転生したらラプラス・ダークネスだった件   作:飽和水溶液_pixiv

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7話目です、結構続いてきましたねー。今回も前半は黒様視点です。後半からはまた我らが総帥視点に戻ります。可愛らしいラプちゃんを楽しんでください。

【追記】
結構話が長くなってきましたので、今後気まぐれでこのスペースを使って設定等の補足説明を書いていけたらなと思います。
今回はパラレル世界における、"鷹嶺ルイ大幹部"さんと"研究部門代表の博衣こより"氏のラプラスに対して寄せる心象についてです。

この世界のルイ姉は、とにかく総帥が第一であるという考えを持っています。どんなことでもラプラスが言う事を尊重し、彼女こそが生きる意味であると考えています。そして時には姉のような厳しさと、母のような優しさをラプラスに与えてくれることもあります。その辺は普段のルイ姉と変わりないですね。他のメンバーに対しても現実世界とほとんど変わりはなく、同僚であり仲間であると思っています。

この世界のこよちゃんは、総帥を含めたholoXの初期メンバー全員のことが超絶大好きです。ラプラスを特別扱いしているというよりは、自分以外の他四人を何よりも優先しています。そんな中で、皆が慕っているからという理由でラプラスを立ててくれます。察しも良い。
しかし、皆を好きすぎるあまり逆に自分のことをあまり好きになれていない節があります。結構自己肯定感が低いので、たくさん褒めてあげないと壊れます。その理由についてはまた機会がありましたら。


第07話 博士との幸せな朝食

 

 

 

『無事、着陸が完了致しました。今後も、holoXの発展を。YES MY DARK!』

 

 

 

どこからか鳴り響く耳障りなその声に、黒上フブキは目を覚ます。どうやら、目的地に着いたようだ。

この船に乗って体感三日ほど、捕虜というにはあまりにも快適すぎる旅だった。用意されていたベッドの寝心地も良く、敵陣の中だというのに昼寝までしていた始末だ。まあ、そういう図太いところが私のいいところだと自覚している。

 

まだ若干眠っている脳みそを無理やり覚醒させ、部屋に備え付けられている窓から外を眺める。すると、どこか見覚えのある森林地帯が広がっていた。……帰ってきたのだ、私の故郷に。

 

 

「……つっても、ここが何処かは知らないけどな。そこらに精霊がいるから私の星ってことは間違いないんだろうけど」

 

 

霊力を扱える獣人族は、基本的には先天性に才能を持っていることが多い。私のような後天的に才を開花させる例外もいるが、それらに共通する素養は『精霊が見えること』にある。私が初めて精霊を見たのは、フブキと初めて出会った時だった。小さな神社の社の周りを、無数の光たちが浮かんでいたのだ。後に、それは”精霊さん”だとフブキに教えてもらったっけ。

 

 

「フブキ……」

 

 

会いたい。たまらなく会いたい。

外の様子的に、もう間もなく陽が沈む。恐らく、出掛けるのは明日になるだろう。

……本当なら、今すぐにでもあいつのところに走っていきたい。あの私を救ってくれた温もりに、いつまでも溺れていたい。いっそのこと、ここから抜け出してしまおうか。

 

 

「……でも、それじゃああいつとの約束と違うもんな」

 

 

逸る気持ちをぐっと抑え、今の私の役目の為に尽くすことを選ぶ。ラプラスはずっと、私との約束を守ってくれている。なのに、今更私が破ってどうするんだ。

あいつはフブキに会いたがってる。どうしてなのかは知らないが、それがあいつの望みだというなら……私には、それを果たす義務があるはずだ。それこそが、黒上フブキとラプラスを繋ぐ鎖なのだから。

 

 

「それに……あいつなら、多分大丈夫だろ」

 

 

当初の話通りなら、ラプラスはフブキに対して要求を突きつけることになるはずだ。それがどんな内容なのかは知らないが、きっとラプラスなら私達を無下にするようなことはしないだろう。まあ、そもそもの原因であるあいつに何を期待してるんだって話だけどな。

 

 

 

 

そんなことを考えていると、突然誰かに扉をノックされた。夕食の時間にはまだ少し早いし、それにもう目的地には着いたんだよな?……あぁ、じゃあこっちの基地に移送ってことか。私、一応捕虜だしな。

 

 

「あ、あの黒上フブキ様!少々お話がありますので、入ってもよろしいでしょうか?」

 

