転生したらラプラス・ダークネスだった件 作:飽和水溶液_pixiv
今回の内容は正直書こうか迷っていたのですが、あった方が物語に深みが出ると思ったので差し込んでしまいました。心情描写を書くの難しい……。
【追記】
黒様の好きな食べ物は肉とコーラだそうです。
ーーーーーーーーーー寒い。
冬になると、この辺りは特に寒さが厳しくなる。
身を切り裂くような風が吹き荒れ、全ての生き物の気力をそぎ落としていく。視界に映る限りの木々もまた、その葉を散らして皮肌を晒していた。せめて暖を取ろうと、落ち葉を集めようにも……生憎の天気でそれも憚られる。
今日は、朝から雪が降っていた。こんな日に、子供が一人森の中を彷徨っていれば……その後どうなるかなんて、本人すらわかっていることだ。
……しかし、それを憂いてくれる家族すらもうこの世にはいなかった。
「…………寒い」
凍える手足を擦り合わせ、赤く染まる肌を温めようと努める。それでも、その行為はほんの気休め程度にしかならなかった。まあ、既に生きる気力すら失いかけているのだからそれでも構わないか……。
そんなことを思いながら、少女が歩いていると……少し先のひらけた場所に、ぽつんと神社が立っているのが見えた。神社と言っても、門と木造の小屋くらいの大きさしかない社が立っているだけだった。
どうせ死ぬのなら、せめて最後に神様に祈りでも捧げてみようか……。
何の期待もなく、ただの気まぐれでその社に近づいてみる。すると……その場所に何か、暖かい光の様なものがたくさん集まっていることに気が付いた。
「……温かい」
その温もりを感じた時、もう自分は死ぬのだと思った。足元がおぼつかなくなり、今ちゃんと立てているのかもわからない。ついに少女は力尽き、その場に倒れこmーーーーー
「ねぇ、大丈夫???」
ーーーーむ前に、もう一人の少女に私は抱きしめられた。
さっきまでのほのかな温かさとは違う、確かな熱のある人の温もりを感じた。それが誰かはわからないが、出来ればそのまま……私を抱きしめ続けて欲しい。もう、一人でいたくない。そう願った少女の思いが……ほんの少しだけ、また生きる力を与えてくれる。
「おーい、聞こえてるー?ていうかあなた、すっごく冷たいね。…………とりあえず、うちくる?」
「……き……み、は……?」
「私?私はね、”白上フブキ”って言うのっ!あなたは?」
そう名乗った少女は、私と同じような可愛らしい狐の耳が付いていた。私と違うところと言えば、そのすべてが雪のように真っ白だったという事だ。
聞かれた質問に対し、私は気力を振り絞って答えようとする。
「…………く……ろ……」
「く、ろ?…………くろ!黒ちゃんだねっ!よろしく!!」
その白い少女は、そのまま気を失ってしまったらしい私を家まで運んでいってくれた。
その間、私が目を覚ますまで少女は手を握り続けてくれていたのだった……。
ーーーーーこれが、私……黒上フブキと白上フブキの出会いであった。
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黒上フブキが目を覚ますと、そこは知らないベッドの上だった。
「こ……こ、は…………」
辺りを見渡しても、私以外には誰も居ないようだった。代わりに、体の一部から管の様なものがでていて、それが見たことの無い白い箱へと繋がっていた。一体ここは何処なのだろうか。もっとよく周りを観察しようにも、体中が痛んで思うように動かせない。
未だはっきりしない意識の中、自分が今置かれている状況を理解しようとする。
私の中に残っている最後の記憶は、”強い侍”と戦っていたことだった。
