すくりーむ・ざ・ぼっち!   作:博一

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店長の誠意

 

 

 

「ううぅぅ……。こ、こわいぃ……」

「だ、大丈夫、大丈夫。ほら、俺もいるから……」

 

 背後霊の如く背中に張り付いて呻き声をあげる後藤さんを励ましながら、俺は緊張から痛むお腹を手で抑えた。

 本日は俺と後藤さんの初バイト。学校が終わってすぐにスターリーへ向かっているところだ。

 

 ひっつき虫のピンクも緊張からくる不安と恐怖でプルプル震えている。だが、それは純粋にバイトが怖いという思いから。

 俺の場合、また別の理由で緊張してしまっている。今日は腹痛で休めないかと考えてしまうくらいには、スターリーに向かうのが怖い。

 正確に言えば、そこで会うことになっている伊地知星歌との対面が怖いのだ。もう、不安で仕方ない。

 

 リョウさんや伊地知さんとのミーティングも緊張はしたが、相手は女学生で精神年齢的には下の子だったからどうにかなった。あの時は、急だったのと後藤さんのおまけという大義名分もあり、真正面から重く捉えることはなかったのだ。

 けど、今回は違う。

 後藤さんと一緒ではあるが、俺もバイトに入るのでおまけではない。そして、伊地知星歌は前世の俺より歳上の立派な社会人。ライブハウスの経営者。元々あってないような俺の精神的アドバンテージが通用しない相手である。

 

 以前にスターリーで向けてきていた目。最後の方は敵意がなくなり警戒が薄くなっていた気がするが……。この会えていない期間にどうなっているかは分からない。

 一応、伊地知さんによるとバイトの件は了承してくれたらしいけれど……。リョウさんも説得したとのことだけど……。誠実さを示すために俺の履歴書を(ついでに後藤さんの履歴書も)PDFにして送ったのだけれども……。不安は消えてくれない。

 

 ……そういえば、学校での噂が増えた。

 ここ最近、ほぼ毎日、後藤さんを連れて学校から帰宅している。そのせいで、土下座女を舎弟にしただの、根暗をいじめてるだの、わざとジャージで登校させてるなどなど。変な噂が聞こえてしまう。

 まあ、今のところ彼女に実害のある噂はなさそうだし、全てのヘイト視線は俺に向いているのでこの噂は特に問題ない。

 

 益体もない噂とは別に、割と良いこともあった。

 なんと、クラスメイトからの警戒や敵意の目が減ったのだ。

 何故かというと、俺の特に何の変哲もない日々の態度と出来る限り誠実な言動を心がけた結果、そこまで緊張する相手ではないのか、と探るような目を和らげてくれたからだと思う。そう思いたい。

 後は、学校のどこであろうと後藤さんは自分の妄想世界に入り込んで突拍子もなく奇行をしてしまう時がある。なので、それのフォローとケアを俺がしていたことも関係しているだろう。……嬉しいような、嬉しくないような理由になるが。

 なにはともあれ。少なくとも教室内では、以前よりも落ち着いて過ごせるようになった。とても喜ばしいことである。

 

 まあ、後藤さんはこれらの事実に何一つ気付いていないけど。バイトのことでずっと緊張してたし、下手に刺激を与えて奇行が増えるのも怖かったので俺は言わなかった。

 

 閑話休題。

 

 逃避のために現状と無関係なことに思いを馳せていたが、現実とは無情なもので。ついに、俺と後藤さんはスターリーへ辿り着いてしまう。

 俺は背後に隠れる彼女を前に押し出し、自分で扉を開けて入るように促す。見捨てられたような目で俺を見てくるが、これも日々の成長のためなので慈悲はない。

 

「ぼっちがんばれぼっちがんばれぼっちがんばれぼっちがんばれぼっちがんばれぼっちがんばれぼっち」

 

 怯えるように取っ手を掴むも手はなかなか動かなくて。後藤さんはぶつぶつ自分を励まし、勇気を振り絞っていた。

 その光景を見て、俺はデジャヴを覚える。あまり良い記憶ではない自分のアホっぷりを思い出しつつ、なんとはなしに階段上を振り返った。

 