 

この声は、私がこの船にいる間の私の世話係を任されている女の声だ。そいつにも、他の奴らと同じく牛のような二本の角が生えている。こいつら共通のトレードマークか何かなのか?それとも、あのラプラスの真似事だろうか。

 

 

「勝手にしろよ。私は捕虜だぞ?」

 

 

「えっ、あ、はいそうですけど……ラプラス様より、客人のように丁重に扱うようにと言われていまして……」

 

 

それ、言っていいやつなのか?外聞上は、私を捕虜扱いしないとまずいだろ。初日から思っていたが、なんだかこいつ抜けてないか?まったく……どいつもこいつも、本当に調子を狂わしてくれる。

 

 

「わかったから、入っていいぞ」

 

 

「あ、はいっ!それじゃあ失礼します」

 

 

そういいながら、世話係の女が入ってきた。その手には、何故か紙とペンを持っていた。

 

 

「長旅ご苦労様でした、黒様。さきほど無事、惑星の方に到着しましたよっ」

 

 

「ああ、そんなことわかってる。……黒様??」

 

 

「あっ、すみません!ラプラス様が黒様のことをずっとそう呼んでいらしたので、移ってしまって……」

 

 

あいつの仕業かよ。長くて呼びづらいのはわかるけど、もう少しこう……無かったのか?

まあ、もう何でもいいか。とっとと用件を聞こう。

 

 

「はぁ……で、一体何の用なんだ」

 

 

「あ、はいそうでした!実はラプラス様より伝言を預かっているんです。えっと、まず一つ目に……本日はもう遅いので、白上フブキに会いに行くのはまた明日にするそうです」

 

 

まあ、そうだろな。

それについてはもう自己解決してるし、特に問題は無い。もう少しの辛抱だな。

 

 

「それはあいつに任せる。で、他には?」

 

 

「はい、もう一つは……黒様に、白上フブキ宛の手紙を書いて欲しいそうです」

 

 

は?フブキに、手紙だと?…………書いてもいいのか?

あっ……いや、そうか。そういえばフブキには私とラプラスとの交渉についてまだ何も伝わっていないのか。面倒ないざこざを起こす前に、先に私の筆跡で事情を説明しておこうという事か。それなら納得だ。

 

 

「わかった。じゃあ私とあいつとの交渉についての事情と……他に何かあるか?」

 

 

「あ、えーっと……それ以外については黒様のご自由に、とのことです」

 

 

は?え、なんだそれ。自由に書いていいのか?

ラプラスの気遣いなのだろうか。それは、何というか……嬉しいな。例えもう明日にでも会えるとしても、少しでも早く私の安否について伝えられるならそれに越したことは無い。

 

 

「……早めに書き終える」

 

 

「はい、お願いしますね。あと、書き終わったらこの封筒に入れて封を締めてください。そのまま持ってっちゃうので」

 

 

「……中身を確認しないのか?」

 

 

普通、捕虜が自国の王に書く手紙って中身を閲覧するべきだろ。そこに敵の情報や、反乱のための連絡を書き込むかもしれないのに。

 

 

「え?えーっと……はい、しません!ラプラス様からはそうするように指示をいただいておりませんので。本人に封をさせて、そのまま白上フブキの元に送るようにと」

 

 

……信用しすぎだろ。なんなんだよあいつは。もう、敵視してるこっちがアホらしくなってくる……。

 

 

「それじゃあ、手紙が書き終えた頃にまたお伺いします。その時に、基地の方にもお連れしますね!」

 

 

彼女はそう言うと、本当に手紙一式を置いて部屋を出て行ってしまった。

残された私は一人、紙面とにらめっこをする。果たして、どう書き出したものか……。

 

 

「まあ……取り敢えずは、私のこの数日間の行動についてとか……」

 

 

誰かに手紙を書くなんて、下手したら人生で初めての経験だ。

それでも、あいつには伝えたいことがいっぱいある。例えきちんとまとまらずとも、それらを全部書きしめてしまった方がいいだろう。どうせフブキやミオぐらいしか見ないだろうしな。

 

黒上フブキはそう思いながら、慣れない筆を走らせていくのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「……知らない天井だ」

 

 

「あるじ様、それ言いたいだけだろ」

 

 

黒様たちの星に着いた次の日。

ラプラスは見覚えの無い寝室と思われる場所で目を覚ました。確か昨日の夜は、今後のholoXの行動についての会議をしていたはずなんだが……はて、何で吾輩はベッドで寝てるんだ?

