パーパルディア皇国 皇都エストシラント 皇城
ある一つの部屋で国の重臣らが平伏し、空気が張り詰めている。その部屋で皇帝ルディアスが出席する最高会議が始まろうとしていた。
だが今回、ルディアスは、いつもの最高会議とは違い、怒気の表情をしていた。
ルディアス「……言いたいことは分かっておるな…」
殆どの重臣が顔を俯かせながら大量の冷汗を流していた。
アルデ「はっ!アルタラス王国攻略戦に失敗してしまい誠に申しわk…」
ルディアス「たわけぇぇぇぇぇっ!!!」
軍の最高指揮官アルデが謝罪しようとするがルディアスの怒声によって遮られる。ルディアスの怒声が部屋に響き渡り、何人かの重臣が体をビクつかせる。
アルデ「っ……申し訳御座いません…!」
アルデがルディアスに対し謝罪する。
ルディアス「アルタラス王国のことはどうでも良い!今余が怒っているのは、2度も我が国の行動を邪魔した憎き蛮国の大日本帝國のことだ!!!」
ルディアスが怒っている元凶は大日本帝國のことだった。
ルディアス「監察軍と正規軍をそれぞれ一回退けたぐらいで調子に乗っている大日本帝國が気に食わんのだ!」
エルト「皇帝陛下、そのことについてですが第三国経由で大日本帝國に関しておもしろい情報を手に入れました。」
第一外務局局長のエルトが発言する。
ルディアス「ほう…どのような内容なのだ?」
ルディアスは、落ち着きエルトに尋ねる。
エルト「はっ、大日本帝國は現時点で軍備に国内総生産の5%程しかかけていないそうです。また、彼の国は資源が殆どあらず、木材かヨウ素という訳の分からない物質ぐらいしか時給自足ができないそうです。」
「ぷぷっwww」
「くくっwww」
2つしか自足自足できないことに回りが静かに馬鹿にしながら笑っていた。
ルディアス「ほう、中々興味深い内容だな。国内総生産の5%が軍備ならいくら装備の性能が良くても数が揃えられないから大したことはないな。」
エルト「はい、なので大日本帝國が軍備に力を入れる前に叩いておくのが得策かと。」
ルディアス「ふむ……大日本帝國を叩き潰すのは得策だがまずは、大日本帝國と友好関係にあるフェン王国を滅せよ。地理的にフェン王国の方が我が国に近く、かなりの距離が離れている大日本帝國を先に叩くのは得策では無いしな。大日本帝國と友好的な国はどうなるかを各国に思い知らせるのだ。異論のある者は?」
誰も声を上げない。それを確認するとアルデの方に顔を向く。
ルディアス「アルデ、本来ならフェン王国懲罰に失敗したカイオスと共に職の位を降下させようと思ったが、チャンスをやろう。フェン王国攻略を成功させ、来たる大日本帝國懲罰攻撃も成功させるのだ。」
アルデ「ははっっ!!前回は、敗北しましたが今度こそ大日本帝國軍を殲滅し、蛮族どもにパーパルディアの強大さを知らしめます!!我々は、第三外務局や監察軍とは違い優秀であることを証明してみせます!!」
カイオス「くっ……!」
第三外務局やその傘下の監察軍を馬鹿にされカイオスの顔が苦痛に歪む。
ルディアス「うむ、戦略や戦術は好きにして良い。あと……そうだな…フェン王国を滅した後は、国土やフェン民の扱いは、好きにして良いぞ。」
「「「「「な…!!!!」」」」」
一同に衝撃が走る。
一国の土地、国民をたかが1つの機関が好きにしていいとの皇帝陛下からの暖かいお言葉。軍人達にある程度振り分けたとしたら軍の士気はとてつもなく上がる。アルデは、ルディアスに平伏する。
アルデ「あ…あ…ありがたき幸せ!!」
フェン王国500万の国民と広大な土地が手に入る。
部下にある程度振り分けたとしても地方の貴族の財産や領地を一気に抜け去り、一国を得るのと同じである措置。
アルデは、皇帝陛下への忠誠をより一層強くするのであった。
皇都エストシラント 街中
カイオス「くそっ!第一、二外務局や軍の連中らめ!第三外務局を馬鹿にしおって!頭にくる!」
会議が終了したあとの帰局途中の道でカイオスが怒りに満ちていた。
カイオス「特にあの若造め!毎日毎日第三外務局や自分達を貶しおって!いつか痛い目に合わせてやる!」
カイオスがルディアスのことを若造と揶揄し、いつか痛い目にあわせると心の中で誓いながら第三外務局へ帰るのであった。
パーパルディア皇国 皇都エストシラント 第三外務局
ライタ「ああ…クソッ!なんで俺だけこんな貧乏くじを引かないといけないんだ!」
窓口勤務員のライタは、いつものように仕事をしていたが彼は今、げっそりと痩せてしまっていた。