「「あ」」

 

 コンビニ袋片手にこちらを眺める黄髪ロングの女性。平常時でも睨んでいるように思えてしまう鋭い眼差しの美人と目があった。

 彼女は伊地知星歌。このスターリーを経営する店長である。

 緊張でドキリと心臓が跳ねた。

 向こうの表情もどこか強張り、俺から目を逸らしている。

 

「え、あ、え……?」

 

 漂うぎこちない空気に気付いた後藤さんが困惑した声をあげて。続いて階段上に立つ伊地知星歌に視線を送り。眉間に皺がよって複雑そうな顔を浮かべる伊地知星歌を見て睨まれているとでも思ったのか、あわあわと顔面を崩壊させながら俺の背中にすすすっと隠れてしまう。

 相変わらずの彼女の行動。微かに掴まれる背中の袖の感覚に、ほんの少し緊張感がほぐれていった。

 

 軽く深呼吸をして気持ちを整え、口を開く。

 

「あ、あの、今日はバイトで来ました。えっと、後ろの後藤さんと一緒に……」

「……ああ、聞いてる。履歴書も確認したしな」

「は、はい……」

 

 途絶える会話。流れる沈黙。背後から伝わってくるピンクの振動が強まっていく。

 

 伊地知星歌は軽く頭を掻いて。ゆっくり階段を降りてきた。

 

「ここじゃ落ち着かないし……。とりあえず、中に入れよ」

 

――――――

 

 伊地知星歌はドリンクカウンター席に座って、良い子りんご100と書かれたピンクパッケージと可愛いくまさんのイラストの描いてあるストロー付きのジュースをちびりと飲んだ。

 不良感のある美人が子供の飲みそうな愛らしい商品を慣れたように飲む姿。不覚にも、その可愛らしいギャップに心がノックアウトしそうになってしまう。

 忘れていた。この三十路、あざと可愛かったのだ。なんて、恐ろしい人……。

 

「うぅ……」

 

 後藤さんはさっきからずっとぷるぷる震えている。直立不動の体制で時折びくびくと体を痙攣させては、すすすっと体をズラして俺の後ろに隠れようとしていた。

 どこか重い空気の漂う雰囲気に耐えきれないらしい。あっちこっちにキョロキョロする視線がゴミ箱をよく見ているので、最悪その中に入ってしまうかも。

 

 そんな挙動不審は明らかに目立つ。

 だから、伊地知星歌が触れにくい俺ではなく後藤さんに目がいくのは必然だ。

 

「……あんたは」

「は、はひっ! 申し訳ございませんっ!」

「いや、落ち着け」

 

 唐突な謝罪に流石の伊地知星歌も軽く引いている。

 

「ダンボールに入ってライブしたギターの子でしょ? 確かマンゴー仮面」

「まっマンゴー仮面です!」

「えっ」

 

 怯えていたと思ったら急にデヘデヘして新しいあだ名を名乗りはじめたぼっち。まさかそんな反応を返されるとは予想していなかったのか、彼女は困惑した顔で俺を見てくる。

 迷わず俺は目を逸らした。こんな後藤さんだけど、どうぞよろしく……。

 

「――そんな名前じゃないでしょ!」

 

 背後から聞こえてきた声。

 不思議と包み込まれるような柔らかさのある声音は伊地知さん。目の前に座るスターリー店長の妹さんだ。

 スターリーに入ってきた彼女は後ろにリョウさんを引き連れてこちらにくる。

 

「お姉ちゃんもテキトーなあだ名付けないでよー」

「ににっ虹夏ちゃんのお姉さま!?」

 

 この前スターリーに向かう途中で説明されていたが、まあ、覚えていなかったらしい。あの時は俺もいたので気まずかったし、ライブに向けて緊張してたから聞いてなかったのだろう。

 伊地知姉妹の微笑ましい会話、怯える後藤さん。そんなやり取りを聞き流しつつ、カウンターに置かれたおかかおにぎりが妙に美味しそうに見えて、逃避気味にぼーっと眺めていた。

