大日本帝国 首都東京 日本•クワトイネ実務者会議
「国防省の佐藤です。帝国軍を見学したいということでしたが、あいにく軍は厳戒体制ですので、本日私から説明させていただきます」
米本土侵攻に備えて航空祭などは無期限に停止されており、ハンキの要望は叶わなかったが、その代わりに会議の前に軍の能力について説明が行われることになった。
「まず陸軍について、常備兵力は約50万人おり、徴兵によってさらに多数の兵が軍務についていますが、現在復員が進んでおります。
次に海軍、こちらは徴兵をしておらず、全て常備兵力で125万人、戦闘艦艇が1000隻ほど現役です。
最後に空軍ですが、常備兵力が25万人、戦闘に関わる航空機は約5000機運用しています」
「それぞれの運用する武器・兵器についてはお手元の資料の写真でおおよその大きさなどが分かると思います。何か質問がございましたら答えられる範囲でお答えします」
質問はあるかと聞かれても、自分たちと比べて話にならないので何も質問することがない。使節団は皆圧倒されていた。
そんな中、ヤゴウが恐る恐る口を開いた。
「船が1000隻と言われたが、それは皆あのような巨大船なのですか?」
「いえ、全てが300mを超えるような船ではありません。大部分は150mくらいの中型船です」
それを聞いて、ヤゴウは少しホッとするが、すぐに例の巨大船も乗って来た客船も鉄でできていたことを思い出した。こちらの大型船と同じような大きさといえど木製と鉄製は大きく違う。木造船を想定した武装では日本の船は沈められないだろう。
1000隻という数はロウリア軍の隻数には及ばないが、鉄で出来た船ならばその差もひっくり返せるかもしれない。
次はハンキの質問だ。
「『戦闘に関わる航空機』とはどのようなものなのだ?」
「現物を見ていただくほかないのですが、スペックを説明いたしますと、大半を占める『戦闘機』と呼ばれる航空機は全長20m、最大速度は音速の2倍です。さらに目標に自動で向かっていく『誘導弾』と呼ばれる武器を搭載できます」
一同がざわめく。まるで古の魔法帝国の兵器ではないか。そんなものが5000機近くもあるとは……
日本はひょっとすると列強国よりも強いのかもしれない。その事を痛感した使節団は日本と敵対しない意思を固めるのだった。
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「農商務省の日村です。単刀直入に申し上げますが、私たちは今、食料を欲しています。
必要項目は・・・・」
日本側が、各種必要な食糧項目が並べられた資料を差し出す。
「そ・・・総トン数年間あたり5500万トン!?」
「はい、貴国は農業の盛んな国と伺っております。食料自給率が100パーセントを圧倒的に超えているとも。
さすがにこの数を貴国1国で輸出できるとは思っていませんが、このうちどれほどが可能か知りたいのです。
もちろん即答は求めませんが、できるだけ早く知りたい。」
資料を読んでいたヤゴウが話し始める。
「水産資源は難しいですし、このコーヒー豆というのが良く解りませんが、それ以外なら輸出の量だけなら確保出来ると思います。もちろん国の許可はいりますが、ただ・・」
「ただ……?」
「これほどの量を貴国に運ぶ手段を我が国は持ちません。内陸に大穀倉地帯がありますが、そこから港へ運ぶほどのインフラはありません。もしも港に運べたとしても、そこで積載するための人員も不足しています。それに、何より船が無い」
「では、それを解決すれば、食料は輸出していただけると?」
「本国への確認が必要ですが、可能かと思います」
これはもしかしたら大チャンスかもしれない。
ダンディな白髪にめがねをかけた男性が話し始める。
「外務省の前島です。そちらさえ良ければ、その問題は解決可能かと。」
クワトイネ側がざわつく。
「鉄道敷設権と港湾の租借権さえ頂ければ、我々が資金をだし、インフラを整備いたします。いかがでしょうか?」
「鉄道……?」
「鉄でできた道の上を走る馬車のようなもので、大量の物資を運ぶことができます」
「その鉄の道を引く権利ということですか……なるほど、では鉄道敷設権は良いですが、租借権ということは、領土を貴国に貸すということですか?」
「ええ。ですがあくまでも我々の生命線を守るためのものであり、貴国の主権を侵す意図はありません」
「ですが、マイハークは我が国の経済の要であり、それが失われると我が国は莫大な損失を被ります」
これは想定通りだ。港は海洋貿易の拠点。それを失うことは海から利益を得られなくなると言うことだ。
「そこで、我々は貴国と同盟を結びたいと考えています」
この言葉に、クワトイネ側が食いつく。
「同盟を結べば、あなたたちの武器も輸出してもらえるのですか?」
「ええ、もちろん」
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この会談により、クワトイネは日本と日桑攻守同盟条約を結び、日本軍の駐屯を認め、日本の援助の元、軍の近代化を進めていく。だが、そのことにより軍事面での日本への依存も強めることにもなるのだった。