転生したらラプラス・ダークネスだった件   作:飽和水溶液_pixiv

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第12話です。投稿が遅くなってすみません。
今回は、ラプ様が新たな決意をするそうです。今後のholoXの活動が楽しみですね。


【追記】
さて、今回は特に書くことも無かったのでさほど重要ではないモブキャラたちの簡単な設定についてザックリ書いていきます。興味のない方はこのまま本編へとお進みください。

通称:ラプラスがこちらの世界に来た時に初めて会った眷属の男
彼は【ぷらすめいと】の一人であり、現在はラプ様の『秘書兼お世話係』という名誉な役職についてます(羨ましい)。黒上フブキを逃がしてしまうという失態を犯したものの、普段は賢く気も利くよい従者です。ラプ様も所々で垣間見える異様なラプ様推しなところ以外は、まあまあ気に入ってるみたいですね。見た目は執事のような格好に紫色のロングマント、頭部にはラプ様印の牛のような角が生えています。YES MY DARK!

通称:道案内兼黒様の世話係をしていた眷属の女
彼女も【ぷらすめいと】の一人であり、少し前までは抜けているところを無能だと判断され『雑用係』をしていました。そんなある日突然敬愛するラプ様に声を掛けられ、以降何故か気に入れられ『総帥直下の雑用係』という大出世を果たしました。現在は黒上フブキを故郷に送り届けるまでの『捕虜(客人)の世話係』をしています。見た目も大きくは他のぷらすめいとと同じであり、茶髪のボブカットヘアーです。

通称:鬼の国の百鬼王(百鬼あやめの父)
彼はフレンズ王国の隣国に位置する【鬼の国】の現国王をしています。鬼の国は総人口こそ少ないものの、鬼族による"そこそこの長寿かつ強靭な肉体を持つ"という特徴を活かし、この大陸の中でも有力な大国として名を馳せていました。
しかし、此度のholoXの侵略行為によりその尊厳はいとも容易く穢されてしまうことになります。たった一人の侍を名乗る少女に、最も自信のあった武力で敗れ、鬼の国の城はあっけなく陥落してしまいました。現在は国の運営をほったらかして、酒に入り浸っているらしいです。(細かな設定等は依然百鬼あやめさんの配信で出てきた父百鬼を参考にキャラ構成を組んでます。実に不運な父親にしてしまった……)

通称:鬼の国の百鬼王妃(百鬼あやめの母)
彼女は【鬼の国】の王妃をしていました。夫である百鬼王を愛しており、また娘であるあやめを大変可愛がっていたそうです。しかし、此度のholoXの侵略の最中、自分の娘を庇うために風真いろはに殺されてしまいました。また、彼女はプライドの高い鬼であるにも関わらずフブキ王と似たような意見を持っていたそうです。優しい人が不幸になる世界なんて間違ってる!!()


第12話 償う決意と歩む覚悟

 

 

「……そんなわけで、私はここに捕まっているんです。」

 

 

フブキ王がそう言って、最後に残っていたお茶を一気に飲み干した。

 

吾輩がこの国に来るまでに、そんなことが起こっていたのか……。

敵味方問わずできる限りの被害を減らしたいフブキ王、自分の大切な人達がとにかく無事でいて欲しいと願う大神ミオ、そして我々holoXの完全打倒を望む百鬼あやめ……彼女たちはそれぞれに、大切にしたいと思うものが違うのだ。その結果意見がすれ違って、手段だけが一致した大神ミオと百鬼あやめが手を組んで吾輩たちを嵌めたのだ。

そして、フブキ王はそれを大人しく見ていることしかできなかった。

 

 

「……まあ勿論、ミオたちの考えも理解はできます。それに、彼女たちの意見を尊重したい気持ちもあります…………そして、それは恐らく向こうもそう思ってくれているのでしょう。だからこそ、私を付きっきりで面倒を見るようにとおかゆを送ってくれたのでしょうから」

 

 

