シュタライブ!(仮)   作:鳳凰院凶真になりたかった人

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プロローグ

穂乃果「あれ?今度は普通に温められた…」

 

凛「マカロンって温めるとこうなるんだー」

 

希「変化しなかったとはいえ、これは流石に食欲が失せちゃうね…」

 

穂乃果「うーん?何が原因なんだろう…」

 

花陽「さっぱりです…」

 

にこ「ていうか、このマカロンってことりのじゃないの?また泣いちゃうわよ」

 

穂乃果「はっ!しまった!?いつの間にか全部実験に使ってしまった…」

 

にこ「バカなの?」

 

穂乃果「ていうか気づいてたんなら言ってよ!」

 

にこ「いや、言ったから!何度も言ったから!あんたらが謎のノリでポンポン進めたんでしょうがっ!」

 

花陽「え、えっと、何だか勢いに飲まれて言い出せなかったと言うか…」

 

凛「マカロンは犠牲になったのにゃ…犠牲の、犠牲ににゃ…」

 

にこ「犠牲にしたのはあんたらでしょうが!て言うか何でここにはツッコミ役が私しか居ないのよ!ボケ4人に対してツッコミ1人とか過労死寸前で労災が降りるわ!」

 

希「にこっち、そんなにカッカしたらカワイイ顔が台無しよ?」

 

にこ「あ・ん・た・ら・の・せ・い・で・しょ!!」

 

私の名前は高坂穂乃果。国立音ノ木坂学院に通う高校二年生。スクールアイドルμ'sで活動をしています。けど今やっている活動はそれとは違います。いや関係なくは無いんだけど、何かというと−

 

ガチャ

ことり「おまたせしました〜♪ゴメンね、日直の日誌書くの忘れてて今出してきたんだ」

 

穂乃果「あ…こ、ことりちゃん…」

 

ことり「穂乃果ちゃん?どうしたの…って、わわっ!何やってるの穂乃果ちゃん!?」

 

穂乃果「これは、えっと、その…」

 

しまった…。早速バレた。

 

ことり「うぅ、またことりのおかしを実験に使っちゃうなんて…」

 

穂乃果「ご、ゴメンね…?実験用のバナナが途中で無くなっちゃって…買いに行こうと思ったんだけど、テーブルの上にマカロンが置いてあったから、つい…」

 

ことり「それは休憩の時に皆で食べようと思って置いといただけで、ことりは実験に使うために持ってきたわけじゃないのにぃ…」

 

穂乃果「わああああ!ゴメン!ゴメンなさい!泣かないでことりちゃん!」

 

ことりちゃんが泣きそうになってる。私は土下座する勢いで必至で謝る。

 

花陽「え、えっと、良かったら代わりに花陽のおにぎりを分けるから!」

 

凛「かよちん、そういう問題じゃないと思うよ?」

 

希「まあまあ、今度穂乃果ちゃんに何が奢ってもらえばいいじゃない。例えばお饅頭とかね?」

 

穂乃果「そ、そうだ!今日の帰りに穂乃果のお家においでよ!ご馳走するから!」

 

ことり「グスン……本当?」

 

穂乃果「うん!」

 

ことり「…今回だけだよ?」

 

穂乃果「うん♪気を付けるね!ありがとうことりちゃん!大好き!」

 

良かった!許してくれたよ!嬉しさのあまり、私はことりちゃんに思いっきり抱きついた。

 

ことり「わ!…うん♡私も大好き!」

 

にこ「ことりは相変わらず穂乃果に甘いわねぇ…ていうか、この光景先週もみた記憶があるんだけど気のせいかしら?」

 

希「まあいつも通りの光景やね」

 

凛「んー。もう絶対やらないとは言わない辺り、穂乃果ちゃんって以外と計算高いのか…それとも天然なのか…」

 

花陽「り、凛ちゃん!」

 

絵里「何だか盛り上がってるわね」

 

穂乃果「あ!絵里ちゃん!」

 

絵里「実験は進んでる?何か分かった事とかあるかしら」

 

ここは未来発明研究会。色々な機械を弄ったりしていろんなものを作る部活動。名前が長いんで、私たちは"ラボ"って呼んでる。

私は廃校を阻止するために何がこの学校に自慢できるようなものがないか探し回ってた時にここにたどり着いた。

大分昔に廃部になって放置されてたけど、当時の部員が作った面白そうな物がいっぱい残されていた。それを見てたらふとしたアイディアを思いついた!

