「気圧されるな! 撃龍槍の用意を急げ!」
多くのハンター達がゴジラの出現に萎縮されかけたが、将軍の一声により直ぐに恐怖を打ち消して行動に移した。拠点に設置してある撃龍槍の準備をしている。この撃龍槍はエルガドの狩猟船のように投射型であるが、エルガドのそれよりも遥かに大型の物で、ラオシャンロンどころかゾラ・マグダラオスを貫けそうな程の大きさだ。
「巨龍砲の準備も急げ!」
多くのハンターが武器を構えたり攻撃の準備を急ぐ中、青い星達も準備を進めている。
「相棒! ゴジラと思しきモンスターが此方に近付いています!」
「分かってる! あれ程の大きさのモンスターが村に来たら全滅も有り得る!」
「にゃにゃ~! デカ過ぎるにゃあ~!」
アイルーの言う通りゴジラは凡そ身長5000センチメートル(50メートル)はあろうかと言う巨体だ。かつて新大陸で戦ったゾラ・マグダラオスよりは小さいものの、ムフェト・ジーヴァやアルバトリオン、シュレイド城で戦ったミラボレアスよりは大きい。あれ程の巨体の古龍となるとかなりの強さの筈。
「そろそろ撃龍槍が放たれます。あれで何処までダメージを稼げるのか……」
「あぁ、肉質の硬さを見抜けるかもしれん」
「弱点属性は龍属性かにゃ? 古龍は大体龍属性だからご主人様の黒龍の武器が効くと思うにゃ」
確かに青い星が持っている黒龍の素材から作った武器は龍属性だ。多くの古龍は龍属性であるため、もしゴジラが龍属性であれば攻撃は有効的だろう。
その頃ゴジラはゆっくりと歩いて拠点の方に近付いている。歩む速度は大して速くないがこのままでは10分程で拠点に到達するだろう。そうなれば、村が……
「撃龍槍、準備が出来ました!」
「よし! 向きをゴジラに向けよ! 巨龍砲もだ!」
撃龍槍の向きがゴジラに向けられる。その数は20。これだけの数の撃龍槍を食らえば大型古龍と言えども一たまりも無い。かの黒龍ミラボレアスもシュレイド城に残っていた撃龍槍を直撃させた際かなりのダメージを稼げたのだ。あのゴジラにも多少のダメージは……
「撃てぇ!」
将軍の威厳ある人声と同時に、撃龍槍が発射された。
大きな射出音と共に撃龍槍が宙を飛んでいく。発射された数は5本。最初の5本で大ダメージを与えて、続けて5本ずつ発射していき少しずつ大ダメージを与える。使い切ったら巨龍砲で攻撃し、続けてハンター達が迎撃…… 水蒸気が溜まったら再び撃龍槍を使用、という算段だ。
大型で鋭い撃龍槍がゴジラに飛んでいく。その槍の先端は鋭く、あらゆる甲殻を貫かんとする勢いを感じさせる。
ゴジラとの距離が近づいていく。
そして、
ゴジラに着弾。
それと同時に
撃龍槍が
「っ!?」
「何だと!?」
その様子を見ていた将軍と総司令は驚きの声を上げた。撃龍槍は黒龍相手にも有効な武器だ。先程使われた撃龍槍は最新式の物。威力は今まで造られてきた撃龍槍より遥かに上である。1000年以上前の撃龍槍でも黒龍相手に有効だったのだ。
にも関わらずゴジラには効いていない。それどころか撃龍槍が砕けた。それは、甲殻が極めて強力であること。その事実にハンター達は一瞬動きを止めてしまった。
「……! 5本の撃龍槍を顔に当てよ!」
将軍の一声により撃龍槍を操作する人々は再び動き始める。多くの生物が弱点となる顔。それはモンスターとて例外では無い。残りの撃龍槍の標準が顔に向けられる。
そして撃龍槍が再び発射された。5本共正確にゴジラの顔に向けて放たれる。撃龍槍のドリルが回転しながらゴジラの顔に向かっていく。撃龍槍程の攻撃を顔に当たれば幾らかダメージが入る筈……
撃龍槍がゴジラの顔に着弾する。
しかし、結果は……
「…………!」
無傷。
再び撃龍槍が砕けた。
「……くっ! これ以上撃ったとしても……!」
将軍と総司令は悔しい表情でゴジラを見つめる。ゴジラが撃龍槍が全く効かない程の防御を有しているとすれば、これ以上撃龍槍を撃ったとしても砕けてしまい無駄に消費してしまう事になる。あとゴジラに効く可能性がある兵器は巨龍砲のみ……
いや、他にもある。ゴジラをも打ち勝てる可能性が。
ハンター。
「ドハハハハ! 久々に心躍る狩りが出来そうだ!」
「回復薬グレートも忘れず持って来たぜ!」
「これはマジでヤバそうっすね!」
「準備は出来たな! 気を抜いたらやられるぞ!」
「どうやらかなり面倒なモンスターのようだ!」
「この年であの巨体と戦うのはきつそうだ……」
「覚悟を決めて戦わねば……!」
「久々に腕が鳴る戦いになりそうだ!」
「エルガドのハンターとして参る!」
赤鬼・黒鬼・エイデン・ジュリアス・調査班リーダー・ソードマスター・竜人族のハンター・ウツシ・フィオレーネが武器を抱えてゴジラへと向かっていく。皆モンスターとの戦いを潜り抜けて来た猛者達だ。