 

「…………」

「?」

 

 すると、ちょんちょんと肩を突かれて。見るとリョウさんだった。

 彼女は俺をしばし見つめた後、その視線を滑らせて伊地知星歌に向ける。

 少し和んできていた場が俺を中心に静まり返った気がした。また震え出した後藤さんと気遣うように寄り添う伊地知さんを横目に、俺を見つめてくる伊地知星歌の目を見据える。

 

「店長、話したの?」

「……まだだよ」

「……そう。ならぼっち、あっちで仕事教えるから来て。……虹夏はどうする?」

「私は……」

 

 伊地知さんは迷うように俺と姉を見た後、リョウさんに向かって首を横に振った。

 

「ごめん、先にしてて。ぼっちちゃんのことお願いね、リョウ」

「え、あ」

「わかった。ほら、こっち。……すごく振動してる。マッサージ機みたい」

「あ、あっ」

 

 リョウさんに腕を引かれた後藤さんが奥の方へ引っ張られていく。こちらに気を遣ってか、裏の方、バンドの控え室やスタジオの清掃から取りかかるようだ。

 後藤さんの呻き声が扉によって遮断され、この場に残ったのは俺と伊地知姉妹の三人。妙な沈黙がやけに重たかった。

 

「……なんで虹夏まで?」

「いや、そのぉ……。前はちゃんと謝れてなかったなぁと思って……。もしかして私、邪魔?」

「……別にいい」

 

 伊地知星歌は軽くため息をはき、手に持っていたジュースを置いて組んでいた足を戻し姿勢を正す。

 

「とりあえず、ここに座ってくれ。虹夏は佐藤くんに飲み物を。どのドリンクでもいいから」

「うん。わかったー」

「あ、えっと……」

「ほらほら、ここ座って」

「は、はい。失礼します……」

 

 伊地知さんに促され、カウンター席、伊地知星歌の真横に座る。

 

 向こうがこちらに体を向けているので、失礼のないよう俺も真正面から向かいあう。必然的に距離感が近くなり。少し前に行けば膝同士が当たりそうだった。

 伊地知星歌は特に気にした様子もなく。カウンタに頬杖をつきながら、ドリンクを用意する妹の様子を見守っていた。

 ぱっと見華奢な印象を抱く身体はモデルのように綺麗で。スラリと伸びた手脚は艶やかな色気を演出し、シンプルな上着は飾り気がないものの女性らしい肢体をより魅力的に映している。端正な顔立ちを誇ることなく気怠げに細められた目、美しく伸ばされたロングの髪は華やかだ。そして、頭上でハネる妹と似たくせっ毛はたってもチャーミング。

 改めて、本当に三十路か疑わしいほど美人である。

 

「佐藤くん、炭酸大丈夫?」

「あ、大丈夫です」

「じゃあジンジャエールでいいかな?」

「いいですけど……。別に水でも……」

「遠慮しない遠慮しない! ほい、どうぞー」

「あ、ありがとうございます」

 

 素早く手慣れた様子で差し出されたジンジャエール。ストローに口を付けてちびりと飲み、喉を通る炭酸の感触を味わった。

 ちまちま水分補給して。伊地知さんのカウンタ内での動きが落ち着いたのを見てドリンクを置く。そして、微かな緊張を胸に眼前の伊地知星歌を見つめた。

 彼女も改めて姿勢を整え、俺をしっかり見つめてきた。

 

「……まずは言わせてほしい。すまなかった」

 

 彼女はそう言ってゆっくりと頭を下げる。膝に頭が付きそうなくらい深く、深く低頭した。

 俺は何も言えずにそれを見つめ、意外なことに妹である伊地知さんも口を出さない。

 

 一分くらい時間が経って。流石にそろそろ何か言って頭を上げてもらおうかと考えた時、伊地知星歌は下げる時と同様ゆっくり頭を上げた。

 彼女は俺を見つめる。

 

