転生したらラプラス・ダークネスだった件 作:飽和水溶液_pixiv
【追記】
さて今回の深堀シリーズは、『特殊部隊ラプツナズ』についてです。その名前からわかる通り、ロシア語で"特殊任務部隊"を意味する『スペツナズ』をもじったものとなっております。実際には存在しない部隊なのですが、かざま殿主催の【ホロドロケイ】でholoXのメンバーが着ていた軍服?が好きすぎて登場させてしまいました。(あれめちゃくちゃカッコよくないですか?)
しかしこのパラレル世界では、警察側としてではなくラプ様が私用で自由に使える部隊として活躍します。29話にも登場しますので、今回は彼らについて深堀していきますよ!(モブキャラなため、特に興味の無い方はとばして本編へお進みください)
秘密結社holoXには、どの部門にも属さない特別な部隊が存在する。それは崇高なるラプラス・ダークネスを陰ながら守り、支える者達【特殊部隊ラプツナズ】と呼ばれていた。彼らは元々、力を封印されているラプラスを武力的面から支えるという目的の為結成された。そして今となっては、その役割も保ちつつ『総帥が個人で私用できる部隊』として扱われている。そのメンバーはholoX内でも四天王を除いた各分野の選りすぐりの者たちが所属しており、全部で七名で構成されている。その為、得意なことに応じて種族や性別などまちまちなのだ。しかし、生まれや育ちは違えどラプツナズの隊員全員がラプラスに絶対の忠誠を誓っている。今後、彼らのお陰で解決できる問題も出てくるだろう。
ちなみに、彼らはお互いをコードネームで呼び合っており隊長から順にα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)、ε(イプシロン)、η(エータ)、θ(シータ)となっている。(ゼータのみ何故か飛ばされている)
何処までも広がる、広大な宇宙の大海原。
そんな中を、一つの彗星の如き光が一直線に遊覧を果たしていた。
またその星屑の体には、もうこの世界でも見慣れてしまった【 X 】のロゴマークが刻まれている。そして、それこそが彼女たちの所属を表していた。
「おい、クロヱ様のものと思われる信号の動きに変化はあるか?」
「出発時と特に変わり無いわ。一定の速度を保ちながら、どこかに移動中みたい」
「そうか……では、後どの位で追いつけそうだ」
「このまま行けば、大体半日から一日ってところかな……必要なら、速度を上げるけど?」
そんなやり取りを、宇宙船の船内でラプツナズの隊員たちが行っていた。
吾輩たちは現在、宝鐘海賊団に囚われてしまった仲間を救出する任務に赴いている最中である。そして、彼らの話によれば現地に到着するまでにおよそその程度の時間を要するらしい。
「ふむ……如何なさいますか、ラプラス様」
操縦室の真ん中前方に座っていた彼らのリーダーが、後方の司令官席でシートベルトをしている総帥に意見を求めてきた。この宇宙船の艦長はラプラスであり、この船の舵は彼女が握っている。
「うーん……いや、このままでいいぞ。想定外の事態に備えて、燃料は温存しておけ」
「「了解です!」」
早く着くに越したことは無いが、万が一トラブル等が起こって燃料が足りないなんて事になっては困る。ステルス機能についてもそうだが、温存できるものはしておいたほうが後々役に立つだろう。
ラプラスはそう思いながら、先程幹部から受け取った宝鐘海賊団の情報についてまとめられた資料に視線を落とす。先程速度を上げないように指示を出したわけだが、このまま行くと到着までに半日以上もかかるとのことだ。思っていたよりも時間がかかるみたいだし、適当に暇つぶしでもしながら過ごしていよう。
(”宝鐘海賊団について”、か……なんか色々書いてあるっぽいな)
手元の資料には、幹部が集めてくれたらしい情報が箇条書きで記されていた。内容を精査する時間は無かったようで、いくつか同じようなものもあるみたいだが……果たして、役に立つだろうか。
