中央暦1639年9月1日
大日本帝國 北海道
経済都市「知床」知床港
経済都市[知床]の歴史は浅く明治5年に大日本帝國北海道開拓団が入地した所から始まる。当時の知床は辺り草木で覆い尽くされ人工物は一つも無く未知の土地だったが開拓団は必死に知床を開拓し明治37年の日露戦争では大陸への兵站基地として機能した。その後、知床はロシア及びアメリカへの交易港として発展し1945年時点で知床は人口約150万人の大都市になり造船業及び水産業を主に日々活躍している。
菊田「はあ…転移してからやっと長期休暇を貰えると思ったところに仕事が入ってくるなんて…」
菊田が埠頭で前日に知床沖に現れたアベーラ合衆国と名乗る国の外交団を数人の外交官と共に待っていた。
中村「仕方ありませんよ。我が皇国の運命は我々外務省が握っているのですから…」
同僚の中村が話す。
菊田「そうだけどさ〜……はぁ…早く家族に会いたいな〜」
菊田が千葉に住んでいる家族の顔を思い浮かべる。
中村「はは……ところでアベーラ合衆国でしたっけ?今回現れた艦隊の艦艇どことなく前世界のアメリカ海軍の艦艇に似ていますね。」
中村が知床港沖に停泊している外交団を乗せているアベーラ合衆国の艦隊を見つめる。その艦隊は戦艦1隻、巡洋艦2隻、駆逐艦2隻で構成されており、どういうわけか前世界のアメリカ海軍が運用していた艦艇に酷似しており戦艦はノースカロライナ級、巡洋艦はクリーブランド級、駆逐艦はフレッチャー級など転移したことを知らない人からしたらアメリカ海軍が現れたと間違えてしまうだろう。
菊田「そうだな…まぁ相手が合衆国と名乗っているから恐らくアメリカと同じ政治体制だから大丈夫だろう。」
中村「…そう願いたいですね。」
二人で話していると戦艦の艦尾から1隻の高速艇が現れこちらに近づいて来る。
菊田「おっと…相手さんが来たようだ。中村、相手に失礼が無いように振る舞えよ?」
中村「分かってますって…」
しばらくすると高速艇が速度を落とし菊田達が居る前に横付けしラッタルを埠頭に降ろし男女3人のスーツを着ている外交官らしき人と護衛らしき海兵がラッタルを降りる。
菊田「始めまして。大日本帝國外務省の菊田と申します。」
中村「同じく外務省の中村です。」
二人が挨拶をする。すると外交団と護衛が少し驚き間を置いて話す。
ドワルト「こちらこそ始めまして。アベーラ合衆国国務省のドワルトです。」
ウォルト「同じく国務省のウォルトです。」
ウェルマー「運輸省のウェルマーと申します。」
アベーラ合衆国外交団の3人も挨拶する。
ドワルト「今回は対談の場を設けて頂き誠に感謝します。」
菊田「いえいえ、わざわざ遠くから来てお疲れでしょう。立ち話もあれなので車を用意していますので知床市内の対談場所まで移動しましょう。」
ドワルト「承知しました。」
菊田達は埠頭に用意していた車に乗り知床市内にある海軍知床駐屯部隊の司令官に向かう。
ドワルト「菊田さんでしたっけ?ここの都市は随分栄えていますが中枢都市なんですか?」
菊田「はい、知床市は歴史は浅いものの急激に発展し今では国内の造船業の9パーセント、水産業に関しては15パーセントのシェアを誇っています。」
ドワルト「なるほど。ここに来る前に貴国の空母艦隊を見たが貴国の海軍力はどのぐらいなのでしょう?」
菊田「自分は軍事に余り詳しくないのですが前世界では第二位の海軍力を誇っていました。」
ドワルト「前世界?ということは貴国も我が国と同じく転移してきたということでしょうか?」
菊田「?ということは貴国も我が国と同じく転移を?」
ドワルト「はい、我が国の前世界ではどこの国も一つの帝国によって蹂躙され唯一我が合衆国だけが対抗できる国だったのですが敵の数々の新型兵器によって各地で劣勢になり我が国が降伏するのも時間の問題でした。ですがある日突然帝国軍及び帝国自体が消滅してくれたお陰で我が国は破滅の道を回避し以後急速な経済発展を遂げ転移時は世界一の経済大国に躍り出ていました。」
菊田「そしてある日貴国もこの世界に転移してきたと…」
ドワルト「そういうことです。」
二人で話していると車列は対談場所の海軍知床駐屯部隊司令部前に到着し菊田とドワルト達一行は建物の中に入りホールの階段を登り二階の会議室に入る。
菊田「すみません…急な事だったのでここしか用意できなくて…」
ドワルト「いえいえ、急に押しかけたのは我が国なので大丈夫ですよ。」
菊田「寛大なお言葉感謝します。ではアベーラ合衆国と皆様はそちらの席に。」
ドワルト「失礼する。」
そう言いアベーラ合衆国の面々は席に着席し菊田達も着席する。
菊田「本日はどのようなご要件で?」
ドワルト「はい、まずは我が国の概要について資料を持ってきたのでご閲覧を。」
国務省のウォルトが席を立ち菊田達にアベーラ合衆国の概要が書いてある資料を配る。
