転生したらラプラス・ダークネスだった件 作:飽和水溶液_pixiv
読みずらいという意見が出たらそのうちこっそりカラスに書き方変えるかもです……。
なんだか、壮大な話になってきちゃいましたね。一体どこへ向かっているのか……。
烏とこれからについて話し合った後、ラプラスは秘密結社holoXのアジトの廊下を一人と一羽で歩いていた。
「それで、烏。肝心の博士は何処にいるんだ?」
周りに誰もいないことを確認してから、ラプラスの頭上にいる生物に話しかける。
今いるこのアジトは、当然のことながら吾輩が今までいたビルとは全く別の場所だ。よって、館内の構造をラプラスはこれっぽっちも把握していない。ギリギリさっきの食堂へ辿り着けるか程度のものだ。
なので、こちらの世界の住人である烏に目的の人物の居場所を聞く。
「さあ、知らね。」
「はぁ!?」
しかし、何故か当人も知らないようだった。
言い出しっぺの癖に、それすらわかってないのかよ……。
「俺はあるじ様としか会話できないし、そもそもラプラス・ダークネス以外に興味も無い。普段の移動もあるじ様の頭に乗っかってただけだから、この建物の道順もたいして詳しくないぞ?」
さっきの烏の会話的に、ここの連中はラプラスを心酔しきってるから盲目って言ってたけど……コイツも大概だな。
「じゃあどうするんだよ。吾輩、道とかわかんないぞ」
「さっきみたいに、そこらの奴に聞いてみたらいいだろ。あるじ様はここのボスだぜ?」
まあ、そうだな。さっき食堂への道を聞いた時も普通に教えてくれたし、適当な眷属見つけて聞いてみるか。
そんなことを思いながらラプラスが歩いていると、タイミングがいいことに向こうから眷属と思われる女性が慌てた様子で走ってきていたところだった。丁度いいので声を掛けよう。
「あ、丁度いいところに。ちょっとそこのお前……「探しました、ラプラス様っ!!」」
道を聞くためにこちらが声を掛けようとすると、しかしそれを先に遮られてしまった。
あれ、そういえば……この人、さっき食堂までの道を聞いたスタッフさん(眷属)じゃん。なんか慌ててるみたいだし、何かあったのだろうか。
「見つかってよかったです、ラプラス様。今丁度、ラプラス様のお部屋まで伺おうとしていたところだったんです……あ、そういえばお体の調子はいかがですか?今朝は食事をあまり取られなかったと聞きましたが……」
「え、あ、うん。それについては大丈夫だ。……それよりも、何かあったのか?」
どうやら今朝の体調不良の件については、眷属の間ですでに情報共有があったようだ。なんだか心配かけてしまったようで後ろめたいな……。
しかし、総帥がそんな状態でも会いに来るとはよっぽどのことだろう。
「はい、実は……先日征服した惑星の捕虜の件で、ちょっと困った事になりまして……」
「困ったこと?」
先日征服した惑星ってのは、今朝幹部が話してたやつかな?