それについては、吾輩も同意したいところだった。

こちらの世界での三人の関係を知っているわけではないが……少なくとも、吾輩のいた世界ではホロライブの先輩後輩関係なく仲良くしていたから。多少意見が食い違った程度のことで、一生疎遠になるなんてことにはなってほしくない。

 

 

「……そういえば、おかゆさんところねさんもその現場にいたんだよな?二人は捕まったりしなかったのか?」

 

 

さっきのフブキ先輩の話的には、黒様からの手紙を持ってきたおかゆ先輩たちもその場にいたはずだ。にも関わらず、ころねさんは吾輩の給仕係、おかゆさんはフブキ先輩の世話係となっている。二人はミオ先輩たちの意見に反対したりしなかったのだろうか?

 

 

「ん~?そりゃあまあ、僕にはころさんがいてくれたからね。それに、パッと見た感じ正否はともかく力的に優勢だったのはミオちゃんたちだったからさぁ。僕は戦えないし、だったらころさんと一緒に痛い思いしない方に着くよ~」

 

 

要は勝ってるほうの味方という事か。

それは何というか……ある意味賢く、ある意味薄情であると言える。まあ、そんなのらりくらり過ごしている方がおかゆ先輩らしいと言えばらしいのか。

 

 

「あ、でも勘違いしないでね。僕たちだって、フブキちゃんやミオちゃんやあやめちゃんたちには仲良くしてほしいと思ってるし、僕も仲良くしたいよ?だからこそ、僕たちにできる形で三人の仲を取り持ってただけ。その証拠に、今はこうしてミオちゃんの言い付けを破ってまでフブキちゃんたちの味方してるんだからさぁ」

 

 

確かにその通りだ。ミオ先輩たちにフブキ王のお世話係兼見張りを任されているのなら、今こうして吾輩と接触させていることは言うなれば命令違反だ。しかし、それでも三人が仲直りしてくれるのなら構わないとおかゆ先輩は考えているらしい。

 

 

「ええ、わかってますよ。おかゆやころねにはいつも感謝しています。今だって、ころねにはミオたちの足止めをお願いしていますから」

 

 

なるほど、そういう話になっていたのか。だから今日の吾輩の給仕係がころね先輩ではなく、代わりのおかゆ先輩だったと。という事は、やはりころね先輩もおかゆ先輩と同意見なのだろう。

 

 

 

 

「……なあ、そろそろ話の続きをしようぜ。急がないと夜が明けちまう」

 

 

フブキ王が捕まった理由について一通り話し終わった後、黒様がそう言った。

そういえば、吾輩とフブキ先輩が捕まった経緯については聞けたが、ではなぜ今『吾輩の助けが必要なのか』という話がまだ終わっていなかった。ここまでが前振りであり、ここからがミオ先輩たちの目を盗んでまで吾輩をここに呼んだ本命なのである。

 

 

普通に考えたら、今の状況は過程はどうであれフブキ王にとっても好都合であることは間違いない。許容できない手段であったとしても、結果的にはミオ先輩たちの思惑通り吾輩を人質にすることができているからだ。にも関わらず、吾輩に”助けて欲しい”とはどういう事なのだろうか。

 

 

「……手段はともかく、大神ミオたちのやったことは結果的に見れば大成功だ。普通に考えれば、フブキ王も解放され我々holoXも追い出せる……一件落着じゃないのか?」

 

 

「はい、もし本当にそれだけだったなら、私の考えが甘かったというだけで話は終わりでした。……でも、事態はそれだけでは終わらなかったのです」

 

 

フブキ王がそこまで言って、視線を部屋の端の方にいる人物へと向けた。ここから先は黒様が説明するってことか?

