転生したらラプラス・ダークネスだった件 作:飽和水溶液_pixiv
それと、書いてて思ったんですけど……黒様とラプ様って、ちょっと似てませんか?話し方とか、好物(コーラと肉)とか。この二人は書いてて楽しいですね。もっと仲良くしてほしい……!!
「…………何でお前は、あいつに会いたいんだ」
ご飯を食べた後、しばらく黙っていた黒様が徐に口を開いた。
あいつって……もしかして、フブキ先輩のことだろうか。
「それって、白上フブキのことか?」
「ああ、そうだ。……なんで私を生かしてまで、あいつに会いたいんだよ」
何故と聞かれて、ラプラスは口を紡ぐ。
この世界の白上フブキは、吾輩の良く知るフブキ先輩とは別人だ。であれば見知った仲という訳でもないし、今更仲良くなどできるわけもない。……それでも、holoXがやってしまったことへのケジメを付けなければならないと吾輩は考えていた。今更ごめんなさいという事はできなくても、少しでもフブキ先輩たちの星がいい方向に向かうように……。
しかし、それを正直に黒様に伝えるわけにはいかない。それは、吾輩の正体についても言及しなくてはならなくなるからだ。
ラプラスは少し考えて、それっぽく答えることにした。
「……別に、ただの気まぐれだよ。たまたま白上フブキという人物について知っていて、会ってみたくなっただけだ」
「あいつを、知ってる……?」
吾輩の返答を聞いて、黒様が不思議そうな顔をしていた。
しかし、すまんな。これ以上は詳しく話すわけにはいかないんだ……お互いの為に。
ラプラスは話題を変えようと、こちらも黒様に対して質問することにした。
「おい、お前……お前ってちょっと呼びずらいな……まあ、”黒”でいっか。おい黒、吾輩もお前の質問に答えんたんだから、そっちも吾輩の質問に答えろよ」
さっきからずっと黒様のことをお前って呼んでるの、呼びずらかったし後ろめたかったんだよな。黒様って呼ぶわけにはいかないし、【黒】ならまあ許されるだろう。
「黒ってなぁ…………質問って、なんだよ」
意外だな。
てっきりそんなの答えるわけがないと一蹴されると思ったんだが、案外餌付けにも効果があったようだ。
「どうしてお前は、吾輩の提案を受け入れる気になったんだ?聞いた話じゃ、『王に合わせろ』って脱走を図ったらしいが」
正直なところ、敵のボスからいきなりそんなことを持ち出されたら裏があると思うのが当たり前だ。そうじゃなくったって、案内するだけでいいなんて都合が良すぎる。黒様の性格的にも素直に聞き入れてくれるとは思わなかったんだが……。
吾輩からの質問に対し何やら神妙な面持ちだった黒様は……言うべきか迷った末に、こう切り出し始めた。
「……………………ベットの上で目が覚めた時、そこがお前たちのアジトだと知って……殺されると思った」
「ほう」
ベッドというのは、治療のために運び込まれた医務室のもののことだろう。それに、目が覚めたら敵陣のど真ん中だったなんて、殺されしまうと考えるのもわかる。
「……別に、死ぬことが怖くないなんて言うつもりは無いが……それでも、戦うと決めたからには覚悟はできてるつもりだったんだ。親友の国の為に戦って、それで散るならそれも仕方ないって……だから、最初は受け入れようとした。………………でも……」
そこまで言って、黒様が震えていることに気が付いた。
あのプライドの高い黒様が……今にも泣きだしそうになって、震えていた。
「………でも、もうあいつに会えないんだと思った途端……怖くなった。国のこととか、自分のこととか、どうでもよくなるくらい…………あいつに会えなくなることが、耐えられないほど嫌だったんだ。」
噛みしめるように言う黒様の姿に、胸が苦しくなる。
しかし、そんな彼女に吾輩が掛けられる言葉など何もない。
「私は……フブキに会いたい。あいつのところに、帰りたいんだっ…………!!」
精一杯に絞り出される言葉に、吾輩は心を奪われる。今のラプラスに、その言葉はあまりにも重すぎる。
大切な者の元へ帰りたい、傍に居たいなどと思うのは当たり前のことだ。当たり前のこと過ぎて、もはや考える必要すらないくらいに。それを叶える為なら、他のすべてを投げ売っても構わないと思う事すらラプラスの心には深く突き刺さる。
