すくりーむ・ざ・ぼっち!   作:博一

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ミーティングの前に

 

 

 

 重い。やたらと重い空気が、テーブルを囲って座る俺たちにのしかかっていた。

 原因は、残念なことに俺。

 みんながみんな何を口にすればいいか迷い、緊張と不安感に包まれている。意外なことに、あの山田リョウさえも俺を伺うように口を閉ざしたままだ。

 後藤さんはこの空気感に耐えかねて少しずつ縮んでいっている。

 

 やっぱり、俺が来なかった方が良かったのではないだろうか。

 

「――あーダメダメ! 私が呼んだのにこんなんじゃ、みっともないよね」

 

 突然、伊地知さんが大きな声を出し、自身の頬を両手でパシパシと叩いた。そして、今まで目を合わさなかった俺をしっかりと見つめてくる。

 

「今日は結束バンドのミーティングなんだけど……。その前に、やらなきゃいけないことがあって。それで今日、佐藤くんにも来てもらったんだ」

「やらなきゃいけないこと……?」

「うん。その……、私たちこれまで、君に酷い態度をとってたと思うから……。今日は改めてあやま」

「――待って虹夏。その前に、聞かなきゃいけないことがある」

 

 伊地知さんの言葉を遮るように、山田リョウが口を挟んだ。

 彼女の目は真剣そのもので。ここだけは譲れないのだと強く瞳が語っている。嘘や虚言を許さない目が、射抜くように俺を見ていた。

 張り詰めた雰囲気に伊地知さんは困惑して口をつぐみ、後藤さんは机の下にいつの間にか隠れてしまっている。

 

 俺は山田リョウと見つめあった。

 中性的で抜群のルックスを誇る彼女。恐ろしいほど整った顔は美しく、何も知らなければ呆然と見惚れてしまう。その美貌から放たれる威圧感に似た何かは、はっきり言って怖い。

 でも、俺は目を逸らさない。

 

「まず一つ。SNSに上がってる痴漢動画とカツアゲ写真について」

「ちょっ、リョウ!?」

 

 俺のデリケートな部分になると思ったのか、伊地知さんが声をあげるも山田リョウはそれを無視して続ける。

 

「駅で逃げてたけど、本当にしたの?」

「それは……」

 

 俺はちらりと後藤さんを見た。

 机下に潜り込もうとしていた彼女は硬直し俯いていて。何かに耐えるように手をぎゅっと握って、スカートを皺くちゃにしていた。

 俺のことはどうとでも言える。だが、後藤さんが痴漢の被害者なのだと言うのは、酷く躊躇われた。信頼できる二人とはいえ、女性として知られたくない事実のはず。

 適当に誤魔化して、胸の内にしまっておくべきだろうか。

 

「……言いたくない? 言いにくい? それとも本当に?」

「――違いますっ!!」

 

 いきなりの大声。怒声に似た声量の声は鼓膜に響き、びっくりして発生源を見る。

 後藤さんが必死な形相で山田リョウを……、ではなく天井を睨みつけていた。

 

「あっ、すすっすみません……!」

 

 そして、自分のしたことに気が付いて一瞬で縮こまってしまう。

 突然のことに軽く目を見開いていた山田リョウはなんとも言えない感じで口をごにょつかせ、切り替えるように俺を見て口を開く。

 

「……じゃあ、カツアゲ写真の方。あれ、合成じゃないよね?」

「……合成ではないです」

「……合成じゃないんだ」

 

 肯定したのに逆に驚かれた。

 まあ、気持ちは分かる。人が大勢いる中、しかも入学式の校門付近で女生徒を土下座させ財布を差し出させる画像など、加工したものだと疑いたくなるのも無理はない。

 後藤さんをちらりと見れば、罪悪感に押し潰されるように頭を抱え身悶えていた。その様子を伊地知さんが引きながら見ている。

 

「カツアゲしたのか気になるけど、それより土下座してた女の子って……」

 