そして、その視線に気が付いたらしい黒様が壁にもたれ掛ったまま話しを続けた。

 

 

 

「……実は昨日、お前達holoXの本部から手紙が届いたんだ。……いや、果たし状って言うべきか?差出人は、あの”幹部”とかって呼ばれてたアイツ……【鷹嶺ルイ】だ」

 

 

 

「なっ!?」

 

 

その黒様の言葉を聞いて、思わず声が漏れてしまった。

確かに吾輩は、博士に『幹部にこのことを伝えるように』という意味も込めて遠回しに伝言を頼んだ。でも、その時一緒に”早まるな”とも伝えたはずだ。それは、こういった実力行使に出ないようにするためのものだったのだが……。

 

 

「やっぱりな。その反応……お前も、このことは知らなかったんだろ」

 

 

自分の部下の早まった行動に驚いている吾輩を見て、黒様がそう言った。

勿論、ここ数日の間牢屋にいたラプラスがそんな話を知るはずもない。

 

 

「…………知らなかった。それに、そういう風に指示した覚えもない……幹部には、早まるなってちゃんと言ってたのに」

 

 

「ああ、それは私も聞いてた……だからこそ、こっちも動揺してるんだ。確かあいつは、かなりキレる奴だったろ?そんな奴が、後先考えずにこんなことするもんかね」

 

 

いや、あの……多分します。

ルイのやつは普段優秀な癖に、吾輩絡みのことになると途端に周りが見えなくなる節がある。黒様が幹部に対してどのような印象を持っているか知らないが、少なくともこの世界のあいつは吾輩の為なら本気で星一つを攻め落とそうとするだろう。それをわかっているからこそ、博士に伝言を頼んだのだから。

 

 

「それになんて言ったか……鷹嶺ルイには、何かを”視る”力があるんだろ?それがあるなら、今のラプラスの状態とかこっちの事情についても知ってそうだと思ってたけどな……」

 

 

黒様の言うそれは、恐らく幹部の眼に宿る【ホークアイ】のことだ。

鷹嶺ルイが生まれつき持っていたその権能は、聞くところによると『少し先の未来が見える千里眼』という事らしい。自分の干渉できる範囲内の、ありとあらゆるその後に起きる事象を視ることができる。それだけ聞けば最強過ぎる能力だが、勿論弱点もある。その一つが遠すぎる場所は視ることができない、という事だ。幹部は今holoXの総本部にいるはずなので、今回はその条件に当てはまってしまった結果こちらの事情を把握していないのだろう。

 

 

「あいつの眼はそこまで万能な物じゃない。こっちの内部事情を、博士から聞いたこと以上には何も知らないと思うぞ」

 

 

「そうか……」

 

 

疑問点に対する回答を吾輩が言うと、黒様がそう呟いた。

 

しかし、長らくしてもらったフブキ王の話に、ようやくこれで合点がいった。

要はフブキ王の命令を無視してミオ先輩たちが謀反を起こし、吾輩を拘束した。そしてその結果、holoXの連中が宣戦布告してきたのでこの事態を収める協力をして欲しいという事だろう。

 

 

「……フブキ王。つまり吾輩に、holoXの連中を止めて欲しいって話でいいのか?」

 

 

「はい、一言で言えばその通りです。あなた様に危害を加えておいて、大変身勝手な話だとは重々承知しているのですが……それでも私は、この戦いで出るであろう被害をこれ以上見過ごすことはできないのです。どうか…………私達を、助けてください。お願いします」

 

 

そう言いながらフブキ王が手を地につけ、そして深々と頭を下げた。

それは、先輩がずっと正座で話していたが故にまるで土下座でもしているかのようだった。

 

 

その姿を見て、ラプラスはギョッとする。尊敬する大先輩に、吾輩は一体何をさせているのだと。

”ラプラス”という悪魔の命令によって、尊厳も、信頼も、土地も、命も……何もかもを奪われた王が、その張本人に頭を下げてまで助けを乞うというのか。しかもその原因すら、我々holoXにあるというのに……。

 

 

「…………これじゃあ、本当にただの大悪党だな……」

 

 