吾輩も同じ境遇なのだから、その気持ちは痛いほどわかるんだ……。
「………だから、私はお前の条件を吞んだんだ。フブキとまた会えるなら……そのためなら、私は何だってやる」
心の中で渦巻く様々な感情を押し殺し、固い決意を秘めた瞳を吾輩に向けてきた。
黒様との約束によって、吾輩が保証するのは三人の命だけであり……極論、支配者である吾輩たちがそれ以外の全住民を殺したとしても文句は言えない。しかし黒様は、それらを犠牲にしてでも親友との再会を望んだ。そのために、ラプラスという悪魔に魂を売ったのだ。
それでも、別に黒様は究極な身勝手人間というわけではない。その証拠に、逃亡の際には他の捕虜の安否も気にしていたのだから。ちなみに、黒様には教えていないが他の捕虜についてもこの船で移送している。予め幹部に頼んで準備させていたのだ。そいつらもまた、フブキ先輩との交渉次第では解放する腹積もりなのである。
満腹感が作用したのか、それともただの気まぐれか……黒様は、その心に秘めていた本音を吾輩に話してくれた。ならば、その想いに少しでも答えることにしよう。せめて黒様が、またフブキ先輩の隣で笑えるように……。
「黒の考えはわかった。……安心しろ、ちゃんと会わせてやるから」
ラプラスの返答に、黒様は何も言わなかった。
事の発端である相手に言われても、信用できるものじゃない。別れることになってしまった原因が、何を言っているんだって話だ。
それでも、吾輩のその言葉に…………黒様は、確かに頷いた。
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ラプラスたちを乗せた船が、アジトを出発して三日後。まもなく目的地に着くというところまで来ていた。
その間、黒様は吾輩が手配させた部屋に引きこもりっぱなしだったらしい。なので、初日以降吾輩たちは口を聞いていない。しかし、発信機の反応的に部屋にいることはわかっていたし、それに食事もきちんと取っていたと聞いて吾輩は安心した。敵対心は拭えていないが、少しは警戒を解いてくれたのかもしれないな。
『間も無く、惑星に到着いたします。強い衝撃の生じる可能性がありますので、乗員は直ちに指定の席にお付きください。』
館内放送が流れ、吾輩も眷属に案内された席に座らされる。宇宙空間からの出発とは違い、地上への着陸はそれなりに揺れるのだそうだ。シートベルトを締め、衝撃に備える。
船が着陸態勢に入ってからの数秒は、思っていたよりも揺れなかった。今日は惑星の天気が良かったらしく、また着陸地点に衝撃を受け止めるための磁場がすでに用意されていたからだそうだ。
この星は既にholoXの支配圏にある。よって、最も都合の良い地点にholoXの支部拠点が建設されているのだ。その規模は、その星の有用性によって決まる。この惑星は資源が豊富なので、かなり大きい方だと眷属が教えてくれた。
『無事、着陸が完了致しました。今後も、holoXの発展を。YES MY DARK!』
先程に引き続き、館内アナウンスで船が惑星に到着したことを知らされる。
シートベルトを外し、眼前のモニターへと視線を移す。そこには外の様子が映し出されており、今は夕方頃のようだ。この星もまた太陽や月のような天体があり、朝と夜が一定周期で交互に訪れる。その他もろもろについても、規模以外は地球と変わりないそうだ。
「到着いたしました、ラプラス様。間もなく下船の準備が整いますので、もうしばらくお待ちください。……この後のご予定は、いかがなさいますか?」
眷属の男が、空いた時間に主人の次の行動について聞いてくる。それに合わせて、他の部下たちを動かすつもりなのだろう。
ここに来た目的は、フブキ先輩たちに会うためだ。しかし、もうしばらくもしないうちに日が沈むだろう。吾輩も慣れない宇宙旅で疲れたので、今日は休みたい。出掛けるのは、また明日だな。
「今日はもう遅いし、王のところへ行くのはまた明日にする。他の連中にもそう伝えといてくれ。……あ、それと……黒にこのことを伝えるときに、ついでに白上フブキに送る手紙を書かせとけ。内容は吾輩との交渉についてと……まあ、後は書きたいことを適当に。出来たら適当な奴に持たせて、王のところにその手紙を届けさせろ」
