幼い頃の憧れというものは人を愚かにする。
普通に考えれば、自分にはできないと分かることも謎の自信と過信が実行に移させてしまうから。
その一例は自分の子供の頃の話が分かりやすい。
そう、あれはわたしが小学校に入る前日。
わたしの歳の離れた兄、五条悟は庭で宙に浮いていた。いいや、空を飛んでいた。当時の無邪気で脳天気なわたしはそれを見て、兄にどうやればそういうことができるのか、ひたすらに尋ね続けた。
面倒くさがって、適当に応対した兄は“頑張ればできるよ”とこれまたテキトーな返しで友達のところに行ってしまった。
それを真に受けたわたしは、小一時間ほど庭先で一生懸命、跳ね続けた。
それが無駄だとわかればいいものを小さなわたしは何を勘違いしたのか、高さが足りないからダメなんだと変な方向に知恵をめぐらせ、家にある補助輪付きの自転車に乗って、家を飛び出していった。
向かう先は高専内の高台。やめればいいものを、ちっちゃなわたしは何も考えず兄の言うことを鵜呑みにして頑張った、頑張ってしまった。自転車をこいで高台から坂道を下っていく。小さな子供にとっては信じられないほどの速度で坂を駆け下り、川付近のガードレールと衝撃的な出会いをした結果、わたしは宙を舞った。
わずかな時間だが、わたしは確かに空を飛んだ。
そして、わたしは骨折する羽目になった。
「お疲れサマンサ~!!」
ご機嫌な調子で今回の任務の同伴者である五条先生は呪術高専一年の初任務、その成功をねぎらう。釘崎も虎杖も、共に呪術師としてやっていくのに十分な適正と実力を示した。
出番がなくて多少、肩すかしをくらったが一年同士、実力のある奴らが仲間になるのは歓迎だ。
「どったの、伏黒?むずかしい顔して」
「いや、なんでも」
「出番なくてスネてんのぉ?プップ~、おこちゃまねぇ」
「別に、出番がないに越したことはないだろ」
釘崎のにやけ面が妙にひっかかるが、これくらいは放置しよう。
迂闊に拾うと面倒そうだ。
「はいちゅーもーく。子供は無事、送り届けたわけだし。今度こそ飯いこっか」
「ビフテキ!」
「シースー!」
タイミングもポーズも完全に合った反応、打ち合わせでもしてきたのかってくらい息が合った掛け合いだった。
「おーけー、おーけー。なんでもごちそうするよ。まぁ、その前にもう一人の一年を迎えに行ってからね」
「へっ?まだ、一年がいるの?」
「ちょっと待ちなさいよ。確か県外から東京の呪術高専に一年で入学するのってわたしだけって聞いてるんだけど」
「そだよ~。最後の子は元々、東京に住んでいたのさ」
サムズアップして新しい情報を開示してくる。
そういう大事な情報を唐突に出さないでもらいたいのだが、この人に言っても仕方ない。
それにその最後の一人には心当たりもある。
心当たりがあるわけだし、五条先生の適当っぷりを知っているから、敢えて噛みつかないが釘崎は違った。
「はぁ~!?元々東京にいるなら、ここに呼んでおきなさいよ!なんのために此処で集まったのよ、全員集合してから、自己紹介やら戦闘やらで顔合わせするべきでしょーがっ!!」
「釘崎、ステイステイ!!」
やかましー、と虎杖にアッパーかましている釘崎を視界から外して、五条先生にそっと話を聞く。
「最後の一人って、もしかしてエリオですか?」
「うん、あの子も立派に高校に通える歳だしね。ぼちぼち家から引っ張り出さなきゃって思ってたんだ」
「そりゃまた、難儀な」