フブキの国が、突如現れた謎の異星人によって攻撃を受けた。彼女達は自らを【秘密結社holoX】と名乗り、近隣の国々をまとめて相手取りながら侵略行為を進めていった。当然、私達はそれに抵抗するために各国の首脳たちと手を組み戦った。当の私もフブキの配下である獣人部隊隊長の大神ミオと協力し、彼女達に立ち向かった。
しかし、結果は惨敗。我々と、異星人であるholoXとの間には圧倒的な力の差が生じていたのだ。数名の雑兵を倒すことはできたものの、四天王と呼ばれていた一人の少女……【風真いろは】に成す術もなく私は敗れたのだった。
そこまでを思い出し、ようやく現状を理解する。私が目を覚ました場所が、いつものベッドの上なら希望も持てたのだが……生憎、恐らくここは敵地の医療室か何かだ。体中に包帯等で治療が施されているものの、両手に枷がはめられているのがその証拠だ。
(つまり私は、捕虜になったってことだな……)
どういうつもりだか知らないが、あの侍あたりが私を''使える人材''だと思って連れ帰ったのだろうか。もしくは、情報を聞き出した後に見せしめに殺すためとか。
(……どっちにしろ、ここに居たらろくな目に遭わないな)
自害しよう。
最初に思ったことはそれだった。私は別に、国に忠誠を誓った兵士というわけではない。しかし多少なりとも武を学び、霊道を極めた私は”獣人の戦士”であった。敵の手に堕ちるくらいなら、プライドの為に誇り高い死を選ぼう。
私はそう思い立ち、潔く舌を噛み切ろうと牙を立てた。しかしそれを閉じ切る前に、丁度誰かが室内に入ってきてしまった。
間が悪いな。仕方がないので、一旦眠っているふりで様子を見ることにしよう。咄嗟に目を閉じてしまって定かではないが、恐らく部屋に入ってきたのは男の二人組だった。
「なあ聞いたか?今朝のラプラス様、どうにも体調が優れないんだそうだ。朝食もほとんど残されたって聞いたぞ」
「おいおい本当か?それは心配だな……もし、ラプラス様の身に何かあったら……」
どうやら二人は、私が起きていることに気が付いていないみたいだな。
それにしても……”ラプラス様”だと?ラプラスと言えば、確か私が戦っていた侍の風真いろはが『我が総帥、ラプラス・ダークネスの名に懸けてーーー』とかなんとか言ってたような……もしかして、そいつがholoXのボスの名なんだろうか。
(……いや、もうどうでもいい話か。仮にそうだったとしても、今の身動き一つできない私が知ったところで何の意味もない)
今更仇の名を知ったところで、今の私にはどうすることもできない。霊力も回復していないし、どうせこのまま生きていたとしてもこいつらに殺されるだけなのだから……。
私はそう思いながら、早く済ませてしまおうと再度自害を試みる。
すると、再び部屋の扉が開きもう一人の男が入ってきた。
「おい、お前達!いつまで喋っているんだ!!」
「「は、はい隊長っ!申し訳ありませんっ!!」」
「まったく……早急に、捕虜の移動を済ませよ。他にも仕事が残っているんだからな…………それと、先日侵略した獣人の星の征服が間も無く完了するそうだ」
どうやら、入ってきた男はここの隊長格らしいな。
先日侵略した……ああ、それ私達のことか。征服が完了したってことは、私達は完全に負けたってことなんだな……。
「あ、あの隊長、確かその星には未だに我々に抵抗している大国があると聞いているのですが……」
「じ、自分も聞きました。確か、白い狐型の獣人の収める国だったかと」
っ!?……な、なんだと……!?
もしかして、フブキ……お前、まだ戦ってるのか?