この星に来るまで、吾輩は勘違いをしていたのだ。

愛する部下や眷属たちに、当たり前のように羨望の眼差しを向けられ続け……まるで、この世界のラプラスは皆から”称えられる存在”であると……そう思ってしまっていた。

しかし、実態はそうではなかった。傍から見れば、ただただ惑星を侵略するだけの悪徳集団だ。その星に住む人々を襲い、恐怖と暴力で支配し、全てを搾取する……ただの悪者だったのだ。

 

 

ラプラスがholoXを作ろうと思った理由は、自分が楽しいと思える場所を作りたかったからだ。悪の組織・秘密結社などと名乗ったのは、ただかっこいいと思ったからだ。幹部や博士、侍や新人などの優秀な人材を仲間に引き入れたのは、その能力を見たからではなく彼女たちの中身に惹かれたからだ。中には、元々いた場所から無理やり連れてきたようなやつもいる。

……そんな、吾輩自身の身勝手と我儘だけで作り上げられたのが、この『holoX』という居場所なのだ。

 

 

 

それでも……

 

 

こっちの世界のholoXと、吾輩が居た世界のholoXが別物だということはわかっている。

 

こんな酷いことを命じたのが、今の吾輩でないと知っている。

 

ここで被害を受けている先輩たちが、吾輩の尊敬している方々本人でないことを理解している。

 

 

…………それでも、彼女達には何の罪もないではないか。部下たちはただ、総帥の命令を聞いただけではないか。

 

 

 

 

-----すべての非は、【ラプラス・ダークネス】にある。

 

 

 

 

ならばこれは、この世界のラプラスと……”私”自身の戦いなのだ。

アイツのした行いの尻拭いは、全て私がやってやる。ラプラスの壊したものを、私自身が直すのだ。どんな理由があってこんなことをしているのかは知らないが、洗いざらい償ってやるよ。これは……同じ”ラプラス同士”の問題なのだから。

 

 

 

「フブキ王……一つ、吾輩から提案をしてもいいか?」

 

 

「……何でしょうか?」

 

 

暫く黙っていたラプラスが徐に口を開き、それを聞いてフブキ王も顔を上げた。

ラプラスのしたツケをラプラスが払うというのなら、まずはここからだ。

 

 

 

「吾輩とお前……”フブキさん”とで、取引をしないか?内容は……対等な立場での”同盟”だ」

 

 

 

悪魔もどきがそう言って、ニヤリと笑った。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「同盟……ですか?」

 

 

ラプラスの発言に対し、フブキ先輩が訝しんだような様子をみせた。

まあ、いきなり敵からそんなことを言われても意味が分からないよな。

 

 

「そうだ。吾輩の考えとフブキさんの意見は一致してる……なら、お互い協力しあった方がいいだろ?」

 

 

利害が一致しているなら協力すべき、小学生でもわかることだ。

そんな吾輩の発言に対し、話の流れを見ていた黒様が口を挟んだ。

 

 

「どういうことだラプラス、お前の考えって何の話だよ」

 

 

「決まってるだろ黒…………例の”交渉”だよ。何のために吾輩たちがここに来たと思ってるんだ」

 

 

投げかけられた疑問に対し吾輩がそう答えると、黒様がハッとした。

ラプラスがここに来るまでの間、必死に考えていたこと。それはどうしたらholoXの総帥としての体裁を保ちつつ、フブキ先輩の星を平和にできるのかという事だった。誰にも詳しく説明していなかったが、フブキ王との交渉内容とは初めからそれについてのものだったのだ。その為に、眷属や烏を使って情報を集めていた。

しかし、本当はさっきまでその苦労は無駄だったと思ってたんだが……あっちにその気があるなら、きっとこの条件を呑んでもらえるだろう。

 

 

「同盟についての詳しい内容だが……まず第一に、我々holoXはフブキさんたちの惑星に対し、吾輩の名の下”今後一切の攻撃行為をしない”ことを約束する。」

 

 

「えっ…」

 

 

フブキ王が何やら驚愕したような声を上げたが、ラプラスは話を続ける。

 

 

「次に、此度の侵略行為による被害については犠牲になった方々全員に哀悼の意を示すとともに、今後行われるだろう各国の復興作業を全力を持って援助する」

 

