遠征先で舞風が大破したという話を聞いた。
私がそれを知ったのは、数日後の話だった。
鎮守府に戻ってきた舞風は、息をしていなかった。
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舞風が戻ってきてから数日が経過した。
だが、誰も彼女の事に触れない。
舞風は除籍扱いになったらしい。
どうしてだろう、彼女はまだ生きているのに。
でも、おかげさまで無理に戦線復帰させられることはなさそうだ。
それは、安堵する。今の舞風には、しばらく戦闘行為は無理だろうから。
なるほどと私は納得し、今日の任務に向かう。
……帰りに舞風へお土産を買って帰ろう。
部屋の扉を開けるとおかしな匂いがしたので、私は急いで暖房を消した。
舞風は今日も眠ったまま。
彼女はお転婆だから、どこかで悪いモノでも食べたのかもしれない。
「舞風。お腹を出して寝ていては風邪を引くよ」
頭をなでると、潮風に荒れた髪が指に絡む。
柔らかな髪質だったはずだけど、今は柔らかいというより、弱い。
これは、目を覚ましたらまずはお風呂かな──なんて思って。
「入渠は、あなたが目を覚ましたらね」
大破した舞風が入渠出来ないなんて、うちのドッグ事情はどうなっているんだと、少しだけ憤慨する。
「いずれ提督に進言しよう……っと」
「ごめんね、舞風。忘れていたわけじゃないんだ」
眠る舞風に、私は語りかける。
「舞風。今日は那珂さんと一緒に演習に出たんだ」
最近の日課だ。
あなたが目覚めるまでの間、一日にあったことを伝えると決めた。
「那珂さんは、舞風のダンスのことを気に入っていたよ。
もう一度踊りたかったと言ってた。
……那珂さん、アイドルになりたいっていうの、本気なのかな」
もちろん、彼女の答えは返ってこないけど。
寝息も聞こえないけれど。
「それなら舞風も、その内アイドルになっちゃうのかな。
……だったら、私がファン一号かな。
もしも目が覚めたら、那珂さんと踊るところを見せてよ」
「……私は無理だよ。何度誘われても無理だったでしょう?」
──今日の話はこれぐらい。
報告終了。
今が冬で助かった。
室内温度を低く保つ。
理由……? 理由は……彼女は暑がりだったから。
それに、あんまり心地よい温度だと、「あと五分」と眠り続けてしまうかもしれないし。
「おやすみ。舞風」
電灯を消す。
舞風は瞳を閉じて、眠っている。
宝石のような碧眼を、私はしばらく見ていない。
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舞風は安定している。
けれど、このまま安置もできないだろう。
私は私の出来る方法で、彼女を永遠にする。