 

 

「おい烏、吾輩確か昨日の夜は会議に出てたと思うんだが……」

 

 

「ああ。ご察しの通り、途中で寝ちまったんだよ。眷属のあの男があるじ様をベッドまで運んだんだ」

 

 

oh……何という事だ……。

まさか、大人である吾輩が話し合いの最中に寝てしまうとは……。だ、だって仕方ないだろ!ずっと気張ってて、めちゃくちゃ疲れてたんだからっ!

 

 

「皆が真面目に会議してる中、よくもまあ気持ちよさそうにグーグー眠れたもんだな」

 

 

「くぅ……う、うるさいぞぉ……しょうがないじゃんか、眠たかったんだから……」

 

 

まあそうは言うものの、なんだかんだこうやって吾輩の失態を指摘してくれるのはこいつくらいなものだ。幹部も少しは言ってくるが、他の連中は吾輩がどこで何をしていても文句の一つも言ってこない。

 

それに、この烏は色々と口うるさいが感謝している部分があるのも事実だ。なぜなら吾輩は、こいつの前でだけは素をさらけ出すことができるからだ。それはこの烏が、吾輩の正体を知っている唯一の存在だからといことも起因してきている。

……そういえば、ここに来たもう一つの目的も忘れてはいけなかったな。

 

 

「そういえば烏、昨日はバタバタしてて話せなかったが……ひとまず、こよりに事情を説明するのは全てが終わってからでもいいよな?」

 

 

「ああ、俺は別に何でも構わないぜ。あるじ様本人の問題だからな。……それに、あるじ様も正直それどころじゃないだろ?」

 

 

まあ、実のところそうなのだ。

実はこの星に来るまでの数日間、吾輩は何もずっと怠けていたわけではない。この世界の大まかな知識やholoXの現状について勉強していたのだ。それに加え、目下の課題である白上フブキ先輩との交渉についてである。全員がなるべく納得するような条件を考えるために、烏や眷属に頼んで色々な資料なんかを集めてもらっていたのだ。吾輩はそれらを吟味しながら、具体案をまとめていた。

 

 

「……なんか、元いた世界に比べて随分と働いてないか?吾輩」

 

 

あっちの世界にいた時は、毎日ゲームやぐーたら三昧だったのに……随分と出世したものだな。いや、実際図らずして超絶大企業の社長になったようなもんなんだけど。

 

そんなことを考えながら、ラプラスはまだ少し眠い目をこすってベッドから起き上がる。備え付けてある洗面所で顔を洗い、身なりを整える。もう間もなく、眷属が吾輩を起こしに来る頃だろう。今日はフブキ先輩たちに会うんだし、気合入れないとな。

 

 

「なんだか、考え深いな……まさかあのあるじ様が、こんな朝からちゃんと起きて支度してるなんて」

 

 

「それ、なんか触れにくいぞ。今の吾輩とその時の吾輩は別人なんだから」

 

 

「……そうだったな」

 

 

なんか、たまに烏が意味深な反応するんだよな。恐らくそれは、こっちの世界の吾輩が惑星の征服を逸る理由と関係があるんだろうな。しかし、今こいつが話そうとしないなら一先ずは目先の問題に専念するとしよう。

 

 

 

 

丁度朝の支度が終わった頃、予想通り眷属の男が吾輩を起こしに来た。吾輩はそのまま眷属の案内で食堂へと赴く。話によれば、既に博士がご飯を先に食べているらしい。

 

 

「あ、おはよーラプちゃん!昨日は疲れてたみたいだけど、よく眠れた?」

 

 

食堂に入ると、すぐに博士の姿が目に入った。広いテーブルなのに、何故か端の方で一人寂しくご飯を食べている。……なんか、目の下に隈ができてないか?

