連続した破裂音が王城内に響き渡る。
ロウリア王ハーク•ロウリア34世は後悔していた。
大陸征服などという大それた野望を掲げなければ良かった。
あの国の使者を追い返さなければ良かった。
もっと敵について調べておけば良かった。
……全てが遅い。
もはや王都は敵に包囲された。
王城にも敵が侵入したようだ。
敵はすぐそこまで来ている。
バン!
音と共にドアが大きく開く。奇妙なまだら模様の服を着た連中がぞろぞろと入ってくる。全員魔法の杖のような物を持っており、帯剣はしていない。どうやら魔術士のようだ。
ここまでの強さ、魔術士で構成された部隊……
「ま……まさか……魔帝軍か!?」
魔帝、魔法帝国とは世界をかつて支配していた帝国である。人間とは比べ物にならない魔力を持つ『光翼人』と呼ばれる種族で構成されており、その残虐性も相まって、自分たち以外の種族を劣等種族と看做して物のように扱っていた。
さらに最後は神にすら戦いを挑み、そして負けた。神の攻撃を防げない彼らは大陸に結界を張り、未来へ転移したとされ、現在でも世界最強の神聖ミリシアル帝国を始め、各国は魔法帝国の復活を恐れている。
敵の圧倒的な強さに、王は魔法帝国ではないかと恐れていたのだ。
そんな王の問いかけを無視して彼らは王を拘束、連れ去っていった。
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中央暦1639年 5月3日
王が日本に捕らえられると完全に勝てる見込みを失ったロウリア軍は瓦解、ついに4月18日、王都を守る部隊が降伏すると同時にロウリアは降伏した。
日本からロウリアへの要求は以下のような物である。
•全ロウリア軍およびその支配下にある全軍に無条件降伏を布告する
•ロウリア軍国民に対し、敵対行為を中止すること、船舶・ワイバーン、軍用非軍用を問わず財産の毀損を防ぐこと及び日本軍最高司令官又はその指示に基づきロウリア政府の諸機関が下す要求・命令に従うことを命じる
•その所在地に関わらず、全ロウリア軍及びロウリアの支配下にある全軍隊の指揮官に対し、自身及び指揮下の全軍隊が無条件降伏する旨の命令を直ちに発することを命じる
•役人と陸海軍の職員に対し、本降伏実施のために日本軍最高司令官が発する布告・命令・指示に従うこと及び引続き各自の地位に留まり非戦闘的任務を行うことを命じる
•ロウリア王及びロウリア王国政府の国家統治の権限は本降伏条項を実施する為適当と認める措置を執る日本軍最高司令官の制限の下に置く
こうして、日本は食糧、資源、そして低賃金で働かせられる労働力を手に入れた。ロデニウス大陸は今後日本にとって、思うがままに動かせるアメリカとでも言うべき存在になっていく。
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グラ•バルカス帝国 情報局
「閣下、ロデニウス大陸の情報について、現地から報告が届きました」
通信機を置いた黒い服の男が報告する。
「概要は?」
「はっ!ロウリア王国のクワ・トイネ公国並びにクイラ王国への侵攻は、大日本帝国の介入により失敗に終わり、王家は失脚し、民主主義に移行したとの事です!」
「何!?」
「我々の分析ではロウリア王国の圧勝で、ロデニウス全域がロウリアになるはずだったが……大日本帝国という国は聞いたことが無いな……詳細は?」
この国の情報局は優秀で、異世界に転移するという非常識な現象にも動じることなく、ある程度の情報が集まってからは予想を的中させてきた。それでもその予想が外れるということは十分あり得る。大事なのはそこからどう情報を得るかである。
「日本が参戦したことにより、戦局は一変しました。ロウリア王国の4400隻の大艦隊は、出撃することなく地上部隊により鹵獲され、ロウリア兵は日本に傷を負わせる事無く敗れています」
「なお、日本の兵装ですが、ロウリアの首都、ジン•ハークでの目撃情報を分析するに、1万トンクラスの重巡洋艦、5000トンクラスの巡洋艦、空母の目撃情報がありますが、各巡洋艦には150ミリ程度の砲が2基4門しか付いていません。また、空母の艦載機はジェット機と回転翼機から構成されるとのことです」
「ジェット機だと!?それに回転翼機……どちらも我々がまだ実用化出来ていないものだ……少なくとも一部分では我が国を超えているな。だが砲の数が少し少なくないか?空母の護衛にしても頼りない。いや、もしかしたら発射速度や命中精度が優れているのかもしれないしな……」
男は少し考えた後、部下に命じた。
「よし、大日本帝国は我々と同じ転移国家だろう。我が国の技術を一部超えており、また全般的に超えている可能性すらある。十分脅威となる可能性があり、場合によっては戦略を見直す必要があるかもしれない。そう上に伝えろ」
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この報告をきっかけにグラ•バルカス帝国はこの世界で初めて大日本帝国という自分たちと同レベルの相手を認識し、警戒し始める。