梅雨入り前の6月。暑くなってきた時期である。山奥に、ある学校があった。その学校の教室に彼らはいる。
「転校生を紹介しやす!テンション上げてみんな!」
変なポーズを決める、両目に包帯をまいた明らかに怪しい男。五条悟。変人かと思うが、教師で呪術界の最強である。
「「「「・・・」」」」
しかし、残念ながら彼に応じる生徒は1人も、1匹もいない。理由は単純。彼の日頃の行いである。
「上げてよ・・・。楚はいつものってくれるじゃん」
楚と呼ばれたのは、クリーム色の髪でサングラスをかけた男子生徒。
「やだよ。テンション上げてって言われて上げるのは、僕の信念に違反するもん」
「楚って信念あったんだな」
新たな発見だ、と喋るのはパンダ。ちなみにファスナーはない。
「僕も驚いたよ」
「僕がのらないからって、敵側に回らないでよ、悟先生」
「まあ、楚の信念についてはおいとくとして」
「おかないで掘り下げてよ、真希」
真希と呼ばれたのは、ポニーテールで眼鏡の女子生徒である。
「転校生って、随分尖った奴らしいじゃん。そんな奴のために空気作りなんてごめんだね」
「しゃけ」
事情がありおにぎり語で話すのは、室内なのにネックウォーマーをしている男子生徒。名前は棘という。
「僕も棘と真希と同じ意見だな~」
「・・・」
パンダは沈黙を貫いているが、教室が歓迎モードではないのは、明らかだ。
「ま、 いっか。入っといで~」
担任の合図で、扉を開けた新入生。大したことないと高をくくっていた4人。しかし、新入生が教室に足を踏み入れた瞬間、彼らの背筋は凍った。
「乙骨憂太です。よろしくお願いします」
その空気を知らずか、普通に自己紹介をしようとする4人目の生徒。しかし、それは遮られる。
「これってなんかの試験?」
薙刀のようなものを突きつけた真希が、尋ねる。真希だけではなく、パンダ、棘、楚もそれぞれ戦闘態勢になっている。
「お前呪われてるぞ。ここは呪いを学ぶ場所だ。呪われた奴がくる所じゃねえよ」
呪いと言われて、不思議そうにする憂太。五条がその説明をすると、
「事前に言ってよ・・・」
困ったように言う憂太。
「えっ!悟先生、今教えたの?」
真希たちの疑問を代表して聞く楚。
「めんご」
全く反省してない様子に、呆れる生徒たち。
「あっ!早く離れた方がいいよ」
何が、と聞き返す間もなく、憂太の背後に異変が生じる。
「憂太を虐めるな」
「待って!里香ちゃん!」
その何かは呪霊。簡単に言えば、呪いだ。彼らはそれと戦う呪術師。そして、ここは呪いについて学ぶ場所、呪術高等専門学校。これは、そこに通う生徒たちの物語である。