 

 

「あ、ああ。悪いな、昨日は途中で寝ちまって……博士は、随分と朝早いんだな」

 

 

「んー?そりゃまあ、寝てないからねっ。ルイ姉から頼まれたこととかもあって、まだ仕事終わってないんだよー」

 

 

ま、マジかよ……。吾輩なんて、数日働いただけで居眠りしてるんだぞ?しかも、普段夜はしっかり寝ているのにだ。元いた世界のこよりも、バカみたいに耐久配信とかしてたが……こっちの世界でも、博士はフィジカルお化けなのか。

 

しかし、そんなに根詰めて働いていたら体を壊してしまう。ちゃんと自愛して、休んでもらわなければ困る。博士はholoXにとって、なくてはならない存在なのだから。

 

 

「なあこより。仕事ならその、しょうがないと思うが………休めるときは、ちゃんと休んだ方がいいぞ?」

 

 

勿論吾輩の本来の目的の為というのもあるが、こよりに無理をして欲しくないというのも本音だ。博士が優秀過ぎて、任務を抜けられないのもわかるが……今度、幹部に休みをあげられるように日程調整を頼んでみようかな。

 

そんな博士を労うための方法をラプラスが考えていると、何故か当の本人が不思議そうな顔をして吾輩に聞いてきた。

 

 

「……なんか、ラプちゃん変わった?昨日も思ったけど、すっごく周りに気を使ってない?今日もこんなに早く起きてくるし、それに僕の心配とか……」

 

 

こよりのその何気ない発言に、ラプラスはドキッとする。

しまった、少しやりすぎてしまったか?吾輩の想像する、理想の総帥を演じようとしてたつもりなんだが……どうやら、目聡い博士には勘付かれてしまっているようだ。まあ、どっちにしろ博士には話すつもりなので、バレても構わないんだけどな……。

 

しかし、今は人目があるので誤魔化しておこう。詳しい話はお互いが落ち着いてからだ。

 

 

「えっ?いや…………べ、別にそんなこと無いぞっ!」

 

 

「……ふうん…………まあ、何もないならいいんだけど…………何かあるなら、いつでも話してね。こよはラプちゃんの味方だから」

 

 

納得した、というよりは吾輩の隠し事を許してくれたという反応だ。

博士は、趣味が人間観察というくらい周りの人たちのことをよく見ている。しかし裏を返せば、常に周囲の人間の顔色を窺っているともいえる。それは恐らく、こいつの生まれ育った環境が原因なんだろう。

 

でも、それは決して悪いことじゃない。他人の反応が気になるのは当然だし、それにそれはこよりの才能でもあるからだ。現に今だって、悩みを抱える吾輩に気が付いて心配をしてくれている。そういうものに人一倍敏感なやつだからこそ、見えてくるものがあるのだ。

 

 

「ああ、ありがとな。……吾輩も、隣でご飯食べてもいいか?」

 

 

「えっ……うん、まあいいけど……ここ、すっごい端っこだよ?ラプちゃんは向こうの席の方が……」

 

 

「いいんだよ、別に。吾輩は博士の隣がいいんだ。……おい眷属、吾輩の朝食はこっちに運んでくれ」

 

 

「御意、直ちに。」

 

 

眷属の男に指示を出し、ラプラスの分の食事を博士の隣の席に持ってこさせる。holoXの重役二人が、テーブルの端っこに座って食事など傍から見れば異様な光景に見えるかもしれないが……それでも吾輩は、久しぶりにこよりとご飯が食べられて嬉しかった。

 

 

 

 

 

「……そういえば博士、最近いろはや新人の奴には会ったか?アジトでは幹部以外見かけなかったんだが……」

 

 

博士との朝食を楽しみつつ、ラプラスは特に意味の無い話題を提示する。

こちらの世界に来てから、holoXの初期メンバーで会ってないのは後いろはとクロヱの二人だけだ。話には何度か出てきたが、肝心の本人とはまだ話せていない。

 

 

「新人?……ああクロたんのことか。ラプちゃんまだそんな呼び方してたの?クロたんはもうインターン生を卒業して立派なholoXの暗殺部門、通称【飼育員】たちの代表【”掃除屋”クロヱ】として活躍してるんだよ?そんな風に呼んでたら、クロたんいじけちゃうぞー?」

 

 

え、そうだったのか……クロヱの奴、出世したんだな……。

まあそりゃあ、こんだけholoXが大きくなってるのに未だに新人でインターンって言うのもおかしな話か。

 

 

「それで、えーっと何だっけ……あ、そうだ、最近の二人についてだっけ?いろはちゃんなら数日前までここにいたよ?ただ、この星の征服が完了したからってラプちゃん達が来るちょっと前にアジトに帰ったっけかなぁ。ほら、例の黒上フブキとかその他の捕虜たちと、あとは今回の戦いで出た負傷者なんかを連れて帰るために」