 

無いなら作ればいいって。

 

自慢できるようなスゴイものを作ってそれをみんなに知ってもらえれば、きっと廃校は阻止できるって思った。

でも入部届けを出した後にスクールアイドルのことを知って、今はそっちがメインになったんだけど、入った以上はこっちも頑張らなきゃってことでμ'sの練習が終わってから最初の内は一人で活動してた。

それから間も無くことりちゃんが入ってくれて、μ'sのメンバーが増えるに連れラボにも入ってくれた。つまり、μ'sメンバー=ラボメンってことだね。海未ちゃんだけちょっと例外で、籍はあるんだけど弓道部が忙しいから滅多に顔は出さないんだけどね。

 

内部事情の説明はこれくらいにして、どんなものを作っているかというと、例えば1号機「じぇっとすとり〜む♡く〜ら〜」ネーミングはことりちゃん。

ドライヤーを分解して暑くなるとこだけ抜いたものに氷を入れて、スイッチを入れると一気に冷えた風が来る仕組み。

キャッチコピーは"南極の風を貴方へ"。これを閃いたときは「私って天才!」と思ったんだけど、問題はこれが必要なときの気温だと中の氷がすぐに溶けちゃうところ。

しかも解けた後に射出口を下に傾けると水がどばっと流れ出て大惨事になっちゃうんだよね…。そして元がドライヤーなだけにすっごくうるさい。

にこちゃんなんて「知ってた」の一言。気づいてたなら教えてよ!って開発当時は居なかったし無理か…。

 

2号機「ロビンフッドやないで、ウィリアム・ベルの弓やで」ネーミングは希ちゃん。弓にライフル用の電子スコープを取り付けた物。

"頭の上のリンゴでも簡単に射抜けます※実際には行わないでください。大変危険です"というのがキャッチコピー。 スイスの有名なお話が元ネタなんだって。

ただ使うのに慣れが必要で、うまく引かないと弦がスコープに接触して照準がズレたり、スコープが一緒に前に吹っ飛んじゃうときがあります…。

海未ちゃんにテストしてもらったんだけど、「色々言いたいところは山ほどありますが、そもそもなんで和弓なのにスイスの英雄から名前をとったんですか」とか本当に色々言われた…。

 

3号機「RGBサイリウム」ネーミングは絵里ちゃん。RGBカラーモデルで指定した色を、LEDライトで表現して光らせる事ができる画期的なアイテム!

アイドルのコンサートとか行くときに便利だよね!"あなた色に染め上げてね♡"がキャッチコピー。何故か皆にエロいって言われた…なんで?

問題は、中の電池の持ちが凄く悪いことかな…単三電池3本で大体20分くらい。大容量のバッテリーに変えるのも検討したけど、予算の都合などで今の所保留…無念なり。

 

…とまぁ、こんな感じの物を作ってます。これら発明品の総称が名付けてμ'sガジェット。…決してガラクタなんかじゃないよ?

 

どうせ発明した物を発表するのなら、ネームバリューがあった方がいいだろうって言うのは希ちゃんの発案。それと、μ'sのホームページに私たちの発明品も一緒に載せている。

開発までの話とかをホームページに載せたりして紹介しているの。結構評判いいんだよね。

これは花陽ちゃんの発案で、「歌って踊って可愛いくて発明もできるカワインテリ系アイドル」ということでμ'sのアピールにもなるかもとのこと。アイドルは個性が大事って言うし。

にこちゃんはどちらも最初はあまり乗り気じゃなかったけど、最後は納得してくれた。

ありがたい話で、見てくれた人の中にはいらない物を譲ってくれたり、技術的な指導をしてくれる人もいるの。開発費をカンパしたいって人もいるんだけどそれは流石にお断りしてます。

あくまで部活動だからね。でもそれだけ応援してくれている人たちがいるんだって思うと凄く励みになる。

 

それはさておき、今話に出たのはμ'sガジェット8号機 「電話レンジ(改)」。何で(改)なのかというと、これだけは大元がすでに部室にあったんだ。それを改良したから(改)。