 山田リョウの視線が後藤さんに向く。これはもう、ほぼ確認作業なのでは。

 奇行ピンクの名誉を守るべく、ささやかながら抵抗しよう。

 

「……えっと、俺も見ましたけど、一応モザイクかかってましたよね?」

「でも、あのピンク髪はどう考えてもぼっち。この前スターリーでしてた土下座もよく似てるし」

 

 あ、これはダメだな。

 

「いやぁ……。あれは、その、なんというか……」

「ぜ、全部……、全部私が悪いんですぅ……」

 

 どう言い訳しようか悩んでいると、後藤さんがついに耐えきれなくなったのか、机の下から這い出ながら死にそうな顔で白状した。かなり引きつつも、山田リョウと伊地知さんは後藤さんを見て次の言葉を待つ。

 突き刺さる視線にプルプルと震え、彼女は更に顔色を悪くさせてしまう。それでも、ぎゅっと拳を握って口を開く。

 

「わ、私がこんなんだから……。あの日、声をかけてくれたのに、その、びっくりして……。テンパった挙句に被害妄想爆発させちゃって……。それで、それで……」

「え、あれって、ほんとにぼっちちゃんだったの!?」

「うっ……。はい……、すみません……」

 

 伊地知さんが驚き改めて確認すると、後藤さんは観念したように頷きを返した。

 

「なので、佐藤くんは何も悪くありません……。私が、コミュ症の私が悪かったんです……。もちろん、お金なんて取られません……。すみましぇん……」

「なるほど。……今だから分かるけど、ぼっちならやりかねない」

「こらっ、失礼でしょ! ……あー、でもまあ、ぼっちちゃんならっていうのは、ちょっと納得できちゃうかも」

「はうぁっ!?」

 

 黄色と青色の辛辣な評価にピンク色は胸を抑えて撃沈してしまう。

 それでも喋る気力は残っているらしく、後藤さんは顔を机に突っ伏しながらもごもごと話し始めた。

 

「……そ、それだけじゃ、ないんです。あの動画も」

「――後藤さん」

 

 やや強めの声で話しを遮る。

 勇気を持って告白しようとしている後藤さんは尊敬できるし、俺が口を挟むのは非常に申し訳ない。だが、動画の経緯についてまで無理に話す必要はないはずだ。

 でも、それでも話すというのなら。

 流れに任せて打ち明けたせいで後から後悔しないよう、彼女の意思をしっかり確認すること。それが、俺のやるべきことだろう。

 

「話しても、いいの?」

「……うん」

「辛くない?」

「……大丈夫。……たぶん」

「……分かった」

 

 ちょっぴり怯えつつも、俺を見てきちんと頷いた後藤さん。断言できていないのは愛嬌というもので。

 俺は彼女の意思を尊重しよう。

 

「あの、どうしたの? 急に……」

「虹夏ちゃん、リョウさん……。その、聞いて欲しいことが、あって……」

 

 後藤さんは思い出したくもないであろう電車での出来事を辿々しく語っていく。俺は基本的には口を挟まず、説明不足な点や補足を軽く話すだけ。

 彼女もそうだが、俺も思い出したくない苦い記憶だ。それを言葉にするのは勇気が必要で。説明にあまり時間はかからなかったが、話し終える頃には妙な疲労感があった。

 

 山田リョウは目を伏せ、伊地知さんはショック故か口元を手で覆っている。後藤さんは今にも涙が出そうなくらい目を潤ませ俯いてしまう。

 俺は頑張って話した彼女の肩に手を置きつつ、二人の反応を伺った。

 

「なに、それ……。じゃあ、二人とも被害者じゃん! なんであんな動画……! 警察は!? 犯人はきちんと捕まってるんだよね? 学校の対応は!?」

「……虹夏、落ち着いて」

「でもっ!」

「気持ちは分かるけど、ここで私たちが怒っても仕方ない。……それで、どうなの?」

 