 

 

「あーそう言えば、幹部がそんなこと言ってたな。強い戦士だったからとか何とか」

 

 

黒様と初めて会ったときに、いろはが連れてきた捕虜だって幹部から説明されたっけ。という事は吾輩がこっちの世界に来る前に、この世界の吾輩といろはが会っている可能性があるのか。一応覚えておかないとな。

 

 

「そうそう。いろはちゃんが絶賛してたよ~、すっごく強い子を見つけた!って……まあ、それを言ってる本人は怪我一つしてなかったけど。流石はholoX最強の戦士って感じだよねー、こよは前衛職とか向かないから尊敬するよ」

 

 

流石はholoXの用心棒。あっちの世界でも強さ的な意味でフィジカルお化けだったいろはだが、こっちの世界でもそれは健在なようだ。

というか、いろはも勿論すごいんだろうが……吾輩的には、こよりの方がすごいと思う。科学者が前衛職に向かないのは当たり前だし、そもそもの土俵が違うのだ。

 

 

「まあいろはにはいろはの、こよりにはこよりの戦場があるってことだ。こよりにだって、他の誰にもマネできないような才能があるだろ。……吾輩にとっては、二人とも無くてはならない存在なんだ」

 

 

「……やっぱり、今日のラプちゃん変。そんなに褒められても、こよからはハグしながら喜ぶことくらいしかできないよ?」

 

 

今の見かけだけの吾輩と違って、他の四人はずっとこの世界を生きてきた者達だ。別の吾輩からの命令を受けて、ここまでholoXを成長させてきた。数々の星々を侵略して、それらを可能とする力を手に入れてきた。

 

そんな奴らを、吾輩はただ凄いと見ていることしかできない。何もしてないのに偉そうに、上から目線で褒めることしかできない。それでも……もしその言葉でこいつらが喜んでくれるなら、吾輩はそれを惜しみなく与える義務があるはずだ。

 

 

「ハグはまあ……また今度でいい。それで、結局二人の現在の所在は知らないのか?」

 

 

「詳しい場所までは知らないけど、いろはちゃんはその後次の征服候補の惑星の調査に行ってるはずだよ?ルイ姉が次の場所にいくつか目星をつけてるみたい」

 

 

ああ、そういえばここに来る前幹部がまだ仕事が残っていると言ってたな。もしかしたら、それ関連のことなのかもしれない。

 

 

「それとクロたんはねぇ……確かちょっと前から別の長期任務に行ってたっけかな。なんか最近、holoXの隊員が困った連中に絡まれてらしいんだよね」

 

 

「困った連中??」

 

 

「うん。なんでも”宇宙海賊”を名乗ってるみたいで、結構な被害になってるんだってー」

 

 

宇宙海賊??なんだか、どっかで聞いたことがあるような……。

それに、結構な被害が出てるってヤバくないか?割と優先的に何とかしないといけない案件な気がするが……。

 

 

「で、掃除屋のクロヱがその調査に出かけてると?」

 

 

「そういう事。ルイ姉の話じゃ、首謀者はどうやら海賊船の船長を名乗る”右目に眼帯をした”女性なんだって。私達holoXに挑んでくるなんて、いい度胸だよね~」

 

 

……………………ま、まあ、決めつけるのはよくないよなっ!

全く別の話かもしれないし、詳しい話はクロヱの帰還を待ってからにしよう。

 

 

 

「……それよりもラプちゃん、そろそろ時間じゃない?フブキ王に交渉しに行くんでしょ?こよも準備しないとっ!」

 

 

「やばっ、もうそんな時間か。話過ぎたな……って、えっ?博士も行くのか??」

 

 

「何言ってるの、当然でしょー?敵陣に大将を一人で行かせるわけにいかないじゃん。ちゃんとルイ姉に着いて行くように言われてます。それに、ラプちゃんもそっちの方が心強いでしょ♪」

 

 

それは勿論だ。

博士がいてくれたなら心強いなんてものではない。出発するときの吾輩を見て、幹部が気を利かせてくれたのだろう。帰ったらルイにもお礼を言わないとな。

 

 

 

ラプラスは有能な部下と天才科学者の心遣いに感謝しながら、残った朝食を急いで口の中にかき込んだ。これからいよいよ、白上フブキ王ご一行とのご対面の時間だ。

 

……久しぶりに先輩たちに会うと思うと、緊張するな。

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