「実は、ご両親と会ってきた」

「……え!?」

「この前、虹夏経由で送ってきた履歴書。平日の昼間に、そこの住所に行ってきた」

「そんなの聞いてませんけど……」

「私がお願いしてたんだ。自分で言うからって」

 

 突然のカミングアウトに驚き。最近の両親の様子を脳内の記憶で探る。特に変わった様子はない。

 二人は仕事とは別に、俺を守るための対応で忙しくしていることが多く。話す機会は少し減っている。ここ一ヶ月ほどで変わったことが多いのもあって、店長が家に来ていたことに全く気付けなかった。

 

「これまでずっと、偏った見方をしてた。ネットの情報にも影響されて、余計に。……でも、あの子に土下座までさせて、佐藤くんが泣いてるとこ見ちまったらさ……。このままじゃダメだと思ったんだ」

「お姉ちゃん……」

「私がライブハウスを建てたのは、誰かに悲しい思いをさせるためじゃない」

 

 その言葉は俺にというより、自分に言い聞かせているようで。微かに目を伏せ、何かを想うように拳を握っている。

 姉の様子を見ていた伊地知さんは、襟に巻いている大きなリボンを触っていた。その目は、どこか遠くを思い出しているように見えて。

 

「……だから、直接聞いてきた。しっかりこの目で見ようと思って。無断でこんなことしたのは、その、申し訳ないけど……」

「あ、いえ……。俺は気にしてません。えっと、むしろ、嬉しいです。きちんと見ようとしてくれて……。父も母も、歓迎してくれたでしょう?」

「……ああ、優しい人たちだったよ。もっと迷惑そうな顔をされると思ってたんだが。……良いご両親だな」

「はい……。俺には勿体無いくらい……」

 

 本当に。心から、そう想う。

 こんな俺を、生まれてからずっと感情の発露が薄く根暗であまり笑わない不気味な俺を、根気強く、優しい態度で、懸命に育てて向き合ってくれた両親。そのおかげで、俺は最低限の生きる気力というものを得られた。

 二人の元に生まれていなかったら、俺は必ず、早々に生を諦めていただろう。後藤さんにも出会えずに。

 

「……そんな顔も出来るんだな」

「え?」

「いや、なんでもない。……それで、聞いてきた。あの写真のこと、動画のこと。学校とか警察のこともな。と言っても、虹夏たちが聞いたのよりちょっと詳しく教えてもらっただけだが……。まあ、おおよその経緯は分かった」

「そう、ですか……」

「それだけじゃなく、息子の成長記録だって、アルバムとか見せられたけど……。めっちゃ語られたけど……。むしろそっちの方が長かったけど……」

「すみません……。あと、出来れば忘れてください……」

 

 優しく素敵で尊敬する両親なのは良いのだが。俺を無意識に羞恥心で締め上げてくるから困りものである。

 まさか、店長に溺愛っぷりを見せつけていただなんて。恥ずかしい、帰りたい、ゴミ箱に隠れたい……。しかも、幼少期の俺の大量にある写真を見られただと? どれもこれも目が死んでいるから可愛げがなかったはず。

 あ、ダメだ。これ以上は、考えると悶えてしまう。

 

「ま、まあそれは良いんだ。割と、ほんとに可愛かったし……。ああいやなんでもない、なんでも……」

 

 伊地知星歌が小声で何事かを言った後、気を取り直すように頭を振った。

 彼女はその目にいろいろな思いを抱きながら、絞るように、声を出す。

 

「私がこんなこと言うのもあれだけどさ……。大変、だったんだな……」

「……はい」

 

 複雑な感情を含む問いかけに、俺は一瞬迷い、見栄も嘘もなく素直に肯定する。

 あの時の感情を一言で言い表すことなどできない。大変だった、なんて言葉だけでは片付けられない苦痛が心を蝕んでいた。それは今も、消えてなくなったわけではない。

 でも、だからこそ、ここで大丈夫だったなんて虚栄を張るなどダメだ。向き合おうとしてくれている人がいるのだから。俺は鏡に映る自分に嘘をつかず、見てくれようとしている人に誠実に向き合いたい。