「どれどれ……『”宝鐘マリン”は右目に黒い眼帯をしている』、『誰かはわからないがメイド服を着た少女がいた』、『幹部以上は全員女性だった』……なるほど、この辺は相手の外見についてだな」
この資料の前半部分には、主に宝鐘海賊団に関する外見的特徴がまとめられているようだ。まあ、正直な話今の吾輩にとって相手の身なり等についての情報は必要ないんだけどな。吾輩には他の世界での付き合いがあるので、外見の特徴どころかその人の性格や好き嫌いまで知っているくらいだ。それに、吾輩が知りたいのはもっとこう……マリン先輩たちの”目的”に関係することなんだが……。
ラプラスはそう思いながら、資料の続きを読み進める。
「『二番船と三番船の船長は絶壁サイコパス』、『ピンク髪の巫女は見るからにバカそう』、『みんな可愛くていい匂いがした』……って、何だこりゃ」
前半はともかく、後半になるにつれて段々と情報に主観が混じり始めていた。幹部が有益なものもあったと言っていたが、流石の吾輩にもこの辺りの情報が役に立たないことぐらいはわかる。
(ていうか、最後のに至っては完全にこいつの個人的感想だろ……)
この資料は、言わば命からがら帰還してきた暗殺部門の連中の戦果ともいえる代物だ。だから、どんなに些細なものだったとしてもあいつらの頑張りに報いたいと思っていたんだが……どうやらそれは、吾輩のお門違いだったのかもしれない。
(暗殺部門の連中、これ幹部に提出する用に書いたんだよな……?肝が据わっているというか何というか)
幹部がどのようにして部下たちからこの情報を集ったのかはわからない。しかし、少なくともあの規則に厳しい鷹嶺ルイの目に入ることはわかっていたはずだ。加えて言えば、事態を鑑みて総帥である吾輩も読む可能性もある。にも関わらず、明らかにどうでもいい内容すら書き込むとは……。
「……あ、でもそっか。これを書いたのって、言うなればあっちの世界の【飼育員】たちなのか」
そう気づいた時、ラプラスは変に納得してしまう部分があった。元の世界での沙花叉クロヱとそのファンたちの関係を知っている吾輩からすれば、暗殺部門内は個人の感想なんかを気軽に言える環境なのかもしれない。『ペットは飼い主に似る』ではないが、変態でホロメンへのセクハラも容易にする新人に暗殺部門の連中も感化されてるんだろうな。まあ、この場合どっちがお世話される”ペット”なのか定かではないが……。
(何はともあれ、これとあの”クロヱ係の男の発言”を聞く限り……やっぱり、クロヱは部下たちといい関係を築けてるみたいだな)
今回の件を生き残ったクロヱ係から聞いた時、彼は自分が罰せられることも厭わずクロヱの意見を尊重したと言っていた。その上で、失敗したあいつを責めるのではなく吾輩に頭を下げてまで彼女の救出を願い出てきたのだ。そこには、絶対の信頼と強い絆があったと吾輩は感じている。皆が皆そうとは限らないかもしれないけど、きっと大多数が沙花叉クロヱという人物を大切に思っているんだ。そうでなければ、あんな言葉は出てくるはずがない。
「……もう少し、詳しく読み込んでみるかな」
途中の無益な情報に左右され、危くこの資料を軽く見てしまうところだった。いや、むしろこういった気軽な意見こそ有益なのかもしれない。変な先入観に囚われることなく、きちんと情報を精査するべきだな。
ラプラスはそう思いながら、更に視線を進めていった。
すると、つらつらと書かれている文の中にいくつか気になるものを発見する。
「……ん?何だこれ……『二番船内で、”動く死体”を見た』……?」
突拍子もなさすぎるその一文に、ラプラスは首を傾げた。またその他にも、『船内でいくつか甘ったるい香りのする部屋があった』とか『他の船と比べて、二番船では明らかに船員の数が少ない』という記載もあった。
(こいつら、一体何を言ってるんだ……?)