 一個人として、女性として、爆発するように憤る伊地知さんの気迫は恐ろしいものがあった。本当の本気で心の底から怒っていることが伝わる怒声は嬉しくもあるが、大声は後藤さんが(ついでに俺も)ビビる。

 一方の山田リョウは、どこか冷静に物事を捉えているように見えるが……。握りしめた拳と、食い気味に伊地知さんの疑問の続きを聞いてくる姿は、相応の怒りを感じ取れた。

 

「……えっと、俺たちは未成年ですから、基本的には俺と後藤さんの両親が警察とかに対応してます。なので、あんまり詳しいことは分かってません。積極的にしたい話題でもありませんから」

 

 後藤さんは復帰に少しかかりそうなので、俺が代わりに口を開く。

 

「それでも、ある程度は聞いています。まず警察ですけど、犯人は他にもいろいろ余罪があって取り調べ中らしいです。動画の方も対応はしてくれてるそうですが……、ネットに拡散された動画を完全に消去するのは不可能らしくて。とりあえず、俺の個人情報とか、過激なコメントの削除をしてくれてるそうです」

「あ、そうなんだ……。よ、よかったぁ……」

 

 何故か真っ先に安心したのが後藤さんである。小声だから目の前の二人には聞こえていなかったようだが、隣の俺はバッチリ聞いていた。

 なんでお前が知らないんだよ、とかツッコミたくなるが我慢我慢。単に、思い出したくなかったから後藤パパママと情報共有してなかっただけだろう。そう思う。……そう思いたい。

 気持ちを切り替えて次の説明へ。

 

「そして学校の方、なん、ですけど……」

「……けど?」

 

 どう言おうか頭でこねくり回し言葉が詰まった俺を、伊地知さんが小首を傾げつつ先を促す。

 

「……なんか、特にこれといった動きはないらしくて」

「え? なんで!?」

「一応、相応の対応をすると両親は聞いてるそうですけど……。それだけで……。下手に騒いで厄介事になって学校の評判を下げたくないんだろう、って両親は言ってました」

 

 普段は優しい父と母が珍しく怒りながら話してくれたのを思い出す。毎日、秀華高校の公式サイトを覗いては怒って、時々電話をかけている。

 

「ああ、そういえば、教頭がどうのって怒ってたような……」

「そんな……。じゃあ、学校では、どうなの……?」

「どうって、……あ、後藤さんのことなら心配ないです。動画には映ってませんし、個人情報も漏れてません。画像ではモザイクかかってましたから。いじめとかそういうのは全然」

「それはっ、良かったけど……。一番心配なのは佐藤くんのことだよ!」

「え?」

 

 不意に言われたことで驚く。

 伊地知さんは、心から心配そうに俺を見つめていた。後藤さんも同意するように頷いている。

 

「周りの誤解、解けてないんだよね? 誰か守ってくれる先生もいないんだよね? 大丈夫?」

「あ、いや……。確かに、よく見られてはいますけど、実害はないですし……。先生も、全員が全員無関心ってわけじゃなくて……、心配そうに見てくれる人もいますから……」

「でも、見てくれてるだけでしょう? 本当に守ってくれてるわけじゃないよ……。それさ、かなり、苦しいよね……?」

「苦しいって、そんな、俺は別に大丈夫で」

「う、嘘っ、です……!」

 

 後藤さんの強い口調が俺の言葉を遮った。

 まさか彼女に真っ向から言われるとは思っていなくて。今にも泣きそうな瞳が俺を悲しげに見つめている。

 

「ず、ずっと見てました。気にしないようにしてるけど、やっぱり辛そうで……。見てて、苦しくなって……。と、時々、胸を抑えて、ものすごく悲しい顔を浮かべてて……」

 

 咄嗟に自分の顔を触っていた。当然、そんなことをしても意味はない。

 無意識だ。意図してやったわけじゃない。後藤さんがここ最近ずっと俺を見ていたことは分かっていた。わざわざ見せつけるように、ましてや学校で苦痛に塗れた顔を見せるなんてことはしない。