私が居なくなった後の”フレンズ国”が、どうなったのかはわからない。しかしこいつらの話的には、少なくともまだフブキは生きていて……そして、抗っているという事だ。
「ああ、それは今も変わり無いようだ。大国が故、我々も有用だと考えていたのだが……だからこそ、残念だ。後日ルイ様より、”掃討作戦”が発表されることになるだろう……」
その言葉を聞いた瞬間、私の中で眠っていた獣の血がようやく目覚めた。
「さっ、わかったらとっとと捕虜の手錠を外してこっちの移動用のベッドに移すんだ」
「隊長、捕虜の手錠を外してしまっても大丈夫なのでしょうか?」
「あれだけのケガだったのだ、まだ動けるはずもあるまい」
隊長格の眷属にそう言われ、一人の男が捕虜黒上フブキの錠を外す。体中包帯だらけで、何とも痛々しいものだな……。
「……解放してくれてありがとよ、クソ野郎が」
次の瞬間、その男が壁を突き破って廊下の方まで吹き飛んだ。
「なっ!?おいどうしtッ……!!」
続けざまに、もう一人の男の顔を蹴り飛ばす。
全ての錠が解け、黒上フブキは開放された。未だ体中が痛むものの、そんなことがどうでもよく思えるほど……私は怒っていた。
「き、貴様!起きていたのかっ!?」
隊長と呼ばれていた男が、動いている私を見て驚愕の声を漏らす。まあ、目瞑ってたからこいつが隊長なのかわからないけどな。
「お前らの声がデカくて目が覚めちまったんだよっ!死ねやッ!!!」
黒上フブキはそう吐き捨てると、未だ不調な体に鞭打ちながら体中の霊力を溜めて放出させる。しかし、狙ったはずの男にはそれを寸でのところで躱されてしまった。
ーーーーー霊力とは、一種の魔力の様なものである。主に一部の獣人族にのみに使用でき、それらを体に纏ったり、放出して攻撃することが可能である。
そんなことを、昔私に霊道を教えてくれた人が言っていた。
本来霊力は、使用者の体内を循環しているものであり上限がある。それは黒上フブキも例外ではなく、ここに来る前の侍との戦いで随分と霊力を消費してしまった。しかし、何故だろう……今の私ならいくらでも扱える気がする。
「……って言っても、きっとこれは一時的なものだろうな。急がないと」
「くっ……捕虜を逃がしてしまうとは、なんという失態……直ぐにルイ様に報告しなくてはっ!!」
男がそういうと、何やら薄い板の様なものを取り出した。それが何なのか知らないが、ここに居続けるのはマズいな。
黒上フブキはそう思い、咄嗟に先程男を殴った拍子にできた穴から廊下に出た。ここは何処だ?とにかく、あいつのところに行かないと……。
「…………あらあら、そんなに慌ててどこに行く気なのかしら?」
一先ず出口を探そうと走り出した瞬間、突如後ろから何者かに声を掛けられた。本来ならば、追われる立場である私は誰かの静止の声など無視すればよいのだが……何故か、それはできなかった。
いや、頭ではわからなくても……本能では、その理由を理解していた。
(こいつは……ヤバイ……)
身の毛がよだち、その圧倒的強者のオーラに気圧される。肌がピリつき、冷や汗が背中を伝った。……それでも、私には帰らなければならない場所があるんだ。
黒上フブキは意を決して、ゆっくりと後ろを振り返る。するとそこには、薄ピンク色のショートヘアで赤いマントを身に着けた女が立っていた。
「ル、ルイ様っ!なぜここに……」
「……ちょっと嫌な予感がしてたから、少し前からホークアイで見てたのよ。案の定だったみたいね」
彼女はそう言うと、黄色く光る眼をこちらに向けてきた。瞳の奥には赤い十字架の模様が浮かび、まるで心の内を覗かれているようだった。
風真いろはの時にも思ったが、holoXにはこんな化け物がゴロゴロいるのか……?
「も、申し訳ありません。私が、捕虜の状態の確認を怠ったばかりに……」
「その件については、また後で話すわ。……それよりもあなたたち、一刻も早くそこの負傷者を運びなさい。ラプへの報告も忘れずにね」
「「「 御意ッ! 」」」
指示を受け、彼女が連れてきたと思われる兵士たちが負傷者を運び出す。さっきはこいつの存在感で気が付かなかったが、随分な人数を連れて来ているようだった。まるで、”始めからそうなることがわかっていた”かのように……。
「……それで、さっきの質問にまだ答えてもらってないわよね?あなた、どこに行くつもりなの?」
彼女がそう言いながら、再びこちらに視線を合わせてきた。
まるで、鷹に睨まれた小動物にでもなった気分だ……。
「っせえな、お前には関係ないだろ……」
「いえ、関係あるわ。私はここの大幹部で、貴方は捕虜なのよ?捕虜ってわかる?貴方達の国に対する人質。……それに、捕虜は貴方だけじゃない。今ここで暴れることの意味をよく考えることね」