これは電子レンジと携帯電話を組み合わせた物で、取り付けられた携帯電話に発信すると電子レンジを動かす事ができるの。

外出しているときに電話をかけて暖めたい秒数をセットするんだけど、その時に自動応答メッセージでにこにーガイダンスが流れるの。

実はこっそりスキップ機能を付けた事は本人には内緒。改良点は、ガイダンススキップ機能をつけた所と、タイマー機能をつけた所。指定の時間になったらレンジが動き出して予め設定して置いた秒数を温めてくれる!…え?その機能があるのなら電話で遠隔操作できる意味がない?…まあタイマーをセットし忘れた時とかに使えるんじゃないかな…?あはは…。

 

でも、これはまだホームページにも載せてない。私たちしか知らない秘密のガジェット。まだ完成していないからって言うのも理由の一つなんだけど、もう一つ理由が…

 

穂乃果「さっきから何度か実験してるんだけど何をいれてもこの通り。気づいた事と言えば、ターンテーブルが逆回転してる事くらいかな」

 

さっき電話レンジにかけたマカロンを絵里ちゃんに見せる。この通り、さっきはおいしそうだったマカロンがブヨブヨのゲル状になって変わり果てた姿に。

最初は私がサンドイッチを暖めようとした時に気づいた。おかげでその日のお昼ご飯がパァ…真面目に落ち込んだ。

流石にこんなグロテスクな物をwebにあげる訳にもいかないし、お蔵入りも考えた。けど折角ここまで頑張って来たんだしやり遂げたいよ、最後まで。

それにーーーー。

 

穂乃果「それと絵里ちゃんがくる直前くらいにもう一回やったときはゲル状にならなかったよ」

 

絵里「そう…後でプログラムもまた調べてみるわ。ハード的な問題かもしれないけど…」

 

にこ「言っとくけど、私は設計図に忠実に組み立てただけだからね。ミスなんてしてないから」

 

皆も同じ気持ちみたいだしね。

 

絵里「にこがミスしたなんていってないでしょ。ただ、設計の段階でどこか見落としがあったのかと思って……」

 

にこ「………私が見た限りだと、様は電話をレンジにつけただけなんだから見落としも何も無いと思うけど…?」

 

穂乃果「にこちゃんは相変わらずツンデレさんだね」

 

にこ「な、なにがよ!!」

 

見落としも何もない…遠回しに絵里ちゃんはミスなんてしてないって言ってるってことだね。素直じゃないんだから。

ちなみに今話に出たけど、今回この電話レンジの開発を担当したのは主にこの二人。にこちゃんが大元を分解して絵里ちゃんが分析。それから二人で設計図を書き起こしたの。プログラミングしたのも絵里ちゃんで、希ちゃんが何処からかもらって来た業務用レンジをベースににこちゃんがまた組み立てた。

意外な事に、にこちゃんってメカに強い。部室にあるパソコンとか自分で組んだって言ってたし、こういうのが結構好きなのかも。

絵里ちゃんは元々プログラミングが趣味で個人的にやっていたらしい。

 

絵里「私は直にゲル化現象を見た訳じゃないから、一度この目で確かめたいんだけどね」

 

にこ「なんか毎回タイミング悪いわよね。絵里がくる頃にはいつもゲル化ができなくなってるし」

 

絵里「うーん、今度来るタイミングずらして実験してみようかしら」

 

ことり「そういえばさっき海未ちゃんに会ってきたけど、練習長引きそうだから先に帰っていいって」

 

穂乃果「そっか、大会近いもんね。じゃあ穂乃果もそれまで残ろうかなぁ、待ってる間にパンでも買って…」

 

ことり「そういうだろうと思って、さっき購買でパン買ってきたよ♪」

 

穂乃果「おぉ!流石ことりちゃん!」

 

ことり「ついでに宿題も終わらせようね♪」

 

穂乃果「えー!家に帰ってからでいいじゃん」むー

 

ことり「でもまた忘れたら先生と海未ちゃんに怒られるよ?」

 

穂乃果「う…」

 

ことり「分からないところは教えてあげるからね?」

 

穂乃果「わ、分かった…」

 

花陽「私も残ろうかな…」

 

凛「じゃあ凛も残って宿題やろ!かよちん教えて!」

 

花陽「うん!凛ちゃん♪」

 

にこ「しょうがないわねぇ 私も付き合うわよ。けど、私はこの後用事あるからそんなに長くは付き合わないわよ」

 

絵里「あら、ツンデレって奴かしら」

 

にこ「違うわよ!!」

 

希「じゃあ実験はこれ位にして、海未ちゃんがくるまでは勉強会にしよっか」

 

全員「おー!」

 