 

「全部、全部私のせいだから……。だから、どうにかしなくちゃって……。でも、怖くて……。き、奇跡的に虹夏ちゃんたちに会えたけど、結局、他力本願な気がして……」

 

 震えた声。握りしめられた両手。俯く顔からポロポロとこぼれ落ちる水滴。

 後藤さんが抱えていた想い。

 罪悪感というその重みを今までずっと、その優しく繊細な心に抱いていたのか。

 

「ごめん、なさい……! ずっと、謝りたくって……。謝れなくって……。何もできなくてほんとにっ、ぐすっ、ごめんなさい……! ううっ、ごべん、なさい……!」

「ぼっちちゃん……」

 

 涙を流して謝罪する後藤さんに、席を立った伊地知さんが寄り添う。

 

 俺は、何も言えなかった。

 ただ頭が真っ白になって。冷たい痛みが胸の奥から感じられる。様々な感情がぐちゃぐちゃに溢れ出し、口をまったく動かせない。

 言うべきだ。そんなことない、気にしないで、謝らないで、何も悪くない、と。俺がかけるべき言葉はそれだ。それ以外にない、はずだ。

 なのに、涙ながらの謝罪を無言で受け入れてしまっている。

 俺には見えていない俺が、後藤さんには見えていた。

 

 胸中に熱が生じる。突き刺さっていた冷たい何かが、ほんの少し、抜けた気がして。じんわりした熱が、胸の奥から湧き上がってきた。

 俺はそれを、グッと堪える。

 ここで俺がすべきことは、泣くことじゃない。

 

「……ありがとう、後藤さん」

「ぐすっ、ひっく……」

 

 僅かに上がった彼女の顔。その奥に垣間見える潤んだ瞳をしっかり見つめて。

 

「俺は、君を許すよ」

「……っ!」

 

 心からの言葉を送った。

 

――――――

 

「……ああいう空気は、苦手」

 

 ぽつりと呟かれた声。

 透き通るような涼やかな声音は、両腕を枕にして机に突っ伏す山田リョウから聞こえてくる。

 

「得意な人、いないと思いますよ……」

 

 ほぽ独り言のそれに、返事を期待しないで雑に返す。

 

 あの後、かなり泣いてしまった後藤さんを伊地知さんが気遣い、顔を洗って気持ちを整えようと上の伊地知家へ連れ出していた。

 つまり、テーブルにいるのは山田リョウと俺のみ。

 割と気まずいが、それ以上に精神的にどっと疲れているので意外とぎこちなさはない。

 

「……ねえ。後一つ、聞きたいことがある」

「え……? ああ、そういえば……。まずはって言ってましたもんね」

 

 真剣な目で問い詰められた時を思い出す。

 ついさっきのことだが、妙に遠のいた記憶に思えた。

 

「本当はこっちが本命だったけど……。虹夏の件について」

「……あー」

 

 この時点で聞きたい内容がなんとなく察せられてしまう。

 

「なんで知ってたの? まさか、ほんとにストーカーしてたわけじゃないでしょ」

 

 顔だけ動かして俺を見てくる山田リョウ。

 彼女の表情に先ほど感じていた圧迫感のような、威圧的な雰囲気は既になく。端正な顔立ちをぐにょりと歪めつつ、眠たげな眼差しで俺をぼんやり見つめていた。

 これは、俺を信頼し始めてくれているのか。それとも、ただ単に疲れてるだけなのか。

 なんにせよ、質問自体は幼馴染の安全を考慮するための真剣なもの。気だるさに任せてテキトーな返事はできない。

 

 潤んだ瞳を隠し涙が出ないよう目元を覆っていた右手を動かして、親指と人差し指で目頭をもむ。

 さて、どう答えるべきか。

 前世で知ってました、なんて嘘くさい言葉で納得するわけないだろうし。

 

