もうひとつの帝国   作:ぽーりゅしか•ぽーれ

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邂逅

 アジア•オセアニア•中東•アフリカを征服し、アメリカ大陸へ上陸せんとしていた大日本帝国だったが、いきなり異世界へと転移してしまう。

 

物資のほとんどを海外からの輸送に頼っている帝国にとって、早急な食糧確保は最優先事項だった。

 

 航空機による偵察では南西に大陸が確認されており、そこには街らしきものも存在しているという。今日はその上空への偵察飛行が予定されていた。

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「新しい大陸か……」

 

 台湾の海軍基地から飛び立った二五式対潜哨戒機のコックピットで副操縦士が呟く。

 

「どうした、不安なのか?」

 

 機長が問いかける。

 

「だって当たり前じゃないですか、世界が突然消えて、そのかわり新しい大陸が出来てて、さらにそこに飛んでこうっていうんですよ!?不安にならない方がおかしいですよ……」

 

「まあそんなにびびるな、まだ新大陸に人がいるとは限らないし、敵対的だとも限らないだろ?街だって見間違いかもしれないし……」

 

 問答を終えた副操縦士が再び窓の外に目を向けると、遠くに何やら羽ばたくものがみえる。

 

「鳥か……?いや違う……」

 

 その物体は接近するにつれてどんどん大きくなっていき……

 

 

 すれ違う。

 

 

「でっか!!」

 

 目に飛び込んできた飛行物体は戦闘機に匹敵するほどの大きさであり、神話か伝説に登場するドラゴンのような見た目をしていた。

 

 日本が異世界転移したというのは本当だったのだ。

 

 突然衛星や内地以外の全世界と連絡がつかなくなったことで、巷でまことしやかに囁かれていた噂と言うのが、日本はどこか他の星に飛ばされてしまったのだろうというものだ。

 彼自身はその噂を信じていなかったのだが、新しい大陸が発見され、さらに実際にドラゴン(仮)を見てしまったからには信じざるを得ない。

 

「何だあれ!ドラゴンか!?」

 

 ベテランの操縦士もさすがにドラゴンは見たことがない。彼の顔にはうっすらと汗が浮かんでいる。

 

「逃げましょう!早く!」

 

 機長がスラストレバーを力一杯押し、身体が椅子に押し付けられる。

 

 見えるはずもないのだが、思わず後ろを振り返ってしまう。

 どうやら攻撃はされてないようだ。今のところ堕ちる気配はない。

 

「攻撃して来ないな、撒けたか?」

 

「そうだといいですね……」

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 しばらくするとまたしても前方に黒点が現れた。その数、12。

 

「さっきより多いですね、くそっ!もうすぐ着くって言うのに!」

 

「ああ、だが高度を上げれば躱せるか……」

 

 その時、ドラゴン(仮)の口が光り始める。

 

「やばい!火ぃ吹きますよあいつら!」

 

「わかってる!」

 

 機が上昇を始め、ドラゴンがあっという間に窓の下に沈んでいく。

 

「あいつら上昇性能はそこまでのようですね。高度があんまり変わってない」

 

 すぐに街が見えてきた。

 

「やっぱり街だ……この世界にも人間がいるんでしょうか?」

 

 人間の街があるということは農業が行われている可能性が高く、それは食料をつくるのに新しく畑を作る必要がないということにつながる。

 つまりはより早く食料を確保できるということであり、現在の日本にとってとても重要なことだ。

 

「文明レベルは中世くらいか……」

 

「中世風の街にさっきのドラゴン……まるでファンタジーの世界に来たみたいですね」

 

「ファンタジーか……そもそも異世界転移自体が御伽噺のようなものだからな……いまだに信じきれんよ」

 

 街を見回してみると、滑走路を備えた基地のような建物を見つけた。対空砲などで攻撃されるかもと思ったが、一向に弾は飛んでこない。心配する必要はなかったようだ。

 

「機長、あれ、滑走路ですよね」

 

「ああ、さっきのドラゴンが使うのかもな」

 

「ドラゴンなのに滑走が必要なんですね……」

 

「対空兵器がないならあのドラゴンでも十分な脅威になるだろうな。滑走路のコストもそれなら許せるだろう」

 

 装備してきたカメラポッドを使って確認すると、こちらを見上げている一人の女性が見える。

 

「人がいますね、うん、普通の人に見えます。少なくともゴブリンとかオークではなさそうです」

 

「朗報だな。話が通じないんじゃここまで来たことが無駄になるところだった」

 

 その後もさまざまなところの写真を撮り、彼らは帰って行った。それらの写真によって現地文明があることが明らかになったことで、日本は特使の派遣を決めることになる。

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