これが、私達の日常。慌ただしくて大変だけど、とても充実していてすっごく幸せな…そんな日常。けど、そんな日常がある日、突然終わりを告げる。

こんなつもりじゃなかったの。

 

私は一旦夢中になると、他の事なんて考えずに何時も一直線に突っ走ってしまう。

 

それは、いいところでもあるけど、悪いところでもある。以前海未ちゃんにも言われていた。

 

今回はそれが悪い方に向いちゃったんだ…

 

バタフライ効果って言葉は知ってるかな?私もつい最近知ったんだけどね…。

つまり、それくらい慎重にならなくちゃいけなかったんだよ…

 

そう…私は慎重じゃなかった。

 

ーーーーー

 

7月12日 15:04

 

UTX前広場

 

穂乃果「わー、大きいねー」

 

海未「」

 

私と海未ちゃんはUTX学院のまえにいる。何でかと言うと、私たちの歌の作曲をしてくれている人がここに通っているらしい。

 

らしいなんていうのは、私も最近それを知って、直接会うのも始めて。

 

きっかけは私達がスクールアイドルを始めたての頃、やると決めたはいいけど曲はどうしようかと途方に暮れていた時。

私はようつべで自作の曲を挙げている人の動画を見つけたの。H.Nは"マカ"さん。

 

私はその歌に一目惚れした。

だから、作曲をお願いしてみたの。今思えばかなり無茶なお願いだったな…。

 

そして意外にもすぐに返事が来たの。最初は断られたけど何度かメールでやり取りしてーーー

 

そのうちに私達の熱意が伝わったのか、1週間後に音楽ファイルが送られてきたの。あの時はすっごく嬉しかったな…。

それからずっと私たちの曲を作ってくれているの。曲はいつも好評で、ファンも凄く増えた!どれ位かと言うと、ラブライブのランキング30位内に入るくらい!

凄いよね!それもあって、最近秋葉原周辺を歩いているだけで声をかけられたりする機会が増えた。

凄く嬉しいんだけど、プライベートで外を出歩くときは変装が必須です。これが有名税ってやつかな?スターみたい!

 

他の皆もマカさんには凄く感謝してて、感謝してもしきれないくらい感謝だね大感謝祭だよ!

ずっと直接あってお礼が言いたかったんだけど、いつも断られてた。ところがつい先日、会いましょうってマカさんから誘ってくれた。

何で急に気が変わったのか分からない、それより今は会えることが純粋に嬉しい!

本当は皆でお礼を言いにきたかったんだけど、恥ずかしいとのことでリーダーの穂乃果と曲に深く関わっている海未ちゃんが代表で会いにきたー

というのが今までの流れです。

 

海未「」

 

穂乃果「海未ちゃん!いつまで固まってるのさ!もう地の文の説明終わっちゃったよ!」

 

海未「やっぱり無理ですっ!書きかけの詩を人にみてもらうなどと!」

 

穂乃果「今更なにいってんのさ!マカさんには何度も詩は見て曲も書いてもらってるでしょ?」

 

海未「それはいつもメール越しだから耐えられたのであって!それにあれは仕上がりにある程度の自信がある詩を見てもらったときです!

構想中の詩を目の前で読まれて感想を直接言われるなんて私には恥ずかしくて///ましてや話し合いなんて無理です!」

 

穂乃果「だってもう約束しちゃってるもん。それに今日は弓道部休みだから空いてるって言ってたじゃん」

 

海未「確かにそう言いましたがっ!私が言いたいのはそこじゃなくてですね!穂乃果が私の了解もなしに勝手に話を進めてた所です!貴女はいつもいつも人の都合を考えずに…!」

 

穂乃果「それは悪かったけどさ…。でもマカさんも海未ちゃんの詩をもっと読んでみたいって、一度直接会ってみたいとも言ってたし。

海未ちゃんも一度ちゃんとお礼をいいたいっていってたじゃん。それに海未ちゃんだって作曲家さんと直に話すことで得られるものとかあるかもしれないよ?」

 

海未「そ、それはそうですが…!」

 

穂乃果「大丈夫だって!マカさんいってたもん!海未ちゃんの詩はいい詩だって!創作意欲を書きたたせるって!それに、穂乃果が側にいるからさ!」

 

海未「穂乃果…」

 

穂乃果「ね?」

 

海未「すみません…取り乱してしまって…だいぶ落ち着きました」

 

海未ちゃんの顔が和らぎ、笑顔になる。うん、いい表情だ。

 

穂乃果「うん!やっぱり海未ちゃんは笑ってる方がかわいいよ!」

 

海未「な…!///」

 

穂乃果「じゃあ落ち着いたところでレッツゴー!!」ダッ!

