鬼殺と失った右腕   作:1052667

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始まり

 

少女は人間だった。

山の上にある小さな村に住む少女はある日、夜遅に出歩いていた。

少女が住む村は都会と遠く、大きい街に行くには夜遅くから出かけなければならなかったのだ。

 

「今日もお使いの帰りにお団子食べよ。」

 

脳天気な事を考えながら少女は暗い夜道を歩いていた。その時、少女はなにかにつまずいて、転んでしまう。

 

「痛っ。って、へ?」

 

少女は足元をに転がってるものを見て驚く。

そこには背中に[滅]と書かれた黒い服を来ている死体があった。

 

「なに....これ...」

 

少女が驚いてると、後ろから気配を感じた。少女が振り向くと、そこには目付きの悪い男性がいた。男性は血のついた爪を伸ばし、少女の右腕に突き刺してこの場を去る。

 

「ぐぁぁぁぁ!!??」

 

少女はあまりの痛さに叫ぶ。そして何を思ったか、死体の近くに落ちていた刀を拾い、腕を切った。

切られた腕は魚のように跳ね回った後、何処かへ行ってしまった。

少女の腕の血は止まっており、少女はその場から立ち去った。

行く宛もなく...

夜が明け、少女は近くの水溜りを見た。少女は水溜りに反射している自分の姿を見る。

 

「え..?  これが...私?」

 

少女は変わった自分の姿を見て驚いた。髪色は桃色に変色しており、小さい角も生えていた。

 

 

===数十年後===

 

 

少女は成長し、大人になっていた。

少女は鬼にはならなかったが、血鬼術が使え、日光に当たっても無事な身体となっており、人間を食べる必要もなかった。右腕があった所にはガスを右腕の形にして、包帯でごまかしている。角は白い布で隠している。

その名も、茨木華扇。本名は覚えていないらしい。

彼女は各地を旅している。自身を鬼に変えようとしたあの男とその配下の鬼を探して。

今日は街の甘味処にいた。そこで買った団子を食べていると、奇妙な噂話をしている2人組の声が聞こえた。

 

「なあ聞いたか?近くの町で若い女が行方不明になる事件が多発してるってよ。」

 

「聞いた聞いた。物騒な町だこと。」

 

華扇はその2人組に近寄る。

 

「少し話を聞かせてもらえませんか?」

 

「え?ああ、いいぞ。ここから東南の町の話だ。毎夜毎夜十六歳程の少女が消えてるんだってな。あまりの多さに避難する子もいるそうだ。」

 

「十六歳...」

 

「まあ、どうせ人さらいだろう。世も物騒だな。」

 

「ありがとうございます。」

 

一通り話を聞いた後、華扇は問題の町に向かって行くのであった。

今は昼間なので、その町に着くのは翌日の夜だろう。

 




次回から視点が入ります。

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