「御意。手紙の添削については、如何なさいますか?特に問題なければ、我々が行いますが……」
「……いや、封を閉じるところまで本人にやらせろ。そして、それをそのまま相手に送っていい」
本来捕虜が仲間に送る手紙など、中身を確認するのが当然だ。しかしあの様子の黒様なら大丈夫だろうし、それに向こうにも事情があらかじめ伝わっている方が話が早い。
「かしこまりました。…………それでは、準備ができましたのでこちらへお越しください」
眷属に案内され、ラプラスは船の出入り口をくぐる。搭乗口を抜けた瞬間、心地の良い風がラプラスの頬を掠めた。宇宙船の発着場は吹き抜けになっており、外の景色が一望できる。
どこまでも広がる雄大な森林に、遠くに見える山脈の峰たち。どうやらここは、山の一部をくり抜いて作られた拠点のようだった。かざま隊の書いた報告書には文明レベルはそう高くないと書いてあったが、地球でしばらくの間暮らしていた吾輩にとって、その自然の残る光景は球体の母艦より馴染み深い場所に感じられた。
拠点の出入り口付近には、吾輩の到着を知って続々と眷属たちが集まってきていた。その半数以上が紫色のコートを着た【ぷらすめいと】であったが、一部”和服”や”白衣”を着た者達もいた。
そして……その中から、一際目立つピンク色の髪をしているコヨーテ型の獣人が姿を現した。その者はそのままラプラスの前まで歩み寄り、そして頭を下げた。
「……長旅、ご苦労様です総帥。総帥のご到着を、holoX一同心よりお待ちしておりました。…………って、ルイ姉なら言うんだろうね♪」
……と思ったら直ぐに顔を上げ、そしておちゃらけたように続けて言った。彼女こそが、数々の発明でholoXの技術力を引っ張っている組織の頭脳……【博衣こより】その人だ。
「やっほーラプちゃん、久しぶりだねぇ!ちゃんといい子にしてたぁ?」
その言動に、最初は不安になったが……どうやら、彼女もまたラプラスの良く知る博衣こよりと遜色ないようだ。こいつの明るさには、いつも助けられているんだよな……。
「久しぶりだな、博士。任務ご苦労様」
「えーなになに、こよを労ってくれるのー??ありがとねっ!でも僕が好きでやってるんだから、そんなに気にしなくていいんだよ?…………取り敢えず積もる話もあるだろうし、中に入りなよっ!今後のこととか、この星の調査結果についても話したいしさ」
「ああ、そうだな。……吾輩も、お前に話がある」
「はにゃ?」
吾輩の言葉に対し、博士があざと可愛らしく首を傾げてみせた。
彼女には、話さなければならない大事な話がある。吾輩の正体については勿論、元の世界に帰れるかはこいつにかかっているのだから。
ラプラスはそう思いながら、沈みかかっている陽の光を薄目で眺めていたーーーーー。
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拠点の作りは、総本部のアジトとほとんど変わりはなかった。
ただ規模が小さいというだけで、数日間過ごす分には全くもって問題はない。
現在吾輩たちは、今後の話をするために作戦室へと赴いていた。
そこには連れてきた眷属たちの一部にここの拠点を管理する者たち、さらにこの星を侵略した際に参加した【いろは隊】の隊長格の者達とあらかじめ資源・地質調査のために訪れていた通称【助手くん】の代表者などの面々が集められていた。当然吾輩は一番奥の司令官席に座っており、左隣に立っている博士がこの会議の進行を務めてくれている。
「それでは、この惑星での今後の我々の活動について話を進めていきます。……まず初めに、総帥一行がこの惑星に来た目的などについての情報のすり合わせをしていきたいと思います。既にルイ姉から聞いた話は共有済みだけど、念のため総帥の口から直接聞いておきたいので……いいかな、ラプちゃん?」
さっきまでとは違い、眼鏡をかけた仕事モードの博士が吾輩を指名してきた。情報共有を円滑に行うために、予め要件は伝えているんだが……やはり、総帥自ら言った方が士気にも影響が出るというものだ。
ラプラスは徐に立ち上がり、皆を見渡しながら話し始めた。