今回の潜入先だったという事で、必然的に二番船に関する情報が多くなるのはわかる。しかし、それにしたって『動く死体』とは一体何のことだ?それに、この船だけが極端に人が少ないことも引っかかる。流石に匂いまでの関連性はわからないが、上二つに関しては明らかな異常性だ。
ラプラスはもとより、これらの情報に嘘があるなどとは思っていない。仮に信じられないような内容だったとしても、誰かがそう言っているのならばそれが真実である場合が多いのだ。ていうか、こういった嘘っぽい話が真実だったなんてフラグは日本の作品じゃ基本事項だ。『化け物を見た』、『人が死んでる』、『こんなのは夢だ』なんて言うセリフは、全て物語を引き立てるセールスフレーズに違いない。まあ今は現実問題であるわけだが、それにしたって賢い吾輩はこれを無視するべきではないだろう。
「仮に、こいつらが言っていることが真実だとして……考えられるのは、るしあさんの力か?」
潤羽るしあ先輩は、ホロライブではアイドルという立場でありながら本職は『ネクロマンサー』であった。そして、この二番船がるしあ先輩の管轄でありかつ動く死体という発言から結び付けられるのは……彼女の、『降霊術(ネクロマンシー)』の力が関係しているということ。吾輩は今のところ実際にその力が使われている現場に居合わせたことが無いので確証は無いが、考えられる可能性はそれくらいだろう。
「……っていっても、これ以外にそれっぽい情報は載ってないな。これじゃあ、書いてある以上のことはわからないぞ」
手元の資料内には、上記以外に関係ありそうなものは書かれていなかった。つまり、ここより先は全て予測の域を出なくなってしまう。動く死体、甘い香り、人の少なさ……気にはなるが、わからないものはわからないのだ。
まあ、とりあえずは心に留めておくということにしておこう。結局、吾輩が本当に知りたいことについては何もわからなかったしな。どっちにしたって、現地に着いてみないとわからないことだ。
ラプラスはそう自分の中で解釈し、ふと手元から顔を上げた。すると、思っていたよりもずっと時間が経っていたことに気が付く。前方のモニターの端に映っている時刻を確認すると、資料を読み始めてから既に一時間以上が経過しているらしい。かなり集中してたみたいだな。
「……ていうか、冷静に到着まで半日以上かかるってヤバくないか?」
この世界には当然、元の世界にあったような”スマホ”等の暇潰しグッズが存在していない。本拠地内にはいくつかの娯楽施設があったものの、狭い船内にあるとしたらちょっとしたテーブルゲーム品ぐらいなものだ。
(あれ?これってもしかして……先日のフレンズ王国での地下牢の二の舞だったりする?)
あの時は見張りもいて、かつ食事も少なく三日間という中々に酷な環境であった。それに比べ、今回はほんの数時間でありまた食事等は自由にできるが……暇であることに、何ら変わりはない。しかも狭い船内にはラプツナズの隊員も乗っているので、必然的にさっき出会ったばかりの人達と長時間を共にしなければならないという事になる。それは、人見知りである吾輩からすればかなり苦痛な状況であった。
(……いや、考えるのは辞めよう。自覚したら、もっとしんどくなりそうだ)
ラプラスはそう思い、静かに目を瞑った。今のところ全く眠くは無いのだが、少しでも眠れればちょっとは時間を潰せるだろう。後はご飯を食べたり、作戦を練ったり烏と喋ったり……うん大丈夫、きっと耐えられる。
ーーこうしてラプラスは、この後も続く長い退屈な時間をゆっくりと消化していくのであった。
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【宝鐘海賊艦隊二番船 船長室】
一人で使うには、あまりにも広く感じる船長室。ほのかな甘い香りと、私好みの陰湿な雰囲気の混じる船内。そんな既に慣れきってしまった環境に、私は退屈感を抱いていた。
あぁ……一体、いつになったらこの”戦い”は終わるのだろうか。