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいっ」

 

 

ラプラスの言っている内容が想定していたものと違いすぎたあまり、フブキ王は思わず静止の声を上げた。

しかし、当の本人は止まらない。

 

 

「更にはそれが終了した後についても、こちらからは”holoXの技術力”を提供し続けることを約束しよう。今のフブキさんたちに扱える程度の技術力にはなってしまうが、食糧問題や医療問題については大きな改善が見込めるだろうな」

 

 

「ラ、ラプラス様、待ってくださいってば!!」

 

 

ラプラスが考案していた交渉の内容について話していると、フブキ王に再度強めに止められてしまった。人がまだ喋っているのに、止めるなんてマナー違反だぞ。

 

 

「なんだ?吾輩、まだ話してただろ」

 

 

「あっ……いえ、話を遮ってすみません。でも、ラプラス様の仰っている内容がその……理解できないというか…………それじゃあまるで、私達を庇護下に加えると言っているようなものじゃないですか」

 

 

まるでも何も、吾輩は端からそのつもりだったのだ。

最初はミオ先輩たちに完全に拒絶されてやめようとも思ったが、フブキ王がこちらと争う気が無いと言ってくれるならこういう選択肢もありだろう。holoXの連中には吾輩から言えば、少なくとも文句は出ないだろうしな。

 

 

「ああ、そのつもりで言ってるからな。まあその代わり、お前たちからはちょっとした労働力と星の資源を一部頂くつもりだ」

 

 

それは博士や侍からの報告書で、この惑星について知った時から思っていたことだった。この星に住む獣人たちは運動能力が高く、我々からすれば労働力として最適だ。勿論過酷な重労働をやらせるつもりなどないが、自分たちの星の発展くらい自分たちでやってもらわなければ困る。石油資源や鉱物資源の方についても、博士が”有用だ”と自分で言っていたので問題はないだろう。

 

 

「そのつもりって……しかもその内容では、あまりにもそちらに負担が多くないですかっ?!」

 

 

「んーまあそうかもしれないが、そっちから差し出せるものなんてあんまりないだろ?これから色々やることも増えてくるだろうしな」

 

 

文明力に差があるのだから、これは仕方のないことだ。

しかし、それでもこちらとしては旨味のある話だし、何より今後先輩方と顔を合わせても後ろめたい気持ちにならないのならラプラスにとってこれ以上の好条件はない。

 

 

「そ、それはそうかもしれませんが……これでは、対等な立場の同盟とは言えないのでは……」

 

 

しかし、肝心のフブキ王は納得していない様子だった。

というよりは、不思議にでも思ているのだろう。何故わざわざ侵略した惑星に対し、こんな内容の同盟を持ちかけてくるのかと。まあ、こっちとしても最初からその気だったのなら、あんなに荒っぽいことをせずに済んだのだが。

 

 

「納得いってないみたいだな。……なら今後、主に吾輩と仲良くするように努力してくれって言うのはどうだ?元々敵だった吾輩と友好的になんて難しいとは思うが…………あっ!後はアレだ、さっきおかゆさんが握ってくれたお米の作り方を吾輩たちに教えてくれよ。吾輩はお米が大好きなんだが、何故かholoXの本部には無いみたいなんだよな……」

 

 

「…………?……?」

 

 

向こうが気負う必要はないと思って掛けたつもりの言葉が、余計にフブキ王を困惑させてしまったようだ。

しかし、これらのことは全て吾輩の本心だ。これならholoXの総帥としての体裁も保てて、尚且つフブキ先輩たちとも堂々と仲良くできる。互いに利のある話だと思うんだが……。

 

 

ラプラスが同盟についての内容を提案した後、暫くの静寂が流れた。

どうやらフブキ王は、あごに手を当てて悩んでいる様子だった。そんな彼女にじれったくなったのか、先に黒様が口を開いた。

 

 

「なあ、ラプラス。さっきの話……あれはいつから考えてたことなんだ?」

 