「……吾輩たちがここに来た理由は、現在この星の実権を握っている王【白上フブキ】と交渉をするためだ。といっても、ここは既に我らholoXの支配圏である。よって、こちらの要求を一方的に呑んでもらうつもりだ。……そのせめてもの代償として、吾輩は先日捕らえた捕虜である黒い狐型の獣人”黒上フブキ”とその他王である白上フブキ、その配下の獣人部隊の隊長”大神ミオ”に関してはその命を保証すると約束している。他の眷属たちにも確実に伝達しておいてほしいんだが、その三名に関してはこちらから危害を加えることを一切禁止する。……まあ、こんなところか?」
上出来だろ。
色々と長ったらしく話してしまったが要はフブキ先輩と話し合うということと、彼女たちには手を出してはならないってことを伝えられればそれでいい。それに話し方なども、大変総帥らしいものだったと自賛したいくらいだ。
ラプラスが座りつつ自分のその総帥らしい立ち振る舞いに満足していると、かざま隊の一人が挙手をした。何かわからないところでもあったのだろうか。
「一つ、質問をよろしいでしょうか」
「いいぞ。なんだ?」
「フブキ王との交渉と仰っていましたが……その内容は、どういったものになるのでしょうか?」
いい質問だな。侵略が完了した国との交渉など、基本的には穏やかなものではない。そのほとんどが、勝者に隷属するような内容になるからだ。
しかし、吾輩はそんなことを望んでいない。それはきっと、この世界の黒様や元の世界のフブキ先輩たちを裏切ることになるから。
「……詳しい内容については、まだ審議中だ。ただ、向こうの出方次第でもあるが……さっき博士から受け取った、この『惑星の資源と地質についての報告書』を確認してから決めたいと思ってる。だからそれについては吾輩に一任してほしい。問題あるか?」
「いえ、全くもって問題ございません。どうぞラプラス様の思われるがままになさって下さい」
そう言いながら、かざま隊の一人は引き下がる。
交渉内容については、移動中もずっと考えていた。フブキ先輩たちがこれ以上の不利益を被ることなく、かつholoXの面々を納得させる落としどころを。まあそれもこれも、全ては現状を知ってからだな……。
「他に、何か質問のある人はいますか?……居ないようなら、話を進めます。続いて、現在のこの惑星におけるholoXの立場についてです。既に我々の勝利は確定しており、ほとんどの国や集落がholoXに隷属しているのですが……一国、例のフブキ王の収める【フレンズ国】のみ返答を保留にしています。本来なら直ぐに解答をしない限り、我々に対する反乱分子として処理するのですが……この星において、最も力を持っている大国であり、さらに総帥の件もあって現状維持となっています。こちらに関しても、明日の交渉次第で解決する見込みです。ここまでで質問はありますか?」
既にこの惑星は、秘密結社holoXが征服を完了している。そうなれば、この星に住む人々は我々に従うか……さもなければ滅ぼされるだけだ。実際に、この星を侵略する際にも数ヵ所の国を地図上から抹消しているらしい。それだけ、holoXの力は圧倒的なのだ。
「……無さそうなので、続けます。次に各班からの任務報告をーーーーー」
そこまで聞いて、ひとまず重要なことは伝えられたと判断しラプラスは手元の報告書に目を通す。
その報告書によれば、ここには基本的な資源は勿論今のholoXに役立つ鉱物資源や石油資源などが手付かずの状態で埋蔵されているようだ。この星の文明レベルでは、それらを加工する技術が無いみたいだな。その資源を回収できれば、ここを征服した旨味も十分に得られることだろう。
(これならまあ……こいつらも、納得してくれるかな)
実際のところ、フブキ先輩たちに伝えたいことはもうある程度まとまっているのだ。向こうが受け入れてくれるかは別だが、決して悪い話ではない……と思う。
……そういえば、黒様は大丈夫かな。手紙を書くように言っちゃったけど、少しでも早くフブキ先輩に合わせてあげた方が良かったかな……まあ、明日には会えるのだからもう少しだけ我慢してもらおう。吾輩も、頑張らないとな。
ラプラスはそう思いながら、未だ続く会議の中重い瞼を閉じないように努めるのだった。
ーーーーー眠い。
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