『ーーーという訳で、例の沙花叉クロヱの件はそっちに任せて……って、るしあ?船長の話聞いてます?』
ふと、物思いに耽っていた少女の意識が現実に戻る。
すると、目の前に置かれた箱型の通信機からある女性の声が聞こえてくることに気が付く。私はそのことをようやく認識してから、手元に持っていた受話器に向かって話し始めた。
「……ごめんマリン、ちょっと考えごとしちゃってた」
そう悪びれも無く言ったのは、この二番船で船長をしている【潤羽るしあ】であった。また、彼女の謝罪に対し呆れたような声で【宝鐘マリン】が続ける。
『えーっ?もう、しっかりしてくださいよ!……今は、大事なお勤め中なんですから』
「……うん、そうだね」
こんな盗賊みたいな稼業の、一体どこが大切なお仕事だっていうのだろうか。
私たちは自己の利益の為、他者から多くのものを奪い続けている。資源も、食糧も、領土も……人の、命でさえも。職業柄、人の命の終わりに関わることはあるけれど、それは決して無下に他人の生命を脅かしたいという訳ではない。むしろ、私は出来るだけ多くの人々を救いたくてこの仕事を始めたのに……結果は、この様だ。
私たちは、あといくつの星々から略奪行為をすれば救われるのだろう。
本当にこの先に、私達の望む世界が待っているのだろうか。
そんな不安感が、一人の少女を襲っていた。
しかし、そんなことはお構いなしに我らがマリン提督が再度口を開く。
『いいですか?それじゃあ、もう一回言いますからね。……私たちはこれから、例の”組織”と接触を図ります。その間に、るしあ達は捕虜を連れて本拠地に帰還してください。それ以降は、私が戻るまでは自由に休んでて構いませんから』
再び下されたその任に、るしあは今度こそ内容を理解した。つまりは、手土産を持ってお家に帰れということだ。
「うん、了解なのです」
『はーい、お願いしますね。……それじゃあ、もう切りますよ?帰ったら、皆によろしく伝えてください』
彼女はそう言うと、静かに通信を切ってしまった。
またしても、孤独感が漂い始めた室内でるしあは近くに置いてあったぬいぐるみを拾って抱きしめる。大切な仲間から貰った、真っ白なウサギのぬいぐるみ。これだけが、私の中に纏わりつく暗雲を緩和してくれていた。
「早く……あの頃に、戻りたい」
消え入りそうな声で呟いたその言葉は、船内を包む静寂に飲み込まれていったのだったーーー。
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ーーーーーガサ、ゴソ……ガサゴソ。
突如訪れた得体のしれない違和感に、疲労感の募る体を強制的に目覚めさせられる。
気付かぬ間に眠ってしまったらしい彼女は、今尚体中を弄られる感触にちょっとした”快感”を覚えていた。
「……って、何してるの?」
ゆっくりと瞼を開き、刺激の出所を探っていた。すると、何故か傷を負ってしまった私の体を甲斐甲斐しく手当てしている一人の少女と目が合ってしまう。私はその者に見覚えがあり、またその行動の意味が理解できず疑問を投げかけた。
「ヒッ……」
しかし、その少女はいきなり声をかけられたことに驚いたのか持っていた包帯を落としてしまった。しかも、そのまま凄い勢いで後ろに後退り被っていた帽子を深くかぶり直す。もしかして、人見知りだったりするのだろうか。
「ねぇ……これ、一体どういうつもりなの」
だが、今の私にそんなことは一切関係ない。そんなことよりも、今この少女が取っている行動がどうしても私には理解できないのだ。こいつは何故、”敵”である私をわざわざ介抱するような真似をしているのだ。
その事実を理解した途端、彼女……”沙花叉クロヱ”は、徐々にその少女の行動に対して怒りが湧いてきた。同情のつもりか、はたまたただの気まぐれか……どっちにしたって、今の私にとっては不快以外のなにものでもなかった。敵から施しを受けるなんて、戦闘員としての恥だ。沙花叉をバカにでもしているのだろうか、本当に腹立たしい。
「ねえ、どういうつもりだって聞いてんの。答えなよ……一番船副船長、”湊あくあ”」