「なっ……わ、私以外にも捕まってるやつがいるのかっ!?」
それは計算外だった。てっきりあの場には私しか寝かされていなかったし、他の奴らは全員こr……と、とにかく、私以外にも捕虜がいるなら助けなくては。
「おいお前、他の獣人たちは無事なのかっ!?」
「今は、ね。でも、正直貴方以上に利用価値があるとは私は思っていない……精々、あなたの行動を抑制させるくらいかしらね」
それはつまり、私が従わなければ他の捕虜をどうするかわからないという事だ。
本当なら、そんなことに屈する私じゃないが…………その捕虜の中に、もしかしたらミオがいるかもしれない。そうじゃなくたって、他のフレンズ国の住人がいるかもしれない。もし、そいつらが私の行動一つで危害を加えられたとしたら……フブキを悲しませてしまうことになる。
私はそこまで考えて、拳を下ろそうとした。
「さ、わかったら大人しくしてなさい。……もっとも、もう少ししたら貴方の国も滅ぼすことになりそうなんだけどね」
ーーーーー再び、私の中の獣が叫んだ。
ダメだ、ダメなんだ。フブキに、もう二度と会えないなんて……そんなの……
嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だーーーーーーーーーー嫌だ。
「……せろ」
あいつの居ない世界に、意味なんてない。
「ん?今何か言ったかしら?」
あいつにまた会えるなら、私はすべてを捨てたってかまわない。
「会わせろ…………王に、会わせろっ!!!!」
敵わないとわかっている。届かないと、知っている。
それでも、抗わずにはいられなかった。あいつが……親友が、まだ戦っているなら…………私もそれに答えなければ、あいつに合わせる顔が無い。
「…………バカね。」
黒上フブキは体中の力を振り絞り、地面を蹴る。
またあいつと笑うために。まだ、傍に一緒に居られるように。
今できることを、最後までーーーーーーーーーー。
********************
次に私が目を覚ました場所は、広い部屋の中だった。
最初に起きた時と違って、両手両足がギチギチに拘束されていた。猿轡もされていたので、自害する事すらもはやできなかった。
それでも、もうその時の私はそんなことは望んでいなかった。なんとしても、ここから抜け出さなければ。生きて、帰らなければ。そればかりを考えていた。
だから叫んだ。手足が擦り切れようとも構わないほど暴れた。
でも、それらはすべて無駄だった。結局、暴れ疲れて私は脱力していた。血の滲む四肢がひどく痛んだ。
もう……あいつには会えないんだろうか。まだ、あいつに伝えたいことがたくさんあったのに。貰ってばかりで、返せていないものがたくさんあったのに。これで、お別れなのか……。
……そんな時だった、”アイツ”が現れたのは。
『幹部、猿轡を外せ』
『……いいの?ラプ。何を言われるかわからないわよ?』
『それじゃあ話もできないだろ。……いいからやれ』
最初の印象は、角の生えた子供だった。
先程私を捕まえた女が連れてきた子で、”ラプ”と呼ばれていた。自分のことを大幹部だと名乗っていた彼女のその子に対する低い姿勢を見て、こいつこそが憎きラプラス・ダークネス本人だと理解した。私達の住処を荒らし、私からフブキを奪った張本人なのだと。
でも、私はその存在に対しただ怒りの言葉をぶつけることしかできなかった。
『何が秘密結社だっ!!……お前らのせいで、私たちの国がどんな目に合ったか……一体何が目的なんだよっ!!!』
『まあまあ、そんなに怒鳴るなよ。吾輩はただ、お前と話がしたくて来たんだ……なあ、黒上フブキ』
何故かそいつは、私の名前を知っていた。
私だけではない。フブキのことも、ミオのことも知っているようだった。確かholoXと戦った際に、実際に相対したのは私とミオだけのはず。その時に名乗ったつもりは無いが……。
そんな私の疑問をよそに、さらにこの悪魔は交渉を持ちかけてきた。
『……それよりも、会いたいんだろ?その二人に。直ぐに開放はしてやれないが、その二人のところに吾輩を連れて行くって言うなら、お前を含めたその三人に関しては命を保証してやる』
勿論、最初は疑った。そんなうまい話があるかと。しかも、私達三人の命を保証するとまで言うのだ。その代償に、私はただこいつをフブキの下に案内すればいいだけだと。
しかし……たとえ悪魔の誘いだったとしても、私はそれに惹かれていた。否、初めから私に拒否権することなどできなかったのだ。なぜなら、その時の私は既にフブキに会うためなら仲間を捨てることすら厭わないと腹を括っていたのだから。