数多くの蛮国の一つと思っていた大日本帝國。課長がなかなか帰って来なかったのが悪いのだがライタが日本の外交団を窓口であしらい、組織に乗せていなかった。
課長らに会わせる前に第三外務局直轄の監察軍、アルタラス侵攻軍が大日本帝國軍と交戦してしまった。
いつものように勝てば問題は無かったのだが、あろうことかどちらも敗北してしまいアルタラス侵攻軍に至っては艦隊の半数以上が撃沈されてしまった。
この件で皇帝は激怒したという。
その後は報告書の嵐であった。ライタは今まで出世願望があったが今回の件で消し飛んでしまった。
ライタ「ああ…畜生…」
落ち込んでいる彼に誰かが声をかける。
外交官「こんにちは。大日本帝國外務省の者です。何度も申し訳ありませんが、課長様のご予定はその後どうなりましたでしょうか?」
ライタが顔を上げるとそこには自身の出世コースを絶った大日本帝國の外交官が立っていた。
ライタ「(ああ、畜生!…なんでこいつらは俺の窓口に来やがるんだ!隣の窓口も空いているだろうが!こんな時に俺の窓口に来やがって…!俺を報告書の嵐で潰す気か?!過労死させる気か?!)……しばらくお待ち下さい…確認して参ります。」
彼は叫びたくなったがその気持ちを抑え、相手が相手なだけに今回は直ぐに上司に報告することにした。
5分後…
ライタ「お待たせしました。第三外務局局長のカイオス様が対応されます。どうぞこちらへ。」
外交官「えっ!?」
大日本帝國外交団の面々は顔を見合わせる。彼らにとっていきなり外務局局長との会談は想定外だった。
ざわざわ…
周りではカイオスの名を聞いた各国の使者が驚愕し、大日本帝國外交団を見つめながら会話していた。
各国からしたら普通に有り得ない措置だったのだ。
大日本帝國外交団は、窓口がある建物とは別の建物に案内され、建物の中の重厚な扉の前に到着する。
コンコン
カイオス「入れ。」
ライタ「失失礼します。」
扉を開け先にライタが入室し後から大日本帝國外交団の者が入室する。中に入ると数人の男が席に座っていた。
ライタ「ここで自己紹介して下さい。」
外交官「あっ…はい…」
外交官が自己紹介を始める。
外交官「大日本帝國、外交官の○○です。こちらは私の補佐を担当する○○です。」
カイオス「どうぞお掛け下さい。」
外交官「失礼します。」
二人は席に付く。
パーパルディア皇国の面々は第三外務局長、東部担当部長、東部島国担当課長、北東部島国担当係長、群島担当主任と上から下まで勢揃いだった。
カイオス「貴方方が大日本帝國の使者か……して…今回は何用で皇国に来られたのだ?」
外交官「はい、我が国は不幸な行き違いから衝突してしまいました。よって、その関係修復と国交樹立の可能性の模索に参りました。」
すると東部担当部長が急に立ち上がる。
東部担当部長略して東担「なんだとぉぉ!!!不幸な行き違いだぁぁ!?監査軍と本国軍に攻撃を仕掛けておいて何事も無かったかのようなその言動!!ただで済むと思っているのか!!」
外交官「いいえ、先に攻撃してきたのは貴方方です。それにアルタラス王国との戦闘ではアルタラス王国と結んだ安全保障条約に則っただけです。我々は、降り掛かる火の粉を叩いたに過ぎません。」
東担「き、貴様ぁ!!栄えある皇国監査軍と本国軍を火の粉だとぉぉぉ!!!」
東部担当部長が外交官に掴みかかろうとするがカイオスが手で制し、座らせる。
カイオス「なるほど…関係修復…ですか…」
少し考える。
カイオス「私はもとより、パーパルディア皇国の者は誰も貴方方の国、大日本帝國のことを良く知らない。まずは貴方方の国がどういった国なのか、教えて頂きたい。我々と国交を結ぶに値する国なのかを。」
カイオスの言葉を受け、外交官が鞄から自国の資料を取り出す。
外交官「紙しかありませんが、写真付きです。我が国を紹介するためのレジュメです。」
彼の補佐がパーパルディア皇国の面々に資料を配る。資料は、フィルアデス大陸共通語で書かれており内容は、国土面積、人口、特産品、そして転移してきたことが書かれていた。
東担「国ごと転移だと!?馬鹿馬鹿しい!国ごと転移などそんなことが有り得る訳が無い!!お前達は、皇国をからかっているのか?!」
東部担当部長が声を荒げる。
外交官「転移については、我が国でも原因が分かっておりません。全力で調査中ですが…」
東担「ふん!どうせ転移したなど嘘っぱちだろう!お前達蛮国の話にはもう聞き飽きた!!カイオス様!私はこの会議から離席致します!」