きょとんとした顔で虎杖がこちらに興味を持った。というか、結構いい角度と威力のアッパーが入っていたのに回復はやいなこいつ。
「エリオ、って男?」
「いいや、女の子だよ~。それも結構、かわいい系の」
ピースしながら、五条先生はスマホの画面をいじりだす。
不機嫌そうな釘崎と興味津々に笑う虎杖が向けてられたスマホを見ると、画面には目隠しを外してWピースした五条先生と……ふとんの簀巻きで足しか見えない謎の人物が写り込んでいた。
「なにこれ、ふとんの呪霊?」
釘崎のやたら淡泊で呆然とした声が廃墟前の風に流れ去っていった。
五条先生の術式で全員が見慣れない民家の前に送られる。周囲の神社仏閣風建築物を見れば高専内ということは分かるのだが、虎杖たちは周囲を不思議そうに見渡している。それはそうだ、いきなり何の事情も言われぬまま意味不明な場所に飛ばされて落ち着いていられるわけがない。
「ちょっと、シースーは!?」
「俺、肉がいいんだけど!」
「俺の気遣いを返せ」
三者三様に慌ただしくはあれど、パニックには成っていない。
それを心強く思いつつ、五条悟は親指で民家を指さし中へズンズンと入っていった。
伏黒は勝手知ったるという風情で、虎杖、釘崎は首を傾げながら家に入る。
家の中は暗く、足下には空き箱となったピザの入れ物が散乱する。
「うっわ、なんなのよ。このピザ箱の山。ひょっとして最後の一人ってピザで油漬けにされたヤツじゃないでしょうね」
「俺も三食ピザはなぁ~」
「まだピザばっか食ってるのか。あいつ」
伏黒の独白に気づいた虎杖は、それとなく最後の一人について尋ねてみる。
「最後の子と伏黒って、知り合い?」
「ああ、俺が五条先生に預けられてから呪術関連じゃ大分、世話になったやつではある。というかエリオについては五条先生の方が詳しいでしょ。なにせ実の妹なわけだし」
「えっ、五条先生に妹いたの!?」
「そりゃいるさぁ。僕だって名門呪術師の家の人間だよ。親戚なんて腐るほどいるからね、まぁ妹は一人だけど」
「割と術師の家では兄弟とか多いんだ。そりゃ、相続とかのお家騒動でトラブルになることもあるけど、それ以上に相伝の術式を持つ人間を増やすためとか、他の家に婚姻で送り込む人間増やすために子供とかはやたらと多いんだと」
「…なんか、思ったよりシビア」
「対人能力には難ありだが、虎杖も釘崎もこれからは世話になるんじゃないか?」
釘崎の顔が嫌そうに歪む。こんなピザ箱の山の家に住む人間に、とでも言いたげな。
「こんなピザ箱まみれの家に住むヤツにぃ~~?」
言った。
「まぁ、呪術師とはいうけど、実戦には一回も出てないし、その度胸もない。悠仁なら余裕だろうし、なんなら伊地知でも勝てるんじゃない?」
「ん?今の俺でも?……えっと、イジチって誰?」
「エリオはそもそも戦うタイプの術師ではないでしょう」
「どういうことなのよ」
「……術師と言っても千差万別。帳を張る補助監督の人を始め、残穢を追う人、反転術式で怪我を治療する人間と多様に別れる。戦闘系は呪術師では花形だけど、それしかできない人間の組織なんてやっていけるはずないだろ」
「なるほど、わかるようなわからんような」
そうこう言ってる間に、四人は立ち入り禁止のテープが貼られたドアの前に着く。
二重三重に貼られたそれは、立ち入る者全てを拒絶しているかのようだ。まぁ五条悟はおかまいなしに扉を開け放ったわけだが。