確か有望な人材を数名引き抜いたみたいなこと話をしてたけど……。
「と、とにかく、体調の方に問題が無ければ来ていただいた方が早いですっ!今ルイ様が対応されていて、ラプラス様の意見を聞きたいとのことでしたので……」
「わかった、案内しろ」
意見も何も、まずは状況を知らないとどうしようもない。
吾輩はこの世界での総帥ラプラス・ダークネスとしての振る舞いに気を付けつつ、現場に向かうことにした。
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女眷属に案内された場所は、少し広めの開けた場所だった。
その部屋の前面はガラス張りになっており、至る所によくわからないパソコンの様なものやモニターが並んでいた。研究室のように見えなくも無いが、それよりも何かを管理する場所のように思えた。そして、そのガラス面の向こうは下方向にちょっとした体育館ほどの空間が広がっており、その真ん中には動物の耳が生えた黒い何者かが捕らえられているようだった。
(……ん?あれってもしかして……)
その捕らえられている人物に、ラプラスは心当たりがあった。
どうやらここは、その獣人を上から監視する部屋のようだ。近未来的な檻といったところだろう。その証拠に、捕らえられている獣人は両手両足が鎖で拘束されており身動きができないようになっていた。しかし、それを理解したうえでそれらを手足ごと引き千切らんとする勢いで暴れてもいた。
なんか叫んでるみたいだし、一体何があったんだ……。
「あ、よかった、来てくれたのねラプ。体調悪いのにごめんね?」
ラプラスが獣人の方に意識が向いていると、予め事態の対応をしていたらしい幹部に声を掛けられた。さっきのこともあり、ラプラスには若干の気まずさがあったが……どうやら、向こうは気にしていないようだ。
「ああ、それに関してはもう解決したから大丈夫だ。……それよりも、何があった。あいつはなんだ?」
ラプラスがそう聞くと、幹部が落ち着いた口調で話し始めた。
「あれはね、今朝言ってた星の捕虜の一人。いろはが『強い戦士だったから』って傷だらけの状態で運んで来たの。……勿論意識も無かったから、直ぐに治療をしたんだけどね」
「傷だらけ……」
それを聞き、胸が締め付けられるような思いになった。
少なからず想像はしていたが、惑星の侵略の仕方は基本武力によるものだ。当然その星に住む人々は抵抗するだろうし、それによって血を流すものも出てくる。
この世界のHoloxは、それを日々行っているのだ。
「彼女の実力については、報告書で見たけど本物みたい。うちのメンバーも相当数がやられてた……いろはが居てくれなかったら危なかったくらい。だからこそ、説得してholoXに取り込みたかったんだけど……」
そこまで言って、幹部がその獣人の方を見下ろした。
確かに敵とはいえ、有能な人材をみすみす殺してしまうのは勿体ない。幹部の意見はもっともだ。しかし、それも相手に全くその気がなければ無理な話だろう。
「……今朝、我々が捕虜の確認を行っていまして……その際に、丁度目を覚ましたあの者が暴れだして脱走を図ったのです。傷がまだ完全に癒えていなかったとはいえ我々では手に負えず……ルイ様の助けが無ければ逃げられていました。誠に申し訳ございません」
幹部から事情を聴いていると、続いて吾輩がこの世界で初めて会った眷属である今朝の男が頭を下げて謝ってきた。部屋に来た時に視界に入っていたので、居たのは知っていたが……やはり、そうやってかしこまられると落ち着かないものだ。
「いや、吾輩は別に怒ってないんだが……」
「いえ、許されざることです……。結果的に捕らえられたとはいえ、私の不注意で部下を数名負傷させてしまいました。ラプラス様に合わせる顔がありません……罰は覚悟の上です」
捕虜を逃がしてしまった件については、正直吾輩がどうこう命令した話ではないので怒るつもりもない。というか、吾輩にはそんな権利は無い。
しかし、当の本人は事態を重く捉えているらしい。そして、その上司である総帥は……今は吾輩なのだ。であるならば、多少なりとも叱ってやるのがむしろ優しさなのかもしれないな。
「……そういう事なら、今後はより一層holoXの為に働いてくれ。これからの仕事ぶりで今回の件は不問にする」
「はっ……ありがたきお言葉。その慈悲に感謝し、今後もより一層ラプラス様に仕えていきたいと思います」
眷属の男はそういうと、再度膝をつき頭を垂れた。