 

海未「ちょ、穂乃果⁉待ってください!」

 

UTX学院

−−−−−−

 

穂乃果「ありゃ、海未ちゃんと逸れちゃった…ん?」

 

何やら掲示板の前に人だかりができている。何が書かれてるんだろう。

 

西木野真姫さん、帰国

当学園在籍の1年生、西木野真姫さんがアメリカ○○大学から一時復学する事となりました。今学期の終業式で、西木野さんが○○大学で学んだ事の報告会を執り行う予定で(ry

 

…要するに海外に行っていた子が日本に戻ってくるということらしい。

西木野真姫さん…。

 

穂乃果「可愛い子だなぁ。アイドルみたい…」

 

記事と一緒に掲載されていた顔写真を見て、思わずそんな事を呟いた。いや私も一応アイドルなんだけど。でも、この顔どこかで見たような…

 

穂乃果「あ」

 

思い出した。A-RISEのことを調べていたときにネットニュースのトピックスで紹介されていた子だ。見出ししか読んでないけど確か日本の若き天才少女って紹介されていた気がする。

 

それにしてもこの西木野って苗字、最近他の場所で見た気が…。

 

UTX生A「へー、西木野さんが戻ってくるんだ」

 

UTX生B「西木野さんって言うと今期の入試トップ合格して入学式でスピーチしてたあの?」

 

UTX生C「たしか親があの西木野病院の経営者で、ウチの大手スポンサーだって話だよね」

 

UTX生B「入学直後にどっかの研究所からスカウトが来て海外に行ったって聞いてたけど、まだウチに籍残ってたんだ」

 

UTX生A「まだ1年生なのに凄いよね。海外で難しい論文とかも発表しているらしいよ」

 

UTX生C「何でウチにまだ籍残してるんだろ?」

 

UTX生B「まあウチとしてもA-RISEと並ぶレベルの看板娘をそう易々と手放したくないのかもね」

 

UTX生A「いや、本人の希望らしいよ?正式入所は暫く考えたいって話」

 

UTX生C「なんで?」

 

UTX生A「さあ?」

 

UTX生B「天才の考える事は分からないわね」

 

どうやら西木野真姫さんはUTXの中でかなり有名のようだ。それにしてもアメリカの研究者さんなのか、凄く頭がいいんだろうな。

頭が良くてお金持ちで美人さんかー、完璧超人ってこういう子の事を言うのかな?

 

???「高坂穂乃果さん?」

 

穂乃果「え?」

 

話しかけられた方に顔を向けると、そこにはついさっき記事で見た人物が目の前に立っていた。

 

穂乃果「……え…え?……ええええええええええええええ!?」

 

真姫「!?」

 

西木野さんが私の驚愕した叫び声を聞いて後ずさる。

 

穂乃果「あ、あなた西木野真姫さん!?」

 

真姫「え?何で私の事知ってるのよ」イミワカンナイ!

 

穂乃果「し、知っているというか…この間ネットニュースで…天才少女とか」

 

真姫「…ああ、そう言う事ね。あんまりそういうニュースは見ない人だと思ってたけど」

 

穂乃果「あ、あの…貴女も私の事をご存知だったようですけど…」

 

真姫「知ってるわよ。高坂穂乃果さんでしょ?スクールアイドルμ'sの」

 

穂乃果「は、はい!」

 

真姫「別に敬語じゃなくていいわよ。貴女の方が年上なんだし、私もタメでしゃべってるし」

 

穂乃果「う、うん…」

 

まだ頭が混乱している。何だこの状況。ていうか初対面のはずなのに何故にこんなフレンドリーに接して来るんだろう?これがアメリカ流なの?

…とにかく黙っているのは良くないよね。何か言葉を返さなきゃ…

 

穂乃果「え、ええと、あの、西木野さんってアイドルみたいに可愛いね!」

 

真姫「ヴェエエ!?」

 

… はっ!何言ってんの私!?初対面の人に!?これじゃナンパ見たいじゃん!しかも相手女の子だよ!?