 

その質問に、どんな意図があったのかはわからない。

しかし、まるで最終確認でもするようなその黒様の反応に、ラプラスも正直に答えた。

 

 

「お前と初めて会った時だ。フブキさんの存在を知ったあの時から、ずっとそのつもりだった」

 

 

「…………そうか。」

 

 

ラプラスからの回答を聞いた黒様が、目元を片手で隠しながらハァーと息を吐いた。今彼女が何を考えているのかはわからないが、それは実際の行動とは裏腹に何かを呑み込んだように見えた。

そして、そんな意を決した様子の黒様がフブキ王を見ながら言った。

 

 

「なあフブキ……私は、ラプラスの話に乗るべきだと思う」

 

 

「黒ちゃん……」

 

 

「正直、私にもこいつの考えてることがよくわからん。……でもこいつは、ここまでの短い付き合いの中で敵である私との約束を守り続けた。何がしたいのかは知らないが……少なくとも、ラプラスの言葉は信用に値すると私は思う」

 

 

黒様の発言に対し、意外にも一番驚いているのはラプラスだった。多少和解できたかもとは思っていたが、まさか黒様がそこまで言ってくれるとは思いもしなかった。

そして、そんな黒様に続いておかゆ先輩もフブキ王の背中を押してくれた。

 

 

「フブキちゃん。僕もラプちゃんの言ってることに嘘とか、隠し事とかは無いと思うよ?。難しい話はよく分からないけどさ、さっきのラプちゃんがご飯食べてる姿を見てただの極悪人だとは僕も思わなかったなぁ」

 

 

「おかゆ……」

 

 

二人からの提案を受け、それでも尚フブキ王は悩んでいる様子だった。

もしかして、吾輩の想定していない不安要素でもあるのだろうか。

 

 

「フブキさん……そんなに迷っているのには、何か理由があるのか?この内容じゃ不満か?」

 

 

「い、いえ、不満なんてとんでもないっ!すごくありがたい申し出だと思います…………ですが、ラプラス様の仰っている内容は、この星全てに関係するお話です。一介の国の王である私が、勝手に決めてよいものなのかと思いまして……」

 

 

そう言って、フブキ先輩はまた俯いてしまった。

 

なんだ、そんなことか。

確かに、吾輩の話はここフレンズ王国だけでなくこの星に住むすべての民に関係することだ。その行く末を、自分が勝手に決めてよいものかと彼女は思っているのだろう。しかし、それに関しては悩む必要など全くなく、すでに解決している問題なのだ。

 

 

 

「なんだ、そんなことを気にしてたのか?それについては大丈夫だろ。何たってフブキさんの国以外は、既に吾輩たちの支配下でありこの条件を呑む以外に選択肢は無い。…………それに何より、フブキ王にはこの天下の大悪党ラプラス・ダークネスと和親条約を結んだという”功績”ができるんだからな。……誰も文句なんて言えないだろ?」

 

 

 

その言葉を聞いて、フブキ王がハッとした。それと同時に、閊えていた物がストンと落ちたようにも見えた。まるで、彼女の抱えていた負担の一つが軽減されたように。

 

そして、そのフブキ王の様子を見てラプラスは勝ちを確信する。

 

 

 

「改めて言うぞ、フレンズ王国初代国王【白上フブキ】。秘密結社holoXの総帥である吾輩、【ラプラス・ダークネス】と同盟を結ぼう。こちらから差し出せるものは、これまでの贖罪と今後の貴国の発展だ!」

 

 

 

そう言って、ラプラスは右手を差し出した。

一瞬この星にこの文化があるのかと疑問に思ったが、ラプラスの求めていた反応をフブキ王は示してくれた。

 

 

 

「……はい。その申し出、謹んで御受け致します。こちらからは友好の証と、資源・人材を提供しましょう」

 

 

 

そう答えたフブキ王が、ラプラスの手を取って固く握手を交わした。

この日、holoX設立史上初めての『対等な友好国』が誕生したのだった。

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