 

 それはきっと、憧れた成長に繋がっていく気がする。

 

「あー、すまん、不躾だった」

「あ、いえ」

「んんっ。そんなわけで、だ。……改めて、申し訳なかった」

「私も、ごめんなさい。ちゃんと話もせずに、怖がっちゃったりして……」

 

 伊地知星歌が再度頭を下げた。

 それに続くように、伊地知さんもカウンタ内で頭を下げる。

 

 とても誠実な二人で。頭を下げる雰囲気は妙に似通っていて。頭頂部で揺れる黄色い三角形が、二人は姉妹だということを強く主張していた。

 胸があたたかくなる。特別な印象を持つスターリーの人たちに自分を見てもらえたことが、素直に嬉しかった。

 

「……分かりました。俺も、悪いところはありましたから。もう、気にしません」

「……ありがとう」

「ありがとう、佐藤くん」

 

 伊地知姉妹は揃って顔を上げて。

 俺たちは、縮まった距離感と緩んだ雰囲気に肩の力を落とし。少し気疲れしたようなお互いの顔を見合って、くすりと微笑んだ。

 

「――あ、そういえば」

 

 緊張が和らぎ、気が緩んだせいか。

 あまり気にしてないが、聞けるなら一応聞いておきたいことが不安要素が思い浮かんで。

 きょとんとした顔で俺を見てくるそっくりの姉妹に口を開く。

 

「その、俺が誤解させてしまってた伊地知さんのことですけど」

「あ、虹夏でいいよ。お姉ちゃんがいると呼びにくいだろうし。代わりに私もみのるくんって呼ぶから!」

「あ、は、はい。じゃあ、えっと、虹夏さんのことですが、リョウさんが話してくれたんですよね? 一応、念のため、あくまで確認の意味で聞いておきたいんですけど……、なんて言ってました?」

 

 虹夏さんの唐突な名前呼びにドギマギしつつも、星歌さんに向かって問いかける。

 すると、真正面に座る彼女は、しばし俺を見つめたかと思うと頬を朱に染めてそっぽを向いた。落ち着かない様子で足を組み、置いていたジュースパックのストローに口を付ける。

 なんだかそわそわして、チラチラ俺を横目で見て。その雰囲気は妙にいじらしく可愛らしい。

 ……え、なにその反応。

 

「あの……?」

「……お姉ちゃん?」

「あ、いや、その、な? 気持ちは嬉しいぞ? いろいろ誤解があったとはいえな? でも、ほら、年齢差とかあるし……。私は今ここの経営で忙しいし……。そもそも、そういうのはもっと関係を深めてからでだな……。気になったからって急に来られても困っちゃうから……」

「いや待て。待って。とりあえずストップ」

 

 俺は目上に対しての言葉遣いすら忘れて止める。出来るだけ冷静に、全力で。

 頭痛が。頭痛が痛い……!

 嫌な予感をズキズキ感じながら、やけに可愛い反応をしてる三十路を見据える。

 

「もう一度聞きますよ? 山田はなんて言ってました?」

「え? 虹夏じゃなくて私が目当てで、告白のためにスターリーに来てたって……。あの時は逆に声かけたからびっくりして逃げたんだって、リョウから……。ち、違うの?」

 

 恥ずかしげに小首を傾げる星歌さんから目を逸らし、隣の虹夏さんと目を合わせた。

 半目の座った目が俺の視線と重なる。きっと、俺も似たような表情をしているに違いない。俺と彼女は今、心を一つにした。

 無言で頷きあい、虹夏さんとスターリー奥へ向かう。そして、物音のする扉を勢いよく開けた。

 

「「山田ァッ!!」」

「びぃやぁッ!!??」

 

 ピンク色が死亡する奇声を無視して。素知らぬ顔で逃げようとする青色をとっ捕まえた。

 

 その後、山田を正座させて、俺と虹夏さんの説教が行われたのである。

 なお、溶けた後藤さんはゴミ箱に入れておいたら元に戻りました。不思議だね。

 

 

 

 

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