「どこへ行くんですか?」
「………」
夜更けでも眠らない我らが拠点。
働き者の構成員たちの暑苦しい出迎えをいなしたボスが向かう先は彼の部屋では無く。
絶対にまだ仕事をしようとしてる。
「そっちは執務室ですよ、お休み部屋はこっち」
「まだやる事があるからそれだけ済ませたら休むよ」
「え〜それってほんとに今やんなきゃダメな仕事ですか〜?」
「………」
「明日でもいいんじゃないですか?それなら寝ましょうよ〜」
黙ってしまった。
これはもう説得は無理かな。
彼はこちらの心配もよそに(勝手にしてるだけで彼からしたら余計なお世話なのだが)まだ仕事をするぞという目をこちらに向けた。
どうやって自分の目の前で仁王立ちをするデッカい俺を納得させこの場から撤退させるか思案している様子だった。
こういう時は大体自分が根負けしてしまう。
そもそもこちらのお小言をシカトして去ってしまわずに納得させようと言葉を尽くそうとしてくれることがすでに嬉しいのでもう何をされても負ける。
だって大体シカトなんだもん他の人には。
「わかりましたよ…終わったらちゃんと休んでくださいね」
「ああ、そうするよ。」
それに、まあやりたいようにしたらいいと思うので。
できるだけ彼が思うように行動してほしいし、休んでほしいのは結局はこちらのわがままなのだから。
本人が大丈夫と言うならそれはそうなのだろう。
そんなこと言って倒れたりするからその大丈夫も信じられなくてこっちはこんなことになっているのだが。
「リュカ、後でお茶だけ淹れてくれ。」
わざとらしく大きなため息をついて肩を落とした自分に向かって、こちらの都合などお構いなしに目元だけで微笑んで声をかけてくる。
「はぁ〜い…」
多分聞こえたかなくらいの音量で返事をして
執務室へ向かって遠ざかる背中を見つめながら頭を抱えた。
こうやってつけ入る隙を与えてくれるところが彼の悪いとこだ。
こんなことされたら応援団の面々など大喜びで彼の深夜残業のためのサポートをこなしてしまうに決まっていた。寝てほしいのに!
ああ今日もボスを早く休ませることができなかった。
こうなったらとびきりおいしくて眠くなっちゃうお茶を淹れてやろうと決心した。
推し洋菓子店の分厚い生チョコが乗っかったビスキュイもお供に連れて行ってやる。
儚げ美青年ぺらぺらボディの頑張りすぎボスなんか太っちゃえ
ボスの健康を守る応援団任務は失敗
でもボスの仕事のサポートをこなす応援団任務は成功
なんともどかしい。
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次は他の応援団員のお話です