その姿と、自分に向けられるぞわぞわとした敬愛心を何とかその小さな体で受け止める。今の吾輩は総帥なのだから、我慢しなくては……。
「……本来なら、厳罰するべき案件なんだけど……ラプがそれでいいって言うなら、もう私からいう事は何もないわ」
隣で事の成り行きを見守っていた幹部も、ラプラスの意見ならと受け入れてくれたらしい。
本当なら、捕虜を逃がしただけでなく四天王である幹部の手を煩わせ、更に他の部下にも被害を出してしまったとなったらタダでは済まされないことだ。実質的な組織の運営を司っている幹部なら、決して見逃すことはできない。吾輩がここできちんと言葉にして、許すことを公言しなければ恐らくこの眷属は酷い処罰を受けていただろう。
改めて、ラプラスは自分の置かれている立場とその発言力に圧倒される。気を付けなければ……たった一言で、その者の人生を簡単に崩壊させてしまうのだろう。
そのことを、ちゃんと肝に銘じておかなければ。
「……それよりも、あの獣人の処分についてよね。ラプの意見を聞きたいわ」
捕虜逃亡の件はひとまず解決とし、目先の問題について幹部が話し始めた。
「正直なところ、彼女は有望よ。けど、そもそも私達に協力しようとする意志が無いなら早めに対処しておかないと……今後、holoXの脅威にならないとも限らない」
捕虜とは本来、敵軍に対する抑止力だったり自軍の労働力として使役するものだ。そして、その基盤となる要素に表面上だけでも従順であることが求めらえる。暴力や人質によって命令を聞かせていても、それによって利益があるなら問題は無い。……しかし、抱えているだけでこちらに損害しか与えないのなら、むしろ早々に処分してしまった方が我々の為にはなる。それが強者であればあるほど、後々面倒な事になるからだ。
holoXのためを思うなら、幹部の意見に従うべきなのだろう。
……しかし、吾輩にはどうしてもそうできない理由があった。
「……おい幹部。さっき言ってたあの獣人に関する報告書、持ってきてくれ」
「えっ?……あ、うん、いいけど……」
ラプラスからの突然の要望に、鷹嶺ルイは驚きつつ了承する。
幹部が近くにいた眷属に声をかけ、その獣人の住んでいた星とその環境に関する報告書を持ってこさせる。それは雑誌ほどの厚さで、それを受けとった幹部が吾輩に手渡してくる。
「はい、これ。今回の作戦は主に『かざま隊』が行ったものだったから、この報告書を書いたのもそこの隊長クラスの人達。チェックはいろはがやったみたい」
「ん、わかった」
報告書を手に取ったラプラスは、お目当てのページまでペラペラと紙をめくる。
あの捕虜の獣人に見覚えのあった吾輩は、その惑星についてある予感があった。そして、その予感が正しいことをこの報告書は示していた。
その惑星は、主に獣人たちの住まう星だった。
文明レベルはそこまで高くは無いが、言語能力や読解能力があり我々とも問題なく交流できるものだった。その星には多くの鉱物・木材・食料資源等があり征服に成功した暁には良い資源用の拠点となるだろう。
しかし、注意しなければならないのはその星に住む獣人たちの戦闘能力だ。元々獣人族は運動能力が高く侮れないものだが、一部の実力者には霊力を扱えるものが居るので用心すべきである。特に、その惑星での実権を握っている大国の王とその配下である獣人部隊の隊長は特に注意が必要だ。
【追記】彼女たちの特徴はーーーーー
そこまで読んで、ラプラスは報告書を閉じる。
詳しいところ迄は読み込めなかったが、ひとまず知りたかったことは分かった。
「やっぱりか……」
自分の思い描いていた予測があたり、思わずそんな言葉が漏れ出てしまった。
「ラプ、やっぱりって?」
ラプラスのそんな心の声を聴いて、幹部が不思議そうに聞き返してくる。
なんの因果関係なのだろうか……とにかく、どんな理由があろうともあの獣人を絶対に処分してはならない。
「幹部に眷属、ちょっと聞きたいんだが……あの獣人は、逃げ出したときに何か言ってなかったか?」
「え?うーん……そういえば、何か言ってたかも。確か、『王に会わせろっ!!』って」
「確かに、彼女はそのようなことを口にしていましたね。それに、『他の獣人たちは無事なのかっ!?』とも言っていました。ただの捕虜らしい発言でしたので、特に気に留めていませんでしたが……」
それを聞いて、ラプラスは自分たちがやってしまった行いを酷く後悔した。
勿論それを命令したのは吾輩本人ではないが、それでも何も罪悪感を抱かないなんてことはできなかった。
「……眷属、吾輩を下の部屋まで案内しろ。あいつと直接話がしたい」
