可能な段階まで改造がされていたはずの伊58の姿を思い出して首を傾げた。

 

 

「そりゃお前、アレだよ。うちの扶桑みたいな大規模改修ってヤツだ」

 

「ああ、そういう事か……あの大型ミサイルを伊58にも搭載するのか?」

 

「うんにゃ、さすがにそいつぁ無理だ。重すぎて浮上できなくなるしな」

 

 

 スパナを手で弄びながら答えたアクセルの言葉に、前に目撃した大型ミサイル……ストロングミサイルを思い浮かべて武蔵は続けて問うも。

 

 肩をすくめるアクセルの言葉に、それもそうかと武蔵も呟き……。

 

 二人が話し込んでいる間に、改装ドックから響いていた音が鳴りやむ。

 

 

「お、ようやく終わったみたいだな」

 

「ほう……私も同席させてもらってもいいか?」

 

「ん? ああ、別に構わねぇよ」

 

 

 武蔵からの希望にアクセルは適当に答えつつ立ち上がり、グキグキと音を立てながら体を伸ばすと。

 

 作業完了の報告に来た妖精に先導され、改装ドックの扉の前まで向かう。

 

 

「で、どのような改装を施したんだ?」

 

「あー……それは、見てのお楽しみってヤツだな」

 

 

 興味津々といった様子の武蔵の言葉にアクセルははぐらかすように答え……。

 

 今、二人の前でその扉が音を立てて開く。そして……。

 

 

「なぁ、アクセルよ」

 

「なんだよ」

 

「あの、新しい水着は……お前の趣味か?」

 

「ちげぇよアホ」

 

 

 改装ドックの扉の向こう、そこに居たのは……。

 

 

「う、うぅ……なんだか、凄く恥ずかしいよぉ」

 

 

 提督指定の水着にセーラー服を纏った伊58、ではなく。

 

 ハイレグタイプの競泳水着を身にまとった、伊58であった。

 

 

 

 アクセルが何の気なしに伊58の足元を見てみれば、良い仕事をしたとドヤ顔をしているやらかし常習犯の妖精が居た。

 

 ソレは、アクセルの視線に気づくと笑顔を輝かせて小さな右手で親指を立て。

 

 それにこたえるようにアクセルは無言で右手の親指を地面へ向け、彼の意思を解した応急修理女神がアクセルの肩から緊急発進。

 

 クルクルと回転しながら、その小さな足でやらかし妖精に踵落としを叩き込むと。襟首を掴んでどこかへ引きずって行った。

 

 

「で、ゴーヤ。体に不調とかはあるか?」

 

「え? ええと……ない、かなぁ」

 

「なぁ、今のアレはほっといて良いのか?」

 

 

 やらかし妖精が引きずられていったのを見届けると、アクセルは先ほどまでの事が無かったかのように笑顔で伊58へ問いかけ。

 

 先の一連の流れに頬を引きつらせていた伊58は、戸惑いながらも答える。

 

 武蔵はというと、引きずられていった妖精を心配そうに眺めて思わず口にするも……アクセルはソレを軽やかにスルーした。

 

 

「とりあえず方向性としては、お前さんの能力の全体的な底上げと水中からでも使用できる艤装への対応って感じだ」

 

 

 武蔵のジト目を受け流しつつ、アクセルは一人の妖精へ合図を送ると……。

 

 妖精達がわらわらと列をなしてどこかへ移動し、それほど時間をかけずに何かを担いで戻ってくる。

 

 

「俺らがかつて世話んなった復讐鬼の爺さんが愛用してたヤツを参考にした艤装だ、そこの戦艦みたいに速攻で壊すなよ?」

 

「私も、壊したくて壊したわけじゃないのだが……」

 

「馬鹿野郎、砲塔は敵を殴りつけるタメの装備じゃねぇ」

 

 

 銛のようなモノが装填されている、大型のライフルみたいなソレを指さしてアクセルは説明を続け。

 

 アクセルの言葉に思い当たる節がある武蔵が抗議の声をあげるも、すかさず帰ってきた言葉にむぅ、と唸って言葉をつぐんだ。

 