私もまた、こいつらのように目的の為なら手段を選ばない悪魔に成り下がっていたのだ。
だから、私はこいつの……ラプラスの提案を受け入れた。
しかし最近、私はラプラスが本当に悪魔なのかと……疑い始めていた。
勿論私の故郷を襲ったことは事実だし、それを許すつもりもない。しかし、果たしてあの少女がそんな恐ろしいことを命じられるものなのだろうか。
私はそんなことを思いながら、部屋の扉付近に置かれている豪華な食事を見つめた。
ここは、私達の星を目指して動いているholoXの宇宙船の中だ。そして、この部屋はわざわざ私のために用意されたものだという。捕虜という立場上、牢獄のようなところにでも入れられると思っていたんだが……どう見たって、この部屋は”客室”だ。客室なので当然鍵は内側に付いているし、風呂とトイレもある。旅亭かここは。
『……そういえばお前、お腹空いてないか?』
それは、この船に乗って最初の日にラプラスが私に言った言葉だった。
それを言われた時、私は耳を疑った。この悪魔は、捕虜に一体何を聞いているのだと。そりゃあケガをしてたし、ずっと眠っていたのだから空腹感はあった。しかし、これも捕虜という立場上当たり前のことだと思っていた。にもかかわらず、ラプラスは私の為にご飯を用意させ、そしてそれを無理やり食べさせてきた。
『……なあ、わかるだろ。もし吾輩がお前をどうこうしようと思ってるなら、こんな回りくどいことすると思うか?それに、お前が吾輩との約束を守っている限り、吾輩もお前には何もしない、絶対にだ。…………だから、まずは食べてくれよ。話はそれからだろ?』
そこまで思い出し、私は横になっていた体を起こした。そして、そのまま扉付近に置かれている食事に手を付け始める。
今日も……あの時と同じ、肉料理だった。
「………………やっぱり、美味いな……」
まるで、私の好物を知っているかのようだった。
あの時も、ラプラスは何やらメニューについてリクエストをしていたようだし……この食事と一緒に持ってくるシュワシュワとした黒い飲み物も実に私好みだった。これが、悪魔の叡智だとでもいうのだろうか。
ラプラスは、私がなぜフブキに会いたいのかと質問をしたとき……彼女を知っているからだと答えた。
『……なんで私を生かしてまで、あいつに会いたいんだよ』
『……別に、ただの気まぐれだよ。たまたま白上フブキという人物について知っていて、会ってみたくなっただけだ』
あの時、なぜ知っているのかを聞こうとしたが答えてはくれなかった。
でも、その時のラプラスの表情は……何かを訴えたいやつのそれに見えた。まるで、私には理解できない何か大きなものを抱えているように。
そんなラプラスを、私はどうしても悪魔には見えなかった。
「あいつは……一体、何者なんだよ……」
ラプラスが何を考え、何のために星々を侵略しているのか私にはわからない。でも、きっと彼女にはそうしなければならない理由があるんじゃないだろうか。勿論、だからと言ってそれらの行為は決して許容できるものではない。きっと、私は一生彼女たちを恨み続けるだろう。それでも……もしかしたら、あいつも苦しんでいるのかもしれない。でなければ、あの時見せた悲痛な顔は一体何だったんだというのだ。
『……安心しろ、ちゃんと会わせてやるから』
そう言ったとき、ラプラスは泣きそうな顔をしていた。
本人は我慢していたつもりかもしれないが、敵視している私ですら同情してしまう程に辛そうな表情をしていた。
「……いつか、理由を聞いてみるか」
もし……またいつか、彼女と二人で食事をするような機会があれば…………その時にでも、話をしてみよう。許すことはできなくても、理解することはできるかもしれない。悩みを打ち明けてくれるなら……ラプラスに、もうあんな顔をさせなくても済むかもしれない。
「……なんてな。」
黒上フブキはそう呟きながら、窓の外を流れる川のような星々を眺めていた。
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特に思うことは無い
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物語が面白くなるなら出してもいい
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特定の名前などが無ければ出してもいい
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できるだけ出さないで欲しい
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絶対に出さないで欲しい