「……まず、ストーカーはしてません。前に会った、あの、手帳を拾った時。あれは本当に偶然でした」

「ほう、偶然……」

「本当ですよ? 証明はできませんが」

「いいよ、信じる。それで?」

「伊地知さんを知っていたのは……」

 

 しばし迷う。が、精神的疲労で鈍っている頭じゃよく考えられない。

 ――パッと思いついた答えがあった。でも、あんまりにも怪しくて矛盾がありそうな嘘っぱち。俺だったら、信じられないかも。

 けど、考えを詰める時間はないし。仕方なく、自分でもないなと思いながら口を開いた。

 

「えっと、この辺のコンビニ……。その辺でその、ここで店長してるお姉さんと伊地知さんが話してるのを聞いて……。そこで名前と、スターリーのことを知ったんです。それで、ライブハウスってものに興味が湧いて、何も考えずに行ったんです、けども……」

「時間外な上に店長と会って咄嗟に逃げた。しかも、虹夏のこと知ってる風に」

「はい……。あれは、俺がバカでした……」

「あれは……、今なら私たちも悪かったと思う。ふむ……」

 

 彼女は突っ伏していた体を起こし、顎に手をやって考えこむ。

 ほんの数秒程度の時間。その間が、とても長く感じられて。俺のこめかみを冷や汗が伝う。

 

「……一応聞くけど、虹夏をどうこうするとかは考えてない?」

「それは、誓って」

「分かった。なら、ぼっちに免じて信じる。……だから、もし、他の理由があるなら聞くけど」

 

 これは、あれか。とりあえず信じるから本当の理由を教えろ、と。

 仕方ない。

 

「……前世に見たアニメで知ってた、って言ったら信じます?」

 

 言ってしまった。でも、これは嘘じゃない。信じられない理由というだけで、本当のことだ。

 どこか投げやりに答えた俺を、山田リョウが軽く目を見開いて見つめ、小首を傾げる。しばらくの沈黙後。

 

「……まあ、いいや。信じてあげる。だから代わりに、私のお願い聞いてもらう」

「おねがい……?」

「それはまた今度。その前に」

 

 山田リョウは姿勢を正し、俺に向き合う。そして、ゆっくりと頭を下げた。驚くほど、深く。

 

「ごめんなさい。いろいろと誤解してた。酷い態度だったと思う。本当に、ごめんなさい」

「あ、いや……」

 

 真剣な謝罪。真摯に頭を下げる態度に嘘は見えない。心からのものだと感じた。

 彼女がもし謝るのならもっと軽く謝罪する程度だろうと考えていた俺は面食らってしまう。ついでに、自分でも制御できかねる熱が再び喉奥から込み上げてきた。

 それを必死に抑えて。

 

「俺も、悪い部分はありましたから。どっちもどっちってことで……、その、頭を上げてください」

「……みのるがそれでいいなら」

 

 彼女はそう言って頭を上げた。……みのる?

 

「みのるって……、え?」

「佐藤はいっぱいいるし。名前で呼ばせてもらう。いい?」

「あ、ええっと、分かりました……」

「私のこともリョウでいいから」

「は、はあ……」

 

 妙な感覚だ。

 前世含めて、女性と下の名前で呼び合うなんて経験はなかった。だから、こんなルックスの良い人に自分の名前を呼ばれると、なんかこう、嬉し恥ずかしというか。

 別に特別な関係になったとかそういうのは一切ないのに。どうしよう。身悶えたい……。

 

「虹夏の件だけど、店長には私から説明しとく」

「え、あ、お願いします」

「上手いこと言っとくから安心して」

 

 山田リョウ――リョウさんはグッとサムズアップをしてくれる。

 なんだろう。そこはかとなく不安になってしまうんだが。

 

 そんなこんなで。俺たちはようやく、お互いに歩み寄れた気がした。

 

 

 

 

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