 

真姫「か、可愛いなんて…フ、フン!貴女なかなか見どころあるじゃない…でも煽ててもなにも出ないわよ」

 

な、なんだかよく分からないけど結果オーライっぽい…。空気が和らいだ所で、気になった質問を投げかける

 

穂乃果「えっと、私達って何処かで会ったことある?西木野さんは私の事詳しいみたいだけど」

 

μ'sのファンだったりするのかな?自分でいうのもあれだけど、割と名のしれたスクールアイドルだし、そういう機会もある。ただ、それだと今しているこの変装は意味をなしていない事になるけど…っていうか、この子の声、何処かで…

 

真姫「ああなるほど、貴女が困惑している理由がようやく分かった。そっか…ゴメンなさいね、名前を知っていたから"アレ"の事も知っていると勘違いしてたわ」

 

穂乃果「"アレ"?」

 

真姫「正式に自己紹介するわ。私の名前は西木野真姫。貴女にはー」

 

UTX生「高坂穂乃果さん!?」

 

穂乃果「あ…」

 

気がつけば私たちの周りに人が集まり始めていた。さっき叫んだせいか…、それとも思いっきり本名でしゃべってたせいか

 

スゴイ!ホンモノダ!ナンデUTXニイルノ?私フぁンナンダ!サインホシイ!

トナリニイルノモシカシテニシキノサン?ドウイウカンケイ?テイウカモドッテキテタンダキャー!スゴイツーショット!

ガヤガヤ

 

穂乃果「あ、あはは…ちょっとまずいかな…?」

 

ちらっと携帯の時計を見る。もうすぐ約束の時間。今捕まったら確実に間に合わない。

どうしようかと思ったその時だった。

 

海未「…ほ、穂乃果…!」

 

穂乃果「あ!海未ちゃん!」

 

ソノダウミチャンモキタ!ナンデミューズノメンバーガフタリモ?

 

海未「話は後です!取り敢えず行きますよ!」

 

海未ちゃんが穂乃果の手をとって走り出す。

 

真姫「あ!ちょっと!」マチナサイヨ!

 

後ろから西木野さんが呼び止める声を聞きながら、私と海未ちゃんはその場を離れた。

 

-----

 

穂乃果「はぁ、はぁ…あ、ありがとう海未ちゃん…」

 

海未「全く!急に走らないでください!また見失うところだったじゃないですか!」

 

穂乃果「ごめんごめ・・・ん?"また"?」

 

海未「やっと見つけたと思ったら今にも死にそうな顔をしてて、急にまた走り出して!今度は大勢のファンに囲まれてて!」

 

穂乃果「え?何の事?」

 

海未「何をトボけて…まあいいです。先ほどより顔色も良くなったようですし。時間もないので何があったのか今は聞きませんけど、後で話してくださいね。思い詰めるのは穂乃果らしくありません」

 

穂乃果「???」

 

本当に海未ちゃんの言ってる事に見当がつかない。思い詰める?私が?

 

海未「それより、早くしないと約束の時間に遅れてしまいます。急ぎましょう」

 

穂乃果「そ、そうだね」

 

気になるけど、今はそっちの方が先だね。今の話は後でゆっくり聞こう。西木野さんには悪い事しちゃったな…そういえば結局"アレ"って何だったんだろう?後でまた会えたら聞いてみよう。

 

ーーーーーーーー

 

21階会議室

 

穂乃果「…来ないね」

 

海未「場所はここで間違いないんですか?」

 

穂乃果「うん。案内図にも書いてあったし、マカさんのメールにもほら」スッ

 

スマホでメールを開いて海未ちゃんに見せる。

 

差出人:マカさん

宛先:穂乃果

21階会議室で

 

差出人:マカさん

宛先:穂乃果

待ち合わせし

 

差出人:マカさん

宛先:穂乃果

ましょう。

 

海未「…?何故3通に分かれているのですか?」

 

穂乃果「さあ?」

 

海未「あら、このメール先ほどに届いたばかりなのですね」

 

穂乃果「うん。昨日連絡したときはここの上の階の応接室って話だったんだけど」

 

海未「それは妙ですね…」

 

ドンガラガッシャーン!

 

ほのうみ「!?」

 

海未「い、今のは!?」

 

ドクン

 

心臓の鼓動が早まる。何故だか妙な胸騒ぎがする。気がつけば、海未ちゃんの制止も聞かずに部屋を全速で飛び出していた。

 

ーーーーーーーー

 

UTX学院 22階

 

穂乃果「この階から聞こえたような」

 

海未「穂乃果!行ったら危ないですよ!職員の人を呼んで-」

 

???「いやあああああああああああああああ!!」

 

 

ほのうみ「!?」

 

悲痛な叫び声がフロアに響き渡る。女の子の声?くぐもっててよく分からない。あっちから聞こえた?