「ちょ、ちょっとラプ!さっき話したでしょ、あの獣人は言う事を聞かないって。流石のラプでも危険よ!もしあなたに何かあったら……話ならそこのマイクからでもできるし、直接行く必要ないわ」
「いや、直接じゃなきゃダメだ。吾輩はあいつと話がしたい、心配なら護衛でも何でもつけろ」
吾輩の行動を静止しようとする幹部に対し、ラプラスは真面目な顔で向かい打つ。普段は組織を仕切っている幹部も、ラプラスに言われたのなら流石に従わないわけにはいかない。
「はぁ……わかったわ。総帥がそういうなら、私はそれに従います。ただし、私も部屋の中までついて行くからね?」
「ああ、いいぞ」
総帥からの命令に、幹部は渋々従う。
結局檻の中には吾輩と幹部が入り、その外に眷属が数名待機するという形で了承することになった。
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室内に入ると、酷い獣臭と血の匂いがした。
出入り口の周り意外に明かりは無く、部屋の中は真っ暗であった。上から見た時にその全貌は理解していたが、実際に侵入してみると耳鳴りがして確実な不快感を感じる空間だった。
良く見えない室内を一通り見渡し、ラプラスは中央で未だなお囚われ続けている獣人を視界に捉える。その者は真っ黒な耳と髪をしており、捕虜用の薄いボロ切れを身に纏っている。体中には連行した際に施された包帯などの治療痕があるが、それも錠との接触部分が血で滲んでいることから徒労になった事が伺えた。
その獣人はさっきまで、手に負えないほど暴れていたのだが……疲れたのか、今は少しだけ大人しかった。
しかし、それもラプラスが部屋に入ってくるまでであり、今はまた猿轡を噛み千切りそうな勢いで牙を立てこちらを睨みつけてくる。
ラプラスは彼女の様子を見て、薄っすらと目を細めた。
今の吾輩は秘密結社holoXの総帥なのだから、いついかなる時もそれに準じた言動が求められている。それを忘れないようにしなければ。
「幹部、猿轡を外せ」
「……いいの?ラプ。何を言われるかわからないわよ?」
「それじゃあ話もできないだろ。……いいからやれ」
幹部は渋々それを了承し、獣人に近づく。
拘束は手足を引っ張るように嵌められているため攻撃することは恐らくできないとは思うが、幹部がそれらに警戒しつつ猿轡を外す。すると、その獣人は口元が解放されたと同時に暴言を吐き始めた。
「っっざけんなよクソがっ!!!!いきなりこんなところに連れてきやがって……お前ら、ただじゃ済まさねえからなっ!!!!!」
まるで女性とは思えないその言動に、ラプラスは若干気圧される。
しかし、思ったより元気そうでよかった。傷だらけで運び込まれたって聞いたから心配していたが、捕虜扱いでも治療はきちんとしていたようだ。
そんな空気も読まずに安心しているラプラスを他所に、敬愛する総帥が貶されたことに対して幹部が激昂する。
「……貴方こそ、その発言を忘れないことね。目の前の御方を誰だと思っているの?立場を弁えなさい」
言動こそ落ち着いたものだったが、その瞳には怒りの炎がメラメラと燃えているのが分かった。幹部が早まる前に、早く話をしてしまおう。
ラプラスはそう思い、獣人の前まで近づいた。向こうもこちらを見据え、そして唸るように言った。
「お前が……ラプラス・ダークネスか……っ!!!!」
「そうだ。吾輩が秘密結社holoXの総帥、ラプラス・ダークネスだ」
「何が秘密結社だっ!!……お前らのせいで、私たちの国がどんな目に合ったか……一体何が目的なんだよっ!!!」
それはこっちが聞きたいところだ。何故、この世界のラプラスはこんなことをしてまで侵略を続けるんだ……。
いや、それは今はいい。それよりも、この獣人と話をしなければ。
「まあまあ、そんなに怒鳴るなよ。吾輩はただ、お前と話がしたくて来たんだ……なあ、【”黒上フブキ”】」
「なっ!?…………何で、私の名前を知って……」
「王に会いたいんだろ?いいぞ、会わせてやる。……ただし、吾輩にも会わせろよ……【”白上フブキ”】と、【”大神ミオ”】に」
ラプラスはその獣人……黒上フブキにそう言い、にやりと笑った。
【追記】
ーーーーー彼女たちの特徴は白い狐型の獣人と、黒い狼型の獣人である。また、王の友人という黒い狐型の獣人にも注意が必要。三者とも強力な実力者であり、上手くいけば引き込める可能性あり。
記入者:風真いろは
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