 

「さっそく、試してくるでち!」

 

「おー、気をつけろよ。夕張達が待機してるからしっかり指示聞けよー」

 

「うん、わかったよぉ!」

 

 

 妖精から艤装を受け取った伊58は目を輝かせ、どこか危ない光を宿しつつ走り出し。

 

 そんな少女の背中に、アクセルは肩を叩きつつ声をかけ……。

 

 くる、と振り返った伊58は海軍式の敬礼をアクセルへすると。軽やかな足音を立ててドックから飛び出していった。

 

 

「……あの伊58は、危ういな」

 

「まぁ、なぁ。とりあえず命は粗末にするなと言い聞かせてアイツも同意したけども、こればっかりは本人の気持ちだしなー」

 

「……そうか」

 

 

 伊58の危うさに気付いた武蔵はポツリと呟き。

 

 その呟きに後ろ頭をがりがりと掻きながらアクセルは応え……。

 

 二人そろって、重いため息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴーヤ、潜りまーーす!」

 

「先走っちゃ、ダメよ……?」

 

「わかったでち!」

 

 

 待機していた伊58は、待機していた扶桑と夕張の二名に合流すると。

 

 勢いよく、海へと飛び込む。

 

 

「大丈夫、かしら……」

 

「んー、大丈夫だと思う。ほら」

 

 

 心配そうに扶桑が呟き、そんな扶桑に夕張が伊58を指さして見せれば。

 

 

「早く来ないと置いてくよぉ!」

 

「アクセルさんがちゃんと言い聞かせてなかったら、私達待たずにあの子どんどん突っ走ってたわよ」

 

「それも、そうね……」

 

 

 海面から顔をだし、手を振りながら夕張と扶桑を大声で呼ぶ伊58の姿に夕張は笑みを浮かべ。

 

 つられるように扶桑もまた柔らかく微笑むと、ゆっくりと海原を進みだす。

 

 

「ところで……あの水着って、アクセルさんの趣味なのかしら……?」

 

「あー、どうなんだろう。でも、確かにアクセルさんってあの手の衣装好きだったし」

 

 

 通常とは違う伊58の姿に、扶桑は首を傾げつつ隣の夕張へ問いかけ。

 

 その問いに夕張は頬を引きつらせつつ……。

 

 夕張は、アクセルが前居た世界のいわゆる夜のお店にて……女性に土下座してレオタード状の衣装を着けてもらってたという事を思い出して思わず呟く。

 

 

「……そう、うふふ……」

 

「……抜け駆けはなしよ? 扶桑」

 

「わ、わかってるわ……」

 

 

 良い事を聞いた、と扶桑は上機嫌に笑みを浮かべ。

 

 そんな扶桑の様子を、夕張はジト目で眺めつつ伊58を追いかけ。

 

 ジト目で眺められてることに気付いた扶桑はあわてつつ、伊58を追いかける。

 

 

「遅いよぉ!」

 

「ごめんごめん……しかし、普通の伊58に比べてかなり速くなってない?」

 

「あ、やっぱり? 凄く泳ぎやすいんだぁ!」

 

 

 そして、ようやく追いついた二人に伊58は抗議するも。

 

 夕張からの言葉にすぐに機嫌を直し、嬉しそうな顔で答える。

 

 

「私も、伊58みたいな衣装を着れば速くなるかしら……?」

 

「いや、扶桑の場合は根本的に無理があると思うでち」

 

 

 鈍足に悩む扶桑の言葉に、伊58は汗を浮かべつつ冷静に突っ込みつつ……。

 

 そんな二人に、搭載している電探が敵の反応を察知した夕張が無言で合図を送り。

 

 その合図一つで、ゆるかった空気に緊迫感が齎される。

 

 

「私と扶桑で目くらまし兼ねた先制叩き込むから、よろしくね!」

 

「わかったよぉ!」

 

 

 水平線の向こうに見え始めた敵影に夕張がスモールパッケージを稼働させ、追うように扶桑もストロングミサイルと火星爆撃隊を稼働させ……。

 