「よし、行って来る!」
「よ~し! 本腰入れるニャア!」
「相棒、気を付けてください!」
そして、青い星も黒龍武器を手にしてゴジラに立ち向かおうとする。オトモのアイルーもやる気満々だ。受付嬢はハンター程の力は無いため戦う事は無い。彼らを見守る事しか出来ないが、弱点などを見破りそれを伝える事なら出来る。出来る事をする事で彼らを支援するのだ。
「彼らならゴジラの甲殻を破れるかもしれない。甲殻を破れたら撃龍槍と巨龍砲で攻撃する準備をするのだ」
「彼らを信じるのだな…… 良し、撃龍槍と巨龍砲をゴジラに向けたまま待機せよ!」
総司令と将軍は彼らハンター達を信じて撃龍槍と巨龍砲の攻撃を待たせた。ゴジラは撃龍槍を破壊してしまう程の甲殻の持ち主。このまま撃っても恐らく効かない・若しくは効果が薄いだろう。ならば甲殻を破ってから攻撃した方が効果はある筈だ。そのために、ハンター達が甲殻を破るのを待つのだ。
ハンター達がゴジラに向かって進んでいく。その距離はどんどん縮まっていく。
そして、ゴジラに変化が現れた。
「何だにゃ?」
「何の光だ……?」
その変化にハンター達は動きを止めた。その様子を見ている将軍や総司令達も、何が起きているのかとゴジラを凝視する。ゴジラを見ているヤマネ博士と受付嬢はその様子を見て、こう呟いた。
「背鰭が……」
「光っている……!?」
ゴジラの、蛇王龍ダラ・アマデュラの剣鱗の如く鋭い背鰭が青い光を宿していく。背中全体の背鰭だけでなく尾の先端のまで青く光っていく。それだけではない。ゴジラの口の中も青い光が溢れてきているのだ。
それを見たハンター達は本能的にブレスが来ると察する。雄火竜リオレウスがブレスを吐く時、口の中の火が溢れるように、ゴジラは正にブレスを吐こうとしている。
そして、かつて赤龍ムフェト・ジーヴァの幼体である冥灯龍ゼノ・ジーヴァもあのようにブレスを吐く前兆があった。
まずい。
「離れろぉ!」
その一声と同時に、
ゴジラの口から青いブレスが解き放たれた。
「くっ!」
「うわぁ! こりゃヤバすぎっす!」
青いブレスの威力は凄まじく、ブレスの当たった場所は大きな爆発を起こし、地面の大きく抉った。その威力はグラビモスのブレスどころかムフェト・ジーヴァのブレスを優に超える威力。自分達の着ている防具、青い星が着ている黒龍の防具すら一瞬で蒸発させてしまうのではと思ってしまう程だ。
もしこのブレスが砦の防護壁や砦本体に直撃したら…… まず耐えられないだろう。そうなったら砦にいる皆が……
「く、とんでもない威力だ!」
「当たったら一たまりも無いにゃあ!」
青い星とアイルーがブレスの爆発の衝撃から態勢を立て直している。地面に大穴を開ける程の威力なのだ。いくらハンターと言えども態勢が崩れてしまう。直ぐに立て直したその直後。
ゴジラの顔が目の前に現れた。
「っ!!?」
「にゃあああぁぁぁ!?」
どうやらゴジラが四つん這いの姿勢になって、青い星を覗いているようだ。
黒い皮膚。
全ての命を硬直させる瞳。
万物を貫く牙。
それらが自分に向けられている。
「なっ……!」
「にゃにゃ……!」
ゴジラは青い星を睨んでいるだけ。
表情から何を考えているのか分からない。
見つめられて数秒。実際には何時間も、何年も睨まれたかのような感覚に感じる。
だが、此処で“別の感覚”が襲い掛かった。
「…………っ! 何だ……?」
「ご主人様!? どうしたんだにゃ?」
意識が朦朧としていく。
眠りにつくかのように意識が遠のいていく。
何故なのか。まだゴジラの攻撃を食らっていない筈。それともブレスに毒が含まれているのだろうか。だが周りのハンター達は何ともないようだ。青い星だけである。
もしや、ゴジラが眠らせようとしているのか。
有り得るかもしれない。黒龍ミラボレアスの話には、戦って生き残った者や装備を身に着けた者が発狂したという話がある。ゴジラにもそういった力が……?
「ご主人様…… ご…… ………………」
意識が徐々に薄らいでいき、遂に意識と視界が黒く染まった。
どうやらこいつがあの龍を打倒した狩り人か。
中々実力が高いようだ。
それ程の実力なら“あれ”を伝える相手はこいつで良いだろう。
親父やお袋と違ってまだ沢山の連中に思念を送れない。
だが、せめて一人だけでも送れれば十分だ。
人間達にも知らせておくとしよう。
祖先から受け継がれる、祖先達の記憶と……
あの“黄金”の事を。
Q:最初に撃龍槍を撃ったり一先ずハンターに任せたりしたけど、戦略的に正しいの?
A:作者は戦略立てるの得意じゃないから分かりません。
次回は2023年5月12日19時00分に投稿予定です。