 

海未「い、今の声って…」

 

穂乃果「向こうだ!」

 

海未「あ!穂乃果!」

 

------

応接室前

 

穂乃果「ここだね…」

 

応接室の扉は開いていた。恐らくこの中で何かが起きている。

 

海未「や、やっぱり戻りましょう…ここに居たらまずい気がします」

 

穂乃果「……」

 

海未ちゃんの言うとおりかもしれない。私の本能もいくべきではないと言っている。引き返すなら今しかない。

けど何故だか、この中で起きている事を確かめなければいけない気がした。

 

穂乃果「海未ちゃんはここで待ってて…」

 

意を決して応接室の中に入る。

部屋の中は薄暗く、人の気配はない。しかし、部屋の中は異臭が漂っていた。それも強烈な鉄の匂い。

 

穂乃果「だ、誰かいますか?」

 

返事はない。さらに奥に進もうもうとしたその時、足に何か当たった。

 

穂乃果「…え?」

 

人だった。女の子のようだ。血塗れで、ピクリとも動かない。…死んでいるの?そして顔をみてさらに驚く。

 

それは、ちょっと前に話したばかりの、天才少女と呼ばれている有名人

 

 

 

西木野真姫さんだった

 

 

 

 

穂乃果「あ…あ…ぁ…」

 

海未「穂乃果…?誰か居たんですか…?……え?」

 

はっと我に返る。後ろを振り返ると海未ちゃんがいた。私についてきてしまったみたいだ。

 

穂乃果「う、海未ちゃん見ちゃダメ!」

 

私は直様海未ちゃんの視線を遮る。だけど一足遅かった。

 

海未「キャアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

------

UTX保健室

201X年7月12日19:08

穂乃果「……」

 

海未「スゥ…スゥ…」zzz

 

あの後、職員の人が駆けつけてきた。私たちはすぐに部屋を追い出されて、暫くしたら救急の人や警察の人がきて、事情を説明したり…。

その後気分が悪くなった海未ちゃんにつきそう形でUTXの保健室にいます。

海未ちゃんは当初かなり混乱していて、ついさっきやっと落ち着いた所です。…無理もないよね。私も気を抜いたら意識が途切れちゃいそうだもん…。

海未ちゃんが先にパニックになったから、逆に私は落ち着きを取り戻したというか…。

 

穂乃果「本当に…死んでたんだよね…」

 

ガチャ

UTXの先生「高坂さん、先程御家族の方と連絡が取れました。お父様が車でお迎えにいらっしゃるそうです」

 

穂乃果「分かりました…」

 

UTX先生「高坂さんも疲れている筈です。お父様がいらっしゃったら呼びますからそれまでは休んでいてください」

 

穂乃果「はい…。ありがとうございます…」

 

そう言って先生は出て行った。とはいっても、気が高ぶってて多分横になっても眠れない。今はそれよりも、誰かに相談したかった。

何で西木野さんは刺されたのか。何でマカさんは現れなかったのか。何でマカさんと最初に約束した応接室で事件は起きたのか。

もし場所を変更していなかったら、刺されていたのはもしかすると…

 

穂乃果「…っ!」

 

そんな筈はない。ただの偶然だ。しかし、そう思うには余りにも話ができすぎていた。

ダメだ、考えれば考えるほど悪い方向に進んでしまう。

こんなの私らしくない。

そしてポケットから携帯を取りだす。メールの作成画面を開く。

 

穂乃果「…」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

宛先:絵里ちゃん

件名:相談

UTXで西木野真姫さんが誰かに刺されたみたい…マカさんにも会えなかったし、もうわけわかんない…ゴメンね、いきなりこんなメールして。

後で電話で詳しく説明するね。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

誰かに相談してどうなるという訳でもない。だけど今の状況を自分の中で整理するためにも誰かに相談したかった。

事が事なので取り敢えず絵里ちゃんだけに…

そして私は送信ボタンを押した。

 

穂乃果「え…!?」

 

目の前の視界が歪み、猛烈な立ちくらみのような感覚が私を襲い、目の前の視界が歪む。

 

 

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