菊田「………あのー…」
ドワルト「?どうかしましたか?」
菊田「い、いえ…大したことでは無いのですが…貴国の文字が分かりません…」
ドワルト「えっ!?さっきまで我が国の言葉で会話をしていたのにですか?!」
菊田「こちらからしたら貴方方達が我が国の言葉を話していますよ?」
ドワルト達「「「??????」」」
ドワルト達は激しく困惑する。
ドワルト「ゴホン…では私達が説明致します。」
菊田「よろしくお願い致します。」
ドワルト「まずは我が国アベーラ合衆国は貴国から東に約1600kmの所に位置する面積216万6000km²、人口2億2000万人の大統領制の大陸国家です。」
菊田「なるほど、中々の規模を誇っていますね。」
ドワルト「はい、我が国は首都ニューアーク、経済都市ラジェンデルス、サンベランシスコ、ボルトン、シルトル、デタライト、シアゴを中心に発展していき大量の資源埋蔵量を糧に様々な工業製品を大量生産しています。」
中村「名産品はどのような物が?」
ウェルマー「それについては私が。」
説明が運輸省のウェルマーに変わる。
ウェルマー「我が国は主に工業製品は工作機械、車、船舶を、食料製品は肉に魚介類、乳製品、酒類を、鉱山資源は石油、天然ガス、ダイヤモンド、硫黄を扱っています。」
中村「なるほど。」
中村がメモで内容をまとめる。
ドワルト「次に我が国の軍事についてです。」
説明がドワルトに変わる。
ドワルト「アベーラ合衆国軍はアベーラ陸軍、アベーラ海軍、アベーラ空軍、アベーラ海兵隊と大きく4つに別れています。」
菊田「ふむ。」
菊田が相槌を打つ。
ドワルト「我が国は特に海軍、陸軍に力を入れており、海軍は前世界では転移時、世界最大規模の艦艇数、性能を誇っていました。」
海軍大尉「艦艇数はどのくらいで?」
同席していた海軍大尉がドワルトに質問する。
ドワルト「はい、転移時の海軍戦力については戦艦10隻、空母6隻、軽空母9隻、護衛空母20隻、重巡洋艦30隻、軽巡洋艦60隻、駆逐艦250隻、護衛駆逐艦110隻、潜水艦50隻の規模を誇っていました。」
海軍大尉「ふむ、潜水艦の数が少ないですな。」
ドワルト「はい…お恥ずかしながら我が国は最近やっと潜水艦が運用できるようになったのです。」
海軍大尉「そ、そうですか。」
その後もアベーラ合衆国の説明が続く。
1時間後
ドワルト「……以上がアベーラ合衆国の概要です。」
菊田「なるほど……ところでご要件をまだ伺っていませんが…」
ドワルト「これは失礼致しました…今回、我々が来た理由は周辺国家との外交締結もありますがもう一つは不足している資源の輸入交渉です。」
菊田「資源の輸入交渉ですか?」
ドワルト「はい、我々は膨大な資源埋蔵量がありますがたった一つ圧倒的に足りない資源があります。それは石炭です。」
菊田「石炭…ですか?」
ドワルト「はい、我が国は製鉄やコークス製造分野に大量の石炭を使っていますが我が国には石炭は全くと言って良い程埋蔵量が少なく前世界では殆ど輸入に頼っていたのです…」
菊田「ふむ……石炭なら余る程ありますが…」
ドワルト「本当ですか?!お聞きしますが埋蔵量はどのぐらいで?」
菊田「たしか……約600億トンだった気が…」(著者が適当に増やした)
するとドワルト達がザワつく。
ウェルマー「…もし良ければその石炭を我が国に輸出してくれませんか?どんな条件でも買います!どうかお願い致します!」
ウェルマーが席を立ち頭を下げる。ウェルマー以外の二人も同じく席を立ち頭を下げる。
菊田「…頭をお上げください。少し待っていて下さい、少し上と電話してきます。」
菊田が席を立ち部屋を出る。
10分後
菊田「お待たせしました。上と話した結果、あなた方の国に石炭を輸出することが決定しました。」
ドワルト「ありがとうございます!!皆さんには感謝しきれません!!」
菊田「はは、ではこれで輸入交渉は締結完了ですね。」
ドワルト「はい!本当にありがとうございます!!」
その後、外交交渉も完了し後日アベーラ合衆国大統領が来日、総理と会談し両国の国交樹立を示す日亜条約が締結された。以下が日亜条約の内容である。
○大日本帝國及びアベーラ合衆国はお互いの政治、文化、主権、領土を認め合う。
○両国は相手の国に大使館及び領事館を設置する。
○自国の国民が相手の国で犯罪を犯した場合、相手の国の法律で裁くことをお互い承認する。
○交易ルートの整備
○通貨レートの整備
○どちらかが他国から攻撃を受けた場合、集団的自衛権を適用し相手国と共同で対処する。
話に出てくる帝国はグラ・バルカスではないです。アベーラ合衆国はアメリカをモチーフに作った執筆者のオリジナル国家です。もし希望があればアベーラ合衆国の詳細を書こうと考えております。それではまた今度お会いしましょう。それではバーイ