「いいの?こんなあっさり立ち入り禁止に立ち入って?」
「気にするな。相手はただの引きこもりだから」
「つーか、暗いのよこの家全体!電気付けろよ!」
部屋は照明が付いておらず、唯一付けられているのはテレビだけだった。
暗い部屋のなか、テレビの灯りがかろうじて部屋にあるものを照らしている。テレビの内容は相撲の中継らしく、それも日付から見て一昔前のそれのようだ。
朝青龍と白鵬の千秋楽。目を瞠るような激しいぶつかり合いを見る人間はテレビの前で微動だにしない。テレビから流れる歓声が、薄暗い部屋にどうも不釣り合いだ。
相撲の中継が映るテレビの前には、ふとんの簀巻きになった生足だけの人間の姿があった。
「エ~リ~オ~!」
五条先生がふとんの簀巻きになった子を持ち上げる。
「む~む~」
急に持ち上げられたふとんの簀巻き人は、抗議の声を挙げているのだろうがふとんに全て遮音されて何をいっているかわからない。
「ほら、言ってたでしょ。君も高専に行ける歳なんだから、ぼちぼち家から引っ張り出すって」
「むい~む~。むゃぁぁ」
「伏黒、なに言ってるかわかる?」
「わからん。が嫌がってるのは確かだろ」
「見て分かるでしょ~が。分かることでマウント取ってくるんじゃないわよ」
「とってねーよ」
釘崎は飯が食えていないせいか、やたら苛ついているような気がする。それに比べ、虎杖は落ち着き払っている。ふとんの簀巻き人間を見たにしては、どちらも十分に冷静と言える範疇の行動だ。
「それじゃあ、紹介します!高専一年の最後の一人、五条襟緒ちゃんで~す!」
五条悟はエリオのふとんを無理矢理はぎ取った。ふとんが取られ、エリオの相貌が明らかと成る。うっすらと発光するかのようにテレビの光を乱反射する艶やかな蒼銀の髪、日光を浴びていないが為の白い肌、愛らしさを感じさせつつ出るとこは出た小柄な体躯、五条先生と同一の蒼みがかった瞳、そしてひたすらに高い顔面偏差値。
整ったその容姿と不思議な雰囲気が一瞬、虎杖、釘崎たちの思考を停止させたようだ。
伏黒は慣れているのか、大した動揺を見せず腰に手を当ててエリオを観察している。
一方、急遽として紹介をされたエリオはふとんを高く掲げている五条先生の傍で必死に跳ねて、ふとんを奪還しようとしていた。
「ちっちゃいな、あれホントに俺らとタメ?」
「ああ、ちんまいが確かに同い年だよ」
「つーか、あんだけピザ箱まみれで、こんな薄暗いとこに住んでんのにあの髪質と肌つやはどーいうことよ!」
「えっ、疑問出るとこ、そこ!?」
「虎杖、拾うな。ここはスルーしとけ」
俺たちを見てエリオはふとんを返してもらえないと諦めるや否や、俺の背後に回り込み俺を目隠しにしてきた。
「おい、動きにくい」
「動いちゃダメ、恵はわたしをまもる」
エリオが背中にしがみついてくる、動きを制限されてやりにくい。いや、今の俺の様子を見て虎杖たちはむかつくにやけ面をしてくる。
そして、五条先生は楽しそうにサムズアップしてくるし。
「ほほ~、二人は一体、どんな関係なんですかな?確か、世話になったなんて言ってたような」
「まぁヤダ。今よりも小さな時から、どんなお世話になっていたのかしら?」
「めんどくさい絡みと小芝居やめろ」
助けを求めようと五条先生の方を見るが。
「恵、不純異性交遊は卒業までお兄ちゃん許しません」
「張り倒しますよ」
普段、出さないような良い声をここで出されるのが、余計に腹立つ。