東部担当部長の他に同じ意見だった東部島国担当課長、北東部島国担当係長が部屋から退出し、残ったのはカイオスと文明圏外の国に対し温和な群島担当主任だった。
カイオス「まったく…部下があんな態度をとってしまい申し訳ない…」
群島担当主任「私からも謝罪致します…誠に申し訳御座いません…」
二人が外交官に頭を下げ謝罪する。
外交官「いえいえ、転移してきたことを信じる人は基本居ませんからね…私も最初は、転移したことを疑っていた集団の一人だったので……次に我が国の軍事力についての資料を配りたかったのですが…本当は全員に配る予定だったのでどうすれば良いか…」
カイオス「私と群島担当主任の二人でも良ければ説明して頂いても結構ですよ。」
外交官「ありがとうございます…では大日本帝國が保有している軍事力について写真付きの資料をお配りします。」
補佐が鞄から二枚の資料を取り出しカイオスと群島担当主任に配る。
カイオス「なっ…!」
群島担当主任「こ、これは…」
資料には、大日本帝國陸海軍の総兵力、軍事費、主要兵器の配備数、そして各兵器の写真が貼付されていた。
カイオス「り、陸軍総兵力が118万人!?我が国の総兵力より多いではないか…」
外交官「その数には予備役も含んでいますが開戦してすぐ集めれる予備役しか含んでいないので総兵力は実質150万人です。」
カイオス「そ、そんなにも…」
群島担当主任「この写真によると貴国にも我が国が保有している銃を保有していますが性能はどのくらいで?」
外交官「詳しくは言えませんが我が国が使用しているM1ガーランドと言う銃は、秒速848mで8発の弾を連続で発射することができ、約450mの有効射程を誇っています。」
カイオス「なっ…」
大日本帝國が使用している銃の性能が自国が使用している最新鋭兵器であるフリントロック式マスケット銃の性能より高いことにカイオスは驚愕する。
外交官「今回、さすがに実物は持ってこれませんでしたが実物に近い形のモデルガンを持ってきたのでご覧下さい。」
そう言い、足元から細長い箱を持ち上げ机に置き、箱の蓋を開ける。中には、実物と酷似したM1ガーランドのモデルガンが入っていた。
カイオス「これが大日本帝國軍が使用している銃か…」
群島担当主任「我が国の銃よりも太いですが形が洗練されていますね。」
カイオス「日本の兵はこれを全員装備しているのか?」
外交官「全員ではありませんが部隊の半数以上が装備しています。」
カイオス「なるほど……(もしかしたら……いや…確実に大日本帝國は我が国よりも国力が高い…我が国はとんでもない国に戦闘を仕掛けたかもしれん…)」
カイオスが冷汗を流す。
外交官「これでこちらの話は終わりです。最後に、そちらの特使を一度我が国に派遣して頂きたいと存じます。資料を見るより貴方方の目で見ていただいた方が早いと思います。」
カイオス「ふむ…特使を派遣しようにも我が国は現在、色々と立て込んでいるので……そうですね…2ヶ月ほど待って頂けませんか?2ヶ月後には私達の仕事が落ち着きますので…その時はもう一度第三外務局に来ていただきますか?宿はこちらで手配致しましょう。」
外交官「承知しました。では2ヶ月後にこちらにまた来ますのでよろしくお願い致します。今後、我が国と友好的な関係を築けることを願っています。」
カイオス「こちらこそ貴国と友好的な関係を築けることを願っています。」
大日本帝國外交団は、部屋を退出しライタに案内され建物を去っていく。
大日本帝國外交団が去った部屋の中でカイオスと群島担当主任が外に居る大日本帝國外交団を見つめながら会話していた。
カイオス「群島担当主任は、彼の国をどう評価する?」
群島担当主任「そうですね…大日本帝國の人口、面積、の件は少し信憑性が薄いですが軍事に関しては、彼らが言っていたことや資料のことはほぼ事実でしょう。しかも文明圏外国家で魔写を実用化している国は我が国が技術提供したロウリア王国…あっ、今はロウリア民主主義共和国でしたね、その1国しか見たことありません…それにロウリア王国が短期間で降伏したことも彼らのあの兵器や兵力を考慮すると辻褄が合います。」
カイオス「そうだな……もしかしたら大日本帝國は、本当に転移国家なのかもしれないな…」
大日本帝國のような強大な国が今までの歴史上、パーパルディア皇国の近くにあったことに気づかなかったことにカイオスは、大日本帝國が本当にこの世界に転移してきたことを信じ始める。