未だ牢の端で震えている薄ピンク色髪の少女、【湊あくあ】に向かって私はそう言った。すると、私のドスの利いた声に更に委縮してしまったらしい彼女は絞り出すようなか細い声で静かに答える。
「せ、船長が……あなたの、面倒を見てあげてって……」
この場合で言う”船長”とは、恐らく一番船船長の宝鐘マリンのことだろう。なるほど、それなら納得だ。確かにあいつは、明らかに不可解な行動をとるのが好きみたいだから。何たって、潜入していたことが発覚した私達の半分を敢えて逃がすような狂人だ。何のつもりか知らないけど、”これ”だってあいつの指図ならば理解できなくても仕方がない。
彼女はそう皮肉たっぷりに解釈し、落ちてしまった包帯を拾い上げた少女を睨みつける。
「あ、あの……続き…しても、いい?」
未だ怒りの冷めない沙花叉に対し、湊あくあがこの期に及んでそんなことを申し出てきた。
冗談じゃない。元々少ないとはいえ、ただでさえ沙花叉のholoXの四天王としての誇りを汚されているのだ。にも関わらず、引き続き介抱を受けるなんて……あの”キッズ”に知られたりでもしたら、絶対呆れられる。
「……そういうの、ウザいんだけど。勝手に触らないでよ」
「えっ…あ……ご、ごめんなさい……」
歩み寄ろうとしてきたあくあに対し、クロヱは酷な言葉を投げかける。しかし、普段不真面目な彼女だったとしてもこのような施しには怒りを覚えるのだ。それが、今のholoX内での自分の立場を危ぶめた相手ならば尚更のことだ。
「わかったら、とっとと出てってよ。……それとも、今ここで私に殺されたい?」
そう言い放ったクロヱだったが、それが出来ないことを一番理解しているのもまた彼女であった。先日の救出作戦の際に、潤羽るしあ及び星街すいせいによって受けた傷は思いのほか深かったのである。そして、それは本人が一番よく理解しており、あれから数日たった今でも疲労感と鈍痛により体を思うように動かせない。
だが実際にそれが出来るかは置いておいて、例え虚勢であったとしても私は彼女たちに屈するわけにはいかないのだ。だから今もこうして、無理を通してまで少女ごときに必死に吠える。
「わ、わかったから、そんなに怒らないで……スゥー……そ、それじゃあ、ここに包帯と薬置いておくから…よかったら、使って……」
そして、その無理が功を奏したのかどうやら湊あくあは素直にそれに従ってくれるようだ。最後に早口でそう捲し立てると、そそくさと牢を出ていった。本当ならその後ろを襲ってでもここから脱出するべきなのだろうけど、生憎ここが何処で私の荷物がどこにあるのかがわからない。加えてまだあの船長二人が居る可能性がある以上、必要以上に暴れるのは避けたいところだ。大丈夫、きっと助けは来る……。
そう思ったクロヱは、一人になった牢の床で再度横に倒れた。
……すると、ふとした瞬間に自分の体に起こっていた違和感に気が付く。
(あれ……さっきより、体が痛く無くなってる……?)
さっきまでジンジンと感じていた全身の鈍い痛みが、僅かにではあるが緩和されていた。それを不思議に思ったクロヱが自分の体を確認してみると、怪我をしてしまったあちこちにきちんと包帯が捲かれていたことにも気が付く。どうやら、続きがどうこう言っていたが手当自体はほとんど完了していたようだ。また薬とやらの影響なのか、傷の炎症がもうかなり治まっていた。
(別に……あいつが、勝手にやったことだし……)
誰に聞かせるでもないそんな言い訳を、自分の心の中に吐き捨てた。また痛みが引き、心身の辛さがかなり緩和されだすと今度は急激な睡魔に襲われる。怪我は治ろうとも、疲労は取れてはいないのだ。
「……ちょっと寝よ」
そう呟いた彼女は、直ぐに目を瞑った。
すると、抗うことのできない微睡みの波がどんどんとクロヱを夢の中へと引きずり込んでいく。またその心地良さに、彼女はそっと意識を手放していったのであった……。
ーーーーーお腹空いたなぁ。
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