さっさと、ふとんを返してやればいいものを一向に返す様子もない。面倒だが、エリオが只の引きこもりではないという説明をすることにしよう。
「今の俺の呪術の戦闘スタイルの構築はエリオに協力してもらって完成させたものだ」
なんだ、色気のない昔語りかと二人は口を尖らせるが、そこで虎杖が首を傾げる。
「ん?ちょっと待った。確か、その子って今の俺でも勝てるんだろ?それなのに、伏黒の戦い方を創る手伝いが出来るってどゆこと?」
「要は術師の基礎能力、潜在能力を強化することに特化した術師なんだよ、エリオは」
投げ遣りな台詞を口にし、伏黒はそっぽを向いて背後のエリオを引きはがす。
引っぺがされたエリオは、しなしなと元気がなさそうにこたつの中に潜り込もうとするが既に五条先生が首根っこを掴んでいて逃げ場は皆無。そのままご機嫌の彼に連れて行かれ、涙目で家から引きずり出されていく。
「えっと、五条センセ。この子なんて呼べばいいの?」
「普通に名前で良いんじゃない?名字だと僕と被るし」
「なんか、すっごい頬袋膨らませてるけど」
釘崎の言うとおりエリオは不機嫌そうに頬を膨れさせていたが、兄である五条悟の無茶振りを覆せるほどではなかったようだ。というか、釘崎は膨らんだ頬をつついて、ぞんざいに扱っている。
「あんまり適当に扱うなよ、エリオは高専でも結構な重要人物なんだからな」
「重要って、どんな感じに?」
「黄色い声援でもして馬鹿なヤツのモチベ上げたりとか?」
「そうじゃねーよ、こいつの術式が呪術師の修行向けってだけだ」
「だから、その修行内容を詳しく説明しろってのよ」
修行内容を改めて簡潔に説明しようとするが、どう説明しようかと考えていたところで五条先生が引き継いで分かりやすい説明をしてくる。
「まぁ、エリオはジャンプ風に言うなら精神と時の部屋で、マガジン風に言うならダイオラマ球みたいなことができるんだ」
その通りっちゃあ、その通りなのだが。本当にその例えでいいのか?
まぁ、虎杖も釘崎も、うんうんと頷いているから理解してもらえたようだが。
疑い深く釘崎はエリオを見つめるが、エリオはまた俺の後ろに隠れようとする。
「エリオ、お前もこれからこいつらと高専で同学年になるんだ。ちったぁ、自分から話しかけろよ。悪いヤツらじゃな……」
釘崎がめっちゃ人相を悪くしているタイミングで言いかけてしまった。
「たぶん、悪いヤツらじゃないから」
「なんで言い直したんだ、こらぁ!」
「ていうか、俺も混ぜんの!?」
釘崎とは会う前から相性が悪いと思っていたが、やっぱり湿度高めな性格のエリオとではやりにくそうだ。
「まぁ、エリオがこんな性格なのは許してあげてよ。昔っから、知らない家の連中の縁談を組まされそうになってて、元々ヒドかった対人恐怖症も輪にかけて、深刻になってるから」
「えっ?今よりも小さい頃って、小、中学じゃん!」
「まぁ、名家なら有り得ないほどじゃないが、それでも普通なら高専卒業してからっていうのが一般的だ。戦えもしない術師を、高専入学前から欲しがっているっていうのが、どういうことか。わかるか?」
「……分かんないわよ、つーか、女をそんな舐めた扱いしてるヤツらの心情なんざ分かる訳ね~だろ」
「俺に当たるなよ」
なにやら、釘崎が分かりやすく不機嫌そうに顔を歪める。しかし、その不機嫌はエリオに対するものではなく、あいつの置かれた状況に対するものなのだろうか?