 伊58が潜水を始めるのと同じタイミングで、敵艦隊へミサイルとUFOの先制攻撃をお見舞いする。

 

 

 しかし、敵もまたやられるばかりではなく……。

 

 敵もまた学習してきているのか、今までよりも強化された対空砲火にてミサイルやUFOを次々と迎撃してゆく。

 

 

「あちゃぁ、結構撃ち落されてるなぁ……」

 

「私のミサイルがぁ……」

 

 

 前に比べて命中弾がほとんどでなくなってきたことに夕張がぼやき……。

 

 扶桑は虎の子のストロングミサイルが、敵に優先的に撃ち落されて戦果を出せなかったことに涙目となる。

 

 

 この時、発射されたミサイルとUFO。

 

 夕張と扶桑は狙ったワケではなかったのだが、結果的にこれが敵艦隊の目を空へと集中させる事となり……。

 

 その結果。

 

 

 かつてに比べて、速度が増加した伊58は労せず敵艦隊に潜水したまま接近に成功し。

 得意の先制雷撃を敵戦艦のタ級にお見舞いしつつ、手に持った銛撃ち銃……ハープーンキャノンを潜水したまま敵潜水艦のヨ級へ炸裂させる。

 

 その雷撃はタ級に致命的な一撃を与えて為す術もなく海の藻屑へ変え、銛が深々とその体に突き刺さったヨ級もまた、自分に何が起こったのか理解する間もなく……。

 

 浮上することなく、そのまま海底へと消えていった。

 

 

 ここまで来てようやく、深海棲艦のみで構成された敵艦隊は潜水艦の存在に気付いて爆雷を投下しようとするが……。

 

 

「さぁ、砲雷撃戦行くわよ!」

 

「今度は、撃ち落させないわ……!」

 

 

 伊58の奇襲にオタついている間に夕張と扶桑が敵艦隊へ接近し、搭載された艤装で次々と攻撃を加え始め……。

 

 

 結論から言えば。

 

 不幸にも扶桑に、最後の苦し紛れの敵の魚雷が炸裂し服が脱げたことを除けば。

 

 伊58改の初陣は、華々しい結果に終わった。

 

 




嘘艦娘図鑑No.4
レアリティ:☆☆☆Sホロ
艦種:潜水艦
名前:伊58改 MM
装備適正:通常の潜水艦と同じ
特製:全体的な能力の底上げ、3スロット目開封、『ハープーンキャノン』を所持
入手条件:非常に高い錬度(Lv70)の状態で、アイテム『超希少金属』(メタルマックスコラボマップクリア報酬、および課金アイテム)を使用して伊58改を改修。
『解説』
上半身のセーラー服を脱ぎ去り、競泳水着に身を包んだゴーヤ。
少しやさぐれた目つきで、手に持ったハープーンキャノンが特徴的。

嘘装備図鑑No.12
レアリティ:☆☆☆☆☆SSSホロ
名称:ハープーンキャノン
種別:銛撃ち銃
射程:短
装備適正:潜水艦、潜水空母
能力:火力+4、雷装+4。砲撃戦フェイズで攻撃が可能(潜水艦もターゲット可)
この時の攻撃力は、装備艦娘の火力+装備艤装の火力×2で算出される。
入手条件:伊58改をMM使用へ改装することで入手可能。

嘘装備図鑑No.13
レアリティ:☆☆☆☆☆SSSホロ
名称:三連装連撃母艦砲
種別:大口径主砲
射程:長
装備適正:戦艦、航戦
能力:火力+28、対空+6、命中+1。
 装備編成に関わらず、昼戦・夜戦における連撃発生のチャンスを得る。この効果は同種装備を搭載する事で重複する。
入手条件:メタルマックスコラボイベントのランキング上位報酬。開発不可
 →後日、母艦竜残骸(多量)で入手可能。ただし残骸の入手率は極低


 というわけで、難儀しつつも伊58改のお目見えな回でした。
 ヲ級ちゃんと雪風は港湾施設の警備という名のお留守番です、きっと二人で焼きそば啜ってます。
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