「それだけ、あいつが携わった人間が激的に術師として伸びているっていうことだよ」
俺と五条先生の説明を受け、ようやく釘崎もエリオのことを呑み込んだようだ。
「エリオだっけ、わたしは釘崎野薔薇。あんたんこと、今はまだよくわかんないけど、まぁ特別に仲間ってことで手を打ったげるわ。よろしく」
なんだか、妙に偉そうな自己紹介だが、エリオは釘崎のあんまりにさっぱりした態度に返って毒気を抜かれたようだ。“今はまだよくわからない”それは、これから分かろうとする意思を持つ人間の言葉だろう。
釘崎はエリオに向かって手を伸ばす。握手をしようということは対人能力の死んでいるエリオでもわかったらしい。
どうしようかと、俺を見上げてくるので仕方なく背中を押し込んだ。
一歩、近寄ったエリオは伸ばされた釘崎の手を握り返す。
軽く握られたまま、二、三度振られた握手に釘崎は奇妙な感覚を味わった。
妙に軽い、握手した際の手応えというのか、あまりにも手応えが存在しなかった。
眉をひそめた釘崎はそっと、エリオを驚かさないように、だがエリオの体の違和感を確かめようとエリオの横側に回って肩を掴もうとする。それを握手の番を自分に回されたと思った虎杖は笑顔を浮かべてエリオに自己紹介をする。
「俺は虎杖悠仁。呪術のこととか、あんまりわかんないけど、色々と教えてもらえると助かるよ。これからよろしくな」
そう言って虎杖は握手をするが、そこで彼も同じ違和感にぶち当たったようだ。
「あれ、軽い?いや、軽すぎる?」
虎杖の疑問符が出たところで、釘崎はエリオの肩を掴んで軽く引いてみる。軽く相手がよろめくくらいの力で引いたと思ったら、エリオはそのまま宙に音なく浮かび上がった。地上からわずか、数センチ程度だが確かに彼女は宙を浮かびあがった。
ギョッと虎杖たちは驚きに身を怯ませる。
体内の臓器をいくつか落っことしたのでは、と思うくらいには軽すぎた。異様なまでの軽さ。エリオにだけ地球の重力がかかってないのでは、などと思わされる。数センチ、エリオを持ち上げた釘崎は肩を掴んだまま、力を入れることなく腕を上に上げていく。
するとそのまま、腕を上げた分だけエリオも持ち上がっていく。
「へっ?軽すぎでしょ。なにこれ、術式?」
エリオを持ち上げて、頭の上で上げ下げしてる光景は奇妙の一言だ。
「これ、釘崎がすげー怪力ってオチはないよな?」
「じゃあ、あんたが持ってみなさいよ!」
そういって、釘崎はエリオを上手投げして虎杖にパスする。
エリオはやられるがまま、ぽかーんとした表情で投げられているが、ああ見えて危険には人一倍敏感だ。エリオが嫌がっていないと言うことは、釘崎と虎杖に心を開いたのかも知れない。
宙を舞ったエリオを虎杖は危なげなくキャッチして、釘崎と同じ驚きをしていた。
「エリオの術式は付加重術式。呪力で重量を他のモノに付加させるシンプルな術式だ。重さを付加すると言っても、要は軽くするのもできる。術式の燃費が良いおかげで常時使っていても、呪力切れがないから体を軽くして運動不足でもそこそこ動けるようになってるんだ」
それを聞いて、虎杖たちは一様に表情を曇らせた。
「それがどうして、“精神と時の部屋”みたいなことができるのと繋がるわけ?」
「あれじゃね?すげー重力で時間をどうにかしてるんじゃね?ほら、ブラックホールの近くって時間が止まってるっていうし」
「詳しいことを説明し始めると、“領域”っていうのが関わるんだが、興味あるか?」
元々、呪術師である釘崎はなんとなく分かっているようだが、一般出身の虎杖はさっぱりそうだ。
さて、どこから説明したモノか?
「エリオ、あんた何か東京のおすすめスポットとか知らないの?」
「あんまり外出たことない……お菓子……通販で色々と頼んだりしてるからお菓子の店なら」
伏黒は虎杖に領域について詳しい説明をし始め、釘崎はエリオを肩の上で俵持ちして東京のおすすめスポットについて話し始めている。エリオは引きこもりではあるが、通販などで東京のおすすめ銘菓についてポツポツと語り出す。
普通の学校なら、壊れることもない日常のワンシーン。
呪術高専において、不変ではないそれを尊ぶように五条悟は静かに眺める。
一年同士の穏やかな青い春の一幕を五条悟は心底、楽しそうに蒼い瞳で見つめていた。